ビジ職が「自走」できる土台を作る:エンジニアが用意すべきCursor構成

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August 23, 25

スライド概要

Cursorをコーディング以外に応用し、非エンジニア(ビジ職)の業務をAIで自動化する手法を解説します。エンジニアが外部ツール連携(MCP)や業務手順書を整備することで、ビジ職がAIと対話するだけでスライド作成やデータ分析などを「自走」できる環境構築のノウハウを紹介します。

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高専の本科を卒業後、2024年にサイバーエージェントに新卒入社し、AIオペレーション室で全社業務改善を推進中。生成AIを活用したシステムの要件定義から設計・実装・効果検証まで一貫して担う。「とりあえず挑戦してみる」をモットーに、好奇心旺盛さと実践力で多様なプロジェクトに貢献。技術の力で人々の可能性を広げ、世界をよりワクワクする場所にすることを目指して、日々挑戦を続けている。

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関連スライド

各ページのテキスト
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ビジ職が「自走」できる土台を作る: エンジニアが用意すべきCursor構成 株式会社サイバーエージェント AIオペレーション室 ソフトウェアエンジニア 濱口 宝

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PROFIL 株式会社サイバーエージェント AIオペレーション室 ソフトウェアエンジニア 濱口 宝 Hamaguchi Takara @takara2314 @takara2314 2314.world 高専の本科を卒業後、2024年にサイバーエージェントに新卒入社し、 AIオペレーション室で全社業務改善を推進中。 生成AIを活用したシステムの要件定義から設計・実装・効果検証まで一 貫して担う。最近は様々な事業部に対して、既製ツール(Cursorや Dify等)を業務フローに組み込む支援を行うことが多い。 Minecraftと、ケモノの着ぐるみと交流するのが趣味。 (気になった方は後の懇親会で話しましょう!)

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AIオペレーション室 - 概要 ● 2023年10月に設立された、サイバーエージェントの 生成AI活用推進の専門組織 ● 生成AIの全社活用推進と競争力強化がミッション アイデアの創出 知見共有 実行・推進 【推進のベース】リスキリング・ガイドライン サイバーエージェントの生成AI人材育成ループ

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皆さん! Cursor をどのような用途で 使用していますか?

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Foo!!! 要望や仕様書投げたら、 もう動くコードが 生成された!! みんながAI使えている? コード書く時間が減って 設計に集中できる!! 効率化!! エンジニア (プログラマー)

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Foo!!! 要望や仕様書投げたら、 もう動くコードが 生成された!! みんながAI使えている? コード書く時間が減って 設計に集中できる!! 効率化!! お客様対応に資料作成もやらない といけない・・・ エンジニア (プログラマー) 今運用中のアプリのレポート分析 も・・・ このSlackチャンネルってどんな話 してたんだっけ?1件ずつ確認 ビジネス あー!泥臭く作業を やってる!!

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Foo!!! 要望や仕様書投げたら、 もう動くコードが 生成された!! みんながAI使えている? コード書く時間が減って 設計に集中できる!! 効率化!! ビジネス的な業務も含めて AI化を後押ししたいですよね? お客様対応に資料作成もやらない といけない・・・ エンジニア (プログラマー) 今運用中のアプリのレポート分析 も・・・ このSlackチャンネルってどんな話 してたんだっけ?1件ずつ確認 ビジネス あー!泥臭く作業を やってる!!

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Cursorに話しかけるだけでスライド完成させる事例 Cursorはコーディングのためだけのツールではない

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今回話すこと でビジネス的なお仕事も AIエージェントに任せる方法 / 環境の作り方 をビジネスサイドの社員にも 利用推進するための取り組み

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INDEX 01 なぜCursorでやるのか 02 少しずつAIエージェントに任せられる環境を作る方法 03 サイバーエージェントでの取り組み 04 まとめ

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01 なぜCursorでやるのか

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Cursorの本来の使い方とは

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Cursorの本来の使い方とは ChatGPTのようにチャットできる チャット中心で操作しやすい 開発環境と統合した質問体験 プログラムを実行できる MCP対応 コードもかける 導入が簡単 VSCodeの拡張機能でどの種類のファイルも編集可能に ルールや指示をファイルとして保存できる Git管理で他メンバーに共有

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Cursorの本来の使い方とは ChatGPTのようにチャットできる チャット中心で操作しやすい 開発環境と統合した質問体験 プログラムを実行できる MCPを駆使すれば、 MCP対応 コードもかける 様々なAIエージェントを動かす基盤に! 導入が簡単 VSCodeの拡張機能でどの種類のファイルも編集可能に ルールや指示をファイルとして保存できる Git管理で他メンバーに共有

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他のコーディングエージェントと比べてCursorを推す理由 1. 2. 導入が軽い ○ アプリを入れてフォルダを開けばチャットで指示 ○ → すぐ試せる。とりあえず試してもらえる。 チャット中心でわかりやすい ○ 3. ChatGPTの感覚で 説明 → 実行 → 差分適用 まで一気通貫。 環境の用意が簡単 ○ MCPやMarp CLIなど、必要な「外部ツール」を指示ベースで順に整えられる。

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02 少しずつAIエージェントに 任せられる環境を作る方法

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① まずはビジ職も含めてCursorを使えるようにしよう 1. 対象者にCursorのライセンスを付与する ○ Teamsプランだとプライバシーモードをデフォルトで強制できたり、 チーム全員分の領収書の一括発行ができておすすめ 2. Cursorのインストールとプライバシーモード有効を手伝ってあげる ○ プライバシーモード有効ユーザーは、モデルプロバイダーによってコードデータが保存さ れたり、トレーニングに使用されたりすることはない。 ○ 3. https://cursor.com/ja/security#privacy-mode-guarantee 【必要な人は】日本語化やライトテーマにするのを手伝ってあげる

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※ビジ職が初めてCursorをみたときのイメージ(実話) たくさんの に 面 画 い を 黒 せてビジ職 さ 示 表 を 英語 しょう! 怖がらせま Image generated by Google Imagen3

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② AI化する対象業務を決める ● まずは対象とする業務領域を決める必要がある ● 非定型的な業務が多い領域よりも、定型的な業務が多い領域のほうが適用しやすいかも ● 技術的に実現可能か、AIを使う旨味があるかどうかをエンジニアがチェックしてあげる 適用の難易度が高そうな業務領域 適用しやすそうな業務領域 ● ソフトウェアの新規開発 ● 週次・月次の社内業務の対応 ● 新規事業の立ち上げ ● テクニカルサポートサービスの提供 → いわゆるプロジェクト型の業務 → いわゆる定常業務・半定常業務 スライド引用 :https://speakerdeck.com/os1ma/claude-codegadong-kuaizhong-xin-noye-wu-sisutemugou-zhu-notiao-zhan-aiezientozhong-xin-nodong -kifang-womu-zhi-site

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② AI化する対象業務を決める(社内でよく相談を受ける例) 事業部の テンプレートを 用いて、 編集可能な スライド資料を 生成する 広告レポートを 確認して、 異常がないかを チェックする 分析したい要件 に応じて、 BigQuery用の クエリを作成し て実行する Slackの チャンネル履歴 を分析して、 とある条件に当 てはまる人にDM を送る

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③ どの外部サービスと連携するかを整理する 事業部の テンプレートを 用いて、 編集可能な スライド資料を 生成する 広告レポートを 確認して、 異常がないかを チェックする 分析したい要件 に応じて、 BigQuery用の クエリを作成し て実行する Slackの チャンネル履歴 を分析して、 とある条件に当 てはまる人にDM を送る

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④ MCPを整備する ● ビジが触るCursor上でAI化する業務を行うため、MCPを用いて外部ツールをつなげる ● ③で挙げた連携したいツールが、MCPを公開しているかを調べよう ○ セキュリティ的になるべく公式MCPを利用する。 難しければコードチェックしたうえで野良MCPを使う。 ● npxコマンドで呼び出せるMCPサーバーを選ぶのがおすすめ ○ npx はNode.js製のツールを自動的にダウンロードして実行するツール ○ ビジにNode.jsを入れてもらうだけで、外部ツールの手動インストールが完了する! 環境構築らくちん ● MCPの選定と .cursor/mcp.json 記述はエンジニアが行ってGit管理 ○ Git管理された設定をPullすれば、そのまま自分の環境のエージェントに 反映できるところがCursorのGoodポイント

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⑤ ドメイン知識や、業務のやり方をまとめた資料を書く ● リポジトリにドキュメントフォルダーを作り、プロダクトのビジョン や目的、具体的な業務の手順(どのMCPを使うかなど)を書く ○ 全部タイピングで書くのは辛いので、音声入力を活用しよう -- document/07-operations/01-slide.md # 月次レポートスライド作成業務 1. 2. 3. Google Analytics MCPから過去1か月の 新規ユーザー数を取得する MarpのMarkdownにサマリを記述する Marp CLIからPowerPointに変換するコ マンドを実行し、slides/yyyy-mm.pptx として保存

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⑥ 勉強会を実施する ● 1時間だけ時間ください!って感覚でビジ職対象にハンズオンしてもらう ● Cursorは2週間無料でProプランのトライアルできるから試してもらいやすい!

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03 サイバーエージェントでの 取り組み

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Cursorハンズオンの実施 ● メンバーや他の社員にMCPを体験できる 機会を作ることで、自主的に開発現場に 導入したくなると考えた ● AIコードエディタ Cursor × MCPの ハンズオンを実施し、約500人に参加して もらった(エンジニア総数の1/5ほど!) ○ 約7,000時間/月 の業務時間削減に貢献できた (開催1か月後のアンケートで収集) ● ビジネス向けの内容も展開し、ビジ社員の Cursor利用率も増えていっている ○ Slack、Google Analytics、BigQuery、スライド作成な どのMCPを使う方法を解説している

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オフィスアワーの実施 ● 「生成AIの相談なんでもどうぞ」な オフィスアワーを実施し、 業務のAI化の相談をしやすい環境を提供 ● エンジニアが多かったり、ビジがコードを書く ことが多い事業部には、Cursorを使って 業務効率提案をすることがある ● ビジ職が自走してAIを使えるように、 エンジニアが環境の支援を行う

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MCPの情報発信をしやすい環境を作る ● MCPサーバーの情報を集約したポータルサイト「MCPポータル」をリリースし、 社内ホスティングされているMCPサーバーをすぐに 知る→使える ように整備 ● 社内サービスのMCPから、BigQueryやesaなど業務で使うシステムのMCPまで投稿されている

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経済的にAIを試しやすい制度を作る ● プログラミング支援AI、コードレビューAI、ドキュメント生成AI など、開発業務に特化した 生成AIツール対象に、200ドル/人まで料金補助を行う制度ができた(エンジニア限定)

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04 まとめ

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SUMMARY この発表のまとめ 1 Cursorは「非エンジニア向けのAIエージェント実行環境」としても最適 2 CursorはChatGPT感覚で使えるので、ビジにとってもわかりやすい 3 エンジニアの仕事は「開発」から、ビジ職のAI活用を支える「土台作り」へ 4 カギはMCPによる外部連携と、業務手順のドキュメント化