整形外科領域の鎮痛薬

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March 29, 26

スライド概要

2026/3作成
整形外科領域の鎮痛薬についてまとめました。
院内研修会などのへの使用を想定しています。

詳しくはnoteで👇
https://note.com/lithe_ixora3527/n/nbdeeed9955cb

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各ページのテキスト
1.

整形外科領域の鎮痛薬

2.

目次 1. 痛みとは 2. 各薬剤の特徴 3. FAQ 4. まとめ

3.

1.痛みとは 痛みの分類/基本的な薬剤選択

4.

痛みとは 実際のまたは潜在的な組織損傷に伴う、不快な感覚・情動体験 侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛の3つに分類される • • • • 侵害受容性疼痛 神経障害性疼痛 痛覚変調性疼痛 組織の損傷による痛み 神経の損傷による痛み 組織や神経の損傷がない 外傷による疼痛 術後の創部痛 変形性関節症 筋肉痛 • • • • 腰部脊柱管狭窄症 椎間板ヘルニア 手根管症候群 糖尿病性末梢神経障害 • 線維筋痛症 • 原因不明の腰痛 ※今回の研修では扱わない

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基本的な薬剤選択 アセトアミノフェン NSAIDs ガバペンチノイド SNRI ノイロトロピン® 弱オピオイド 侵害受容性疼痛 神経障害性疼痛 〇 〇 × 〇 〇 〇 × × 〇 〇 〇 〇 :主に効果が期待できる :効果が期待しにくい

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2.各薬剤の特徴 ア セ ト ア ミ ノ フ ェ ン / N S A I D s / ガ バ ペ ン チ ノ イ ド / S N R I / ノ イ ロ ト ロ ピ ン ®/ ト ラ マ ド ー ル

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アセトアミノフェン 解熱・鎮痛作用はあるが、抗炎症作用はない 安全性は高いが、肝機能障害患者やアスピリン喘息既往患者で注意 特徴 注意点 ✓ 剤型が豊富(錠剤・散剤・シロップ・坐薬・点滴) ✓ 鎮痛目的では1回1000mg、1日4000mgまで ✓ 通常成人:1回300〜1000mg、4〜6時間以上 あけて投与 ✓ 解熱目的では1回500mgまで ✓ NSAIDsより効果は穏やかだが、併用で相乗効果 ✓ アスピリン喘息既往:禁忌ではなくなったが、低用 量から慎重投与(1回300mgまで) ✓ 腎障害・高齢者でも使いやすい(1500mg/日以 下を目安に開始) ✓ 静注と経口で有効性に差なし 内服困難時に静注を使用 →鎮痛目的よりも少量で効果あり ✓ 1日1500mgを超えると用量依存的に肝障害のリ スクが高まるため長期投与に注意 ✓ 術後の創部感染の発熱をマスクする可能性

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NSAIDs 作用機序 COXを阻害し、PG産生を抑制することで、抗炎症作用を発揮 選択的COX-2阻害では、副作用軽減が期待できる LT アラキドン酸 アスピリン喘息の原因 ※COX阻害時に産生↑ COX-1 COX-2 ほとんどの細胞に常に発現 炎症部位の細胞で発現 非選択的COX阻害 選択的COX-2阻害 PG PG 生体の機能維持 炎症反応の増強 • 胃粘膜保護 • 腎血流増加 • 発熱 • 疼痛

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NSAIDs 解熱・鎮痛作用に加えて、抗炎症作用もあり 胃腸障害、腎障害、アスピリン喘息 などの副作用に注意 特徴 ✓ 剤型が豊富(錠剤・貼付剤・坐薬・点滴) ✓ 術後やリウマチなど炎症を伴う痛みに有効性が期 待できる ✓ NSAIDsとアセトアミノフェンの併用はそれぞれの単 独使用よりも有効 ✓ 選択的COX-2阻害薬では、胃腸障害のリスクを低 減 注意点 ✓ 胃腸障害 上部消化管出血を予防するために、PPI等を併用する ✓ 腎障害(腎血流量低下、水、ナトリウムの貯留) Ccr<60mL/minで慎重投与 Ccr<30mL/minで禁忌 ✓ アスピリン喘息 全てのNSAIDsで禁忌 選択的COX-2阻害薬ではリスクを低減 ※セレコキシブも添付文書上は禁忌

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NSAIDs 比較 ジクロフェナクは剤型が豊富、ロキソプロフェンは速効性、セレコキシブはCOX-2選択的 ジクロフェナク ロキソプロフェン ✓ 錠剤・坐薬・貼付剤の剤型あり ✓ 速やかに吸収、効果発現が早い ✓ 胃腸障害のリスクを低減できる ✓ 作用が強いが、副作用も多い ✓ 鎮痛効果が高い ✓ 直腸からの吸収がよく、内服と比 較し効果と副作用は同等 ✓ 最も頻用されている ✓ 半減期が長く、1日2回投与 内服回数を減らしたい時に有効 ✓ 全身性の貼付薬は内服薬よりも 胃腸障害リスクは低いが、全身作 用があるため注意が必要(ジクトル テープ等) ✓ 半減期が短く、毎食後投与では 効果の切れ目を感じる事が多い セレコキシブ ✓ 心血管血栓塞栓症のリスク増大 ✓ 冠動脈バイパス再建術の周術期 患者に禁忌 ✓ 腎障害のリスクは非選択的COX 阻害薬と変わらない

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ガバペンチノイド(プレガバリン、ミロガバリン) 神経障害性疼痛に有効 眠気、めまい、浮腫などの副作用に注意 特徴 注意点 ✓ 中枢神経系のカルシウムイオンチャネルに作用し、興 奮した神経を鎮め、鎮痛作用を発揮 ✓ 主な副作用 眠気、めまい、ふらつき、浮腫、体重増加 ✓ 複数の神経障害性疼痛に対して有効性あり ✓ 自動車運転などの危険を伴う機械の操作に従事さ せないように注意 ✓ 神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインにおいて第 一選択薬 ✓ 睡眠の質や痛みに伴う抑うつ、不安も改善すること が示されており、 生活の質も改善する ✓ 開始時は漸増、中止時は漸減が必要 ※急な中止で離脱症状のリスク ✓ 高齢者や腎機能低下患者で用量調整が必要

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SNRI(デュロキセチン) 慢性疼痛・神経障害性疼痛ガイドラインにおいて推奨度高い 副作用の種類は多いが、重篤なものは稀 特徴 注意点 ✓ 鎮痛効果は抗うつ効果よりも低用量で早く発現 ✓ 効果発現に時間がかかるため、頓用では用いない ✓ 下行性疼痛抑制系の機能賦活化による鎮痛効果 ✓ 副作用(重篤なものは稀) 悪心、口渇、めまい、傾眠、不眠症、頭痛、便秘 ✓ 糖尿病性神経障害、腰痛、変形性関節症等の痛 みを改善し、患者満足度も高い ✓ 20mg/日から開始し、最大60mgまで増量 ✓ 自殺念慮、敵意、攻撃性などの精神症状の発現 リスクに注意が必要 ※特に投与初期・増量時など。異常が認められた 場合は、増量せずに漸減していく。

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ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン® ) 慢性疼痛、神経障害性疼痛に効果あり 重篤な副作用や他剤との相互作用がないため安全性が高い 特徴 注意点 ✓ 腰痛症、変形性関節症、帯状疱疹後神経痛、有 痛性糖尿病性神経障害などに有効 ✓ 腰痛症などの慢性疼痛における有効性は報告され ているが、いずれの報告もエビデンスのレベルは低い ✓ 下行性疼痛抑制系の賦活化、抗炎症作用、神経 保護作用などの作用機序が報告 ✓ 慢性疼痛疾患では、標準的治療で改善しなけれ ば使用を考慮 ✓ 安全性が高く、高齢者や合併症がある方でも使用 しやすい ✓ 鎮痛効果発現までに一定期間を要する 4週間以上継続投与して効果判定 ✓ 神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインにおいて第 二選択薬

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弱オピオイド(トラマドール) 非オピオイド鎮痛薬で効果不十分な場合に使用 2つの作用機序(オピオイド+SNRI)、悪心・眠気・便秘に注意 特徴 ✓ オピオイドではあるが、麻薬指定されていない ✓ μオピオイド受容体に作用し鎮痛効果を発揮 ✓ セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用も あり神経障害性疼痛に有効 ✓ 速放製剤(単独/合剤)、徐放性剤(1日1回/2 回)の剤型あり ✓ 経口では1回25〜100mg、1日400mgまで 注意点 ✓ 悪心や眠気は服用開始時期、増量時に生じること がある。耐性がつくので、ほとんどの場合は1-2週間 で消失する。必要時制吐剤など使う。 ✓ 便秘が生じやすく、耐性がつかないので必要に応じ て下剤で対応する。 耐性あり 悪心 眠気 耐性なし 便秘

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3.FAQ 喘息既往でNSAIDs?/胃薬必須?/静注はなぜ15分?/腎機能障害時の注意

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喘息既往患者ではNSAIDsは禁忌? 喘息≠アスピリン喘息 NSAIDsの服用歴の確認が重要 NSAIDsの服用歴 あり 喘息悪化なく使用できた? なし/不明 No アセトアミノフェン(必要時チームで相談) YES NSAIDs(同薬剤)使用を検討 ※アスピリン喘息(既往含む)が明確な場合:NSAIDsは原則避ける

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NSAIDsと胃薬は併用必須? NSAIDs潰瘍予防ではPPIの併用が基本 潰瘍の既往があるならCOX-2+PPIを推奨 非選択的 潰瘍既往有り 潰瘍既往無し PPI PPI (ジクロフェナク/ロキソプロフェン) (推奨) COX-2選択的 PPI (セレコキシブ) (出血性潰瘍既往:推奨) (提案) 胃薬なしも可 ※潰瘍既往がない場合の予防的PPI併用は保険適用外

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アセトアミノフェン静注はなぜ15分? 15分で血中濃度を速やかに上げ、早く効かせる ゆっくりだと効き始めが遅れ、急速だと低血圧などに注意 ゆっくり 15分 急速 30分 15分 5分 ✓ 立ち上がりが緩やか ✓ 効果発現が遅れる可能性 ✓ 添付文書通り ✓ 血中濃度が一気に上昇 ✓ 早く効き始め、安全性も〇 ✓ 急速に血中濃度が上昇 ✓ 副作用に注意 ※ゆっくり・急速の投与時間はイメージです

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腎機能障害患者で注意する薬剤は? NSAIDs、ガバペンチノイドで注意が必要 腎機能 NSAIDs プレガバリン ミロガバリン 中等度 (30≦Ccr<60mL/min) 慎重投与 1/2開始 1/2開始 重度 (Ccr<30mL/min) 禁忌 (75mg/日) (5mg/日) 1/6~1/3開始 1/4開始 (25〜50mg/日) (2.5mg/日)

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4.まとめ

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まとめ 病態に応じた薬剤選択と薬剤毎の安全管理が重要 薬剤選択 ✓ 侵害受容性疼痛 • アセトアミノフェン • NSAIDs(炎症がある場合優先) ✓ 神経障害性疼痛 • ガバペンチノイド ✓ 両方に有効 • SNRI(デュロキセチン) • ノイロトロピン® • 弱オピオイド(トラマドール) 安全管理 ✓ 喘息 • NSAIDsの内服歴確認 ✓ 胃腸障害 • NSAIDsでは基本的にPPIで予防検討 ✓ 腎機能低下 • NSAIDs・ガバペンチノイドで注意 ✓ オピオイド副作用 • 悪心・眠気(耐性あり)/便秘(耐性なし)

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参考文献 • 慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ(編).慢性疼痛診療ガイドライン.真興交易(医書出 版部);2021. • 日本ペインクリニック学会 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂版作成ワーキンググループ(編).神 経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版.真興交易(医書出版部);2016. • 日本ペインクリニック学会 術後痛ガイドライン作成ワーキンググループ(編).術後痛ガイドライン.第1版. 文光堂;2025. • 日本消化器病学会(編).消化性潰瘍診療ガイドライン 2020 改訂第3版.南江堂;2020. • 伊達久.鎮痛薬の使用指針.竹下克志(編).運動器診療 最新ガイドライン 第2版.総合医学社; 2025:65-68. • 家研也(編).対症療法の強化書 頻用薬の使い方と非薬物療法.金芳堂;2025:130-174. • 日本腎臓病薬物療法学会(編).腎機能別薬剤投与量 POCKET BOOK • 各薬剤の添付文書・インタビューフォーム 第5版.じほう;2024.