生成AIを使ったVRChatワールド制作 ― ワールド「ことのはアーク」制作記

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September 11, 26

スライド概要

2026年9月9日の「AI × VRChat勉強会」で発表した資料です。

交流ワールド「ことのはアーク」の制作を題材に、生成AIに任せた作業と人が判断したこと、制作で効いた方法・効かなかった方法、成果物を評価・検証する際の注意点を紹介します。

登壇者:sechiro / DigitalRegion
※資料の内容は発表時点のものです。

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VRChatのワールド制作や、生成AIを活用した開発について発信しています。

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各ページのテキスト
1.

AI × VRChat 勉強会 生成AIを使った VRChatワールド制作 ワールド「ことのはアーク」制作記 2026年9月9日 sechiro / DigitalRegion

2.

目次 今日の流れ ・ことのはアークとは何か ・「AIが作った」の解像度を上げる ・始め方 — 環境と安全設定 ・実例 — Unity MCPをどう使ったか ・効いたのは具体的な指示と反応 ・AIができる評価は限定的 ・どこまで任せられるか — 現状の評価 ・Astraで前提が変わる 質疑は最後に12分ほど取ります。途中の質問も歓迎です 02 / 27

3.

1. 題材 ことのはアークとは何か ・80人同時接続を想定した、軽量な交流ワールド ・八角形の大ホール2つを廊下でつなぎ、遠方に8つの部屋 ・会場の光は全てベイク。リアルタイムはアバター用の1本だけ ・すべてをAIに任せたら、どこまで作れるのかを試した ホールB。中央の大樹とガラスのドーム 空もAIが書いたシェーダーで描いていて、時間とともに雲が流れます 03 / 27

4.

2. 解像度 「AIが作った」の中身 | 造形 Blenderのスクリプトを書かせる。メッシュそのものは手で触らない | テクスチャ 手続き生成のEditor拡張を書かせる | Udon スクリプトを書かせる。制約が多いので設計は相談しながら | 組み立て Editorメニューの生成ツールを書かせ、AI自身に実行させる | 文書 規約と失敗の記録を書かせ、次のセッションに読ませる 人が決めている 何を作るか、どう見せるか 破ってはいけない規約(80人・全ベイク・軽量) 「これで良い」という判定 有償アセットを読ませるかどうか 「AIで作った」と言うとき、この5つのどれを指すのかで話が変わります 04 / 27

5.

3. 始め方 まずプロジェクトフォルダを開く ・UnityプロジェクトのフォルダをClaude CodeやCodexで開く ・入口はClaude Code / ChatGPTアプリ / VSCode拡張のどれでもよい ・公式アプリなら、ファイルを見るエディターを別に用意すると楽 この時点ではまだUnityは操作できない。つなぐのが次のMCP 05 / 27

6.

3. 始め方 Unity MCPの導入 ・MCPはAIが外部ツールを操作する仕組み ・Unityの操作もMCP経由で行う ・超汎用のエディター拡張だと思えばよい ・シーンを読み、操作し、エラーも直す ・定型作業は拡張を書かせて、実行させる ・他にComputer UseやCLIもある 注意 公式版はUnity 6以降。2022.3ではCoplayDev版 Unity 6へ移れば公式が使え、敷居は下がる AIはこの画面を読み、そのまま操作する https://github.com/CoplayDev/unity-mcp 06 / 27

7.

3. 始め方 ライセンス違反や意図しない流用を防ぐ ・送ったデータが学習に使われるかを、始める前に確認して切る ・使うアセットのライセンスを、導入した時点で確認する ・確認した結果を台帳にして、プロジェクトの中に置く ・台帳はAIにも読ませる。クレジット記載の義務もここで守る この台帳が、次の「読ませないフォルダ」を決める根拠になります 07 / 27

8.

3. 始め方 読ませないフォルダを決める | _ThirdPartyNoAI 有償アセット。読取禁止 | _ThirdParty 許可したときだけ読む | _ThirdPartyLib 参照のみ。編集は不可 | 自社コード 自由に読み書きする 注意 catやMCPのコード実行は、機械的な遮断の外側にある 「間接的な手段で読まない」も規約に書く 相対パスの拒否設定は効かない。絶対パスで書く Assets直下から動かせないフォルダは、配置はそのままで都度承認させる ツール類はメニューから使い、コードは読ませない(Bakeryなど) CodexとClaude Codeでは書き方が違うので、両方使うならそれぞれに用意する 08 / 27

9.

3. 始め方 VRChat特有の作法はスキルで教える ・UdonSharpは普通のC#と書き方が違う ・知らないと、AIは動かないコードを書く ・スキルを入れれば作法をAIに教えられる ・Udonの制約・同期・SDK3の作法が入る niaka3dayo/agent-skills-vrc-udon Skills, rules, and validation hooks that teach AI coding agents to generate correct UdonSharp code 2 Contributors 1 Issue 292 Stars 4 Forks github.com/niaka3dayo/agent-skills-vrc-udon npx skills add niaka3dayo/agent-skills-vrc-udon (v4.1.0) 09 / 27

10.

4. 実例 できるだけコードに落として作業する ・メッシュはBlenderスクリプト、Unityはエディター拡張に落とす ・同じ結果を出すのでも、GUIを操作させるよりAPIの消費が少ない ・コードの差分で直せるので、改善のループが速い ・手で直すと次の生成で戻る。「直った」が積み上がらない 外でも同じ手法が使われている OpenAIのBlenderデモでも、モデリングの本体はPythonスクリプト MCPでポリゴンを操作するのではなく、headless/CLIで動かしている 出典:https://x.com/Dimillian/status/2095596700815516004 10 / 27

11.

4. 実例 組み立てを手続きにする ・テクスチャはEditor拡張が手続き的に生成する ・座席204席・案内板・プローブ・ミラー・時計は、メニューから生成する ・シーンは「作られたもの」であって、原本ではない 生成されたヒエラルキー。名前も規約どおりに付く 原本がコードなら、規約を変えたときに全体へ反映できます 11 / 27

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4. 実例 具体例:ベイクのためにモデルを整える | 頂点の溶接 面ごとに作った頂点をくっつける。しないとUV展開が面ごとに島を作る | 法線の角度 フラットでも全面スムーズでもなく、角度で選り分けて角を残す | UV2 Unityの自動生成は使わず、Blender側で展開してFBXに焼く | 島の数(実測) smart_project 284 / unwrap 378 / Unityの自動生成 430 | プローブ配置 ライトプローブ1,262点はAIがMCP経由で置いた この例での分担 人:何を見て比べるかを決める(島の数・所要時間) AI:方式を実装し、数えて、比べる 全部は話せないので、典型的なものを1つだけ。次のページがその結論です 12 / 27

13.

4. 実例 効いたのは具体的な指示と反応 ・「きれいに焼けるように」だけでは、ここには辿り着かない ・何を見て、何と比べるかは、人が決める必要がある ・良し悪しの判断材料を渡すと、AIは自分で選べるようになる ・一番性能が出るのは、スキルのある人の作業補助として使うとき 前ページの比較表がその実例です。なぜ人が決める必要があるのか、次で説明します 13 / 27

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5. 検査 AIができる評価は限定的 ・ライトマップに継ぎ目が焼き付いた ・白い壁に、赤や緑の染みが出た ・どちらも原寸のスクリーンショットでは気づけない ・当時のAIは、焼き上がりの良し悪しを判断できなかった ただし、ここは動いている 視覚的な評価の能力は、いま急速に伸びている Astraで大きく変わった。後半でその話をします 見て気づけないなら、見なくても分かる形に落とすしかない 14 / 27

15.

5. 検査 原因はいくつも重なっていた ・壁を「閉じた箱の集まり」で作った。埋もれた面がUVを分断した ・T字接合。頂点を溶接しても境界辺として残る ・割って直した。割った線が、そのまま新しい継ぎ目になった 継ぎ目が焼き付く仕組み 1 箱を並べて壁にする 接合部に面が埋もれ、UVが切れる 2 T字接合ができる 左は辺1本、右は2本。 溶接しても境界のまま 3 面を1枚にまとめる コの字の1枚で張ると、島が切れない 割って辻褄を合わせると、割った線が新しい継ぎ目になる 当時の実物は残っていないため、機構を描き起こしたもの 法線の角度もベイカーの継ぎ目補正も効かなかった。原因は他にもある。次がその一例 15 / 27

16.

5. 検査 説明がつくことは原因の証拠にならない ・白い壁に、周りに赤い物が無いのに赤や緑の染みが出た ・AIは「隣のオーク床からの色移り」と説明した。筋は通っていた ・実際は圧縮形式のせい。無圧縮と比べたら消えた ・「条件を変えて結果が変わるか」で判定するよう、私が指示した HDRの範囲を使っていないので、RGB9E5に変えて解決した 16 / 27

17.

5. 検査 機械が判定できる検査を置く | 法線検査 全ての面が、立体の内側から外を向いているか | 重なり検査 同一平面で重なる面の組を、全数で検出する | 境界辺検査 面が1枚しか接していない辺が残っていないか 生成のたびに自動で走る。全部通してからでないとコミットしない 17 / 27

18.

5. 検査 それでも実機でしか出ないもの ・鏡の中の自分だけ暗い。映るレイヤーが直視のときと違った ・画面は消えたのに音だけ鳴る。実行時に音源が切り離されていた ・iOSでは動画が再生できない 検査で防げるのは作りの破綻まで。仕様の罠は実機で踏むしかない 18 / 27

19.

6. 総括 効いたこと・効かなかったこと 効いた 規約を文書に書き下ろす できるだけコードに落として作業する 機械が判定できる検査を置く 判断材料を決めて渡す 読ませない範囲を先に決める 効かなかった 「きれいに直して」と頼む 目視での確認を任せる もっともらしい説明を鵜呑みにする 同種の欠陥を1箇所直して終える 19 / 27

20.

7. 評価 どこまで任せられるか ・自分のアウトプットの補助としては、もう十分に使える ・自分のワールドで使うモデルなら、これで問題ない ・販売品質のモデルとなると、話が別になる 「動く」と「売れる」の間には、まだ距離があります 20 / 27

21.

7. 評価 いまのAIの進化 ・「職人の勘」では、人間がまだAIを上回る - 複数の観点を同時に検討しながら作業できる - フィードバックを随時吸収して、その場で直せる ・ただしAIは、勘でやっていたことを言語化して再現する ・だから、人間が勘でやっている領域に近づいてくる ・視覚的なものを評価できるようになったのは、その大きな一歩 ・Astraの驚きは、それが急に伸びたこと ここから、そのAstraの話をします 21 / 27

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8. Astra GPT-6 Astraの進化のポイント OpenAI共同創業者 Greg Brockmanのインタビューと各社報道から ・Computer Useが転換点(Brockman談) ・これまでは、特定のAPIに限られた「コネクタの時代」だった ・Computer Useはほぼ普遍的なコネクタ。APIの無いソフトにも届く ・ARC-AGI-3で99.9%。Claude Opus 5は30.2%、GPT-5.6 Solは7.8% ここからは私の読み 本質はComputer Useのための認知能力の強化にある 3Dモデル制作の能力が上がったのは、その副産物ではないか Unity MCPのような橋は、いずれ要らなくなる 99.9%は専用ハーネスの値、標準では62.7%。出典:arcprize.org, stratechery.com(2026) 22 / 27

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まとめ AIに任せても、決めることは減らない ・人間にしか決められないことは、ずっと残る - 何を作るのか - 成果物をどう評価するか - ビジネスとしてどう判断するか ・逆に、本質的な価値とは切り離された作業・業務はAIに置き換わっていく 話はここまでです。最後にひとつ、種明かしを 23 / 27

24.

種明かし このスライドも、その一例です ・GitHub Pagesの画像を実効時に読む ・GPUで圧縮してからVRAMに載せる ・1枚1.2MB。非圧縮なら9.4MB ・圧縮はCodexで作った社内プロダクト ・このスライドもAIが実装を読んで作った Unity Console [Image Download] Attempting to load image from URL '.../vrc-posters/slides/slide_20.png' [RuntimeBc7Encoder] Success format=BC1 source=2048x1152 encoded=2048x1152 padded=False bytes=1179648 backend=RHI elapsedMs=199.89 [SlideScreen] page 20 loaded 2048x1152 format=BC1 fallback=False bytes=1179648 encodeMs=199.89 # 1枚 1,179,648 byte。非圧縮なら 9.4MB 実行中のUnityコンソール 詳しい仕組みは、質疑でお聞きください 24 / 27

25.

AI × VRChat 勉強会 スライドを読み込んでいます… ご清聴ありがとうございました 質疑を受け付けます 2026年9月9日 sechiro / DigitalRegion

26.

参考 MCP / Computer Use / CLIの比較 | MCP 機能を名指しで呼ぶ。型付きのツールとして渡せる | Computer Use 画面を見て操作する。APIの無いGUIにも届く | CLI コマンドとして残せる。起動中Editorに接続する方式もある 境界は方式では決まらない 任意コード実行を許すと、方式に関係なく読み取り遮断は越えられる その口を塞げるかどうかが、方式の違いより重要 本編では使いません。質問が出たときに開きます 26 / 27

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参考 Unity 6という分岐点 | 公式のMCP Unity 6以降(com.unity.ai.assistant) | 公式のCLI 起動中Editorの操作は Unity 6以降・experimental(com.unity.pipeline) | VRChat SDK Unity 2022.3.22f1 | いまの選択 CoplayDev/unity-mcp(2021.3~6.x に対応) VRChatがUnity 6へ移れば、公式ツールがそのまま使えるようになる 27 / 27