20250719_スクフェス大阪_スクラムはハチドリに学べ!1dayスプリントとゴール設定が生む驚きの推進力

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July 18, 25

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2025.7のスクフェス大阪での登壇資料になります。

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Insurtechラボで作成しているスライドです

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1.

スクラムはハチドリに学べ!1dayスプリントと ゴール設定が生む驚きの推進力 2025年7月19日

2.

0.はじめに 2

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スプリントゴール ~スプリントゴール ~ スプリントゴールはスプリントの唯⼀の⽬的である。 スプリントゴールは開発者が確約するものだが、スプリントゴールを達 成するために必要となる作業に対しては柔軟性をもたらす。 スプリントゴールはまた、⼀貫性と集中を生み出し、スクラムチームに ⼀致団結した作業を促すものでもある。 スクラムガイドより 3

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実際にスプリントゴールを立ててみて ・スプリントゴールに意味を感じない ・ゴール立てたけど、覚えていない ・そもそもゴール立ててない 4

5.

本日ラーニングアウトカム ・スプリントゴールを設定する重要性を理解する ・具体的なスプリントゴール設定プロセスの事例を 学び、自チームの運営に活用できる 5

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⽬次 0.はじめに 1.スプリントゴール設定の課題 2.1dayスプリントを実施してみて 3.メンバーの体験談 4.まとめ 6

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自己紹介 小泉 岳人 田中 豪 ニッセイ情報テクノロジー ニッセイ情報テクノロジー 「入社から16年間大阪でした!」 「最近、仕事で大阪来るように なりました!(月・火大阪でした)」 X:https://x.com/koitake_ 7

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組織紹介 ニッセイ情報テクノロジー ◼「保険・共済」「年金」「ヘルスケア」といった社会 保障領域のマーケットに対して、質の高いITサービス やコンサルティングなどを提供しています。私たちの 使命は、ITで“いのちを支える”産業に貢献すること。 社会や生活の基盤となるプラットフォーマーを目指し、 新たな価値の創造に取り組んでいます。 設立 1999年7月 事業内容 保険・金融に関するシステムサービス 医療・介護に関するシステムサービス ネットワークサービス、アウトソーシング、収納代行 従業員数 等 2,611名 (2025年4月1日 現在) 8

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今回説明する対象のチームについて ・保険をWebで申し込めるプロダクト(デジタル販売プラットフォーム)を開発 ・4-6月で、つぎはぎだらけのプロダクトをアセット化し、DevSecOpsの パイプラインを構築(4-6月は価値検証よりも、モノづくりが中心) ・SIerとしてアジャイル伴走できるメンバーのスキル向上もミッション ・体制は下記の通り(2チームでプロダクトとDevOps改善と別れて実施) 機能開発チーム(FORGE) Dev4名 PO (うち1名デザイナー) DevSecOpsチーム(Guardian) SM Dev3名 ⼀体運営 デジタル販売プラットフォーム 9

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1.スプリントゴール設定の課題 10

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スプリントゴール設定の課題 スプリントゴール設定の効果 ⇒ 柔軟性、集中、⼀致団結をもたらす スプリントゴールは開発者が確約するものだが、スプリントゴールを達 成するために必要となる作業に対しては柔軟性をもたらす。 スプリントゴールはまた、⼀貫性と集中を生み出し、スクラムチームに ⼀致団結した作業を促すものでもある。 スクラムガイドより 11

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スプリントゴール設定の課題 ゴール設定しても機能しないケースが多い ①.ゴールがタスクの集まり バックログそのままにすぎず、柔軟性がない ②.達成確実な当たり障りのないゴール ゴールの意味を感じず集中を生まない ゴールは あるんだけど・・ ③.決まったゴールが下りてくる ゴールはPO頼りで、⼀致団結できない 12

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スプリントゴール設定の課題 書籍「スプリントゴールで価値を駆動しよう」では、ゴール中心に 試行錯誤しながら進める「ハチドリ・スタイル」を推奨している ハチドリ・スタイル 謙虚な計画を重視し、軽やかに適応 しながら学び、調整し続けるスタイ ル。スプリントゴールを中心に、試 行錯誤しながら最適な解決策を見つ ける。 アナコンダ・スタイル 計画を意識し、厳密な計画に固執す ることで柔軟性を失い、変化に対応 できなくなるスタイル。計画にコ ミットしすぎとなりがち 「スプリントゴールで価値を駆動しよう: 価値探索に焦点を合わせたスクラムの実践 :Maarten Dalmijn (著)、藤井 拓 (訳) 丸善出版 (2025.1) 」参照 13

14.

スプリントゴール設定の課題 なぜ、有効なハチドリ・スタイルでのゴール設定ができないのか? 足りないスキル 問題定義 計画を見立てられ 「期間内に達成できるゴール」を逆算して立てることが困難 ない (今日もわからないのに、2週間の予測なんて…) 価値の言語化・構 「価値とタスクとのつながり」の言語化が難しい 造化が難しい (スプリントゴールが「単なるToDoの集合」や「当たり障りの ないゴール」になりがち) 対話がない 対話が十分に行われず、チームの納得・主体性を生み出せない (結局、チームで「ゴールに向かってる感」がない) 14

15.

スプリントゴール設定についての現場への質問 実際のところ、スプリントゴール設定の何が難しいですか? 1スプリントでどのくらいまで作業が取れるのか? どのくらいの価値を生むのか? それをどうやって言語化するか?が難しい 15

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スプリントゴール設定の課題 どう対応したか? 足りないスキル 対応の方向性 計画を見立てられ ない スプリント期間を1日にしてみた 価値の言語化・構 造化が難しい ゴール設定のワークをチームで繰り返して練習 対話がない 上記に加えて、自己紹介等相手に興味を持つ時間を増やす 16

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2.1dayスプリントを実施してみて 17

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1dayスプリントについて 1日のタイムボックス 時間 イベント 内容 9:00-10:00 スプリントプランニング 2チーム合同でプランニング ・アイスブレイク(自己紹介) ・スプリントゴール設定 ゴール設定 ・チームに別れSBI作成 10:00-17:00 17:00-17:40 チームに別れ、開発、モブ作業、その他MT等 スプリントレビュー 2チームでそれぞれスプリントレビュー (20分ずつ) ゴール検査 17:40-18:00 レトロスペクティブ 2チーム合同でのふりかえり 18

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1dayスプリントについて 1DAYスプリントについて、実際やってみてどう思いました? やる前は、「レビューに何も出せずに1日が終わるんじゃないか」 と思っていた。 やってみると、思ったよりインクリメント出せた。 ※1(2)weekでのスプリントの時は、必要以上に話しあい、 動き出しが重くなることが多いが、やってみて気づいた方が 早いということを1DAYスプリントで気づいた 19

20.

スプリントゴール設定ワーク スプリントゴール設定のワーク ①.PBIを見て優先順位の高いものから、 実施しそうなタスクを確認しよう ②.スプリント後のステークホルダーの状態を妄想しよう ③.ゴールを文書化しよう(集中する事とJOY) ④.スプリントレビューをイメージアップしよう ⑤.スプリントゴールを達成できるバックログを選んでタスク詳細化 20

21.

スプリントゴール設定ワーク ①.PBIを見て優先順位の高いものから、実施しそうなタスクを確認しよう チームでバックログ状況を 確認するが、まだ決めない ゴールのあたりをつける 21

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スプリントゴール設定ワーク ②.スプリント後のステークホルダーの状態を妄想しよう 自分たちがどう なっていたい か? レビューを聞いた 人にどんな感情を 抱かせたいか? 上位層が嬉しい ことは何か? お客様 (Chooser)が嬉 しいことは? エンドユーザー が嬉しいことは 何か? その他 セキュリティの全体 像を整理できて説明 できるようになって いる 知見をまとめた記事 を書いて、見た人が 分かりやすいと言っ てくれる セキュリティにつ いて○○事業部に 説明/展開できる Figma→コード化 →パイプラインが 整備され爆速で修 正できる UI/UXチェックの 修正が出来、使い やすくなったと 思ってもらえる 知見をまとめた 記事に「いい ね」がつく ○○画面連動処 理を完了させて いる 昨日のフィードバッ ク対応を実施して、 「早いね」と驚いて もらう ○○画面がデザイ ナー視点で確認終 わりReadyになる スプリント後にステークホルダー毎 の嬉しい点をみんなで記載。投票し て、どの辺に注力するか考える 22

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スプリントゴール設定ワーク ③.ゴールを文書化(GOALとJOY)して、5Fingerで想いを共有 GOAL OWASPZAPで行ったことを整理して、DASTに関する記事を 書く JOY 相手のチームにやったことが伝わる。また説明する中で分か りづらい点/もっと説明がいる点が明確になる ※GOALとJOYの分離は、「スクフェス大阪2024 + Joy 初めは熱々だった はずなのにだんだん硬くて冷たくなっていく目標に血を通わせる工夫」を参照 5Finger 23

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スプリントゴール設定ワーク ゴール設定はSMART、ALIVE、FOCUSを意識 S Specific A Adaptive F Fun M Measurable L Learningful O Outcome-Oriented A Achievable I Interesting C Collaborative R Relevant V Visionary U Ultimate T Time-bound E Experimental S Singular 具体的である 測定可能である 達成可能である 上位目標と関連する 時間起源がある 変化に適応できる 学びの機会になる 好奇心をそそる 未来を見据える 実験的である 楽しさ、覚えやすいタイトル 成果指向のゴールにする チーム全体で作成する 究極的な理由(WHY)を含める 単一の明確なゴールを設定 ※SMARTだけだとワクワク要素/実験要素が足りないのでALIVEを、 また、よりチームで集中/確約するために、FOCUSを意識する ※ALIVE :「冒険する組織のつくりかた「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法 :安斎勇樹 (著) テオリア (2025.1)」参照 FOCUS :「スプリントゴールで価値を駆動しよう: 価値探索に焦点を合わせたスクラムの実践 :Maarten Dalmijn (著)、藤井 拓 (訳) 丸善出版 (2025.1) 」参照 24

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スプリントゴール設定ワーク ご参考:ゴール作成のチェックリスト □ 1.チーム全員が「今日のゴールは○○だよね」と即答できるか? → ゴールが明確かつチーム全体に共有されているかを確認 □ 2.JOYの具体イメージや「成果(Outcome)」の認識があるか? → タスクではなく、成果(レビュー等で誰がどう嬉しいか)がイメージアップできているか □ 3.ゴールがあることで、無い場合よりも変化がありそうか? →ゴール達成に関して、バックログを変更できる可能性はあるか?ストレッチゾーンを 感じられそうなゴールか?ゴールを設定したことで学びが増えそうか? □ 4.ワクワク感や意味づけが含まれているか? → 「ゴール」のディスカッションの中で思わず前のめりに、心が動く経験があったか? ゴールを作るプロセスで、チーム全員が対話に参加できたか? □ 5.ゴールの達成/未達が分かるものか、1日で達成可能なスコープか? → ゴール達成/未達がわかるか?過去の天気を踏まえて「ちょいチャレンジ」くらいの現実性か? □ 6.ゴールが「プロダクトゴール」や中長期ビジョンと繋がっているか? → 今日のスプリントが、どのように全体戦略やロードマップに貢献するのか見えていますか? 25

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スプリントゴール設定ワーク ④.スプリントレビューをイメージアップしよう スプリントレビューの枠を作り、 レビューテーマ、概要を予想で記載 26

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スプリントゴール設定ワーク ⑤.スプリントゴールを達成できるバックログを選んでタスク詳細化 やるぞ!!! 27

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1dayスプリントについて ゴール設定のワークはやってみてどう思いました? 1(2)weekのスプリントだと、計画した通りに作業を進める感じだ が、毎日ゴール設定すると、前日の作業を鑑みて、「開発の進め方 の改善やリファクタリングをやった方が良いんじゃないか」などの 意見があがり、今集中すべきことに適応している感じがあった。 また、あれもこれもとなるとゴール達成が難しいことが分かり、作 業は複数やる場合でもゴールは必ず一つに絞るようになった。 28

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3.メンバーの体験談 29

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メンバーの声(よかった点/難しかった点) ゴール設定に関する「良かった点」「難しかった点」 良かった点 ・成果からFBを貰うまでのスピード ・1日なので失敗してもショックが薄い ・開発者からゴールが 挙げられていたのはすごい 難しかった点 ・毎日ゴールを考えて、頭合わせを するのはシンプルに大変 ・ステークホルダーの状態を考えること が難しく、JOYの言語化に苦戦した (自分たちが、「楽しい」「すっきり」 といった単語が多く出た) ・休憩を忘れて疲れる 30

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メンバーの声(大事なこと) 毎日ゴール設定をするうえで大切なこと 『ゴールに向かうことが尊く、結果は成功でも 未達でもOK』 という空気 小さい失敗を繰り返しながら適応や集中することが大事。 ※ ゴール達成への意識が強すぎると、「出来るタスク」に向かいがち。 31

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メンバーの声(大事なこと) ゴール達成に確約するのではなく、ゴール集中に確約する 生徒たちは自分の作文を全員の前で発表しました。 こんなふうに、自分の目標やゴールを発表すること を、コーチングでは「コミットメント」(公言)と 呼んでいます。 「わたしはこれをします!」と口に出して宣言す る。その宣言を聴いている全員が「この人はそれを 成し遂げる人だ」と肯定的に受け止める。これが けっこう重要なことなのです。 やってみよう! コーチング: 8つのスキルで子どもの意欲を引き出す 石川 尚子 (著) ほんの森出版 (2009.7) 32

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4.まとめ 33

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まとめ ・よいスプリントゴールは「柔軟性、集中、⼀致団結」をもたらす ・SMART,ALIVE,FOCUSなゴール設定や ステークホルダー(自分達も含めた)にとって何が嬉しいかに向き合う ・ゴール達成にとらわれ過ぎず、ゴール設定する事での変化を楽しむ ※ この発表は昨年のスクフェス大阪「+ Joy 初めは熱々だったはずなのにだんだん硬くて 冷たくなっていく目標に血を通わせる工夫」に影響されて作成しています。 我々の発表も何等か皆さまの参考になれば幸いです。 34

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価値あるスプリントゴール設定を!! ご清聴ありがとうございました 35