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August 02, 26
スライド概要
令和8年度診療報酬改定「⑱ 情報通信機器を用いた精神療法の見直し」を図解。初診に係る566点の新設、施設基準に追加される休日・時間外の対応体制、算定の3条件、維持される多剤処方の制限までを整理し、届出・連携・体制の実務準備を解説します。
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オンライン精神療法に初診566点|令和8年度改定で要件はこう変わる
https://www.daitoku0110.news/p/online-psychotherapy-2026-revision
病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用
精神科クリニック経営者・病院事務長・自治体担当者向け エグゼクティブ・ブリーフィング オンライン精神療法 初診解禁の設計図 令和8年度診療報酬改定「Ⅲ-5-4-⑱」 の全貌と実務対応ロードマップ
「完全自由化」ではない。厳格な条件付きのパラダイムシフト。 新たな指針に基づき、オンライン精神療法における「初診」が遂に評価対象となります。 しかし、これは単なる規制緩和ではありません。 再診のみ 初診解禁 厳格な条件 566点の新設と引き換えに、 「行政連携」「保健師同席」 「時間外対応」という強固な セーフティネットの構築が 医療機関に求められます。
【Matrix A】診療報酬構造における「初診566点」の位置づけ 区分 対象枝番 点数 備考 再診(精神保健指定医) 1のハの(1)の① 357点 対面点数に代えて算定 再診(その他) 1のハの(2)の① 274点 対面点数に代えて算定 初診 1の口の(1)等 566点 対面点数に代えて算定 (※改定「⑪」と要セット確認) 注12の対象は「1 通院精神療法」のみ。「2 在宅精神療法」は対象外。 また、「口の(1)」の具体的類型は改定後の点数表で最終確認が必要です。
算定ロジック:対面点数からの完全置き換えと加算の制限 566点は、対面で行った場合の所定点数に「代えて」算定する構造です。 現行のオンライン評価(357点・274点)と同様のメカニズムを採用しています。 対面初診の所定点数 置き換え オンライン初診:566点 +✖加算(注3~5, 注7~11) ・置き換え算定:対面の点数+オンライン点数ではなく、566点のみを算定。 ・加算不可:注3から注5、および注7から注11までに規定する加算は、別に算定できません。 ・必須要件:地方厚生局長等への事前の届出が必須。
算定の壁(The Calculation Firewall):3つの絶対条件 「どの患者にもオンライン初診を行えるわけではない」のが最大の注意点です。 算定には以下の3つのゲートを全てクリアする必要があります。 566点 算定 医師の要件 オンライン再診精神療法に 十分な経験がある医師 による診察。 連携の要件 医療機関と行政との確固 たる連携体制の構築。 現場の要件 診察時、患者の側に保健 師等が同席している状況 +患者自身の希望。
対象者の絞り込み:アウトリーチ支援との連動プロセス 新設要件は、医療機関単独での集客を想定していません。行政の支援ルートに乗った特定の 特定の患者群のみが対象となります。 Step 1: ターゲットの発見 ● 未治療者、治療中断者、ひ きこもりの者等。 Step 2: 行政のアプローチ 保健所や自治体によるアウト リーチ支援の実施。 Step 3: オンライン初診への接続 行政の介入を経て、初めて医療機 関のオンライン診察へと繋がる。
三者連携ケアネットワーク(Tripartite Care Network) オンライン初診は、単なる「医師と患者の1対1の通信」ではありません。 行政の同席サポートと、緊急時のバックアップが構造的に組み込まれたネットワーク医療です。 画面のこちら側: 保健師等の同席が必須 (対象者への物理的 サポート)。 患者 + 保健師等 行政 自院(医師) 地域精神科病院 バックアップ: 緊急時、速やかに対面診療へ 移行できるルートの確保。
【Matrix B】 施設基準の引き上げ:急変時対応という新たな壁 令和6年度まで(現行) (1) 情報通信機器を用いた精神 療法を行うにつき十分な体制が 整備されていること。 令和8年度から(改定後) (1) 同左。 + (2) 休日及び保険医療機関の 表示する診療時間以外の時間 の対応等が可能な体制が整備 されていること。 届出ハードルの上昇。現在、オンライン精神療法の届出医療機関は全国で約150施設(R7.11 時点)にとどまります。この要件追加により、参入障壁はさらに1段階上がります。
決断ツリー:休日・時間外要件をどうクリアするか? 指針は、自院での24時間対応が難しい場合、地域の精神科病院を代替とすることを認めています。 自院で休日・時間外の急変に対応できるか? 【YES】 自院対応体制の明文化と届出 実施した医師自らが速やかに対面診療を行え る体制を院内で整備。 【NO】 地域の精神科病院との連携体制構築 平時からのバックアップ協定 地域の精神科病院と平時から十分な連携体制を確保し、 時間外・休日の対応を委ねる(※体制確保とみなされる)。
維持される規律:多剤処方への厳格な制限 初診が評価対象に加わっても、安全性を担保するための処方制限ルールは現 行から一切変更されず、そのまま初診にも適用されます。 1回の処方において、 3種類以上の抗うつ薬 又は 3種類以上の抗精神病薬 を投与した場合は、 算定できません。 この制限は、「向精神薬等の不適切な多剤・大量・長期処方は厳に慎む」とする指針の強い方針と完全に一致しています。
実務への落とし込み:今すぐ始めるべき3つの準備 01 届出 追加される施設基準(2)の 充足確認。既存の届出機 関も、2項目への対応と 再点検が必須。告示・ 通知発出後の様式確認 プロセスを策定する。 02 連携 保健所や自治体のアウト リーチ支援チームとの事 協議。診察時の「保健師 同席」をどのように実現 するか、運用フローを平 時から構築する。 03 体制 休日・時間外対応の方針 決定(自院 vs 地域病院 )。急変時に対面診療へ 速やかに切り替える手順 の院内マニュアル化。
The Access-Quality Balance (アクセス拡大と質担保の天秤) なぜこれほど複雑な条件が設定されているのか? それは、政策的意図が「単なるオンライン化」ではなく、 「質の高い精神科医療への安全なアクセス確保」にあるからです。 アクセスの拡大 (初診566点新設、 アウトリーチ対象者への接続) 質と安全の担保 (保健師同席、休日・時間外対応義務、 多剤処方禁止、再診経験) 566点という評価は、アクセスを広げるためのインセンティブであると同時に、地域医療連携への参画と重い責任を伴うトレードオフの構造を持っています。
結論:点数獲得から、地域連携モデルの構築へ 令和8年度改定における「オンライン精神療法(初診)」の 解禁は、限定的な条件下でのみ機能する精緻なシステムです。 成功の鍵は、要件の文面を追うことではなく、自治体や地 域の精神科病院といかに強固な「インフラ」を築けるか にかかっています。今こそ、自院の地域における役割を 再定義するタイミングです。 ※本資料は中医協資料(令和7年12月1日時点案)に基づきます。実際の運用は、改定に伴う留意事項通知および確定版指針