DX推進担当のための「DXステップ0」の前の準備体操

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June 29, 24

スライド概要

#### 研修の概要
- 研修はDX推進担当者を対象に、DXステップ0の準備体操として設計されています。
- 目的は、自治体DXを推進するための納得感を担当者が持ち、機運情勢を高めることです。

#### DXとは何か
- DX(デジタルトランスフォーメーション)は、組織や事業の変革を指し、単にテクノロジーの導入ではない。
- デジタル技術を基盤にして組織全体を再構築する取り組みです。

#### 自治体DXの基本概念
- 「デジタル・ガバメント実行計画」を基に自治体がDXを推進。
- 自治体DX推進計画に沿って、フロントオフィスとバックオフィスの両方の変革が必要。

#### DX推進の問題・課題
- 課題として財源の確保、情報主管課職員の確保、デジタル専門人材の確保が挙げられます。
- 根強いアナログ主義や、法制度、セキュリティの問題、業務インフラの整備不足も課題として認識されています。

#### 今後の取り組み
- DX推進のためには、庁内のDX推進計画の作成と更新、インフラ整備、職員のスキルと慣習の変化が重要。
- 年に1回はステップ0研修を実施し、DXの認識共有と機運情勢を図ることが推奨されています。
- 業務の把握とBPR(業務プロセス改革)を継続的に行い、フロントオフィスとバックオフィス両方のDXを推進。

#### 最後に
- DX推進担当者は、計画を立て、業務インフラを整備し、ステップ0研修を繰り返し行うことが求められます。
- 「やらされ感」を排除し、自治体の自主性を持ってDXを進めることが重要です。

この研修は、自治体のDX推進に向けた具体的な手順と課題解決のためのアプローチを提供し、担当者が効果的に役割を果たせるよう支援します。

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「デジタルと、なにか」を日々考えてます。座右の銘は #まあすわりなよ 。 山形巧哉デザイン事務所 / Code for Japan / 国際大学GLOCOM客員研究員 / 道マスク研究家

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

DX推進担当のための 「DXステップ0」の前の準備体操 合同会社 山形巧哉デザイン事務所 一般社団法人 コード・フォー・ジャパン

2.

所属 合同会社 山形巧哉デザイン事務所 代表 自治体支援 中小規模団体ネットワークシステム 一般社団法人 コード・フォー・ジャパン 教育系ネットワークシステム 中小規模団体デジタル政策・戦略支援 理事等 (株)HARP エグゼグティブアドバイザー 観光・ワーケーション 地域デジタル活用・アーカイブ (一社) コード・フォー・ジャパン (一社) 北海道オープンデータ推進協議会 理事 企業支援 (一社) モリラボ 理事 研究機関等 国際大学GLOCOM 客員研究員 公立はこだて未来大学 アソシエイト その他 山形巧哉 YAMAGATA TAKUYA デジタル庁 オープンデータ伝道師 自治体案件支援 職員研修(自治)

3.

研修の前に

4.

DXとは何か • DXとは組織・事業の変革である –今後、生き残るためには変革は無視 できないものとなり、DXの取り組み を始める企業が増えてきている。勘 違いされがちだが、DXとは「事業の 変革」であり、テクノロジーの話で はない。デジタル技術をベースに組 織全体を再構築する取り組みを指す。 引用:ウイングアーク1st株式会社「データのじかん」編集部 今さら聞けないDX用語まるわかり辞典デラックス デジタル・ ト フォーメー ランス ションの概 としては企 略 業も行政も 大 きく変わり は無いよ!

5.

自治体DXとは何か • 自治体DXの基本概念 –自治体が行うDXは、「デジタル・ガ バメント実行計画」における自治体 関連の各施策について、自治体が重 点的に取り組むべき事項・内容を具 体化するとともに、総務省及び関係 省庁による支援策等をとりまとめ 「自治体DX推進計画」となった。 –これを基に、自治体はDX進めて行く ことになります。 国としてこ れ をどうして からの地方 いこうかし かり計画が っ 立てられて い るんだね!

6.

自治体DXとは何か • 具体化された取り組み内容は左記 のとおり。 • フロントオフィスとバックオフィ スともに変革が必要とされている • 特に現在はフロントオフィスかつ 窓口業務の改革が大きく注目され ている傾向にある 引用:総務省 自治体DX推進計画等の概要 https://www.soumu.go.jp/main̲content/000919518.pdf

7.

自治体DXとは何か • これらの実施するための手順が自 治体DX全体手順書であり、これか らDXを進めていく部署であれば、 管理職含め必ず読みましょう。 –DXの推進に必要と想定される一連の 手順が4段階のステップで整理されて います ステップ3 ステップ2 ステップ1 ステップ0

8.

これが分かれば 自治体DXはカンタン!

9.

にもかかわらず進まない DXの問題・課題

10.

問題・課題の整理 2020年の調査以降、総務省で自治 体DXに特化した明確な課題調査が 行われている形跡がないのだが、そ の後進められていく上で、現在は以 下のように表現されることが多いよ うに見受けられる 総務省 令和3年情報通信白書より引用 2020年総務省実施のアンケートに よれば以下が課題らしい • 財源の確保 • 情報主管課職員の確保 • デジタル専門人材の確保 自治体DXの課題 • 財源 • 人材不足 • 根強いアナログ主義

11.

自治体DXの課題から見る本日の話 財源 今更、言ってもどうしようもないの で一旦スコープ外。やれる範囲でや るしかない。 人材不足 そもそも人は足りないし、もっとい うならば、「デジタル人材 is 誰?」 の定義をしないと議論にならないの で一旦スコープ外。 根強いアナログ主義 職員のモチベーションやマインド チェンジによって何とかなる可能性 がまだあるので、ここがスコープ。

12.

研修の前に ー 趣旨とターゲット • この研修は、自治体DXを推進していく推進課の管理職及び担当者向けです。 – 異動等で推進担当になったばかりという方 – 推進していく上で役所内の機運情勢を高めるための納得感を自身が持てていない – DX担当者を育成するためにどう話をしていけば良いかわからない – とはいえ自治体DX推進計画や自治体DX全体手順書はすでに読み込まれている という方々が『根強いアナログ感』を乗り越えるためにどうしていったら良いか を考えるきっかけになることを目的としています。 • 本研修を受けることで、ご自身の納得感はもちろん、機運の醸成をしていく上で の順序や役所的な根拠、必要なステークホルダーへのアプローチなどを知っても らい、自治体DX全体手順書で言われるステップ0を継続して実施してもらえるよ うになることが目標=DXの準備体操

13.

根強いアナログ感を 乗り越えるために 改めて情報社会を振り返り そして今を確認する

14.

引用: Wayback Machine https://web.archive.org/web/20011113233431/http://www.yahoo.co.jp/ • Windows XP(23年前) – 一般家庭でもネットが普及 – 多くの人がパソコンを購入 • 役所 – ワープロからパソコンへ – 神エクセル降臨 – 電子メールの普及 引用: Wayback Machine https://web.archive.org/web/20110203020759/http://www.yahoo.co.jp/ • Windows 7(15年前) – ネットが当たり前に – スマホの登場やSNSの普及 • 役所 – 神エクセル氾濫 – インターネット利用前提の調査の 増加 引用: Yahoo!Japan • Windows11(3年前) – スマホが主流 – キャッシュレス決済普及 – ショート動画人気 • 役所 – ・・・

15.

普段の生活では当たり前にデジタル使いまくってる

16.

情報取得の手法は こんなにも変化 • 社会全体は着実に変化、だが行政サービスはこの20年進化していない • 時代に合わせたサービスが提供できていない • 新型コロナウイルス感染症対策により一定進んだが、それでも? 行政は本格的なDXが求められている

17.

誰に求められてる?

18.

LINEヤフー社の調査では 15-59歳の96%はスマホを持ち 週1回以上 ネット活用をしているらしい でも、15-59歳なんでしょ? 引用:LY Corporation 〈調査報告〉インターネットの利用環境 定点調査(2023年上期) https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2023/4634

19.

これは2023年の人口ピラミッド これを・・・ 総務省統計局 人口統計第1表 年齢(各歳)、男女別人口及び人口性比―総人口、日本人人口(2023年10月1日現在 ) https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2023np/index.html を利用して山形作成

20.

これは2023年の人口ピラミッド(0-14,15-59,60-でまとめたもの) こう 総務省統計局 人口統計第1表 年齢(各歳)、男女別人口及び人口性比―総人口、日本人人口(2023年10月1日現在 ) https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2023np/index.html を利用して山形作成

21.

そしてこう もうデジタル 活用世代が主流 総務省統計局 人口統計第1表 年齢(各歳)、男女別人口及び人口性比―総人口、日本人人口(2023年10月1日現在) https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2023np/index.html を利用して山形作成

22.

何度も言うが、この時代

23.

なぜアナログ主義が根深いのか なぜニーズが明確にあるのに「アナログ主義が根深い」のだろうか よく言われる課題をまとめると大体こんな感じ • 住民がデジタルについてこれない • 法制度の関係 • セキュリティの問題 • 業務インフラの整備不足 • 職員のスキルと慣習

24.

アナログ主義の課題 住民がデジタルに ついてこれない ここで言う住民とは「高齢者」のこ とを指すことが多く、山形の経験で は一番多く聞く。言う人によって ニュアンスがちょっと違う。 首長 政治的な戦略(選挙の票田)か時代錯誤 幹部職員 前述理由による首長への忖度か時代錯誤 職員 職員のスキルと慣習の問題か思考停止 ただし、これらは街の規模や場所にもよるので一概には言えない。しかし、地域の中心となるような都市に 程近く(北海道感覚)、人口が1万人以上5­10万人以下の団体でよく聞くイメージがある。定量的な調査を しているわけでは無いのであくまでも感覚値である。 デジタル活用世代の方が多い時代なのでとにかく説得するしかない (後述)

25.

ちなみに • 自治体とのコミュニケーションにおいて、住民に最も望 まれている手段は“公式ホームページ”である。 • 最も必要とされている情報取得手段は、自治体の公式 ホームページ。利用状況には理想とのギャップも存在し ており、スマートフォンへの適応が求められている。 • 暮らしの状況に応じたサービス(パーソナライズサービ ス)へのニーズは高い。また、生活に対する満足感や近 隣コミュニティとのつながりを感じる人は、行政サービ スのパーソナライズ化を求める傾向がある。 2021 GLOCOM デジタルガバメントに関する住民ニーズ調査研究より引用 https://www.glocom.ac.jp/activities/project/6864 デジタルに関するニーズ(特に情報提供)は 高いにもかかわらず、WEBサイトがスマホ 対応してない・情報がなく、行政が想定し ているデジタルデバイド年齢層の逆転現象 が起きてる可能性も意識

26.

アナログ主義の課題 法制度の関係 国が着実に進めている

27.

アナログ主義の課題 セキュリティの問題 業務インフラの整備不足 諸悪の根源 インフラの設計は平成20年くらいで止まってし まっている印象。「財政が」というフレーズで情 報部門を萎縮させコストをかけさせなかったツケ。 ここを変えねば何も進められないと断言できる 「財源」という話が出る時には確実 に業務インフラ整備の話である。す でに紙が安全では無いことはわかっ ているはずであり、セキュリティを 担保するためには業務インフラのモ ダン化は必須

28.

アナログ主義の課題 職員のスキルと慣習 ステップ0とBPRを繰り返すしか無い 水の流れと一緒で、滞留すると水も腐る。 認識共有や機運情勢は1度やったら終わりでは無い。常にアップデートが必 要。またBPRも1度やった後でも常に改善が必要。

29.

もう一つまずいこと

30.

DXは『国がやれと言ってるから』 という理由でやっている場合 自治体は、住民の意見を反映させながら地域 の発展と福祉向上を図る責任があり、本来は 自治体が自主的に進めなければならなかった ものを、国がある意味「背中を押している」 という側面すらある。 国に言われてやるものじゃ無い 街は、我々が話、考え、創り上げていくもの

31.

『やらされ感』があると ここの説得ができず 絶対に乗り越えられない (断言) DXでは組織の全体が良いと思っても ステークホルダー1人がダメと言って 破綻するケースも多い

32.

根強いアナログ感 打破のためDX推進担当が 今できること

33.

今、なにができますか?

34.

結果としてDX推進担当が今できることはなにか • 法制度の関係 • 業務インフラの整備不足(+セキュリティの問題) • 職員のスキルと慣習(+住民がデジタルについてこれない) 前述の課題は大きく3つに収束する。 法制度は動向を見て判断なのでここでは述べない。実際に動くのは 業務インフラ整備と慣習変化。 この実行のために計画が必要

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DX推進担当が今できること • 庁内のDX推進計画をちゃんと作りま しょう。更新しましょう。 • 嗅覚や雰囲気だけで進め、説明もできるの はごく一部の街だけです • スケジュールを確定させロードマップを作 成し、ところどころでマイルストーンを置 いてみるといいかもしれません • 計画にインフラ整備や研修もしっかりと入 れましょう これが無いと、みんなが路頭に迷うこ とになります 計画ってな い がちかもし がしろにし れませんが 事ですよ! 大

36.

DX推進担当が今できること DX推進計画の例 庁内で推進状況を常に同じ目線で確認できる ようにロードマップを作成したサンプル ※山形作成

37.

業務インフラの整備 衆議院地方自治法の一部を改正する法律案より引用 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb̲gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21309031.htm • サイバーセキュリティにも配 慮した形で庁内ネットワーク のモダン化を進めるべく、多 くの情報を取得しておくのが 大切です • いわゆるαだとかβという枠 だけでは無く、どうすれば庁 内のデータが守られるのかを しっかり議論する必要があり ます

38.

業務インフラの整備 Google Cloud 鹿児島県肝付町事例より引用 https://cloud.google.com/blog/ja/topics/customers/kimotsuki-town-goes-full-cloud-for-secure-operations 日本マイクロソフト 北海道伊達市事例より引用 https://ms-f1-sites-03-ea.azurewebsites.net/en-us/story/1553645444005667592-date-city-hokkaido-national-government-microsoft-365-ja-japan

39.

職員のスキルと慣習の変化(研修) • 合わせて、自治体DXのステップ0 を理解し、庁内に浸透させ続けま しょう! –認識共有と機運情勢を自治体DXのス テップ0研修として企画し、少なくと も年に1回は実施 –管理職向け、一般職向けなどポジ ション別に研修をするのもおすすめ です!! ステップ0 は機運情勢 !

40.

DX推進担当が今できること ステップ0研修の例 (芽室町役場 管理職向け及び一般職向け研修)

41.

職員のスキルと慣習の変化(BPRの種) • 各部署で行われている業務の把握もし てみましょう –実はすでにDXされていた!芽が出ていた! という業務も数多くあります • ドローンの導入(土木や林業分野) • スマートガス・灯油メーター • 獣害対策におけるセンサー活用 業務の把握によって、 フロントオフィス・バックオフィスとも にDXの種がどこにあるかわかります DX部門が 一 もいいし、 括してみて 各 て会議なん 部署で調べ かでシェア し てもいいか もね!

42.

職員のスキルと慣習の変化(BPRの種) • 手触りのために 「できることをやる」も大切 –そもそもデジタル化がされていない 業務も多い –身近なところで言えば、役所のウェ ブサイトなどの見直し • 前述のとおり明確なニーズあり • 役所で行われている業務全て載ってい ますか? • すべての情報をしっかりと公開するの も重要なことですよ!! ホームペー ジも見直し ね! て

43.

おわりに

44.

今日の話-覚えてますか? • 研修の前に – DXのおさらいなど • 根強いアナログ感を乗り越えるために改め て情報社会を振り返りそして今を確認する – 根強いアナログ感になる理由などを確認 • 根強いアナログ感打破のためDX推進担当 が今できること – 計画をつくる – 業務インフラの整備を考える –ステップ0研修を繰り返す

45.

こんな話もしてましたね 財源 今更、言ってもどうしようもないの で一旦スコープ外。やれる範囲でや るしかない。 人材不足 そもそも人は足りないし、もっとい うならば、「デジタル人材 is 誰?」 の定義をしないと議論にならないの で一旦スコープ外。 根強いアナログ主義 職員のモチベーションやマインド チェンジによって何とかなる可能性 がまだあるので、ここがスコープ。

46.

財源 実はシンプル 歳出削減と歳入増加 させればいいだけ だからこそむずかしいw

47.

財源 • 計画を立てる-計画があるから補助メニューも使える –補助があるから何かをやるのでは無い –何かをやるから財源を確保する –現状確保には削減しかない –削減のためには見直しをする=BPR –見直しが行われてるから瞬発力が出せる –補助メニューを自治体の都合でうまく使えるようになる

48.

人材不足 • ぜひ『デジタル人材is誰』を考えてみてください 令和4年度第3回北海道Society5.0推進会議「デジタル人材育成・確保ワーキンググループ」の開催について より引用 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/6/4/4/5/8/4/̲/資料3%20事務局資料v4.pdf

49.

人に火の利用法や危険性を伝えるにあたっては 身近なライターで教える

50.

横断歩道では車の危険は教えるが 馬が飛び出してくることはもう教えない

51.

DX担当は 「○○について、ナントカして伺います」的な 決裁文書を紙で回すことを教えてはいけないですよ

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おわりに • いかがでしたでしょうか? • 本当に重要なのは、まず手を動かして みるというところかもしれません • それでは最後にみなさまに宿題を出し ておわりますのでやってみてください