SAチーム向けAOAIのAPI公開と活用例

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February 22, 25

スライド概要

プラットフォームエンジニアリングの一環として、SAチーム向けAOAIAPI公開の実装を、個人で試してみました。 実装のポイントと活用例について紹介いたします。

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セキュリティエンジニアです。 主にコンテナセキュリティやクラウドセキュリティの業務に従事。 趣味はタロット。

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各ページのテキスト
1.

プラットフォームエンジニアリング SAチーム向けAOAIのAPI公開と活用例

2.

Agenda ◼ 自己紹介 ◼ プラットフォームエンジニアリングの概要 ◼ SAチーム向けAOAIのAPI公開 ⚫ API ManagementとAOAI • API構成 • API実装の工夫点 ⚫ 活用事例

3.

自己紹介 ◼ ハンドルネーム:風の時代のエンジニニャ ◼ 主な業務 ⚫ プラットフォームエンジニアリング • プラットフォーム設計構築 • セキュリティ施策 ⚫ SRE • 監視改善(ダッシュボード作成など) • IaCリファクタリング ◼ 趣味 タロット(ほぼ毎日占っています) ◼ SNS/Githubアカウント • X :@windagecat • Github:https://github.com/windagecat

4.

テーマのきっかけ(イントロダクション) プラットフォームエンジニアリングの業務に携わる中で、 開発チーム(SAチーム)向けにどういうサービスを提供した らいいかと考えた時に、これからはDevOpsにAIがどんどん 活用されていくと思い、個人的な趣味で、Azure Open AI Service(AOAI)のAPI公開について検証してみました。 今回は、検証の中で気づいたポイントや工夫点などを中心 にご紹介します。

5.

プラットフォーム エンジニアリングの概要

6.

プラットフォームエンジニアリングの概要 教科書通りの説明 開発者にセルフサービス型で、プラットフォームの構築と運用を提供 するサービスおよび専門分野を指す。 あらかじめ決められたテンプレートを提供することで、開発者の認知 負荷を軽減し、開発コーディングになるべく集中できるようサポート する。 参考:プラットフォーム・エンジニアリングとは何か?ガートナーが解説するDevOps進化の要点

7.

プラットフォームエンジニアリングの概要 もう少し踏み込むと・ ・ ・ プラットフォームエンジニアリングでは、以下のチームに分かれる。 ⚫ プラットフォームチーム(PFチーム):開発チーム向けにプラットフォームテンプレート を提供 ⚫ 開発チーム(SAチーム):アプリケーション構築/機能改善 ⚫ SREチーム: DevOps最適化 これらのエンジニアチームが、フラットな関係で連携していくための 仕組みのことでもある。 プラットフォーム テンプレートの提供 PFチーム フィードバック フィードバック及 び改善提案 DevOps機能に 関する相談 SAチーム 開発チームごと のDevOps最適化 フィードバック SREチーム アプリケーション構築/機能改善 アプリエンドユーザーへのヒアリング

8.

プラットフォームエンジニアリングメリット (Copilotの回答) ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 内部開発者プラットフォームの構築: 組織内で標準化された開発環境を提供することで、開発者が効率的に仕事を 進めることができます。 デリバリープロセスの標準化とセキュリティ確保: 重要なデリバリープロセスを標準化することで、セキュリティ リスクを最小限に抑えることができます。 サービスレベルアグリーメントの設定と順守: 社内のサービスレベルを明確にし、それを順守することで信頼性が 向上します。 チームのパフォーマンスメトリクスの監視: チームの成果を監視し、パフォーマンスを向上させるためのデータを 提供します。 開発者エクスペリエンスと生産性の向上: 開発環境が整備されていることで、開発者は自分の仕事に集中でき、全 体の生産性が向上します。 再利用可能なコンポーネントとサービスの活用: アプリケーションの構成要素を再利用可能な形で設計し、新しい プロジェクトでも効率的に活用できます。 要約すると、 ⚫ 標準化による品質確保とセキュリティ強化 ⚫ 認知負荷軽減による開発者の生産性向上

9.

SAチーム向け AOAIのAPI公開

10.

API Managementと AOAI

11.

API構成 AOAIをSAチーム向けに公開する場合、監視面や集約のメリットからAPI Managementを介したAPI公開を実装します。 Hub VNET 構成イメージ 開発端末VNET(spoke) Managed devops pool Dev box API Management サービスエンドポイント AOAI APIアクセス 運用VNET(spoke) Logic app Functions

12.

API実装の工夫点 ① AOAIのモデルバージョンごとに、APIのオペレーショ ンを分ける ② AOAIのモデルバージョンの自動アップデートを無効に する ③ AOAIの負荷分散の構成 ④ トークン制限の構成 ⑤ 余計なAPIをブロック ⑥ 監視用ダッシュボードの実装 ⑦ サブスクリプションの払い出し

13.

API実装の工夫点 ①AOAIのモデルバージョンごとに、APIのオペレーションを分ける API operation1 operation2 例)GPT-4o-miniの20240718のバージョン(gpt-4o-mini_20240718) GPT-4oの2024-08-06のバージョン(gpt-4o_20240806) GPT-4oの2024-11-20のバージョン(gpt-4o_2024-11-20) モデルバージョンごとにオペレーションを分けることで、 開発者のカスタマイズ性が上がる

14.

API実装の工夫点 ②AOAIのモデルバージョンの自動アップデートを無効にする AOAIのモデルをデプロイすると、デフォルトでは新バージョンが使用可 能になったら自動アップデートされる。 ・デフォルト更新ポリシー Properties.versionUpgradeOption:"OnceCurrentVersionExpired“ バーションが上がると挙動が変わり開発者に影響する可能性があるので、 更新ポリシーを「NoAutoUpgrade」にして、自動アップデートを無効化 するとよい。 前のページで説明したように、バーションごとにAPIのオペレーション を分けて管理するとよい。 • Terraformでの自動アップデートを無効化方法 例) resource "azurerm_cognitive_deployment" "example" { name = "example-cd" cognitive_account_id = azurerm_cognitive_account.example.id version_upgrade_option = “NoAutoUpgrade” ….

15.
[beta]
API実装の工夫点
③AOAIの負荷分散の構成
AOAIをAPIMのバックエンドに登録し
て、apiポリシーでランダム数値で負
荷分散するようにしている

<fragment>
<set-variable name="urlId" value="@(new Random(context.RequestId.GetHashCode()).Next(1, 101))" />

<choose>
<when condition="@(context.Variables.GetValueOrDefault<int>("urlId") < 51)">
<set-backend-service backend-id="primary-aoai" />
</when>

<when condition="@(context.Variables.GetValueOrDefault<int>("urlId") > 50)">
<set-backend-service backend-id="secondary-aoai" />
</when>

<otherwise>
<return-response>
<set-status code="500" reason="InternalServerError" />
<set-header name="Microsoft-Azure-Api-Management-Correlation-Id" exists-

action="override">
<value>@{return Guid.NewGuid().ToString();}</value>
</set-header>

<set-body>A gateway-related error occurred while processing the request.</set-body>
</return-response>
</otherwise>
</choose>

</fragment>

16.

API実装の工夫点 ④トークン制限の構成 azure-openai-token-limit 使ってトークン制限を構成(従来では、 rate-limitやリクエストボディサイズを制限していた) サブスクリプションやIPアドレスごとにトークン制限が可能。 また、このポリシーの中にTPM(tokens-per-minute)の設定があるが、 どれぐらいトークン数に制限すればいいか迷う場合は、一旦はAOAIの TPM数に合わせて設定しておいて、ダッシュボードで数か月間TPMを観 察し、調整するとよい。 <azure-openai-token-limit tokens-per-minute="30000" counterkey="@(context.Subscription.Id)" estimate-prompt-tokens="true" tokens-consumed-header-name="consumed-tokens" remainingtokens-header-name="remaining-tokens" />

17.
[beta]
API実装の工夫点
⑤余計なAPIをブロック
使用しないAPIは、400エラーを返すようにAll operationsスコープ
でポリシーを設定
使用するAPIは各オペレーションごとにポリシーを設定
使用しないAPIはAll operationsスコー
プで400エラーを返すように設定

使用するapiはオペレーションごとのポ
リシーで設定

<inbound>
<!-- 既定ではエラーで折り返す -->
<return-response>
<set-status code="400" reason="Bad Request" />
<set-body>{
"error": {
"code": "OperationNotSupported",
"message": "Your request operation is not
supported"
}
}</set-body>
</return-response>
</inbound>

<policies>
<!-- Throttle, authorize, validate, cache, or transform the requests -->
<inbound>
<authentication-managed-identity resource="https://cognitiveservices.azure.com" />
<include-fragment fragment-id="backend-aoai" />
<azure-openai-emit-token-metric namespace="AzureOpenAI">
<dimension name="API ID" />
<dimension name="Subscription ID" />
</azure-openai-emit-token-metric>
<azure-openai-token-limit tokens-per-minute="30000" counter-key="@(context.Subscription.Id)" estimate-prompttokens="true" tokens-consumed-header-name="consumed-tokens" remaining-tokens-header-name="remaining-tokens" />
...

18.

API実装の工夫点 ⑥監視用ダッシュボードを作成 監視用に便利なダッシュボードを作成してみました! (抜粋) • APIM 平均 Capacity • AOAIごとの1時間あたりの平均応答時間(秒) • 1時間あたりのOpenAI APIのオペレーションごとのResponse 429の回数 • サブスクリプションごとの1分間あたりの合計プロンプトトークン/完了トー クン/合計トークン数 • サブスクリプションごとの1時間あたりのリクエスト数

19.

API実装に関する工夫点 ⑦サブスクリプションの払いだし サブスクリプションを払い出す場合、SAチームごとに払い出すか/ユーザーごとに払い 出すかのどちらかになる。 どちらを採用するか状況によって決めるとよい。 監視の注意点として、 SAチームごとに払い出すケースで、ユーザーごとのリクエスト数やトークン数を監視し たい場合はIPアドレスごとに集計するとよい。 トークン数について、azure-openai-emit-token-metric ポリシーでカスタムメトリック(IPア ドレスなど)ごとのトークン数をapplication insightsに送信可能。 しかし、この機能は現在プレビュー(2025/2現在)で、カスタムメトリック数により出力 されるログ数に上限がある。

20.

APIの活用例

21.

APIの活用例①コードレビュー AOAIのAPIを使ってコードレビューができる。 コードレビューに使えるツールについて、紹介します。 • PR-agant:CICDでコードレビューが可能。レビュー結果をPRコメントとして出力でき る • Roo-code(Roo-cline): Clineをフォークして、機能追加されたAI agentツール

22.

APIの活用例②NoOps NoOpsとは できるだけ運用管理を自動化することで、運用の手間を解消するエンジニアリング手法。 活用例 • 異常検知で、エラーの原因や解決方法の提示 Monitor ①異常検知をトリガー ②エラー原因や解決方法の分析 Logic app ③②の結果と合わせて通知 API Management AOAI

23.

最後に 今回ご紹介した内容について、近日中に Githubに公開する予定です。 和多志のXアカウントでも公開情報を発信 するので、今しばらくお待ちください。

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ご清聴ありがとうございました