チームとともにつくりだす価値

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September 17, 23

スライド概要

Agile Business Institute主催のAgile Party2023でお話したものです。

チームで働くこととチームの成長についてです。

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アジャイルアスリート

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各ページのテキスト
1.

チームとともにつくりだす価値 AgileParty 2023

2.

自己紹介 宇留野 賢司 (Kenji Uruno) ソニーグローバルソリューションズ株式会社 アジャイル推進 etc 組織を芯からアジャイルにする 『シン・アジャイル』コミュニティに所属 2

3.

今日お話すること • なぜアジャイル開発(スクラム)をはじめたか • スクラムのはじめかた • チームでの開発と継続的なチームの成長 3

4.

なぜスクラムをはじめようと思ったか • これまでと違うやり方でさらに”チームワーク”を良くしたい ➢ 従来の方法において、チームが十分に機能していないと感じる瞬間があ った • スクラムはチーム主導のフレームワークである ➢ 開発プロセスの改善は、開発チームが責任を持つ 4

5.

一冊の書籍との出会い • この書籍は、一人から始めて、結束したチームを形成し、さらに「越境」 を果たすチームのストーリーを紹介しています • さらに、スクラムの基本的な知識もこの中で習得することができます 主人公の江島のようにチームで越境したい 市谷聡啓. 『カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで』. 翔泳社 5

6.

スクラムチームの定義 スクラムの基本単位は、スクラムチームという小さなチームである。 スクラムチームは、スクラムマスター1人、プロダクトオーナー1人、複数人 の開発者で構成される。 スクラムチーム内には、サブチームや階層は存在しない。 これは、一度にひとつの目的(プロダクトゴール)に集中している専門家が集 まった単位である。 スクラムガイド https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf#page=7 6

7.

チーム開発の意義 • チーム力の重要性: 個人の能力には限りがあり、多くの課題はチー ムで協力して取り組むことで解決できる。ともにサポートし合い、 高い成果を目指す。 • ともに成長: チームでの協働は、各メンバーの専門知識の成長を促 進する。他のメンバーとの交流を通じて、新しい視点や知識を得る。 • チームの枠を超える活動: チームでの経験は、新しいプロジェクト や活動に挑戦する土壌を提供する。ともに学び、新しい領域に挑戦 する。 7

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スクラムのはじめかた

9.

スクラム導入のステップ • 体系的な学び:認定スクラムマスター研修を受講 • 小さく始める :1つのチームからスクラムを開始 • 基礎教育:スクラム基礎講座やワークショップを開催 • 学びのネットワーク:社外勉強会やコミュニティに参加 • 実践現場の体験:社外の他のアジャイルチームをチームで見学 9

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紙飛行機ワークショップ • スクラムのフレームワークを体験できる • まったく経験のないメンバーにスクラムを少し理解してもらえる 準備するもの: • A4の紙、はさみ、ホワイトボード(予実管理) ルール: • 受けけ入れ条件: 紙飛行機はそれぞれ、テストをして 3m以上飛行しないといけない • A4の1/4だけを使う • 飛行機は1回しかテストできない • 失敗したら、その飛行機は捨てる • テストに成功した紙飛行機だけを完成品としてカウン トする • 仕掛品はスプリント終了後に捨てる • 各チームメンバーは1つの紙を連続して折れない やり方: 3~4名のチームに分けるのが適切 計画 1分 制作&テスト1回目 検査・適応 制作&テスト2回目 検査・適応 制作&テスト3回目 全体のふりかえり 3分 2分 3分 2分 3分 10

11.

社内にないものは社外のコミュニティへ • 同じ志と悩みを持った仲間がいる • コミュニティで学んだことをチームで実験する 学びに出かける 社外勉強会 コミュニティ 社内の チーム 持ち帰って試す 11

12.

スクラムを導入する ≠ チームになる 12

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“チーム”になるとは

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効率への最適化によってうまれた分断 • 領域の独立性: 各担当が自分の領域だけに集中し、他の領域と の連携が希薄になる • ラベルによる制約: 他者へのラベル付けが相互理解を制限し、 協力の障壁となる • 標準化の落とし穴:作業の標準化により効率は向上するが、新 しい価値の創出やイノベーションが生まれにくくなる これらの要因は、組織内での「塹壕感」を生み出し、 真のチームワークや革新を阻害する 14

15.

チームとグループの違い チーム 存在意義 グループ 一人では不可能な成果をあげる (成果を上げるために必要な学習を自ら取 り入れる) 人の集合を外部から見分けやすくする (つまり内側より外側基準の意義) わたしたち わたし、あなた、彼・彼女たち ミッション チームの存在意義に直結するミッションが 共有されている 個々の行動レベルまで落とし込めるミッション にはなっていない 役割 ミッション遂行に必要な役割を定義し、お 互いに補完し合う 集団内での相互作用が乏しいため役割分担を必 要としない コミュニケーション お互いの関係性、個々の振る舞い、考え方 が相互作業に与える影響に注意を払う 相互作用ではなく、相互連絡になっている プロセス ミッション遂行のための最適化を自分たち で進める 集団としてのプロセスではなく、仕事を受け渡 すワークフローだけがある 自分たちで決める 外部から決められる 主語 ルール 市谷聡啓. 『チーム・ジャーニー 逆境を越える、変化に強いチームをつくりあげるまで』P.12. 翔泳社 15

16.

分断を乗り越えるチームになる 1.共通の目標を持つ • チーム全員で目的や目標を明確にする • その目標達成のための役割や期待値を共有 2.メンバー同士で向き合う • お互いの専門性や強み、弱みを理解 • 信頼関係を築き、積極的なフィードバックの文化を育む 3.協働してタスクに取り組む • チームメンバー間で情報やリソースを共有 • 個々の専門性を活かしながら、共通のゴールに向けて協力する 16

17.

インセプションデッキ • 「我々はなぜここにいるのか?」について話し合う • チームの存在意義を明確にするための質問 • 存在意義を共有・認識する • 全メンバーが一致した理解を持つ • 言語化し、目につく場所に掲示する • チームのミッションや目標を常に意識し 続けるため 17

18.

お互いを知り、理解する • 日常のコミュニケーションを大切に ➢ ふりかえり以外にも、雑談タイムでの会話でチームの絆を深める • 共通言語の獲得 ➢ チームで使う言葉や考え方を合わせる ➢ お互いの得意、不得意などを知ることで理解を深める • 共同学習の場の提供 ➢ 新しいプラクティスや技術を一緒に学ぶセッションを設ける • おすすめ資料 ➢ 「チーム・ジャーニー」の読書会を通じて、 チームの成長や問題解決のヒントを得る 市谷聡啓. 『チーム・ジャーニー 逆境を越える、変化に強いチームをつくりあげるまで』. 翔泳社 18

19.

協働のためのモブワーク • モブワークの効果 • 他者の理解が深まり、チームのスキルセットを広げる • 直接的な技術移転や知識共有が可能 • モブワークの実施方法 • 最大連続モブ時間を事前に設定(例: 1セット 1.5h) • 疲労や集中力の低下を防ぐための休憩時間も考慮する • 目的によってモブのパターンを使い分ける • モブワークのパターン 1. 技術移転のモブ • ドライバー:モブワークでのタスクのテックリード • テックリードが説明しながら開発を進める 2. 協働作業のモブ • ドライバーとモブは時間で交代制 • モブ全員がドライバーを経験することで、全体のスキルアップを目指す モブワークはただの作業手法ではなく、チームビルディングの一環としても非常に有効 19

20.

モブログ:モブワークの進化 • モブログとは? • モブワーク中に実施される作業の詳細なログを時系列で記録するプラクティス • モブワークとログの統合により、作業の進行や変更点、決定事項などを明確に追跡可能 • モブログの目的 1. 2. 3. タスクのゴールの共有 • チーム全員が目標とする結果を共有・確認できる • 作業の方向性を常に確認しながら進めることができる リアルタイムでの情報共有 • Confluenceなどの同時編集可能なツールを用いて、 リアルタイムで作業内容をログとして記録 • 誤解や情報の取りこぼしを減少させる メンバーの入れ替わりへの対応 • 会議や休暇、その他の理由でメンバーが変わっても、 作業ログに基づき次のメンバーがスムーズに作業に参加可能 • チームの作業効率や持続性が向上 朝会 モブ1 モブ2 ランチ モブ1’ 会議 会議 モブ1’’ モブ2’ 透明性を高め、メンバー間の情報共有や引き継ぎを円滑にするための効果的な手法 20

21.

スクラムの価値基準 スクラムが成功するかどうかは、次の 5 つの価値基準を実践できるかどうかにかかっている。 確約(Commitment):スクラムチームは、ゴールを達成し、お互いにサポートすることを確 約する。 集中(Focus):スクラムチームは、ゴールに向けて可能な限り進捗できるように、スプリント の作業に集中する。 公開(Openness):スクラムチームとステークホルダーは、作業や課題を公開する。 尊敬(Respect):スクラムチームのメンバーは、お互いに能力のある独⽴した個人として尊敬 し、一緒に働く人たちからも同じように尊敬される。 勇気(Courage):スクラムチームのメンバーは、正しいことをする勇気や困難な問題に取り 組む勇気を持つ。 スクラムガイド https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf#page=6 21

22.

チームを継続的に成長させるには 22

23.

両利きの組織/チームへ • サクセストラップとは? 知の探索(新規事業/新規業務) 両利きの状態 目先の利益に捉われた場合 成功の罠 (サクセストラップ) ➢ 過去の成功した手法やアプローチに過度に依存すること ➢ その結果、新しい状況や変化する環境に適切に対応する能 力が低下すること • 両利きの経営 ➢ 既存企業や業務(過去の成功の結果)と新規事業や業務(未 来の成長の源泉)の両方に注力するアプローチ ➢ 両方の方向性を持つことで組織やチームは変化する環境に 柔軟に対応でき、持続的な成長が可能となる • チームの成長との関連 知の深化(既存事業/既存業務) 出所: オライリー・タッシュマン 両利きの経営 ➢ チームもまた、過去の成功体験に捉われることなく、新し い手法やアイデアをとりいれることで、成長できる ➢ これによりチームは変化する状況や新たな課題にも柔軟に 対応することができる サクセストラップを避け、新しい価値を生み出すことがチームの成長の鍵となる 23

24.

前提を問い直すダブルループ学習 • シングルループ学習とは? ➢ 現状のフレームワークやプロセス内での問題解決を行うアプローチ ➢ 問題の原因を特定し、それを修正することで問題を解決する • ダブルループ学習とは? ➢ 問題の背後にある根本的な原因や前提を見直し、深いレベルでの学習と変革を進めるアプローチ ➢ 現状のフレームワークやプロセスそのものを見直すことで、大きな変革やイノベーションの促進 シングルループ学習 長期的な変革 前提 短期的な改善 行動 結果 前提を問い直す ダブルループ学習 チームや組織の成長と継続的な革新のためには、単に現状の問題を解決するだけでなく、 24 その背後にある前提や原因を深く探求し、ダブルループ学習を活用することが不可欠

25.

探索のための余白づくり • チームのバリューストリームを可視化 ➢ モノと情報の流れを明確にする ➢ 全体のプロセスを俯瞰することでムダを発見 • ムダを取り除き、効率的なプロセスを構築 ➢ 時間やリソースの余白を生み出す ➢ これにより、新規事業や業務の探索に必要な 時間やリソースを確保 Slideshare 『Value Stream Mappingで開発サイクルの無駄を炙り出せ』 https://www.slideshare.net/TechSummit2016/app013 25

26.

近視眼的なチーム活動にならないように 定期的にチームの方向性を見直す 26

27.

技術投資の可視化 短期評価 • 活動の可視化: チームがどのような活動やプロ ジェクトにフォーカスしているかを可視化する 中期評価 長期評価 Revenue Assets Accelerator Cost Dept Power Recucer • 時間軸での分類: 活動やプロジェクトを短期、 中期、長期の軸で分類する • 方向性の見直し: 時間の経過とともに、チームの 取り組みや方向性を定期的に評価・見直し、必要な 変更や調整を行う Note 『CTOの頭の中:技術投資を最適化する』https://note.com/singtacks/n/n4612d8256c7a 27

28.

四半期ごとのむきなおり • 四半期(3ヶ月)ごとに取り組んだバックログがどのような活動に分類さ れるかをレビューする • 短期評価がチーム活動の主軸にはなるが、中長期的なチーム成長のための バックログの計画が重要となる 短期評価にバックログが集中している状態 28

29.

むきなおり • むきなおりの目的 • 方向性の再確認や認識のズレを合わせる機会 • チームや環境の変化で認識や関心のズレを修正する • ありたい姿の再確認 • チームとしての理想の姿や目指す方向性を再確認する • その理想の姿を基に、現在の活動や取り組みをバックキャストして見直し、再調整する ドクセル https://www.docswell.com/s/papanda/5YX84K-2022-10-13-074524#p43 29

30.

ミッション インセプションデッキ 「我々はなぜここにいるのか」 目的地への 到達度合い 年間OKR目標 四半期毎のむきなおり 第4四半期 第3四半期 第2四半期 第1四半期 チームで、“我々はなぜここにいるのか?”を問い直す … … … … 時間(スプリント) 30

31.

継続的な改善とチームの成長 • チーム内の成果: 1. 継続的な取り組みを通じて、チーム内の問題解決や効率化が実現 2. メンバー間の信頼関係の強化や共通認識の共有 • 枠を超えた意識の変化: 1. チームの成果や取り組みが他のチームや組織全体にも影響 2. 「チームだけでなく、組織全体をより良くしていこう」という意識の芽生え 31

32.

まとめ • アジャイルな働き方は、プロダクトづくりのプロセスの改善だ けではなく、チームの継続的な成長も促進させる • アジャイルの経験は、チームでの協力やコミュニケーションの 向上、人間関係の深化(人と向き合う)という価値につながる 32

33.

取り組みは あなたからはじまる 33

34.

ご清聴ありがとうございました 34