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February 09, 25
スライド概要
ICH-E6(R3) GCPガイドラインについて、Draft Ver. → Final Ver.の変更履歴ありVer.です。
Draft Ver. と Final Ver.の比較をしたい場合はこちらを参照ください。
SMO-CRCを経て病院CRCへ転職し、CRC歴20年 新人時代にGCP全文読んだ後、改訂の度に全文読み直すので、CRCの中ではGCPフリークス? 個人的な活動のため、プロフィール「では」名を伏せ、「スライド上」のみ公開 世のCRCに還元したい思いで、自身が作成した資料を、引用文献などから公開許可が得られる範囲内で無料公開
ICH-E6 (R3) GCP (Good Clinical Practice) 医薬品の臨床試験の実施の基準 ガイドラインについて (Principles & Annex1) Draft Ver.から変更履歴ありVer. 2025/02/09 聖路加国際病院 治験管理課 三宅絢野 本発表は、演者の個人的見解に基づくものであり、 演者が所属する聖路加国際病院の見解を示すものではありません。 本演題発表に関連して、開示すべき COI 関係にある企業等はありません
はじめに この資料 • 変更履歴ありVer. Draft Ver. と Final Ver. の差 (削除&追加) は訂正線&下線として表記 • Draft Ver. 箇所はガイドライン案和訳を利用し、Final Ver. 追加箇所はAI翻訳を使用 「ICH E6(R3) 医薬品の臨床試験の実施に関する基準のガイドライン(案)」に関する御意見の募集について (募集期間 | 2023年7月10日0時0分-2023年9月9日23時59分) • J-GCPではなくICH-GCPの話 (日本の状況や日本の規制当局の意図が組み込まれる前) • イギリスMHRAの解説ブログ等も参考にして作成 • 重要ポイントはスライド右上に マークを付けた • 免責事項 | 当資料に掲載されている情報の正確さには万全を期していますが、 当資料の情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切責任を負いません 適宜、英文の原文を参照していただくようお願いします 2
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 3
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 4
ICHとは ICH • 医薬品規制調和国際会議 • International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Useの略称 歴史 • 1990年に発足し、日米欧の規制当局・産業界が創設メンバー • 2015年ICH改革によりスイス法人化 (各国の規制当局・国際業界団体に門戸拡大) • メンバー23団体、オブザーバー35団体 (2024年6月現在) 目的 国としての参加をマッピング (他に団体参加もある) • 共通のガイドラインを作成し、医薬品への審査等の標準化を目指すもの • 現在、70以上のガイドラインが整備され、薬事規制に取り入れられている ICH Webサイト https://www.ich.org/ 第22回CRCと臨床試験のあり方を考える会議,2022 in 新潟事前教育オンデマンド配信E7: Up-to-date “ICH-GCP” 2022年12月8日 第4回ICHフォーラム:ICH Efficacy Guideline Update PMDA最新動向 令和6年6月13日_医薬品規制調和国際会議(ICH)総会が開催されました 5
ICHガイドラインの区分 品質 25個 • 医薬品の臨床試験の実施の基準 Good Clinical Practice Quality 安全性 ICH-E6 (GCP) 15個 Safety • 治験を実施するためのルール • 有効性の6番目のガイドライン = E6とも呼称 • 区別が必要な場合 有効性 22個 • J-GCP Efficacy 複合領域 • ICH-GCP ICHのGCP 日本のGCP • 改訂履歴 9個 • ICH-GCP 1996年合意 • ICH-GCP (R2) 2016年合意 • ICH-GCP (R3) 2025年合意 Multidisciplinary ※RはRevision ICH Webサイト https://www.ich.org/ 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 6 PMDA最新動向
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 7
パブリック・コメント制度に基づくガイドライン案 | 和訳に関する補足 ガイドライン案の和訳に関する補足 • 意見募集の対象のE6 (R3) ガイドライン案 (日本語) は、国内規制とは切り離し、 原文に対する和訳として作成 和訳にあたって • 治験や治験責任医師は使用していない • Clinical trialは、E6 (R3) の対象が介入試験であることから観察研究も含む臨床研究 ではなく、臨床試験とした 日本語における用語については、E6 (R3) を国内規制に取り入れる際に 改めて検討 8
参考 | 関係者を意味する単語 | stakeholder → interested parties ICHでの修正した本意は不詳であるが、以下のような議論がある 「ステークホルダー」という言葉を排除すべきか? マーク・リード教授 2022/8/2 (2024/5/10更新) 最近では、ソーシャルメディア上で、この言葉が人種差別的なのではないか、あるいは少なくとも植民地的な 意味合いがあり、この言葉の使用を完全に避けるべきなのではないかという議論が広まっている: この言葉の語源を賭け事での使用からFreeman (1984) の定義までたどることで、植民地主義者が先住民の土地に 杭を打ち、権利を主張するために使用したことと、この言葉が明確に関連しているわけではないことがわかる。 しかし、先住民グループと仕事をする際には、この言葉を避けるべきであることは明らかであり、より広範な 研究の脱植民地化の一環として、より一般的にこの言葉を避けるべきだという主張もある。 Freeman (1984) が意図していたかどうかは別として、”stake”という概念は、所有するものであり、保有したり、 所有したり、ため込んだりするものである。これらは先住民の共有の概念とは相反する西洋的なあり方であり、 ある問題に関心を持つ人々を「ステークホルダー」という言葉で表現することで、私たちは西洋的なあり方を 暗黙のうちに研究の規範として常態化させる西洋的な用語を使用している。 Should we banish the word “stakeholder”? Prof. Mark Reed, Aug 2, 2022, https://www.fasttrackimpact.com/post/why-we-shouldn-t-banish-the-word-stakeholder?postId=1a6b963156a5-416e-a796-86d6dfb30d87, (2025-01-29閲覧) Switching from stakeholder, Research impact canada_turning research into action https://researchimpact.ca/featured/switching-fromstakeholder/ , (2025-01-29閲覧) Online etymology dictionary https://www.etymonline.com/, (2025-01-29閲覧) M&Aマガジンhttps://www.nihon-ma.co.jp/columns/glossary/stakeholder/, (2025-01-29閲覧) 9
参考 | 監督を意味する単語 | supervision → oversight Supervision • 監督や指導に関する「管理」を意味します • この単語は、特に人やプロセスの監督、指導、見守りを行うことに重点を置いており、 管理者が部下や特定の活動に対して責任を持ち、指導とサポートを提供する状況を指します • “Supervision” は、単に監視するだけではなく、指導や教育、安全確保など、積極的な役割を含みます Oversight • 「監視」や「監督」という意味での「管理」を指します • この単語は、特にプロジェクトや活動の総合的な監督、誤りの防止、品質の保証など、 全体的な監視と管理のプロセスを強調します • “Oversight” は、単にチェックすることではなく、責任を持ってプロセスや活動を継続的に監視し、 誤りや問題が発生しないように管理することを含みます 10 高校英文法の羅針盤【例文付き】「管理」の英語表現とそれぞれのニュアンス https://manabitimes.jp/english/3636 ,(2025-02-02閲覧)
(事実経過の) 再構築 reconstruct → 適切に評価する appropriate evaluation 監査証跡 Audit Trail • 事実経過の再構築を適切に評価することを可能にする… メタデータ Metadata • 関連するメタデータとは試験実施の再構築し、適切な評価を可能にするために… ICH-GCPの原則 9.5 • 必須記録は (中略) 試験の実施及び結果の再構築適切な評価を可能とし可能とする… C.3 C.3.1 • (n) 試験を再構築適切に評価するために 11
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 12
ICH-E6(R3) の特徴 E6(R3) を単独で読むことは避ける (Do not read E6(R3) in isolation) • E8 – QbD (Quality by Design) を試験計画および実施に統合 • E6 – E8の基礎を臨床試験の実施に適用する E6(R3) の特徴 • クオリティ・バイ・デザイン (QbD) の基本原則に基づく • 批判的思考 (critical thinking) を必要とする • リスクに応じたアプローチを用いる • 画一的なアプローチは適切ではないことを認識する (one size does not fit all) 13 E6(R3) Step 4 Presentation(developed in January 2025)
主な新しい点 (要約) 1. 明瞭で読みやすい新構造 2. GCP適応範囲の明確化 3. 目的への適合性アプローチの奨励 4. 重要な業務に焦点を当てる 5. 役割と責任の明確化 (responsibility) 6. ステークホルダーの参画 7. 新しい試験デザインや技術の促進 8. その他 14
新しい点 01 - ICH E6 (R3) の構造 明瞭で読みやすい新構造 ICH E6 (R3) 付属文書1 (Annex1) 付属文書 2 (Annex2) 介入試験を対 象とした考慮 事項 介入試験を対 象とした追加 の考慮事項 ICH-GCPの原則 • 技術、方法論、試験デザインが進歩 序文 ICH-GCPの原則 付属文書 1 1. 臨床試験審査委員会/独立倫理委員会 (IRB/IEC) 2. 試験実施責任者 3. スポンサー 4. データガバナンス - 試験実施責任者とスポンサー 用語集 付録 付録 A. 臨床試験薬概要書 付録 B. 臨床試験実施計画書及びその改訂版 付録 C. 臨床試験実施における必須記録 青字は 用語集 (付録の後へ移動) 大幅改訂 する中でも適用可能な原則 (principles) • AnnexesとAppendices (将来的に更新 しやすくなるようにという意図) 付属文書 2 2024/11~2025/3まで パブリックコンサルテーション中 15 The ICH E6(R3) Introductory Training Presentation_E6(R3) Step 4 Presentation, developed in January 2025.
新しい点 02 - GCP適応範囲の明確化 ヘ ル シ ン キ 宣 言 日本のGCP ICH-GCP (R2) ICH-GCP (R3) 治験 治験 治験 医師主導・企業主導 製造販売後臨床試験 医師主導・企業主導 製造販売後臨床試験 医師主導・企業主導 製造販売後臨床試験 介入臨床試験 介入臨床試験 非介入臨床研究 非介入臨床研究 介入臨床試験 非介入臨床研究 (疫学研究を除く) (疫学研究を除く) (疫学研究を除く) 第1条 GCPは人を対象とする 序文-ガイドラインの適応範囲 本基準は、 (中略) 治験 研究の計画、実施、記録、 本ガイドラインは、規制当局への提出を意図した (医薬品の製造販売承認 および報告に関する倫理 臨床試験薬の介入臨床試験に適用される 申請の際に提出すべき 的及び科学的な質の国際 本ガイドラインのICH-GCPの原則は、地域の要件に従い、 資料のうち臨床試験の 基準である。 製造販売承認申請の裏付けとすることを目的としない、 試験成績に関する資料の 本ガイドラインは、規制 臨床試験薬のその他の介入臨床試験にも適用される場合 当局に提出する臨床 がある 収集を目的とする試験) の科学的な質及び成績の 信頼性を確保することを 目的とし… 研究データを作成する 際に従うべきものである。 本ガイドラインの原則は (中略) 他の臨床研究に も適用され得るもの 付属文書は、原則の適切な解釈および適用に関する基礎 を提供するものであり、従って、適切に考慮されるべき である しかし、付属文書の規定に対する様々なアプローチも、 それが正当化され、原則の適用における意図された目的 を達成するものであれば、考慮されてよい 本ガイドラインは、臨床試験の実施において、リスクに 応じた適切なアプローチを推奨する 国際共同試験ポケット資料集 2022年版 P.69 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog 16 https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
ICH-GCPガイドラインの位置づけ 異口同音に発言 要求事項 (Requirement) ではなく、あくまで指針 (Guidance) • ガチガチのルール ⇒ 原理原則を共有し、考えさせる指針へ (製薬協: 小宮山) • ICHガイドラインで示されるのは基本的には原則 • 書いていないからこの手法を使うことが出来ないという必要はない • ガイドラインが出ると書かれている言葉の通りに解釈をする形になりがちだが、 適用にあたってはガイドラインの記載の意図も含めて理解すること (PMDA: 安藤) • GCPは、どうすれば信頼性が保たれた環境で参加者の安全性を担保しながら試験を 行うかというガイドラインである。Principlesを充実させたので読んで欲しい (PMDA: 小室) • アカデミアの立場としては、1番変わる点だと思う (国がん: 中村) • チェックリスト的なGCPの使い方ではない、原則を大事にする考え方 • 日本は、手順としてのGCPを思い浮かべる • 一方、欧米の研究者は、手順としてのGCPではなく、考え方としてのGCPに基づいてる • 日本の研究者は、「考え方のGCPである」と頭の切り替えが必要 (国がん: 中村) • GCP案にある“Should”は、ICHガイドラインは「べきである」や「必要がある」の解釈ではなく、 「推奨」と解釈し、これがベースの考え方だと理解するのが一般的 (製薬協: 小宮山) 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 安藤友紀、小室美子、日本製薬工業協会 (製薬協) : 小宮山靖、国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 17
参考 | 日本人のルールに対する考え方 ルールはお上から与えられるもの • ルールは官やお上といった権威のある人や組織が作るもの ルールを守るのは美徳 • 作られたルールの下で最善の努力をすること • 法律をきちんと守る • 地域の慣習や先生の教えを尊重し、それに従う • 会社では上司の要求を素直に聞き入る ルールに対する無関心 • ルールの目的や意味を理解せず、ただルールを守る • 実状に合わないルールを改めることや、新しいルールを作ることに無関心 18 増補改訂版 なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか ルールメーキング論入門 青木高夫 ISBN978-4-7993-1299-5 (c)Takao Aoki, 2013. 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
新しい点 03 - 目的への適合性アプローチの奨励 後向きなアプローチ 目的への適合性アプローチ ICH E8(R1)の重要な概念が基礎 「画一的な」アプローチを リスクに基づくアプローチを用いる 試験参加者の権利、安全・福祉を保護し、結果の信頼性を確保 取っていた 事後的な確認を中核とする するようデザインする Current State 後向きなアプローチ 何が重要か恣意的に決める ことが可能 適切なリスクベース アプローチ (リスクに基づく アプローチ) Future State クオリティカルチャーを醸成する 試験デザインに質を前向きに組み込む (QbD:Quality by Design) 試験の質に関する重要な要因 (CTQ要因:Critical to Quality Factor (s) ) (データとプロセス)を特定する CTQ要因のインテグリティ (完全性) を脅かし、最終的に試験結果 の信頼性を脅かすリスクを特定 試験プロセスとリスク軽減策 | 収集するデータの重要性と参加者 の安全性・試験結果の信頼性に対するリスクに見合ったもの 試験デザインは、運用上実施可能、不必要な複雑さを避ける 必要に応じてステークホルダー関係者の関与を得る 「臨床試験の一般指針」の改正について薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 19 2023/2/9 日本臨床試験学会第14回学術集会総会 シンポジウム S2-1 特定臨床研究の薬事利活用の手続きと合理化 国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 東大病院 R5年度国公私立大学医療技術関係職員研修 医療機関に求められる品質管理/データマネジメント 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会データサイエンス部会 小宮山靖 2023/06/21改変
補足 前向きなアプローチに必要なこと 異口同音に発言 前向きなアプローチ (QbD Quality by Design) に必要なこと • CTQ要因に重点を置いた検討を行う • 試験が備わっているべき特性、目的を達成するために持っているべきスペックが何かを考え、優先順位 をつけて対応する (PMDA: 坂口) • プロトコル特有の大事な点を挙げる (同意プロセスなど試験共通の重要な点は含めない) • 重要なことは何かを決め、プロトコルに書いて施設と共有し、リスク管理を行う (製薬協: 小宮山) • 現行GCPはリスクの同定から開始したが、改訂GCPはその上にCTQ要因が乗る形へ • 同意プロセスなど試験共通の重要な点は、組織のルーチンとして質を作り込むことが当たり前の時代に • CTQ要因に対し自組織としてどんなリスクがあり、リスクが顕在化しない (問題とならない) よう 予防措置を自組織なりに講じるか…という対応能力が必要 (製薬協: 小宮山) • 組織の品質管理システム (QMS Quality Management System) が大事である • ルーチンは組織のQMSで回し、試験特有のCTQ要因は開始時に特定してQMSを回す • 組織のQMSの上で、CTQ要因に合わせてフレキシブに変えることが重要 (国がん: 中村) 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 3.1 臨床試験におけるクオリティ・バイ・デザイン 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 坂口宏志、日本製薬工業協会 (製薬協) : 小宮山靖、国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 3.2 CTQ要因 20
新しい点 04 - 重要な業務に焦点を当てる 重要な業務に焦点を当てる • 臨床試験は規模、複雑さ、費用において大きく異なる • 各試験に関わる優先事項質に関する重要な要因及びその優先事項これらの要因に関連するリスクを慎重に 評価し、試験の目的を達成するために重要な業務に焦点を当てることにより、効率性を確保することができる GCPの原則 • 適切にデザインされていない試験及び(又は)適切に実施されない試験は、試験参加者の安全を危険にさらす、 又は不十分なもしくは信頼できないエビデンスをもたらす可能性があり、非倫理的である • このような試験は、リソース及び試験実施責任者と試験参加者の努力と時間を無駄にする 柔軟性を欠く画一的なアプローチは推奨されない (ICH-E8 3.3.1) • ツールやチェックリストだけに頼るのではない • 柔軟性を欠く画一的なアプローチは推奨されない 本質的な活動に労力を集中すべき (ICH-E8 3.3.1) • 試験結果を患者と公衆衛生にとって信頼でき意義があるものとし、かつ参加者のために試験を安全で倫理的 に実施するために、本質的な活動に労力を集中すべきである 21 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 3.2 CTQ要因 3.3.1開かれた対話を支える文化の形成 3.3.2試験に不可欠な活動への集中
補足 Proportionate (proportional) 異口同音に発言 Proportionate (proportional) [形容詞] 釣り合った、見合った、比例した • 臨床試験の中で重要なポイント (PMDA: 大庭) • 目的を考えた試験の質 • 限られたリソースの中での効率的な質 (PMDA: 小室) • 日本人はまじめなので手間をどんどんかけようという方向になりがち • 一般に日本では政府がルールを定め、民間はそれに従うという思考法になりがちである • 逆に民間が具体事例をもって政府に提案するという方向のアクションが最適化には重要 • 海外と議論すると、医薬品開発の効率化の観点がかなり入っている • 重要な因子に注目して、それ以外は注目しないことを忘れずに (国がん: 中村) • one size fit all=“万能” “どんな場合でも適用できる” “画一的”の考え方が通用しない • これさえやれば大丈夫!があれば人は楽だが、事態はそうではない • なぜこれが必要か?を考え、本当に必要なことに焦点を当てる • 今回を機にマインドセットを変えることは重要 (国がん: 中村) 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 3.2 CTQ要因 ロングマン辞典 https://www.ldoceonline.com/jp/ 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 大庭泉、小室美子、国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 2023/2/9 日本臨床試験学会第14回学術集会総会 シンポジウム S2-1 特定臨床研究の薬事利活用の手続きと合理化 国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 抄録より引用 22
新しい点 05 - 役割と責任の明確化 (原則10) 臨床試験における役割と責任は明確であり、適切に文書化されるべき • スポンサー又は試験実施責任者は、それぞれの職務、義務又は機能の一部又は全てを 委託又は委任することができる ただし、それぞれの業務に対する全責任はスポンサー又は試験実施責任者が負う • 業務をサービス提供者に委託又は委任する場合、試験データの品質及びインテグリティを 含む試験実施の責任は、それぞれスポンサー又は試験実施責任者にある • スポンサー又は試験実施責任者は、前述の業務について、それぞれ適切な監督を継続する • 新しいタイプの試験の場合 (分散型臨床試験 (DCT Decentralised Clinical Trial) など) の、 各々の責任の所在の明確化 (PMDA: 大庭) • 臨床試験責任者がe-Consent を使う場合であっても、スポンサーがシステム会社と契約や提供 するケースなどの責任 • 様々なスキルや資格が必要 (例 データサイエンティストの要件) • ベンダーやCRO (医薬品開発業務受託機関 Contract Research Organization) の事前評価 ICH E6 (R3) Principles (Draft Version: March 2021) 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 23 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 大庭泉
新しい点 06 - 関係者 (ステークホルダーinterested parties) の参画 関係者 (ステークホルダーinterested parties) の参画 • 臨床試験のデザインと実施は、患者とそのコミュニティ、患者支援団体、医療従事者専門家 などの関係者 (ステークホルダーinterested parties) の見解を得ることで支持されうる • 関係者 (ステークホルダーinterested parties) のインプットは、不必要な複雑さを軽減し、 実現可能性を高め、意味のある試験結果が得られる可能性を高めることができる • 近年、患者等を中心とした医薬品開発及び承認審査等の取組みが国際的にも重要視され、 欧米の規制当局では各種会議や関連ガイドライン策定への患者等の参加が進められている • 国内では、PMDAより「患者参画ガイダンス」が2021/9/7に公表された • 更に、製薬協の「Patient Centricity に関するガイドブック」やAMEDの「患者・市民参画 (PPI) ガイドブック」により各企業、アカデミアにおける製品開発や臨床試験での取組みが本格化 する等、患者参画に係る動きが活発化している 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 (PMDA) 患者参画ガイダンス 令和3年9月7日 24 PMDA 患者参画検討ワーキンググループ
新しい点 07 - イノベーションや効率性の促進 テクノロジーの探求の奨励 • この原則は、試験のデザイン及び実施に対する効率的なアプローチを支援することを目的としている • 例えば、ウェアラブルやセンサーなどの革新的なデジタルヘルス技術によって、試験の実施に あたって可能となるアプローチが拡大されうる • このような技術を既存の医療インフラに組み込むことで、臨床試験における様々な関連データソース の使用が可能となる • これにより、臨床試験を科学技術の進歩に沿って実施することができる • 臨床試験の実施における技術の使用は、試験参加者の特性及び個別の試験デザインに適合するように 調整されるべきである 包括性の促進 • 革新的な試験デザインと技術を用いることで、より幅広く多様な参加者を含めることができ、 それによって試験結果の適用範囲が広がる可能性がある 25
新しい点 08 - その他 「試験の実施」を使用 • 計画から報告までのプロセス (必要に応じて、計画、開始、実施、記録、監督、評価、解析及び 報告業務) が含まれる • GCPガイダンスが対象とする活動の範囲を拡大するため ICH-GCPガイドライン上の定義 • 臨床試験薬 investigational product の用語は、医薬品 (drug、medicine、medicinal product) 、 ワクチン及び生物学的製剤と同義とみなす 公衆衛生上の緊急事態/パンデミック • 公衆衛生上の緊急事態/パンデミックからの教訓の取り入れ 臨床試験の登録と結果報告による透明性を確保 インフォームド・コンセント • プロセスを強化するための文言の追加 26 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 27
ICH E6 (R3) 原則 1 倫理的原則 (R2の2.1、2.2、2.3、2.7、2.11) 1 • 特定の試験参加者集団が不必要に除外されないようにする インフォームド・コンセント (R2の2.9) 2 • 試験に関連する諸側面を考慮する (詳細は後述) 3 IRB/IECによる審査 (R2の2.6) • 適用される規制要件に従って定期的に審査する 科学的妥当性 (R2の2.4、2.5) 4 • 試験の変更が必要かどうかを判断するため、科学的知識及びアプローチを定期的に レビュー 適格な者 (R2の2.8) 5 • 臨床試験の全ての段階を通じて、様々な専門知識を有しトレーニングを受けた者が 必要となる場合がある (例 | 試験コーディネーター trial coordinator) 28 The ICH E6(R3) Introductory Training Presentation_E6(R3) Step 4 Presentation, developed in January 2025.
ICH E6 (R3) 原則 2 質 (強いて挙げるならR2の2.13 (過剰な解釈や比例性の欠如があったため直接盛り込まれていない) ) 6 • 得られる情報の質と量は、適切な意思決定を支援するものでなければならない リスクに基づく比例性 (Proportionality, risk-based) 7 • • • • 試験参加者の安全と結果の信頼性に焦点を当てる 試験参加に伴うリスクに焦点を当てる 患者を対象とする臨床試験は、通常の医療に伴うリスクを超えるリスクに焦点を当てる 試験参加者や試験実施責任者に不必要な負担をかけるべきではない 実施計画書 (R2の2.5) • 適切にデザインされた実施計画書は、試験参加者の保護及び信頼できる結果を得るための 8 根本となる • 実施計画書及び試験を実施するためのその他の文書 (統計解析計画書、データマネジメント 計画書、モニタリング計画書) は、明確、簡潔かつ運用上実施可能なものであるべきである Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/ The ICH E6(R3) Introductory Training Presentation_E6(R3) Step 4 Presentation, developed in January 2025. 29
ICH E6 (R3) 原則 3 信頼できる結果 (R2の2.10) • 試験プロセスは、試験の主要な目的を支持するものである必要がある • 臨床試験には、データのインテグリティの適切な管理を通じて、記録を管理するための 効率的かつ適切に制御されたプロセスを組み込むべきである • 臨床試験の透明性には、公的にアクセス可能なデータベースへの登録及び臨床試験の結果 の公開が含まれるべきである 9 役割と責任 10 • スポンサーによる業務委託及び試験実施責任者による業務の委任について明確化 • 適切な監督の継続 臨床試験薬 (R2の2.12) 11 • 臨床試験薬は、治療の割付けと一致する方法で、該当する場合、盲検性が維持される 方法で管理されなければならない • 試験参加者に提供される臨床試験薬の品質は保持されているべきである 30 The ICH E6(R3) Introductory Training Presentation_E6(R3) Step 4 Presentation, developed in January 2025.
原則 1 1. 臨床試験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、GCP 及び適用される規制要件を遵守して 実施する必要がある 臨床試験は、試験参加者の権利、安全及び福祉を確保するようにデザインして実施しなけ ればならない 1.1 試験参加者の権利、安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり、科学的、社会的利益より優先される べきである 1.2 試験参加者の安全性、試験継続の意思又は試験の実施に影響を及ぼす可能性のある新たな安全性情報の 入手に伴い、試験参加者の安全性が定期的適時にレビューされるべきである 1.3 予測されるリスク及び不利益は、個々の試験参加者及び社会にもたらされると期待されるベネフィット に照らして検討されるべきである 期待されるベネフィットにより、既知の及び予期されるリスクが正当化される場合にのみ、試験を開始し 継続すべきである 31
原則 1 (続き) 1. 臨床試験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、GCP 及び適用される規制要件を遵守して 実施する必要がある 臨床試験は、試験参加者の権利、安全及び福祉を確保するようにデザインして実施しなけ ればならない 1.4 臨床試験をデザインする際には、特定の試験参加者集団が不必要に除外されないよう、科学的な目標及び 目的を慎重に考慮すべきである 試験参加者の選定プロセスでは、より広範な集団全体で結果を一般化できるよう、将来の臨床試験薬が 承認された後に利益をもたらす診療で当該医薬品を使用する可能性が高いと予想される集団を代表する ものでなければならない試験参加者を特定すること 特定の試験(例:開発早期、proof of concept試験、生物学的同等性試験)では、このような不均一な 集団が必要とならない場合がある 1.5 適格な医師、又は適切な場合は適格な歯科医師(又は地域の規制要件に従い、適格なその他の医療 従事者)は、試験に関連して試験参加者に提供される医療及び試験参加者のために行われる医学的判断 に対して全責任を負うべきである しかし、実際的なやり取り並びに医療の提供及び決定は、適用される規制要件に従って、適切な資格を 有する医療従事者が行うことができる 1.6 試験参加者の個人を特定しうる情報の機密性は、適用されるプライバシー及びデータ保護要件に従って保 護されるべきである 32
参考 | ヘルシンキ宣言 脆弱性の性質は文脈的・動的に認識する必要があり、弱者を除外することは格差を悪化 させうることを認識することが重要である このため、適切な保護のもと、弱者のベネフィットを目的としてその研究参加を促進する 必要がある (§19, 20 ) • 弱者は保護されるべきであるとされてきた • CIOMS 2016 | 概念を覆す最初の国際合意 [例 | 子供、体の不自由な成人、女性 (社会的 除外を正当とする十分な科学的理由がある /肉体的に弱い立場にある人々、出産適齢期の女 のでない限り,健康関連研究の対象者に 性、妊娠中および授乳中の母親を含む) 、 含まれなければならない. 囚人、階層構造の底辺にいる人々、経済的に • • • 排除は格差を悪化させる可能性があり、 恵まれない人々、社会的烙印を押された人々] 参加による潜在的な危険と排除による危険を 結果、これらのグループは臨床試験から完全に 比較検討しながら、適切な支援を提供した上で、 排除されることが多かった 脆弱な人々の公平かつ責任ある参加を推進する 脆弱な人々すべてをデフォルトで排除すること • 排除されてきた集団にも研究機会を拡大する で、特定の集団 (特に女性、子供および人種・民 • 脆弱性は固定された状態ではなく (特定の集団を 族的マイノリティ集団) に対する最善の治療法に 恒久的に脆弱な存在と見なすのではなく) 、時間、 関するエビデンスの欠如が生じ、健康格差が拡 状況、特定の研究課題に応じて変化する可能性 大していた がある (多様かつ動的な背景を考慮する) • 様々な背景を持つ人々が研究に参加する重要性 Helsinki Statement an ad hoc group of stakeholders. Clinical Evaluation Vol.52 No. 3 Online Publication on Oct 18, 2024 and updated on Oct 21 and signatories/authors updated on Dec 16, 2024. Helsinki Statement from an Independent Stakeholders’ Group to Expand the Impact of the 2024 Revision of the WMA Declaration of Helsinki, http://cont.o.oo7.jp/52pop/HelsinkiStatement_18Oct24_final.pdf , (2024-12-27閲覧) 33
原則 2 2. インフォームド・コンセントは試験の倫理的な実施に不可欠な要素である 臨床試験への参加は、自由意思に基づき、試験参加者(又は該当する場合は その法定代理人等)が十分な情報を得て実施される同意のプロセスに基づくべきである 2.1 全ての試験参加者から、臨床試験に参加する前に自由意思によるインフォームド・コンセントを取得し、 これを文書化する必要がある インフォームド・コンセントを提供できない試験参加者となりうる者については、臨床試験に参加する 前に、試験参加者の最善の利益のために行動する、法定代理人等がインフォームド・コンセントを提供 すべきである このような参加候補者には、理解を容易にするような方法で臨床試験に関する情報を提供すべきである 未成年者が参加者である場合、適切な場合、現地の規制要件(ICH E11(R1) 小児集団における医薬品の 臨床試験に関するガイダンスを参照)に従って、未成年者から同意を得るべきである 34
原則 2 (続き) 2. インフォームド・コンセントは試験の倫理的な実施に不可欠な要素である 臨床試験への参加は、自由意思に基づき、試験参加者(又は該当する場合は その法定代理人等)が十分な情報を得て実施される同意のプロセスに基づくべきである 2.2 プロセス及び提供される情報は、試験参加者となりうる者が試験参加のベネフィットと、リスクと負担 を評価し、試験に参加するか否かについて情報を得た上で意思決定ができるようにすることを主目的と して達成できるよう、デザインすべきである インフォームド・コンセントのプロセスで提供される情報は、試験参加者候補又は法定代理人等が理解 できるように明確かつ簡潔にすべきである 2.3 インフォームド・コンセントのプロセスでは、試験参加者の特性、試験デザイン、医療的介入で予期 されるベネフィットと、リスクと負担、試験が実施される環境及び状況(例えば、緊急状況下における 試験)、並びに試験参加者(又は法定代理人等)に説明してインフォームド・コンセントを得るために 使用される可能性があるテクノロジーなど、試験に関連する諸側面を考慮すべきである 2.4 試験参加前に同意を得ることができない緊急事態においては、適用される規制要 件および施設審査委員会 /独立倫理委員会(IRB/IEC)によって承認されたプロセス に従って、参加者または法的に認められる その代理人からできるだけ早く同意を得なければならない 35
原則 3 3. 臨床試験は、IRB/IECによる独立した審査を受ける必要がある 3.1 臨床試験は、事前に IRB/IEC が承認した/肯定的見解を与えた得られた実施計画書を常に遵守して 実施されるべきである。 3.2 IRB/IEC による試験の定期的な審査も、適用される規制要件に従って実施されるべきである 36
原則 4 4. 臨床試験は、その意図した目的に対して科学的に妥当であり、また頑健適切かつ最新の科学的 知識及びアプローチに基づくべきである 4.1 臨床試験薬に関して、予定する臨床試験を裏付けるのに十分な、非臨床及び臨床情報が得られている べきである 4.2 臨床試験は、科学的に妥当であり、かつ、その臨床試験薬に関する既存の知識及び経験(必要に応じ、 治療、診断又は予防する病態、(病態及び治療臨床試験薬の両方に関して)基礎となる生物学的機序 の最新の理解、及び臨床試験薬が対象とする集団など)を反映しているべきである 4.3 試験開始後に新たな又は予期せぬ情報が得られる可能性があることから、試験の変更が必要かどうか を判断するために、最新の科学的知識及びアプローチを定期的にレビューすべきである 37
原則 5 5. 臨床試験のデザイン及び実施は、適格な者が行うべきである 5.1 臨床試験の全ての段階を通じて、様々な専門知識を有しトレーニングを受けた者(例:医師、看護師、 薬剤師、科学者、倫理学者、技術専門家、試験コーディネーター、モニター、監査担当者及び統計 専門家生物統計家)が必要となる場合がある 試験に関与する者は、教育、トレーニング及び経験により、それぞれの業務を十分に遂行しうる要件を 有するべきである 38
原則 6 6. 臨床試験の科学的及び運用上のデザイン及び実施において質が作り込まれるべきである 6.1 本ガイドラインにおいて、臨床試験の質は目的への適合性 とみなされる 臨床試験において得られる情報の質と量は、適切な意思決定を支援するものでなければならない 6.2 試験の質に関する重要な要因を前向きに特定する必要がある。これらの要因は、試験参加者の保護、 試験結果の信頼性及び解釈可能性、並びにこれらの試験結果に基づく意思決定の根本となる試験の 属性である クオリティ・バイ・デザインとは、試験が成功目的を達成する(すなわち、試験においてリサーチ クエスチョンに答える)可能性を最大限に高めるため、試験の質に関する重要な要因全ての構成要素 のデザインに焦点を当てることである 6.3 GCP、実施計画書及び適用される規制要件に対する重大な不遵守を回避、検出及び、対処し、 および再発防止のための戦略が実装されなければならない。 39
原則 7 7. 臨床試験のプロセス、手段及びアプローチは、試験参加者に対するリスクと収集されるデータ の重要性に見合った方法で実施されるされ、試験参加者および試験実施責任者に不必要な負担を かけないようにするべきである 7.1 試験のプロセスは、試験に内在するリスクと収集される情報の重要性に見合ったものであるべきである ここでいうリスクには、試験参加者の権利、安全及び福祉に対するリスク、並びに試験結果の信頼性に 対するリスクが含まれる 7.2 標準的な試験参加に伴うリスクに焦点を当てるべきである 患者を対象とする臨床試験については、通常の医療に伴うリスクを超える試験参加者へのリスクに焦点 を当てるべきである 製造販売承認を取得している臨床試験薬(臨床試験で使用する場合)に関連するリスクは、患者の日常 通常の診療とは異なる可能性があり、考慮されなければならない 7.3 試験の質に関する重要な要因に対するリスクを前向き積極的に管理し、試験開始後に新たな又は予期 せぬ問題が生じた際に調整する必要がある 7.4 試験プロセスは運用上実施可能であり、かつ不必要な複雑さ、手順及びデータ収集を避けるべきである 試験プロセスは、試験の主要な目的を支持するものである必要がある(原則9.3から移動) スポンサーは、参加者や試験実施責任者に不必要な負担をかけるべきではない 40
原則 8 8. 臨床試験は、明確、簡潔、科学的根拠があり、かつ運用上実施可能な実施計画書に記述される べきである 8.1 適切にデザインされた実施計画書は、試験参加者の保護及び信頼できる結果を得るための根本となる 8.2 試験の科学的な目的は、いかなる試験においても実施計画書に明確かつ明瞭に記載されていなければ ならない 8.3 実施計画書及び実施計画書を実行するための計画書又は文書(例:統計解析計画書、データマネジ メント計画書、モニタリング計画書)は、明確、簡潔かつ運用上実施可能なものであるべきである 41
原則 9 9. 臨床試験は信頼できる結果を生成すべきである 9.1 臨床試験で得られる情報の質と量は、目的への適合性があり、試験結果の信頼性を確保し、適切な意思 決定を支援するのに十分であるべきである 9.2 データの収集、管理及び解析を支援するシステム及びプロセス、並びに試験で得られる情報の質の確保 に役立つシステム及びプロセスは、目的に適合し、実施計画書に規定されるデータを収集し、また試験 参加者のリスクと収集されるデータの重要性に見合った方法で実行されるべきである 9.49.3 臨床試験で使用されるコンピュータ化システムは、目的に適合したものである必要があり、また(例え ば、必要に応じてリスクベースの検証を通じて)、また関連する臨床試験 データの完全性を確保するた めに、その設計又は臨床試験での使用を目的とした変更は、その質にとって重要な要因に対応したもの であるべきである 9.59.4 臨床試験には、データ記録のインテグリティ、トレーサビリティ及びを維持し、個人情報保護の適切な 管理を通じてすることで、記録(データを含む)を管理するための効率的かつ適切に制御された頑健な プロセスを組み込むべき であり、それにより臨床試験に関連する情報の正確な報告、解釈及び検証が可能となる 42
原則 9 (続き) 9. 臨床試験は信頼できる結果を生成すべきである 9.6 試験の実施及び結果の再構築を可能とし、試験結果の信頼性を確保するために、臨床試験に関連する 9.69.5 必須記録はスポンサー及び試験実施責任者によりが適用される規制要件に従って、必要な期間安全に保 存されすべきである これらの必須記録は、試験結果の信頼性を確保するために、試験の実施に関する適切な評価 を可能とす るよう、要求に応じて規制当局、モニター、監査者、IRB/IEC(該当する場合)が利用できるようにし なければならない 9.79.6 医薬品開発における臨床試験の透明性には、公的にアクセス可能かつ広く認知されたデータベースへの タイムリーに登録及び臨床試験の結果の公開が含まれる 参加者への臨床試験結果の伝達も考慮すべきである このようなコミュニケーションは、客観的かつ非宣伝的であるべきである 43
原則 10 10. 臨床試験における役割と責任は明確であり、適切に文書化されるべきである 10.1 スポンサー又は試験実施責任者は、それぞれの職務、義務又は機能(以下「業務」という) の一部又は全てを委託又は委任することができる ただし、それぞれの業務に対する全責任はスポンサー又は試験実施責任者が負う 10.2 合意書は、臨床試験における役割、業務及び責任を明確に規定し、適切に文書化されるべきである 業務をサービス提供者に委託又は委任する場合、試験データの品質及びインテグリティを含む 試験実施の責任は、それぞれスポンサー又は試験実施責任者にある 10.3 スポンサー又は試験実施責任者は、前述の業務について、それぞれ適切な監督 を継続するものとする 44
原則 11 11. 臨床試験で使用される臨床試験薬は、適用される医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準 (GMP)に従って製造され、製品規格及び実施計画書に従って保存、輸送、取り扱い及び廃棄 管理されなければならない 11.1 臨床試験で使用される臨床試験薬は、適用される GMP に従って製造されなければならない 11.2 試験参加者に提供される臨床試験薬の品質が保持されることを保証するための措置を講じるべきである 11.3 臨床試験薬は、実施計画書及び関連する当該試験の文書に従って使用されなければならない 11.4 臨床試験薬の製造、取扱い及び表示は、治療の割付けと一致する方法で行われ、該当する場合、 盲検性が維持される方法で実施されなければならない。 11.5 臨床試験薬の表示は、適用される規制要件に従わなければならない。 11.6 臨床試験薬が適切に取り扱われ、輸送されることを保証するための取扱い、出荷、保管、払い出し、 返却、廃棄又は代替措置の適切な措置を講じなければプロセスが実施されなければならない 45
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 46
試験参加者 Trial Participant 被験者 試験参加者 Subject / Trial subject Trial Participant 臨床試験に参加し、臨床試験薬の投与を受けるかこと Current State が予想される者又はその対照となる個人 Future State 本ガイドラインでは、試験参加者と参加者は同義語と して使用される • 臨床試験に参加する一部の人々から侮蔑的な意味で捉えられていたため • Patient Centricityの考え方を反映 • Patient Centricity とは「患者中心」を意味する概念で、Patient Engagement 、Patient Involvement、 Patient Public Involvement といった言葉も同義語として使われる • データを生み出すSubject (被験者) からParticipant (参加者) を中心に添えた考え方へ (製薬協: 小宮山) 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 坂口宏志、日本製薬工業協会 (製薬協) : 小宮山靖 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 患者の声を活かした医薬品開発 製薬企業によるPatient Centricity 2018年 6月 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会 タスクフォース3 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/ 47
法定代理人等 Legally Acceptable Representative 1.37 法定代理人等 Legally Acceptable Representative 法定代理人等 Legally Acceptable Representative 臨床研究への参加について、被験者になると 臨床試験への参加について、試験参加者になる 見込まれる者に代わって同意する権限が、 と見込まれる者に代わって同意する権限が、 Current State Future State 適用される法律によって認められている個人、 適用される法律によって認められている個人、 法人又はその他の団体 法人又はその他の団体。法的代理人による 参加者見込みの代理としての同意の提供に ついては、同意プロセス(および該当する場合 は再同意)に関連する活動、および本ガイド ラインに記載されている同意の撤回に関連する 活動は、参加者の法的代理人に対して適用され る。 48
アセント Assent アセント Assent 臨床試験に参加することに対する未成年者の肯定的な意思の表明 • 同意又は不同意を示す表現がないことを、アセントと解釈してはならない 他のICHガイドラインからGCPへの明記 ICH-E11 小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス 2000.12.15 2.6.3 インフォームドコンセント及びインフォームドアセント (両親/法的保護者及び小児被験者からの同意) • 被験者から臨床試験に参加するための,アセント (法的規制を受けない小児被験者からの同意) を 取得すべきである (年齢はIRB/IECや適合する国の法的要求により決定される) 。 対象 根拠 同意文書 (コンセント) 代諾者 (法的保護者) GCP 省令 50 条 アセント文書 小児被験者 (概ね中学生以上) 法的根拠なし (IRB・試験責任者の判断) アセント 小児被験者 (概ね7歳以上) 法的根拠なし (IRB・試験責任者の判断) 小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス 2000.12.15 小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスに関する質疑応答集 (Q&A) について 2001.6.22 49
インフォームド・コンセント Informed Consent インフォームド・コンセント Informed Consent インフォームド・コンセント Informed Consent • 被験者の参加の意思決定に必要な、研究に関する • 試験参加者又はその法定代理人等が、試験参加者 あらゆる観点からの説明がなされた後に、当該 の参加に対する意思決定に関連する試験のあら 研究に被験者が自発的に自らの意思によって参加 ゆる側面について説明を受け、話し合う機会を Current State することを確認する過程 • インフォームド・コンセントは、同意説明文書に Future State 与えられた後に、試験への参加に対する自らの 意思を自発的に確認する過程 署名と日付が記入されることによって記録として 効力を発する • 試験に関する情報提供及び話し合いにおいて様々 な方法を用いることができる。これには、例えば、 様々な形式の文章、画像及びビデオの提供、 並びに臨床試験実施施設スタッフとの電話又は ビデオ会議の使用などが含まれる • インフォームド・コンセントを、署名及び日付が 記入された、(紙の又は電子) 的な同意文書を 用いて記録する • 適切な場合、遠隔で同意を取得することを検討 してもよい 50
補足 インフォームド・コンセント取得に用いられる資料 Informed consent material (s) 同意説明文書 (説明・同意文書) インフォームド・コンセント取得に Informed consent form (ICF) 用いられる資料 Informed consent material (s) 51
原記録 Source Records 1.51 原データ Source Data 原記録 Source Records 臨床研究における臨床所見、観察、その他の活動に関する元の記録及び 保証された複写に記録されているあらゆる情報で、研究の再現と評価に 必要なもの。原データは原資料 (元の記録又はその保証付き複写) の中に 含まれる。 使用する媒体を問わず、原文書又は原データ (関連するメタデータを含む) 若しくは原文書 又は原データの保証付き複写 1.52 原資料 Source Documents Future State これには、試験参加者の医療記録/健康記録/ メモ/チャート、試験参加者が提供/入力した データ[例:電子患者報告アウトカム(ePRO)]、 薬局/検査室/臨床試験に関与するその他の 施設の医療従事者専門職による記録、並びに ウェアラブルやセンサーなどの自動装置からの データが含まれる場合がある 元の文書、データ及び記録 (例えば、病院の記録、診療及び事務チャート、 検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投薬記録、 自動計器の記録データ、正確な複写であることが保証された複写物又は 転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気 媒体、エックス線写真及び被験者ファイル及び臨床研究に関与する薬局、 検査室、医療技術部門に保存されている記録等) 1.22 証拠資料 Documentation ※J-GCPではこの定義はなく、原資料に含めて定義 研究の方法、実施及び (又は) 結果並びに研究の結果に影響を及ぼした要因及び講 じられた措置等に関しての記述又は記録したあらゆる方式の全ての記録 (筆記さ れた記録、電子的・磁気的・光学的記録、走査図、X線写真 及び心電図等が含まれるが、これらに限らない) 試験情報が文書とデータから構成されるように 拡大され、ソースデータが多数のコンピュータ 化されたシステムに含まれるようになったため 52 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
必須記録 Essential Records 1.23 必須文書 Essential Documents 必須記録 Essential Records 研究の実施と得られたデータの質を、個々に、 必須記録とは、臨床試験に関連するあらゆる 且つ、まとめて評価することを可能にする文書 形式の文書及びデータ (及び関連するメタ 等の記録 Future State データ) で、試験の継続的な管理を促進し、 Current State また、得られた試験結果の信頼性を判断する ために、使用された方法、試験に影響を及ぼす 要因及び試験実施中に取られた措置を評価する こと、並びに試験がGCP及び適用される規制 要件に従って実施されたことを確認することを 総合的に可能とするものである 試験情報が文書とデータから構成されるように拡大され、ソースデータが多数の コンピュータ化されたシステムに含まれるようになったため 53 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
臨床試験審査委員会/独立倫理委員会 IRB/IEC 1.31 臨床研究審査委員会 Institutional Review Board (IRB) 医学・科学の専門家及び非専門家によって構成される独立の委員会。当委 員会の責務は、特に、実施計画書、並びに被験者から文書によるイン フォームド・コンセントを得るのに使用される方法及び資料を審査、承認 し、また継続審査を行うことによって、被験者の人権、安全及び福祉の保 Current State 護を保証することである。 1.27 独立倫理委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 医学の専門家及び非専門家によって構成される独立の団体 (臨床研究審査 委員あるいは臨床研究機関、地域、国又は複数国にまたがる委員会) 。当 委員会の責務は研究に参加した被験者の人権、安全及び福祉の保護を保証 することであり、特に実施計画書、研究責任者及び設備の適格性、並びに 被験者から文書によるインフォームド・コンセントを得るのに使用される 方法及び資料を審査し、承認することによって、かかる保護に公の保証を 与えることである。 独立倫理委員会の法的地位、構成、機能、運営及び規制上の要件は、国に よって異なる場合もあるが、独立倫理委員会が本ガイドラインに規定する GCPに従って活動できることを保証するものでなければならない。 臨床試験審査委員会/独立倫理委員会 Institutional Review Board ( IRB) /Independent Ethics Committee (IEC) • 医学の専門家及び非専門家によって構成される 独立の団体 (機関の、地域の、国単位の又は複数 国にまたがる、審査委員会又は委員会) Future State • 当委員会の責務は、試験参加者の権利、安全 及び福祉の保護を保証することであり、特に、 実施計画書、試験実施責任者及び設備の適格性、 並びに試験参加者から文書によるインフォーム ド・コンセントを得るのに使用される方法及び 資料を審査し、承認することによって、かかる 保護に公の保証を与えることである • IRB/IECの法的地位、構成、機能、運営及び規制 上の要件は、国によって異なる場合もあるが、 それらはIRB/IECが本ガイドラインに記載する GCPに従って業務を行うことを可能とすべきで ある 54
試験実施責任者 Investigator 1.34 研究責任者 Investigator 試験実施責任者 Investigator 臨床研究機関において臨床研究の実施に • 臨床試験の実施 (試験実施中にその責任下にある試験参加 者を含む) に関して責任を有する個人 関して責任を有する個人 臨床研究機関において、研究が複数の者 Current State から成るチームにより実施される場合に は、研究責任者は当該チームの責任者 たるリーダーであり、Principal Investigatorと呼ばれることがある • 試験が複数の者から成るチームにより実施される場合には、 Future State 試験実施責任者は当該チームの責任者たるリーダーであり、 Principal Investigatorと呼ばれることがある • 本ガイドラインで試験実施責任者/臨床試験実施機関と 記載する場合は、一部の地域において試験実施責任者及び (又は) 臨床試験実施機関に適用されうる期待事項を記載 • 適用される規制要件により求められる場合は、 「試験実施責任者」を「試験実施責任者及び (又は) 臨床 試験実施機関」と読み替える • Investigator/Sub-investigatorが必ずしも施設に属しない形に • DCTの場合、治験責任医師/治験分担医師が施設に存在することを前提としないための変更 • 米国ではCROが直接investigatorと契約して患者宅へ派遣する形式のDCTもある 55 20230728_ICH E6 (R3) 医薬品の臨床試験の実施基準ガイドライン案説明会_E6 (R3) への期待 国立がん研究センター中央病院国際開発部門/臨床研究支援部門中村健一
試験実施分担者 Sub-investigator 1.56 試験実施分担者 Sub-investigator 試験実施分担者 Sub-investigator 臨床研究実施チームの個々のメンバーで、研究 臨床試験チームの個々のメンバーで、試験実施 責任者によって指名・監督され、臨床研究機関 責任者によって指名・され、監督 (oversight) Current State Future State で、研究に係わる重要な業務及び(又は)重要 下に置かれ、臨床試験に関連する重要な手順及 な決定を行う者(例えば助手、研修医、研究 び(又は)重要な決定を行う者(例えば助手、 員)。『研究責任者(Investigator)』を参照。 研修医、研究員) 56
臨床試験実施機関 1.30 臨床研究機関 Institution Institution 臨床試験実施機関 Institution 臨床研究が実施される、全ての公的又は その職責の元、臨床試験を実施する、 私的施設、その代行機関、あるいは医療 公的又は私設の施設又は機関あるいは Current State 施設又は歯科施設 医療又は歯科機関Future State 57
臨床試験実施施設 Investigator Site 1.59 研究施設 Trial Site 臨床試験実施施設 Investigator Site 研究に係わる業務が実際に行われる場所 試験実施責任者/臨床試験実施機関の 監督 (oversight) のもと、試験に関連する Current State Future State 業務がその場所において又はその場所を 起点に実施および/または調整される場所 • 分散した環境での臨床試験の運用に適応するため • DCTのサテライト機関、パートナー施設を意識 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/ 20230728_ICH E6 (R3) 医薬品の臨床試験の実施基準ガイドライン案説明会_E6 (R3) への期待 国立がん研究センター中央病院国際開発部門/臨床研究支援部門中村健一 58
スポンサー Sponsor 1.53 スポンサー Sponsor スポンサー Sponsor 臨床研究の立案、運営及び (又は) 資金に責任を • 臨床試験の立案、運営及び資金の取決めに 責任を負う個人、企業、機関又は組織 負う個人、会社、研究機関又は団体 Current State • 臨床試験では、規制要件の下で許可される場 Future State 合、単一又は複数のスポンサーが存在しうる • 全てのスポンサーは、本ガイドラインに規定 するスポンサーとしての責任を負う • 適用される規制要件に従い、スポンサーは 合意文書においてそれぞれの責務を定める ことができる • 当該文書による合意文書において特定の責務 がどのスポンサーに帰属するかが明記されて いない場合、その責務は全てその責務は全て のスポンサーが負うものとする 59
有害事象及び副作用に関連する定義 1 1.2 有害事象 Adverse Event (AE) 有害事象 Adverse Event (AE) • 医薬品 (臨床研究用薬を含む) を投与された • 臨床試験薬を投与された試験参加者に生じた 患者又は被験者に生じたあらゆるましくない 医療上のできごとCurrent State • 必ずしも当該医薬品の投与との因果関係が あらゆる好ましくない医療上の出来事 • 必ずしも医薬品の投与との因果関係が明らか Future State なもののみを示すものではない 明らかもののみを示すものではない • つまり、有害事象とは、医薬品 (臨床研究用 薬を含む) が投与された際に起こるあらゆる 好ましくない或いは意図しない徴候 (臨床 検査値の異常を含む) 症状又は病気のことで あり、当該医薬品との因果関係の有無は 問わない • 有害事象と有害反応の明確化 • 有害事象関連の定義は「有害事象及び副作用 に関連する定義」として、すべてひとまとめ にされ、特に副作用を定義するための臨床試 験薬との関連について、より明確になった • まとめとなる安全性情報が臨床試験薬概要書 の添付文書に記載されたことにより、その定 義が必要となった 60 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
有害事象及び副作用に関連する定義 2 1.1 副作用Adverse Drug Reaction (ADR) 副作用 Adverse Drug Reaction (ADR) • 未承認医薬品での臨床経験又は新規用法用量 (特に • 新規臨床試験薬又は新規用法・用量での承認前の 臨床経験の場合 (特に臨床用量が確立されない可能 性があるため) :投与量にかかわらず医薬品に関連 する好ましくない、意図しない反応 (例えば兆候 Future State (臨床検査の結果など) 、症状又は疾病) で、医薬品 と有害事象との間に合理的に因果関係が存在する 可能性があるもの 副作用の臨床試験薬との関連性に関する確実性の レベルは様々である。当該副作用が高い確実性を もって医薬品に関連していることが疑われる場合は、 安全性参照情報及び (又は) 臨床試験薬概要書に 記載されるべき • 市販後の医薬品の場合:疾病の予防、診断若しくは 治療、又は生理機能の調整のために用いられる通常 の投与量範囲で発生した、医薬品に対するあらゆる 有害で意図しない反応 (ICH E2Aを参照) 臨床用量が確立していない場合) については以下の 通り:投与量にかかわらず、投与された薬剤に関連 Current State する全ての有害で意図しない反応を副作用と考える べきである。 「薬剤に関連する反応」とは、当該薬剤と有害事象 の因果関係について、少なくとも合理的に可能性が ある。即ち、因果関係を否定できない反応を意味 する • 市販後の医薬品については以下の通り:有害で意図 しない薬剤に関連する反応であり、且つ疾病の予防、 診断、治療、又は生理機能の調整のために用いられ る通常の投与量範囲で発生した反応である 61
有害事象及び副作用に関連する定義 3 1.50重篤な有害事象又は重篤な副作用 Serious Adverse Event (SAE) or Serious Adverse Drug Reaction (Serious ADR) 重篤な有害事象 投与量にかかわらず、医薬品 (被験薬を含む) が投与 投与量にかかわらず生じたあらゆる好ましくない医療上の された際に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと 出来事のうち、以下により重篤とみなされるものをいう Serious Adverse Event (SAE) Current State Future State のうち、以下のものを言う • 死に至るもの、 • 死亡に至るもの • 生命を脅かすもの、 • 生命を脅かすもの • 治療のため入院又は入院加療期間の延長が必要なもの、 • 治療のため入院又は入院加療期間の延長が必要なもの • 永続的又は重大な障害/機能不能に陥るもの、または • 永続的又は重大な障害/機能不能に陥るもの • 先天異常を来すもの • 先天異常を来すもの (ICHE2A参照) 直ちに生命を脅かしたり、死亡または入院に至ったりは しないが、参加者を危険にさらす可能性がある、または 重篤な転帰(ICH E2AおよびE19を参照)を防ぐために 介入を必要とする可能性がある重要な医学的事象は、 一般的に重篤とみなされるべきである 62
有害事象及び副作用に関連する定義 4 予測できない重篤な副作用 Suspected Unexpected Serious Adverse Reaction (SUSAR) 疑われる (Suspected) 、予測できない (Unexpected) 、重篤 (Serious) の 3つの基準に該当する副作用 疑われる (Suspected) :当該医薬品が副作用を引き起こした合理的な可能性がある 予測できない (Unexpected) :その性質又は重症度が、医薬品に関する適用可能な情報 (例:臨床試験薬概要書又は適用される規制要件に従って代替となる 文書に含まれる)と一致しない副作用;安全性参照参照情報 (用語集 を参照) ) と一致しない副作用。安全性参照情報の詳細については、 ICHE2F「治験安全性最新報告」を参照のこと 重篤 (Serious) :上記の重篤な有害事象を参照を参照 63
安全性参照情報 (RSI) 安全性参照情報 Reference Safety Information (RSI) 臨床試験の試験参加者に投与される臨床試験薬に関して予測される副作用について、 これまでの累積一覧を含むもの 安全性参照情報は臨床試験薬概要書に含まれる、または適用される規制要件に従った 代替文書に含まれる。 RSIの詳細については、ICH E2F治験安全性最新報告を参照 • 付録A.臨床試験薬概要書のA.3.6 (b) 安全性及び有効性より抜粋 • 副作用の一覧表を作成し、発現頻度及び性質に関する情報を含め、安全性参照情報の 項として明確に示す • この一覧表を、重篤な副作用の予測性、及びそれに伴い規制要件に従って、緊急報告 を要するかどうかを判断するために使用する • 臨床試験薬の使用に際しての注意事項や特別に監視すべき事項についても記載 64
署名 Signature 署名 Signature 適用される規制要件及び (又は) 慣習に従った従って 、実行、採用、または承認 された、個人による固有のマーク、シンボル又は記入であり、意思の表明を示し、 署名者の認証を可能とするもの(すなわち、記録が主張された署名者によって 署名されたという高度の確実性を確立する)。署名は、物理的または電子的である。 • 署名が必要な文書 (例) • 臨床試験薬概要書 • 臨床試験実施計画書 • インフォームド・コンセント • 臨床試験総括報告書 • 委任された臨床試験実施施設スタッフの署名及びイニシャルを示す署名一覧 • 保証付き複写 Certified Copy 65
サービス提供者 Service Provider サービス提供者 Service Provider • スポンサー又は試験実施責任者のいずれかに対して、その1つ又は複数の 試験関連業務を遂行するために臨床試験実施中に利用されるサービスを提供 する、個人又は組織 (商業的、学術的又はその他) 開発業務受託機関 Contract Research Organisation (CRO) • サービス提供者を参照 • CRO (医薬品開発業務受託機関: Contract Research Organization) を含む • スポンサーや臨床試験責任者から臨床試験関連業務及び機能を委任される組織 の拡大に伴い、業務を請け負うすべての者を網羅し、CROのみの使用から脱却 するため 66 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
メタデータ Metadata メタデータ Metadata • 特定のデータ要素を理解するために必要なコンテキスト情報 • メタデータは、データを記述する、説明する、又はその他、データの検索、 使用又は管理を容易にする構造化された情報 • 本ガイドラインにおいては、関連するメタデータとは試験実施の再構築し、 適切な評価を可能にするために必要なものである 監査証跡 (Audit Trail) :事実経過の再構築を可能にするメタデータ記録 67
データ取得ツール Data Acquisition Tool (DAT) データ取得ツール Data Acquisition Tool (DAT) • 実施計画書に従って臨床試験のデータ生成源からデータ及び付随するメタデータ を収集し、そのデータをスポンサーに報告するためにデザインされた、紙ベース の又は電子的ツール • データ生成源は、人 (例:試験参加者又は試験スタッフ) 、機械 (例:ウェア ラブル及びセンサー) 、又は、あるシステムから別のシステムへのデータの 電子転送が実施されたコンピューターシステム(例:電子健康記録又は臨床検査 システムからのデータの抽出) の場合がある • データ取得ツールの例として、CRF、双方向応答技術 (IRT、患者報告アウト カム (PRO、を含む臨床アウトカム評価 (COA) 及びウェアラブル端末 (いずれも使用する媒体を問わない) があげられるが、これに限定されない 68
データインテグリティ Data Integrity データインテグリティ Data Integrity データインテグリティには、データが目的に適合するように、帰属性、判読可能性、 同時期性、原本性、正確性、完全性、安全性、信頼性といった重要な基準を満たす 度合いが含まれる Integrity [形容名詞] 1. 誠実さ、高潔、品行方正 2. 完全 (な状態) 、統合 3. (情報・統計値などの) 正確性、信頼性 4. 全体が1つの強力な単位としてまとまっている、または維持されている状態 ICH E9、E6を作成した専門家作業グループの認識 • Keep it as it is (それをあるがままの状態に保つこと) • Make every effort to keep it as it is (それをあるがままの状態に保つためにあらゆる努力を行うこと) • どのように誠実さを維持するかを含んだ概念と捉えられていた • 日本語訳では「完全性」と訳され、意味が明確に伝わっていない可能性がある Integrityを維持するための行動原理は「現場保全」 ロングマン辞典 https://www.ldoceonline.com/jp/ 69 2023/2/9 日本臨床試験学会第14回学術集会総会 シンポジウム S2-1 特定臨床研究の薬事利活用の手続きと合理化 国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 東大病院 R5年度国公私立大学医療技術関係職員研修 医療機関に求められる品質管理/データマネジメント 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会データサイエンス部会 小宮山靖 2023/06/21改変
監査証跡 Audit Trail 1.9 監査証跡 Audit Trail 監査証跡 Audit Trail 事実経過の再現を可能とする文書 • 情報及びデータ収集に関連して、また、該当する場合は コンピュータ化システム内の動作に関連して、実施された アクション(手動又は自動)に関する詳細を記録すること Current State Future State により、事実経過の再構築を適切に評価することを可能に するメタデータ記録 • 監査証跡は、動作、初期入力、及びデータフィールド又は 記録の変更を、誰が、いつ行ったか、並びに該当する場合 は何故行われたかを示すものであること。コンピュータ化 システムでは、監査証跡は安全であり、コンピュータに よって生成され、タイムスタンプが付されていること 70
コンピュータ化システムのバリデーション コンピュータ化システムのバリデーション Computerised Systems Validation • コンピュータ化システムの特定の要件が、設計からシステムの廃棄 又は新システムへの移行に至るまで一貫して満たされることを確立し、 文書化するプロセス • バリデーションに対するアプローチは、システムの使用目的及び システムが試験参加者の保護及び試験結果の信頼性に影響を及ぼす 可能性を考慮に入れたリスク評価に基づくべきである 71
臨床試験薬 Investigational Product 1.33 臨床研究用薬 Investigational Product 臨床試験薬 Investigational Product 臨床試験において被験薬又は対照薬として用い 臨床試験で被験薬又は対照薬として用いられる、 られる有効成分を含む製剤又はプラセボ。既承 有効成分を含む製剤又はプラセボ。既承認医薬 Current State Future State 認医薬品であっても、承認されていない(製剤 品であっても、承認されていない方法で使用 組成又は包装)方法で使用する場合、あるいは 又は構成(製剤組成又は包装)される場合、 承認されていない適応症に用いる場合或いは承 承認されていない適応症に用いる場合、あるい 認された用途についてさらに情報を収集する目 は承認された用途についてさらに情報を収集 的で用いる場合には、既承認医薬品も臨床研究 する目的で用いる場合には、既承認医薬品も 用薬に含まれる。 臨床試験用薬に含まれる。 臨床試験薬は、医薬 品、医療品、ワクチン、生物学的製剤と同義と 考えるべきである。 72
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 73
IRB/IEC 1 IRB/IECへの提出 (1.51.1) IRB/IECへの提出は、 • IRB/IECへの提出又は報告は (中略) 関連規制当局への提出も要求され 責任医師/機関が行う ているほとんどの地域では、適用される規制要件に従って、これらを まとめて 1 回の提出とすることができる。 • 適用される規制要件に従って、一部の地域では試験実施責任者/臨床 試験実施機関により、他の地域ではスポンサーにより行われることが 要求される場合がある IRB/IEC の目的 (1.2.1) IRB/IECは、全ての被験者の権利、安全及び IRB/IECの目的は、全ての試験参加者の権利、安全 福祉を保護しなければならない 及び福祉を保護することである 社会的に弱い立場にある者を被験者とする 社会的に弱い立場にある者を募集する試験については、 可能性のある研究には特に注意を払う必要 適切な配慮がなされるべきである がある 74
IRB/IEC 2 同意取得のデジタル化と多様なアプローチを反映 (1.1.21.2.2 (b) ) 同意説明文書 • インフォームド・コンセント取得に用いられる資料 • アセント文書資料 (該当する場合) • インフォームド・コンセントとアセントの取得方法の説明を含む 臨床試験薬概要書 (1.1.21.2.2 (c) ) 治験薬概要書 臨床試験薬概要書、又は適切な場合、製品の基本情報 (例:製品概要 (SmPC) 、パッケージ・リーフレット又は添付文書) などの最新の科学的知見 (これらの最新版を含む) 参加者への提供情報 (1.1.21.2.2 (d) ) 被験者への説明文書 試験参加者に提供されるその他の試験に関連する情報 (情報提供用の媒体に関する説明を含む) 75
IRB/IEC 3 安全性情報 (1.1.21.2.2 (g) ) 安全性に関する情報 安全性情報の継続的な更新 (IRB/IECの要件による) 継続審査 (1.1.41.2.4、1.3.41.4.4) 被験者に対する危険の程度 • 継続審査について、適切な頻度を決定すること に応じ、1年に1回以上の • 試験参加者に対するリスクの程度に応じた間隔で継続的に審査 頻度で継続的に しなければならない 未成年者 (1.1.71.2.7) 社会的に弱い立場にある者を 未成年者が試験に組み入れられる場合、IRB/IECは、当該登録予定 被験者とする可能性のある の未成年者集団の年齢、成熟度及び心理状態、並びに適用される 研究には特に注意を払う 規制要件を考慮してアセント情報を審査すべきである 76
IRB/IEC 4 試験参加者が試験参加に要した費用について支払われる可能性 (1.1.81.2.8) 試験参加者への支払いは、タイムリーに案分されるべきであり… 通常、移動及び宿泊などに対する試験参加者へが負担した費用の妥当な支払い払戻しは 強制されない 委員の構成 (1.2.11.3.1 (b) ) 少なくとも委員の1人は 委員の1人は医療科学以外の分野を専門とする 科学以外の分野を専門とする プロトコールからの逸脱に関する文言が簡素化 (1.3.71.4.7) 被験者に対する緊急の危険を回避する ために必要な場合、又は変更が事務的 事項のみに関するものである場合を 除き… 試験参加者に対する緊急の危険を回避するために必要な場合、 または適用される規制要件に従って、その変更が臨床試験の 後方支援面または管理面にのみに関わる場合を除き…逸脱や 変更 77
IRB/IEC 5 速やかな報告 (1.3.81.4.8 (c) ) 全ての重篤かつ予測できな い副作用 適用される規制要件に対応準拠した、全ての予測できない重篤な 副作用 (SUSARs) 記録 (1.4.11.5.1) 試験終了後少なくとも3年間保存 適用される規制要件に従って (保存期間の明記なし) 78
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 79
インフォームド・コンセント 1 情報 (2.8.1 (b) ) 理解可能で、できるだけ 非専門的な言語によるもの • 情報は可能な限り明確かつ簡潔にし、わかりやすい言葉を 使用して、不必要な量や複雑さを避けるべきである • 試験参加者又はその法定代理人等が、試験への参加に関して十分な 情報に基づき意思決定ができるよう、試験の目的、代替治療、潜在 的なベネフィットとリスク、負担及び、権利と義務試験参加者に期 待されることについて、十分に理解することを保証するものである こと 80
インフォームド・コンセント 2 プロセス (2.8.1 (c) ) なし (対面が前提) • 試験参加者への情報提供を含め、様々な方法 (例:文章、画像、ビデオ、及び その他の双方向的方法) を用いることができる • インフォームド・コンセントの資料やプロセスを作成する際には、臨床試験に 参加する可能性のある集団の特徴(例えば、参加者がコンピュータ化された システムに不慣れである可能性がある)や同意取得方法の妥当性を考慮すべき である。 • インフォームド・コンセントの取得にコンピュータ化されたシステムを使用 する場合、試験参加者は、代替案として紙ベースの方法を使用する選択肢を 与えることができる。適切な場合には、遠隔で同意を取得することを検討して もよい(2.8.1(d)へ移動) 81
インフォームド・コンセント 3 プロセス (2.8.1 (d) (e) ) なし • 適切な場合には、遠隔で同意を取得することを検討してもよい • インフォームド・コンセントのプロセスが対面または遠隔で行われるかどうか 関わらず、試験実施責任者は、適用される規制要件に従って、参加者(または 法的に認められる代理人)の身元を確認すべきである 参加継続の意思に影響を及ぼす可能性のある新たな情報 (2.8.2) • 再同意が必要かどうかを判断するために評価しなければならない (例:試験の段階に応じて、新たな情報が既存の試験参加者又は新たな試験参加者のみに関連 するかどうかを検討する) • 再同意が必要な場合 (例:新たな安全性の懸念に関する情報) 、改訂されたインフォームド・ コンセントの取得に用いられる資料において新たな情報を明確にする 82
インフォームド・コンセント 4 同意できない場合の例示 (2.8.5) 試験参加者本人が同意でき ない場合は、試験参加者に 代わって法定代理人等が… • 試験参加者本人が同意できない場合(例えば、未成年者、意思決定 能力が著しく低下した患者など)は、試験参加者に代わって法定 代理人等が… (2.8.14から例示移動) 平易な言葉 (2.8.6) 2.8.1(b)と重複のため削除 インフォームド・コンセントのプロセスで提供される情報及び翻訳は、試験参加者又は法定代理人等及び 公正な立会人(該当する場合)に関連しており、明確で、平易で、簡潔及び理解可能であるべきである。 83
インフォームド・コンセント 5 十分な時間と試験に参加するかどうかを決定する機会 (2.8.72.8.6) • 研究責任者又はその指名する者は、 • インフォームド・コンセントを取得する前に、 インフォームド・コンセントを取得す 試験実施責任者又は試験実施責任者に委任された る前に、被験者又はその法定代理人等 臨床試験実施施設スタッフは、正当な理由 (例: に対して、 彼らが研究の詳細について 救急状況下) がない限り、試験参加者又はその 質問する機会と、 研究に参加するか 法定代理人等に十分な時間を与え、試験の詳細に 否かを決断するのに十分な時間を与え ついて質問し、試験に参加するかどうかを決定 なければならない する機会を与えなければならない • 被験者又はその法定代理人等が満足 • 試験に関する質問には、試験参加者又はその法定 するように、研究に関する全ての質問 代理人等の納得がいくまで回答しなければなら に答えなければならない ない ⇔正当な理由 (例えば、救急状況下) がある場合 • 試験に参加するかどうかを決定する時間の短縮が可能 84 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
インフォームド・コンセント 6 署名 (2.8.82.8.7) (物理的な) 署名 同意書に署名することにより、試験実施責任者または委任された 臨床試験実施施設のスタッフは、 インフォームド・コンセントが 同意説明文書に署名する 参加者または参加者の法定代理人によって自由意思に基づいて ことにより、立会人は、… 与えられたこと、および同意に関する情報が参加者または参加者の 自由意思により与えられた 法定代理人に対して正確に説明され、それを理解されたことを証明 ものであることを証明する する。インフォームド・コンセントのプロセスには、物理的又は 電子署名及び日付が含まれる場合がある。 85
インフォームド・コンセント 7 取得に用いられる資料の項目 (2.8.112.8.10) (e) 試験参加者が守るべきことに期待されること (l) 試験への参加は試験参加者の自由意思によるものであり、試験参加者はいつでも試験への 参加を随時拒否又は撤回することができ臨床試験薬の服用を中止したり試験から離脱する ことができ、拒否・撤回によって試験参加者が不利な扱いを受けたり、本来受けるべきベ ネフィットを失うことはないこと。 (m) 臨床試験薬の服用を中止した参加者、試験から離脱した参加者、または試験から除外 された参加者に対する追跡調査手順 (mn) 適用される規制要件に従い、試験参加を中止した場合を含む、試験参加者のデータの 取扱いプロセス (op) 試験参加者の身元を明らかにする記録の秘密は保全され、適用される規制要件で認められ ている範囲内で公にされることはないこと。試験は、適用される規制要件に従い、公的に アクセス可能で広く認められたデータベースに登録される場合がある (uv) 試験の結果及び試験参加者の実際の治療に関する情報 (適切な場合) は、スポンサーから 入手可能な場合、試験参加者の希望に応じて提供されること 86
インフォームド・コンセント 8 未成年者 (2.8.132.8.12) なし (認知症患者と 同様の記載) • 未成年者を試験参加者に含める場合、同意プロセスの一環として 年齢に応じたアセント情報を提供し、未成年者と話し合い、必要に 応じて未成年者から試験に組み入れるためのアセントを取得すべき 試験期間中に未成年者が、法的に同意可能な年齢に達した場合には、 適用される規制要件に従って、再同意のプロセスを検討すべき 例外的な状況 (2.8.15) 例外的な状況 (例:公衆衛生上の緊急事態) で、インフォームド・コンセントを通常の方法で 取得及び文書化できない場合、現地のIRB/IECの要件及び適用される規制要件に従って、 代替となる手段及び技術を使用することを検討すること 87
試験実施責任者 01 試験を適正に実施しうる者としての適格性の根拠 (2.1.1) 最新の履歴書及び (又は) 要求される その他の適切な文書によって 適格性の根拠を提示する必要がある • 履歴書の提供に関する文章が削除 • 文書化、更新頻度について柔軟に対応 症例数の根拠 (2.2.1) 過去の実績により 後ろ向きのデータ又は現在入手可能なデータに基づいて 88 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 02 試験関連のトレーニングと委任に関する記録 (2.3.1、2.3.2、2.3.3) • 試験実施責任者は、試験固有関連の業務を他の個人又は組織に委任することができる • 試験実施責任者は、試験参加者の権利、安全及び福祉、並びにデータの信頼性を保証する ために、委任された業務を行う個人又は組織について最終的な責任を負い、適切な監督 (oversight) を継続 • 委任された活動に対する試験実施責任者の監督レベルは、委任された活動の性質によって 異なり、収集されるデータの重要性、試験参加者の安全性およびデータの信頼性に対する リスクに比例すべきである • 試験を補助する者に対する試験関連のトレーニングは、委任された試験関連の業務で日常の トレーニング及び経験を超えて実施される業務を遂行するために必要な内容とすべき • 試験実施責任者は、重要な試験関連の重要な業務を委任された個人及び組織の記録が保持 されることを保証しなければならない • 委任の文書化は、試験に関連する活動の重要性に見合ったものでなければならない • 臨床試験業務が日常診療に沿っての一環として実施される場合、委任に関する文書化/記録 作成は不要となる場合がある 89 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 03 サービス提供者 (2.3.1、2.3.4) • 試験実施責任者は、試験固有関連の業務を他の個人又は組織に委任することができる • 試験実施責任者は、適切なサービス提供者をの特定においてするために、スポンサーの支援 を受けることができる • ただし、スポンサーが提供した情報に基づき、試験実施責任者の支援を目的とするサービス 提供者が適切であるかどうかの最終判断は試験実施責任者が行う (3.6.63.6.5参照) • 試験実施責任者/臨床試験実施機関とサービス提供者との間でなされた試験関連業務に関す る合意は文書化されるべきである 試験実施責任者の活動を支援するサービス提供者に対するスポンサーの役割と、契約が確実に結ばれ、 その利用を許可するかどうかの決定と、試験実施責任者に代わって実施される業務に対する全責任を 試験実施責任者が保持することに関する新たな文章が追加 90 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 04 分散型臨床試験に対応 (2.3.2、2.3.3) • 試験実施責任者は、試験固有関連の業務を委任した個人又は組織が適切な適格性を有し、 適切に監督され、並びに実施計画書、臨床試験薬及び割り当てられた試験業務の関連事項 (現地の規制要件に従ってスポンサーが手配した訪問看護師など、他の組織が手配した スタッフが実施する業務を含む) について十分な情報を与えられることを保証すべきである • 試験実施責任者は、試験関連の重要な業務を委任された個人及び組織の記録が保持される ことを保証しなければならない • 分散型試験に対応できるよう更新が行われた • スポンサーがこれを促進することができるという新たな文章が追加 91 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 05 IRB/IECによる審査 (2.3.5) 研究責任者/臨床研究機関は、スポン サーによるモニタリング及び監査並びに 規制当局による査察を受け入れなければ ならない 試験実施責任者/臨床試験実施機関は、スポンサーに よるモニタリング、監査、並びに規制当局による査察を 受け入れなければならなず、また、適用される規制要件 に従って、IRB/IECによる審査を行うべきである IRB/IECへの報告 (2.4.1) • 研究責任者/臨床研究機関は、研究期 • IRB/IECへの提出は、適用される規制要件に従い、 間を通じ、IRBの審査対象となる書類 試験実施責任者/臨床試験実施機関又はスポンサーに を全て提出しなければならない よって実施される場合がある (1.51.1参照) 92
試験実施責任者 06 最新の試験参加情報/試験の実施状況の提出 (2.4.4、2.4.5) • 研究責任者は、研究の現況の概要を 年に1回又はIRBの求めに応じてそれ 以上の頻度でIRBに文書をもって提出 • 試験の進行に伴い、試験実施責任者/臨床試験実施 機関又はスポンサーは、適用される規制要件に従って IRB/IECに最新の試験参加者情報を提出 • 試験実施責任者又はスポンサーは、地域の規制要件に 従って、あるいは要求に応じて、試験の実施状況の 概要書をIRB/IECに提出 93 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 07 実施計画書からの逸脱 (2.5.22.5.3) • 研究責任者又は指名者 • 試験実施責任者は、実施計画書からの逸脱を全て文書化すべき は、承認された実施 • さらに、試験実施責任者が自ら確認したものに加え、試験参加者 計画書から逸脱した および試験実施に関連する実施計画書からの逸脱は、スポンサー 行為をすべて記録し、 から試験実施責任者に伝えられることがある(3.11.4.5.1(b)参照) その理由等を説明する • いずれの場合も、試験実施責任者は実施計画書からの逸脱を確認し、 重大なと見なされた逸脱について、試験実施責任者は逸脱の内容を 説明し、必要に応じて再発防止のための適切な措置を講じなければ ならない (3.9.3参照) • (ICH E3に従って) すべての逸脱を説明するのではなく「重大な」逸脱のみを説明する • いくつかの逸脱は試験実施責任者によって文書化されるのではなく、スポンサーから試験実施責任者に レビューのために提供されることを認めた • 該当する場合には、逸脱の再発を防止するための適切な措置 94 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 08 緊急の危険を回避するための逸脱 (2.5.4、2.5.5) 被験者の緊急の危険の回避 • 試験実施責任者は、実施計画書に従うべきであり、 逸脱又は変更の内容及び理由並びに 実施計画書からの逸脱は試験参加者の緊急の危険を 実施計画書の改定案(適切な場合)は、 回避するために必要な場合に限るべきである。試験 可能な限り早急に、以下のことを実施 参加者の緊急の危険を回避するために逸脱を行った しなければならない 場合、試験実施責任者はスポンサー、IRB/IEC 及び (a)IRBに提出し、その承認を得ること (又は)規制当局に速やかに連絡すること (b)スポンサーに提出し、その同意を 得ること (c)要求される場合には規制当局に 提出すること • 試験実施責任者は、緊急の危険、実施された変更及び その後の実施計画書の改訂案(もしあれば)に関する 情報を IRB/IEC及び(又は)(該当する場合は)規制 当局に報告すること(1.1 参照) 早期中止または中断 (2.6.1) 被験者に対する治療及び事後処理を 保証し… 試験参加者に対する適切な治療及びフォローアップを保証 確保しなければならない 95
試験実施責任者 09 試験参加者の医療 (2.7.1 (a) (b) ) 研究責任者が、 研究に関連する 医学 (又は歯学) 的 な全ての判断に 関する責任を負わ なければならない • 資格を有する医師、又は適切な場合は資格を有する歯科医師 (又は地域の規 制要件に従い、資格を有するその他の医療従事者) であって、試験実施責任 者又は試験実施分担者である者は、試験に関連する医療及び判断に対して 全責任を負う • その他の適切な資格を有する医療従事者が、その通常の業務の範囲内で、 地域の規制要件に従って試験参加者の医療に関わることがある • 医師と歯科医師が、臨床試験に関連する医療と判断に単独で責任を持つという制限が緩和され、 通常の業務の範囲内で、地域の規制要件に従った他の適切な資格のある医療従事者が関与できる 他院への試験参加の通知 (2.7.1 (d) ) 研究責任者は、被験者に主治医がいる場合には、 試験実施責任者は、試験参加者に主治医がおり、 被験者の同意のもとに、主治医に被験者の研究 主治医に連絡することについて試験参加者から への参加について知らせることが望ましい 同意が得られた場合、主治医に試験参加者の 試験への参加について知らせるべき 96 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 10 安全性に関する報告 (2.7.2 (a) (b) (d) ) • 研究責任者は、すべての 重篤な有害事象をスポン サーに速やかに報告しな ければならない • 緊急報告の後に、文書に よる詳細な報告を速やか に行わなければならない • 研究責任者は、規制当局 及びIRBに対する予測でき ない重篤な副作用の報告 に関して、適用される 規制要件を遵守しなけれ ばならない • 臨床試験薬投与前(スクリーニング期間中)に参加者に発生した好ま しくない医学的事象については、実施計画書で要求された場合には、 スポンサーに報告すべきである。 • 全ての重篤な有害事象を速やかに (合理的に試験実施責任者が当該事象 を知った後に) スポンサーに報告しなければならない • 試験実施責任者は、因果関係の評価も含めるべきである • 適用される規制要件に従い、緊急報告が不要である重篤な有害事象 (例えば、死亡又は評価項目であるその他の事象) を、実施計画書に おいて規定することができる • 試験実施責任者は、安全性に関する報告業務を適格な臨床試験実施施設 スタッフに委任することができるが、その臨床試験実施施設スタッフの 責任下にある試験参加者の安全性及び報告要件の遵守に対して全責任を 負う • 安全性報告の文章が簡素化された。安全性報告の試験実施責任者の委任について明記 • 基本的にSAE報告を直ちにスポンサーに報告するか、実施計画書規定の要件との相違に従う • 規制当局および IRB/IECへの予測できない重篤な副作用 (SUSAR) 報告に関する文章はスポンサーの責任のため削除 97 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 11 臨床試験への参加者の終了 (2.9.1、2.9.2、2.9.3) • 試験参加者が、臨床試験薬の投与中止、試験来院の中止若しくはまたは試験の完全な中止を決定した場合、 試験が中止される場合、又は通常の試験終了に至った場合、試験実施責任者は実施計画書及び/または その他の実施計画書の関連文書に従うべき • 試験の通常の試験終了に至らなかった参加者についてスポンサーの指示に従って適切なフォローアップの 措置を判断。これには、適用される規制要件に従って、既に収集された重要なデータの不必要な損失を 避けるための指示が含まれる場合があり、試験結果の信頼性を確保される • 一般的に、既に収集されたデータの損失は結果を歪める可能性があり、例えば臨床試験薬の 安全性 プロファイルに関する不正確な結論につながる可能性がある • 試験実施責任者は、懸念に対処する方法があるかどうかを判断するために、試験参加者又は法定代理人等 と参加中止の理由について話し合うことを話し合いが適切であるかどうか検討すべき • この話し合いは、参加者の意思決定に不当な影響を与えることなく、参加者が参加中止を再考できるよう な懸念に対処する方法があるかどうかを判断するために、参加中止の理由に焦点を当てるべき • 試験責任者または試験責任者の委任を受けた臨床試験実施施設スタッフは、試験参加者による参加中止を 最小限に抑えるために、試験参加者に対し参加継続の意義と重要性についての説明に努めるべきすること を検討すべき • このプロセスにおいて、試験実施責任者は、参加者がいつでも参加を拒否または離脱する決定を妨げない ようにすべき • 試験実施責任者は、該当する場合、盲検解除後にスポンサーから試験の結果及び試験参加者が受けた治療 に関する情報を入手した際には、試験参加者の希望を尊重の上、これらの情報を試験参加者に伝えるべき 臨床試験の質と結果の信頼性に重大な影響を及ぼす可能性があるため、臨床試験からの脱落者を減らすことが目的である 98 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 12 臨床試験薬の管理 (2.10.1、2.10.32.10.4) 臨床研究機関における臨 床研究用薬の管理責任は、 研究責任者/臨床研究機関 が負う • 試験実施責任者/臨床試験実施機関は、説明責任、取扱い、調剤、 管理及び返却を含む臨床試験薬の数量管理の責任を有する • 既承認医薬品については、地域の規制要件に従い、上記に代わる 方法を検討する場合がある • 既承認医薬品の搬入は試験や結果の信頼性に十分な場合は、文書化について既存プロセスが可能 (MHRA) • 治験以外の医薬品の介入研究もスコープに含まれる (2023/7/28国がん中村先生) 99 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
試験実施責任者 13 臨床試験薬の管理 (2.10.1、2.10.3、2.10.8、2.10.9) 臨床研究機関における 臨床研究用薬の管理責 任は、研究責任者/臨床 研究機関が負う • スポンサーは臨床試験薬管理プロセスの一部を支援促進することができる (例えば、コンピュータ化されたシステムなどのフォームや技術的解決策を 提供し、試験参加者への臨床試験薬の配布の手配)。 • 試験実施責任者が臨床試験薬管理に関する活動を委任している場合又はこれらの 業務の一部がスポンサーによって支援されている場合、臨床実施責任者の監督 レベルは、臨床試験薬の特性、投与の経路及び複雑性、臨床試験薬の安全性に 関する既存の知識のレベル及び販売状況など、多くの要因に依存する • 臨床試験薬は、参加者の自宅に発送されか、参加者により近い場所(例えば、 地元の薬局や地元の医療センター)に供給または調剤される場合がある 臨床試験薬は、試験実施責任者の臨床試験実施機関スタッフ、参加者本人、介護者 または医療専門家によって、参加者の自宅で投与される場合がある • 臨床試験薬の管理は、適用される規制要件に従って、手配および実施されるべきで あり、製品の完全性、実施計画書関連文書に基づく製品の使用、および参加者の 安全を 確保するための安全対策が講じられるべきである • 分散型臨床試験(DCT)を見据えた文言 100
試験実施責任者 14 無作為化の手順及び盲検解除 (2.11) 緊急時に患者試験参加者の安全を確保するため、試験実施責任者は試験開始時より、 盲検解除が必要以上に遅れることなくかつ支障なく実施できる体制を整えなければならない 試験責任者が、例えばスポンサーからの承認を待つ必要がないようにすること データのインテグリティ (完全性) を保証する (2.12.1、2.12.2) • 試験データの作成、記録及び報告において、試験実施責任者は、使用した媒体にかかわらず、 試験実施責任者の責任の下でデータのインテグリティ (完全性) を保証する • 試験実施責任者/臨床試験実施機関は、責任下にある各試験参加者の観察内容を含む適切な 原記録を保存すること • 原記録は、帰属性、判読性、同時性、原本性、正確性及び完全性を満たすこと • 原記録の変更は、追跡可能であり、元の記載内容を不明瞭にすべきではなく、必要に応じて (監査証跡を介して) 、当該変更は説明されるべきである • 試験実施責任者は、試験開始前に何を原記録とみなすか、データ取得の方法及び保存場所を 定義し、必要に応じてこの定義を更新すること • 原記録とデータ取得ツール間の不必要な転記手順は避けるべきである 101
試験実施責任者 15 適時レビュー (2.12.3、2.12.4、2.12.5) • 試験実施責任者は、スポンサーからデータへの 適時のアクセスを提供されるべきであり、 試験参加者の適格性、治療又は安全等に影響を及ぼす可能性がある外部ソースからの関連 データ[例:中央検査室データ、画像中央判定データ、他の医療機関の記録、及び適切な 場合は電子患者報告アウトカム (ePRO) データ]を含むデータのに適時にアクセスし、適時 にレビューする責任を負う持つべき(3.16.1(k)項参照) • 試験実施責任者は、スポンサーが臨床試験のために導入したシステムが、実施計画書又は 試験関連指示書の規定に従って使用されていることを保証する • 試験実施責任者は、データ取得ツール[例:症例報告書(CRF)]及びその他の必要な全て の報告書において臨床試験実施施設からスポンサーに報告されたデータについて、その正確 性、完全性、判読性及び適時性を保証すること(例えば、SAE報告書) • 試験実施責任者は、スポンサーと合意した重要なマイルストーン (例:中間解析) で、報告 されたデータのレビュー及び承認を行う(3.16.1(o)参照) 102
試験実施責任者 16 アカウント管理 (2.12.10 (b) ) スポンサーが導入したシステムについて、個人からのアクセス許可の変更または取り消す必要 がある場合は、スポンサーに通知する システム要件 (2.12.10 (b)(c) ) 試験実施責任者/臨床試験実施機関が固有の臨床試験のために導入したシステムについて、 4 章にあるコンピュータ化システムの要件が、参加者に対するリスクおよびデータの重要性に 比例して適切に規定されていることを保証する 試験参加者への貸与機器 (2.12.10 (c)(d) ) 試験実施責任者がデータ取得のための機器を試験参加者に提供する場合、トレーサビリティが 維持され、試験参加者に適切なトレーニングが提供されることを保証する 103
試験実施責任者 17 インシデントの報告 (2.12.10 (d)(e) ) コンピュータ化システムの使用及び操作において、試験データまたはシステムのセキュリティ に重大及び (又は) 持続的な影響を及ぼす可能性があると試験実施責任者/臨床試験実施機関が 判断した判断されたインシデントについて、スポンサー及び該当する場合はIRB/IECに当該イ ンシデントを報告することを保証する 記録の保管 (2.12.11) • 必須文書は、当該被験薬の ICH地域における最終の製造 • 試験実施責任者/臨床試験実施機関は、適用される規制要件 に従って必要とされる保存期間 販売承認後最低2年間、かつ • 又はスポンサーがこれらの記録が不要となった旨を試験実施 ICH地域において当該被験薬 責任者/臨床試験実施機関に通知するまでのいずれか長い方 に係る製造販売後承認申請 最長の期間、必須記録を保存 が審査中でなくなるまで、 • 又は臨床開発の公式中止後 最低2年間保存 • 試験実施責任者/臨床試験実施機関は、これらの記録の利用 可能性、アクセス可能性及び読み取り可能性を確保し、不正 アクセスや偶発的又は早期の破棄を防止するための措置を 講じるべきである 104
試験実施責任者 18 必須記録の保存責任者 (2.12.13) 試験実施責任者/臨床試験実施機関は、臨床試験実施施設が閉鎖される場合や試験 実施責任者が臨床試験実施施設を退職する場合など、記録の保存期間中、必須記録の管理責任 者の氏名をスポンサーに通知しておくべきである(2.12.11からの移動+修正) 臨床試験総括報告書 (2.13.2) 臨床試験調整医師が試験に関与する場合、当該試験調整医師が臨床試験総括報告書へ署名する ことを検討する (ICH-E3参照) 105
スポンサーが臨床試験責任者のデータを変更 スポンサーが臨床試験責任者のデータを変更 (3.16 (q)3.16.2(e) ) 治験責任医師 4.9.3記録及び報告 スポンサー 3.16データ及び記録 スポンサーは、スポンサーが指名 3.16.2 統計プログラミング及びデータ解析 した者によって行われた症例報告 (q)(e) 計画された統計解析からの逸脱、又は 書の変更又は修正が文書に記録 試験の盲検解除後にデータ解析対象集団に加えられ され、必要なものであり、かつ た変更 (該当する場合) は、明確に文書化して正当 研究責任者が承認したものである 化し、また、例外的な状況 (例:試験結果の信頼性 ことを保証するための手順書を のために解決しなければならないデータの不一致) 作成しておかなければならない においてのみ行われるべきである そのようなデータ変更は、試験実施責任者が承認し、 監査証跡に反映させなければならない 盲検解除後のデータ変更及び統計解析計画からの 逸脱は、臨床試験総括報告書で報告すべきである 責任医師の項目からスポンサーの項目へ項目移動 106 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 107
スポンサー 01 スポンサーの項目は大幅な変更と再編成 • スポンサーは、臨床試験のライフサイクルを通じて試験参加者の権利、安全性、福祉及び試験結果の 信頼性を保証するために、リスクに応じたプロセスアプローチを導入する責任を有する 試験のデザイン (3.1) • スポンサーは、試験計画時に、当該試験で採用される投与経路、用量、投与期間及び試験対象集団に おける曝露を支持するために、得られた安全性及び有効性に関する十分なデータ(例えば、非臨床試 験、臨床試験及び(又は)リアルワールドデータ源から得られた安全性及び有効性に関する十分なの データ)が得られていることを保証すべき • 開発計画及び実施計画書の立案を支援するために、インフォームド・コンセント取得に用いられる 資料及びその他の試験参加者向け情報を作成する場合には、多様な関係者ステークホルダー (例えば 医療従事者及び患者 ) からのインプットを考慮すべき • スポンサーは、試験参加者や試験実施責任者に不必要な負担をかけるべきではない リソース、業務の分担 (3.2、3.3) • 業務は委任できるが、責任は委任できないことによりタイトルが修正 • スポンサーが試験を実施するために十分なリソースを確保する文章が新たに挿入 108 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 02 適格性及びトレーニング (3.4) • スポンサーが適格な者を活用するよう記述 例:生物統計学者、臨床薬理学者、医師、データサイエンティスト/データマネージャー、監査担当 者及びモニター 合意事項 (3.6) • 臨床試験の関係者間の業務の委任移譲に関する合意事項 • 開発業務受託機関 (CRO) の項は削除され、代わりにこのセクションに記載 • サービス提供者 (Service Provider) という用語が使用され、開発業務受託機関 (CRO) は その一例である • 合意事項は、業務開始前に文書化されるべきとする文章が追加 (3.6.1) • 複数のスポンサーが関与する場合の責任の文書化に関する要求事項を定めた文章が追加 109 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 03 合意事項 (3.6) 3.6.3(c)試験関連の必須記録を、適用される規制要件に従って必要とされる保存期間、又はスポンサーが 試験実施責任者/臨床試験実施機関若しくは該当する場合サービス提供者にこれらの記録が不要と なった旨を通知するまでのいずれか長い方最長の期間、試験関連の必須記録を保存すること 3.6.4試験を開始する前に、臨床試験調整医師及び参加している他の試験実施責任者の責務が文書化され ていなければならない 3.6.6スポンサーは、適用される規制要件に従い、スポンサーの試験関連業務の一部又は全てをサービス 提供者に委託することができる ただし、試験参加者の権利、安全及び福祉の保護、並びに試験データの信頼性を含む、スポンサー の試験関連業務に関する最終責任はスポンサーにある 臨床試験業務の実施に用いられる全てのサービス提供者は、適切な品質マネジメントを実施し、 試験参加者の安全及び (又は) 試験結果に影響を及ぼす可能性のあるインシデントをスポンサーに 報告しなければならない 110 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 04 合意事項 (3.6) 3.6.9 スポンサーは、サービス提供者の選定及び監督のために、関連情報 (例:標準業務手順書 (SOP) 及び パフォーマンス指標) にアクセスできる必要がある 3.6.10 スポンサーは、サービス提供者に委託され、サービス提供者がさらに再委託されるする活動も含め、 重要な試験関連業務が適切に監督されることを保証しなければならない 3.6.11 サービス提供者が実施する試験関連業務は、関連するGCP要件に従って実施されるべきである (ただし、あり、これは、GCP準拠を目的として特別に設計されたものではないが、臨床試験の文脈に おいては目的に適合しているサービス提供者の既存の品質管理プロセスによってGCP要件が満たされる 場合もある) 試験実施責任者の選定 (3.7) • 多施設共同試験において、臨床試験調整委員会を設置及び(又は)臨床試験調整医師を選定活用する場合、 それらの設置及び(又は)選定の責任はスポンサーにあり、またそれらが試験に関与する前にそれぞれの 役割と責任は文書化されるべきである 111 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 05 IRB/IEC及び規制当局への報告 (3.8) • IRB/IECへの提出は、適用される規制要件に従い、試験実施責任者/臨床試験実施機関又はスポンサーに よって実施される場合がある (1.51.1参照) スポンサーによる監督 (3.9) 3.9.1 試験デザイン及び試験実施 、 実施されるプロセス 、生成された情報及びデータが十分な品質を 有することを保証 3.9.3 スポンサーは、実施計画書からの逸脱を、重要 (すなわち、試験参加者の権利、安全及び福祉、 並びに試験結果の信頼性に影響を及ぼすもの) なものと分類するために必要な、試験固有の基準 を決定すべき 重要な実施計画書からの逸脱とは、実施計画書からの逸脱のうち、試験データの完全性、正確性 及び/又は信頼性に重大な影響を及ぼす可能性があるもの、あるいは参加者の権利、安全性、 福祉に重大な影響を及ぼす可能性があるものである 3.9.5 スポンサーによる監督には、試験実施責任者及びサービス提供者の試験関連業務に関連する 品質保証及び品質管理プロセスが含まれる 112 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 06 スポンサーによる監督 (3.9) 3.9.5 スポンサーによる監督には、試験実施責任者及びサービス提供者の試験関連業務に関連する品質 保証及び品質管理プロセスが含まれる 3.9.6 スポンサーは、適切かつ適時に問題をエスカレーションし、フォローアップを確実にし、 適切な措置を適時に実施 3.9.8. 適切な場合、スポンサーは、特定の試験において、試験実施責任者が報告した重要な評価 項目を審査し、当該評価項目が実施計画書に規定された基準を満たしているかどうかを 判定する、評価項目の評価/判定委員会を設置することもできる バイアスを最小化するため、そのような委員会は、委員会によって審査されるデータに 可能な限りバイアスが含まれないことを保証するために、試験自体が盲検下で実施されるかどうか を問わず、評価を実施する際に治療の割付けに対して通常、盲検化されるべきである 3.9.9 独立データモニタリング委員会 (IDMC) :関連する専門知識を有する、利益相反管理が 適用された委員を含み、業務手順書 (例:規定書) を有し、決定を文書化 113 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 07 品質マネジメント (3.10) • 序文 • スポンサーは、試験の全過程を通じて品質マネジメントのための適切なシステムを導入すべきで ある • 品質マネジメントには、試験参加者の権利、安全及び福祉の保護、並びに試験結果の信頼性を 支持確保するため、試験実施(データ収集及び管理を含む)のツール及び手順を含む、効率的な 実施計画書のデザイン及び実施が含まれる • スポンサーは、相応の、リスクに基づくアプローチを品質マネジメントに採用すべきである • これには、臨床試験のデザインに質を組み込むこと(すなわち、クオリティ・バイ・デザイン)、 試験参加者の権利、安全及び福祉、並びに試験結果の信頼性に意味のある影響を及ぼす可能性 のある要因(すなわち、ICH E8(R1)に記載された質に関する重要な要因を特定することが含まれる • スポンサーは、試験で実行された品質マネジメントの方法を臨床試験総括報告書(ICH E3 参照) に記載すべきである 114 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 08 品質マネジメント (3.10) • リスクの特定 (3.10.1.1) • スポンサーは、試験開始前及び試験実施期間を通じて、試験の質に関する重要な要因に影響を 及ぼす可能性のあるリスクを特定すべき • 臨床試験で使用されるコンピュータ化システムを含むプロセスおよびシステム全体(例:患者 試験デザイン、参加者の選定、インフォームド・コンセントのプロセス、無作為化、盲検化、 臨床試験薬の投与、データの取り扱い、及びサービス提供者の業務)を通じ、リスクを検討すべき • リスクの評価 (3.10.1.2) • スポンサーは、以下の事項を考慮して潜在的なリスク特定されたリスクおよびリスクを軽減する ための既存の管理を評価すべきである 115 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 09 品質マネジメント (3.10) • リスクコントロール (3.10.1.3) • リスク低減策は、例えば実施計画書のデザイン及び実施、モニタリング計画、関連する当事者間 での役割と責任を定義した合意事項、SOP の遵守を保証するための体系的な予防手段、並びに プロセス及び手順のおよびトレーニングに組み込むことができる • 関連する場合、スポンサーは、このプロセス品質に重要な要因に対するリスク管理を支持する ために、ばらつきの事前に特定した許容範囲(例えば、試験レベルでの品質許容限界)を設定 すべきである • これらの事前に指定された範囲は、それを超えた場合に参加者の安全性または 試験結果の信頼性 に影響を及ぼす可能性のある限度を反映したものである • これらの範囲を超える逸脱が検出された場合、体系的な問題の可能性があるかどうか、及び対策 が必要かどうかを判断するために評価を実施すべきである 116 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 10 品質マネジメント (3.10) • リスクコミュニケーション (3.10.1.4) • スポンサーは、特定されたリスク及び該当する場合は低減策についてを文書化し、対策の実施に 関与する者又はそのような対策の影響を受ける者に伝えるべきである。コミュニケーションにより、 臨床試験の実施中のリスクレビュー及び継続的改善も促進される • リスクレビュー (3.10.1.5) • 必要に応じて、追加のリスク管理措置が実施されることもある • リスク報告 (3.10.1.6) • スポンサーは、重要な品質上の問題点(3.10.1.3(b)に詳述した許容範囲からの重要な逸脱に 関して、リスクを超えた事例を含む)及び講じられた措置を要約して報告し、これらを臨床試験 総括報告書(ICH E3参照)に文書化すべき 117 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 11 品質保証及び品質管理 (3.11) • 再編成に伴い、監査とモニタリングのセクションが移動 • 品質保証 (3.11.1) • 品質保証は臨床試験全体を通じて適用されるべき • リスクベースの戦略を導入する • 監査 (3.11.2) • 監査は、試験の実施に関連するリスクに見合った方法で行うべき • スポンサーによる監査は、通常のモニタリング又は品質管理業務から独立及び分離したものであり、 その目的は、試験の管理及び実施のために導入されるプロセスが有効かつ遵守されているかどうか 実施計画書、GCP及び適用される規制要件への遵守を確保するために適切であるかを評価する • スポンサーは、監査対象の臨床試験/プロセスに無関係の者を任命しなければならない • 3.11.2.2 監査手順(d) ただし、規制当局は(すなわち、重大な GCP 不遵守を示す証拠または疑いが 存在する場合又は法的手続きの過程において、)ケースバイケースで監査報告書の閲覧を求めることが できる 118 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 12 品質保証及び品質管理 (3.11) • 品質管理 (3.11.3) • データの取り扱いの各段階においてリスクベースのアプローチを用いて品質管理を適用すべきである • 適切な場合、品質管理活動は試験実施責任者の臨床試験実施施設以外の施設 (例えば、中央の画像読影 施設など)にも適用されるの品質管理[施設及び (又は) 中央での業務を含む]は、リスクに基づく アプローチを用いて実施し、報告することができる • モニタリング (3.11.4) • モニタリングの目的は、試験の進行に伴い、試験参加者の権利、安全及び福祉、並びに試験結果の 信頼性を保証することである • モニタリングは、主要な品質管理業務の一つである • 「研究開始前、実施中及び終了後に臨床研究機関を訪問してモニタリングを行う必要がある しかし、例外的な状況では、スポンサーは、中央モニタリングを採用することができる」旨の文章が削除 ⇨ モニタリング業務には、モニタリング戦略及び臨床試験デザインに応じて、施設モニタリング (訪問して及び/又は遠隔で実施) 及び中央モニタリングを含めることができると記載 119 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 13 品質保証及び品質管理 (3.11) • モニタリング (3.11.4) • これらのモニタリング業務の一部(中央モニタリングなど)は、異なる方法及び異なる役割を持つ者 によって実施される場合がある(例えばデータサイエンティスト) • モニタリングは、対象とする施設における臨床試験の実施に関与しない者が実施すべき • モニタリングは、臨床試験実施施設 (例:必要に応じて、臨床試験実施施設の薬局及び検査室を含む) での臨床試験業務との関連で実施される場合がある • モニタリング業務の頻度も、特定されたリスクに基づいて決定すべきである。得られた知識に基づいて、 モニタリング業務及びその頻度を適宜修正すべき • モニタリング業務は、業務の性質及びその目的に応じて、訪問して及び/又は遠隔で実施することが できる • モニタリングには、原記録、その他のデータ取得ツール及び必須記録保存システムへの安全で、 遠隔での、安全な読み取り専用の直接アクセスが含まれる場合がある 120 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 14 品質保証及び品質管理 (3.11) • モニタリング計画書 (3.11.4.3) • スポンサーは、特定された潜在的な安全性リスク、データの品質に対するリスク及び (又は) 試験結果 の信頼性に対するその他のリスクに応じたモニタリング計画書を作成すべき • 試験参加者の安全性及び試験の評価項目に関連する手順には特に注意を払うべき • 計画書には、モニタリング戦略、全ての関係者のモニタリング業務、使用する様々なモニタリング方法 及びツール、並びにそれらを使用する根拠を記載すべき • モニタリング戦略は、試験実施の適切な監督を保証し、施設の能力及び予測される負担を考慮すべき • 計画書は、品質にとって重要な側面に焦点を当てるべき • モニタリング計画書では、適用されるスポンサーの方針及び手順を参照すべき • 臨床試験実施施設外 (例:中央画像読影施設、中央検査機関) で実施される、重要なデータ及びプロセス (例:主要評価項目、重要な副次評価項目、及び患者の安全性を保証確保することを目的としたプロセス に関連するもの) のモニタリングについて、モニタリング計画書に記載すべき 121 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 15 品質保証及び品質管理 (3.11) • モニタリング業務 (3.11.4.5) • タイトルが「モニターの責務」から変更 (モニタリング活動がモニターの役割に限定されないため (例:中央モニタリングはその活動に関与するスタッフが関与する) ) • 一般に、各施設に、連絡先として担当モニターが割り当てられているべき • 実施計画書、GCP及び適用される規制要件からの関連する逸脱をが特定された場合、試験実施責任者 又は試験実施に関与するその他の関係者に通知し、必要に応じて、確認された逸脱の再発を防止する ための適切な措置を講じる • 必要に応じて重要な逸脱を明らかにし、改善努力の焦点とすべき • 逸脱、エラー又はデータの欠落に関連して講じられる措置は、その重要性に見合ったものである • 委任された業務及び経験を考慮し、試験実施責任者、臨床試験実施施設スタッフ、及び試験実施に 関与するその他の関係者が、試験について十分な情報を提供され、承認された最新の実施計画書、 及び実施計画書に関連するその他の文書(例:最新の臨床試験薬概要書、臨床試験薬に関する情報、 及び委任された業務に関する指示)に従っていることを確認する 122 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 16 品質保証及び品質管理 (3.11) • モニタリング業務 (3.11.4.5) • 当該臨床試験実施施設で組み入れられた全てのにおいて試験参加者から、試験参加前にインフォームド ・コンセントが得られていることを確認する • 原記録に関するスポンサーの実施計画書の要件及び施設におけるそのようなデータの保存場所を明確に 確認する該当する場合、盲検性が維持されていることを検証する • 試験参加者の登録状況及び継続率をレビューして報告する • 臨床試験薬管理のモニタリング (3.11.4.5.3) • 有効期限内に使用されること • 適切な場合は、無作為化手順に従って交付されること • 試験参加者、試験実施責任者、臨床試験実施施設スタッフ、その他の試験実施に関与する関係者に、 臨床試験薬の適切な保存、使用、取り扱い、保存、返却及び廃棄、又はそれに代わる処分について 必要な指示が与えられていること • 市販製品が適用される規制要件に従って払出し及び使用される場合、これまでに概説された考慮事項 の一部は適用されないことがあること Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog 123 https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 17 品質保証及び品質管理 (3.11) • モニタリング業務 (3.11.4.5) • 臨床試験データのモニタリング (3.11.4.5.4) • サンプル数とデータまたは記録の種類は、過去のモニタリング結果又はその他のデータ品質不良 の徴候に基づいて調整する必要がある場合がある • 実施計画書で要求され、モニタリング計画書で重要とより重要度の高いデータとして特定された データが原データと一致していることを検証する • 施設又は施設間におけるデータ収集及び報告の重大なエラー、予測されるデータ操作、及び データインテグリティ (完全性) の問題を特定する 124 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 18 不遵守 (3.12) • 試験実施責任者/臨床試験実施機関又はスポンサーのスタッフによる実施計画書、SOP、GCP 及び (又は) 適用される規制要件の不遵守は、遵守を確保するため、スポンサーによる適切かつ 相応の措置につながるべきである • 試験参加者の権利、安全又は福祉、あるいは試験結果の信頼性に重大な影響を及ぼす、又は 重大な影響を及ぼす可能性がある不遵守が認められた場合、スポンサーは、正当な理由がない 限り、根本原因の解析を行い、適切な是正及び予防措置を実施し、その妥当性を確認すべき • スポンサーは、試験参加者の権利、安全及び又は福祉、又は試験結果の信頼性に重大な影響を 及ぼす可能性のある問題(すなわち、重大なコンプライアンス違反)を特定した場合、 適用される規制要件に従って、規制当局及び (/又は) IRB/IEC、及び/又は試験実施責任者に 通知しなければならない 125 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 19 不遵守 (3.12) • 改善努力にもかかわらず、試験実施責任者/臨床試験実施機関またはサービス提供者の 重大な不遵守が継続していることがモニタリング及び (又は) 監査によって確認された場合、 スポンサーはその試験実施責任者/臨床試験実施機関の試験参加をの中止を検討すべきである • 不遵守のために試験実施責任者/臨床試験実施機関の参加をこのような中止する場合、 スポンサーは必要に応じて規制当局及びIRB/IECに速やかに通知しなければならない 重大な不遵守を速やかに通知し、試験参加者への影響及び結果の信頼性を最小化するための 措置を講じるべきである 126 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 20 安全性評価及び報告 (3.13) • 臨床試験薬概要書、又は該当する場合は、製品の基本情報等の最新の科学的知見が、臨床試験の安全性評価 及び報告の基礎となる • スポンサーは、必要に応じて安全性情報を集積し、関連する安全性情報を定期的適時にレビューすべき • これには、臨床試験薬投与前(例えばスクリーニング中)に参加者に発生した、報告された好ましくない 医学的事象のレビューが含まれる • スポンサーは、適用される規制要件及びICH-E2Aに従って、Suspected(疑われる)、Unexpected (予測できない)、Serious(重篤)な全ての副作用(例:SUSARs)について、規制当局への報告を 迅速に行わなければならない • 試験実施責任者/臨床試験実施機関及びIRB/IECへの予測できない重篤な副作用の報告は、必要な措置 の緊急性を反映した方法で行い、製品の安全性プロファイルに関する知識の進展を考慮に入れるべきで あるあり、適用される規制要件に従って行わなければならない実施されるべきである • 一部の地域では、全般的な安全性評価とともにラインリストを定期的に報告することが適切な場合がある • 緊急対応又は措置を必要とする緊急の安全性に関する問題は、不当に遅れることなく、適用される 規制要件に従ってIRB/IEC及び (又は) 規制当局及び試験実施責任者に報告しなければならない 127 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 21 安全性評価及び報告 (3.13) • 試験実施責任者によるスポンサーへの報告に関する他の取決めについては、規制当局及び、 (該当する場合は、IRB/IEC)と事前に合意し、実施計画書に記載すべきである (例:盲検解除及び緊急報告の対象とならない、有効性又は安全性評価項目とみなされる重篤な有害事象。 ICHE2A参照) 。ICHE19を参照。 臨床試験薬 (3.15) • 既承認医薬品の場合、スポンサーは試験で使用する製品の基本情報を特定しなければならない • スポンサーは、臨床試験薬の許容される保存温度及びその他の、保存条件(例:遮光)及び保管期間、 適切な溶解液及び手順、並びに注入臨床試験薬用の器具(該当する場合)を決定しなければならない • 盲検試験では、スポンサーは以下の事項を導入しなければならない (3.15.2 (d) ) • 必要に応じてスポンサーのスタッフ、試験参加者、試験実施責任者及び(又は)臨床試験実施責任者 機関スタッフを含む個人に対し、臨床試験薬の識別情報及び割付けに対して盲検化しされるプロセス、 不適切な盲検解除を防止及び検出するプロセス • 盲検解除が必要と考えられる医学的緊急事態が発生した場合に、他の試験参加者の治療方法の割付け の識別情報を保護しながら、試験実施責任者が迅速に当該臨床試験薬を識別できるようにする手順 及び仕組み Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog 128 https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 22 臨床試験薬 (3.15) • 臨床試験薬の交付及び取扱い (3.15.3) • スポンサーは、試験実施責任者/臨床試験実施機関に臨床試験薬を交付する責任を有する • 適切な場合は、適用される規制要件に従い、試験参加者に臨床試験薬を交付することができる • 臨床試験薬の供給はIRB/IEC及び規制当局から試験に関する必要な承認/肯定的見解を取得後に行なう • 例えば、臨床試験薬の特性、投与経路および複雑さ、臨床試験薬の安全性プロファイルに関する既存の 知識レベルを考慮することにより、出荷および調剤に関 する様々なアプローチが実施されうる • 臨床試験薬管理は、適用される規制要件に従って手配され、実施されるべきであり、また、製品の 完全性、プロトコールに従った製品の使用、および参加者の安全性を確保するための保護措置が 講じられるべきである • スポンサーは、臨床試験薬の取り扱い及び保存に関する指示が、試験実施責任者/臨床試験実施機関 又は試験参加者に提供されることを保証しなければならない 129 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 23 臨床試験薬 (3.15) • 臨床試験薬の交付及び取扱い (3.15.3) • スポンサーは以下の事項を実施しなければならない (3.15.3 (c) ) • 試験の中断を回避し、試験参加者の治療を継続するために、適用される規制要件に従い、試験実施 責任者、又は適切な場合には試験参加者に臨床試験薬を適時に交付提供する • 臨床試験薬の回収(例:欠陥品の回収、試験終了後の返却及び廃棄又はそれに代わる処分、又は 有効期限切れの臨床試験薬の回収)及びその文書化/記録のためのシステムプロセスを保持する • 未使用臨床試験薬の処分及びその処分の文書化/記録のためのシステムプロセスを保持する • 既承認医薬品をが、現地の規制要件に従って、承認された状態から変更せずに臨床試験薬として 使用する試験では、製造業者がサンプルを保存するため、スポンサーがサンプルを保存する必要は ないかもしれない • このような場合、サンプルは通常、製造者が保管する 130 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 24 データ及び記録 (3.16) • データの取り扱い (3.16.1) (b) スポンサーは、信頼できる結果を生成するのに十分な品質を有することを保証するために、データの 取り扱いの各段階に対して品質管理を適用すべき スポンサーは、品質保証及び品質管理活動、並びに関連するメタデータを含む重要なデータのレビューを 含む品質保証及び品質管理活動を、より重要度の高いデータ及び関連するメタデータに焦点を当てるべき (c) スポンサーは、収集すべきデータ及びその収集方法を実施計画書に事前に規定すべき 必要に応じて、データフロー図などの追加の詳細を実施計画書に関連する文書 (例:データマネジメント 計画書) に含める (e) スポンサーは、データのライフサイクル全体のデータインテグリティを確実にするために、文書化された プロセスが導入されていることを保証すべき (g) スポンサーは、該当する場合、盲検解除について説明する手順書を整備すること(3.16.2(e)からの移動) これらの説明に以下の事項を含めるべき (i) 誰がどの時点で、どのような目的で盲検解除されたか (ii) 誰を盲検化されたままとすべきか (iii) 盲検性を維持するために講じられた予防手段 131 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 25 データ及び記録 (3.16) • データの取り扱い (3.16.1) (h) スポンサーは、必要に応じて、試験実施責任者/臨床試験実施機関、サービス提供者及び試験参加者に 対し、データ取得、データ変更、データ保持及びデータ廃棄に関する期待についてガイダンスを提供 すべき (i) スポンサーは、正当な理由が正当化して文書化/記録しあり、試験実施責任者が事前に同意し、文書化 した場合を除き、スポンサーは、試験実施責任者又は試験参加者が入力したデータを変更すべきではない (j) スポンサーは、試験実施責任者/試験参加者からの要求があった場合、試験参加者が入力したデータを 含め、データの誤りの修正を許可すべき このようなデータ修正は、元の入力が行われた時期の原記録によって正当化及び裏付けられるべき 132 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 26 データ及び記録 (3.16) • データの取り扱い (3.16.1) (k) スポンサーは、試験実施責任者が試験期間中に実施計画書に従って収集したデータにタイムリーに アクセスできることを保証すべき これには、外部の情報源からの関連データ(例えば、中央検査室データ、画像中央読影データなど、 外部の情報源からの関連データ、及び該当する場合は、ePRO データ)も含まれる これにより、試験実施責任者が意思決定 (例えば、個々の試験参加者の適格性、治療、試験参加継続 及び安全性へのケアに関する決定) するために必要なePROデータも含まれるを行うことができる スポンサーは、試験実施責任者の盲検が解除される可能性のあるデータについて特に注意を払いを 共有しないよう、実施計画書に適切な対策を含めるべきである。 (l) 検出不可能な変更を防ぐため、スポンサーは、データ取得ツールに取得されたデータの排他的管理を 行うべきではない (o) スポンサーは、事前に定めた重要なマイルストーンにおいて、試験実施責任者にそれぞれが得た、 報告されたデータの承認を求めなければならない 133 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 27 データ及び記録 (3.16) • データの取り扱い (3.16.1) (p) スポンサーは、データが十分な質であることを保証するために、解析前に実施すべきデータマネジメント のステップを文書化決定すべきである これらのステップは、実施する解析の目的(例:IDMCのためのデータ、中間解析又は最終解析のための データ)によって異なる場合がある これらの手順の完了は文書化されるべきである (q) 計画された中間分析については、分析に十分な品質のデータを得るためのステップに応じて、データへの アクセスと変更の能力を管理すべきである (r) 最終解析のためにデータを提供する前、及び該当する場合には試験の盲検化を解除する前に、データ取得 ツールへの編集アクセスを解析目的に応じて適切に制限すべき 例:中間解析の場合の制限は、一時的なものである又は最終解析とは異なる方法で管理されることがある 計画された統計解析からの逸脱、又は試験の盲検解除後にデータ解析対象集団に加えられた変更 (該当す る場合) は、明確に文書化して正当化し、また、例外的な状況 (例:試験結果の信頼性のために解決しなけ ればならないデータの不一致) においてのみ行われるべきである。データ変更は、試験実施責任者が承認 し、監査証跡に反映させなければならない Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog 134 https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 28 データ及び記録 (3.16) • データの取り扱い (3.16.1) (s) スポンサーは、各試験参加者について報告された全てのデータの識別を可能にする明確な試験参加者識別 コードを使用すべき (u) スポンサーは、適用される規制要件に従い、またプロトコールに沿って、試験参加者が試験の参加をとり やめる又は中止 した場合の、参加者のデータの取り扱いについて文書化/記録すべきがどのように取り扱われるかのプロセ スを記述すべき (w) スポンサーは、試験データに重大な影響を及ぼすインシデント (セキュリティ侵害を含む) を、必要に応じ て規制当局を含む、関係者に報告するためのプロセス及び手順を整備すべきである 135 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 29 データ及び記録 (3.16) • データの取り扱い (3.16.1) スポンサーが導入したシステムの場合: (ⅰ) 臨床試験で使用される重要なコンピュータ化システムの記録を所持する (ⅱ)スポンサーが設置したコンピュータ化システムの要件 (例:バリデーション、監査証跡、ユーザー管理、 バックアップ、障害回復、ITセキュリティの要件) が規定及び実装されること、及び臨床試験における コンピュータ化システムの正しい開発、保守、使用を確実にするための手順書と適切なトレーニング が整備されていること (4章参照) を保証する (iii) システムへのアクセスが許可されている個々のユーザー、その役割及びアクセス権アクセス許可 の 記録を保持する (iv) 臨床試験実施施設スタッフに付与されるアクセス権アクセス許可 は、試験実施責任者による委任に 従うものであり、試験実施責任者が可視化できるようにすることを保証する (v) サービス提供者及び試験実施責任者が、特定されたシステムの欠陥について、スポンサーに通知する ためのプロセスが整備されていることを保証する 136 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 30 データ及び記録 (3.16) 試験責任者/臨床試験実施機関が導入したシステムの場合: (ⅵ) 試験の原記録を含むと特定された場合(例:電子健康記録及び原データ収集のための電子健康記録 及びその他の記録保存システム、及び臨床試験実施施設ファイル)、そのようなシステムが目的に 適合しているか、又は既知の問題によるリスクを適切に軽減できるかを評価する この評価を、臨床試験実施施設の選定過程で実施し、文書化する (ⅶ) サービス提供者及び臨床試験で臨床業務のコンピュータ化システム(例:試験実施責任者または 臨床実施機関が、特定されたシステムの欠陥、又は使用または導入する電子カルテや画像診断 システム)の使用が検討されている場合、これらのシステムは、臨床試験の目的に適合しているか 評価されるべきである (ⅷ) 評価は臨床試験で使用する前に実施すべきであり、そのシステムで管理されるデータの重要度に 見合ったものでなければならない 臨床試験データの機密性および完全性の保護を確保するのに役立つデータセキュリティ (バックアップ対策を含む)、ユーザー管理、監査証跡などの要因は、適切に考慮すべきである 137 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 31 データ及び記録 (3.16) 全てのシステム: (ⅸ) サービス提供者および試験実施責任者/臨床試験実施機関が、臨床試験実施計画書、試験手順書 若しくは手順、適用される規制要件、またはGCPに対する重大な不遵守となる可能性のある インシデント事象を、3.133.12に従い、スポンサーに通知するプロセスが整備確立されている ことを保証確保する 138 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 32 統計プログラミング及びデータ解析 (3.16.2) (a) スポンサーは、データ分析の方法が試験実施計画書で十分に説明されている場を除き、試験実施計画書 と整合性があり、データ解析の方法を詳細に説明した統計解析計画を作成すべきである (b) スポンサーは、統計プログラミング及びデータ解析の適切な、かつ文書化された品質管理が実装される ことを保証すべきである (例えば、症例数の算出、IDMC委員会の審査における分析結果、試験報告書 へのアウトプット、統計モニタリング又は中央モニタリング) (d) スポンサーは、あらゆる解析対象集団に対する各試験参加者の割付け組み入れまたは除外基準が事前に 定められていること(例:実施計画書又は統計解析計画書などにおいて)を保証すべきである 全試験参加者(又は特定のデータポイント)の選択又は除外の根拠は明確に説明され文書化/記録される べきである (f) スポンサーは、実施された品質管理/バリデーション業務を含め、試験結果の報告書に含まれる又は 使用されたアウトプットに関連する統計プログラミング記録を保存すべきである。アウトプットから 統計ソフトウェアプログラムが追跡可能であり、日付と時刻のタイムスタンプが付与され、あらゆる 変更から保護され、またバイアスをもたらす可能性のある情報の不適切な閲覧を避けるためのアクセス 制御が実施されるべきである 139 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 33 記録の保存 (3.16.3) (a) スポンサー (又はその後のデータ所有者) は、適用される規制要件に従って、試験に関するスポンサー 固有の全ての必須記録を保存しなければならない (b) スポンサーは、試験に関連する必須記録を保存する必要があることを要件を、試験実施責任者/ 臨床試験実施機関及び適切な場合はサービス提供者に、適宜、文書で通知し、また該当する場合、 規制要件に従って、試験に関連する記録が不要となった場合は、試験実施責任者/臨床試験実施機関 及び適切な場合はサービス提供者に、適宜、文書で通知しなければならない (c) スポンサーは、必須記録の所有権を譲渡した場合には、適用される規制要件に従い、適切な該当する 規制当局に報告しなければならない また、スポンサーは、臨床試験のスポンサーシップに変更があった場合も試験実施責任者にも通知 すべきである 140 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 34 記録の閲覧 (3.16.4) (a) スポンサーは、試験に関連するモニタリング、監査、規制当局の査察、並びに適用される規制要件に 従って IRB/IEC の審査及び規制当局の査察に対して、試験実施責任者/臨床試験実施機関が原記録を 直接閲覧に供することについて、実施計画書又は他の合意文書に明記されていることを保証しなければ ならない (b) スポンサーは、試験に関連するモニタリング、監査、IRB/IEC の審査及び規制当局の査察に対して、 試験参加者がインフォームド・コンセントの一環として、試験参加者の原医療記録及びその他の試験 参加者に関する試験文書3.16.4(a)(2.8.10(n)項参照)に概説された目的のために、試験参加者が 原記録を直接閲覧に供することに同意していることを保証しなければならない 141 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 35 報告書 (3.17) • 試験の早期中止又は中断 (3.17.1) • 適切な場合、スポンサーは試験実施責任者に、参加者に対するその後の治療の可能性や追跡調査に 関する情報を提供すべきである • 臨床試験総括報告書 (3.17.2) (a) 試験の完了又は早期中止、若しくは規制当局への提出のための中間解析、いずれの場合でも、 スポンサーは、中間報告を含む、臨床試験総括報告書が適用される規制要件に従って作成され、 規制当局に提出されることを保証 (b) 臨床試験調整医師が試験に関与する場合、試験総括報告書の署名者となることを考慮すべき 142 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
スポンサー 36 報告書 (3.17) • 臨床試験総括報告書 (3.17.2) (c) 試験が盲検解除され、関連する解析/結論が完了し、確定した後、スポンサーは一般的に、 適用される規制要件に従うべき (ⅰ) 試験結果を公開すること (ⅱ) 盲検試験における試験参加者が受けた最終的な治療に関する情報を試験実施責任者に、 試験結果の要約を提供することすべきである (ⅲ) 試験実施責任者に試験結果を提供する試験の全体的な結果の簡潔な要約を提供することを 検討しなければならない試験結果の要約を試験参加者に提供される場合、その文言は非専門的で、 一般人が理解でき、販売促進にならないものであるべきである スポンサーは、試験の盲検が解除され、全ての関連する解析が完了し/結論が出され、 最終化された後にのみこの情報を提供すべきである 143 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 144
データガバナンス 新設項目 • 試験実施責任者とスポンサーで重複を避けることができる • データインテグリティ (完全性) 、トレーサビリティ及びセキュリティの適切な管理に 関するガイダンスを提供 • 臨床試験に関連する情報の正確な報告、検証及び解釈を可能にする 再び強調 • 臨床試験で得られる情報の質と量は、試験の目的に対応し、試験結果の信頼性を確保し、 適切な意思決定を支援するのに十分なものであるべきである • この品質を保証するためのシステム及びプロセスは、試験参加者に対するリスク及び 試験結果の信頼性に見合った方法でデザインされ、導入されるべきである • データの重要性に焦点を当てながらデータのライフサイクル全体に対応すべきであり、 相応の方法で実施され、適切に文書化/記録されるべきである 145
主要プロセス 以下の主要プロセスは、データの重要性に焦点を当てながらデータのライフサイクル全体に対応 すべきであり、相応の方法で実施され、適切に文書化/記録されるべき (a) 試験参加者の機密データの機密性の保護を保証確保するためのプロセス (b) コンピュータ化システムが目的に適合し、適切に使用されることを保証するための管理のプロセス (c) 無作為化、用量漸増調整、盲検化など、臨床試験の根幹をなす要素を保護するプロセス (d) 解析前のデータ最終化、盲検解除、解析データセットの構成、臨床試験デザインの変更、及び該当する 場合は例えば独立データモニタリング委員会 (IDMC) の業務のような重要な意思決定を支援するプロセス 146
盲検性の保護 1 盲検性の保護 (4.1) • 盲検性のインテグリティを維持することは、特にシステムのデザイン、ユーザーアカウントの管理、 施設におけるデータの取扱いに関する責任の委任及びデータへのアクセスの提供、データの転送、 計画された盲検解除前のデータベースレビュー、及び試験の全ての適切な段階で行われる統計解析に おいて重要である • 関連する全ての当事者が、実施計画書に従い、非盲検情報へのアクセスに対する役割、責任及び手順を 規定して文書化しなければならない • この情報をデータマネジメント計画書及び統計解析計画書、その他の試験特有の計画書/指示および 施設スタッフの委任記録に含めることもできる • 例えば、盲検試験では、試験の運営に関与し、施設の試験実施責任者の施設スタッフと直接的又は 間接的にやり取りするスポンサーのスタッフ又は指名された第三者サービス提供者は、試験デザイン によって正当化される場合(例:非盲検モニターの使用など)を除き、非盲検情報へのアクセスが できないようにすべき • このような場合、盲検化された試験施設スタッフの不注意による盲検解除のリスクを軽減するために、 適切な緩和策を実施すべきである 147 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
盲検性の保護 2 盲検性の保護 (4.1) • 盲検解除の可能性を、盲検試験のリスク評価の一部とすべきである • 予定された又は予定外の盲検解除 (意図していなかった盲検解除不注意又は緊急の盲検解除を 含む) は全て文書化しされるべきである • 試験結果への影響を評価し、適切な措置を講じるべきであるなければならない • 治療割り付けの盲検化の維持と、不注意による盲検化解除の評価に関する項目が大幅に追加 • 試験結果の信頼性に影響を与える可能性があるため、リスク評価の一部とし、盲検化を保護するための プロセスを確保する必要がある • 臨床試験では、軽微~大規模まで、盲検化の違反が頻繁に観察されているため、これは重要な追加事項 148 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
データライフサイクルの要素 (4.2) 1 データ取得 01 • データ収集ツールなど手動で転記する場合、そのデータ検証の要件及び範囲には、データの重要 性を考慮に入れる • コンピュータ化システム(例:データ収集ツール)で直接取得したデータなど、いかなる情報源 から取得したデータでも、関連するメタデータが付随していなければならない • データ取得時点でデータ照会を発生するための自動データバリデーションチェックを要件とし、 その実施を管理して文書化/記録 監査証跡を含む関連するメタデータ | より高い重要度のデータに付随するメタデータの導入 02 • 最初のデータ入力、その後の変更又は削除(変更の理由を含む)が文書化/記録される方法で、 データ変更を許可するようデザイン • 監査証跡、報告書及びログが無効になる又は修正されることがないことを保証する ただし、監査証跡は、まれな状況で(例:参加者の個人情報が誤ってデータに含まれてしまった 場合)、また、そのような措置と正当性のログが保持されている場合に限り例外とするを除き、 修正されるべきではない • 監査証跡及びログが判読可能であり、解析が容易となるレビューを支援できることを保証する 149
データライフサイクルの要素 (4.2) 2 データ及びメタデータのレビュー 03 • 試験固有のデータ、監査証跡及びその他の関連するメタデータのレビュー手順を整備 • リスクに基づき、個々の試験に適応させ、また試験実施中の経験に基づいて調整する データの修正 04 • 試験結果の信頼性に影響を及ぼす可能性のあるデータエラーを修正するプロセスが存在すべき • 修正は修正した者またはコンピュータ化されたシステムに帰属し、元の入力時期の原記録に よって正当化及び支持され、適時に実施される データの転送、交換、移行 05 • システム間で転送される、関連メタデータを含む電子データがインテグリティを保持し、 その秘密を保全することを保証する • トレーサビリティを確保するため、データ交換/転送プロセスまたはシステム移行を文書化 /記録し、データ 損失や意図しない変更を避けるために、必要に応じてデータ照合を実施 150
データライフサイクルの要素 (4.2) 3 解析前のデータセットの最終化 06 • 試験結果の信頼性に重大な影響を及ぼすデータエラー及び可能な場合はデータ欠落の訂正に対し て、適時かつ信頼性の高いプロセスを実施することで、中間解析及び最終解析に十分な品質の データが得られるを定義されるべき • 入力されたデータとデータセットとの照合、又は関連データベース間の照合、データエラー及び 可能な場合はデータ欠落の修正 、医学的コード化、集積、並びに実施計画書からの逸脱を含む不 遵守問題 の影響への対処が含まれる場合がある 保存とアクセス 07 • 試験データ及び関連するメタデータは、検索及び閲覧が可能な方法で保管されるべきであり、 保管期間中、不正なアクセスや改変から保護されるべき 破棄 08 • 臨床試験データ及びメタデータは、適用される規制要件により必要とされなくなった場合、 恒久的に破棄することができる 151
コンピュータ化システム 1 コンピュータ化システム (4.3) • 臨床試験で使用されるコンピュータ化システムに関するスポンサー/試験実施責任者の 責務、及びその他の関係者の業務を明確にし、文書化すべき • 責任を有する者は、自己に代わって臨床試験のためのコンピュータ化システムを開発する 者が、使用目的及びそれに適用される規制要件を認識していることを保証しなければ ならない • スポンサー • スポンサーが配備したコンピュータ化システムについて、本項に記載されているコンピュータ化 システムに対する期待事項がリスクに応じた方法で対処されていることを保証する責任を負う • スポンサーは、試験実施責任者/臨床試験実施機関が使用するシステム (例:原データ収集の ための電子健康記録及びその他の記録保存システム) が、当該試験における目的に適合しているかどうかを レビューすべき • 試験実施責任者/臨床試験実施機関 • 特に臨床試験の実施を目的として自らシステムを設置する場合、期待事項が相応に対処され、 実行されることを保証しなければならない (例:eConsent) 152
コンピュータ化システム 2 セキュリティ (4.44.3.3) • データのライフサイクルを通じて、試験データ及び記録のセキュリティを管理 • 手順には、不正アクセスやデータ損失を確実に防止するため、システムのセキュリティ対策、 データバックアップ及び障害復旧を含めるべきである • このような対策は、必要に応じて定期的にテストすべきである バリデーション (4.54.3.4) • システムが完全性、正確性及び信頼性に関して設定された要件に従っており、かつおよび その性能が意図された目的とする性能に沿っていることを実証すべき • 変更時システムに対するその後の変更は、リスクに基づいてバリデーションは、リスクに基づく されるべきであり、また変更管理手順に従って、変更前に収集したデータと新しいデータの両方を 考慮に入れるすべき • コンピュータ化されたシステムが、システムのライフサイクルを通じて検証された状態を維持する ことを確実にするために、定期的な見直しが適切である場合がある 153
コンピュータ化システム 3 バリデーション (4.54.3.4) • 必要に応じて、バリデーション手順(廃止するまで)には、システムのデザイン、バリデーション システム要件及び機能テスト、構成、リリース、セットアップ、インストール、並びに廃棄までの 変更管理を含めるべきである • 責任を有する者は、他の関係者が開発したものを含め、臨床試験プロセスで使用するコンピュータ化 システムの適格性評価がなされ、バリデーションされて臨床試験で使用する目的に適合していること を保証しなければならない • 未解決の問題がある場合は、正当化されるべきであり、必要に応じて、システムを継続して使用する 前及び(又は)継続して使用する間に、軽減策そのような問題から特定されるリスクは軽減戦略に よって対処されるべきである 154
コンピュータ化システム 2 システムリリース (4.3.5) • 試験固有のシステム(実施計画書の改訂による更新を含む)は、その試験責任の施設に関連する 臨床試験に関する必要な全ての承認を得た後にのみ、個々の試験実施責任者が当該試験を実施 できるようの施設に対してのみ導入、リリース又はアクティベートすべき システム障害 (4.64.3.6) • 試験参加者の安全、試験における決定又は試験結果に必須のデータへのアクセスが完全に 又は一部失われることを防ぐために、緊急時の手順を整備すべき テクニカルサポート (4.74.3.7) • 必要に応じて、コンピュータ化システムに関する問題 (例:ユーザーによって提起された問題) を記録、評価及び管理するための仕組み (例:ヘルプデスクサポート) を整備し、繰り返される 及び (又は) 体系的な問題を特定するためにこれらの累積的な問題を定期的にレビューする • 欠陥及び問題は欠陥及び問題は、重要性に応じて解決し、重要性の高い問題は適時解決しな ければならない 155
コンピュータ化システム 3 ユーザーマネジメント (4.84.3.8) • アクセス制御は、システムへのアクセスを許可されたユーザーに限定し、個人への帰属性を保証 するために不可欠 • セキュリティ対策は、目的としたセキュリティを達成し、利便性に不当な影響がないように選択 すべき • ユーザーの職務及び機能、盲検性に関する取決め、並びにユーザーが属する組織に基づき、 適切にアクセス権アクセス許可が付与されることを保証する手順を整備すべき • アクセス権アクセス許可が不要となった場合は、そのアクセス権アクセス許可は取り消されるべき • ユーザーのアクセスおよび割り当てられた役割と権限が、関連する場合、定期的に見直されることを 保証するプロセスを設けるべき • 許可されたユーザー及びアクセス権アクセス許可は、明確に記録して、維持及び保存すべき • 記録には、ユーザーの役割、アクセス権及びアクセス許可に対するあらゆる更新、並びにアクセス権 が与えられたアクセス許可を付与した時刻 (例:タイムスタンプ) を含めるべき 156
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 157
付録A 臨床試験薬概要書 1 スポンサーが適切な臨床試験薬概要書を作成する責任があることを明確化 • スポンサーは、最新の臨床試験薬概要書が作成されることを保証する責任を負う • 医師主導試験の場合、そのスポンサー兼試験実施責任者は、製品許可保持者/販売承認保持者 から概要書を入手できるかどうかを確認すべきである • スポンサー兼試験実施責任者自身が臨床試験薬を提供する場合には、そのスポンサー兼 試験実施責任者が臨床試験実施施設スタッフに対し必要な情報を提供する • 安全性参照情報 Reference Safety Information (RSI) には、頻度と性質に関する情報を含む 副作用のリストを含めるべきである • このリストは、疑われる重篤な副作用の予期される程度を判断し、その後、適用される 規制要件に従って報告を迅速化する必要があるかどうかを判断するために使用されるべき である(3.13.2(c)項参照) 158 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
付録A 臨床試験薬概要書 2 規制要件に従って緊急報告を要するかどうか判断するための発現頻度及び性質に関する 情報 • 副作用の一覧表を作成し、発現頻度及び性質に関する情報を含め、安全性参照情報の項として 明確に示す • この一覧表を、重篤な副作用の予測性、及びそれに伴い規制要件に従って緊急報告を要するか どうかを判断するために使用する 文言の順序を整理 タイトルページと目次の削除 • ガイドライン本文で同じ情報を読めるため • A.3.7 データの要約及び試験実施責任者に対するガイダンスデータとガイダンスの要約 159 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
付録B 臨床試験実施計画書 1 臨床試験実施計画書の重要性を強調、シンプルさと明瞭さを奨励 • 臨床試験は、明確、簡潔かつ運用上実施可能な実施計画書に記述されるべき • 実施計画書は、不要な複雑性を最小限に抑え、試験参加者の権利、安全、福祉及びデータの 信頼性に対する重要なリスクを軽減又は回避できるようにデザインする • 実施計画書の作成プロセスには、適切な場合、関連する関係者 (ステークホルダーinterested parties) からのインプットを組み込むべき • 実施計画書に適応性を作り込むこと、例えば、特定の実施計画書の規定に対して許容範囲を 設定することにより、逸脱の数や、場合によっては実施計画書の改訂の必要性を減らすこと ができる • このような適応性は、試験参加者の安全又は試験の科学的妥当性に悪影響を及ぼすべきではない 160 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
付録B 臨床試験実施計画書 2 試験の種類及びデザインの例示が拡大 (B.4.2) • 実施する試験の種類及びデザインの説明 (例:二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、 アダプティブデザイン、プラットフォーム/アンブレラ/バスケット、分散化要素を用いた 試験) 、並びに試験のデザイン、手順及びステージを図式化した表示 臨床試験薬の調製や投与の指示 (B.4.5) • 他に記載がない限り、必要に応じた調製(例:再構成)および投与に関する指示 予定されたイベント (B.4.6) • 予定されたイベント(例:試験の訪問、介入、評価)の説明 用量調節や投与中断の追加 (B.4.6B.4.8) • 個々の試験参加者、及び試験の一部又は試験全体の「中止規定」又は「中止基準」及び 「用量調節」又は「投与中断」に関する説明 161
付録B 臨床試験実施計画書 3 スクリーニングの説明が追加 (B.5.3) • 試験参加者のプレスクリーニング (適切な場合) 及びスクリーニングの仕組み 同意の撤回又は参加の中止試験介入の中止と参加者の試験からの離脱 (B.6 ) • 試験実施責任者が試験参加者の参加を試験から中止させる、又ことができる • また、試験参加者は試験参加者が同意からの離脱または臨床試験薬による治療の中止を撤回 決定することがあるできる(2.8.10(l)、2.8.10(m)および2.9.1項参照) • 実施計画書に以下の事項を明記すること (a) いつ、どのように試験参加者の試験/臨床試験薬投与を中止するか (b) 適用される規制要件に従い、同意撤回/参加中止した試験参加者に関してどのような データをどのようなタイミングで収集するか(データ取扱いプロセスを含む) (c) 試験参加者の補充があるか、またどのようにして行うか (d) 臨床試験薬の使用を中止した試験参加者に対するフォローアップ 162
付録B 臨床試験実施計画書 4 有効性評価指標と安全性評価指標に関する記述の例示 (B.8.2、B.9.2、B.9.3) • 評価を目的の委員会 (例:独立データモニタリング委員会 (IDMC判定委員会) を利用する場合 • 有害事象及び中間事象の報告を入手し、記録及び報告する手順 統計の項を拡大 (B.10) B.10.4 試験の中止基準及び中断基準 B.10.4 計画された解析に含めるべき試験参加者の選択(例:無作為割付けされた全ての試験 参加者、投与を受けた全ての試験参加者、適格な全ての試験参加者、評価可能な全ての 試験参加者)欠測、不採用及び異常データ、 採用される統計的手法の説明、および 同時併発 事象の取り扱い、欠測データ、未使用データ、偽データを説明する手順 これらは、定義されている場合は、目標推定量と一致させること(ICH E9(R1)参照) 品質管理及び品質保証の記載 (B.12) • 他に記載のない限り、試験における特定された質に関する重要な要因及び関連リスクおよび リスク軽減戦略の説明 • 臨床試験の品質管理プロセスの一部であるモニタリング手法の説明 • 実施計画書又はGCPに対する不遵守の取扱いプロセスの説明概要 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/ 163
付録B 臨床試験実施計画書 5 データの取扱い及び記録の保存の記載 (B.14) • 収集されるデータ及びその収集方法の規定 • 必要に応じて、追加の詳細を臨床試験に関連する文書に記載する • データ取得ツールに直接記録され (すなわち、データが事前に紙又は電子的に記録される ことがない) 、原データとみなされる記録データの特定 • 記録は適用される規制要件に従って保存される旨の記述 164 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/
付録C 臨床試験実施における必須記録 01 文書 (documents) から記録 (records) に変更 必須記録は試験によって様々であることを反映 保存すべき必須記録の性質と範囲について、リスクに応じたアプローチを適用 個々の記録の保管目的について十分に考慮することなく保管する、 「チェックリスト」的アプローチから脱却するため、必須記録の表の2つを作成 • 後述の「試験記録の必須性」の基準に基づき、2つの表を作成 • 試験の特性に合わせて何が必須記録であるのかを試験開始前に決める必要ある • 必須記録表 • 表1:全ての試験における (各試験で必須とみなされる記録) • 表2:必須記録となりうる記録 (記録の有無及び性質は、試験デザイン、試験の実施状況及びリスクに応じた 管理状況によって異なる) 必須記録が文書だけでなくデータも含むことを明確化 第三者が関与する場合に必須記録の管理について取り決める旨明確化 試験マスターファイル (TMF:Trial Master File) に関する記載の明確化 165 20230728_ICH E6 (R3) 医薬品の臨床試験の実施基準ガイドライン案説明会_E6 (R3) への期待 国立がん研究センター中央病院国際開発部門/臨床研究支援部門中村健一
付録C 臨床試験実施における必須記録 02 必須記録 C.1.1 臨床試験の実施前及び実施中には多くの記録が作成される 作成及び保持される記録の性質及び範囲は、試験デザイン、その実施状況、リスクに応じたアプローチ の適用、並びにその記録の当該試験に対する重要性及び関連性による C.1.2 本付録のガイダンスを考慮した上で 、 どの記録が必須かを判断する C.1.3 必須記録は、試験の実施及び得られた結果の信頼性の評価を可能にし、またそれらの評価に貢献する。 必須記録はし、医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)及び適用される規制要件に対する 試験実施責任者及びスポンサーの遵守状況及び得られた結果の信頼性の評価を証明可能にする助けと なる必須記録は、試験実施責任者による監督、試験のスポンサーによる監督又は試験実施責任者による 監督(モニタリングを含む)の一環として使用される これらの記録は、スポンサーによる独立した監査及び規制当局による査察中に、試験の実施及び 試験結果の信頼性を評価するために使用される 166
付録C 臨床試験実施における必須記録 03 必須記録 C.1.3 試験開始前、試験実施中及び試験終了後特定の必須記録は、適用される規制要件に従い、IRB/IECにより 審査される場合もある 試験実施前、試験実施中において、試験実施責任者/臨床試験実施機関が作成した必須記録は、試験 実施責任者/臨床試験実施機関がアクセスでき、維持及び保存できるようにでき、かつ、適用される 規制要件に従ってそれらを保管しておかなければならない C.2.1 記録は、特定可能で、バージョンが管理され、また(必要に応じて)日付及び署名 (電子的又は手書き 物理的な署名) とともに、適宜、作成者、レビュー担当者及び承認者の名前が含まれる 必須記録は、保存場所 (例:スポンサー及び試験責任者/臨床試験実施機関がそれぞれ 保有する記録を 保存場所に保持する、あるいは保存場所から参照すること C.2.3 これらの保存場所は試験マスターファイル (TMF) や臨床試験実施施設ファイル (ISF) ) と呼ばれる場合 もあるの中に保持する、あるいは保存場所から参照する。TMFはスポンサー又は試験実施責任者が保有 する 167
付録C 臨床試験実施における必須記録 04 必須記録の管理 C.2.4 スポンサー及び試験実施責任者/臨床試験実施機関は、原記録を含む必須記録について、どの場所に 保存されているかの記録を維持する 試験実施中及び試験終了後の保存に使用する格納システム(使用する媒体の種類は問わない)は、 試験記録の適切な識別、バージョン履歴、検索及び取り出しのための機能を有する C.2.5 スポンサー及び試験実施責任者/臨床試験実施機関は、試験開始前に準備する必要のある記録を含め、 必須記録が適時に収集され、格納されることを保証する これは試験管理の成功に大いに役立ちうる 一部の必須記録は一般的に試験開始前に整備されるべきであり、その後試験中に更新される可能性が ある 168
付録C 臨床試験実施における必須記録 05 必須記録の管理 C.2.6 スポンサー及び試験実施責任者/臨床試験実施機関は、必須記録を完全で見読性が保たれ、すぐに利用 できる状態であり、かつ規制当局、モニター、監査担当者の要請に応じて直接閲覧できるような方法で 保存すること 必須記録の変更は追跡可能であること C.2.7 必須記録の原本は、その記録に関して責任を有する者(スポンサー又は及び試験実施責任者)が保存 すること。必須記録の原本を永久的に置き換える/臨床試験実施機関は、その責任を果たすために 複写必要な必須記録の保存を確実に行うべきである 記録の原本は、通常、それを使用する場合、その複写は保証付き複写の要件を満たすこと作成した 責任当事者が保管すべきである 169
付録C 臨床試験実施における必須記録 06 必須記録の管理 C.2.8 試験の実施における責任を果たすために、スポンサー及び試験実施責任者/臨床試験実施機関は、 試験開始前、試験実施中及び試験完了後に、互いの関連する必須記録の閲覧又は複写の入手が必要 となることがある これにより、その記録を試験終了時には、各当事者は、それぞれの必須記録を保持すべきである (2.12.11および3.16.3(a)参照) 記録の性質により、試験中に記録の保管場所が異なる場合がある 例えば、試験責任者はスポンサーが提供するポータルサイトを通じて、スポンサー、試験実施責任者/ 臨床試験実施機関又はその両者の保存場所のいずれに格納するかを判断することになる。データ保護法 の対象となる記録の共有及び盲検性に関しては、適用される規制要件に従い慎重に検討すべきである。 必須記録のサービス提供者との共有については C.2.2 を参照のこと。 から関連する必須記録 (例えば、疑わしい予期せぬ重篤な有害反応(SUSAR)報告)にアクセスすることがあり、 これらの必須記録は試験責任者/試験実施機関が試験終了後も保持する必要がある 170
付録C 臨床試験実施における必須記録 07 必須記録の管理 C.2.9 原本の必須記録を恒久的に置き換えるためにコピーが使用される場合、そのコピーは認証済み コピーの要件を満たすべきである C.2.10 記録の中には、通常、スポンサーのみが維持・保管するもの(例えば、データ分析など スポンサーの活動のみに関連するもの)や、試験責任者/臨床試験実施機関のみが維持・ 保管するもの(例えば、試験参加者の機密情報を含むもの)がある 記録の中には、スポンサーおよび/または試験責任者/臨床試験実施機関が維持・保管する ものもある C.2.11 盲検化の考慮事項がある場合、および記録が該当するデータ保護法の対象となる場合には、 記録の共有について慎重に検討すべきである サービス提供者との必須記録の共有については、セクションC.2.2を参照のこと 171
付録C 臨床試験実施における必須記録 08 必須記録の管理 C.2.12 一部の必須記録は、試験固有のものではなく、複数の試験の実施に関連するシステム及び プロセス臨床試験薬またはプロセスおよびシステム(コンピュータ化システムを含む)に 関するものであり(例:臨床試験薬概要書、標準業務手順書、基本契約書、バリデーション 記録、基本契約書)、試験固有の保存場所以外で保存される場合がある C.3.1 試験開始前、試験実施中及び試験終了後に作成された特定の臨床試験記録が必須であり保存 する必要があるかどうかは、以下の基準に基づいて判断すること このような評価は重要ではあるが、文書化する必須ではない 保管場所のための構造化された内容リストを使用して、必須記録を事前に特定することができる 172
付録C 臨床試験実施における必須記録 09 試験記録の必須性 1 C.3.1 必須記録: (a) 規制当局又はIRB/IECに提出される又は規制当局又はIRB/IECによって発行される文書 (関連するやり取りの記録、及び規制当局による決定又は規制当局又はIRB/IECによる承認/ 肯定的見解を記録する文書を含む) (b) 試験固有の手順書又は計画書 (c) 試験の実施及び使用されるプロセスに関連して行われた、重要な話し合い及び (又は) 試験関連の決定に関連するやり取りの記録又は会議の記録 (d) 関連する試験手順の実施を記録(例:データベースロックチェックリストは、 以下のデータ管理標準業務手順(SOP)に従って作成される) (e) 当事者間の取決め及び保険/補償の取決めを記録 (f) 規制当局による要件及び承認条件の遵守又はIRB/IECの肯定的見解を記録 173
付録C 臨床試験実施における必須記録 10 試験記録の必須性 2 C.3.1 必須記録: (g) 試験の承認又は実施に関与する全ての委員会の構成及び、必要に応じて、機能、やり取り及び 決定を記録 (h) 試験固有のコンピュータ化システムがバリデーションされている、試験固有ではないシステム (例:臨床業務のコンピュータ化システム)が試験における使用目的に適合すると評価されている ことを示す (i) スポンサー及び (又は) 試験実施責任者により、確認又は許可を示すために承認/署名された文書 (j) 必要な場合、重要な試験固有の業務 (例:データ取得ツールの入力) を請け負うスタッフの署名/ イニシャルを証明する文書 (k) 試験参加者となりうる者にどのような情報が提供されたか、及び試験参加者のインフォームド・ コンセントが適切に取得され、維持されていたことを記録 (l) 試験実施に関与するスポンサーの担当者及びその代理として重要な試験固有の業務を行う者が、 教育、トレーニング及び経験により、それぞれの業務を十分に遂行しうる適格性を有することを記録 174
付録C 臨床試験実施における必須記録 11 試験記録の必須性 2 C.3.1 必須記録: (m) 試験実施責任者及び試験実施責任者から重要な試験固有の業務を委任された者において、 特にその業務が通常の役割ではない場合に、教育、トレーニング及び経験により、それぞれの 業務を十分に遂行しうる適格性を有することを記録 (n) 試験を再構築する実施状況を適切に評価できるために必要となるデータ及び関連するメタデータ が含まれる (o) スポンサー及び又は試験実施責任者による試験実施中の試験参加者の安全性の監督に関連する文書 である (スポンサーと試験実施責任者、規制当局及びIRB/IECとの間の安全性報告要件の遵守や、 必要に応じて行う試験参加者への安全性情報の通知を含む) (p) サービス提供者が、委任又は委託された業務を実施するための十分な適格性を満たしていること を記録 (q) 試験で用いられる臨床検査及びその他の検査が目的に適合していることを記録 175
付録C 臨床試験実施における必須記録 12 試験記録の必須性 3 C.3.1 必須記録: (r) 必要に応じて、臨床試験実施施設の選定、並びに試験のモニタリングに関するスポンサーの監督 及び監査について記録し、発生した問題/不遵守及び検出された逸脱と、それらに対する是正 及び予防措置の実施に関する情報を提供している (s) 実施計画書の遵守状況及び (又は) データマネジメント及び統計解析の手順並びに中間報告書及び 最終報告書の作成の手順の遵守状況を記録 (t) 生体試料の採取、保管・輸送管理、処理、分析、保存又は廃棄について記録 (u) 臨床試験薬及びその表示に関連する情報を提供 (v) 臨床試験薬の輸送、保管、包装、交付、無作為化及び盲検化に関する情報を提供 (w) 適切な場合、製造業者からの出荷から交付、試験参加者への投与、返却及び廃棄又はそれに代わる 処分までの、臨床試験薬に関するトレーサビリティ及び数量管理の情報を提供 (x) 試験で使用する臨床試験薬の識別及び品質に関する情報を提供 176
付録C 臨床試験実施における必須記録 13 試験記録の必須性 4 C.3.1 必須記録: (y) 盲検解除に関連するプロセス及び実施内容を記録 (z) 必要に応じて、試験参加者の募集、試験開始前スクリーニング及び同意取得プロセス、並びに 試験参加者の個人情報及び経時的な登録について記録 (aa) 試験参加者の実在を記録し、収集された試験データのインテグリティ (完全性) を裏付ける 試験参加者の試験治療及び病歴・治療歴に関する原記録が含まれる (bb) 試験参加者の権利、安全及び福祉、並びにデータのインテグリティを保護するために、 セキュリティ侵害が発生した場合に実施されるプロセス/基準を規定している C.3.2 C.3.1 の基準に基づき、各試験で必須とみなされる試験記録(正当化可能かつ文書化された例外的状 況を除く)を表 1 「 必須記録表」に示す。示し、これらの記録は保存する必要がある C.3.3 その他の試験記録について、それらの有無及び性質は、試験デザイン、試験の実施状況及びリスクに 応じた管理状況によって異なる。表 2 に示す記録(作成された場合)は、C.3.1 の基準に基づき必須 とみなされる、保存すべき試験記録の一覧である。これこの表は網羅的な一覧ではなく、その他の試 験記録についてもスポンサー又は試験実施責任者により必須とみなされる場合がある 177
必須記録表 1 表 1- 全ての試験における必須記録 必須記録表 これらの試験記録が作成された場合、必須記録とみなされ、保持されるべきである(C3.1項およびC3.2項参照)。 注:アスタリスク(*)は、一般的に試験開始前に整備されるべき必須記録を示す(C2.5項参照)。 臨床試験薬概要書又は基本的な製品情報冊子(例:製品概要、パッケージ・リーフレット及び添付文書) 及び関連する最新情報 * 署名済みの実施計画書 * 及びその試験実施中のその後の改訂 IRB/IEC による、試験開始前及び試験実施中に提供された情報に対する、IRB/IECの承認/肯定的見解が記載された 日付入り文書 * IRB/IEC の構成 * 規制当局による、実施計画書の許可、承認及び(又は)通知 * 、及びその後の試験実施中の改訂の通知に関する許 可、承認及び(又は)通知(必要な場合) 署名済みかつ日付入りの同意文書 記入済みの試験参加者識別コード一覧及び登録名簿 報告元となる試験実施責任者からスポンサーへの重篤な有害事象及び関連情報(必要な場合)の報告 スポンサー及び(又は)試験実施責任者(必要な場合)から規制当局及び IRB/IEC への予測できない 重篤な副作用及びその他の安全性情報の報告 スポンサーから試験実施責任者への安全性情報の報告(必要な場合) 178
必須記録表 2 表 1- 全ての試験における必須記録 必須記録表 これらの試験記録が作成された場合、必須記録とみなされ、保持されるべきである(C3.1項およびC3.2項参照)。 注:アスタリスク(*)は、一般的に試験開始前に整備されるべき必須記録を示す(C2.5項参照)。 IRB/IEC 及び規制当局への中間報告又は年次報告 (必要な場合) 原記録 データ取得ツール内のデータ及び関連するメタデータ(データ修正の記録を含む) 試験実施責任者から IRB/IEC 及び規制当局への最終報告(必要な場合) 中間(該当する場合)及び最終の臨床試験総括報告書 試験実施責任者及び(又は)IRB/IEC に提供されるデータ取得ツールのサンプル * [例:症例報告書(CRF)、日誌、臨床アウトカム評価、患者報告アウトカムを含む] 試験実施中に試験参加者に提供される情報及びその改訂のサンプル * インフォームド・コンセント取得に用いられる資料(該当する全ての翻訳を含む) その他の文書化された情報(例:臨床試験薬又はデバイスの使用説明書) 試験参加者募集の広告 試験に関連する当事者間の金銭の合意支払い * 179
必須記録表 3 表 2- 必須記録となりうる記録 必須記録表 これらの試験記録が作成された場合、必須記録とみなされ、保持されるべきである(C3.1項およびC3.2項参照)。 注:アスタリスク(*)は、一般的に試験開始前に整備されるべき必須記録を示す(C2.5項参照)。 保険に関する文書 * 当事者間の署名済みの合意文書 * 、例えば、 試験実施責任者/臨床試験実施機関とスポンサー 試験実施責任者/臨床試験実施機関とサービス提供者 スポンサーとサービス提供者 • スポンサーと独立データモニタリング委員会(IDMC)の委員および/または判定委員 重要な試験関連活動を実施するサービス提供者の選定、評価 *、監視の文書 試験の実施に関与する試験実施責任者及び試験実施分担者の適格性を証明する関連文書履歴書及び(又は) その他の関連文書 (例:履歴書)* 試験固有のトレーニング記録 * 試験実施責任者から臨床試験実施施設スタッフへの治験関連業務の委任を示す文書 * 委任された臨床試験実施施設スタッフの署名及びイニシャルを示す署名一覧表(電子署名のみを使用する場合 を除く)(試験実施責任者および試験実施責任者から委任された個人)*(上記の委任に関する文書と併用可) 180
必須記録表 4 表 2- 必須記録となりうる記録 必須記録表 これらの試験記録が作成された場合、必須記録とみなされ、保持されるべきである(C3.1項およびC3.2項参照)。 注:アスタリスク(*)は、一般的に試験開始前に整備されるべき必須記録を示す(C2.5項参照)。 実施計画書及び試験実施中の改訂に記載された、医学的な/臨床検査の/技術的な手順及び(又は)検査の 正常値/範囲 * 試験実施中に使用される医学的な/臨床検査の/技術的な手順/検査の適合性を確認するための証明書 若しくは合格証、またはバリデーションを含むその他の文書又は確立された品質管理及び(又は)外部機関による 品質評価、あるいはその他のバリデーション(必要な場合)、並びにそれらの更新版 * 体液検体/組織検体の採取、処理及び輸送の記録 体液検体/組織検体の保管記録 試験終了時に保存されている体液検体/組織検体の記録 臨床試験薬の容器に貼付されるラベルの見本 臨床試験薬及び試験関連資材の取り扱いに関する指示(実施計画書又は臨床試験薬概要書に記載されていない 場合)(例:ファーマシーマニュアル)* 臨床試験薬及び試験関連資材の出荷記録 * 出荷された臨床試験薬の分析証明書 * 181
必須記録表 5 表 2- 必須記録となりうる記録 必須記録表 これらの試験記録が作成された場合、必須記録とみなされ、保持されるべきである(C3.1項およびC3.2項参照)。 注:アスタリスク(*)は、一般的に試験開始前に整備されるべき必須記録を示す(C2.5項参照)。 臨床試験実施施設での臨床試験薬の数量管理の記録 輸送中及び臨床試験実施施設における臨床試験薬の保管条件の記録(輸送中を含む) 臨床試験実施施設 (Investigator Site) での臨床試験薬の再ラベリングの記録 臨床試験薬の廃棄または代替処分の記録 盲検試験における緊急時の臨床試験薬の割付けコードの開封手順 * 無作為割付け原簿 * 重要な試験固有の重要なシステムに関する使用説明書[例:双方向応答技術(IRTs)ユーザーマニュアル、 電子 CRF(eCRF)マニュアル] * 重要な試験活動に使用する固有の重要な機器の目的適合性を示す記録(例:保守及び校正の記録) * 割付けと開封に関する記録 記入済みの試験参加者のスクリーニング名簿 施設モニタリング報告書(施設の選定 * 、立ち上げ * 、定期のモニタリング及び終了時モニタリングを含む) 中央モニタリング報告書 182
必須記録表 6 表 2- 必須記録となりうる記録 必須記録表 これらの試験記録が作成された場合、必須記録とみなされ、保持されるべきである(C3.1項およびC3.2項参照)。 注:アスタリスク(*)は、一般的に試験開始前に整備されるべき必須記録を示す(C2.5項参照)。 実施計画書及びGCP不遵守/の逸脱、並びに是正及び予防措置のを含む不遵守の記録と報告 関連するコミュニケーション及び会議の記録 監査証明書 解析のためのデータ最終化に関連する文書(例:クエリ解決、重篤な有害事象の照合、品質管理報告書、 コード化完了、アウトプットデータセット) 試験固有のコンピュータ化システムのバリデーションを示す文書(例:仕様、テスト、バリデーション報告書、 変更管理)* 臨床試験で使用される非臨床試験用コンピュータシステム(例:臨床現場のコンピュータシステムなど)の 目的への適合性評価の文書 * 統計学的な考察及び解析に関連する文書(例:症例数の算出 * 、解析対象集団の決定、解析データセット * 、 解析プログラム、品質管理記録及びアウトプット) 試験固有の計画書(例:リスクマネジメント * 、モニタリング * 、安全性 * 、データマネジメント* 、データ バリデーション* 、統計解析)及び手順書 IDMC /判定委員会に関連する手順書 *、議事録及び提出物 183
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 184
まとめ GCPの根幹は変わらない • 参加者の安全確保 • 信頼性の確保 まず序文とICH-GCPの原則を読んでみてください • Why?と問うためには、全試験で共通の大原則の把握が必要になる • 臨床試験のあり方が書かれている 考えるGCP • ICH非所属で声を挙げづらい構造にも関わらず、 なぜアカデミア側がオープンレターで声を挙げ、結果としてGCPリノベーションになったのでしょうか? • (R3)の本質を考える=考えるGCPと言われる所以かもしれません • (R3)の本質を考えるスタートラインは関係者の声を聴くことではないでしょうか? キーワード① 関係者 (interested parties) の参画 キーワード② 原則7 | 参加者および試験実施責任者に不必要な負担をかけないようにするべき • 関係者の声を聴いた上で、“この運用は先人の知恵として残っているお作法だけど本質的に今も必要?”と 一人一人が Why?を問い直し、本質を考えて行動していきませんか? 185
目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳や言葉に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 付録 186
引用・参考文献 • 「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の一部を改正する省令 (令和2年8月31日厚生労働省令第155号) • 「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」の改正について (令和2年8月31日薬生薬審発0831 第15号) • ICH-GCP (R2) : Integrated Addendum to ICH E6 (R1) :Guideline for Good Clinical Practice E6 (R2) Current Step 4 version dated 9 November 2016 • 国際共同試験ポケット資料集 2024年版 • ICH-GCP (R3) : ICH Harmonised Guideline: Good Clinical Practice (GCP) E6 (R3) Draft version Endorsed on 19 May 2023 Currently under public consultation • ICH E6 (E3) Step2 Presentation • ICH E6 (R3) 医薬品の臨床試験の実施に関する基準 ガイドライン (案) ステップ3 • ICH-E6 (R3) 「医薬品の臨床試験の実施基準」ガイドライン案説明会 (2023/7/28開催) • ICH-GCP (R3) 2025 : ICH Harmonised Guideline: Good Clinical Practice (GCP) E6 (R3) Final version Adopted on 06 January • ICH E6 (E3) Step4 Presentation – to be implemented 23 January 2025 187