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July 19, 25
スライド概要
シナジーマーケティング 取締役 CTO
スクラムフェス大阪2025 1 大阪のSaaSの会社、シナジーマーケティング60人 のプロダクト組織変遷を全部お話しします! 2025.07.19 シナジーマーケティング株式会社 CTO 馬場彩子
01 はじめに 2
自己紹介 取締役 兼 CTO 馬場 彩子 社内最古のエンジニア でかいこども(180cm / 173cm) 得意:俯瞰・考え続けること 苦手:絵心・体力勝負 好き:たび 嫌い:チーズ ・カニ ・申請 3
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01. はじめに シナジーマーケティング株式会社 大阪本社のSaaS企業 マーケティングSaaS「Synergy!」を提供して今年で20年 その他、マルチプロダクトを展開 自己紹介と会社紹介 プロダクトに関わる人 約60名(PdM, デザイナー, エンジニア etc.) 私(馬場彩子) CTO(2020年〜) まさにこの組織変革の渦中に身を置いてきました。 6
02 私たちが乗り越えてきた3つの壁 7
02. 私たちが乗り越えてきた3つの壁 オーナーシップの壁 専門性を極めるプロ意識。 でも、プロダクト全体への当事者意識が持ちづらい… あなたの組織 こんな"壁"にぶつかっ ていませんか? 専門性の壁 専門家がチームに分散し、 頼れる仲間が近くにいなくて育ちにくい… 価値探索の壁 開発スピードは上がったけど、 本当に価値あるものを作れているか不安… 8
9 Index 目次 01 02 03 04 05 06 はじめに 私たちが乗り越えてきた3つの壁 オーナーシップの壁はプロダクトチーム化で育む 専門性の壁はライン組織でイネーブリングする 価値探索の壁は「役割」のアンラーニングで克服する まとめ
03 オーナーシップの壁はプロダクトチーム化で育む 10
03.オーナーシップの壁はプロダクトチーム化で育む 壁① オーナーシップの壁 "専門性を極める"組織から、"みんなで創る"組織への挑戦 (2020-2023) 11
03.オーナーシップの壁はプロダクトチーム化で育む 【Before】"餅は餅屋"という善意の壁 複雑なシステム × 縦割り組織 ローンチから15年(2020年時点)経過したSaaSを職能別チームで運 用 全体像はブラックボックス化 システムの内部構成や設計意図は秘伝のタレ化 責任感が強い人ほど「専門家に任せよう」と遠慮してしまう 中途半端な知識では意見を出せない。 意思決定は「システム理解がある人」に任せよう 結果として…プロダクト全体への当事者意識が持ちづらくなる オーナーシップを自信をもって持てない状況 12
03.オーナーシップの壁はプロダクトチーム化で育む 【工夫】リライトをてことしたプロダクト組織化 大規模なリライトプロジェクトを「職能横断チーム」で推進 プロジェクトを立ち上げ、段階的にリライトを進めていく リライトを通して、プロダクトについての理解が醸成されていく 何を作るか・どう作るかをチームで計画・決定 チームに目的(Why)と計画決定の裁量を委譲 プロジェクト後もチームを解体せず「プロダクトチーム」へ移行 プロジェクトで培ったオーナーシップがそのままチームに宿る 13
03.オーナーシップの壁はプロダクトチーム化で育む チームでの大規模な達成体験 「リライト」という困難なプロジェクトをチームで完遂し、前よ 【得たもの】 「わかる」がオーナー シップを生んだ り機能的にもよいものに仕上げる 「わからない」が「わかる」に変わった 複雑なシステムとシステムが届ける価値への理解がチーム 全体で深化 「わかる」が遠慮を主体性に変えた 自分でプロダクトをもっと良くしたいという気持ちの芽生え 14
03.オーナーシップの壁はプロダクトチーム化で育む 【変化の仕方】 プロジェクトチームからプロダクトチームを分離する 順番にリライトプロジェクトを実行 まず比較的大きなプロジェクトチームを組成 一部分(A機能)のリライトを着手 プロジェクト遂行しながら、プロダクトチームを分離 A機能のリライトの区切りが見えた段階で、 A機能のプロダクトチームとB機能のリライトチームに分離 段階的にプロダクトチームを増加 知見と理解と主体性が伝播していく 15
04 専門性の壁はライン組織でイネーブリングする 16
04.専門性の壁はライン組織でイネーブリングする 壁② 専門性の壁 属人化と成長のジレンマ (2024) 17
04.専門性の壁はライン組織でイネーブリングする 【Before】知見のサイロ化という"もったいなさ" 貴重な知見がチームごとにサイロ化 Synergy!:20年の安定運用・セキュリティの深い知見 新規プロダクト:高速な仮説検証の広げる知見 専門家の孤独とキャリアパスの問題 マイノリティ職種の孤独 組織全体での成長機会の損失 18
04.専門性の壁はライン組織でイネーブリングする 【工夫】知見を融合させるための組織再編 イネーブリングを目的に2つの部の新設 プロダクトデザイン部:PdM、PMM、デザイナー組織を新設 プロダクト開発部 : エンジニア組織を新設 守りと攻めの知見の融合 プロダクトチームとは別にライン組織上の職能組織を新設 部ごとに知見の交換や育成を実施 19
04.専門性の壁はライン組織でイネーブリングする クリエイティブデザイン領域での体制強化 全社に分散していたデザイナーをひとつのグループに集結 【得たもの】 事業間シナジーの創出 相互相談・レビュー文化が定着 品質が大幅に向上、リブランディングの完遂 事業間シナジー創出のきっかけに プロダクトを俯瞰する視点 触れる技術の幅が広がる 20
04.専門性の壁はライン組織でイネーブリングする ライン組織を新設しつつ 現場チーム構成の変化を最小限に 【変化の仕方】 ライン組織による統合 デザイングループはあらたに集約 / 組成 エンジニア、PdM チームはほぼ現場のメンバー構成を変えず プロダクトに依存しない部長の存在 特定のプロダクトによらない、横断的、長期的な組織作りの視点 を持つ部長という存在 新プロダクトチームも立ち上げ、いくつかプロダクトをリリース 21
04.専門性の壁はライン組織でイネーブリングする 【変化の仕方】 そして、本当の課題が 浮き彫りになる 部長の制約 リーダーだけでは現場メンバーの深い交流が 自然に生まれなかった 本当に解くべき課題 それは、Synergy! のディスカバリー 22
05 価値探索の壁は「役割」のアンラーニングで克服する 23
05.価値探索の壁は「役割」のアンラーニングで克服する 壁③ 価値探索の壁 作るから創るへの挑戦 (2025〜 現在進行形) 24
05.価値探索の壁は「役割」のアンラーニングで克服する Deliveryの深化、そして見えてきた次の課題 【Before】 "作る"ことへの最適化 高速なデリバリー だからこそ向き合うべきDiscoveryへの時間投資 未来の顧客価値を探索し続ける仕組みが必要に 新しい技術や顧客の業務変化に追いつけていないのでは? 25
05.価値探索の壁は「役割」のアンラーニングで克服する 【工夫】価値探索を仕組み化する挑戦 価値探索の時間を意図的に作る チーム全体で価値探索の時間を増やしていくために、それぞれの役割 の境界を見直す / 超えていく。 役割を越境する ロードマップづくりにほぼ専任でアサイン ビジョンやWHYの言語化に明示的に取り組む PdMの役割を、「リリース」から「価値探索」に焦点をシフト ビジョン実現のために何をリリースするのか、考える エンジニア、デザイナーもWHYの段階から関わり、チームで WHAT/HOWを練り上げる 26
06 まとめ 27
06.まとめ 「Dynamic Reteaming」に通じること 気づいたこと 壁は「変化が必要なサイン」 解決策は「適切なReteamingの選択」 組織設計とは「変化をデザインすること」 だから、組織は面白い。 理論が後から実践を説明してくれる。 28
06.まとめ 最後に、皆さんに伝え たいこと ミッションとメンバーによって、組織の良い形は変わり続ける。 変化には「変えた後」だけでなく「変え方の設計」も不可欠。 「今の安定」への不安を乗り越える勇気が、未来の成長を作る。 これが正解ではない。 でも、私たちの体験が、 あなたの組織の"壁"を壊すヒントになれば嬉しいです。 29