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June 18, 26
スライド概要
和歌山大学の「博物館教育論」にて使用したスライドです。
※一部削除
米澤樹さんは和歌山大学観光学部を卒業し、クリエソーラー四輪自転車や星空観察プロジェクトに参加しながら、みさと天文台の研究員や教育委員会の主事、公開天文台の運営に携わってきました。博物館実習を通じて展示企画や学芸員業務を経験し、学芸員資格取得が天文台職員への転職に役立ったことを語ります。また、学びと教育の違い・意義を自らの経験と哲学から考察し、好奇心・冒険心を育む社会教育施設の役割や、生涯学習の理念、教育基本法に基づく目的について説明します。最後に、星の名称が正式に認定されたエピソードや、プラネリウム史の紹介など、天文学と博物館教育が交差する具体例を示しています。
発表内容は報告者個人の見解に基づくものであり、発表者が所属する組織の公式見解ではございません。
また、内容に誤りがある可能性があります。ご了承の上閲覧ください。
よろしくお願いします
博物館教育論 米澤 樹
自己紹介 2
米澤 樹(よねざわ たつき) • 和歌山大学観光学部9期生※2019年卒業 • クリエソーラー四輪自転車プロジェクト • 競技スキー部 • 和歌山大学観光学研究科(専門職) 観光地域マネジメント専攻※2026年卒業 • クリエ 星空観察プロジェクト Astowa • 現在は「クリエサポーター」 3
米澤 樹(よねざわ たつき) • みさと天文台 研究員 • 紀美野町教育委員会 主事 • 日本公開天文台協会 理事 • 調査研究委員会 委員長 • サーバー維持管理委員会 • 公開公開天文台100周年記念事業委員会 • 公開公開天文台100周年史編纂WG • 米沢市観光大使 • 日本SETI研究会 事務局長 4
公開天文台100周年 • 日本初の公開天文台は1926年設置 • 倉敷天文台 • そこから100年 • 全国に公開天文台が • 現在では約300もあります! • 詳しくは • 「公開天文台100周年」で検索 5
博物館実習I みかんに関する企画展 テーマから考えて、役 割分担して、受講生み んなで作っていくのは すごく楽しかった。 学園祭みたいな感じ 8
博物館実習II • 実習先:みさと天文台 • どうせ行くなら今後体験できなさそうなとこ ろへ行こう • 学芸員の仕事について知れた Q:博物館実習で一番注目して学んだ方がいいことなど Q :博物館実習で一番注目して学んだ方がいい あれば教えてください。 こ となどあれば教えてください。 A:自分が学びたい・面白いと思ったことに注目 してみてください。 普段は立ち入れないところへ社会見学できる貴 重な経験 9
学芸員資格きっかけ • 最初は取れる資格がこれしかないし、取っとくかくらい • 特に夢がない。選択肢を増やすために取ることに • 途中でめんどくさくなり、挫折(就活時期) • 就職で使わないのに意味あるの?と思った • 尾久土さん(指導教官)に人生なにがあるかわからんし、取 れるなら取っときと言われ取得 →これがなかったら天文台職員にはなっていない 10
卒業後 • 地図会社へ就職 • 1年目は札幌営業所へ配属 • 営業、中小企業に電話かけまくり • 時には外周りも • 2年目は東京本社IoT事業へ配属 • 契約を結ぶ、交渉、不具合対応等 11
民間企業での博物館との関わり 地図の博物館をリニューアルに伴い、学 芸員の社内公募があった。 出典:自らを語らないゼンリンミュージアムの企業広報(電通報) 12
転職 • 3年目に縁があり、「みさと天文台」へ転職 • 転職するかどうかは非常に迷った • 最悪、再度転職ができる年齢 • 成りたくてもなれる職業ではない • 指導教員の勧めが大きい • 転職時に「学芸員」資格が有利になったかも。 • 肩書としては、「紀美野町教育委員会 主事」及び、 「みさと天文台 研究員」 • 現在に続く ※民間企業が嫌だったわけではない。むしろ楽しかった。 13
採用試験(みさと天文台の場合) • 公開天文台の専門職員として必要な知識を有し、子どもたちや一般住民への 天文教育普及活動に熱意があり、星空や望遠鏡等設備を利用した町の観光事 業にも真摯に取り組める方 • 視野を広く持ち、天文台や星空が、町の発展にどのように寄与できるかを常 に考え積極的に行動できる方 • 天文台や科学館等において星空観望会やプラネタリウム解説などの実務経験 (アルバイト等を含む)を有する方が望ましい • 大学等において天文学その他関連科目を履修している方が望ましい (1)第1次試験 • 論文試験:文書による表現力、課題に対する理解力及び伝達能力等についての記述試験 論文のテーマは試験会場で発表。(60分800字) • 口述試験:集団討論テーマは試験会場で発表。 (2)第2次試験(第1次試験に合格した方) • 口述試験:プレゼンテーション及び面接試験 14
星になりました。 • IAU: WG Small Bodies Nomenclature (WGSBN)にて2025/11/3に承認された • 提案者は東亜天文学会山田さん • 発見者は円館、渡辺さん 16
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「学び」と「教育」について 20
前提として これまで「学び」「教育」について学んだことはない 「観光学」のみ 一方で、教育を受けた経験は多い なので、ここからは私の考え 21
なぜ「学ぶ」のか • いい人生を歩むため • 他人からの評価(学校教育の延長) • 資格取得 • 楽しいから(遊び) • より良く遊ぶため • 例)スポーツ、料理教室など • 知的好奇心・冒険心(新しいことを知りたい) • 読書 • 研究 • 観光・旅行 22
好奇心・冒険心 • 生きる上で必要ないことも多い • 無駄な行為も多い • でも、なぜか知りたい/したい(知識を得たい) • ゴシップ、ニュース • 読書 • 研究 • 深海/宇宙探索 • 旅行/観光 • 推し活 • アテンションエコノミー 23
「学び」を共有する ≒ 「教育」 • 人間の特性の一つ「おせっかい」 • 人間には困っている人を助けたい • 学んで得た知識を共有したい • 例えば、「星のソムリエ」という資格 • 知ってハッピー、伝えてハッピー(ハッピー2乗の法則) 24
「学び」の共有≒ 「教育」の効果 • 知識が増える -> 深い考えができるように • 巨人の肩に乗る • より良い意思決定ができるように • より高度なことができるように • 失敗/成功の共有 • 法則の共有 • 利用法や実験結果の共有 25
星空をつくる機械 プラネタリウム100年史 #祝文庫化 #プラネタリウム 明石市立天文科学館 井上館長が執筆 プラネタリウムが流行った歴史が まとめられている。 26
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「教育」とは 28
教育とは何か この定義は難しい。 • 文字通りだと「教え育てること」 • 学習者にとって、より良い方向へ導くこと? • 役に立つ人を育てること?(例:社内教育) 辞書を引くと 「ある人間を望ましい姿に変化させるために、身心両面にわ たって、意図的、計画的に働きかけること。知識の啓発、技能 の教授、人間性の涵養などを図り、その人のもつ能力を伸ば そうと試みること。」 小学館「デジタル大辞泉」 29
教育とはなにか ひとつの見方ではあるが、 「誰かが意図的に、他者の学習を組織化しようとする」こと • 意図的に • 何かを理解して欲しい、学んで欲しい • 他者の学習 • 自分ではなく「他者」が学ぶ • 組織化しようとする • システム/制度化する 「おせっかい」の制度化 広田照幸(2009)「ヒューマニティズ 教育学」 30
教育の目的 第1条 人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成 者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号) 31
生涯学習の理念 第3条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ること ができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あら ゆる場所において学習することができ、その成果を適切に 生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号) 32
学校教育と社会教育 社会教育 学校教育 小学校(義務教育) 中学校(義務教育) 高等学校 その他 余暇活動 サークル 旅行・観光 趣味など 博物館 公民館 図書館 など 大学 生涯学習 33
社会教育施設の役割 • 「おせっかい」の制度化(教育)の一つ • 好奇心・冒険心を持った人に、 知識習得の手伝いをする施設 • 冒険の手伝い • つまり、旅行ガイドと同じ • 好奇心・冒険心を持ってもらうきっかけを作る施設 • 一方で来館者の目的はそれぞれ[1] • 「学習」「なんとなく」「暇だから」など [1]並木美沙子(2008)「博物館の利用者主体の教育論構築にむけて : 異文化理解を促す学習論の紹介と提案 (第Ⅱ部 展示における表象) 」『国立歴史民俗博物館研究報告』,140, p.169-183, 34
社会教育の特徴 • 自発性 • 「義務」教育ではない • 余暇利用の学習である(=楽しいから来る) • 多様性 • 指導要領があるわけではない • 年齢、職業、経歴/経験に制限がない • 実施団体や組織も多様である。 • 現実性 • 役に立つことが求められることが多い • 例)学習相談やレファレンス・サービス 大堀哲(2012)「教育とは何か」,大堀哲・水嶋英治『博物館学II-博物館展示論*博物館教育論』 35
まとめ • 「学ぶ」ことは、楽しい、知りたい気持ちが原動力 (好奇心や冒険心) • 「学び」により知識を得られる • 知識等の共有「おせっかい」 • 知識等の共有の制度化=「教育」 • 知的な「冒険のお手伝い」をする施設が社会教育施設 • 利用者は余暇の学習(楽しみに来る) 36
三軒茶屋星座館 シリーズ全4巻 #話に引き込まれる #感動 #ギリシャ神話 ギリシャ神話を小説の話とリンクさせて今風に 変えたようなお話。 星座の神話に興味があるけど、神話の本を読 むのはしんどいなと思っている人は必見!! 37
火星の人 #映画の原作 #面白い #SF #世界的ベストセラーラノベ 映画「オデッセイ」の原作 日記調で、ユーモアがあり、非常に読みやす く、面白い。 アンディーウィアーの他の本もおすすめ!! 38
みさと天文台について 39
紀美野町星の動物園条例 星の動物園は、次に掲げる事業を行う。 1. 住民が宇宙を中心とした豊かな自然環境の中で正しい自然観を吸収し、 情緒豊かな人間形成を目指す事業 2. 天文及び宇宙に関する調査、研究及び資料等の刊行並びに公開事業 3. 住民を対象に天体観望会を開催し、天文学の普及及び指導を行う事業 4. 住民講座、研究会、学会等を開催する事業 5. 全国の公開天文台や関連の学会等の関係機関と連絡し、協力する事業 6. 前各号の事業を含め、星の魅力を発信するため、宿泊の場を提供する 事業 40
紀美野町星の動物園条例施行規則 2 研究員は、次に掲げる職務を行う。 1. 天文及び宇宙に関する調査、研究及び資料等の刊行並びに公開 に関すること。 2. 住民を対象に天体観望会を開催し、天文学の普及及び指導に関 すること。 3. 住民講座、研究会、学会等の開催に関すること。 4. 全国の公開天文台や関連の学会等の関係機関との連絡及び調整 に関すること。 5. 友の会の運営に関すること。 41
みさと天文台 紀美野町立の天文台 1995年開館 初代台長は尾久土 正己 元指導教員、元和歌山大学 副学長 現奈良県立大学 学長 和歌山県最大の望遠鏡を有する 全国の公開天文台では8位 42
天の川 43
大型望遠鏡 44
プラネタリウム 45
タイムスケジュール 予約 開始時間 プラネタリウム・ライブ解説 要 3Dによる宇宙の旅 月 火 水 木 金 土 日・祝 14:30 〇 〇 ※1 15:30 〇 〇 全天周映画 要 16:30 〇 〇 星空ツアーNeXT 1回目 要 19:30 〇 〇 〇 星空ツアーNeXT 2回目 要 20:30 〇 〇 休館日 〇 ※1「プラネタリウム・ライブ解説」か「全天周映画」のどちらかへ参加のお客様のみ、「3Dシアター宇宙の旅」 (無料)にご参加頂けます。 ※6・7月は全ての時間が上記より30分遅くなります。 46
星空ツアー解説 47
プラネタリウム解説 48
私の大事にしていること お客様に星空を通して「学びの楽しさ」を伝えること。 ※このことは教育・観光で共通している。 49
「学びの楽しさ」のために • 「きれい」だけでは不十分 • その天文学的な背景知識を話す • 一方で、「楽しさ」がないと「学び」にならない • 知識ばかりでは面白くない • 教科書的でつまらない • 楽しくないとリピートしてもらいにくい • バランスが重要 • 実際にはかなり難しいこと 50
星座案内 属性・要望 天気 星団・星雲 望遠鏡 何をどれだけみて、 何を話すのか、組み合わせ、順番を 編集する(=キュレーション) 双眼鏡 教育・知識 月•惑星 お客様に星空を通して「学びの楽しさ」を伝える 51
お客さんが求めていること 5.00 4.50 4.00 3.50 3.00 みさと天文台にて、 2.50 期待していたことを調査 2.00 結果が右図 1.00 1.50 0.50 0.00 図1 みさと天文台に何を期待していたか 吉田芽生(2023)「星空観光に求められるもの」令和2年度和歌山大学観光学部卒業論文 52
実例で考えよう 53
来館者A:家族づれ • 父、母、兄、妹の4人 • 母は子どもに、星座や月の満ち欠け を勉強して欲しいと思っている • 子どもはある程度興味がある 【結果】 • 親は子どもに学ばせたい • 子どもたちは、まあまあの反応 • 休みの思い出の一つ 54
来館者B:家族づれ • 父、母、子の3人 • 子どもが興味があるから連れてきた • 父も元々天文好き 【結果】 • 子どもも、親も、興味があるので、 とてもいい反応 • 意外と一番興味がなかった母が 興味を持ち始めて、一番質問をしてくれる 55
来館者C:家族づれ • 父、母、姉、妹の4人 • 母が来たかったから来た 【結果】 • 母の反応がとても良い • どんどん質問をしてくる • 子どもたちも話は聞いていて、 興味を持ちそう • 家でも星を見ようと言って帰った 56
来館者D:年配のグループ • 年配のグループ6人 • いろんなところを旅行している • 天文が好きという訳ではない 【結果】 • 天文も面白いと興味を持ってくれる。 • 質問もどんどんしてくれる 57
来館者E:大学生カップル • 大学生のカップル2人 • 彼女が星が見たいと言って来た 【結果】 • 綺麗な星を見て満足 • 癒されたと言っている • 質問はしていない 58
来館者F:ひとり • 若い男性 1人 • 星を見るのが好き • 星空の写真を撮ってみたい 【結果】 • 解説を聞いて頷いている • 質問はしていない • 一人で写真を撮っていた 59
来館者G:家族づれ • 父、母、子の3人 • 子どもが興味があるから連れてきた • 父も元々天文好き 【結果】 • 子どもも、親も、興味があるので、 とても良い反応 • 質問までしてくれる • (後日談)天文台で星雲に感動したことがきっかけで 星空をたびたび見るように。そのまま天文学を勉強することに • 国際天文学オリンピック出場->東京大学入学 60
来館者H:教育長グループ • 教育長(教育委員会のトップ)30人 • 元校長たち 【結果】 • 反応が薄い • 話を聞いてくれるが、学びになっているか不明 • 目的は、それぞれの市町村の学校に紹介してもらうことで はある。 61
番外編:博物館教育論受講生 • 和歌山大学の学生 40名 【結果】 62
ここまでの話は来てくれてた人の結果 下記はプラネタリウムの結果だが、 「プラネタリウムへ行きたい」と回答が多いのは「大学・大学院」と高学歴 澤田幸輝ほか(2025)「科学技術への関心度を踏まえたプラネタリウムへの訪問意欲層の予備的考察 63 一般市民を対象としたweb調査の分析から」,『日本ミュージアムマネジメント学会研究紀要』,30,p171-174
まとめ 64
まとめ • あくまでも冒険の「お手伝い」しかできない • 人生を変えるきっかけとなることは少ないし、 基本、測定できない • ニーズも、その反応も人それぞれ • 基本は「来てくれた人」しか対応できない。 • 天文に限らず、「学び」は楽しいはず • 皆さんも知的な「冒険」に出ませんか? • 周りにも「お手伝い」をしてくれる人は多くいるはず。 65
最後に アルバイト、インターンシップ、博物館実習大募集 お気軽に相談、雑談、質問大歓迎です。 66
おまけ:参考 67
教育の目的 第1条 人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成 者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号) 68
生涯学習の理念 第3条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ること ができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あら ゆる場所において学習することができ、その成果を適切に 生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号) 69
教育の目的 • 技能を身につけ、職業人のための教育 • 余暇を利用して学問教養を身につけることを楽しむ • 人生を楽しく、幅をもたせるような学問をすること • 実用には向かなくとも、物事の原理、真理の探究が大切で ある。 • 人格を高尚にする、円満な人間を育てることである。 新渡戸稲造(1970)「新渡戸稲造全集 第5巻」,教文社 70