プラットフォームエコノミーの将来

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July 14, 16

スライド概要

最近、UberやAirbnbなどシェアリングエコノミーに関する話題や議論が多い。ニューヨークではUberが7月、8月限定で「通勤時間帯uberPOOL乗り放題プラン」など新サービスも登場している。その一方、Uberの登録運転手数増加に伴い、非正規雇用形態の蔓延につながらないかとの懸念も高まっているようだ。そこで、日本でももう少し先を見た視野でシェアリングエコノミー(≒プラットフォームエコノミー)一般について検討すべきと思い調査してみる。

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定年まで35年間あるIT企業に勤めていました。その後、大学教員を5年。定年になって、非常勤講師を少々と、ある標準化機関の顧問。そこも定年になって数年前にB-frontier研究所を立ち上げました。この名前で、IT関係の英語論文(経営学的視点のもの)をダウンロードし、その紹介と自分で考えた内容を取り交ぜて情報公開しています。幾つかの学会で学会発表なども。昔、ITバブル崩壊の直前、ダイヤモンド社からIT革命本「デジタル融合市場」を出版したこともあります。こんな経験が今に続く情報発信の原点です。

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各ページのテキスト
1.

プラットフォームエコノミーの将来 デジタルプラットフォームの帰結 B-frontier研究所 高橋 浩

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新たなビジネス環境が到来している 総務省第1回 シェアリングエコノミー検討会議【資料1-6】一般社団法人 シェアリングエコノミー協会 提出資料から 2

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しかし、シェアリングエコノミーに中間搾取 の観点から疑問を挟む声もある。 2015年05月25日 http://markethack.net/archives/51967130.html • シェアリングエコノミーは余剰労働力のマッチング を提供することで「ショバ代」を徴収するモデル • 余剰労働力の市場である限り、労働の対価は最も コストが安い方へ収斂するのが自然! イザベル・カミンスカ(FT):「シェアリングエコノミーは 中間搾取の王様に他ならない」 クリストファー・ミムズ(WSJ):「およそシェアリングエコ ノミーでシェアされるのは労働だけであり、利益は業 者が取る」 非正規雇用形態の蔓延を加速する正規雇用破壊 最終破壊兵器になる懸念がある。 3

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問題意識 新しいタイプの経済が勃興し、多様な方 面で急激に拡大している。 しかし、根本的ビジネスモデル構造に疑 問を挟む声もある。 新動向はデジタルプラットフォーム特性と 根本的に関わっており、基本的立場から の検討が必要である。 本問題に真正面から取り組んでいる研究 を探索し紹介する。 この知見を基に今後について検討する。 4

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このような問題意識にアプローチするため 以下のプロセスで検討する。 目次 1.プラットフォームエコノミー到来の背景 *1 2. プラットフォームエコノミーにおける 価値と労働 *2 3.デジタルプラットフォームの含意と帰 結 *1: M. Kenney, J. Zysman,“Choosing a Future in the Platform Economy:The Implications and Consequences of Digital Platforms”,Kauffman Foundation New Entrepreneurial Growth Conference, Discussion Paper, Amelia Island Florida – June 18/19, 2015 *2: M. Kenney,” Value and Work in the Platform Economy”, BRIE presentation, May 5, 2015 5

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本問題に真正面から取り組んでいる研究機関と推定 Berkeley Roundtable on the International Economy (BRIE) Martin Kenney Professor: Community and Regional Development University of California, Davis Director Berkeley Roundtable on the International Economy John Zysman Professor: Political Science University of California, Berkeley Co-director Berkeley Roundtable on the International Economy BRIE HPに多数の論文/プレゼンが掲載されている。 この中から下記論文/プレゼンを選択し、それに基づいて論述する。 1. M. Kenney, J. Zysman,” Choosing a Future in the Platform Economy:The Implications and Consequences of Digital Platforms”, Kauffman Foundation New Entrepreneurial Growth Conference, Discussion Paper, Amelia Island Florida – June 18/19, 2015 2. M. Kenney,” Value and Work in the Platform Economy”, BRIE presentation, May 5, 2015 6

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1.プラットフォームエコノミー到来の背景 新たな環境に相応しいラベル付けは? 過去には・・ • クリエイティブエコノミー – R. Florida. 2002. The Rise of the Creative Class • ギグエコノミー – G. Friedman. 2014. “Workers without employers: Shadow corporations and the rise of the gig economy” 現在主流は・・ • シェアリング・エコノミー・・・ Y. Benkler. 2006. • しかし、Wikipedia,Napsterと Uber,Airbnbを一緒に することはできない! ⇒ そこで、プラットフォームエコノミーを選択 7

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プラットフォームエコノミーの世界 • 我々はプラットフォームエコノミーの世界に入 ろうとしている。 – プラットフォームエコノミー:インターネットの力に 基づいたツールとフレームワークが経済や社会 生活の骨組みとなりチャネルとなる世界 *3 • アルゴリズム革命がデジタル変換の基礎であ る。 – アルゴリズム革命:消費、レジャーからサービス、 製造業までの様々な活動がアルゴリズムで実現 *3 J. Zysman. 2006. The algorithmic revolution---the fourth service transformation. Communications of the ACM. 49 (7). 8

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アルゴリズムの所在地 • アルゴリズムはクラウドに住んでいる。 • そして、デジタルプラットフォームの基盤を形 成している。 • プラットフォームは・・ – 協力者(ユーザー、ピア、プロバイダ)に対して活 動範囲を引受け、 – 時にはデファクトスタンダードを創り、 – 価値創造と価値獲得のエコシステム形成を許可 *4 するフレームワークである。 *4 J. Mattila and T. Seppala. 2015. “Machines in a Cloud –or a Cloud in Machines? Emerging New Trends of the Digital Platforms in Industry and Society.” June. 9

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クラウドはインフラ、市場、エコシステム • さまざまなプラットフォームを分類 – – – – – Googleはデジタル検索提供プラットフォーム Facebookはソーシャルメディア提供プラットフォーム 加えて他プラットフォーム構築のプラットフォーム Amazon、Etsy、eBayは市場プラットフォーム AWSは、Airbnb、Uberなどが新たなビジネスを構築す るプラットフォーム – 加えて他人が自らを構築可能にするインフラやツー ル • プラットフォームは、市場、仕事の手配、現代経済 の価値創造に関わる深い経済的再編を誘発する 10

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プラットフォームエコノミー決定の要因 • プラットフォームエコノミー出現は選択の枠組 *5 みではあるが未来を決定づけないだろう。 • 寧ろ、我々がこれらツールを如何に配備し、 如何に企業戦略・公共政策を反映させる かが未来を決定づけるだろう。 Q1:社会組織の再編成は経済成長や生産性急増を もたらすか? Q2:誰でもプラットフォームを生成しさえすれば再編 成の利益を獲得できるか? *5 For a theoretical conceptualization of platforms as private market regulators, see K. J. Boudreau & A. Hagiu. 2008. Platform rules: Multi-sided platforms as regulators. Available at SSRN 1269966. 11

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クエスチョン(続) Q3:プラットフォーム戦略は経済の多様なセグメ ントでの競争にどんなインパクトを与えるか? Q4:どのような競争戦略が導入されるか? Q5:経済や社会生活が転換されるか? Q6:グローバル社会での富と権力の非常に偏っ た分布につながるか? Q7:巨大な創造性だけでなく、経営の邪悪な問 題も解放する危険性があるか? 12

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Utopia or Dystopia? (U)契約する労働者 は彼らの柔軟なス ケジュールを大切に するプロト起業家 (U)新プラットフォー ムは、利用されてい ない個人財産の商 業価値を解除し、コ ミュニティへの影響 なしに商業市場で 投資財にできる。 (D)契約する労働者 は不安定な役割に 依存した請負業者で 単なる新たなプレカ リアット (D)フルタイム仕事を 特徴づけていた雇用 関係の利点が無くな り、断片化されたス ケジュールとパート タイムの仕事を増大 させる。 13

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変化の方向性 • 雇用はこれまで以上に不安定になるように見 える。 • 仕事と価値創造の優位性がこれまで以上に 分散される社会リスクに晒される。 • 仕事が作成、消滅、転換されても、成果は技 術そのものに依存するのではなく、技術が如 何に展開されるかに依存する。 – 例:RFID技術の展開が小売業において、デンマー ク、フランス、米国他で劇的変化を遂げた。 展開に関する選択が起業家主導、企業戦略、 公共政策を変える。 14

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より詳細なプラットフォーム分類 分類 細分類 事例 1 プラットフォームのた めのプラットフォーム インフラ、ツールを提供 AWS 2 仕事仲介プラット フォーム グローバル入札 Upwork、Innocentives 時々の非公式ワーク Task Rabbit, Homejoy 3 ツールを作るプラット フォーム Github使用のオープンソースソフ Zenefits、Wonolo、 Job Rooster トウェアプログラムのリポジトリ 4 小売店やビジネス用 電子e-marketplace 物理的商品のための仮想市場 Etsy、eBay 小売プラットフォーム Amazon 他アプリ拡散プラットフォーム Apple,Androidの "店舗” 仮想委託プラットフォーム YouTube、Amazon selfpb 5 サービス産業を変革 するプラットフォーム 消費財を投資財へ変換するプ ラットフォーム Airbnb、Uber 6 ファイナンス仲介 資金調達プラットフォーム Kickstarter、Indiegogo 金融機関置換プラットフォーム AngelsList、Zopa 7 社会政治団体機能 15

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プラットフォームの特性 • 多くのプラットフォームは勝者総取りモデルで あることを証明してきた。 • プラットフォームの力は、最初の競争に勝っ た後、独自長所を最大化する意思決定がで きる独占プラットフォーム所有者に集中する 傾向がある。 • 独占プラットフォーム所有者は、最初は価値 生成に尽力してくれたプラットフォーム・コミュ ニティ(例:Uberのドライバ、コンテンツプロバ イダ)を搾取する可能性がある。 16

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プラットフォームが仕事に与える影響 • Uberはタクシー企業従業員を請負業者に変 換したのではないか? – これらの請負業者はミニ起業家か? – それとも、非常に不安定な請負労働者か? • 基本的には補償のない委託労働者のロング テールがある一方で、 • 広告、プロダクト・プレイスメント料、個人的才 覚によってべき乗則による高報酬を得る幾人 かの巨大な勝者も登場する。 17

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2. プラットフォームエコノミーにおける価値と労働 プラットフォームエコノミーにおける 価値と労働 Value and Work in the Platform Economy By Martin Kenney May 5, 2015 問題意識&目標 • 仕事、雇用、価値創造の定義は劇的に変化 している。 • プラットフォームエコノミー勃興の中で労働に ついて考えるモデルを開発する。 18

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デジタル技術が基盤 •ムーアの法則 •ユビキタス接続 •PCs⇒スマホ⇒IoT -センサー、ストア、プロセス、データ送信 •クラウド・コンピューティング •ソフトウェアが全てを食べる(オープンソース) 全てがコストを減少させる 19

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デジタルプラットフォームとは その要素が作用または取引する、アル ゴリズム・イネーブルなサイバー空間 アプリケーションとユーザー間のネット ワーク効果と成長の好循環を創造 20

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「価値創造」は償われるものよりも多いか? •インターネットのサーフィン( Terranova, Lanier et al.)? •Facebook、Pinterest、YouTube、LinkedInにコ ンテンツを置くか? •オープンソース・ソフトウェアを作成するか? もし、GitHubの上なら? •シェアリング・エコノミー:Wikipedia、カーンアカ デミー 21

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プラットフォームエコノミーにおける 労働、価値創造と価値獲得(全体図) 経 済 報 酬 22

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プラットフォームエコノミーにおける ベンチャーの働き(上位層) 起業家と従業員がもし成功すれば 彼らが最大の勝者! 23

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プラットフォームエコノミーにおける 無償労働 - 巨大な分散価値創造(下位層) 観察:生み出される膨大な量の価値と 直接的な報酬の不在! 24

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プラットフォームエコノミーでの働き方の変化:5つのパターン 補償プラットフォームの五つの形態 1.グローバル入札/サイバー契約労働 - 例:eLance/ Odesk(upwork) 2.産業のサイバー転換 -例:タクシー-- Uber、ホテル--Airbnb 3. 非公式な作業のサイバー形式化 - 例:TaskRabbit, Instacart 4.仮想委託--Apps店舗 5.仮想プロジェクトの資金調達 - 例:Indiegogo、Udemy 25

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1, 2 &3. プラットフォームエコノミーに おける契約労働 Amazon, Mech Turk, oDesk(upwork) Ebay, Amazon Market, Taskrabbit, Instacart Uber, Craigslist, AirBnB 26

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1.グローバル入札/サイバー契約労働 •最低価格 •大部分は無力な請負業者 -希少スキルを持っているのは例外的 •学習可能性のほかに、請負業者のための多 少の上振れ -永久的な仕事につながりうるか? •社会的成果 -正社員を代替 -より効率的な仕事への人の割り振り 27

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真に希少なス キル保有者は 少数 28

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2. 産業のサイバー転換 •利便性、効率性、ゆるみ資産の動員 •多くの場合、断片化された産業の巻取り •競争に対する障壁の打破(タクシールール、 ゾーニング、反差別) ‐しかし、Airbnbのホテル税支払い、 Uber/ Lyftの商業保険取得、のようないくつかの初 期の利点の浸食 •大幅に無力なプロバイダ対プラットフォーム所有 者 ‐請負業者の少々の上振れ 29

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Airbnbはアルゴリズムビッグデータモデル ゲスト ホスト 30

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3.非公式作業のサイバー形式化 •サイバー形式化の歴史は長い -eBay、 Craigslist •膨大な数の巨大プラットフォーム •クラウドへの制御と監視の動き •社会的成果 -より大きな効率性と価格発見 -より大きな税制と信頼面での透明性 -プラットフォーム所有者への力のシフト 31

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4 & 5.仮想委託と仮想プロジェクトの 資金調達モデル Zynga, King Digital, Supercell Kickstarter, Indiegogo 起業家精神で上部につながることができる 32

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4.仮想委託モデル •プラットフォーム所有者は無料でコンテンツ取得 •コンテンツプロバイダが全ての費用を負担 •コンテンツプロバイダは2つの形式を持つ ‐プラットフォーム所有者を通じた支払い受取り ‐聴衆からの補助的収入 •出演、紹介文、プロダクトプレイスメント、アイテム •ロングテールによって特徴づけられるコンテンツプロ バイダのリターン •社会的成果 ‐ 新しい仕事のための膨大な機会 33

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仮想委託の状況 •アプリストアは今250億ドル支払われている •YouTube-YouTubeパートナープログラム ‐2007年に作成 -100万以上のクリエイター - 10万ドル以上儲けるチャネルが数千 -Vidconコンベンション2014が1万9千以上 •Udemy - オンラインコース 34

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プラットフォームエコノミーでの働き方の変化:まとめ 社会全体で分解される労働 •仕事と非仕事の両方で、オンラインの人間活 動が価値を創造(または価値に変換) •ほとんどの「ロングテール」の仕事は実質的収入 に充分な価値を生まないが、しかし、いくつか は貴重な集積を形成する - Flappy Birdsなど 注)5000万回以上ダウンロードされながら、開発者が「これ以上もう堪えられない」とコメン トを残したのを最後に、App StoreとGoogle Playから削除されたゲームソフト •作業場所はどこか- -潜在的にはデジタルなと ころは全て! 35

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成功プラットフォームは勝者総取り •彼らは提案価値を保有 •大規模な新しい価値の創造や保存 •所得は不平等を強化か? •プラットフォーム所有者の労働者(正社員)と 所有者は大規模に利益を得るが、比較的卑 しい。 -少数の大きな勝者と補償契約労働者、委託 労働者 •参入障壁はデジタル化で溶解 -Zenefits(保険ブローカー) 36

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ニューエコノミーとは何か? •クリエイティブエコノミー(Florida) •認知創造エコノミー( Alan Scott) •シェアリングエコノミー(YochaiBenkler) 古いエコノミーは弱体化 •ギグ( Gig)エコノミー( Friedman) •プレカリアート それが如何に機能するかについて考えるのがベター プレカリアート:パートタイマー、アルバイト、フリーター、契約社員、派遣社員などの非 正規雇用形態で生計を立てる人、何らかの理由で職を得にくい状況にある人々、およ び失業者、ニート、ホームレスなどの総称。 ⇒ プラットフォームエコノミー 37

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もしプラットフォームエコノミーが社会的 に適切な賃金への回答であるなら? •“幸運”な個人のための報酬を拡張 -多くの委託経済の勝ち組は一回限りの「ヒッ ト」かもしれない。 •起業家精神を増大するか? - 我々は先験的に誰が勝つかを知ることはで きない。(例えば、 Flappy Birds) •創作的活動はサポートされるか? •消費は増大するか? 38

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3.デジタルプラットフォームの含意と帰結 Uberに見るプラットフォーム力 • 「フリーランス労働者とサービス利用者を結 びつけるプラットフォーム」の役割が目立つ。 • アメリカの成人人口の1%がオンデマンド・プ ラットフォームで収入を得ている。 • Uberのシェアは0.27%と大きく、約65万5千人 がUberの恩恵を受けている模様(JPモルガン銀行調査) • Uberは220万人を雇用するウォルマートに次 いで全米第2位の雇用を擁する企業に相当 • 2014年12月時点でのUberドライバー数は従 来のタクシー・ドライバーの10倍にも上る模様。 39 Jon Metzler,”存在感を増すオンデマンド・エコノミー”,KDDI総研R&A,2016年7月号より

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「キャピタル・プラットフォーム(資産を共有するプラットフォーム; 例: AirBnBなど)」からの貢献は「労働力プラットフォーム(例:Uber, TaskRabbit」からのものより大きい。 米国の成人におけるプラットフォームエコノミーからの月ごと収入に占めるシェア :労働力プラットフォーム(Uber、TaskRabbitなど) :キャピタル・プラットフォーム(AirBnB、eBayなど) 40 file:///C:/Users/fmv/Downloads/KDDI-RA-201607-01-PRT.pdf

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Uber以外のプラットフォームエコノミー成長の エンジンに値する事業者 Googleでの検索頻度がオンデマンド・サービスの被雇用者数に比例すると仮定し、他はUberとの相対比 41 file:///C:/Users/fmv/Downloads/KDDI-RA-201607-01-PRT.pdf

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就労人数と給料予想 • 2014年12月時点のUberのアクティブ・ドライ バー(162,037人:Princeton大調査)を、LyftのUber に対する検索相対シェアを用いて試算すると、 Lyftも20,093人のアクティブ・ドライバー数 • Uber やLyftではドライバーはサービス価格を コントロールできず、ドライバーの報酬は時給 ベース • Uber、Lyft の最低時給は35ドル。 • 年間労働時間を2000時間(250営業日x 8時 間)と仮定すると、7万ドルほどの年収 Jon Metzler,”存在感を増すオンデマンド・エコノミー”,KDDI総研R&A,2016年7月号より 42

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UberやLyftのドライバー像 • 若者、おそらくは学生で、ドライバー業で収入を 補う • 若者で、定職に就かずほぼフルタイムでドライ バー業をする • 若者で、旅行費用を貯える • 親が、子どもの養育費を補う • 定職者であり、転職で次の職に就くまでの間の 収入を補う • 定職者であり、客との情報交換を目的にドライ バーをする • 定職者であり、ドライバー業で収入を補う • 定年後、ドライバーとして収入を補う 供給側が余った時間を収入へ加算の傾向 43

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サービスプロバイダーの分類 1. ドライバーをオンデマンドで依頼できるサー ビス Uber、Lyft、Sidecar(SidecarはGMに買収) 2. 働き手の自宅訪問を依頼できるサービス TaskRabbit、Handy、Thumbtack 3. プロジェクトをフリーランサーへ発注できる サービス Upwork、Fiverr、Mechanical Turk(Mechanical Turkは、Amazon傘下) 44

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デジタルプラットフォームの帰結 デジタル技術普及は全てのコストを減少させ る。 「取引コストを最小化させる存在」としての大 企業設立の条件も、デジタルプラットフォー ムの外部取引コスト低下によって変化する。 企業境界そのものの変化と、新たな企業、 新たな雇用、新たな働き方にまで変化が及 ぶ。 デジタルプラットフォーム普及はこのような 帰結に至る。 45

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新たに想定される環境 既存企業 小企業 水平連携企業 高 市場的資源配分 システム 大企業 垂直統合企業 組織的資源配分 システム 取 引 コ ス ト 新たな 可能性 新規企業 サービス 提供者 低 取引 サービス 利用者 デジタル・プラットフォーム 低 高 資産特殊性

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暫定まとめ • 技術それ自体では我々の未来は決定されない。 • 技術とそれらの導入/使用ルールが如何に展開 させかがポイントになる。 • 岐路の一つは、労働者を費用として見るか、ア ルゴリズム、ロボット、自動化の時代でも、開発 され育成される資産として見るかである。 ①【企業戦略例1】労働者を育成可能な資産と見て 企業が開発・育成費用を負担する。 ②【企業戦略例2】市場や社会をどう考え、技術変 化が作成する巨大な価値をどのように享受する かの戦略で競争する。 47

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暫定まとめ(続) • 19世紀後半に出現した企業の有り方が見直され、 21世紀には、クラウド内のプラットフォームが類 似機能を保有するようになる。 • 19~20世紀全盛期と比べれば組織は小規模化し、 新たな政策や政治課題が出現する。 ①【公共政策例1】より高いリスクテーカーが求めら れるので、それとセットで、従来以上にしっかりし たセイフティーネットを構築する。 ②【公共政策例2】社会的権利として、より広範なセ キュリティネットを労働者に提供し、その上でプ ラットフォームエコノミーの持続的成長が期待で きる社会を目指す。 ③【公共政策例3】競争政策、課税ルール、サービ ス提供要件、知財ルールなどを再構成する。 48