第15回医療オープンソースソフトウェア協議会セミナー基調講演

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June 24, 24

スライド概要

第15回医療オープンソースソフトウェア協議会セミナーで行った基調講演です。
国内外での医療とオープンソースソフトウェア、公共とオープンソースソフトウェア、オープンデータのあり方についてお話をしました。
CC-BYライセンスで公開します。

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医療分野でのオープンソースソフトウェア活動を行ってきました。 医療DXについてのセミナーなども開催してきており、研究者としての実績を積んできました。 医療分野のDXは難しいところもありますが、なるだけわかりやすくなるようにつとめています。 Slideshareから徐々に移行しつつあります。

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

第15回医療オープンソースソフトウェア 協議会セミナー 小林慎治

2.

自己紹介 ● 1970年 (大阪万博の年)佐賀県にて出生 ● 1980年頃よりマイコンブームに乗っかる ● 1989年九州大学医学部入学 ● 1995年九州大学医学部卒業・医師免許取得、第一内科入局 ● 2001年九州大学大学院・医療情報学やってみる ● 2003年未踏ソフトウェア創造事業採択 ● 2004年第1回医療オープンソースソフトウェア協議会セミナー開催 ● 2009年より研究職 ● 2014年より国際医療情報学会 Open Source Working group副議長、議長 2

3.

祝20周年! 3

4.

ORCA問題 https://www.orca.med.or.jp/receipt/download/jammy/index_dummy.html 4

5.

Vista shock ● 世界最大の病院グループ とも言われるアメリカ退 役軍人病院が、自分たち で開発していたオープン ソース電子カルテシステ ムVistAからCerner社の電 子カルテシステムに移行 使用とするもトラブル続 き https://www.techtarget.com/searchhealthit/news/366578278/VA-to-Use-Legacy-VistA-EHR-forto-10-Years-Amid-Paused-Oracle-Cerner-EHRM 5

6.

Digital Public Goods https://digitalpublicgoods.net/ 6

7.

SDGs と Digital public goods 7

10.

GNU Health 10

11.

Luis Falcon/GNU Health 11

12.

DHIS2 ● 保健医療情報管理 報告システム – オスロ大学で開発 – 2017年より国境な き医師団が全世界 で採用。 – アジア・アフリカ 地域で80を超える 国に普及してい る。 12

14.

OpenMRS ● アジア・アフリカ 地域でHIV、結核 などの感染症管理 システムとして開 発され、低中所得 国での電子カルテ システムとして普 及した。 14

15.

OpenIMIS ● ● ● 医療保険請求管理システ ム 請求側も支払い側も対応 ネパールでは70%のシェ アを持つ 15

16.

COVID-19とオープンソースソフトウェア、オープン データ ● 2019年末に最初の症例報告がなされてから、2020年初めにウ イルスが同定され、ゲノム情報が公開される。 ● COVID-19関連のデータや論文はいち早く公開され、全人類が ウイルスに立ち向かった。 ● 感染状況を示すダッシュボードがJohns Hopkins大学で作ら れ、世界でも使われてきた。 16

20.

オープンデータとオープンソースの相乗効果 Prefectures Dashboard (+) Dashboard (+) Total Open data 20 2 22 No open Data 10 15 25 Total 30 17 47 Odds ratio: 2.27, Fisher test: p = 0.00058 Kobayashi S, Falcón L, Fraser H, Braa J, Amarakoon P, Marcelo A, Paton C. Using Open Source, Open Data, and Civic Technology to Address the COVID-19 Pandemic and Infodemic. Yearb Med Inform. 2021 Aug;30(1):38-43. doi: 10.1055/s-00411726488. Epub 2021 Apr 21. PMID: 33882602; PMCID: PMC8416191. http://www.thieme-connect.com/DOI/DOI?10.1055/s-0041-1726488 20

21.

Public money, public code. Public money, public data.

22.

医療情報標準規格開発 ● ● FHIR以前 – HL7規格を入手して実装するためにはHL7協会に入らなければなら ない。 – 規格の開発は会員企業と学識経験者による合議で行われる。 FHIR以後 – HL7規格は誰もが自由に入手できて開発にも参加できる。 – 実装を元に規格も進歩し続ける 22

24.

医療とオープンソースソフトウェア、オープンデータ ● ● ● 低中開発国ではDHIS2、GNU Health, OpenMRS, OpenHIE, OpenIMISなどが普及し、社会インフラとなっている国もあ る。 医療情報標準開発において、オープンソースソフトウェア的手 法によるものが普及しつつある。 COVID-19や各種災害時に人類の知恵と善性が試される状況に おいてはオープンソースソフトウェア、オープンデータが有効 に働くことが実証されてきた。 24