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December 04, 23
スライド概要
XP祭り2021での登壇スライドです。
B2Bマーケティングの事例ですが、チーム作り、チーム運営におけるポイントにフォーカスしています。
本業は永和システムマネジメント http://agile-studio.jp のアジャイル実践者。副業で福井県のCDO補佐官としてDX支援やってます。
対話と創発 ~ アジャイルなマーケティングチー ムの作り方 XP祭り2021 2021年9月18日 岡島 幸男 © 2021 ESM, Inc. 1
こんにちは 岡島 幸男 取締役CTO/ Agile Studio ディレクター © 2021 ESM, Inc. 2
永和システムマネジメント 福井本社 ● 金融、医療、組込み(自動車) ● Web/Cloud、アジャイル開発 ● 社員 220名エンジニア集団 東京支社/神田 © 2021 ESM, Inc. 3
Agile Studio (福井の開発拠点) © 2021 ESM, Inc. 4
リモート時代に対応し、 Agile Studio Fukui から Agile Studio に フルリモートでのアジャイル内製化支援 アジャイルの知識を身につける リモートアジャイルBoot Camp アジャイル研修 モダンエンジニアとアジャイルチームを組む リモートアジャイル開発 アジャイルチームをはじめてみる アジャイルチーム立ち上げ 経営層やマネジメント向けのセミナーを実施 アジャイル内製チームを実現する 組織の方向付け マインドチェンジ 内製化支援 組織への横展開や定着を支援する モダンエンジニアへの技術転換 アジャイル推進・定着支援 技術転換支援 © 2021 ESM, Inc. 5
本日の内容 ● Agile Studio マーケティングの実際 ● マーケティングチームを立ち上げる ● アジャイルなマーケティングの実際 ● 自分で考えて動くチームを目指して ● まとめに代えて © 2021 ESM, Inc. 6
Agile Studio マーケティングの実際 © 2021 ESM, Inc.
王道のB2Bマーケティング リード(具体的 な相談) リモート 見学 顧客 ここから先は営業が頑張る イベント(ウェビ ナー等) Agile Studio ファン 問い合わせ 潜在顧客 資料 ダウンロード 認知度をあげてファンを増やし、個別の顧客課題にアプローチする。 © 2021 ESM, Inc. 8
マーケティングにかかわる主な作業 イベント開催関連 見学関連 イベント出展関連 イベント内容決定 イベントをカレンダーに登録 リハーサルスケジューリング 特典の決定 DKイベントページ作成 DK申込フォーム作成 DKメッセージ作成 DKイベント公開 DKメッセージ送信 イベントをブログで告知 LPトップのイベント情報更新 配信メール送信 Facebook投稿 Twitter投稿 アンケートフォーム作成 ご案内事項のパワポ作成 Zoomの背景画像作成 ウェビナー契約稟議 ウェビナー契約(個人の法人カードで行うこと) ウェビナースケジューリング DKイベントを編集(オンライン開催) DK前日送信メッセージ編集(【視聴用 URLのご案内】) 参加者一覧を登壇者に連携 申込状況の分析 リハーサル アンケート受付締切 アンケート特典送付 フォローアップリスト追加 ブログ crmを起票 見学実績一覧の記入(予定) 経緯をまとめた資料作成(事前打合せ用) 事前打ち合わせ 見学対応者の決定および日程調整 Zoom予約 スケジューリング(ライブ中継のための会議室も予約する) 経緯をまとめた資料更新(見学対応用) crmに日程を追記 アジェンダ作成 アンケート作成 ライブ中継対応者の調整(スケジュールで招待する) ユーザへ参加者一覧の〆切リマインド( 1週間前) 参加者一覧受領 ユーザへ見学の最終案内(1週間前) ディスカッション準備(質問の並び替え) 見学対応者スケジュール更新 アフターフォロー フォローアップリスト追加 見学対応者へアンケートの連携 アンケートで追加の質問があれば回答 見学実績一覧の記入(確定) イベントスポンサー提案書作成(事業部向け) 社内稟議 スポンサーの申込 登壇者募集&登壇までのサポート ロゴ提出 登壇情報提出 イベント告知ブログ作成 出展用ブース作成(埋め草準備) 登壇者リハーサル 前夜祭参加 アフターフォロー(参加者リストが受領できれば) ランディングページ関連 ページレイアウトの定期的な見直し ブログ更新→SNS拡散 ウェビナー情報更新(トップページ) 外部イベント情報更新(トップページ) 事例紹介ページ作成(ユーザ調整からページ作成まで) ページビューなどの分析 Wixの契約更新(年次) ITS事業部サイトのメンバー紹介修正 ITS事業部サイトの勉強会紹介修正 頻繁なウェビナーや見学など、リモート化に対応するための作業も増えている。 © 2021 ESM, Inc. 9
マーケティングチームを立ち上げる © 2021 ESM, Inc.
アジャイルエキスパートによるマーケティングチーム ステークホルダ PO 営業担当 マーケ責任者 マーケ担当 社長 コーチ代表 事業部 責任者 役割 ● マーケ責任者 ○ 仕事の優先度を決める(プロダクトオーナー の役割) ● マーケ担当 ○ 実務を担当 ● 社長 ○ 外部発信における切り札 ● コーチ代表 ○ アジャイルコーチとして外部発信。豊富なコン テンツを持つ ● 事業部責任者(営業担当) ○ マーケから見込み顧客を受け取る、ある意味 スポンサーでありステークホルダ © 2021 ESM, Inc. 11
マーケ担当は技術転換して育てる ● ● ● ● 川西 真紀 Agile Studio マーケティング担当 新卒で永和システムマネジメントに入社 金融業務パッケージの開発 ・導入・保守で全国行脚 金融系業務システムの ウォーターフォール開発 に従事 2020年8月よりAgile Studioのマーケティング担当となる 最初はマーケティングってどんな仕事をするの!?でしたが、今は Agile Studioのさまざまな活動を行っています。 たくさんの方に Agile Studioを知ってもらいたい! そんな思いで活動しています。 © 2021 ESM, Inc. 12
マーケティング担当にだって技術転換できるはず! ● 当社の歴史で、一度もマーケ専任担当がいたことがない ● 何となくこんな感じだろう、というところからスタート ● しかもいきなり完全リモートだし ● きっと、抜擢された川西も不安だったはず © 2021 ESM, Inc. 13
マーケティング担当の日常 Agile Studio リモート見学 ● 事前打合せを実施し、お客様の状況、見学目的・要望を把握し て、見学コンテンツのアレンジ ● 見学直後のふりかえり、アンケートのフィードバックによる改善 何が嬉しい? ○ お客様と直接会える貴重な機会(100社500名の実績) ○ お客様からの声がモチベーション向上につながる © 2021 ESM, Inc. 14
アジャイルなマーケティングの実際 © 2021 ESM, Inc.
マーケティングとアジャイルの相性は抜群 成果が見えやすい=改善しがいがある © 2021 ESM, Inc. 16
なぜマーケティングをアジャイルに? ● 成果を出したい アジャイルな開発チームが 目指す姿そのもの ● 最小限の人数で回したい ● アイディアを創発したい © 2021 ESM, Inc. 17
活動の全体像 問い合わせ SNS フィードバックとふり かえり 成果 ・サービス内容 ・ファンリスト ・ターゲットペルソナ ・外部発信コンテンツ ・バックログ ・分析データ (月次リズム) ウェビナー 開催 見学 フィードバックと ふりかえり 外部イベント 参加 学習によるアップ デートを繰り返す (イベント毎リズム) 社内の声 © 2021 ESM, Inc. 18
見学、ウェビナーへのフィードバックでアップデートする リモート見学 ウェビナー 見学は100社500名以上、ウェビナーは毎回 100名以上 が参加。いずれも貴重なフィードバック機会。 © 2021 ESM, Inc. 19
ターゲットペルソナのアップデート 「チェンジリーダー」 ⇓ 「従来型の企業でレガシーからアジャイルへの変革に汗水流す リーダー」 活動を通じて情報を増やし、届けたい人たちの解像度を高めていく。 © 2021 ESM, Inc. 20
ファンリストのアップデート 愛着重要!! ● 「リスト」⇒「ファン」 ● スプレッドシート ⇒ シート + HubSpot 最初は数行のアドレスの一覧。今では様々な分析も含まれる宝物に。 © 2021 ESM, Inc. 21
バックログのアップデート © 2021 ESM, Inc. 22
バックログを健全に保つために ● 誰でも追加できるようにする。ただし、順番を並び変えられるのは オーナー(マーケ責任者)だけ ● 粒度は適宜見直して小さいタスクにしていく(リファインメント) ● 同一担当が同時期に複数のタスクに着手しないようにする(一個 流し) © 2021 ESM, Inc. 23
頻繁なアップデートを支えるチーム運営 ● 上下関係はなく役割なので指示しない ○ 社長もチームの一員。提案はしても指示命令はしない ● ステークホルダーは手段・作業レベルに口出ししない ○ 事業部長に意見は求めるが、指示は受けない ○ ただし、成果は求めてもらってOK 指示命令ベースではなく、担当自らが考えて仕事を進める。そのためにオープンな場を作る。 © 2021 ESM, Inc. 24
スピードだけでなく質にもこだわる 短い文章でもガチな レビュー © 2021 ESM, Inc.
オープンな会話が心理的安全性を支える © 2021 ESM, Inc.
オープンな関係を作るために ● メールではなくチャットツールを使う ○ ダイレクトなメッセージを減らしていく。内部政治を生みやす いから ● なんでも見える化し、仕事を隠さない(隠せない・隠す必要がな い)ようにする ● 周り(エンジニア)も巻き込む ○ オンライン見学やブログなどに協力してもらう ○ マーケティング活動の成果を公開する © 2021 ESM, Inc. 27
成果の見える化(ファンは増えているか) ● 毎月開催しているウェビナーや Agile Studioのリモート見学な どを通じて、ファンが着実に増 えている。 ● マーケティングチームができた 2020年8月からファンが約2倍 に。 ● © 2021 ESM, Inc. もうすぐ1000人! 28
成果の見える化(Webサイトは成果につながっているか) © 2021 ESM, Inc. 29
成果の見える化(事業には貢献できているか) © 2021 ESM, Inc. 30
「可視化」だけでは効果に繋がらない ● アジャイル(Scrum)の原則は「透明性」の上での「検査」と「適 応」 ● 実験を通じた継続的改善が成果をアップさせるためのキモ ● いきなりうまくはできない。計画通りになんかならない © 2021 ESM, Inc. 31
自分で考えて動くチームを目指して © 2021 ESM, Inc.
大量のタスクをさばくのは自律性・主体性 イベント開催関連 見学関連 イベント出展関連 イベント内容決定 イベントをカレンダーに登録 リハーサルスケジューリング 特典の決定 DKイベントページ作成 DK申込フォーム作成 DKメッセージ作成 DKイベント公開 DKメッセージ送信 イベントをブログで告知 LPトップのイベント情報更新 配信メール送信 Facebook投稿 Twitter投稿 アンケートフォーム作成 ご案内事項のパワポ作成 Zoomの背景画像作成 ウェビナー契約稟議 ウェビナー契約(個人の法人カードで行うこと) ウェビナースケジューリング DKイベントを編集(オンライン開催) DK前日送信メッセージ編集(【視聴用 URLのご案内】) 参加者一覧を登壇者に連携 申込状況の分析 リハーサル アンケート受付締切 アンケート特典送付 フォローアップリスト追加 ブログ crmを起票 見学実績一覧の記入(予定) 経緯をまとめた資料作成(事前打合せ用) 事前打ち合わせ 見学対応者の決定および日程調整 Zoom予約 スケジューリング(ライブ中継のための会議室も予約する) 経緯をまとめた資料更新(見学対応用) crmに日程を追記 アジェンダ作成 アンケート作成 ライブ中継対応者の調整(スケジュールで招待する) ユーザへ参加者一覧の〆切リマインド( 1週間前) 参加者一覧受領 ユーザへ見学の最終案内(1週間前) ディスカッション準備(質問の並び替え) 見学対応者スケジュール更新 アフターフォロー フォローアップリスト追加 見学対応者へアンケートの連携 アンケートで追加の質問があれば回答 見学実績一覧の記入(確定) イベントスポンサー提案書作成(事業部向け) 社内稟議 スポンサーの申込 登壇者募集&登壇までのサポート ロゴ提出 登壇情報提出 イベント告知ブログ作成 出展用ブース作成(埋め草準備) 登壇者リハーサル 前夜祭参加 アフターフォロー(参加者リストが受領できれば) ランディングページ関連 ページレイアウトの定期的な見直し ブログ更新→SNS拡散 ウェビナー情報更新(トップページ) 外部イベント情報更新(トップページ) 事例紹介ページ作成(ユーザ調整からページ作成まで) ページビューなどの分析 Wixの契約更新(年次) ITS事業部サイトのメンバー紹介修正 ITS事業部サイトの勉強会紹介修正 同時多発的に発生する作業のすべてを、誰かの指示を仰いで進めることはできない。 © 2021 ESM, Inc. 33
どんどんライトウェイトになるふりかえり ● 開催間隔をだんだん短くしていく ○ 四半期から月、さらにイベント毎に 今思えば、 相当ルーズなスタートで した。 ● すぐにやる ○ イベントが終わったらすぐにふりかえる ○ やると決まったタスクはすぐにタスクボードに投入する ● ツールは臨機応変に ○ 当初はオンラインホワイトボード、今はほとんどが、は Googleドキュメントかスライドでテキストベース © 2021 ESM, Inc. 34
ふりかえりによる対話とフィードバックが自律性を育む ● 重要な改善提案は全てメンバー発信 ○ 社長(平鍋さん)や私(岡島)からではないのが嬉しい ○ ふりかえりの高頻度化、見学申し込みを増やすためのアン ケートの工夫などなど、思い出せないぐらいある ● 頻度高く実施されるふりかえりの場で、対話から新しいアイディア が生まれてくる © 2021 ESM, Inc. 35
当初のふりかえり(Google Jamboard) © 2021 ESM, Inc. 36
今のふりかえり(Google スライド) © 2021 ESM, Inc. 37
人ではなくビジョンにコミットする 平鍋さんのビジョン © 2021 ESM, Inc.
Agile Studio のビジョン Agile Studioのゴールデンサークル ● ● ● 平鍋さんのWhyがど真ん中にある 具体的なHowを持つエンジニアがいる マーケティングがWhatとしてのサービス を表現 平鍋さんといえども常に正解を出して導いてくれるわけではない。 HowやWhatは自分たちで。 © 2021 ESM, Inc.
まとめに代えて © 2021 ESM, Inc.
自分が一番素敵だと思うXPの価値 ● XPの価値 ○ Communication,Simplicity,Feedback,Courage,Respect ● (ちなみに)Scrumの価値 ○ Commitment,Focus,Openness,Respect,Courage © 2021 ESM, Inc. 41
こう考えたことないですか? ● アジャイルに関心を持ったのは既存の強権的なやり方を変えた いからだ ● なんでも管理したがる上司は反面教師だ ● できれば皆で理想的なアジャイルチームを実現したい 言うならば反パターナリズム。このような考えが私のアジャイルに対する原動力。 © 2021 ESM, Inc. 42
過去の自分 パターナリズム(父権主義) ● ● ● ● 良かれと思って 強い立場の者が 弱い立場の者に 介入・干渉する リーダーが決定する マターナリズム(母性主義) ● ● ● ● 相手の同意を得て 寄り添いながら より良い進路に 誘導する メンバーが決定する 無自覚にマターナリズム的な価値観を持っていて、それに沿う行動原則を持っていた。 © 2021 ESM, Inc. 43
「Be Agile」を妨げるマターナリズム ~ 15年前の自分 ※ 無料でPDFで読めます。気になる方はダウンロードしてください。 https://drive.google.com/file/d/1s_PBb56mJ1umA7N9-Gi75qNuPyCFfFyz/view?usp=sharing 受託ソフトウェア開発プロジェクトを成功させるには、十分うまくいった、と思っている。 © 2021 ESM, Inc. 44
他者だけでなく自分とも対話することで自覚を促す チームのメンバー 他者 ステークホルダー 対話 今の自分 自問自答は自動思考と なりネガティブになりが ちなので注意 過去の自分 自分の考えや論をまと めたスライドや記事、書 籍などを読み込む 自分 © 2021 ESM, Inc.
こんなことないですか? ● モブワークで対話を促しても壁を感じる ● チームに主体性が足りない人がいると感じる ● スキル不足を感じて辛そうなメンバーがいる こんな時、あなたはチームや個人に対しどのように働きかけますか?考えてみてください。 © 2021 ESM, Inc. 46
過去の岡島のスタイル 『受託開発の極意』P27、28 うまくいかない人(事)に対して、無自覚に「誘導」していたこと。 これが私の得意なマターナリズムなスタイル。ただし、このスタ イルが常に悪というわけではない、無自覚になんとなくそうして しまうことが良くない。 © 2021 ESM, Inc.
「マターナリズム(誘導)」の限界を自覚し、「待つこと」も必要 Be Agile パターナリズム(父権主義) ● ● ● ● 良かれと思って 強い立場の者が 弱い立場の者に 介入・干渉する リーダーが決定する マターナリズム(母性主義) ● ● ● ● 相手の同意を得て 寄り添いながら より良い進路に 誘導する メンバーが決定する 大人扱い ● ● ● ● 対等の立場で それぞれ専門を活かし より良い進路を 自己決定する 皆で決定する ぐっとこらえる 勇気も必要 © 2021 ESM, Inc. 48
待つのも勇気 エネルギーやアイディアをチームか ら沸くのを待てるか? © 2021 ESM, Inc.
待つのも勇気 チームのメンバーが語りだすことを 待てるか? © 2021 ESM, Inc.
「待つ」って怖くないですか? 私の場合、アジャイルについて学ぶことで、その怖さが軽減されてきた。 周りにもそれを広げていきたくて、だから今日ここにいる。 © 2021 ESM, Inc. 51
アジャイルなチームの作り方 ~ まとめ ● オープンな役割ベースのチームを作ろう ● 成果は見える化し、改善効果をビジネス観点で測定しよう ● すぐに効果はでない。こまめにふりかえりチームをアップデートし よう ● チームメンバーとだけでなく、自分とも対話しよう ● 時には、待つ勇気を持とう © 2021 ESM, Inc. 52
最後に Zoomによるスタジオ見学は100社500名の実績!お気軽にお申込みください。 https://www.agile-studio.jp/tour © 2021 ESM, Inc. 53