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January 19, 25
スライド概要
◆徹夜必至につき閲覧注意の「〇見え通信」https://linktr.ee/koizumikazuma◆長野市議4期◆自称スーパー無所属◆情報公開徹底◆市民第一主義◆主著「長野県庁の『不都合な真実』」は平安堂ランク最高2位◆元長野県庁職員◆大北森林組合事件で住民監査請求成功◆一軒の苦情で!? 青木島遊園地廃止に大反対◆URLまとめhttps://bit.ly/m/kazuma◆以前使っていた資料公開サイトhttps://www.slideshare.net/kazumakoizumi1/documents
長野市事務処理の在り方検討委員会 検討結果報告書 令和6年 11 月 18 日 長野市事務処理の在り方検討委員会 (青木島遊園地廃止関連)
目 次 1 検討の経過・目的 2 庁内検討委員会での指摘・論点整理 3 外部委員による調査・検討 4 指摘事項と課題認識 5 今後の事務処理の在り方の方向性と取組 6 継続的な取組体制 7 長野市事務処理の在り方検討委員会(青木島遊園地廃止関連)(委員名簿) ( 添付資料 ) 〇長野市事務処理の在り方検討委員会(青木島遊園地廃止関連)外部委員検討委員会 検討結果報告書 令和6年 10 月 10 日
1 検討の経過・目的 本市は、地元要望により民有地を借地し平成 16 年4月に青木島遊園地を設置した が、令和4年2月に遊園地廃止の方針を決定、令和5年4月に廃止した。しかし、遊園地 の廃止については、住民などから、「地元に十分な説明がないまま廃止が決定された。」 など、廃止の決定に至る手続や進め方を疑問視する声が本市に寄せられ、また、報道で も取り上げられた。 本市では、青木島遊園地の設置から廃止に至る一連の経過を振り返り、当時の事務 処理の手続等を点検し課題を洗い出すとともに、適正な事務処理の確保を図るため、 「長野市事務処理の在り方検討委員会」を令和5年7月に設置。本件に関係する本市部 局長等を委員に充て庁内検討委員会として検討を進めた。また、専門的な知見のある 外部の人材からの意見が必要であるとし、3人の学識経験者を庁内検討委員会からは 独立した立場の外部委員として委嘱した。 第 1 回庁内検討委員会では、今後の検討の方向性や検討に当たっての視点を整理・ 確認し、これまでの経過をあらためて確認するとともに、第4回では、一般的な事務手 続と比較し、本件の事務手続に対する疑問点や問題点を取りまとめた。 また、外部委員による検討委員会は、令和6年3月から5回にわたり開催。独任制のも と調査・検討が行われ、改善すべき事務の課題、再発防止に向けての提言等が記載され た検討結果報告書が、同年 10 月 10 日に委員長へ提出された。 外部委員からの指摘事項・提言内容を踏まえ、庁内検討委員会では、本件の事務処理 に加え、本市の他の事業等の中に本件事案に類似する事例があるかについても調査を 実施。調査結果から指摘事項と課題を認識し、今後の適正な事務処理の確保に向け本 市事務処理の在り方の方向性を定めるとともに、課題解決に向けた具体的取組項目を まとめた。 本報告書は、今回の教訓を生かし適正な事務処理の確保を更に図るため、全庁を挙 げての継続した取組を目指すものである。 1
委員会の開催日程及び議題は次のとおり 開催日 (令和5年) 報告事項・審議事項 (1)検討委員会設置について ・要綱(案)の確認 (2)検討の方向性、視点等について 第1回 7月 26 日 ・これまでの経緯と検討委員会の目的を確認 ・検討の方向性を確認 ・主な視点を確認 ・次回の検討委員会の内容を確認 ・今後の進め方を確認 第2回 9月 29 日 外部委員の人選について(了承) 青木島遊園地の廃止に至る経過について 第3回 10 月 25 日 ・青木島遊園地の廃止に至る経過の確認 ・経過の疑問点、意見等の確認 青木島遊園地の廃止に至る経過について 第4回 11 月 27 日 ・遊園地の廃止決定に係る事務手続等の確認 ・廃止手続に係る指摘等調査票を確認 ・市の主な手続を確認 (令和6年) ・会議の取扱いについて 3月 14 日 ・外部委員からの意見・質問について 第2回 5月 29 日 青木島遊園地の設置から廃止に至る経過について 第3回 7月 18 日 青木島遊園地の設置から廃止に至る経過について 第1回 外 部 委 員 会 青木島遊園地の設置から廃止に至る経過について 第4回 8月 29 日 ・これまでの検証の振り返り(検討結果(案)の確 認) 第5回 10 月 10 日 検討結果報告 外部委員からの検討結果報告について 第5回 10 月 22 日 ・外部委員からの報告書の内容確認 ・今後の庁内事務処理の在り方の検討 第6回 11 月 12 日 ・事務処理の改善に向けた具体的取組について ・報告書のまとめ 2
2 庁内検討委員会での指摘・論点整理 第1回から第4回の庁内検討委員会では、庁内の一般的な事務手続と比較して、本件 の事務手続に対する疑問点や問題点を指摘事項としてまとめ、論点を整理した。 また、本件については、上司への報告の在り方が課題の一つであることから、不特定 多数の市民が関係する又は利用する事業等について、市長までの事前の相談・報告を 経ず、担当課の中で事業等の開始(又は設置)、変更、廃止を決定している事業等が あるかを調査した。 (1)本件の事務手続に対する指摘事項及び論点 指摘事項(キーワード) 論点 1 内規について ・ 内規自体が適切であったかの問題 ・内規の取扱いは条例に準 ・ 内規作成時の議論も含め検討不足 じているのか。内規の内 ・ 内規自体が今回の事態に即した決裁区分ではなかっ 容を精査し、遊園地の廃 た。 止の基準・手続を含め改 ・ 条例に定められていない遊園地を所管し、維持管理 正の必要がないか。 をしている。 ・ 廃止基準があいまい。 ・遊 園 地 につい ては 、条 例 ・ 遊園地の設置や管理・運営、廃止の手続について明 等で手続を定めるべきで 記してあったのか。また、それが適正であったのか。 はないか。 2 決裁について ・ 長野市事務決裁規程において、各部局の個別専決事 項について見直しがなされていない。 ・必要に応じて個別専決事 項の見直しを行い、業務 に誤りが生じないよう、内 部 統 制が効くような決 裁 ルート(手 続 )にすべき で はないか。 3
指摘事項(キーワード) 論点 3 市長・副市長への相談・協議について ・ 市民生活に影響のある案件は、計画段階から市長や ・協 議 ・ 情 報 共 有 の タ 副市長へ報告や相談を実施し、条例に定める施設で イミ ン グの 標 準 的 な あるかに関わらず市長への報告等は実施されるべき 考え方を明示すべき である。 ではないか。 ・ 廃止を決定する際に、事前の相談や協議が抜け落ち ・組織的に対応するル ている。 ・ 部長に報告がないのは、施設の廃止の観点から問題 がある。 ールを作るべきでは ないか。 ・管 理 ・監 督 職 の留 意 事項を示すべきでは ないか。 ・上司等への情報の提 供を徹底する必要が あるのではないか。 4 手順について ・ 関係他部局との連携をどう担保していたか。 ・地区等の関係者への ・ 慣例によらず、廃止に至る経緯によって、事務手続 説明の手順を整理す や手順を丁寧な形に変えて対応する必要があった。 る必要があるのでは ないか。 ・庁内の各部局からの 広い視点で連携を図 る必要があるのでは ないか。 5 愛護会について ・ 遊園地を利用できない状況や愛護会の引き受け手 ・代替策を検討する余 がなくなったことは、廃止の判断に向かう上で納得 地はなかったのか。 感はあるが、何か状況を改善する解決に向けた動き (代替公園の確保等)はしたのか。 4
指摘事項(キーワード) 論点 ・ 地区区長会からの要望が廃止の理由の全てとは考 ・地 区 ・住 民 と市 の 責 6 地区について えにくく、地区区長会としては責任を転嫁されたと 任 の 分 担 を 整 理 す べ 感じたのではないか。 きではないか。 7 報道対応について ・ 新たな事実が報道 により発覚 しているように感じ る。 (2)市長までの事前の相談・報告を経ず、担当課の中で事業等の開始(又は設置)、変更、 廃止を決定している、本件と同様の事業等の取扱い 1 決裁について ・ 要綱等に基づかない事業等があったとしても、事業開始、廃止に当たっては、 起案により最低でも部長決裁 2 統合・廃止時の課題について ・ 条例、規則等に規定されていない施設は、設置時よりも廃止時に問題が起き やすいという認識を持つ必要がある。 ・ 統合や廃止する場合に、内部手続の適正さや地域住民、施設利用者等の合意 形成の在り方などが課題となる。 5
3 外部委員による調査・検討 3人の外部委員による検討委員会が計5回開催され、専門的な知見をもとに、指摘・ 提言事項が記載された検討結果報告書が令和6年10月10日に委員長へ提出された。 外部委員 石津 廣司 全国市長会顧問弁護士 栗田 晶 信州大学経法学部総合法律学科教授 青木 弘 元長野県職員 ■外部委員検討結果報告書 (別添参照) ◇主な指摘・提言事項(項目抜粋) 「今後に向けて」 (1) 設置手続 ア 遊園地の適地性の考え イ 遊園地設置前の住民への説明 (2) 管理・運営 ア 庁内での情報の共有 イ 関連機関との連携 ウ 記録の保存 (3) 廃止手続 ア 決裁権者 イ 上司への報告・庁内への情報共有 ウ 住民への説明会 エ 遊園地の廃止理由 6
4 指摘事項と課題認識 庁内検討委員会では、①ルールや手順の明文化がされていなかったこと、②庁内での 情報共有が不足していたこと、③住民への説明責任と合意形成の在り方などについて 指摘があり、更に外部委員からは、②に関係機関との連携不足が指摘されたほか、新た に④情報発信と個人情報についてなどの指摘と全体を通じての提言があった。 これを踏まえ、庁内検討委員会において、これら4つの視点による遊園地設置から管 理・廃止に至る一連の事務処理及び各委員が担当する業務の事務処理について改善事 項の調査を実施し、調査結果から次のとおり指摘事項と課題を再度整理した。 ① ルールや手順の明文化がされていなかったこと ア 内部手続 遊園地の設置から管理、廃止に至る一連の経過において、ルールや手順に不備が あった。 施設の設置及び統合、廃止をする場合に、内部手続や地域住民等の参画(意見聴 取等)の在り方などが課題とならないよう不足する基準や手続を明確にする必要が あった。 イ 決裁権者 長野市事務決裁規程上「公園の土地使用及び工作物設置許可」は部長決裁である。 一方で遊園地が条例に基づく施設ではないとはいえ、その廃止は課長決裁で決定し ており、市民にとって重要な施設であるといった事案の重要度が考慮されていなか ったと言わざるを得ない。 組織としての意思決定の手順を明確にするため、事務決裁規程に個別専決事項 の見直しが必要かを検討し、決裁権者(手続)を明確にする必要があった。 ② 庁内情報共有と地域や関係機関等との連携が不足していたこと ア 上司への報告と情報共有 組織的に仕事に取り組む上では組織における情報共有が不可欠であり、遊園地廃 止に係る情報を上司に伝えるタイミングが遅すぎた。また、庁内関係課との情報共 有や連携が不十分であった。また、広く市民に影響を及ぼす可能性のある施設の廃 止や利用形態の変更について、速やかに市長や副市長の指示を仰ぎ、庁内の情報共 有と組織的な対応が進むような標準的な考え方が不明確であった。 7
イ 地域組織や関係機関等との連携 遊園地管理の一連の過程で、地域組織(区長会等)や関係機関等との連携が取ら れていれば、愛護会活動等の負担を軽減できた可能性があった。また、主な利用者 である子どもの声を聴いていないなど、配慮すべき事項に不足があった。 市の役割や関わり方(連携や協働)については、地域の状況や施設の利用者等に 配慮しながら、市民の意見や主体性を尊重しつつ、事案ごとに慎重な対応が必要で あった。 ③ 住民への説明責任と合意形成の在り方について 遊園地利用者はもとより、近隣で生活している住民への配慮として、住民説明の 重要性について認識が不足していた。 まちづくりにできるだけ多くの地域住民の声を生かすためには、地域組織や地域 住民等の合意形成に向けた標準的な手順を明確にしておく必要があった。また、行 政が施策を決定する場合には、説明責任を果たすためにエビデンス等をもとに合理 性のある説明が必要であった。 ④ 情報発信と個人情報について 遊園地の廃止について市が行った住民説明会等では、廃止に理解を得る十分な 説明に至らなかった。 個人情報の取扱いについても、個人の特定につながる結果となり、配慮が不足し ていた。 市民へ行政情報を正確かつ適時に伝えるために、目的や対象、内容など、発信す る情報を明確にしておく必要があった。また、個人情報の取扱いについて、適切な運 用と職員の意識付けを徹底する必要があった。 8
5 今後の事務処理の在り方の方向性と取組 指摘事項と課題認識から、今後の事務処理の在り方の方向性を定め、課題解決に向 け必要な具体的取組項目を次のとおりまとめた。 (1)庁内ルールや手順の明文化と市民との共有 不足する事務手続のルールや手順を作成するとともに、市民に影響のあるルールは 公表等により、市民と行政で必要な情報の共有を進める。 具体的取組項目 1 取扱い基準や手順の明確化 (取組内容) 施設等の設置、管理、廃止の基準や手順等を定め、徹底する。 ①遊園地等設置における適地の基準設定 ②公園(遊園地)、観光及びスポーツ施設等の設置や管理、廃止の手順等 の作成 ③公園(遊園地)等施設利用に係るトラブルへの対応手順の作成 具体的取組項目 2 事務決裁規程の専決事項の見直し (取組内容) 事案の重要度に応じた適切な決裁区分(決裁権者)を検討し、見直す。 (2)庁内情報共有と情報発信 上司への必要な報告や庁内関係部局間の情報共有を徹底できるよう、職員の意 識改革を進める。 また、必要な情報を適時市民へ情報提供するとともに、住民への合理的な説明等 により説明責任を果たす。 記録の管理と情報公開の適切な運用に努め、個人情報の取扱いに十分配慮する。 具体的取組項目 3 市民への説明手順の作成及び広報活動の見直し (取組内容) 施設等の設置や廃止など、市民への影響が大きい案件については、重要度に 応じた説明手順を作成するとともに、広報の在り方を見直す。 9
個人情報への配慮を徹底するための重要なポイントを明確にし、職員研修等 で周知を図り、理解を深める。 ①説明手順の作成 ②広報活動の手引の見直し 具体的取組項目 4 文書管理(文書の整理、保存、保管及び廃棄)の徹底 (取組内容) 「長野市行政情報取扱規程(第 44 条保存年限)」及び「文書分類・保存年限 決定の手引」による文書の適正な管理のために、留意すべき重要なポイントを 職員研修等で周知を図り、理解を深める。 ①施設管理状況等の記録の保存 具体的取組項目 5 個人情報の取扱いに係る留意点等の遵守 (取組内容) 個人情報の適切な取扱いについて、個人情報が特定される事態を招くこと のないよう、留意すべき重要なポイントを職員研修等で周知を図り、理解を深め る。 (3)地域や関係機関等との連携と合意形成に向けて 地域における公益的な取組として住民が主体的に行う事柄への行政の関与の在 り方や関係する機関等との関わり方を検討し、行政として積極的な連携に努める。 特に、施設等の設置や廃止に当たっては、設置している地域の組織や住民、施設 利用関係者等との十分な対話に努める。 具体的取組項目 6 地域住民や関係機関等との合意形成に向けた連携 (取組内容) 施設等設置や廃止時において、地域住民や関係機関等との合意形成を図る 上で本市が行う事務手順を明確にする。また、市と地域住民や関係機関等との 役割分担のもとで連携を進める。 ①地域住民や関係機関等との情報共有の在り方 ②地域住民や関係機関等との協力や連携が必要な場合の行政の関わり方 10
③(施設設置時)地域住民の具体的な要望に対する行政の関わり方 ④(愛護会の存続等)地域活動と地域が抱える課題への行政の関わり方 ⑤住民に影響を与える施設の設置や廃止における住民への事前説明及び 意見聴取 具体的取組項目 7 子どもに係る施策における配慮 (取組内容) 子どもに係る施策の策定及び実施等において、子どもの権利条例の制定等 の動向を踏まえ、具体的手順(手続)を定める。 ①子どもに関わる施設への子どもの声や希望を反映させるための取組 6 継続的な取組体制 取組の方向性のもとに、不断の見直しを進め、本市において事務処理の適正化を図 るために設置している「長野市事務処理適正化対策委員会」において、定期的に取組内 容等を確認する。 7 長野市事務処理の在り方検討委員会(青木島遊園地廃止関連) 委員長 西澤雅樹副市長 委 松山大貴副市長、丸山陽一教育長 員 総務部長(副委員長)、企画政策部長、財政部長、地域・市民生活部長、 保健福祉部長、保健所長、こども未来部長、環境部長、経済産業振興部長、 観光文化部長、スポーツ部長、農林部長、建設部長、都市整備部長、 会計局長、教育委員会事務局教育次長(行政担当・教育担当) 11
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検討結果報告書 令和6年 10 月 10 日 長野市事務処理の在り方検討委員会(青木島遊園地廃止関連) 外部委員検討委員会 委員 石津廣司 委員 栗田 晶 委員 青木 弘
目 第1 次 調査・検討の概要 1 外部委員会設置の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 本委員会の構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 3 調査・検討の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 4 調査・検討期間・調査・検討範囲・調査・検討方法等・・・・・・・・・・1 5 本委員会の活動、委員会開催経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 第2 1 検討結果 「遊園地設置」について(ステージ1)・・・・・・・・・・・・・・・・・3 2 「遊園地への要望に対する対応」について(ステージ2) ・・・・・・・・・・4 3 「遊園地愛護会への対応」について(ステージ3)・・・・・・・・・・・・6 4 「公園緑地課による遊園地の廃止決定」について(ステージ4)・・・・・・7 5 その他の検討事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 6 今後に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
第1 調査・検討の概要 1 外部委員会設置の経緯 長野市は、青木島遊園地廃止を令和4年に決定したが、住民などから地元に十分 な説明がないまま廃止を決定したことなどの指摘を受け、市では事務の手続及び進 め方等の課題の検討を行うこととした。 市では適切な事務処理の確保を図るため長野市事務処理の在り方検討委員会が 設置され、令和5年9月 29 日の第2回同検討委員会において中立性を確保しかつ 専門的な観点からの調査・検討が必要である旨判断に至り、外部委員による検証を 行うことが決定された。 令和6年3月 14 日に第1回外部委員検討委員会(以下、外部委員検討委員会を 「本委員会」という。 )において専門委員3人が委嘱され、当該案件について調査・ 検討をすることとした。 2 本委員会の構成 本委員会の構成は以下のとおりである。 3 石津 廣司 全国市長会顧問弁護士 栗田 晶 信州大学経法学部総合法律学科教授 青木 弘 元長野県職員 調査・検討の目的 本委員会は当該案件の事務手続及び進め方の調査・検討を行い、改善すべき事務 の課題を明らかにし、再発防止に向けて本市に提言を行うことを目的とする。 本委員会は、あくまで中立・公正な立場から、上記目的のために検証を実施する ものであり、関係者の処罰を目的とするものではない。 4 調査・検討期間、調査・検討範囲、調査・検討方法等 (1)調査・検討期間 令和6年3月 14 日~令和6年 10 月 10 日 (2)調査・検討範囲 ア 調査・検討の対象 本委員会は、本市及び事務を担当した本市公園緑地課の事務手続及び事 務の進め方等を調査・検討の対象とした。 イ 調査・検討の対象期間 平成 13 年 10 月~令和5年4月 30 日 ※青木島遊園地設置の市長への陳情を調査・検討の対象期間の始期と し、当該遊園地の廃止日を終期とした。 1
(3)調査・検討方法 本委員会は、市から開示を受けた資料及び市への確認を求めた事項の回答に 基づき調査・検証を実施した。 (4)現地視察 本委員会は、令和6年5月 29 日に青木島遊園地跡地周辺の現地視察を行っ た。 5 本委員会の活動、委員会開催経過 本委員会の開催日程および審議、報告した事項は次の表のとおりである。 報告書は、当該遊園地の設置から廃止後の経過までの一連の経過をステージ毎に 検討状況を整理し検証を行った結果である。 本市においては、これらの報告を十分吟味され、適切な事務処理の確保を図るこ とを要望するものである。 第1回 開催日 報告事項・審議事項 令和6年3月 14 日 会議の取扱い、一連の本市事務手続に関する論 点整理、今後のスケジュールを含めた委員会の進 め方についての協議 第2回 令和6年5月 29 日 当該遊園地の設置から廃止に至る経過について の事実確認(主な協議) ・住民への説明責任と合意形成 ・規定や内規の取扱い ・事務処理の取扱い 第3回 令和6年7月 18 日 当該遊園地の設置から廃止に至る経過について 事象別に事実を確認 遊園地設置から廃止までの一連のルール作り等 について提言に向け議論 第4回 令和6年8月 29 日 これまでの検証の振り返り 今後に向けた論点整理 第5回 令和6年 10 月 10 日 検討結果の確認 委員長へ検討結果の報告 第2 検討結果 2
「長野市事務処理の在り方(青木島遊園地廃止関連) 」についての 検討結果 長野市事務処理の在り方外部委員検討委員会(以下、 「外部委員検討委員会」とする。 )では、一連 の経過を、⑴遊園地設置、⑵遊園地への要望に対する対応、⑶遊園地愛護会への対応、⑷公園緑地課 による遊園地の廃止決定、⑸廃止の公表後、⑹廃止についての市長判断、⑺その後の経過の各ステー ジに整理しつつ、特に⑴から⑷のステージについて事務処理の在り方に関する検討を行った。 ⑸⑹⑺の各ステージは、主として市の政策判断に関わるステージであり、市の事務処理の在り方に ついて検討するという本委員会の趣旨からは逸れる部分も多いため、必要な範囲での検討に留める。 ⑴から⑷の各ステージの概要と検討状況は以下の通りである。 1 「遊園地設置」について(ステージ1) ⑴ 概要 青木島遊園地は、隣接する児童センターと併せて、地元区の提案により計画された施設であ る。主に、児童センターと保育所の児童の利用に供することを目的として、平成 13 年度の市長 への要望を受け、平成 15 年 4 月 1 日に地主より土地を借入れ、平成 16 年 4 月に開設された。場 所の選定や用地交渉、近隣住民への説明等は地元主導で進められた。 青木島遊園地の開設は、当初、児童福祉課(現こども政策課)の関与の下で進められ、その後 公園緑地課の所管となったが( (土地賃貸借契約は公園緑地課所管の下で行われた) 、公園緑地課は、 遊園地設置の際の近隣住民への説明や合意形成等には主体的には関与していない。 ⑵ 検討状況 外部委員検討委員会では、主に、次のア、イ、ウのことが検討された。 ア 青木島遊園地設置に係る手続の適否 青木島遊園地は、地元からの要望で設置された施設であり、公園緑地課は、遊園地設置に係 る手続を定める内規も欠く状況で受動的に要望されるままに設置を進めてしまった。しかし、 市としては、設置が適切であったか否かについて検討する必要があり、その前提として、どの ような場所を遊園地の設置に適切な場所とするのかを明確にする必要があったとの方向性が示 された。 また、 公園緑地課にも遊園地設置の適否について責任のある判断が求められる一方で、 市民が主体的に街づくりに参加するのは望ましいため、市民の主体性を損なわないように配慮 する必要があることも示された。 イ 住民への説明責任と合意形成の適否 遊園地設置段階での住民説明の際に説明を受ける住民の範囲が限られており、これが後に遊 園地に対する不満として顕現しているとも考えられる。市としては、地域の生活環境が変わる ことについて設置者と地域住民で情報共有するとともに合意形成が必要だったとの方向性が示 された。 3
この点に関しては、概ね委員の間で見方は一致しているものの、以下の点で、やや異なる見 方が示された。 (ア)市は、近隣住民を含む地区への説明と合意について、地区の誰がどの範囲にどのように 行ったかを確認する必要があった。仮に市が、住民説明を不十分と認識したのであれば、 地区や関係課と協力・連携し、地区の合意形成に努めるべきであったのではないかと考 えられる(青木委員、石津委員) 。 (イ)遊園地設置の際の近隣住民への説明は区が行っており、 (不十分な説明すら)市によって は行われていなかったことに問題がある。公園緑地課は、待ちの姿勢ではなく地域住民 の合意形成が十分に図られるよう主体的に説明会を開催すべきだったと考えられる (栗田委員) 。 ウ 公園設置に関するルールの明確化の必要性 上記ア、イは何れも公園設置の手続が明確に明文化されていなかったことによるものでもあ るため、公園設置のための手続を確立するとともに、内規又は手順書などとして明文化する必 要があるとの意見が示された。その後、設置の基準については、 「地元要望による公園等設置基 準(内規) 」 (平成 17 年 4 月 1 日施行)が作成され、一部対応がなされたことが確認された。 しかし、設置基準のみではなく、設置の手順全般について記載したものを作成する必要があ るのではないか、形式は内規でよいのかなど検討すべき点は残されており、ルールに盛り込む べき内容やその形式について引き続き検討を行う必要があるとの方向性が示された。また、内 規は職員は知っていても、住民に知らされるわけではないが、むしろ作った規定を住民に公開 し、遊園地を設置するルールを明示することが重要であることが指摘された。 2 「遊園地への要望に対する対応」について(ステージ2) ⑴ 概要 青木島遊園地は、児童センター、保育所、小学校からアクセスしやすい立地にあり、40~50 人の児童が一斉に遊ぶこともあった。また、上記児童以外の近隣住民の利用者もあった。その過 程で、ボールの宅地への飛込み、話声や花火による騒音などの事象が発生しており、公園緑地課 は平成 16 年の開設当初より、近隣住民からその対応を求められるなどしていた。 公園緑地課は、次のア、イの対策を行いつつ、関係者との間で遊園地利用の制限緩和の可能性 を探る協議を継続した。 ア 内規の制定 「地元要望による公園等設置基準(内規) 」を作成し、地元区及び隣接者の同意を得ること を盛り込んだ再発防止策としての基準を設けた(平成 17 年 4 月 1 日施行) 。 イ 要望への対応 近隣住民の要望を受け地元区長の了解のもと平成 20 年度には、看板の設置(ボール遊び・ 花火の禁止の明示等) 、公園入口の移動、樹木の植え替え、公園灯の点灯時間短縮などの対応 をした。 なお、その後の遊園地の利用状況について、客観的な記録は残されていないが、愛護会との 協議録には、騒音への配慮から使用されていないなどの記載も見られる。児童センターが利用 していた状況は窺えるが、利用頻度は減少していたことが推測される。 4
⑵ 検討状況 外部委員検討委員会では、主に、次のア、イ、ウのことが検討された。 ア 市の関係者による情報共有の要否 児童センター、保育所、小学校がそれぞれ別個に対応しているように見えるが、公園緑地課 が関係機関と連携をとって情報を共有しながら対応にあたる必要があったのではないかとの検 討が行われた。この点については、委員によりやや考え方が分かれた。 (ア)公園緑地課が積極的に関与し、児童センター、保育所、小学校の間で情報を共有しつつ、 一体的なまとまりの中で連携して対応に当たることが望ましかったのではないか (青木委員、石津委員) 。 (イ)連携をとることで何ができたのかと考えると難しく、三者で共同して解決にあたるとい うのは、児童センターや保育所、小学校の職員の仕事を増やすことも顧慮する必要があ る(栗田委員) 。 イ 市民からの要望に対する市の対応の適否 看板の設置や入口の移動などの措置をしているが、他にできることはなかったのかが検討さ れた。具体的には以下の通りである。 イ-01( 公園緑地課の仲立ち 課長や職員が近隣の方と直接面会することが必要であったと指摘することの要否につい ては、委員の間でもやや見方が分かれた。記録によると、当初は、職員が直接近隣の方とコ ンタクトをとっていたが、ある時期( (平成 21 年 9 月頃)を境に同課の職員と近隣の方との 直接の接触が非常に少なくなっていることが確認された。 (ア)担当課である公園緑地課は責任のある立場にある課長等が直接近隣の方に会って要望 を伺うべきだったのではないかとの指摘がなされた(青木委員) 。 (イ)課長ではないにしても、職員の方が直接近隣の方とコンタクトをとられていることは 記録にも現れており、ある時期から近隣の方から市への要望の記録が見られなくなっ ており、それに応じて直接のコンタクトの記録も見られなくなっているのではないか との見方が示された(栗田委員) 。 イ-02( 公園緑地課のトラブル対応 騒音の問題以上にボールが近隣の宅地内に入り込むことでトラブルとなることも多く、 ボールが敷地内に入ることに不快感を覚える方は多いと思われる。そのため、ボール遊び について適切な対策はなかったのかとの点が検討された。 この点については、ボール遊び禁止の看板を設置しても、ボール遊びを行う児童はいる と思われるため、各論的な話になるが、より高いフェンスを立てることは考えられなかっ たのかとの質問がなされた。高いフェンスを立てることは考えられたが、地元区から消極 的な意見が出たこともあり、実現しなかったことが確認された。市の施設であるため、市 が責任をもって決めてよいはずであるが、地域の意見を尊重することを優先したためか主 体性を欠いており、異論が出ると引下がるのも問題であるとの意見が示された。 ウ 市民からの要望に対する対応手順の明確化の要否 遊園地の運営方法に関する市民からの要望に対する対応手順について、遊園地を巡る課題の 解決に公園緑地課が主体的にかかわっていなかったのではないかという懸念を前提に、a 近隣 住民からの要望の受付窓口は整備されているのか( (HP 等で案内されているのか) 、b 近隣住民か 5
らの要望に対する対応方法の決定プロセスはどのようになっているのか、c 対応方法について 内規や手順書等の形式でまとめられているのか、d 他の公園・遊園地も含めて要望の内容と対 応方法についての報告書は整理されているのか、等の質問がなされた。 この点については、公園緑地課への確認から、a 市民からの要望の受付窓口は HP で案内され ていること、b 対応方法については課長がその内容に応じて対応と役割分担を決め、必要に応 じて部長への報告などを行っていること、c 対応方法についてはその時々により違うため文書 の形式では定められていないこと、d 施設( (植栽や遊具)に関する要望等は一覧表が整備されて いるが、運営に関しては一覧表として整備はされていないことが確認された。 公園緑地課からの回答を受けて、市民からの要望に対する対応を含む遊園地の管理手順につ いて明文化すべきか否か、どのような内容を盛り込むべきかなどについては庁内の検討委員会 で引続き検討することが確認された。さらに、盛り込むべき内容として、本件のように複数の 課(公園緑地課とこども政策課など)の関わる案件については、関連する他の課との情報共有 を求める要素も必要である旨が確認された。 3 「遊園地愛護会への対応」について(ステージ3) ⑴ 概要 青木島遊園地の愛護会活動については、児童センターが担ってきたが、平成 29 年頃より、児 童センターは愛護会活動の継続を困難とし、その引受け先を求めて公園緑地課にも相談があっ た。もっとも、愛護会の引受け先は見つからなかった。 ⑵ 検討状況 外部委員検討委員会では、主に、次のア、イのことが検討された。 ア 記録の保存 公園緑地課は、愛護会活動の担い手である児童センターとの相談内容について記録を残すこ とが必要ではないかとの指摘があったが、記録は残されていることが確認された。 イ 公園緑地課の関与 愛護会の引受け先を巡っては、地元区による引受けの可否の確認などにより公園緑地課は積 極的な関与が求められたのではないかとの検討がなされた。この点については、やや意見が分 かれた。 (ア)(青木島遊園地は地区要望でできた施設であり、地区が中心に愛護会活動が展開されて いる市内の他地区との公平の観点もあるが、公園緑地課が区に対し愛護会活動の引受け について、もう少し説得する努力はすべきであり、対応不足は、指摘せざるをえない。 また、区の側で愛護会活動を引受ける可能性があるかどうかについて、市は一層明確に 確認し共助の中で行うという方向での努力はすべきであった。開設当初から園庭であれ ば、こうした事態に至ることもなかった(青木委員、石津委員) 。 (イ)(関係者が熟慮のうえ引受けられないと回答しているのに、愛護会の引受けについて説 得しなければならない理由が明らかでない。記録によると、区による引受けの可否の確 認などが行われていたことが確認されており、これに加えて何を確認するのかが明らか でない(栗田委員) 。 6
4 「公園緑地課による遊園地の廃止決定」について(ステージ4) ⑴ 概要 公園緑地課は、区からの青木島遊園地廃止届( 「青木島遊園地の廃止について」 )の提出を受け て、令和 4 年 1 月 19 日、課長決裁により当該遊園地の廃止を決定した。 廃止届は、児童センターから愛護会活動の継続が困難であるとの申入れを受けたことを契機に、 地元区長らと児童センター・保育所・小学校や担当課とで協議を行い、区長会での協議も経て、 区長の連名で提出されたものである。 課長決裁で廃止したのは、200 万円未満の案件については課長決裁とするという長野市事務決 裁規程に基づく。 公園緑地課は、1月に廃止届を受け2月に地権者に土地の返還について申入れを行っている。 同課は、4月に遊園地用地復旧費の補正予算計上について都市整備部長に相談し、経緯を説明し たところ、都市整備部長から公園緑地課長に補正予算の計上はしないこと、遊園地の利用を再協 議することなどの指示を受けた。もっとも、この時点で地権者は既に土地の利用計画を進めてお り、遊園地としての利用は期待できない状況であった。 その後、令和 4 年 8 月に、公園緑地課から市長及び副市長への経緯報告が行われた。 ⑵ 検討状況 外部委員検討委員会では、主に、次のア、イ、ウ、エのことが検討された。 ア 遊園地廃止手続の適否(課長決裁による廃止の適否、部長・副市長・市長への報告時期の 適否など) ア-01 決裁権者 賃貸借契約解除が 200 万円未満の案件という理由で課長決裁となったとされるが、市 の一つの施設を廃止するという判断を課長決裁で行うことが適切なのか。条例に基づく施 設ではないとはいえ、施設の廃止は、市民の皆様に対するサービスの提供に関わる重要な 問題であるため、市長決裁とする必要があるのではないかが検討された。 尤も、遊園地の廃止が市長決裁とすべきであったとすると、他の条例に根拠のない施設 の廃止についても全て市長決裁となると思われるため、市では条例に根拠のない施設の廃 止をどのような手続で行っているのかについても確認しておく必要がある。公園緑地課の 他の遊園地の廃止に関する案件、さらに公園緑地課以外の部署における施設廃止に関する 案件において、どのレベルで決裁が行われ、どのレベルまで報告されているのかを確認す る必要がある。 市への照会により、条例に規定のない遊園地の廃止は、公園緑地課では、従来から、課 長決裁で行われるケースも多く見られたことが明らかとなった( (調査で明らかとなった 44 件の内、部長決裁6件、課長決裁9件( (青木島遊園地を含む) 、不明 29 件) 。公園緑地課以 外の課の状況については、令和元年以降 10 施設を廃止しており、いずれも部長決裁であっ た。 7
各課の現状を踏まえて、a( (市長決裁とするのでなくても)部長決裁とする必要はあるの ではないか、b 条例に規定のない遊園地の廃止について部長決裁とすることを明確にした うえで、判断決定の前に市長へ報告があるべきではないか(手続を要綱とすることで、広 く市民へ周知することが適切ではないか)との方向性が示された。 ア-02 市長・副市長・部長への報告 本件では、補正予算の計上が問題となった段階で初めて部長に情報があげられたが、情 報をあげるのが遅すぎたと思われる。事前に部長・副市長・市長に報告する必要があった と思われる。 イ 廃止判断の考慮要素 イ-01 近隣住民からの苦情を廃止理由とする見方の当否 公園緑地課が廃止の判断をするに当たっては、愛護会活動の引受け先が見つからず、利 用者も少なく、区から廃止届があったことが廃止の理由とされている。苦情を理由に廃止 したという記録が見いだされないことに加え、廃止決定に至るまで 10 年以上廃止の理由 と指摘されるような苦情の記録もなく、近隣住民の苦情を遊園地廃止の原因と捉える見方 が事実に則した見方と言えるのかについては疑いがある。 この点については、近隣住民からの苦情が廃止の理由ではないとしても、近隣住民から の要望を受けて市が遊園地の利用に様々な制限を設けたことが利用者減少の一つの原因 となったのではないかとの意見も考えられるが、公園緑地課で設定した制限自体は、ボー ル利用の禁止や消灯時間を早めるといった対応である。それ自体は一般的に見られる対応 であり、特別に重大な制限を設けたとは言えない。 なお、公園緑地課は、廃止の理由として 6 つの理由をあげているが、 「児童センター、保 育所、小学校に囲まれた立地の特殊性から利用が集中する環境」については、むしろ遊園 地は廃止の直近の時期には利用されなくなっていたとされており、理由として成立しない のではないか。 イ-02 廃止の判断要素 遊園地が地元要望により設置されたとしても、市が設置した以上は、市民一般のための 施設となるため、地元が想定した利用者が利用しないからといって直ちに廃止とするのは 合理性を欠くと考えられる。アの手続の問題と関連するが、住民にとって必要な施設なの かどうかを確認するためにも、廃止を決定する前に住民を対象とした説明会を開催し、意 見を聴取する機会を設けることは不可欠だったと考えられる。 また、遊園地を市が設置したのであれば廃止するか否かは市の決定事項であるため、区 が「廃止届」を提出するのは不整合であると考えられる。 ウ 遊園地廃止手続のルール化 遊園地廃止手続について明確なルールが定められていなかったとされるが、手順を定めてお く必要がある。また、単に内規ではなく、外部に公表する必要に加え、廃止手続のルールをど のレベルで作成するのかということも重要になる。 ルールにも様々な形式のものが存在するはずであるため、市におけるルールの体系について 説明を求めた。市の担当者による回答は以下の通りである。即ち、 「ルールの体系には、条例、 規則、訓令、要綱、要領及び内規がある。このうち条例、規則及び訓令については、制定・改 廃に当り法規審査委員会での審査が必要となるのに対し、要綱、要領及び内規は同委員会での 8
審査は不要とされる。法規審査委員会の審査が行われるもののうち、条例は審査後に議案とし て議会に提出され、議会の議決を経るが、規則及び訓令はその必要はない。また、制定・改廃 の起案の決裁について、条例、規則、訓令及び要綱は市長決裁だが、要領及び内規は担当課の 判断で市長決裁としていない場合がある。 」 (既に検討した通り)誰が決裁を行うのか、どこまで報告するのか、廃止の決定に先立って 説明会を開催する必要があったのではないかなど、手続面で問題が多かったと思われる。遊園 地廃止手続のルール化、明文化が行われていなかったことに手続面での問題を生じた原因があ ったとも考えられるため、明確なルールの作成とその明文化の必要がある。また、その文書は、 市長決裁が必要な要綱とすることが適切なのではないかとも考えられる。詳細については、引 き続き検討の必要がある。 エ その他 (ア)地権者へ遊園地廃止の報告が市の廃止決裁を行った後になされているが、内部的に廃止する か否かを決定した後に地権者に廃止を伝えたのは、不合理とはいえない。 (イ)土地賃貸借契約を解除する際に合意解約確認書を作成しているが、後にトラブルの原因を作 らないためにも合理的であったと考えられる。 5 その他の検討事項 ⑴ 個人情報(プライバシー)の適切な取り扱い ア 苦情は誰もが自由に発言できるものである。誰が発言したのか詮索される事態を招いたこと は個人に対する配慮として十分であったかという問題がある。 イ 一連の経緯についての情報提供の態様には、関係者のプライバシーに対する配慮に欠けてい るところがあったのではないかとの意見が出た。 ウ 個人の特定に繋がりやすい情報を出してしまったことは、配慮が足りない。今後、十分な配 慮が必要である。 ⑵ こどもの意見や声の施策への反映 こどもの声を聴く方法としては、遊園地廃止前の説明会や児童センターを介して聴くことが考え られるが、廃止前に説明会を開催しなかったため、説明会を通じてこどもの声を聴くことはできて いなかった。また、児童センターが愛護会活動を辞することを決める際に、こどもと相談したとい う事実も記録上確認できなかった。 青木島遊園地はこどもに関わる施設であるため、廃止するか否かの決定は大人が行うとしても、 こどもの意見や要望を踏まえて行うことが望ましかったと考えられる。 6 今後に向けて 設置から廃止までの一連の手続が定められてないことが本件問題を生じた 1 つの大きな要因と思わ れる。手続やルールが定められていない中で事案が進んでいったため遊園地の設置から管理、廃止ま での手続や考え方について基準のようなものを定めておく必要があるのではないか(どのような要素 を盛り込んでいくべきなのか) 、またそれを市民に明示しておく必要があるのではないかが問題とな 9
る。盛り込むべき内容については以下の点である。なお、以下の点は、今後ルールを文書化するに際 して、検討が必要となる「視点」を示すものである。各問題点についていかなる方針を採用し具体的 内容を盛り込むかについては、市において、この提言を顧慮しつつ、検討して欲しい。 ⑴ 設置手続 ア 遊園地の適地性の考え 本件では、適地性を判断するプロセスが何かはっきりしておらず、適地かどうかを明確にする機会 が奪われてしまった状態であったと考えられる。今後に向けて、遊園地に望ましい設置場所であるか について、市が一定程度の基準を設ける必要がある。そこで、市民の自主性を尊重しつつ、遊園地設 置に相応しい場所か否かを判断するための基準はどのような基準であるべきか。現行の「地元要望に よる公園等設置基準(内規) 」 (平成 17 年 4 月 1 日施行)は、適地の基準について適切に定めてある か。また、上記の( 「地元要望による公園等設置基準( (内規) 」には、決裁権者についての規定が置かれ ていないが、決裁権者についても明確にしておく必要があるのではないか。 イ 遊園地設置前の住民への説明 本件では、遊園地の設置に関して、近隣住民に対して市からは説明がなく、区からも十分な説明が 行われていない。 利用者への配慮はもちろん大事だが、 そこで生活している住民への配慮についても、 市として大事にしていく必要がある。そこで、今後に向けて、平穏な暮らしの環境に配慮するため、 遊園地設置の際に住民への説明会などを行うことを基準・ルールの中に盛り込み、住民との合意形成 を図ることが必要なのではないか、遊園地設置前に住民への説明会を開催しなければならない旨を設 置手続に盛り込むべきかどうか。この点、現行の( 「地元要望による公園等設置基準( (内規) 」 (平成 17 年 4 月 1 日施行)には、 「同意を得る」とは書いてあるが、 「説明会」の実施については明示していな い。設置前に説明会を開催することが必要となることについても明示しておく必要があるのではない か。 ⑵ 管理・運営 ア 庁内での情報の共有 遊園地は、児童センターと保育所の隣でもあることから、こども政策部門とも関わりがある。遊園 地の管理にあたっては、公園緑地課とこども政策課との間で情報を共有しつつ、進めていくことも考 えられたところである。しかし、本件では、こども政策課は、児童センターから愛護会活動について 相談を受けるに際して一部では情報を得ていたと考えられるが、公園緑地課が正面からこども政策課 と情報を共有したという事実は見られない。このことを踏まえて、遊園地の管理に関するルール又は 手順書の内容に「関連する他の部署との情報共有や連携に努めること」を盛り込むのはどうか。 イ 関連機関との連携 一連の過程で、児童センター、保育所、小学校がそれぞれ別個に対応したが、対応が統一されてお らず、横の連携があまり取れていないようにも見える。また、公園緑地課が児童センターや保育所、 小学校と連絡を密にし、 公園緑地課が自ら近隣住民との協議を行っていれば、 児童センターや保育所、 小学校などの関連機関が自ら近隣住民に対応する負担についても軽減できていた可能性がある。この ことを踏まえると、一方で、利用トラブルを未然に防ぐとともに、他方で、トラブルが生じてしまっ た場合には可能な限り速やかに状況を把握し、市で一元的に対応する体制を築くことが考えられる。 このような体制を築くことについてどのように考えるか。仮に望ましいとした場合、市においてその ための手順を策定し、遊園地の管理に関するルール又は手順書に記載してはどうか。 10
ウ 記録の保存 本件では、遊園地管理の状況や利用実態が分かる記録が資料として残されておらず、近隣住民との 協議についても適切に保存されていたのか否か疑わしさが残る。そこで、施設の管理方法についてル ール又は手順書を作成するに際しては、記録の保存を求める内容を盛り込むべきではないか、その内 容はどのように定められるべきか。 エ その他 遊園地の管理に関する事項には、ルールとして定めることが想定される内容に加え、利用トラブル 対応の具体的な事例別の手順を定めておくことが考えられるのではないか。また、施設の設置や廃止 は、要綱などの厳格な形式をとることが考えられるのに対して、施設管理の方法については、利用ト ラブルに対する対応手順など現場の経験を活かした柔軟な改訂が必要となる内容も含まれる可能性が あるが、どのような形式で文書化するのが適切か。 また、愛護会の位置づけや役割についても管理に関するルール又は手順書に記載してはどうか。 ⑶ 廃止手続 ア 決裁権者 本件では、課長決裁で遊園地の廃止が決定されたが、条例に基づく施設ではないとはいえ、施設の 廃止は、市民の皆様に対するサービスの提供に関わる重要な問題であるため、課長決裁で施設を廃止 したことには問題があったと考えられる。そこで、遊園地の廃止に関する決裁権者についてはどのよ うに定めるべきか。市長決裁とするのでなくても、ルールに明示したうえで部長決裁とする必要はあ るのではないか。ルールにも条例、規則、訓令、要綱、要領、内規など様々なものがあり、外部委員 検討委員会では、市長決裁の必要となる「要綱」が考えられるのではないかという意見も見られたと ころであるが、いかなる形式をとるべきか。 イ 上司への報告・庁内への情報共有 本件では、補正予算の計上が問題となった段階で初めて部長に情報があげられたが、情報をあげる のが遅すぎたと思われる。事前に部長・副市長・市長に報告する必要があったと思われる。アの検討 で、仮に部長決裁とするとしても、市長や副市長への報告は問題となる。そこで、部長決裁とする場 合には、決定の前に市長・副市長への報告を要する旨をルールに盛り込むべきではないか、盛り込む とした場合、いかなる点に留意すべきか。 また、遊園地の廃止にあたり、公園緑地課はこどもに関係する部署との協議を行うことなく、廃止 を決定したと思われる。そこで今後は、こどもに関する施設のあり方の検討については、 「こどもに 関連する他の部署との情報共有や連携に努めること」をルール又は手順に盛り込むことを検討しては どうか。 ウ 住民への説明会 遊園地が地元要望により設置されたとしても、市が設置した以上は、市民一般のための施設となる ため、地元が想定した利用者が利用しないからといって直ちに廃止とするのは合理性を欠くと考えら れる。住民にとって必要な施設なのかどうかを確認するためにも、廃止を決定する前に住民を対象と した説明会を開催し、意見を聴取する機会を設けることが考えられる。そこで、廃止に関するルール には、 市が廃止を決定する前に住民説明会を開催すべきことを求める内容を盛り込むべきではないか。 また、住民説明会を開催する際には、当然、廃止理由についても説明されると考えられるが、次のエ に示す理由から、住民説明会において廃止理由を具体的に説明する必要があることについてはルール に明示しておく必要があるのではないか。 11
エ 遊園地の廃止理由 本件では、地元要望で設置された遊園地について設置を要望した地元からの廃止届を受けて機械的 に廃止の決定を進めてしまったが、地元要望とはいえ、ひとたび設置された以上、市の施設であるた め、要望者が要望を取り下げたからといって廃止しなければならないわけではない。愛護会活動のな い遊園地も存在しており、愛護会の引受け手がいなかったことを廃止の理由とすることが合理的とい えるかについても疑いがある。廃止するか否かについては、市が、合理的な理由に基づき、適切な手 続に従い決定する必要がある。他方、廃止には様々な背景があるため、廃止の合理性に関する一般的 な基準をルールにおいて示すことには困難さを伴う。そこで、ルールには、廃止基準を定めることに 代えて、住民説明会において廃止理由を具体的に説明する必要があることを記載することが考えられ る。これは、住民説明会における廃止理由の具体的な明示を要求することで、廃止が、住民の理解が 得られる理由に基づき行われることを期するものであるが、このことについてどのように考えるか。 ⑷ その他 本件は、遊園地の利用者であるこどもの声を聴くことなく廃止を決定したと思われる。 今後は、こどもに関係のある施設のあり方を検討する際には、例えば、児童センター等のこども に関係する機関を通じて、こどもの声を聴くことをルール化することも考えられる。 施策にこどもの声や希望を適切に反映するためにはどうあるべきか検討し対応することが望まれ る。 12