【公開】新人カイゼン誘導ハンドブック

-- Views

April 27, 26

スライド概要

profile-image

何卒よろしくお願い申し上げます。 一流のIT研修講師を目指し、日々研鑽を続けております。 本資料は外部公開用としてご提供するものです。 ALJ Education Plus 株式会社 Yukiko(※趣味枠アカウント)

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

ダウンロード

関連スライド

各ページのテキスト
1.

新人カイゼン誘導ハンドブック PJ参画で評価を下げる10の行動と、本人を否定しないカイゼン誘導法 対象 メンター/OJT担当/シニアエンジニア/テックリード/自分を振り返りたい新人本人 状態観察 → 要件把握 → 論点把握 → 誘導 → 並走 の順序を守る

2.

Part 1 ─ マイナス評価の本質 01 / 16 評価を下げているのは「能力」ではなく「習慣」 一言 でい うと 能力や適性ではなく、習慣化された行動が評価を左右している WH Y ─ なぜ マイナス 評価か 研修ではよくできていたのに、現場で「思ったより伸びない」と評価されるケース。原因のほとんどは技術力ではなく、特定の「 習慣化された行動」。「適性がない」「やる気がない」と判断するのはジャッジが楽だが、改善には繋がらない。 WHAT 原因のパターン分類 HOW シニアのスタンス • 知識として知らない(教えればOK) • まず「能力」と「習慣」を切り分けて見る • 知っているが習慣化されていない(訓練で改善) • 「やる気あるの?」のような人格判断を保留する • 周囲から見える行動と、本人の認識にズレがある(観 察と対話で改善) • 行動の原因を本人と一緒に探す • 本人が自覚していない場合は観察と対話で可視化 • 本人の「能力」が原因のケースは実は少数派 • • シニアが「適性がない」と決めつけて改善が止まる 「ジャッジ」ではなく「習慣を一緒に作る」スタンス に 新人カイゼン誘導ハンドブック

3.

Part 1 ─ 「否定しない」の正しい定義 02 / 16 人格と行為を分ける ─ 鋭さは保ち、人格を傷つける言葉だけ取 り除く 一 言 で いう と 「否定しない」 ≠ 「指摘しない」。指摘の鋭さは保つ ✕ 人格否定 ○ 行為についての事実伝達 やる気あるの? 最近、進捗報告で「もうちょっと」が続いていますね 向いてないんじゃない? この書き方は、現場では問題が起きやすいパターンです こんなコード書いて このコードだと、データ件数が増えたときにメモリで詰まります 原則 シニアの仕事はジャッジではなく「習慣を一緒に作る」こと。能力ではなく、まだ身についていない仕事の習慣が評価を下げてい る。 新人カイゼン誘導ハンドブック

4.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 1/10 03 / 16 ① 質問が「動きません」だけで終わる 一言 でい うと 質問の質はエンジニアの実力と直結すると見られる WH Y ─ なぜ マイナス 評価か シニアの時間を奪う。質問を受けた人がゼロから状況を把握する必要があり、コストが10倍になる。 WHAT 状態観察ポイント • Slackで「動かないです、見てもらえますか?」だけ • 何を試したかが書かれていない • エラーメッセージが添付されていない • 質問が「何を作ればいいですか」レベル 新人カイゼン誘導ハンドブック HOW カイゼン誘導・具体アクション • 「悪い質問」と言わず「情報があると一発で答えられ る」と伝える • 質問テンプレ(やりたいこと/やったこと/エラー全 文/調べたこと/仮説)を共有 • チームのSlackチャンネルにテンプレをピン留め • 良い質問を見つけたら公開で承認 ─「これ、いい質問 だね」

5.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 2/10 04 / 16 ② 進捗報告が「やってます」「もうちょっと」 一言 でい うと 具体性ゼロの報告はリーダーがリスクを察知できない WH Y ─ なぜ マイナス 評価か 「進んでないと言うと怒られる」と思って隠している場合もあるが、結果として手遅れになる。 WHAT 状態観察ポイント • 朝会で「昨日と同じところやってます」が続く • 「あと少しです」が3日続いている • • HOW カイゼン誘導・具体アクション • 「ゴール100%として今何%か/詰まり点は何か」だけ 言わせる 進捗を%や具体的な完了基準で言えない • WBSを一緒に作る WBSを作っていない • 朝会フォーマットを4項目固定(タスク/進捗%/詰ま り点/翌日予定) • 遅れ報告には「報告ありがとう、早く分かってよかっ た」と返す 新人カイゼン誘導ハンドブック

6.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 3/10 05 / 16 ③ 締切前日まで遅延を言わない 一言 でい うと 遅延そのものより、遅延を共有しないことの方が罪が重い WH Y ─ なぜ マイナス 評価か スケジュール調整の機会を奪う。直せる遅延が直せなくなる。 WHAT 状態観察ポイント HOW カイゼン誘導・具体アクション • 「明日完成」と言っていたのに当日「やっぱり間に合 わない」 • 「遅れること自体は誰でもある。共有しなかったこと が問題」と分けて伝える • 中間報告がない • 中間チェックポイントを複数設定(30%/50%/80%) • 質問は出ないのになぜか進んでいない • 逆算スケジューリング演習:計画書として提出させる • 「叱られる」と思って黙っている • 遅延報告に「ありがとう、早く言ってくれて」と返す 文化 新人カイゼン誘導ハンドブック

7.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 4/10 06 / 16 ④ レビュー指摘に「直しました」だけで再発 一言 でい うと 同じ指摘を10回受ける新人は現場で「コスト」と見なされる WH Y ─ なぜ マイナス 評価か 学習速度が遅いと判断される。指摘の意図を確認しないため、本質が定着しない。 WHAT 状態観察ポイント HOW カイゼン誘導・具体アクション • 指摘箇所だけ表面的に直して再提出 • 「なぜこの書き方が良いと思う?」を必ず聞く • 同じ種類の指摘を別PRで何度も受ける • • 指摘の意図を確認しない 指摘するたびに「なぜそうすべきか」を説明(コスト はかかるが将来のリターン大) • 腹落ちしないまま対応している • 同じ指摘が3回続いたら、本人と一緒にチェックリスト を作る • やらかし共有ノートに典型指摘を蓄積 新人カイゼン誘導ハンドブック

8.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 5/10 07 / 16 ⑤ 仕様書を読まずに実装を始める 一言 でい うと 現場では仕様読解力が技術力の半分と見なされる WH Y ─ なぜ マイナス 評価か 要件と違うものを作って手戻り発生。「とりあえず手を動かす」癖が抜けない。 WHAT 状態観察ポイント • 「とりあえず手を動かしてみました」が口癖 • 仕様書のリンクを開いた形跡がない • • HOW カイゼン誘導・具体アクション • 実装前に5分で「何を作る課題か/成功条件/あいまい な点」を3行で書かせる 質問が「何を作ればいいですか」レベル • 仕様読解の習慣を最初の1ヶ月、毎タスクで課す 成功条件があいまいなまま実装に入る • 「あいまいな点リスト」を作らせて質問する文化を植 える • 読まずに始めた場合、コードレビュー前に差し戻し 新人カイゼン誘導ハンドブック

9.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 6/10 08 / 16 ⑥ Slack・MTGの応答が遅い/既読スルー 一言 でい うと チームに対する信頼性の問題として認識される WH Y ─ なぜ マイナス 評価か 「この人に振っても止まる」と思われると、重要な仕事が回ってこなくなる。 WHAT 状態観察ポイント • メンションされてから返信まで半日以上 • 質問されたまま放置 • • HOW カイゼン誘導・具体アクション • 「答えがすぐ出なくても『見ました、○時頃返信しま す』と1行返すだけでいい」 MTGでカメラオフ・発言ゼロ • 即返信ルール:30分以内に最低限「見ました」を返す 相手の作業を止めている自覚がない • MTGミニマム要件を明示(カメラON/発言1回/自分 のタスク復唱) • 既読スルーはDMで個別フォロー(公開で晒さない) 新人カイゼン誘導ハンドブック

10.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 7/10 09 / 16 ⑦ 同じミスを繰り返す(メモを取らない) 一言 でい うと 学習継続力の不足と判断される WH Y ─ なぜ マイナス 評価か シニアの時間を消費する。「あれ、これって前にもやりましたっけ?」が信用を失う。 WHAT 状態観察ポイント • 同じコマンドを何度も質問される • 「前にもやりましたっけ?」が口癖 • 手元にメモがない • 記録の仕組みを持っていない 新人カイゼン誘導ハンドブック HOW カイゼン誘導・具体アクション • 「前にも一緒に解決したよね。覚え方を一緒に工夫し ないかな」 • メモテンプレ(Notion/チートシート/Markdown) を配布 • 「今日の1チャンク」を毎日提出必須に • 同じ質問が3回目になったら「メモを一緒に作ろう」に 切り替え

11.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 8/10 10 / 16 ⑧ 朝会で詰まりを報告しない 一言 でい うと 詰まりを共有しない人にチームは介入できない WH Y ─ なぜ マイナス 評価か チームでサポートする機会を奪う。孤立して悪化する。 WHAT 状態観察ポイント • 朝会で「順調です」、午後にSlackで質問連発 • MTG後に個別に「実は…」と相談に来る • • HOW カイゼン誘導・具体アクション • 「詰まることは恥ずかしくない。詰まったまま黙るこ とだけが問題」と明文化 詰まりを口にすることを恥じている • 朝会フォーマットに「詰まり点」欄を必須化 「弱みを見せたくない」が先に立っている • シニアが先に「自分のやらかし」を朝会で共有する( 先頭を切る) • 「詰まり相談」専用のSlackチャンネルを設ける 新人カイゼン誘導ハンドブック

12.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 9/10 11 / 16 ⑨ フィードバックを受け止めない/言い訳する 一言 でい うと シニアが「言っても無駄」と判断する ─ これが一番怖い WH Y ─ なぜ マイナス 評価か 「成長できない人」として認識され、フィードバックがされなくなる。 WHAT 状態観察ポイント • 指摘に対して「でも」「だって」が出る • 「環境のせい」「仕様のせい」が口癖 • • HOW カイゼン誘導・具体アクション • 「まず『ありがとうございます』だけ言って、その後 で質問する形にしてみない?」 表情が固くなる、目線がそれる • 1on1でフィードバックの受け止め方を直接話題にする 防衛が先に出る • メンター自身が「言い訳しない受け止め方」を実演す る • 良い受け止め方を見せた瞬間に「今のすごく良かった 」と即フィードバック 新人カイゼン誘導ハンドブック

13.

Part 2 ─ 評価を下げる10の行動 10/10 12 / 16 ⑩ 自分のスキルを過大/過小評価する 一言 でい うと メタ認知の不足は、現場で最も対処が難しい問題 WH Y ─ なぜ マイナス 評価か タスクの難易度判断ができないので、振る側が常に詳細指示する必要がある。 WHAT 状態観察ポイント HOW カイゼン誘導・具体アクション • 過大:「分かりました」と言うが実際は分かっていな い • 過大:「5分で口頭で説明して。私が新人だと思って教 えてみて」 • 過小:簡単なタスクでも「自信ない」と手が止まる • • スキルマップで自己評価と他者評価のズレが大きい 過小:「自信ないと思ったときこそまず手を動かす。 10分やってみよう」 • 「やってみる前」に判断が出る • ラバーダッキング(口頭説明)を習慣化 • 自己評価とシニア評価のスキルマップを定期的に並べ て見せる 新人カイゼン誘導ハンドブック

14.

Part 3 ─ カイゼン誘導の5ステップ 行動を見つけても、いきなり指摘しない 一 言 で いう と 1 2 3 4 5 5ステップを順に踏むことで、改善が空回りしない 状態観察 1〜2週間 一過性か習慣化か。同じパターンが何度繰り返されるか観察。 要件把握 本人と一緒に 「何ができていればOKか」を双方で言葉にする。これを飛ばすと改善が空回りする。 論点把握 1つに絞る 複数見えても、一度に指摘するのは1つだけ。3つ言うと「全部ダメ」と受け取る。 カイゼン誘導 具体行動 「直して」と抽象的に言わず、今日からできる具体的な行動を示す。 並走 定着まで 指摘して放置はNG。1週間後にチェックイン。良い変化に即フィードバック。 新人カイゼン誘導ハンドブック 13 / 16

15.

Part 4 ─ 否定しない伝え方の5型 14 / 16 迷ったらこの5型に当てはめる 一 言 で いう と 事実 ・ 認識 ・ 行動 の3点セットで伝える ✕ NG ○ 言い換え 詰問 → 確認 なんでこうしたの? これ、何をしようとしたか教えて ② 断罪 → 観察 質問が雑 質問にこの情報があると一発で答えられる ③ 比較 → 自分史 同期はもうできてる 1ヶ月前の自分と比べてどう? ④ 指示 → 質問 こうしろ どう進めるのが良さそう? ⑤ 脅し → 道筋 現場で潰される 現場ではこのレベル。あと○ヶ月でここまで届こう # 型 ① 新人カイゼン誘導ハンドブック

16.

Part 5 ─ 改善が定着するまでの並走設計 15 / 16 改善は1回の指摘では終わらない ─ 最低3週間の並走 一言 でい うと 指摘して放置は最悪の指導。3週間並走する覚悟がないなら指摘しない 認識共有 行動変容 習慣化 定着 1〜3日 4〜10日 11〜21日 22日〜 何を改善したいか、双方で言葉 にする 新しい行動を試す。即フィード バック 戻り気味な場合のリカバリー設 計 別の改善ポイントへ移る シニア側のセルフチェック □ 改善ポイントについて、本人と認識が合っているか □ 良い変化が見えたとき、即座に承認したか □ 戻り気味なとき、責めずに「もう一度試そう」と言えたか □ 別の改善ポイントを並行して持ち出していないか(一度に1つの原則) □ 1on1で本人の「うまくいかなさ」を拾えているか 新人カイゼン誘導ハンドブック

17.

まとめ ─ シニアが守る3つのルール シニアの仕事は、ジャッジではなく「習慣を一緒に作る」 一言 でい うと 評価を下げているのは能力ではなく、まだ身についていない仕事の習慣 ルール 1 人格を否定せず、行為について事実を伝える 人格と行為を分ける。鋭さは保ち、人格を傷つける言葉だけ取り除く。 ルール 2 観察 → 要件把握 → 論点把握 → 誘導 → 並走 の順序を守る いきなり指摘しない。論点は1つに絞り、具体行動を示し、定着まで並走する。 ルール 3 改善は1回では終わらない ─ 最低3週間の並走を覚悟する 「指摘して放置」は最悪の指導。3週間並走する覚悟がないなら指摘しない方がいい。 新人カイゼン誘導ハンドブック 16 / 16