テロメライシン注の薬価算定を図解|食道癌の遺伝子治療は1瓶310万円

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October 28, 26

スライド概要

中医協第654回で議題となった再生医療等製品「テロメライシン注」を図解します。根治切除も化学放射線療法も適応とならない食道癌に、放射線療法と併用して使う製品です。比較薬デリタクト注との1クール比較で決まった薬価3,102,489円と、3つの加算の根拠を解説します。

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テロメライシン注の薬価は1瓶約310万円|食道癌の遺伝子治療が保険適用へ
https://www.daitoku0110.news/p/telomelysin-price-esophageal-cancer

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病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用

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各ページのテキスト
1.

テロメライシン注の価値構造 食道癌における世界初の遺伝子治療と薬価算定のメカニズム 2026年8月 発行

2.

Column 1 プロダクト 世界初 根治切除・化学放射線療法の適応とならない食道癌に対する遺伝子改変ウイルス治療。 Column 2 薬価評価 3,102,489円 (1瓶2mL) 類似薬効比較方式(I)を適用。3つの補正加算(有用性II、市場性I、先駆)により、ベース価格から計30%のプレミアムを獲得。 Column 3 タイムライン 令和8年8月13日 (薬価基準収載) 令和8年6月8日に製造販売承認を取得。日本発の革新的新薬として、費用対効果評価の対象外で薬価基準収載へ。

3.

治療の空白地帯:テロメライシン注が標的とするアンメット・メディカル・ニーズ cStageII・IIIの局所進行食道癌患者 根治切除 適応外 化学放射線療法 適応外 既存の根治治療の適応とならない患者群 テロメライシン注は、標準治療の適応から外れ、これ以上の治療選択肢を持たない患者に対する「最終パスウェイ」として機能する。

4.

プロダクト・アイデンティティ:テロメライシン注 基本情報 一般名:スラタデノツレブ 製造販売元:オンコリスバイオファーマ株式会社 分類 製品区分:再生医療等製品 本質:腫瘍溶解性・遺伝子組換えウイルス製品 指定制度 希少疾病用再生医療等製品 先駆け審査指定制度対象 制度上の位置づけ 革新的新薬価維持制度の対象 外国平均価格調整なし(世界初承認のため)

5.

作用機序:hTERTプロモーターを利用した腫瘍選択的殺細胞作用 1. 標的感染 遺伝子改変されたヒトアデノウイルス5型が細胞に感染。 2. 特異的起動 腫瘍細胞で高発現する「hTERT遺伝子」のプロモーターがスイッチとして機能。腫瘍内でのみ増殖遺伝子がオンになる。 3. 選択的増殖 正常細胞では増殖せず、腫瘍細胞の内部でのみウィルスが特異的かつ爆発的に増殖する。 4. 腫瘍溶解 増殖したウイルスが腫瘍細胞を物理的に破壊(溶かす)し、抗腫瘍効果を発揮。破壊後、放出されたウイルスが隣接する腫瘍細胞へ再感染する。

6.

レジメン設計:放射線療法との併用プロトコル 初回投与(Day 1) 第2回投与 第3回投与 放射線療法(1日2.0Gy、週5日、約6週間継続) Week 1 Week 2 Week 3 Week 4 Week 5 Week 6 投与手技詳細 手技:上部消化管内視鏡下で腫瘍に直接局所注射。 用量:通常1回1mL(最大2mLまで増量可)。 詳細:病変全体に行き渡るよう5~10か所に分割して注入。

7.

臨床的有効性:時間経過とともに深まる局所完全奏効(OBP101JP試験) 国内第II相試験(非盲検) / 対象症例数 N=37 / 比較対照なし 41.7% (15/36例) 投与開始後24週までのL-CR 50.0% (18/36例) 投与開始後18か月までのL-CR 副次評価項目である「嚥下障害(飲み込みにくさ)」のスコア改善も確認され、患者のQOL向上に寄与。

8.

Editorial Blueprint 薬価算定ロジック:類似薬効比較方式(I)の適用 新規製品 テロメライシン注 効き方が似た既存製品は存在するか? YES 比較薬の選定 第一三共:デリタクト注(テセルパツレブ) 類似薬効比較方式(I) 既存製品の価格を基準に、1連の治療(1クール)あたりの価格を同等に設定し、その後加算で新薬の価値を評価する手法。令和8年7月10日の薬価算定組織にて検討。

9.

コンパレーター分析:なぜ「デリタクト注」が比較薬となったのか? 比較薬:デリタクト注 新規製品:テロメライシン注 適応症 悪性神経膠腫(脳腫瘍) 局所進行食道癌 主成分 遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型 遺伝子改変ヒトアデノウイルス5型 共通の薬理作用 腫瘍細胞選択的殺細胞作用/抗腫瘍作用 剤形 注射剤 標的臓器やウイルスの種類は異なるものの、「増殖による腫瘍細胞選択的殺細胞作用」という中核的なメカニズムの共通性が比較薬選定の決定打となった。

10.

ベース薬価の算出:1クール(一連の治療)あたりの価格調整 デリタクト注 デリタクト注:1mL1瓶 1,431,918円 投与回数:4週に1回、最大6回 1クールの薬価 8,591,508円 (ここからデリタクトの加算相当額を控除した額が出発点) = テロメライシン注 テロメライシン注:投与回数 2週に1回、計3回 1クールの目標薬価をデリタクトの基準に合致させる。 逆算による加算前のテロメライシン1瓶(2mL)あたりのベース薬価 2,386,530円

11.

プレミアムの構築:3つの加算による+30%の価値評価 2,386,530円 有用性加算(II) 既存治療で不十分な患者群に対する放射線療法併用の効果、及び嚥下障害スコアの改善。 +10% 市場性加算(I) 希少疾病用再生医療等製品への指定。 +10% 先駆加算 先駆け審査指定制度の対象。 +10% 3,102,489円 最終算定薬価(2mL1瓶) ※1クール(3回)合計薬価=9,307,467円

12.

市場予測と戦略的示唆 ピーク時市場規模(10年度目):年間22億円 ピーク時対象患者数:年間241人 (オンコリスバイオファーマ社による予測) テロメライシン注の薬価算定プロセスは、日本の医療保険制度が「極めて高いアンメット・ニーズ(代替手段のない局所進行がん)」に対する「世界初の革新的アプローチ(hTERT標的遺伝子治療)」を、加算という形で最大限(+30%)に評価した教科書的事例である。 科学的イノベーションが、希少疾病指定や先駆け指定といったレギュラトリー戦略と結びつくことで、適切な商業的価値(プレミアム薬価)へと変換される構造がここに示されている。