ステルス増税の見える化

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September 09, 24

スライド概要

実感しにくい「ステルス増税」の実態を見える化するため、年収区分ごとに消費税換算で何%の増税にあたるかを試算しました。自民党総裁選でも大きなイシューとなっている「増税」について、新たな視点を提供することができれば幸いです。

本資料は、株式会社エコノミクスデザインの研究プロジェクトを下に、江口允崇(駒澤大学)と安田洋祐(大阪大学)が作成しました。会社の概要については以下のウェブサイトをご覧ください:
https://econ.news/

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各ページのテキスト
1.

ステルス増税の見える化 消費税率換算で測る経済的インパクト 江口允崇(駒澤大学) 安田洋祐(大阪大学) 本資料は株式会社エコノミクスデザインの研究プロジェクトの成果である。 作成にあたって有益な助言を頂いた、沖本竜義氏(慶應義塾大学)、 上村一樹氏(甲南大学)、湯田道生氏(東北大学)に感謝する。 2024年9月9日 1

2.

本研究の背景 今なぜステルス増税なのか? • 岸田政権は「増税」のイメージが強い • 「増税メガネ」、2023年の漢字「税」 • 自民党総裁選でも増税は大きなイシュー • しかし、「ステルス」増税は実感しにくい… ではどう見える化するのか? • 見えにくい増税を見やすい消費税ベースに換算! • 年収区分ごとに消費税率で何%の増税にあたるかを試算 • 防衛増税、再エネ賦課金、森林環境税、子ども・子育て支援 金、の4項目について消費税換算した負担率を測定 2024年9月9日 2

3.

2024年9月9日 総務省「全国家計構造調査(2019年)」より試算 3

4.

2024年9月9日 総務省「全国家計構造調査(2019年)」より試算 4

5.

喫煙属性による税負担の違い(標準年収世帯) 厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、2021年 の平均世帯年収は545万円、中央値は423万円 2024年9月9日 5

6.

喫煙属性による税負担の違い(低所得世帯) 2024年9月9日 6

7.

主な発見の要約 • 標準年収世帯(400-600万円)で見ると、なんと 約1.2%の増税に相当する • 低所得世帯ほど平均消費額は低く、喫煙率が高い (たばこ増税=防衛増税の影響大)ため、消費税 換算による増税負担には逆進性が見られる • 特に喫煙世帯の負担感は非常に大きい • 低所得者世帯(年収200万円未満)では紙巻きたばこ の消費者世帯では約2.4%、加熱式たばこの消費者世帯 では約4%相当に跳ね上がる • 「4%」は過去最大の消費増税(3%)より大きい! 2024年9月9日 7

8.

不公平な防衛増税 • ステルス増税は中間層や低所得層に対する負担感 が大きいことが明らかになった • この逆進性の主要因が防衛増税で、所得や社会階層と 密接に結びつくたばこへの増税が大きく寄与 • 税の基本原則の一つである応能負担に違反する • 防衛費という極めて公共性が高い財源を、低所得の 喫煙者という一部の国民に頼ることに • 税のもう一つの基本原則である応益負担にも違反 2024年9月9日 8

9.

【補足資料】 2024年9月9日 9

10.

昨今の代表的な国民負担増 • 再エネ賦課金 ➢ 1.4円/kWh(2023年)→3.49円/kWh(2024年) • 森林環境税(2024年度から) ➢ 1人年間1,000円 • 子ども子育て支援金(2026年から) ➢ 公的医療保険制度の加入者から、保険の種類や所得に応じて徴収 • 復興特別所得税 ➢ 所得税額に2.1%を上乗せして徴収(2037年まで延長) • たばこ税 防衛増税 ➢ 防衛増税の一環として、1本あたり3円程度の増税を検討 • 国民年金保険料の引き上げ(本研究では除外) ➢ 月額16,520円(2023年)→17,510円(2025年) 2024年9月9日 10

11.

年収区分別の消費税負担 • 総務省『全国家計構造調査(2019)』に基づき、 総世帯の年収区分別の消費税年間負担額を推計 • 消費支出から、家賃・地代、保健医療サービス、授 業料等を控除し、消費税率をかけて年間の消費税 負担額を計算 • 消費税ベースの計算は、所得よりも生活実態により 近い消費額との比率で増税の負担感を評価できる 2024年9月9日 11

12.

1世帯あたり年間消費税負担額 2024年9月9日 総務省「全国家計構造調査(2019年)」 12

13.

再エネ賦課金 • 全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金 目安単価」によれば、1kWhあたりの平均的な電気 代は31円 • 全国家計構造調査の電気代を31円で割ることで、 年収区分別の電気使用量(kWh)を計算 • 電気使用量に2.09円をかけることで、再エネ賦課金 の負担増を推計 2024年9月9日 13

14.

• 子ども子育て支援金 ➢こども家庭庁の試算(2028年度、月額)を参考 年収 200万円 400万円 600万円 800万円 1000万円 国民健康保険 被用者保険 250円 550円 800円 1100円 公表せず 350円 650円 1000円 1350円 1650円 • 復興特別所得税 ➢全国家計構造調査の勤労所得税に2.1%をかけて計算 2024年9月9日 14

15.

たばこ税 • 一般社団法人日本たばこ協会「たばこ統計データ」から、紙巻たばこ、リトルシ ガー、加熱式たばこの総販売本数を計算 • 厚生労働省「成人喫煙率(国民健康・栄養調査)」および国立社会保障・ 人口問題研究所の人口推計より、喫煙人口を算出 • 2023年のたばこの総販売本数を喫煙人口で割ると、1人あたりの年間喫煙 本数はおよそ9000本 • たばこ1本当たり3円増税すると、喫煙者にとっては年間2万7千円の負担増 • 国民保健・栄養調査の年収別喫煙率をかけて、平均的な負担を計算 2024年9月9日 15

16.

紙巻き・加熱式たばこと税負担 紙巻き喫煙者の税負担 加熱式利用者の税負担 2023年の喫煙者1人あたり喫煙本数(年9000本)から概算 2024年9月9日 16

17.

年収格差と喫煙率 2024年9月9日 厚生労働省「国民健康・栄養調査(2018年)」 17