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October 23, 26
スライド概要
Security Days Fall 2026 Osaka/Tokyo
題目:生成AIが変えるサイバー犯罪-認知バイアスから読む人間の脆弱性
日時 - 大阪開催:2026年10月14日(水)
日時 - 東京開催:2026年10月21日(水)
URL:https://f2ff.jp/event/secd
生成AIの登場により、サイバー犯罪は専門知識を持たない者でも実行可能となり、その量・質・速度が爆発的に高まっています。AIが生成したディープフェイクによる巨額送金詐欺など、組織を標的とした被害はすでに現実のものです。しかし技術がどれほど進化しても、攻撃の最終的な標的は変わらず人間の「脳」にあります。本講演では、権威・希少性・確証バイアスといった誰もが持つ認知の弱点がどう突かれるのか、なぜプロフェッショナルでさえ騙されるのかを解き明かします。その上で、ナッジ理論や心理的安全性を軸とした「人間中心のセキュリティ」と、AI任せにしない組織の防衛戦略を提示。明日からの実務に活かせる思考のフレームをお持ち帰りいただきます。
セキュリティアナリスト @TrendMicro , 高知高専 副業先生 , Udemyベストセラー 講師 | サイバー犯罪対策、特にオンライン詐欺が専門。2002年よりこの領域で活動。マルウェア解析、インシデントハンドラー等の経験を経て現職。投稿は個人の見解であり、所属組織とは関係ありません。
生成AIが変えるサイバー犯罪 認知バイアス から読む 人間の 2026.10.21 Security Days 2026 Fall Tokyo フィッシング対策協議会 副運営委員⻑ 『実践サイバーセキュリティ⼊⾨講座』著者 林 憲明 @v_avenger
AIによる詐欺行為の効率化と拡大との戦い 唯⼀の 実在⼈物 出典:The Government of the Hong Kong Special Administrative Region, LCQ9: Combating frauds involving deepfake, 2024/6/26, https://www.info.gov.hk/gia/general/202406/26/P 2024062600192.htm 出典:⽇本経済新聞, [FT]テレビ会議、AI技術でなり すまし 英企業40億円被害, 2024/6/10, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB05646 0V00C24A6000000/
AIによる詐欺行為の効率化と拡大との戦い メール指⽰に従い ビデオ会議 参加 複数の連絡⼿段を使⽤(メール/WhatsApp) 唯⼀の 実在⼈物 送⾦指⽰に従わなかったことを叱責 ビデオ会議を⼀⽅的に中断 出典:The Government of the Hong Kong Special Administrative Region, LCQ9: Combating frauds involving deepfake, 2024/6/26, https://www.info.gov.hk/gia/general/202406/26/P 2024062600192.htm 出典:⽇本経済新聞, [FT]テレビ会議、AI技術でなり すまし 英企業40億円被害, 2024/6/10, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB05646 0V00C24A6000000/ ⾯識のあるCFO と数⼈の同僚 実際はすべてAI
AIによる詐欺行為の効率化と拡大との戦い メール指⽰に従い ビデオ会議 参加 複数の連絡⼿段を使⽤(メール/WhatsApp) 唯⼀の 実在⼈物 送⾦指⽰に従わなかったことを叱責 ビデオ会議を⼀⽅的に中断 出典:The Government of the Hong Kong Special Administrative Region, LCQ9: Combating frauds involving deepfake, 2024/6/26, https://www.info.gov.hk/gia/general/202406/26/P 2024062600192.htm 出典:⽇本経済新聞, [FT]テレビ会議、AI技術でなり すまし 英企業40億円被害, 2024/6/10, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB05646 0V00C24A6000000/ ⾯識のあるCFO と数⼈の同僚 実際はすべてAI
AIによる詐欺行為の効率化と拡大との戦い メール指⽰に従い ビデオ会議 参加 複数の連絡⼿段を使⽤(メール/WhatsApp) 唯⼀の 5つの銀行口座へ、15回の送金 実在⼈物 送⾦指⽰に従わなかったことを叱責 ビデオ会議を⼀⽅的に中断 ⾯識のあるCFO と数⼈の同僚 実際はすべてAI 被害総額 2億 HKD 出典:The Government of the Hong Kong Special Administrative Region, LCQ9: Combating frauds involving deepfake, 2024/6/26, https://www.info.gov.hk/gia/general/202406/26/P 2024062600192.htm 出典:⽇本経済新聞, [FT]テレビ会議、AI技術でなり すまし 英企業40億円被害, 2024/6/10, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB05646 0V00C24A6000000/
注意深い「個人」に頼る 立ち止まれる「組織」を作る 確認担当 (別の部署・役割) 送金 > 人を責めない ▼ 送金 > 停止線 仕組みを 変える 別経路で 確認 “気を付けて”だけでは止まらない ©2026 Noriaki Hayashi 承認担当 (別の部署・役割) もう一人が 承認 記録して 実行 「止まれる手順」が被害を防ぐ
犯罪の 民主化 ©2026 Noriaki Hayashi
自然言語だけでサイバー「重武装」が可能な時代 懸念はサイバー凶器のみならず犯罪プラットフォームの進化 悪意を抱いた者 ⽣成AIへの指⽰ 犯⾏⽀援ツール 深いコーディング知識 がなくても⽀援を得ら れる ⾃然⾔語で、作成や改 修を⽀援させる 安価に脅威的な速度 で”セミオーダー”の 凶器を量産 重武装した犯罪者 少ない技術⼒でも、 犯⾏⼿段を拡張しや すくなる 技術的な参⼊障壁は⼤きく低下―あとは「悪意」だけ ©2026 Noriaki Hayashi
人間が抗うことのできない「処理スピード」 ⼈間の処理速度 AIの処理速度 AIエージェントの協調動作によって産み出される成果 ©2026 Noriaki Hayashi
「数の暴力」が到来:脅威の前提が変わる 新⼿法だけでなく、既存⼿法の量・速度・個別化が変わる ©2026 Noriaki Hayashi
「嘘つきの配当」崩壊する社会の信頼 真の恐怖は本物さえもフェイクだと疑われるようになること 何が真実で、 何が偽りなのか? フェイクが 氾濫 ©2026 Noriaki Hayashi フェイクが 逃げ⼝上として 通⽤する社会に 社会の信頼基盤が 根底から崩壊
どこで 戦うのか? ©2026 Noriaki Hayashi
AIには模倣できない「立ち止まる」という行為 「待てよ、これは本当に正しいのか?」と⾃問⾃答する⼒ AI ⼈間 プログラムされ た確率統計に 従って、最も 「らしい」答え を⾼速で出⼒し 続ける機械に過 ぎない 違和感を 察知する 深く 考える ⼀呼吸置く 倫理と意思で 判断する 防衛の最終ラインは、私たちの「脳」にある ©2026 Noriaki Hayashi
なぜ、プロでも騙されるのか? • 経験や知識があっても、判断は 状況に左右される。 • 普段役⽴つ「速い判断」が、犯 罪者に利⽤されることがある • 個⼈の不注意だけでなく、判断 を取り巻く条件を⾒る。 ©2026 Noriaki Hayashi
脳は二つのモードで動く 判断を「直感(SYSTEM 1)」と「熟慮(SYSTEM 2)」の⼆つの思考モードで理解する FAST 直感的な思考 • • • ⽇常の素早い処理に不可⽋ 直ぐに感じ、連想が得意 バイアスがある 出典:Daniel Kahneman, Thinking, Fast and Slow (2011) ©2026 Noriaki Hayashi SLOW 熟慮的な思考 組み合わせ て働く • • • • 重要な判断で意識的に使う 考えるには注意⼒が必要 論理的・統計的思考が得意 ⽴ち⽌まって検証する
チャルディーニの7つの影響力原則 原理 詳細 返報性 ⼀貫性 社会的証明 好意 権威 希少性 連帯 ⼈から親切や贈り物などを受け取ると「お返し」をする特性 ©2026 Noriaki Hayashi ⾃分のとった⾏動が、その後の⾏動に⼀定の拘束をもたらす特性 他⼈の考えにより、⾃分が正しいかどうか判断する特性 好意を持っている⼈からの依頼は、承諾する特性 組織の上司など、権威を持つ者の命令に従う特性 ⼊⼿し難いものほど貴重に思え、⼊⼿したくなる特性 ⾃分と共通点を持つ⼈や、所属するグループの意⾒に影響される特性
AI詐欺師が使う、3つのレバー ⼈を「考えさせずに」動かす⼼理的な操作 権威 緊急性 確証バイアス “同僚もいる。 やはり本物だ” “CFOからの 極秘案件です” “今すぐ 送⾦してください” “本物だと思える 情報だけを拾う” 本⼈確認を⾶ばす 焦って動く 反証を⾒ない ©2026 Noriaki Hayashi
15秒の確認手順の点検 送⾦前に、誰へ、どの連絡先で確認しますか? メール ビデオ会議 招待状 From: CFO(最⾼財務責任者) 件名: 至急対応 出席者: CFOと関係者 ⼝座情報.pdf 極秘案件です。 本⽇中に添付ファイルの⼝座に⼊⾦してください。 送金する OR 立ち止まる ⾃分の職場に、具体的な確認⼿順はあるのか? ©2026 Noriaki Hayashi
人の関所で 止める ©2026 Noriaki Hayashi
NUDGES理論の活用 規則などで強制をせずに、⾃然と合理的な選択肢を選ばせる。 得られる結果の可視化 利益やメリット (iNcentive) (Understand mappings) ⾏動結果の評価 (Give feedback) 先回りしてエラーの対策 (Expect error) ©2026 Noriaki Hayashi 推奨する選択肢を初期設定に (Defaults) シンプルな選択肢 (Structure complex choices)
導く:安全な選択を初期設定にする 規則などで強制をせずに、⾃然と合理的な選択肢を選ばせる。 利⽤者に危険な判断をさせない ©2026 Noriaki Hayashi 直感的に正しい⾏動へ導くUI
3秒止まる。3点で確かめる。 「急ぎ」「極秘」「上司の指⽰」ほど⼿順を増やす。 送金・承認・共有 個人の3秒 感情 別経路で確認 焦りに気付く 事前登録済みの連絡先へ 呼吸 ⼀呼吸置く 文脈 いつもと⽐べる ©2026 Noriaki Hayashi 組織の3点 STOP 3秒 焦ったら、すぐに操作しない もう一人が承認 記録して実行
明日、自組織で確認する6項目 ⼈の注意⼒だけに頼らない仕組みはあるか。⼼理的安全性の確保 プロセス 技術 文化 高額・高リスクの 依頼を、別経路で 確認できるか 異常な送金・変更・ 共有を、早期に 検知できるか 「踏んだかも」を、 迷わず報告できるか 送金先変更や 権限付与に、独立した 二者承認があるか 侵害されても 被害を限定できるか 訓練を改善に 使えているか 最⼩権限・ 送⾦上限・保留 個⼈評価ではなく 設計改善 職務分掌・例外⼿順 明確な報告先/責めずに初動 騙されても、⽴ち⽌まり、相談し、被害を⽌める、信頼設計 ©2026 Noriaki Hayashi
補足資料 ©2026 Noriaki Hayashi
『実践サイバーセキュリティ入門講座 現場に残された痕跡からハッカーの攻撃を暴け』 ITエンジニア本大賞 2026 技術書部門 ベスト10 入賞! ¥3,080 税込 376P / ISBN 978-4815634254 Kindle版あります。 SBクリエイティブ株式会社