JAXAアカデミーオンライン 「光であそぼ。色で考える天文学」

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August 05, 23

スライド概要

2023年8月5日(土曜日) 16:00-17:30
JAXAアカデミーオンライン
オンラインセミナー熱い宇宙を開拓しよう
〜X線分光撮像衛星(XRISM)の挑戦〜
https://edu.jaxa.jp/news/2023/j-0714.html

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

光であそぼ。色で考える天文学 榎戸輝揚(京都大学) 2023年8月5日 (土) 16:00-17:30 JAXAアカデミー2023 (25+5分) 「熱い宇宙を開拓しよう 〜X線分光撮像衛星(XRISM)の挑戦〜」 Credits: NASA, ESA, CSA, and STScI

2.

宇宙観測の黄金期 • 表紙はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 が捉えた、若い星からの紫外線で削られ ているガス雲の赤外線での写真 • 榎戸輝揚 (えのと てるあき, @teru_enoto) • 中性子星と呼ばれる、とても密度の高 い特殊な天体を研究するX線天文学者 • 放射線の検出技術で、雷や雷雲での高 エネルギー現象の研究や、月の水資源 を探査するプロジェクトも実施 2 • 光で遊び、X線天文学の楽しみ方を紹介 NASA ゴダード宇宙飛行センターにて、打ち上 げ前のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の前で Credit: T. Enoto

3.

夕暮れ空を光で感じる • Tangible Science (肌身の科学)が大事 五感(光、音、香り、肌触り、味) • • の中で、最も遠くまで到達できる光 遥かな宇宙からの目で見れない微弱な 光を検知する天文学も、知覚の延長 • 光の測定には4つの種類 • 撮像 — カメラ画像、形がわかる • 測光 — 光の強さの時間変化 (動画) • 偏光 — 光の振動の偏り、偏光板 • 分光 — 色の違いを分解して測定 撮影: 2023年5月17日 (賀茂川) Credit: T. Enoto 3

4.

分光 ̶ 光を分解する観測 • 太陽光は、赤から青の成分(スペクトル)に分解できる 波としての光 青い光 波長が短い 430 nm エネルギーが高い ~2.9 eV 赤い光 波長が長い 680 nm エネルギーが低い ~1.8 eV 4 E = hν = hc/λ 太陽光 虹 太陽光 プリズム 水滴 屈折率が 光の波長で 異なるため 可視光 Wikipedia 赤 青 (680 nm) (430 nm)

5.

入射光 太陽光 入射光 ある方向に 強く回折する スリット 手作りの分光計で観測する 水銀灯 ナトリウム灯 (単色光で視認性がよくトンネル灯で活用) 拡 大 図 回折格子 (多数の平行の溝が引かれた透明なシート) 透過型の回折格子 レプリカ500は 1 mm に 500 の溝が並ぶ 仕組みは、ヤングの干渉実験のスリットが多数あるバージョン 5 Credit: T. Enoto 水素の放電管

6.

水素原子に束縛された電子 電子 陽子 6

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水素原子に束縛された電子 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 自由電子 (Ee > 0) 0 -1.5 1 エネルギー準位 En = − 13.6 eV 2 n n=2 -3.4 原子に束縛 離散的 -13.6 7 Credit: https://github.com/sebastian-mag/hydrogen-wavefunctions n=3 n=1

8.

水素原子に束縛された電子 • 電子は確率の波として原子核の周りに偏在。 離散的なエネルギー準位、確率分布をとる。 8 Credit: https://github.com/cmd098/hydrogen-wavefunctions 水素原子の電子が 存在する場所の確率分布

9.

水素原子に束縛された電子 • 電子は確率の波として原子核の周りに偏在。 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 離散的なエネルギー準位、確率分布をとる。 自由電子 (Ee > 0) 0 光の吸収 -1.5 電子 n=3 n=2 -3.4 原子に束縛 離散的 電子の確率分布 1s 軌道 主量子数 n = 1 方位量子数 p = 0 9 Credit: https://github.com/sebastian-mag/hydrogen-wavefunctions -13.6 電子 n=1

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水素原子に束縛された電子 • 電子は確率の波として原子核の周りに偏在。 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 離散的なエネルギー準位、確率分布をとる。 自由電子 (Ee > 0) 光の放出 電子 0 -1.5 -3.4 10 Credit: https://github.com/sebastian-mag/hydrogen-wavefunctions n=2 電子 原子に束縛 離散的 電子の確率分布 2p 軌道 主量子数 n = 2 方位量子数 p = 1 n=3 -13.6 n=1

11.

水素原子に束縛された電子 • 電子は確率の波として原子核の周りに偏在。 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 離散的なエネルギー準位、確率分布をとる。 自由電子 (Ee > 0) 光の吸収 0 電子 -1.5 n=3 n=2 -3.4 原子に束縛 離散的 電子の確率分布 1s 軌道 主量子数 n = 1 方位量子数 p = 0 11 Credit: https://github.com/sebastian-mag/hydrogen-wavefunctions -13.6 電子 n=1

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水素原子に束縛された電子 • 電子は確率の波として原子核の周りに偏在。 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 離散的なエネルギー準位、確率分布をとる。 自由電子 (Ee > 0) 電子 光の放出 0 -1.5 電子 n=3 n=2 -3.4 原子に束縛 離散的 電子の確率分布 3p 軌道 主量子数 n = 3 方位量子数 p = 1 12 Credit: https://github.com/sebastian-mag/hydrogen-wavefunctions -13.6 n=1

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水素原子に束縛された電子 • 電子は確率の波として原子核の周りに偏在。 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 離散的なエネルギー準位、確率分布をとる。 光の放出 自由電子 (Ee > 0) 電子 0 -1.5 -3.4 13 Credit: https://github.com/sebastian-mag/hydrogen-wavefunctions n=2 電子 原子に束縛 離散的 電子の確率分布 2s 軌道 主量子数 n = 2 方位量子数 p = 0 n=3 -13.6 n=1

14.

水素原子に束縛された電子 • 電子は確率の波として原子核の周りに偏在。 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 離散的なエネルギー準位、確率分布をとる。 自由電子 (Ee > 0) 0 -1.5 電子 n=3 n=2 -3.4 原子に束縛 離散的 電子の確率分布 1s 軌道 主量子数 n = 1 方位量子数 p = 0 14 Credit: https://github.com/sebastian-mag/hydrogen-wavefunctions -13.6 電子 n=1

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水素原子に束縛された電子 • 離散的なエネルギー準位間の遷移では、 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 光を放出したり吸収する → 輝線や吸収線 1 eV エネルギー準位 En = − 13.6 2 n 自由電子 (Ee > 0) 0 -1.5 -3.4 1.8 Hα 2.0 1.89 eV n=3→2 2.2 2.4 光のエネルギー (eV) 2.6 Hβ 2.55 eV n=4→2 Data: NIST Database (https://physics.nist.gov/PhysRefData/ASD/lines_form.html) Credit: https://github.com/tenoto/gratingspec 2.8 Hγ 3.0 Hα Hβ Hγ Hδ n=2 バルマー系列 Hδ 2.86 eV 3.02 eV n=5→2 n=6→2 n=3 -13.6 n=1 15

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元素を分光スペクトルから特定できる • エネルギー準位間は遷移が原子ごとに固有で、輝線・吸収線から特定 水素 1H ネオン 10Ne Na の D線 ナトリウム 11Na カドミウム 48Cd 標準波長線 1.5 2.0 Data: NIST Database (https://physics.nist.gov/PhysRefData/ASD/lines_form.html) Credit: https://github.com/tenoto/gratingspec 2.5 3.0 光のエネルギー (eV, 電子ボルト) 16

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• • 輝線や吸収線は、運動に伴って エネルギーがシフトする 宇宙膨張で、遠い銀河ほど、 速く私達から遠ざかっている! 遠ざかると 赤い方にシフトする 元々の輝線 (吸収線)の位置 銀河の後退速度 v (103 km/s) 輝線や吸収線で宇宙膨張を測る 20 ハッブル=ルメートルの法則 v = H0 d 15 10 5 0 1 2 3 銀河までの距離 d (1000万パーセク) 17 私達の銀河 (Hubble & Humson, 1931, ApJ)

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水素原子と鉄原子 水素 電子 陽子 水素状の鉄イオン 0 n=1 2 0 13.6 eV 3 2 1 En = − 13.6 2 eV n 9.2 keV 原子核に陽子が1個 原子核に陽子が26個 原子番号(陽子の数) Z=26 n=1 2 Z En = − 13.6 2 eV n • 陽子が1つの水素は、最も深いエネルギー準位からの光でも 13.6 eV より重たい元素ではポテンシャルが深くなり高エネルギーの輝線が出る • 18

19.

可視光の外にも多波長の光が続いている 可視光 赤外線 光のエネルギー 1 eV 紫外線 10 eV 水素 1H パッシェン系列 (n=3への遷移) X線 0.1 keV 1 keV 10 keV ライマン端 (13.6 eV) バルマー系列 (n=2へ) ライマン系列 (n=1へ) X線 (~6-7 keV) に輝線が現れる 水素状の鉄 26Fe • 陽子が1つの水素は、最も深いエネルギー準位からの光でも 13.6 eV より重たい元素ではポテンシャルが深くなり高エネルギーの輝線が出る • 19 Data of 26Fe: AtomDB

20.

大気の吸収と宇宙を見る眼 電波 赤外線 可視光 紫外線 X線 ガンマ線 100 km (Image credit: Shiori Oota) 50 km 20 10 km 10 m 10 cm 10 eV 1 keV 1 MeV 光のエネルギー(波長)

21.

of the sky is shown in Fig. 2. The counting rates show an altitude dependence on both the ascending are These the of and flight. descending portions 1962年、ジャコーニ、ロッシらが、ロケット実験で threenumbers in the representing shown Fig. 3, 太陽系外からのX線源「さそり座 X-1」を発見 X線天文学の始まり • • Uhuru などの人工衛星で次々に宇宙X線源が見つかる 450 7.0 mg /cm2 Mica Counter 250 E z O l, 4 — mg/cm2 — 0 o o o o 42 field vector oo 0 Mica o o 0 o' o o ~~ + ~~ e1 5Q «~+0 ~ eee ~ ~ ~ eee ~ (Giacconi etI al., Phys.Rev.Lett. 9, 439,I 1962)I I I I I 21 I Mognetic 1f ooo o 00 I I I Moon 43 Counter 350 I I 60 I 20 180 I 240 0 0 ooo oo 0 eo ~ eeeeee ~ ~ I I 3004 I o~ I 360' due to a strong tion. Thus, t cosmic-ray e the discussion The large p counters show is in the form that the counti side of the pe posed on a dif ground radiatio to have a high of the peak th peak, suggesti around 60'. T https://heasarc.gsfc.nasa.gov/docs/heasarc/headates/1960.html

22.

重力エネルギーで輝くX線星の発見 • さそり座X-1では、連星中の中性子星に、相手の星 からの物質が落ちていき高温になってX線を放射。 激しく変動する宇宙の高エネルギー現象 を探るのにX線はうってつけの光である 22 (Image credit: NASA/CXC/M. Weiss)

23.

恒星質量ブラックホールの発見 想像図 チャンドラX線望遠鏡 青色巨星 HDE 226868 (20倍の太陽質量) (C) NASA/CXC 23 Image Credit: K. Onda w/ permission (C) NASA/ESA ブラックホール Cygnus X-1 (15倍の太陽質量) • 小田稔、ジャコーニらは明るいX線源 • 光学観測で、太陽質量の 15倍のブラッ クホールと青色巨星の連星と判明 「はくちょう座 X-1」は1秒以下の短時 間変動を示しブラックホールと提唱 質量推定は Orosz et al., ApJ (2011) の報告を使用

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• • • 宇宙プラズマ ̶ 太陽黒点の上空の例 固体、液体、気体から温度を上げると現れる物質の状態 原子から電子が電離し、陽イオンと電子からなる 電荷を帯びた粒子の集団で、電磁波と相互作用し、磁力線に巻き付いて運動 ひので衛星 Broadband Filter Imager, G-band (430 nm), Calcium H line (396 nm) NAOJ/JAXA (https://www.nao.ac.jp/en/gallery/weekly/2015/20150825-hinode.html) 穏やかな太陽の表面「光球」 (青)に対し、その上空の彩層で は、磁力線に巻き付いた宇宙プラ ズマが上空に噴出などの激しい活 動性(オレンジ)が見える。 24

25.

X線で見る宇宙 • X線 (0.1-100 keV) の特徴 • 可視光よりエネルギーが千倍 • • • 25 ほど高く、千倍ほど高温の現 象を観測できる 重い元素の束縛エネルギーと 同程度。化合状態によらず元 素を特定、分析できる 透過力が大きく、銀河中心や ブラックホール近傍を観測 宇宙の多様な高エネルギー現象 を観測できる! 硬X線 (NuSTAR) 軟X線 (Hinode) 極端紫外線 (SDO) 太陽 Credits: NASA/JPL-Caltech/GSFC/JAXA

26.

スペクトル ̶ 光のエネルギーごとの強さ Hα 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 1.89 eV n=3→2 連続 成分 0 n=3 輝線 -1.5 -3.4 -13.6 26 Hα Hβ Hγ Hδ n=1 n=2 水素 1H 1.8 光の強さ (フラックス) 自由電子 (Ee > 0) バルマー系列 2.0 2.2 2.4 2.0 2.2 2.55 eV n=4→2 2.6 Hγ 2.86 eV n=5→2 2.8 Hδ 3.02 eV n=6→2 3.0 光のスペクトル = エネルギー毎の光の強さ エネルギー分解能 (細いほど性能が良い) 1.8 Hβ 2.4 2.6 2.8 光のエネルギー (eV, 電子ボルト) 3.0

27.

スペクトル ̶ 光のエネルギーごとの強さ 電子のエネルギー Ee (eV, 電子ボルト) 連続 成分 自由電子 (Ee > 0) 0 n=3 輝線 -1.5 -3.4 -13.6 Hα Hβ Hγ Hδ n=1 n=2 水素 1H 光の強さ (フラックス) 連続成分から、電子温度、 物質の総量などがわかる 輝線や吸収線で、元素組成、 輝線や吸収線で、元素組成、 原子内の電子数(電離度)、 原子内の電子数(電離度)、 運動の速さなどがわかる 運動の速さなどがわかる 1 keV の衝突電離プラズマ X線エネルギー Eγ (keV, キロ電子ボルト) 27

28.

X線を検出する技術 • 粒子性が強く、X線を1個ずつエネルギーを測定(自然と分光観測) X線ミラーを組み合わせると、X線の天体写真を撮影できる • 可視光と同様に回折素子で分光したり、装置の工夫で偏光観測も • • スペクトル上で近い輝線を分離できる能力(エネルギー分解能)が大事 ガス検出器 X線 シンチレータ検出器 X線 半導体検出器 X線 マイクロカロリメータ X線 温度計 X線吸収体 ガス 電子 電気信号として読出 温度計測部 微弱な可視光を光信号で読出 (Image credit:雷雲プロジェクト) 28 X線 SOI 素子 (一例) (Image credit: 東大, 宮崎大, 京大) 低温熱浴 (Image credit: XRISM プレスキット)

29.

日本の歴代のX線天文衛星 はくちょう (1979-1986) 96 kg, すだれコリメータ あすか (1993-2001) 420 kg, 撮像型蛍光比例計数管 てんま (1983-1988) 216 kg, 蛍光比例計数管 すざく (2005-2015) 1.7t, X線CCD ぎんが (1987-1991) 420 kg, 大面積比例計数 ASTRO-H (2016-2016) 2.7t, X線マイクロカロリメータ X線分光撮像衛星 XRISM (2023-) 2.7t, X線マイクロカロリメータ 広視野X線CCD 29 検出器名は代表的なもののみを記載

30.

超新星残骸 W49B のX線分光スペクトル ガス検出器 分光パワー R=E/ΔE ~10 Ar Ca Fe Credits: X-ray: NASA/CXC/MIT/L.Lopez et al; Infrared: Palomar; Radio: NSF/NRAO/VLA Credit: M. Sawada ASCA/GIS, Suzaku/XIS, XRISM/Resolve (simulation) 光のエネルギー (keV, キロ電子ボルト)

31.

超新星残骸 W49B のX線分光スペクトル ガス検出器 分光パワー R=E/ΔE ~10 Ar → X線CCD R ~ 50 Ca Fe Cr Mn Fe Fe Credits: X-ray: NASA/CXC/MIT/L.Lopez et al; Infrared: Palomar; Radio: NSF/NRAO/VLA Credit: M. Sawada Credit: M.Suzaku/XIS, Sawada ASCA/GIS, XRISM/Resolve (simulation) 光のエネルギー (keV, キロ電子ボルト)

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超新星残骸 W49B のX線分光スペクトル ガス検出器 分光パワー R=E/ΔE ~10 Ar → X線CCD R ~ 50 → マイクロカロリメータ R > 1000 (シミュレーション) Ca Fe Cr Mn Ni Fe Fe Credits: X-ray: NASA/CXC/MIT/L.Lopez et al; Infrared: Palomar; Radio: NSF/NRAO/VLA Credit: M. Sawada Credit: M.Suzaku/XIS, Sawada ASCA/GIS, XRISM/Resolve (simulation) 光のエネルギー (keV, キロ電子ボルト)

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鉄の哲学:鉄で探る宇宙プラズマ 大質量星 超新星爆発 天の川銀河の中心の元素マッピング (or Ia型超新星) 元素が星間空間に撒き散らされる 1 Galactic Latitude (degree) 水素 ヘリウム 0 炭素+酸素 ネオン、マグネシウム 1度 (450光年) シリコン、硫黄 -1 鉄 X線(すざくX線CCD) (Credit: K.Nubukawa et al.) 硫黄 極低温の鉄 1億度の鉄 (Credit: M.Nubukawa et al.) • • 輝線を出す確率(蛍光収率)が高く、顕著なX線の輝線として観測 -3 天体周辺の物質トレーサーであり、運動やプラズマ診断に活用が期待 • でも最重要な観測対象 • 日本のX線天文学は、鉄の分光を重視。XRISM -4 恒星内の元素合成で生成される鉄は、宇宙に豊富に存在 -2 33

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まとめ̶ 光の分光でわかること! • 最先端の天文学も、肌で感じる知覚の延長 (tangible science) • 光の分光観測で、手の届かない、はるか彼方の物質の存在、 元素組成、電子状態、運動や距離などを測定できる。 • X線天文学は、ブラックホールや中性子星、超新星残骸など 宇宙の高エネルギー現象を調べる強力な武器になる。 • X線の観測には様々な手法があり、輝線のエネルギーを精度 よく決めるエネルギー分解能が大切な指標の一つ。 • 宇宙プラズマに豊富に含まれる鉄の輝線により、わたしたち が目にしたことのない宇宙の秘密に迫ることができる。 34 34