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March 06, 23
スライド概要
DX化への取組みにおいて充分には検討されていないと思われる問題認識、1)そもそも取組みに必要な変換能力が充分に認識され育成されているか?2)長期の変革期間中、組織のモティベーションを維持するための仕組とその準備は何か?の側面を調査しまとめてみた。
定年まで35年間あるIT企業に勤めていました。その後、大学教員を5年。定年になって、非常勤講師を少々と、ある標準化機関の顧問。そこも定年になって数年前にB-frontier研究所を立ち上げました。この名前で、IT関係の英語論文(経営学的視点のもの)をダウンロードし、その紹介と自分で考えた内容を取り交ぜて情報公開しています。幾つかの学会で学会発表なども。昔、ITバブル崩壊の直前、ダイヤモンド社からIT革命本「デジタル融合市場」を出版したこともあります。こんな経験が今に続く情報発信の原点です。
デジタルサービス化への旅 デジタルサービス化 Ⅶ 1
自己紹介 - B-frontier研究所代表 高橋浩 • 略歴: • 元富士通 • 元宮城大学教授 • 元北陸先端科学技術大学院大学 非常勤講師 • 資格:博士(学術)(経営工学) • 趣味/関心: • 温泉巡り • 英語論文の翻訳 • それらに考察を加えて情報公開 • 主旨:“ビジネス(B)の未開拓地を研究する” 著書: 「デジタル融合市場」 ダイヤモンド社(2000),等 • SNS: hiroshi.takahashi.9693(facebook) @httakaha(Twitter)
“デジタルサービス化への旅”の目的 • 製造企業がデジタルサービス化へ移行する長旅の2側面を検討する。 • 戦略的能力の側面から ・・Part1 • 言説的シナリオの側面から・・Part 2 3
スマートソリューションプロバイダー へ移行のための戦略的能力 Part1 4
1. はじめに 「全ての製造企業はソフトウェア 企業にならなければならない」 ーGEの元CEO ジェフ・イメルト 5
デジタルサービス化への取組み コモディティ化の 罠から逃れるため、 製品の販売からス マートソリュー ションの販売へ • 「デジタルサービス化」と呼称 • 製品、サービス、ソフトウェア間 の相互作用による価値創造にシフ ト スマートソリュー ションは製品、 サービス、ソフト • CPSやIoT技術などにも依存 ウェアのバンドル で実現 6
キー用語 • スマート: • 「機器が、異なるシステム間でデータを送信/収集できる ようにするためのソフトウェア、ポート、プロトコル、ア ンテナなどのソリューションに組込まれたインテリジェン ス」のこと • ソリューション: • 「機器、サービス、ソフトウェアの統合」のこと • スマートソリューション: • 「ビジネス機会の改善、コスト削減、顧客体験などを通じ て、製造企業に経済的、戦略的利益をもたらす」こと 7
さまざまな障壁が存在 ✓ 製品製造からスマートソリューション提供への移行の証拠は登場してい るが・・・ • 製造企業がスマートソリューションプロバイダーに移行 する際に資源、機能、関連プロセスやルーティンがどの ように変化するかは不明確 • 背景に、移行はかなり困難で、大部分の製造企業は取組 めていないことが存在 • これは、能力ギャップのみでなく、様々な利益相反や損 失が存在するから 8
取組み指針と課題 1. 新機能や既存機能改善の開発が必要。しかし、 • 新機能開発にはコストがかかりリスクが高いため、当初 の強みに確信が持てない可能性 • 古い行動ルーティン(価格設定や販売など)がスマート ソリューションへの移行を妨害 • 製品に対する古い考え方がデジタルサービス化に必要な 新機能、新プロセス採用を不首尾に 2. 製造企業は製品とスマートソリューションを同時に販売で きることが必要。しかし、 • ビジネスモデルの二重性が組織内の硬直性と緊張を誘発 9
課題の克服に向けて • 製品論理からサービス論理への移行に際し、新しいビジネス チャンスを感知し、資産を変更する能力が必要 • 戦略的能力とプロセス再構築能力の相互作用 • サービス化に対する戦略的能力 • デジタルサービス化のための資源再構成能力 • 目標 • 機能/資源再構成が製造企業の戦略的能力をスマートソ リューション向きに変更するのにどのように有効か? 10
2.スマートソリューションへの戦略的移行 新たな考え方 製品論理(ま たは商品優位 コスト論理か 製品指向から の論理)から らバリュー論 サービス指向 サービス論理 理へ /顧客指向へ へ 11
企業は新たな能力を学習し更新 する方法を開発する必要がある • リスクを軽減し新しい知識を収集するために、知識集約型ビジ ネスソリューション企業などとのパートナーシップを開始 • 顧客から学ぶ関係能力の開発 • 設計段階にあるサービスのイノベーションのためのプロセスと 能力の更新 • ビッグデータを収集・分析・解釈するためのIT機能の開発 • など • 次頁以降に枠組みを示す。 12
戦略的能力の更新の枠組み 伝統的製造企業 の戦略的能力と プロセス 戦略的能力 の更新 • 厳格な管理に よって達成さ れる効率化論 理 • 戦略的能力 とプロセス の再構築を 達成する能 力の獲得 スマートソリュー ションプロバイダー の戦略的能力とプロ セス • 幅広いコラボ レーションを 通して達成さ れる顧客向け 価値生産論理 13
戦略的能力を更新するための製造企業の再構築能力(詳細版) 伝統的製造企業の戦略的能力 とプロセス 商品販売力 • • 機器やプロジェクトを販売するためのプロ セスとルーチン 人間関係の「一夜限りアプローチ」 自動化開発力 • • 閉鎖的な環境でシステムを開発するため のプロセスとルーチン モノのイントラネット型開発アプローチ (システム未接続) フリート管理機能 • • フリートを効果的に整備するためのプロセ スとルーチン サービスに対する「直します」アプローチ 新商品開発力 • • • 新製品を開発するためのプロセスとルーチン 革新への効果的な自社開発アプローチ 開発における「良い計画は半ば実行済」ア プローチ 取得能力 • • (生産およびサービス)企業を買収および 管理するためのプロセスとルーチン 統合への「連邦主義的」アプローチ サプライヤーネットワーク管理能力 • • サプライヤーネットワークを効果的に管理す るためのプロセスとルーチン 調達は腕の長さ(Arm’s length)アプ ローチ(一発利益) 研究開発と製造能力 • • 製品を効果的に設計および製造するための プロセスとルーチン 設計と製造の一体化 戦略的能力を更新するダイナ ミックケーパビリティ ①新しい(デジタル)機能の構築: • 新たなデジタル環境を構築するための 体制(例:分離したデジタル組織) の確立 新しい幹部(CDO/CIOなど)や専 門家(ソフトウェア開発者/データアナ リスト/営業担当者など)を採用し訓 練するためのプロセスとルーチン 新しい知識を創造し、吸収するための 組織のプロセスとルーチン • • (スマート) 製 ②既存機能を新しい 品に活用: 新製品開発体制の確立(クロスファン クショナル開発チームなど) 新しい機会を感知し捕捉するためのプ ロセスとルーチン 知識を新しい用途に活用するための組 織のプロセスとルーチン • • • (ソフトウェア) 機能 ③ 外部企業の へのアクセス: • • • ④• 外部リソースの管理体制の確立 (例:スタートアップ企業との連携を 担当する役員会メンバーの任命) 外部パートナーと関わるためのプロセ スとルーチン(ハッカソンなど) ソリューションの共同開発に向けた組 織のプロセスとルーチン 既存の (衰退) 機能の解放: • 能力を解放する管理体制 機会費用を評価し、リソースの再配 分を決定し、学びを捨てるためのプロ セスとルーチン スマートソリューションプロバイダーの 戦略的能力とプロセス バリュー販売力 • • 顧客に価値と生産性を売り込むためのプロセスと ルーチン 人間関係の「結婚アプローチ」 つながるシステム開発力 • • オープンな環境でシステムを開発するためのプロ セスとルーチン モノのインターネット型開発アプローチ(システム がつながる) スマートフリート管理機能 • • フリートデータを分析して理解するためのプロセス とルーチン 「データで語る」サービスへのアプローチ 新しいスマート ソリューション開発力 • • • 新しいスマートソリューションを開発するためのプ ロセスとルーチン 革新への相互発展アプローチ(オープンイノベー ション) 開発への「スケールファスト」または「失敗ファスト」 アプローチ KIBS(知識集約型ビジネスサービス)取得能 力 • • KIBS企業を買収するプロセスとルーチン 統合への「非連邦主義的」アプローチ オーケストレーション能力 • • エコシステム内のさまざまなプレーヤーを調整す るためのプロセスとルーチン 調達のための価値ベースのアプローチ(例: TCO、継続的なメリット)
伝統的製造企業の戦略的能力と プロセスの課題 • • • • 企業に支配的な製品論理が顧客の役割を無視 内部のコスト効率化のみを重視(コスト論理) 閉じたシステムでの機器の効果的使用中心の展開(製品指向) 価格指向で、顧客指向の最適な価格よりは技術的特徴を強調(製 品論理) • 結果、顧客固有のニーズと価値観の誤解に発展(あるいは関係) 15
戦略的能力を再構築する能力(1) ① 新しい(デジタル)機能の構築 障害: • アイデンティティ問題(「我が社は何者か?」) • デジタル能力の欠如 • 余裕のあるリソースの欠如 • 開発のペースに関する懸念 • 会社の境界の決定に関する懸念(社内/外部委託/提携、など) 対応策: • 全てを自社で所有する必要なし • 新しい人材の採用 • 個別のデジタル組織の設立 • CDO/CIOの指名 • ICT関連の戦略的開発プログラムの確立 16
戦略的能力を再構築する能力(2) ② 既存機能を新しい(スマート)製品に活用 障害: • 戦略的適合性あるいは拡張性の欠如 • 戦略的伸縮性の欠如 • 結果、規模(適合性を伴う)あるいは範囲(拡張性を伴う)の際、 ジレンマに遭遇の懸念 動機: • 顧客財布シェア拡大の期待(トータルソリューション提供で) • 顧客向け収益性拡大の期待 • 学習/開発サイクルの高速化 対応策: • 両利きの経営(深化と探索のバランス) • 新しい機能や技術追加による改造の試み • パイロットケースの価値を素早く確保しフィードバックと顧客体 験ベースによる調整 17
戦略的能力を再構築する能力(3) ③ 外部企業の (ソフトウェア) 機能へのアクセス 障害: • 統合時(特に買収)、文化的不適合の懸念 • 共通言語の欠如 • 補完的能力に関する経営陣の認識不足の懸念 補完的内部能力の必要性: • 既存情報の集積や一定のインストールベースの存在 • 顧客との確立された関係に基づくアクセス • 幅広い顧客向けソリューションの提供 対応策: • 外部リソースの買収あるいは提携 • 外部パートナーと展開および管理する能力の向上 • 新興企業とのコラボレーション(例:ハッカソンなども) • 大学など研究機関との連携 18
戦略的能力を再構築する能力(4) ④ 既存の (衰退) 機能の解放 障害: • コントロールを失うことへの恐怖 • ビジネスの共食い • アイデンティティ喪失の恐怖 • 機会費用評価の困難さ 動機: • 新しい機能開発のためのリソースの取得 • 運用コスト、取引コストの削減 対応策: • 事業の売却、閉鎖、レイオフ • 製造活動のアウトソーシング/オフショアリング • 既存組織の学習の中止 • 行動ルーティンの変更 19
4つの戦略的能力の相互作用 ① 新しい(デジタル)機能の構築 外部企業の(ソ ③ フトウェア) 機 能へのアクセス 機能を新しい用途に活 用することで、新しい 機能を構築および取得 する可能性が拓ける 能力を解放すること で、焦点企業は新し いアライアンスを策 定し、新しいソフト ウェアを買収できる アライアンスは、 企業が専用機能を 解放するのを容易 にする 新しい機能の作成によ り、企業は資産を活用 して新しい製品を提供 できるようになる ②既存機能を新しい (スマート) 製品に活用 既存の (衰退) ④ 機能の解放
スマートソリューションプロバイダーの 戦略的能力とプロセスの課題 • 更新プロセスには時間が必要 • エコシステム内での望ましいポジション到達にも時間が必要 • 「製造企業がソフトウェア企業になる」との公式表明は企業買 収や投資家へ好影響も • 外部から/へのアプローチも重要(バリュー論理) • 1対1関係からエコシステムのコーディネーターとしてのオー ケストレーション機能開発が重要(サービス論理) • 結果、アプローチは「内部の効率化」から「顧客の価値生産性 向上」へシフト(顧客指向) 21
言説的シナリオによる移行 のための能力 Part2 22
1. はじめに • デジタルサービス化への旅は言説や 行動としてどのように展開し、 • 意図的物語はデジタルサービス化を どのように導くだろうか? 23
デジタルサービス化への旅の課題 • 企業は製品から製品サービスソフト ウェアシステムへの移行にますます苦 労している。 そこで、デジタルサービス化への旅はどのような言説ある いは物語によって展開されているのかを明らかにする。 特定の企業の例で分析する。 24
キー用語 デジタル化: • 「遠隔監視から最適化、制御そして多くの場合、 最終的には自律システムへの移行」のこと サービス化: • 「製品から統合された製品サービスソフトウェア システムへの移行」のこと デジタルサービス化: • 「遠隔監視、制御、最適化および自律機能などに よって価値創造、価値獲得を可能にするスマート ソリューションへの移行」のこと 25
デジタルサービス化への着眼点 • デジタルサービス化はデジタル技術の次のような側面に着目 している。 • プロセスと活動 • 戦略と提供物 • エコシステムアクター間の複雑な相互作用 • 製造企業にとってデジタルサービス化への移行は、・・ • 複雑で全体論理的であり、 • 環境、戦略、構造が相互作用する包括的かつ複雑なプ ロセスなので • デジタル機能とサービス化、プロセス、HW/SW機能の戦 略的連携と理解が重要になる。 26
デジタルサービス化での言説的シナリオ 組織の変化として管理するための変化の物語 組織を未来に投影するために構築される言説的物 語 提案された行動に意味を与え認識することを継続 する変化の物語 27
社会的慣習としての言説 • 言説と行動が最終的にどのように構造を生み、また実行させ るか? • 組織的変化における経営慣行としての物語 • 企業はデジタル技術、組織、戦略、エコシステム内の社会的 相互作用を如何に戦略的変革プロセスに展開しうるか? • ルーティン、慣行、作業方法の再構成の組織内で語られ る物語 28
2.意図的物語の効用 意図的物語の視点 組織の物語は人々が従う一貫した変化への取組みに結実し易い。 物語は「提案された行動に意味を与える」。 物語は実践における言説的視点と見做せる。 デジタルサービス化への長期に渡る組織変革は意図的物語に よって促進される。 • 意図的物語は切迫感を生み出したり、緊張への対処を容 易にする。 • 結果、デジタルサービス化への長旅を導くのに有用であ る。 29
意図的物語の構図 意図的物語の構造の図解 意図的物語例 システム供給から統合 ライフサイクルソリュー ションへと進化する 意図的物語 デジタルサービ ス化に向けた 意図的物語 リモート診断から真 のデジタルソリュー ションへと進化する 意図的物語 個別の製品とサービス 機能をエンドツーエン ドの運用に展開する 意図的物語 テクノロジー重視から 顧客価値重視へと進化 し、さらにエコシステ ムを形作る 意図的物語 主なストーリー • より広い範囲の提供の重要性 • ソリューション統合戦略 • 持続可能なソリューションへの移行 データサービス化への旅の4つの層 ① 戦略と提供絡みの変革 ② • リモート診断と予防保守 • スマート分析の最適化 サービスサービス技術 絡みの変革 ③ • 新しい能力の開発 新たな能力の変革 ④ • 顧客価値重視の強化 • エコシステムを形成するプロセス の重視 エコシステムの変革 30
デジタルサービス化への旅:シナリオ(1) ① 戦略と提供絡みの変革 サプライヤーの立場から・・ システムインテグレー タとしての製品の範囲 を拡大し、 既存の予備パーツ販売 更に、より広い統合ラ より広い製品をバンド などの保守契約も活用 イフサイクルソリュー ルし統合する。 してより広いサービス ション提供の展開に繋 の確立を目指す。 げる。 「システム供給から統合された持続可能なライフサイクルソリューション」まで 31
デジタルサービス化への旅:シナリオ(2) ② サービスサービス技術絡みの変革 企業の技術開発を導いてきた立場から・・ リモート診断、予防保 守などの先駆的取組み を行い、 先行して衛星接続等も それらを活用して倉庫 使用してデータの中央 保管、分析、予防保守 サーバーへの収束を実 などのコントロールセ 現する。 ンターを立ち上げる。 ビッグデータも含むよ り高度な分析による最 適化で先行する。 更に、より高度な自律 システムやAI活用シス テム構築に向けた探求 を行う。 「スマート分析を使用したリモート診断からリモート制御、最適化、デジタルソリューションの提供」まで 32
デジタルサービス化への旅:シナリオ(3) ③ 新たな能力の変革 顧客指向の立場から・・ リモート診断や予防保 守等を含むライフサイ 製品サービスにデジタ 結果、顧客インストー クルソリューション販 ル機能を組込んだサー ルベースから入手でき 売/提供のスキルセット ビス提供で先行する。 た情報活用に注力する。 を開発し、 その一例として顧客 ニーズに基づいた製品 カスタマイズを実施す る。 更に、利用可能な顧客 知識に基づいて次世代 製品を開発し先行して 市場に提供する。 「個別の製品およびサービス活動からエンドツーエンドの運用」まで 33
デジタルサービス化への旅:シナリオ(4) ④ エコシステムの変革 技術の重点を顧客観にまで拡大する立場から・・ そのようにして形成された 更に、エコシステムを活用 合併、買収などを活用して サービス提供プロセスと作 エコシステム内で他メー して他メーカー製品と効果 サプライチェーンの範囲を 業慣行をも改善してより広 カーの製品システムとも対 的に統合できる製品やサー 拡大し、 くより良い管理を実現する。 話できるソリューションを ビスを開発し市場に提供す 開発する。 る。 「エコシステムを更に拡大するための貴重な技術の活用から顧客価値提供」まで 34
意図的物語のまとめ 変革軌道 意図的物語 デジタルサービス化への移行 戦略と提供 システム供給から統合ライフサイク スマートソリューションの提供に向けた ル ソリューションへと進化する意図 企業戦略の変革を起動 的物語 ② サービス技術 リモート診断から真のデジタル ソ リューションへと進化する意図的物 語 新しいデジタル技術を適応させてデジタ ルサービス化を実現 ③ 個別の実践とプロセ ス 個別の製品とサービスの機能をエン ドツーエンドの運用に展開する意図 的物語 組織をマトリックス形式から分散型の起 業家的形式、さらにはエンドツーエンド の運用に移行するための実践 エコシステムの形成 テクノロジー重視から顧客価値重視 へと進化し、更にエコシステムを形 作る意図的物語 エコシステム形成に向けたより広範な変 化を促進する必要性を伝達 ① ④ 35
4つの意図的物語の内容 意図的物語の内容 ① ② ③ ④ サプライヤーの立場から、システム統合への変化を伝え、持続 可能なライフサイクルソリューション提供へと導く物語 企業の技術開発を導いてきた立場から、新技術導入の直接的金 銭的利益が不確実であってもデジタル技術の探索的開発を導く 物語 顧客指向の立場から、エンドツーエンドのプロセスを開発し、 組織内のコラボラーションを改善してプロセス統合に導く物語 技術の重点を顧客観にまで拡大する立場から、エコシステムア クター間の積極的橋渡しも含めた広範なエコシステム形成に導 く物語
戦略的能力と意図的物語は直交 意図的物語 戦略的能力 新しい(デジタ ル)機能の構築 サプライヤーの立 場 技術開発を導いて きた立場 顧客指向の立場 重点を顧客観にま で拡大した立場 システム供給から 統合ライフサイク ル ソリューション へと進化する意図 的物語 リモート診断から 真のデジタルソ リューションへと 進化する意図的物 語 個別の製品とサー ビスの機能をエン ドツーエンドの運 用に展開する意図 的物語 テクノロジー重視 から顧客価値重視 へと進化し、更に エコシステムを形 作る意図的物語 中程度 中程度 強い相関 強い相関 既存機能を新し い(スマート)製 品に活用 強い相関 強い相関 中程度 少程度 外部企業の(ソフ トウェア)機能へ のアクセス 少程度 中程度 強い相関 強い相関 既存の (衰退) 機 能の解放 リソースの提供(全てに相関) 37
デジタルサービス化への旅(まとめ) • デジタルサービス化への移行は経営者/管理者の言説や行動に起因 する社会的慣行変化にも関わる長期に渡るプロセス • 長期間の変化のプロセスを適切に遂行するには、戦略的能力の確 保と組織を方向付ける意図的物語の両方が必要 • ビジネスモデルの変化は製品を通じてのみ起こるのではなく、製 品、サービス、ソフトウェア等の変化と、それら変革に関わる組 織や社会慣行の変化も関係 • これらの要素の適切な相互作用(と制御)が成功に導く。 38
文献 • Part 1は、主として、Tuomas Huikkola et al., “Becoming a smart solution provider: Reconfiguring a product manufacturer’s strategic capabilities and processes to facilitate business model innovation”, Technovation 118 (2022) 102498. を参考にして作成した。 • Part 2は、主として、Marko Kohtamaki et al., “Unfolding the digital servitization path from products to product-service-software systems: Practicing change through intentional narratives”, Journal of Business Research 137 (2021) 379–392. を参考にして作成した。 39