生産性とリソース効率とフロー効率と

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August 26, 22

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scrum master, software engineer

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各ページのテキスト
1.

生産性と リソース効率と フロー効率と rev.2

2.

生産性が悪い 生産性を 向上しました 生産性最大化に 向けた取り組み 「生産性が高い」ってどんな状態? なんとなく分かった気になっていない?

3.

〇〇設計書は、 5日で20ページ作成 します もっと生産性向上 させろ! がんばった結果 3日で完成しました! これって「生産性が向上した」と言える?

4.

生産性? 生産性 = 産出(output)÷ 投入(input) outputとinputを何とおくかで変わってくる ● ● ● ● 単位時間あたりのアウトプット量? 一日でこなせる仕事の量? 生産数量 ÷ 労働量? コンテキストによりさまざま 付加価値額 ÷ 労働量? =共通認識を築けていない

5.

日本の生産性は低い問題 「日本の労働生産性は先進国で最下位」とか いうときの生産性の定義 労働生産性 = 就業1時間あたりのGDP https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd131110.html ● 単位は[カネ/時間] ● つまり生産 ”量” の問題ではない 生産性は本来 ”カネ” ありき

6.

生産性の種類 物的生産性 生産量 ÷ 労働量 (アウトプット÷コスト) 付加価値生産性 付加価値 ÷ 労働量 (アウトカム÷コスト)

7.

(付加価値)生産性を高めたい理由 生産性 = 売上金額 ÷ 投入金額 (利益 = 売上額 - 費用) ● 生産性を高めることは、利益率を高くすることとほぼ同義 ● 少なくとも経営目線だと、最後はお金換算。 ● 個人単位やプロジェクト単位のスコープで生産性があがっ ていても意味があるとは言いきれない(ある場合もある) ● それ以外の「生産性」は、それを向上させることで、暗に 年間利益向上に寄与することを前提にしている ○ “作れば売れる” なら、物的生産性は付加価値生産性に 直結する

8.

生産性を向上させるには では、企業において生産性を向上させるにはどうするか? 生産性 = 売上金額 ÷ 投入金額 (利益 = 売上額 - 費用) ● こっちを減らすことだけ考えていないか? ● コストカット至上主義 生産性 = 売上金額 ÷ 投入金額 (利益 = 売上額 - 費用) ● 実はこっちを増やすことを意識しないといけない ● もちろん、コストを抑えることも大事

9.

なぜか? ● 同じ仕事を早く終わらせても、(それだけでは)生産 性はあがらない ● 社員を抱えている限り、年間の人件費は固定。仕事が あってもなくても人件費は発生する。 生産性 = 売上金額 ÷ 投入金額 (利益 = 売上額 - 費用) ● 同じ仕事を早く終わらせるようになることは、その作 業単独における生産性があがった、とはいえる。だが それだけでは、年間におしなべて見れば経営には何も 貢献しない(残業抑制除く)

10.

いちばん効くのは作業効率の カイゼンではなく、そもそもムダな 作業をやめること + 付加価値の増大 そのうえで、必要な作業の効率を カイゼンする

11.

生産性をどのスコープ(レベル)で考えるか? 狭い視野 作業レベルの 生産性 受託プロジェクト レベルの生産性 5人日 3人日 API 3つ API 3つ 5人月 ・作業効率up ・物的生産性up 4人月 全体ボリューム 売上:600万 利益:100万 全体ボリューム 売上:600万 利益:200万 ・作業効率up ・(プロジェクト単位での) 付加価値生産性up (*人件費を1人月100万円とする) 組織レベルの 生産性 5人月 5人月 12か月 人件費:12 x 100万 = 1200万 売上: 600万 x 2 = 1200万 利益:0万 広い視野 4人月 4人月 12か月 ・作業効率up ・付加価値生産性は 変わらない 人件費:12 x 100万 = 1200万 売上: 600万 x 2 = 1200万 利益:0万 作業/プロジェクトレベルで作業効率があがっていても、 組織レベルで見れば変わらないこともある

12.

生産性をどのスコープ(レベル)で考えるか? ● 作業やプロジェクト単位でいくら効率up(物的生産性up) しても、通年雇用しているので、年間通してみれば [売上 /費用] の分母は変わらない(人件費は固定費) ● なので、付加価値生産性をあげるには ○ 固定費を上回る余分な費用(残業代、出張代、、)を 減らす→分子側にアプローチ ○ 効率upにより浮いた時間で「売上」に寄与するなに かを増やす→分母側にアプローチ ただし、この考えがリソース効率への執着を促 し、フロー効率を阻害することにもなるので注意

13.

これでいいのだろうか? 〜生産性向上の罠〜

14.

生産性の罠 ● 間違ったアプローチの中で、アウトプットスピードをあ げても意味が無い→不要なものを高速生産するだけ ● そもそもやらなくても良いことをやめる。同じ目的を達 成できる、もっと良い手段があるかもしれない ● アウトプットはあくまでHowに対して注目している。ア ウトプットがアウトカムにつながるという前提のもとで のみ成り立つ ● アウトプットにのみ注目している人が陥りがちな罠 ● アウトカムに意識を向ける。これってそもそもアウトカ ムにつながるよね?を自問自答する→スクラムでいうふ りかえり

15.

大事なのは、目的を達成すること。 手段に固執することではない。 ただし制約条件は守る 手段を盲信し、その中でアウトプット効率をあげても、 生産性に与えるインパクトは薄い

16.

生産性向上に関連して やってしまいがちな 間違った効率化のはなし

17.

リソース効率と フロー効率

18.

リソース効率/フロー効率 リソース効率が追求すること・良しとすること 稼働率100%、みんなフル稼働している フロー効率が追求すること・良しとすること ニーズ発生から提供までのリードタイムの短さ

19.

リソース効率重視とフロー効率重視の例 (わかりやすく極端な例) デザイナー、エンジニア、マネージャなどで構成される組織 リソース効率重視 エンジニアはフル稼働。マネー ジャとデザイナは空きがあるの で掛け持ちしており、結果全員 パンパンに仕事が詰まっている フロー効率重視 エンジニアはフル稼働。マ ネージャとデザイナは空きが あるが、掛け持ちせず余裕が ある状態

20.

リソース効率重視とフロー効率重視の例 リソース効率重視 100% 100% 100% フロー効率重視 50% 100% 50% 全員パンパンに仕事が詰まって いる マネージャとデザイナは余裕 がある状態 稼働率:100% (300/300) 「みんなよく働いている!」 稼働率:67% (200/300) 「遊んでいるやつがいる!」 …リソース効率高いほうが良いことに思える

21.

これを見てもそう言えるだろうか?

22.

よくあるケース その1 リソース効率重視 100% 100% 100% エ「デザインについて質問ッス」 デ「来週なら時間取れます!」 フロー効率重視 50% 100% 50% エ「デザインについて質問ッス」 デ「午後なら時間取れます!」 「待ち」発生によりリードタイムは長くなる

23.

よくあるケース その2 リソース効率重視 エ「レビュー頼みますー」 マ(無反応) エ「レビュー頼んだ件どうです?」 マ「ごめん漏れてた!これBADや」 エ「修正します!(はよ言って よ。。他のとこもやり直しやん)」 フロー効率重視 エ「レビューたのんますー」 マ「今から見るわ!」 「後回し」による悪影響もたくさんある

24.

よくあるケース その3 リソース効率重視 マ「テスト方針の打ち合わせしよ」 デ「その日は埋まってるのでこっち 希望」 エ「そこはあかんわー」 マ「みんなOKなんは次の水曜かー」 フロー効率重視 マ「テスト方針の打ち合わせしよ」 エ「今キリが悪いので1時間後!」 デ「今日明日ならいつでもー」 マ「ほな、今日の15時でヨロ!」 突発の打ち合わせを入れるのも一苦労 &『調整』という無価値な新作業の発生

25.

リソース効率を重視した結果 フロー効率が激落ちしている

26.

リソース効率とフロー効率の どちらも高めたい 気持ちはわかるけど、どちらも 100%にするのは無理 なので、バランスを取りながら双方 高めていく必要がある

27.

どう進めていくべきか? リソース効率 高い 効率性の孤島 1 両方高い 両方低い フロー効率高い 荒野 ★ ①リソース効率を高めてから、 完璧な状態 効率性の海 2 右上の★(スター)は理論上完 璧な状態ではあるが、到達不 可能 フロー効率をチューニングする ②フロー効率を高めてから、 リソース効率をチューニングする ②の作戦を選ぶ いちどリソース効率を下げてでも、ま ずフロー効率を高める フロー効率を上げようとする中でムダ の発見と削減が行われる

28.

生産性ということばや リソース効率重視な オペレーション設計には 気をつけよう