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April 23, 25
スライド概要
今回は、これまで触れていなかった、流体システムについて解説します。特に、メカトロニクスの根幹を担う重要な要素技術である、油圧や空気圧アクチュエータと、それを用いた位置サーボシステムを取り上げます。
はじめに
0. 流体システムについて
1. .液面制御系
1.1 概要(水頭とは)
1.2 抵抗Rと容量C
1.3 数式モデル化
1.4 電気回路モデル
1.5 連結2水槽システム(MIMO)
数式モデル化
数式モデル解析(Python)
2.油圧システム
2.1 油圧システム(概要)
2.2 油圧圧シリンダ
構造と原理
モデル化と解析
2.3 ダンパー
モデル化と解析
3. 位置サーボ油圧シリンダ
3.1 機械レバー式位置サーボシステム
3.2 機械レバー式原理
構造と動作
モデル化と解析
4.油圧シリンダ動作と負荷
4.1 動作と負荷の関係
4.2 サーボ弁の開放度と供給圧モデル
4.3 機械レバー式位置サーボシステム
構造と動作
モデル化と解析
伝達関数
5.位置サーボ油圧シリンダ(電磁弁式)
5.1 電気油圧サーボ弁による変位追従制御
構造と動作
数式モデル化
数式モデル解析(Python)
6 空気圧システム
6.1 概要
6.2 空気圧システム抵抗と容量
6.3 数式モデル
6.4 圧縮可能、容器変化モデル
6.5 容量(圧縮可能、容器変化)
6.6 圧縮可能、容器変化モデル例
7 空気圧式位置サーボ
7.1 空気圧式位置サーボ
構造と原理
数式モデル化
8 まとめ
8.1 アクチュエータ(油圧と空気圧)のざっくり比較
8.2 アクチュエータ(油圧と空気圧)の違い
つづく
補足:中田孝氏について、私の卒論修論
参考文献
これまでに主に,ロボティクス・メカトロニクス研究,特にロボットハンドと触覚センシングの研究を行ってきました。現在は、機械系の学部生向けのメカトロニクス講義資料、そしてロボティクス研究者向けの触覚技術のサーベイ資料の作成などをしております。最近自作センサの解説を動画で始めました。https://researchmap.jp/read0072509 電気通信大学 名誉教授
2025.4.23 機械回路の記号解析 その3 ---油圧・空気圧システムの解析--機械系のためのメカトロニクス 下 条 誠 電気通信大学名誉教授 https://researchmap.jp/read0072509/ https://www.docswell.com/user/m_shimojo The University of Electro-Communications Department of Mechanical Engineering and Intelligent System
内 はじめに 0. 流体システムについて 1. .液面制御系 1.1 概要(水頭とは) 1.2 抵抗Rと容量C 1.3 数式モデル化 1.4 電気回路モデル 1.5 連結2水槽システム(MIMO) ① 数式モデル化 ② 数式モデル解析(Python) 2.油圧システム 2.1 油圧システム(概要) 2.2 油圧圧シリンダ ① 構造と原理 ② モデル化と解析 2.3 ダンパー ① モデル化と解析 3. 位置サーボ油圧シリンダ 3.1 機械レバー式位置サーボシステム 3.2 機械レバー式原理 ① 構造と動作 ② モデル化と解析 4.油圧シリンダ動作と負荷 4.1 動作と負荷の関係 4.2 サーボ弁の開放度と供給圧モデル 4.3 機械レバー式位置サーボシステム 容 ① 構造と動作 ② モデル化と解析 ③ 伝達関数 5.位置サーボ油圧シリンダ(電磁弁式) 5.1 電気油圧サーボ弁による変位追従制御 ① 構造と動作 ② 数式モデル化 ③ 数式モデル解析(Python) 6 空気圧システム 6.1 概要 6.2 空気圧システム抵抗と容量 6.3 数式モデル 6.4 圧縮可能、容器変化モデル 6.5 容量(圧縮可能、容器変化) 6.6 圧縮可能、容器変化モデル例 7 空気圧式位置サーボ 7.1 空気圧式位置サーボ ① 構造と原理 ② 数式モデル化 8 まとめ 8.1 アクチュエータ(油圧と空気圧)のざっくり比較 8.2 アクチュエータ(油圧と空気圧)の違い つづく 補足:中田孝氏について、私の卒論修論 参考文献 2
はじめに 機械の振動系と電気回路が同じように取り扱えると、知ったのは中田孝氏の書籍「工 学解析」でした。同書は、Lagrange運動方程式、Fourie解析、変分法、テンソル解 析など物理学者の数学的道具を機械工学を学ぶ学生に分かり易く解説したものです。 その中に機械回路の記号解析がありました。これがアナロジーというものに関心を 持った始めでした。 機械系と電気系のアナロジーについて学ぶに従い、「物理量の捉え方」の一つとして 流通量と位差量があること、これにより機械と電気系の物理変数の対応関係ができる こと、さらに流体系、熱回路、音響工学など広い分野の物理現象の解析にアナロジー の考え方が使えることに興味を覚えたものです。また双対性の概念は、各種物理現象 への新たな視点を得るきっかけとなりました。 さて、機械系メカトロニクス講義の続きとして、新たに機械回路をはじめます。これ は機械振動系を電気回路理論で理解し、回路シミュレータにより解析を行います。電 気電子技術に馴染みがない機械系学生に少しでもエレクトロニクスへの興味,理解を 深める機会になれば幸いです。今回は、これまで触れていなかった、流体システムに ついて解説します。特に、メカトロニクスの根幹を担う重要な要素技術である、油圧 や空気圧アクチュエータと、それを用いた位置サーボシステムを取り上げます。 参考文献 中田孝:工学解析(技術者のための数学手法),オーム社,1972. 3
流体システム (Fluid Systems) 私がこれまで触れてこなかった流体システムなどについて解説します。これ らを用いたアクチュエータはメカトロニクスの根幹を担う重要な要素です。 今回は、液面制御系、油圧システム、空気圧システムに焦点を当て、それぞ れの動作原理・特徴・用途の違い解説します。油圧と空気圧、どちらも流体 の力を活用しています。ただし、その圧縮性や制御のしやすさ、力の大きさ に大きな違いがあります。 1. 液面制御系 2. 油圧システム 3. 空気圧システム 4
流体システム (Fluid Systems) 5 流体システムの難しいところ 1. 非線形性 ✓ 流体は非線形性が強く動作点近傍で線形化してモデル化をします。 ✓ また、流れる状況に応じて状態が大きく変わり、速度や圧力が時間 と共に変化します 2. 圧縮性・非圧縮性 ✓ 水などの液体は非圧縮性流体として扱うことが多いですが、空気の ような気体は圧縮性を考慮しないと精度が落ちます 𝜌 𝑉 𝑝 𝑞𝑖 𝜌𝑖
流体システム (Fluid Systems) アナロジーの視点から 1. 電荷に相当するものは体積または質量となります ✓ 電荷は「回路中に蓄えられる量」であり、電流の積分として定義されます。 ✓ 流体では「流量の積分」が対応するので、体積 V か 質量 m です。 2. 一般的には ✓ 非圧縮性流体(液体など) → 体積 V を使う ✓ 圧縮性流体(気体など) → 質量 m を使うことが多い 電気回路 流体システム 電荷 q 流体の体積 V または 質量 m 電流 i = dqΤdt 流量(体積流量 dVΤdt ,質量流量 dmΤdt ) 電圧 e 圧力差 ΔP 抵抗 R 流体抵抗(パイプの摩擦など) キャパシタ C 圧力容器(蓄圧器)など インダクタ L 流体慣性(流体の質量・慣性) 6
1.液面制御系 液面制御系は、水力学における現象を制御システムとしてモデル化して扱う例でよく取り 上げられます。特に: ✓ タンクの入出流量と水位の関係を一次遅れ系としてモデル化 ✓ 比例制御(P制御)やPID制御などを用いて、水位を一定に保つ制御設計 こうしたモデルは、アナロジー的に電気回路などと対応づけられるため、制御工学の教育 でもよく登場します。 水頭 (head) 𝐻 (head) バルブ C R 𝑄 7
1.1 液面制御系(水頭とは) 8 水頭(head)で水の流れを考える 圧力Pと水頭hの関係 𝑃 = 𝜌𝑔ℎ 水頭 (head) 水頭 :h [m] 密度 :ρ [kg/m3] ℎ(head) 断面積:A [m2] P 例えば、 圧力 :P [N/m2] タンク 圧力の単位 (SI):Pa(パスカル) 流体重量 𝜌 ∙ 𝐴ℎ 𝑔 𝑃= = = 𝜌𝑔ℎ 𝐴 断面積 1 𝑃𝑎 = 1 𝑘𝑔 ∙ 𝑚Τ𝑠 2 = 1 𝑁Τ𝑚2 水頭(head) 水頭(すいとう、水ヘッド、hydraulic head)とは、流体(主に水)が持つエネルギー の指標であり、高さ(圧力)として表されます。これは、水の流れや圧力損失を考える 際に重要な概念です。 ✓ 配管の流れ解析:配管内の圧力損失やポンプの必要揚程を計算するのに使用 ✓ ダムや水力発電:ダムの水位(位置水頭)を利用してエネルギーを生み出す ✓ 地下水流動:井戸や地下水の流れを解析するときに用いる
1.2 液面制御系(抵抗R&容量C) 9 流れの抵抗値Rの値(層流と乱流の場合) 𝑅= バルブ 𝐻 (head) R C 水頭(∆𝐻) 流量(∆𝑄) 体積(∆V) C= 水頭(∆𝐻) 𝑄 𝑚 𝑚 3 Τ𝑠 抵抗R 𝑚3 𝑚 容量C R:抵抗(Resistance) 層流 乱流 水 頭 𝑄 = 𝐾𝑙 𝐻 ഥ 𝐻 水 頭 (動作点Pでの傾き) ഥ 𝐻 𝑄 = 𝐾𝑡 𝐻 𝑑𝐻 1 𝐻 = = 𝑑𝑄 𝐾𝑙 𝑄 = 𝑐𝑜𝑛𝑠𝑡𝑎𝑛𝑡 𝑑𝐻 2 𝐻 2𝐻 = = 𝑑𝑄 𝐾𝑡 𝑄 ≠ 𝑐𝑜𝑛𝑠𝑡𝑎𝑛𝑡 𝑅= 0 𝑅= 0 𝑄ത 流量 𝑄ത 流量 動作点近傍で線形化を行う(次頁→) OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004
1.2 液面制御系(抵抗R) 動作点近傍での線形化 𝑄ത + 𝑞𝑖 バルブ 水 頭 10 ℎ 𝑡𝑎𝑛−1 𝑅𝑡 ഥ 𝐻 動作点P h,qは微小とする ഥ+ℎ 𝐻 𝑞 バルブ 𝑄ത + 𝑞𝑜 C 0 抵抗:R トリチェリの 法則からも? 定常流れ: ഥ −𝐻 𝑄ത 流量 ഥ ℎ 2𝐻 傾き: ത = 𝑞 𝑄 流量に対する水頭曲線(実験値) 𝑄 = 𝐾𝑡 𝐻 ഥ 定常ヘッド(変化前)【m】 𝐻: 抵抗: 線形化 した値 を使う 2𝐻 ℎ 𝑅𝑡 = = 𝑄 𝑞 ℎ 𝑅𝑡 = 𝑞 ℎ: ヘッドの定常値からの小さな偏差【m】 ത 定常流量(変化前) 【m3/s】 𝑄: 動作点近傍での 線形化 𝑞𝑖 : 流入率の定常値からの小さな偏差【m3/s】 𝑞𝑜 : 流出率の定常値からの小さな偏差【m3/s】 OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004
1.2 液面制御系(容量C) 11 水槽の容量Cは次のように定義されます (この様にも解説される) 𝑞 𝑉 = 𝐴ℎ 𝑚3 h 液体体積の変化 𝑚3 𝐶= 𝑜𝑟 𝑚2 𝑚 水頭の変化 𝑑𝑉 𝐶= = 𝐴 𝑚2 𝑑ℎ :体積 h:水頭[m] A:面積 A:断面積[m2] V:体積[m3] この例では容量は断面積とな り、一定となる 𝑝 q:流量[m3/s] 以上は液面制御系での狭い定義です 一般に流体の場合は、圧力により、容器の体積変化と流体の密度の変化が起こります この場合は、 容量C 𝐶= 𝑑𝑚 𝑑𝑝 一般的に認められているかは不明です? 𝑑𝑚 𝑑 ρ𝑉 𝑑𝑉 𝑑ρ 𝐶= = =ρ +𝑉 𝑑𝑝 𝑑𝑝 𝑑𝑝 𝑑𝑝 (詳しくは6章を参照のこと) 容器の 膨張 密度の 変化 𝜌 𝑉 𝑝 𝑞𝑖 𝜌𝑖 𝜌: 密度 𝑘𝑔Τ𝑚3 𝑞:流量 𝑚3 Τ𝑠 𝑉: 体積 𝑚3 𝑝: 圧力 𝑁Τ𝑚2 容器内の質量: 𝑚 = ρ𝑉
1.2 液面制御系(抵抗R&容量C) 12 液面制御系 電気回路 流通量 q:流量[m3/s] i:電流 位差量 h:水 頭[m] e:電圧 体積と電荷 𝑡 𝑉(𝑡) = 𝐴ℎ 𝑡 = න 𝑞 𝑡 𝑑𝑡 𝑡 𝑄(𝑡) = 𝐶𝑒 𝑡 = න 𝑖 𝑡 𝑑𝑡 0 流量と電流 水頭と電圧 𝑞 𝑡 = 𝑑𝑉 𝑑ℎ =A 𝑑𝑡 𝑑𝑡 ℎ 𝑡 = 𝑅𝑡 𝑞(𝑡) 0 𝑖 𝑡 = 𝑑𝑄(𝑡) 𝑑𝑒 =C 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑒 𝑡 = 𝑅 𝑖(𝑡)
1.3 液面制御系(数式モデル化) 13 数式モデル化 液面レベルの 微小時間変化 抵抗Rは 𝑄ത + 𝑞𝑖 𝐶𝑑ℎ = 𝑞𝑖 − 𝑞𝑜 𝑑𝑡 𝑅= ℎ 𝑞𝑜 バルブ h, qoは微小変位 𝑚 𝑚 3 Τ𝑠 h,qは微小 ഥ+ℎ 𝐻 (正常動作点近傍で線形化されたモデル) C すると微少時間dtでの液面レベルの変化は 以下のように記述できる 𝑑ℎ ℎ 𝐶 = 𝑞𝑖 − 𝑞𝑜 = 𝑞𝑖 − 𝑑𝑡 𝑅 𝑑ℎ 𝑅𝐶 + ℎ = 𝑅𝑞𝑖 𝑑𝑡 ← (𝑞𝑜 = ℎΤ𝑅) バルブ 𝑄ത + 𝑞𝑜 抵抗:R 𝑅: 抵抗 𝑠Τ𝑚2 𝑞: 流量 𝑚3 Τ𝑠 𝐶: 容量 𝑚2 ← ℎ = 𝑞𝑜 𝑅 𝑅𝐶: 時定数 𝑠 𝑑𝑞𝑜 𝑅𝐶 + 𝑞𝑜 = 𝑞𝑖 𝑑𝑡 OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004
1.4 液面制御系(電気回路モデル1) 水槽液面高システム 𝑄ത + 𝑞𝑖 バルブ 電気回路モデル(Ogata) 𝑒𝑅 流通量 位差量 流量 q 電圧 e 水頭 h 電流 i 位差量が電流? ഥ+ℎ 𝐻 R 電 圧 源 C 𝑖 𝑡 𝑒𝑖 バルブ 𝑄ത + 𝑞𝑜 C 14 𝑒𝑖 = 𝑒𝑅 + 𝑒𝐶 ・・・(a) 抵抗:R 𝐶 𝑒𝐶 𝑑𝑒𝐶 𝑒𝑅 = = i ・・・(b) 𝑑𝑡 𝑅 数式モデル 𝑅𝐶 𝑑𝑞𝑜 + 𝑞𝑜 = 𝑞𝑖 𝑑𝑡 正常動作点近傍で線形化 されたモデル (a)(b)式から 流量 電圧 q0 ec qi ei C :タンク底面積【m2】 𝑅 :抵抗【s/m2】 𝑞𝑜:流出率の定常値からの小さな偏差【m3/s】 𝑅𝐶 𝑑𝑒𝐶 + 𝑒𝐶 = 𝑒𝑖 𝑑𝑡 ecが流出量qoに対応する 疑問? 抵抗Rの電圧差eRが流出量qoに 対応するのが素直なような? OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004
1.4 液面制御系(電気回路モデル2) 水槽液面高システム 𝑄ത + 𝑞𝑖 バルブ 電気回路モデル(shimojo改変) 流通量 位差量 流量 q 電流 i 水頭 h 電圧 e 位差量を電圧とした ഥ+ℎ 𝐻 バルブ 𝑒 定 電 流 源 i ii 𝑄ത + 𝑞𝑜 C 15 𝑖𝑖 = 𝑖𝑅 + 𝑖𝐶 抵抗:R ・・・(a) C R ic iR 1 න 𝑖 𝑑𝑡 = 𝑅𝑖𝑅 = e ・・・(b) 𝐶 𝐶 数式モデル 𝑑𝑞𝑜 + 𝑞𝑜 = 𝑞𝑖 𝑑𝑡 流量 電流 正常動作点近傍で線形化 されたモデル q0 iR qi ii 𝑅𝐶 :タンク底面積【m2】 C 𝑅 :抵抗【s/m2】 𝑞𝑜:流出率の定常値からの小さな偏差【m3/s】 𝑅𝐶 𝑑𝑖𝑅 + 𝑖𝑅 = 𝑖𝑖 𝑑𝑡 (a)(b)式から iRが流出量qoに対応する 抵抗Rの電流iRが流出量qoに 対応する 前頁のモデルより素直な対応と思われる
1.5 液面制御系(連結2水槽 1/3) 抵抗のある管でつながれた 2水槽の液面の変化 2入力2出力System (MIMO) 水槽の水面の変化 • 2つの水槽に総流量uの液が分配弁mを通し て流入しています。液面の変化を求めます 𝐴1 • 𝑢 m 𝑢2 = 1 − 𝑚 𝑢 𝑥1 • 𝑅1 𝑞1 𝑞2 m :分配比 0≤𝑚≤1 中田孝:工学解析,オーム社,1972,p466 𝑥1 − 𝑥2 𝑅1 𝑞2 = 𝑥2 − 0 𝑅2 ・・・(2) (1)(2)から次の方程式が求まる ・・・(3) 𝑑𝑥2 1 1 1 1 1 = 𝑥1 − + 𝑥2 + 𝑢2 𝑑𝑡 𝐴2 𝑅1 𝐴2 𝑅1 𝑅2 𝐴2 𝑅2 𝐴2 A :断面積 q :流量 R :抵抗 抵抗から流量は次のようになる 𝑑𝑥1 1 1 1 =− 𝑥1 + 𝑥2 + 𝑢1 𝑑𝑡 𝐴1 𝑅1 𝐴1 𝑅1 𝐴1 𝑥2 𝐴1 𝑑𝑥1 𝑑𝑥2 = 𝑢1 − 𝑞1 𝐴2 = 𝑢2 + 𝑞1 − 𝑞2 ・・・(1) 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑞1 = 𝑢1 = 𝑚𝑢 16 • 𝑥ሶ 1 = 𝑥ሶ 1 (3)を行列表現すると 1 𝐴1 𝑅1 1 𝐴2 𝑅1 − 1 𝐴1 𝑅1 1 1 1 − + 𝐴2 𝑅1 𝑅2 𝑥1 𝑥2 + 1 𝐴1 0 0 1 𝐴2 𝑢1 𝑢2 ・・・(4)
1.5 液面制御系(連結2水槽 2/3) 2入力2出力System (MIMO) • 流量(q1,q2)は(2)から 𝑞1 𝑞2 = 例)数値例として次の値について計算を行う 中田孝:工学解析,オーム社,1972,p466 𝒙ሶ = 𝐴𝒙 + 𝐵𝒖 𝒚 = 𝐶𝒙 + 𝐷𝒖 𝑥1 𝒙= 𝑥 2 𝑞1 𝒚= 𝑞 2 17 𝐴1 = 1 𝑅1 0 1 𝑅1 𝑥1 0 + 𝑥2 1 0 𝑅2 − 0 𝑢1 0 𝑢2 1 3 1 , 𝐴2 = , 𝑅1 = 4 , 𝑅2 = 6 2 2 3 3 − 𝑥1 𝑥ሶ 1 6 0 𝑢1 2 2 = + 0 2/3 𝑢2 1 3 𝑥2 𝑥ሶ 1 − 6 2 𝑞1 6 −6 𝑥1 0 0 𝑢1 = + 𝑞2 0 2 𝑥2 0 0 𝑢2 解法は、Python Control System Library(無料)を使えば、すごく簡単です。次頁にProgramを示します。
#液面レベル 工学解析 page 466 Python Control(無料) # shimojo 20250404 import matplotlib.pyplot as plt import numpy as np import control as ct # 状態方程式 A = [ [-1.5, 1.5], [1/6, -1.5] ] A,B,C,Dを設定 B = [ [6, 0], [0, 2/3] ] C = [ [6,-6], [0, 2] ] D= [ [0, 0], [0, 0] ] S = ct.ss(A, B, C, D) #sys:StateSpace model #Sim 条件 t0 = 0;t1 = 4 # Start-stop time[s] 時間を設定 knum=100 # Number of points of sim time t = np.linspace(t0, t1, knum) #time array # input m=1.0 #分配比率 (0=<m=<1) U=np.zeros((2,knum)) # 入力を設定 for k in range(0,knum): U[[0],[k]]=1.0*m U[[1],[k]]=1.0*(1-m) # initial state x1_0 = 0; x2_0 = 0 #液面レベル初期値 初期値を設定 x0 = np.array([x1_0, x2_0]) # simulation ret_Sim = ct.forced_response(S, t, U, x0) #出力dataは、array出力です #ret_Sim.time,ret_Sim.outputs,ret_Sim.states,ret_Sim.inputs #状態xから、(x1,x2)を取出す x=ret_Sim.states #X=(x1,x2) 結果を取出す x1 = x[0,:];x2 = x[1,:]#不要だけど(分かり易くした) #y=np.dot(C,x)+np.dot(D,U) #y=(q1,q2) y=ret_Sim.outputs #y=(q1,q2) # PLOT PlotProg.はカット 液面制御系(連結2水槽 3/3) Python Control System Library (無料)を用いて簡単に解くことが できます 𝒙ሶ = 𝐴𝒙 + 𝐵𝒖 𝒚 = 𝐶𝒙 + 𝐷𝒖 2入力2出力(MIMO)systemです これがSimulation実行命令です ret_Sim = ct.forced_response(S, t, U, x0) S :状態空間モデル t :シミュレーション時間期間 U :入力 X0 :初期値 Simの出力 (array)です ret_Sim.time ret_Sim.outputs ret_Sim.states ret_Sim.inputs :サンプル時間列 :出力列(q1,q2) :状態変数列(x1,x2) :入力列 後は結果をPLOTするだけです x=(x1,x2) y=(q1,q2) Plot Programは付録へ 18
1/4 抵抗のある管でつながれた 2水槽の液面と流量の変化 2入力2出力(MIMO)system 液面レベル(x1,x2)応答 分配比(m=1) 初期条件:x1_0=0, x2_0=0 流量(q1,q2)応答 分配比(m=1) 初期条件:x1_0=0, x2_0=0 19
2/4 抵抗のある管でつながれた 2水槽の液面と流量の変化 2入力2出力(MIMO)system 液面レベル(x1,x2)応答 分配比(m=1) 初期条件:x1_0=0, x2_0=1 流量(q1,q2)応答 分配比(m=1) 初期条件:x1_0=0, x2_0=1 20
3/4 抵抗のある管でつながれた 2水槽の液面と流量の変化 2入力2出力(MIMO)system 液面レベル(x1,x2)応答 分配比(m=0.5) 初期条件:x1_0=0, x2_0=0 流量(q1,q2)応答 分配比(m=0.5) 初期条件:x1_0=0, x2_0=0 21
4/4 抵抗のある管でつながれた 2水槽の液面と流量の変化 2入力2出力(MIMO)system 液面レベル(x1,x2)応答 分配比(m=0.0) 初期条件:x1_0=0, x2_0=0 流量(q1,q2)応答 分配比(m=0.0) 初期条件:x1_0=0, x2_0=0 22
補足説明 本解説で話題となる流体について、補足説明します ⚫ Reynolds数(層流と乱流) ⚫ パイプ流およびオリフィス流 -圧力差(ΔP)と流量(Q)の関係- ⚫ ベルヌーイの法則 23
補足: Reynolds数(層流と乱流) 24 レイノルズ数は層流や乱流のように異なる流れを判別するためにも利用されます Reynolds number v: 平均速度(m/s) D: 特性長さ(m) μ: 流体の粘性係数 ( N·s/m2) ρ: 流体の密度(kg/m3) 𝑖𝑛𝑒𝑟𝑡𝑖𝑎 𝑓𝑜𝑟𝑐𝑒 𝜌𝑣𝐷 𝑅𝑒 = = 𝑣𝑖𝑠𝑐𝑜𝑢𝑠 𝑓𝑜𝑟𝑐𝑒 𝜇 慣性力と粘性力の比 円形パイプ ⚫ 層流の場合: 𝑅𝑒 < 2000 Q 粘性力が支配的 ⚫ 乱流の場合: D 層流(Laminar flow) 𝑅𝑒 > 4000 慣性力が支配的 Q D 乱流(Turbulent flow) 円形パイプ流れの場合 𝑣= 𝑄 𝑄 4𝑄 = = 𝐴 𝜋𝐷2 𝜋𝐷2 4 𝑅𝑒 = 𝜌𝑣𝐷 4𝜌𝑄 = 𝜇 𝜋𝜇𝐷 Q: 流量(m3/s)
補足: 圧力差(ΔP)と流量(Q)の関係 25 パイプ流における圧力差(ΔP)と流量(Q)の関係 ⚫ 小口径パイプ(capillary:毛細管) 4 𝑄= 𝑙 P1 4 𝜋𝑑 𝜋𝑑 𝑃1 − 𝑃2 = ∆𝑃 128𝜇𝑙 128𝜇𝑙 𝑄 = 𝐾𝑙 ∆ℎ P2 𝑄 𝑑 ∆𝑃 = 𝑃1 − 𝑃2 ∆ℎ:損失水頭(head loss) ⚫ オリフィス(orifice) オリフィスとは、流体(液体や気体)の流れを制御するために設けられ た小さな開口部や穴のことです。流量制限や、圧力損失を利用した流量 計として使われます 2∆𝑃 𝑄 = 𝐶𝑑 𝐴 𝜌 𝑄 = 𝐾𝑡 ∆ℎ Cd:流量係数(オリフィスの 形状による補正係数) A:オリフィスの開口面積 ΔP:前後の圧力差 ρ:流体の密度 P1 P2 𝑄 ∆ℎ:損失水頭(head loss) ∆𝑃 = 𝑃1 − 𝑃2
オリフィス流量計:ベルヌーイの原理と乱流の関係 26 By chatGPT オリフィス流量計では、流れがオリフィスプレートを通過する際に局所的な収縮(ベンチュリ効果)が生じ、流速の増加と 圧力の低下が発生します。この圧力差を測定して流量を求めます。 この流量計の計測原理は、ベルヌーイの原理から説明されています。しかし、この原理は、理想流体(非粘性・非圧縮・渦 なし)に対して適用される理論です。しかし、実際の流体では粘性や乱流の影響が無視できません。 乱流における影響 オリフィス流量計は、層流よりも乱流の方が一般的に適用しやすいとされています。しかし、以下の点に注意が必要です。 1. エネルギー損失(圧力損失)の増加 乱流になると、粘性によるエネルギー散逸が大きくなり、ベルヌーイの原理が理想的に適用しにくくなります。 ✓ 層流では圧力差が主に流速の変化によるもの ✓ 乱流では渦や摩擦によるエネルギー損失が無視できなくなる このため、実際の流量計測では流量係数Cd を用いて補正が必要になります。 2. 流量係この流量係数Cd は乱流時に Reynolds 数(𝑅𝑒)によって変化します。 ✓ 層流時: Cdの値が変化しやすく、計測誤差が大きい ✓ 乱流時: Cdが比較的一定になり、測定しやすい そのため、実際のオリフィス流量計では、乱流のほうが測定が安定しやすいとされています。 結論 ⚫ オリフィス流量計は乱流においても適用可能だが、ベルヌーイの原理をそのまま適用するのは難しい。 ⚫ ⚫ 乱流時のエネルギー損失(渦や摩擦)を考慮し、流量係数Cdを補正することで精度を向上させる。 層流よりも乱流のほうが実用的な測定が可能だが、乱流の強さ(Reynolds数)により補正が必要。 したがって、オリフィス流量計は乱流に適しているが、単純なベルヌーイの式だけでは不十分で、実験的に得られた補正係 数を使うことが重要です。
補足:ベルヌーイの法則 27 ベルヌーイの法則(非圧縮完全流体の定常流の場合) 1. 流体の密度は一定で変化しない 2. 流体内には粘性力が作用しない。すなわち、 流体内で摩擦による力学的エネルギーの損失 はない 𝑝𝐵 𝑣𝐴 𝑝𝐴 3. あらゆる点で流体の速度は時間的に一定で、 流線は時間的に変化しない 𝑣𝐵 ℎ𝐴 ℎ𝐵 1 1 𝑝𝐴 + 𝜌𝑣𝐴2 + 𝜌𝑔ℎ𝐴 = 𝑝𝐵 + 𝜌𝑣𝐵2 + 𝜌𝑔ℎ𝐵 2 2 非現実的? (エネルギ保存則) トリチェリの法則 𝑣 :速さ 𝑝 :圧力 ℎ :高さ 𝜌 :密度 水槽の底の近くにある小さな孔から出る水量が少なく水面 の下降速度が小さい時は、流れは定常流と見なせるので、 ベルヌーイの法則が使える 𝑝𝑜 1 𝑝𝑜 + 𝜌𝑔ℎ = 𝑝𝑜 + 𝜌𝑣 2 2 ℎ 𝑝𝑜 ∴𝑣= 𝑝𝑜 𝑣 2𝑔ℎ
2.油圧システム 28 油圧システムは、工作機械や航空機の制御システムなどに広く使われています。 その理由は、信頼性、正確性、柔軟性、高い馬力対重量比、スムーズで正確な 高速始動・停止・逆転、操作の簡便さなどです。 油圧アクチュエータ 1. 油圧シリンダ :直線運動 2. 油圧モータ :回転運動 など https://www.yuken.co.jp/catalog_cad/0019A/0019A_01 https://www.khi.co.jp/industrial_equipment/hydraulic/motors/
2.1 油圧システム(概要) 油圧装置は、油圧エネルギーを利用して直線運動や回転運動を生み出し、大きな 力を発生させることができます。装置には、 1. 作動油を貯蔵する作動油タンク(リザーバ) 2. 作動油を圧送する油圧ポン プ 3. 作動油の圧力と流れを制御する油圧制御装置 -バルブ-方向制御弁、圧力制御弁、流量制御弁4. および作動油エネルギーを機械的エネルギーに変換して仕事を行うアク チュエータ(油圧シリンダ) という、4 つの基本構成部品が含まれます。各要素が連携して作動することで、 さまざまな機械動作が可能になります。 油圧ポンプ 油圧制御装置 戻り油 作動油タンク 油圧装置 アクチュエータ 油圧シリンダ 29
2.1 油圧シリンダ(構造) 30 図にスプール弁とパワーシリンダとピストンからなる油圧アクチュエータを示します。 スプール弁は、高圧の作動油をパワーシリンダに送り込み、 大きな油圧力で 荷重を移動させます。 𝑝0 𝑝𝑠 ⚫ スプール弁は、「左右対称」で「重なり がゼロ」とします(注:次頁で説明→) ⚫ 弁のオリフィス面積は弁の変位 x に比 例し、オリフィス係数とオリフィスを横 切る圧力降下は一定で弁位置に依存しな いと仮定します ⚫ また、 供給圧力は Ps、戻り配管の戻り 圧力 Po は小さく無視でき、作動油は非 圧縮性です ⚫ パワーピストンの慣性力および負荷反力 は、 パワーピストンが発生する油圧力 に比べて無視できるとします スプール弁 リザーバ spool x 弁のオリフィス 𝑞1 パワー ピストン z パワーシリンダ OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004
2.1 油圧シリンダ(注) ⚫ ⚫ 31 By chatGPT 「左右対称」= スプールの構造が左と右で同じ → 制御がバランス良くなる 「重なりがゼロ」= スプールが中心からほんの少し動くだけで油が流れる (応答性が高い) 「重なりがゼロ」とは? これは「オーバーラップ(重なり)= 0」を意味します。油圧弁の設計でよく使われる概念です: 1. ポジティブオーバーラップ(正重なり):スプールが中立位置にあるとき、油路はすべて 遮断されている。 2. ゼロオーバーラップ:スプールが中立位置にあるとき、わずかに油が通るような状態。 3. ネガティブオーバーラップ(負重なり):スプールが中立でも複数の油路が接続され、油 が流れてしまう状態。 「重なりがゼロ」というのは、スプールがわずかに動いただけで油が流れ始めるという設計です。 反応が早く、細かい制御が可能ですが、不安定になるリスクもあります。 作動油の特性は、油圧システムの性能に重要な影響を及ぼします。油圧作動油は、動力伝達媒体としての役割 を果たすだけでなく、十分な潤滑を与えることによって可動部品の磨耗を最小限に抑えなければなりません。実際、 適切な添加剤を使用した石油系作動油が最も一般的に使用されています。 これは、システムの可動部に良好な潤滑を与え、ほとんど圧縮できないからです。油圧システムを満足に作動させ るためには、清浄で高品質の油を使用することが必要です。 油圧作動油の最も重要な特性である粘度は、内部摩擦または作動油の流れに対する抵抗の尺度であります。粘度が 低いと漏れ損失が増加し、粘度が高いと作動が緩慢になります。油圧システムでは、ポンプ、モータ、バルブの動 作特性や周囲温度、動作温度によって許容粘度が制限されます。液体の粘度は温度とともに低下します。部品の相 対運動に対する流体の抵抗は、動的粘度または絶対粘度と呼ばれます。
2.2 油圧シリンダ(原理1/3) 32 1. 入力xがスプールを右に動かすと、ポート1が開放され、高圧油がそのポートを通って 右側パワーシリンダに流れ込み、パワーピストンを左に動かす。そして、左側パワー シリンダの作動油が押し出されてリザーバに戻る 2. パワーシリンダに流入する作動油は高圧であり、パワーシリンダから流出する作動油 は低圧である。その結果、パワーピストンの両側の圧力差によって、パワーピストン は左側に移動する 入力→バルブ開く バルブ閉 高圧油 𝛿𝑝𝑠 𝛿𝑝𝑠 スプール リザーバ 入力 spool x=0 サーボバルブ port1 バルブ閉 𝑞1 パワー ピストン パワーシリンダ z=0 z x
2.2 油圧シリンダ(原理2/3) 𝑝𝑠 x 33 入力xがスプールを右に動かすと、ポート1が開放 され、高圧油がそのポートを通って右側パワーシ リンダに流れ込み、パワーピストンを左に動かす x spool サーボ バルブ 𝑞2 𝑃2 𝑞1 𝑃1 オリフィス • − ∆𝑃 + オリフィスを通る流量は 𝑞1 = 𝐶 𝑃𝑠 − 𝑃1 𝑥 ・・・(1) 𝑝0 𝑞𝑠 リザーバ 𝑝0 𝑝𝑠 𝑞2 = 𝐶 𝑃2 − 𝑃0 𝑥 spool サーボ バルブ x (P0=0:大気圧からの差とする ) 𝑃𝑠 − 𝑃1 = 𝑃2 𝑃2 − ∆𝑃 + 𝑞2 𝑞1 𝑃2 𝑃1 𝑃1 ピストン 𝑞2 = 𝐶 𝑃2 𝑥 ∵ 𝑞1 = 𝑞2 port1 • z パワーシリンダ両側の圧力差をΔPとすると、 ∆𝑃 = 𝑃1 − 𝑃2 𝑃1 = 𝑃𝑠 + ∆𝑃 Τ2 ・・・(2) 𝑃2 = 𝑃𝑠 − ∆𝑃 Τ2 パワーシリンダ OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004
2.2 油圧シリンダ(原理3/3) 𝑝𝑠 • x x 𝑞2 𝑃2 𝑞1 𝑃1 𝑞𝑠 オリフィス 𝑞1 = 𝐾1 𝑥 リザーバ spool サーボ バルブ x • − ∆𝑃 + 𝑞2 𝑞1 𝑃2 𝑃1 𝑃1 ピストン パワーシリンダ 𝐾1 = 𝐶 𝑃𝑠 2 (注1:次頁) パワーシリンダ(右側):増加質量=流入質量 𝐴𝜌𝑑𝑧 = 𝑞1 𝑑𝑡 𝑃2 𝑃𝑠 − ∆𝑃 𝑥 ・・・(3) 2 スプール弁のオリフィスを通る流量はxに比例する注3 𝑝0 𝑝𝑠 𝑞1 = 𝐶 この(3)式について、動作点付近で線形化を行うと − ∆𝑃 + 𝑝0 流量をq1とすると(2)から、 𝑞1 = 𝐶 𝑃𝑠 − 𝑃1 𝑥 spool 34 𝐴𝜌 (注2) 𝑑𝑧 = 𝑞1 = 𝐾1 𝑥 ・・・(4) 𝑑𝑡 A:ピストン面積(m2 ), ρ:オイル密度(kg/m3 ),q1:流量(kg/s) (4)をラプラス変換 (初期条件をゼロと仮定) z 𝑍(𝑠) 𝐾1 = 𝑋(𝑠) 𝐴𝜌𝑠 𝑍(𝑠) 𝐾 = 𝑋(𝑠) 𝑠 𝐾 = 𝐾1 Τ𝐴𝜌 よって、油圧シリンダは積分制御器として機能する (注3) OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004
2.2 油圧シリンダ 35 流量q1動作点近傍での線形化 (注1) 𝑞1 = 𝐶 𝑃𝑠 − ∆𝑃 𝑥 = 𝑓(𝑥, ∆𝑝) 2 𝑎= 動作点: 𝑞ത1 , 𝑥,ҧ ∆𝑝ҧ 𝑏= 𝜕𝑓 𝐶 =− 𝑥ҧ 𝜕∆𝑝 𝑥=𝑥,∆𝑝=∆ 2 2 𝑝𝑠 − ∆𝑝ҧ ҧ 𝑝ҧ 𝑞ത1 = 0, 𝑥ҧ = 0, ∆𝑝ҧ = 0 𝑞1 = 𝐾1 𝑥 − 𝐾2 𝑥∆𝑝 𝜕𝑓 𝑝𝑠 − ∆𝑝ҧ =𝐶 𝜕𝑥 𝑥=𝑥,∆𝑝=∆ 2 ҧ 𝑝ҧ 動作点が原点近傍の場合: 𝐾1 = 𝐶 𝑞1 − 𝑞ത1 = a 𝑥 − 𝑥ҧ + 𝑏 ∆𝑝 − ∆𝑝ҧ 𝑝𝑠 − ∆𝑝ҧ 2 =𝐶 ҧ ҧ 𝑥=0,∆ 𝑝=0 流量q1とスプール弁変位xとの関係: 𝑝𝑠 2 𝐾2 = 𝐶 2 2 𝑝𝑠 − ∆𝑝ҧ 𝑞1 = 𝐾1 𝑥 𝑥ഥ ൩ =0 ҧ ҧ 𝑥=0,∆ 𝑝=0 負荷の影響なし? (4)式で分かるように、 qは質量流量[kg/s]である。オリフィスでは体積流量[m3/s]を利用 していたのと違いがある。非圧縮性流体(液体)では、体積流量と質量流量は比例関係にある (注2) ため、本質的に同じ情報を示す。ただし、密度が変化するような状況(温度変化が極端な場合 など)では、厳密には違いが生じる可能性がある。 (注3) q1がxに比例する時点で、zの変位がq1の積分になることは明らかです。 しかし、 上記の近似式では負荷の影響ΔPが消え、不自然ですね。
2.3 ダンパ(damper) ここでは作動油と流体抵抗を利用した装置として ダンパについて解説します • 弁を通る流れ抵抗からダンパ特性を導きます 車のショックアブソーバ(ダンパ) https://ontheroad.toyotires.jp/tidbits/13041/ 36
2.3 ダンパ(damper 1/2) 37 衝撃吸収などに用いられるダンパについて ピストンが押されたとき の力の釣合い 𝐴 𝑃1 − 𝑃2 = 𝑘𝑦 弁Rを通過する流量q 𝑃1 − 𝑃2 𝑞= 𝑅 弁Rを通過する流量は、 ピストン左側にある油の 質量の変化に等しい ・・・(1) 𝑓 ・・・(2) ・・・(3) (1)(2)(3)式から 𝑑𝑥 𝑑𝑦 𝑘𝑦 = + 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑅𝐴2 𝜌 ラプラス変換 𝑠𝑋 𝑠 = 𝑠𝑌 𝑠 + 伝達関数 R P2 piston 𝑞𝑑𝑡 = 𝐴𝜌 𝑑𝑥 − 𝑑𝑦 𝑑𝑥 𝑑𝑦 𝑞 𝑃1 − 𝑃2 𝑘𝑦 − = = = 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝐴𝜌 𝐴𝜌𝑅 𝑅𝐴2 𝜌 q P1 k A x y A:ピストン面積【m2】 q:質量密度【kg/s】 ρ:質量密度【kg/m3】 R:抵抗【N s/(kg m2)】 𝑘 𝑌(𝑠) 𝑅𝐴2 𝜌 𝑌(𝑠) 𝑇𝑠 = 𝑋(𝑠) 𝑇𝑠 + 1 𝑅𝐴2 𝜌 𝑇= :時定数 𝑘 OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004
2.3 ダンパ(damper 2/2) 38 バネ-ダンパ系としてモデル化してみる 速度 v x q y k b model 𝑓 𝑓 R P2 piston k P1 A x ダンパ&バネに 加わる力 ラプラス変換 伝達関数 y 𝑓 = 𝑏 𝑥ሶ − 𝑦ሶ = 𝑘𝑦=𝑘 න 𝑦𝑑𝑡 ሶ 𝑏 𝑠𝑋 𝑠 − 𝑠𝑌 𝑠 = 𝐾𝑌(𝑠) 𝑌(𝑠) 𝑏𝑠 (𝑏Τ𝑘) 𝑠 𝑇𝑠 = = = 𝑋(𝑠) 𝑏𝑠 + 𝐾 (𝑏Τ𝑘) 𝑠 + 1 𝑇𝑠 + 1 前頁: 𝑇 = 微分記号と混同するため粘性摩擦係数をbとした 𝑅𝐴2 𝜌 𝑘 𝑏 = 𝑅𝐴2 𝜌 𝑇= 𝑏 𝑘 粘性摩擦係数bはRA2ρに 等しいことがわかる
3.位置サーボ油圧シリンダ 油圧シリンダにFeedback機構を付けた位置サーボシステム 位置のFeedback機構として、次の2つの方法について示します Feedback機構 1. 機械レバー式 2. 電磁弁式 39
3.1 位置サーボ油圧シリンダ(機械レバー式) 40 油圧シリンダに機械式Feedback機構を付けた位置サーボシステム 入力 u 𝑃0 𝑃𝑠 リザーバ spool x 𝑞2 𝑞1 3. パワーピストンは左へ移動する際に機械 レバーを一緒に運び、それによってス プールを左へ移動させる piston 𝑃2 出力 𝑃1 パワーシリンダ ∆𝑃0 = 𝑃1 − 𝑃2 z 機械レバー 𝛿𝑃𝑠 = 𝑃𝑠 − 𝑃0 OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004 1. 入力uがスプールを右に動かすと、ポー ト1が開放され、高圧油がそのポートを 通って右側パワーシリンダに流れ込み、 パワーピストンを左に動かす 2. この結果、左側パワーシリンダにある作 動油が押し出されてリザーバに戻る port1 サーボバルブ 入力指令uによって位置出力zを制御します 4. この動作は、スプールバルブが再びポー ト1と2を閉鎖するまで続く • 作動油リザーバーは、作動油を保持し、供給する役 割を果たす。エア抜き(脱気)、油温の調整・冷却、 汚れ・異物の除去などを行う。
3.2 位置サーボ油圧シリンダ(原理 1/3) 初期状態 41 動作状態 u u 𝛿𝑝𝑠 𝛿𝑝𝑠 a サーボ バルブ spool x=0 port2 サーボ バルブ spool x port1 パワー ピストン b 𝑞2 𝑞1 z パワーシリンダ ① 入力なし(u=0) ② サーボバルブの弁が閉じてる (port1 &port2がClose) ③ シリンダピストン動かない z 機械レバー ① 入力あり(u>0) ② サーボバルブ弁が開き、作動油が右シリンダに 流れる(port1 &port2がOpen) ③ パワーピストンは左へ移動し、左シリンダの作 動油がリザーバに戻る ④ また、パワーピストンは左へ移動する際に機械 OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004 レバを一緒に運び、スプールを左へ移動させる
3.2 位置サーボ油圧シリンダ(原理 2/3) 42 機械レバーと連動する (u, x, z) の位置関係 機械レバーの最終位置は、次の2つの位置に分解 して、その和を求めます u 𝛿P𝑠 リザーバ a spool x サーボバルブ パワー ピストン 𝑞2 𝑞1 b z パワーシリンダ 機械レバー 機械レバーと連動する(u, x, z) の関係 𝑥= 𝑏 𝑎 𝑢− 𝑧 𝑎+𝑏 𝑎+𝑏
3.2 位置サーボ油圧シリンダ(原理 3/3) 43 𝑏 𝑎 𝑥 = 𝑢 − 𝑧 (u, x, z) の関係: 𝑎+𝑏 𝑎+𝑏 ラプラス変換 u 𝑋(𝑠) = 𝛿P𝑠 𝑏 𝑎 𝑈(𝑠) − 𝑧(𝑠) 𝑎+𝑏 𝑎+𝑏 𝑍(𝑠) 𝐾 = 𝑋(𝑠) 𝑠 リザーバ spool x サーボバルブ パワー ピストン 𝑞2 𝑠 𝑏 𝑎 𝑍(𝑠) = 𝑈(𝑠) − 𝑧(𝑠) 𝐾 𝑎+𝑏 𝑎+𝑏 (2.2で記述済) 𝑠 𝑎 𝑏 + 𝑍(𝑠) = 𝑈(𝑠) 𝐾 𝑎+𝑏 𝑎+𝑏 𝑞1 z 𝑏𝐾 𝑍(𝑠) 𝑏 𝑎+𝑏 𝑠 = ≈ = 𝐾𝑝 𝑈(𝑠) 1 + 𝑎𝐾 𝑎 𝑎+𝑏 𝑠 ∵ 𝑎𝐾 ≫1 𝑎+𝑏 𝑠 (通常の使用状態では) したがって、 u と z の間の伝達関数は定数になる。この油圧システムは比例制御器 として機能し、そのゲインは Kp である。このゲインは、レバー比 b/a を変化させ ることによって調整できる OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004
4.油圧シリンダ動作と負荷 1. ここまでは油圧シリンダに負荷が加わったときのことは扱ってきませんでした 2. ただし、シリンダ出力に負荷が加わると力の釣合いから圧力P1は高くなることは自明 です 3. すると、流量q1はオリフィス抵抗Rと圧力差によって決まるため、変化することにな ります 4. しかしながら、これまでの説明ではこの関係がモデル式に明示されていませんでした 5. 次からは、この関係を取り入れたモデル例について解説します 44
4.1 油圧シリンダ動作と負荷の関係 45 供給圧力(ポンプ圧力) 𝑃0 1. シリンダ圧力P1は負荷の大きさで決まるため、 シリンダ負荷で変動します 𝑃𝑠 リザーバ spool 𝑃2 𝑃1 𝑞2 𝐹𝐿 x ✓ サーボ弁が閉じている → シリンダへ流れない ので高圧側の圧力はゼロ 𝑃1 m z 3. このため、ここでは、より現実に近い動作モ デルを例に取り上げ解説します 𝑞1 負荷 𝑃2 2. また供給される作動油流量q1は、オリフィス 抵抗Rとその間の圧力差によって決まるため、 変動することになります 高圧側圧力(シリンダ供給圧力) Ps:供給圧力(ポンプ圧力)→油圧ポンプが作 る圧力(最大値) P1:高圧側の圧力(シリンダ供給圧力)→負荷 に応じて変化する圧力 (通常 Ps>P1 ) ✓ サーボ弁が少し開く → 供給圧力から圧力損失 が発生し、シリンダへ供給される圧力は供給圧 力より低くなる ✓ 負荷が重い → シリンダを動かすのに大きな圧 力が必要になるため、高圧側の圧力が上がる ✓ 負荷が軽い → 必要な圧力が小さいため、高圧 側の圧力は低め
4.1 油圧シリンダ動作と負荷 46 By chatGPT ________________________________________ 油圧制御弁に流れる油量(流量)は、負荷の影響を受けます。ただし、その**「受け方」や「どの程度影響されるか」**は、使って いる制御弁の種類や制御方式によって変わります。 ⚫ 油圧弁の流量は、原則として以下で決まります: Q = C × A × √(ΔP) ここで注目! → ΔP(圧力差)に負荷が関係 ✓ Q:流量 してくる ✓ C:流量係数(弁の設計次第) 油圧シリンダのロッド側 or ボア側に外部負荷 ✓ A:オリフィス開度(バルブの開き具合) がかかると、それが反力として油圧ラインに ✓ ΔP:バルブ前後の圧力差 跳ね返るので、バルブの下流側の圧力が変化 ⚫ 具体的な制御弁のタイプ別に見てみよう します。その結果、弁の前後の圧力差(ΔP) ① スロットル弁(オープン・センター系統) が変化し、それに比例して流量Qも変動します。 ✓ 一番影響を受けやすい。 ✓ 負荷が増えると圧力差が変わって、流量が減る or 増える。 ✓ → 負荷が変動すると、シリンダの速度も変わる。 ② 流量制御弁(コンスタントフロー弁) ✓ 内部に補正機構があり、ある程度ΔPが変わっても一定流量をキープする。 ✓ でも、範囲外のΔPになると制御が破綻することも。 ③ 比例弁・サーボ弁 ✓ 指令信号に応じて開度を変えるけど、油温や負荷によるΔP変化で流量がズレる可能性がある。 ✓ なので、高精度制御をするならフィードバック制御(例えばシリンダ速度の監視や圧力センサ使用)が重要。 弁の種類 精度 応答性 負荷変動への対応 主な用途 価格感 スロットル弁 ★☆☆ ★☆☆ ×(弱い) 簡易速度制御 安い 流量制御弁 ★★☆ ★★☆ △(ある程度補正) 安定速度制御 中 比例弁・サーボ弁 ★★★ ★★★ ◎(制御次第で安定) 高精度制御、成形・加工 機など 高い
4.2 サーボ弁の開放度と供給圧モデル 47 サーボ弁の開放度xが供給圧δPsに影響を与える例 次からは、サーボバルブのモデル図を解説にあわせて変更しました。ただし、私は油圧機器について そのモデルの適切性については自信がありません。その点を勘案して参考にして頂ければ幸いです。 𝑃0 𝛿𝑃𝑠 供給圧 𝛿𝑃𝑠 供給圧 x x spool x x spool 𝑃2 − ∆𝑃 + 𝛿𝑃𝑠 = 𝑃𝑠 − 𝑃0 𝑞1 𝑃1 𝑃2 𝑃1 − ∆𝑃 + 𝑞1 ∆P = 𝑐δ𝑃𝑠 𝑥 − 𝑅𝑞0 ・・・(1) New! ∆P = δ𝑃𝑠 − 𝑅𝑞0 ・・・(1’) x 弁開放度 の関数 https://www.youtube.com/watch?v=UeNYTiuro8U&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=3
4.3 機械レバー式位置サーボシステム(1/4) 48 パワーシリンダに流入する作動油の圧力ΔP0 𝛿𝑃𝑠 ∆𝑃 = δ𝑃𝑠 − 𝑅𝑞1 ・・・(1’) (既に解説済み) 但し、上式は最大圧(弁開放が最大時)のときであり、 一般には次のようになる ∆𝑃 = 𝑔δ𝑃𝑠 − 𝑅𝑞1 = 𝑐δ𝑃𝑠 𝑥 − 𝑅𝑞1 = 𝐺𝑝 𝑥 − 𝑅𝑞1 − ∆𝑃 + u 𝛿𝑃𝑠 x ∵ 𝐺𝑝 = 𝑐δ𝑃𝑠 ・・・(1) New! ΔPがxの関数となる! spool サーボ バルブ パワー シリンダ ∆𝑃 = 𝐺𝑝 𝑥 − 𝑅𝑞1 ∵ 𝑔 = 𝑐𝑥 c 比例定数 流入する作動油の流量q0と動きzの関係 − ∆𝑃 + 𝑞2 𝑉ሶ + 𝑞1 𝑉 注) 𝑃ሶ = 𝑞1 𝐾 (Kは非圧縮のため大きい K>>1) K:体積弾性率 𝐹𝐿 𝑉 = 𝐴 𝑧 + 𝑧0 m z z 𝑉ሶ = 𝑞1 𝑧0 𝑉ሶ = A𝑧ሶ (A:パワーシリンダの断面積) 注)流体システム(圧縮可能、容器変化なし)のところで詳しく述べる
4.3 機械レバー式位置サーボシステム(2/4) 49 パワーシリンダピストンに加わる力の式 u 𝐹1 − 𝐹2 = 𝐴∆𝑃 𝛿𝑃𝑠 𝐴∆𝑃 − 𝐹𝐿 = 𝑚𝑧ሷ x spool サーボ バルブ パワー シリンダ 機械レバーと連動するu, x, zの関係 − ∆𝑃 + 𝑞2 𝑞1 𝑥= ・・・(1) 𝑧0 𝑞1 = 𝐴𝑧ሶ ・・・(2) 𝐹1 𝐴∆𝑃 − 𝐹𝐿 = 𝑚𝑧ሷ ・・・(3) 𝑥 = 𝑏 ′ 𝑢 − 𝑎′ 𝑧 ・・・(4) z z 𝐹2 m 𝑥 = 𝑏 ′ 𝑢 − 𝑎′ 𝑧 ・・・(4) ∆𝑃 = 𝐺𝑝 𝑥 − 𝑅𝑞1 m z 𝑏 𝑎 𝑢− 𝑧 𝑎+𝑏 𝑎+𝑏 式をまとめると 𝐹𝐿 𝐹𝐿 ・・・(3) ピストン https://www.youtube.com/watch?v=UeNYTiuro8U&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=3
4.3 機械レバー式位置サーボシステム(3/4) (1)(2)(3)(4)式から、xとq1を消去すると次の式が得られる 𝑚𝐷2 + 𝑅𝐴2 𝐷 + 𝐺𝑝 𝐴𝑎′ z = 𝐴𝐺𝑝 𝑏 ′ 𝑢 − 𝐹𝐿 𝐷≡ 𝑑 𝑑𝑡 微分演算子 (derivertive operator) 出力zは入力uから次の様になる 𝑏′ 1 𝑢− 𝐹 ′ 𝑎 𝑘𝑠 𝐿 𝑧= 𝑚 2 𝑅𝐴2 𝐷 + 𝐷+1 𝑘𝑠 𝑘𝑠 𝐴𝐺𝑝 𝑏′ 𝑢 − 𝐹𝐿 𝑧= 𝑚𝐷2 + 𝑅𝐴2 𝐷 + 𝐺𝑝 𝐴𝑎′ 𝑘𝑠 = 𝐺𝑝 𝐴𝑎′ :システムの静的剛性 𝑏′ Τ𝑎′ :システムの静的ゲイン システムの静的剛性とは 静的状態で外力FLを加えたときのzの変位(←いわばバネ定数のようなもの) システムの静的剛性ksを求める 静的(D=0)から 𝑘𝑠 = − 𝐺𝑝 𝐴𝑎′ z = 𝐴𝐺𝑝 𝑏 ′ 𝑢 − 𝐹𝐿 𝜕𝐹𝐿 𝜕𝑧 D=0 − 𝜕𝐹𝐿 = 𝐺𝑝 𝐴𝑎′ z = 𝑘𝑠 𝜕𝑧 https://www.youtube.com/watch?v=UeNYTiuro8U&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=3 50
4.3 機械レバー式位置サーボシステム(4/4) ラプラス変換から入出力伝達関数を求めてみる 𝑚𝑠 2 + 𝑅𝐴2 𝑠 + 𝐺𝑝 𝐴𝑎′ Z(s) = 𝐴𝐺𝑝 𝑏′ 𝑈(𝑠) − 𝐹𝐿 𝑏′ 1 𝑈(𝑠) − 𝐹 ′ 𝑎 𝑘𝑠 𝐿 𝑍(𝑠) = 𝑚 2 𝑅𝐴2 𝑠 + 𝑠+1 𝑘𝑠 𝑘𝑠 ここで質量および外力がゼロとすると 油圧サーボモータ 伝達関数 𝑏′ 𝑎′ :伝達関数 𝑚 = 𝐹𝐿 = 0 𝑍(𝑠) 𝑏′ 𝑏 = ≈ ′ = = 𝐾𝑝 𝑈(𝑠) 𝑅𝐴2 𝑎 𝑎 𝑠+1 𝑘𝑠 静的剛性ksは非常に多きため ∵ 1 ≪ 𝑘𝑠 この結果は、当たり前だが、負荷のない時の結果と同じになる 51
5.位置サーボ油圧シリンダ(電磁弁式) 52 アポロ付きロケットの姿勢制御には電気油圧サーボ弁で噴射管の 方向を制御するジンバリング方式が使われた (東京精密測定器) GIMBALLING 電気油圧サーボ弁 TSS-3F型 (140kg/cm2, 30 l/min) 中田孝:工学解析),オーム社,1972
5.1 電気油圧サーボ弁による変位追従制御(1/4) 53 質量mの変位x1をハンドルの変位xiで追従させる • 油圧サーボ弁は制御入力ieに比例して流量qを制御します (入力ieはハンドルの位置xiと質量m位置x1との差) 𝑞 = 𝑘1 𝑥𝑖 − 𝑥1 − 𝑘2 𝑝 負荷より の反作用 ・・・(1) また、負荷よりの反作用圧力pは、流量qを制限するとします。(k2はその時の比例定数) ここで作動油は圧縮性があるものとし容積圧縮率をβ 注とします。ピストンがシリンダの中 央にある時シリンダの半容積はAL/2ですから、その中の油の縮み容積はβA(L/2)となります 注)後述 + − 電気油圧サーボ弁 𝑖𝑒 • したがって、流体の連続の式は 𝐴 𝑑𝑥1 𝑑 𝛽𝐴𝐿𝑝 =𝑞− 𝑑𝑡 𝑑𝑡 2 𝑃𝑠 :油圧源 𝑞 𝐴 𝑃0 :油タンク 𝑝 𝐿Τ2 m 𝑥1 = 𝑘1 𝑥𝑖 − 𝑥1 − 𝑘2 𝑝 − 出力 • ポテンショメータ ハンドルの変位 中田孝:工学解析),オーム社,1972 𝑥𝑖 入力 𝑑 𝛽𝐴𝐿𝑝 𝑑𝑡 2 ・・・(2) ピストンにかかる力Apは負荷質量の慣性力と摩擦 力につり合うとすれば 𝑑2 𝑥1 𝑑𝑥1 𝐴𝑝 = 𝑚 2 + 𝑅 𝑑𝑡 𝑑𝑡 ・・・(3)
5.1 電気油圧サーボ弁による変位追従制御(2/4) 54 (3)式のPを(2)式に代入して整理すると次の式になります 𝛽𝐴𝐿𝑚 𝑑3 𝑥1 𝑑2 𝑥1 2 𝐴2 + 𝑘2 𝑅 𝑑𝑥1 2𝐴𝑘1 2𝐴𝑘1 + + + 𝑥 = 𝑥 2𝑘2 𝑚 + 𝛽𝑅𝐴𝐿 𝑑𝑡 3 𝑑𝑡 2 2𝑘2 𝑚 + 𝛽𝑅𝐴𝐿 𝑑𝑡 2𝑘2 𝑚 + 𝛽𝑅𝐴𝐿 1 2𝑘2 𝑚 + 𝛽𝑅𝐴𝐿 𝑖 ・・・(12.41) ここで、βは小さい( 10-4程度) ため、第一項を省略して、各係数に数値を与えると、 次のような式になるそうです + − 𝑑2 𝑥1 𝑑𝑥1 + 49 + 3600𝑥1 = 3600𝑥𝑖 ・・・(12.42) 𝑑𝑡 2 𝑑𝑡 𝑑𝑥1 𝑖𝑛𝑖𝑡𝑖𝑎𝑙 𝑐𝑜𝑛𝑑𝑖𝑡𝑖𝑜𝑛: 𝑡 = 0; 𝑥1 = =0 𝑑𝑡 電気油圧サーボ弁 𝑖𝑒 𝑃𝑠 :油圧源 𝑞 𝐴 𝑃0 :油タンク 𝑝 𝐿Τ2 m 𝑥1 これを状態方程式として表すと 出力 𝑥ሶ 1 0 = 𝑥ሶ 2 −3600 ポテンショメータ ハンドルの変位 中田孝:工学解析),オーム社,1972 𝑥𝑖 入力 𝑦= 1 𝑥1 1 0 + 𝑥 −49 𝑥2 3600 𝑖 𝑥1 0 𝑥 0 𝑥 + 2 0 𝑖
5.1 電気油圧サーボ弁による変位追従制御(3/4) 55 状態方程式 𝑥1 𝑥ሶ 1 0 1 0 = + 𝑥 𝑥ሶ 2 −3600 −49 𝑥2 3600 𝑖 𝑥1 0 𝑦= 1 0 𝑥 + 𝑥 0 𝑖 2 𝑡 = 0; 𝑥1 = 𝑑𝑥1 =0 𝑑𝑡 次頁にProgramを示します 中田孝:工学解析),オーム社,1972
5.1 電気油圧サーボ弁による変位追従制御(4/4) #油圧サーボ追従機構 工学解析 page 491 # shimojo 20250402 import matplotlib.pyplot as plt import numpy as np import control as ct Python Control(無料) # 状態方程式 A = [ [0, 1], [-3600, -49] ] A,B,C,Dを設定 B = [ [0], [3600] ] C = [ 1, 0 ] #output x1 D = [ 0 ] S = ct.ss(A, B, C, D) #sys:StateSpace model #Sim 条件 t0 = 0;t1 = 0.4 # Start-stop time[s] knum=100 # Number of points of sim time t = np.linspace(t0, t1, knum) #time array U = 1.0*np.ones(knum) # input force(step) # initial state x1_0 = 0 ; x2_0 = 0 # [m/s] x0 = np.array([x1_0, x2_0]) 時間を設定 入力を設定 工学解析の中では、状態方程式の解を求めるた め4頁ほど説明に使っていました。しかし、現代 ではPython Control System Library(無料)を用い て簡単に解くことができます 左はそのProgramです。状態方程式の、A, B, C, D行列を決め、次にシミュレーション時間、入 力 (U: xi)、 初期条件を設定します。 これがSim実行命令です ret_Sim = ct.forced_response(S, t, F, x0) S :状態空間モデル t :シミュレーション時間期間 F :入力(今回はstep入力) X0 :初期値 初期値を設定 Simの出力 (array)です # simulation ret_Sim = ct.forced_response(S, t, U, x0) #出力 dataは、array出力です #ret_Sim.time,ret_Sim.outputs,ret_Sim.states,ret_Sim.inputs #状態xから、(x1,x2)を取出す x=ret_Sim.states #X=(x1,x2) 結果を取出す x1 = x[0,:];x2 = x[1,:]#不要だけど(分かり易くした) 56 ret_Sim.time ret_Sim.outputs ret_Sim.states ret_Sim.inputs PlotProg.はカット :サンプル時間列 :出力列(y) :状態変数列(x1,x2) :入力列(U)
容積圧縮率βと体積弾性率K 57 ⚫ 容積圧縮率 (Compressibility) 定義: 圧力が単位量(1 Pa)増加したときに、体積がどれだけ減少するかを表す量です 𝜷=− 𝟏 𝒅𝑽 𝑽 𝒅𝑷 β: 容積圧縮率 V: 初期体積 P: 圧力 𝜷= 𝟏 𝑲 𝑚2 Τ𝑁 ⚫ 体積弾性率 (Bulk Modulus) 定義: 体積がどれだけ変化したときに、それを元に戻そうとする抵抗の大きさを表す 量です(剛性の指標) 𝒅𝑷 𝑲 = −𝑽 𝒅𝑽 K: 体積弾性率 V: 初期体積 P: 圧力 𝑲= 𝟏 𝜷 𝑁Τ𝑚2 イメージ ⚫ スポンジは圧力をかけると簡単に縮む → 容積圧縮率が大きい / 体積弾性率が小さい ⚫ 鋼鉄は圧力をかけてもほとんど縮まない → 容積圧縮率が小さい / 体積弾性率が大きい どちらを使うかは、現象をどう捉えるか(「どれだけ縮むか」or「どれだけ抵抗するか」) によって使い分けます。
6.空気圧システム 流体システムとして、空気圧システムについて解説します。 1. 液体は自由表面を持ち非圧縮性であり、気体は容器を満たし、 その膨張/圧縮性であることの違いがあります 2. 空気圧システムの数学モデルは一般に非線形です。しかし、正常 な動作点付近では系を線形化し、数学モデルを線形にすることが できます 3. ここで扱う流体系の数理モデルは、正常動作点近傍で線形化され たモデルです 58
6. 空気圧システム(概要) 空気圧式アクチュエータは、圧縮空気を利用して動力を発生 させるアクチュエータで、次のような特長があります 1. シンプルな構造と低コスト 2. 安全性 ✓ 圧縮空気を利用しているため、火花や爆発の危険性が少なく、安全 性が高いです ✓ 電気を使用しないため、防爆環境や危険区域でも使用可能です 3. 軽量・コンパクト ✓ 空気圧アクチュエータは電動アクチュエータや油圧アクチュエータ に比べて軽量で小型化が可能です 4. 代表的な用途 ✓ 生産ラインでの搬送や部品の押し出し ✓ 自動車産業や食品産業での繰り返し動作 ✓ クリーンルームや防爆環境での使用 ✓ ただし、空気圧式アクチュエータには力の出力が電動式や油圧式に 比べて劣ることや、エネルギー効率が低いといった制約もあります 59
6. 空気圧システム(概要) 60 気体(空気など)の場合、体積ではなく質量の増減から数式モデルをつくります 𝜌 𝜌: 密度 𝑘𝑔Τ𝑚3 𝑞:流量 𝑚3 Τ𝑠 𝑞𝑖 𝑉 𝑉: 体積 𝑚3 𝜌𝑖 𝑝 𝑝: 圧力 𝑁Τ𝑚2 流入する質量: 𝜌𝑖 𝑞𝑖 圧縮性の気体では、密度は、 圧力の影響を受けます 容器内の質量: 𝑚 = ρ𝑉 基礎方程式 容器内の質量変化=流入質量 容量C 𝑑𝑚 = 𝜌𝑖 𝑞𝑖 𝑑𝑡 𝐶= 𝑑𝑚 𝑑𝑝
6. 流体システム(概要) 非圧性縮流体 (水) 圧縮性流体 (空気) 𝑞 体積:V h 非圧縮/密度不変 (液体) A:面積 𝑉 = 𝐴ℎ 𝑝 𝜌𝑖 𝑞𝑖 61 𝜌 質量:m 𝑉 𝑚 = 𝜌𝑉 P 圧縮可能/密度可変 (気体) ρ:密度[kg/m3] 液面レベル 流体 電気回路 流通量 q:流量[m3/s] q:流量[m3/s] i:電流 位差量 h:水 頭[m] p:圧力 e:電圧 体積:V 質量:m 電荷:Q 蓄積するもの 𝑇 容量 𝑇 𝑇 𝑉(𝑡) = න 𝑞 𝑡 𝑑𝑡 𝑚(𝑡) = න 𝜌𝑞 𝑡 𝑑𝑡 𝑄(𝑡) = න 𝑖 𝑡 𝑑𝑡 0 0 0 𝐶= 𝑑𝑉 𝑑ℎ 𝐶= 𝑑𝑚 𝑑𝑝 𝐶= 𝑑𝑄 𝑑𝑒
6.2 空気圧システム(抵抗と容量) 62 圧力容器と絞りがあるパイプのモデル ∆𝑃 slope=R 𝑃ത + 𝑝𝑖 R 𝑃ത + 𝑝𝑜 𝑑 ∆𝑃 𝑞 容量:C 入力側圧力が +pi変化 𝑑𝑞 容器内圧力が +po変化 𝑞 空気流量と圧力差の関係 pi, poは微小とすると、 流量と圧力差: 𝑞∝ 抵抗R: 𝑅= 容量: 線形化 ∆𝑝 (∆𝑝 = 𝑝𝑖 −𝑝𝑜 ) 𝑑 ∆𝑝 𝑑𝑞 𝑑𝑚 𝑑 ρ𝑉 𝑑𝜌 𝐶= = =𝑉 𝑑𝑝 𝑑𝑝 𝑑𝑝 OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004 :定常空気圧【N/m2】 :容器容量【m3】 :容器内の空気質量:【kg】 :質量流量【kg/s】 C :容量 【kg/(N/ m2) 】 𝑝 :空気圧の絶対値【N/m2】 𝜌 :空気質量密度【kg/m3】 𝑃ത 𝑉 𝑚 𝑞 空気の流れは音速を超えないとします
6.3 空気圧システム(数式モデル) 動作点付近での微小変位のとき 𝑃ത + 𝑝𝑖 R 63 圧力差 𝑃ത + 𝑝𝑜 𝑞 容量:C 線形化 𝑝𝑖 − 𝑝𝑜 0 𝑞 流量 𝑖𝑓: 𝑝𝑖 − 𝑝𝑜 = 0 𝑡ℎ𝑒𝑛 𝑞 = 0 抵抗: 容量: 𝑝𝑖 − 𝑝𝑜 𝑞 𝑑𝑚 𝑞𝑑𝑡 𝐶= = 𝑑𝑝𝑜 𝑑𝑝𝑜 𝑅= 𝐶𝑑𝑝𝑜 = 数式モデル OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004 𝑅𝐶 𝑝𝑖 − 𝑝𝑜 𝑑𝑡 𝑅 𝑑𝑝𝑜 + 𝑝𝑜 = 𝑝𝑖 𝑑𝑡 圧力差 vs 質量流量の曲線 ത 定常空気圧【N/m2】 𝑃: 𝑉: 容器容量【m3】 𝑚: 容器内の空気質量【kg】 𝑞: 質量流量【kg/s】 𝑝𝑖 : 流入率の定常値からの小さな偏差【N/m2】 𝑝𝑜 : 流出率の定常値からの小さな偏差【N/m2】 空気のとき 𝐶 = 𝑉 𝛼𝑅𝑎𝑖𝑟 𝑇 (α:ポリトロープ指数) 6.4節で
6.4 空気圧システム(圧縮可能、容器変化) 流体システムとして、圧縮可能、容器変化について解説します。 𝜌 𝑞𝑖 𝑉 𝑝 𝜌𝑖 流入する質量: 𝜌𝑖 𝑞𝑖 容器内の質量: 𝑚 = ρ𝑉 64
6.4 空気圧システム(圧縮可能、容器変化) 1. 連続の式: 容器内の質量変化=流入質量 𝜌𝑐𝑣 𝜌𝑖 𝑑 𝑑 𝑚𝑐𝑣 = 𝜌 V = 𝜌𝑖 𝑞𝑖 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑐𝑣 𝑐𝑣 𝑉𝑐𝑣 𝑞𝑖 𝑃 𝜌𝑐𝑣 = 𝜌𝑖 = 𝜌, 𝑉𝑐𝑣 = 𝑉 とします 𝑑 𝜌𝑉 = 𝜌𝑞𝑖 𝑑𝑡 𝜌 𝑑𝑉 𝑑𝜌 +𝑉 = 𝜌𝑞𝑖 𝑑𝑡 𝑑𝑡 2. 圧力と密度(体積)の関係: ρ:密度[kg/m3] V:容器容積[m3] P:圧力[N/m2] q:質量流量[kg/s] ・・・ (1) 体積弾性率Kを用いて表す 微分 密度𝜌は質量mと体積𝑉の関係から 𝑚 𝜌= 𝑉 𝑑𝑉 𝑑𝜌 =− 𝑉 𝜌 よってKは (2)より 𝑑𝜌 = − 𝐾 = −𝑉 𝑑𝑃 𝑑𝑉 𝑚 𝑑𝑉 𝑑𝑉 = −𝜌 𝑉2 𝑉 ・・・ (2) 𝑑𝑃 𝑑𝑃 =𝜌 𝑑𝑉 𝑑𝜌 ・・・ (3) 𝐾 = −𝑉 65
6.4 空気圧システム(圧縮可能、容器変化) ⚫ 連続の式 (1) を変形します 𝜌 𝑑𝑉 𝑑𝜌 𝑑𝑉 𝑑𝑃 𝑑𝜌 𝑑𝑃 𝑑𝑉 𝑑𝜌 𝑑𝑃 +𝑉 =𝜌 +𝑉 = 𝜌 +𝑉 = 𝜌𝑞𝑖 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑑𝑃 𝑑𝑡 𝑑𝑃 𝑑𝑡 𝑑𝑃 𝑑𝑃 𝑑𝑡 (3)より よって(4)は 𝜌 𝑑𝑉 𝜌 𝑑𝑃 +𝑉 = 𝜌𝑞𝑖 𝑑𝑃 𝐾 𝑑𝑡 𝑉 ・・・(4) 𝑑𝜌 𝜌 =𝑉 𝑑𝑃 𝐾 𝑑𝑉 𝑉 𝑑𝑃 + = 𝑞𝑖 𝑑𝑃 𝐾 𝑑𝑡 ・・・(5) 以上から、体積弾性率Kを用いて(1)式を表すと、連続の式は次のようになります 𝑑𝑉 𝑉 𝑑𝑃 + = 𝑞𝑖 𝑑𝑃 𝐾 𝑑𝑡 容器の弾性 気体の弾性 (気体の弾性→気体密度の変化) 66
連続の式の一般形 67 By ChatGPT 体積 V の中の流体について、質量保存を使った連続の式の一般形 𝑑 න 𝜌𝑑𝑉 + න 𝜌𝑣Ԧ ∙ 𝑛𝑑𝐴 = 0 𝑑𝑡 𝑉 𝛿𝑉 ここで: 第1項:容器内の質量の時間変化 第2項:容器の境界からの流出入質量流量(流束) この式は保存の式の1つ(質量保存)であり、連続の式と呼ばれます。 容器内の質量変化=流入質量
流体システム(容量C) 68 容積Vの変化がないとき 容積Vの変化がない とき(5)式は、 𝑞𝑖 𝑉 𝑑𝑃 = 𝑞𝑖 𝐾 𝑑𝑡 流体 電気回路 流通量 qi (flow-rate) i (current) 位差量 P (pressure) e (voltage) 容量C 𝑉 𝑑𝑃 𝑞𝑖 = 𝐾 𝑑𝑡 𝑑𝑒 𝑖=𝐶 𝑑𝑡 capacitance 𝜌𝑖 𝑑𝑉 𝑉 𝑑𝑃 + = 𝑞𝑖 𝑑𝑃 𝐾 𝑑𝑡 𝜌𝑐𝑣 𝑉𝑐𝑣 𝑃 ρ:密度[kg/m3] V:容器容積[m3] P:圧力[N/m2] K:体積弾性率 (bulk modulus) 温度圧力によって変わる 𝜌𝑐𝑣 𝜌1 𝑞1 𝑉𝑐𝑣 P q:質量流量[kg/s] 𝑞𝑖 = 𝑞1 − 𝑞2 https://www.youtube.com/watch?v=qvErUlWRKvs&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=5 𝜌𝑐𝑣 = 𝜌1 = 𝜌2 = 𝜌 𝜌2 𝑞2
6.5 容量(圧縮可能、容器変化) 容量C: 𝑑𝑚 𝑑 ρ𝑉 𝑑𝑉 𝑑𝜌 𝐶= = =𝜌 +𝑉 𝑑𝑃 𝑑𝑃 𝑑𝑃 𝑑𝑃 容器 ・・・(a) 69 𝜌 𝑝 𝑉 𝑃 気体 完全気体として計算してみる(気体項について) ⚫ 気体の状態方程式: 𝑃𝑉 = 𝑛𝑅𝑇 𝑃𝑉 = 𝑛𝑅𝑇 = 𝑚 𝑅𝑇 𝑀 ⚫ 気体を空気とすると 𝑅𝑇 (b)より 𝑃 = 𝜌 𝑀 𝑃= 𝑚 𝑅𝑇 𝑅𝑇 =𝜌 𝑉 𝑀 𝑀 ・・・(b) 𝑃 = 𝜌𝑅𝑎𝑖𝑟 T 𝑅𝑎𝑖𝑟 = ・・・(c) 𝑅 𝑀𝑎𝑖𝑟 𝑅𝑎𝑖𝑟:空気の気体定数【N-m/kg K】(約 287 N-m/kg K) 𝑀𝑎𝑖𝑟 :空気のモル質量【kg/mol】 (約 0.029 kg/mol) モル数nは 𝑛 = 密度ρは 𝜌= 𝑚 𝑀 𝑚 𝑣 𝑃:絶対圧【N/m2 】 𝑛 :物質量【 mol 】 𝑅:気体定数【 N-m/kg K 】 𝑇 :絶対温度【K】 𝜌 :密度【kg/m3 】 𝑚 :質量【 kg 】 𝑀 :モル質量【 kg/mol 】
6.5 容量(圧縮可能、容器変化) 70 空気の状態変化が等温と断熱の間である場合、膨張過程はポリトロープ過程(polytropic process)になります 𝑝 = 一定 𝜌𝛼 • • 𝛼 :ポリトロープ指数 (ふつうnを使います) 等温変化なら:α=1 断熱変化なら:α=𝛾 (空気なら約 1.4) 微分 𝑑𝜌 𝜌 = 𝑑𝑃 𝛼𝑝 (c)から 𝑑𝜌 1 = 𝑑𝑃 𝛼𝑅𝑎𝑖𝑟 𝑇 ・・・(d) 𝜌 𝑉 𝑃 ⚫ よって、容量Cは次のようになります 𝐶= 𝑑𝑚 𝑑𝑉 𝑑𝜌 𝑑𝑉 𝑉 = 𝜌+𝑉 = 𝜌+ 𝑑𝑃 𝑑𝑃 𝑑𝑃 𝑑𝑃 𝛼𝑅𝑎𝑖𝑟 𝑇 容器の膨張 密度の変化 𝑝
6.6 空気圧システム(圧縮可能、容器変化あり例題) 体積の時間変化あり、での容量Cを計算する 𝑑𝑉 𝑉 𝑑𝑃 𝑞= + 𝑑𝑡 𝐾 𝑑𝑡 𝑃𝑐𝑣 𝑞 ⚫ 右図のシステムについて 𝑥0 • バネ反力 • 流体圧力 • バネ反力(1)と流体圧(2)は等しいから、 𝑑 𝑑 𝐴𝛿𝑃 = 𝑘𝑥 𝐴𝛿𝑃ሶ = 𝑘 𝑥ሶ ・・・(3) 𝐴𝛿𝑃 = 𝑘𝑥 𝑑𝑡 𝑑𝑡 • 体積の時間変化から、 𝑉 = 𝐴 𝑥0 + 𝑥 • (3)(4)式から 𝑥ሶ を消去する、 𝑑𝑉 𝑉 𝑑𝑃 𝑞= + 𝑑𝑡 𝐾 𝑑𝑡 ・・・(1) x 𝐹𝑐𝑣 𝑉 𝐹𝑐𝑣 = 𝑘𝑥 k : バネ定数 Cylinder 𝑞:流量 𝑉:体積 P:圧力 K:体積弾性率 71 x 𝑃𝑎𝑡𝑚 𝛿𝑃 = 𝑃𝑐𝑣 − 𝑃𝑎𝑡𝑚 𝐹𝑐𝑣 = 𝐴 𝑃𝑐𝑣 − 𝑃𝑎𝑡𝑚 = 𝐴𝛿𝑃 ・・・(2) 𝑉ሶ = 𝐴𝑥ሶ ・・・(4) 𝑉ሶ = 𝐴2 𝛿𝑃ሶ Τ𝑘 ・・・(5) 𝐴2 𝛿𝑃ሶ 𝑉 𝑑𝛿𝑃 𝑞= + 𝑘 𝐾 𝑑𝑡 A :Cylinder断面積 Pcv :容積内部の圧力 Patm:大気圧 𝐴2 𝑉 𝑑𝛿𝑃 𝑞= + 𝑘 𝐾 𝑑𝑡 https://www.youtube.com/watch?v=qvErUlWRKvs&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=5 容量に相当 k :バネ定数
流体システム(インダクタンス) 72 容積内の流体質量の慣性→インダクタンス (1)慣性力: 𝑑 𝑚𝑣 = 𝐹 = 𝐴1 𝑃1 − 𝐴2 𝑃2 𝑑𝑡 𝑙 𝑃1 𝐴1 𝜌 容積(c.v) ρは変化しない(非圧縮) 、A1=A2=Aとする 𝑑 𝑚𝑣 = 𝑚𝑣 ሶ + 𝑚𝑣ሶ = 𝑚𝑣ሶ = 𝐴 𝑃1 − 𝑃2 𝑑𝑡 𝑄 = 𝐴𝑣 𝑄ሶ = 𝐴𝑣ሶ ←流体の流量 𝑚 = 𝜌𝑉 = 𝜌𝐴𝑙 𝑚𝑣ሶ = 𝐴 𝑃1 − 𝑃2 𝛿𝑃 = 𝑃1 − 𝑃2 ←流体の質量 𝜌𝐴𝑙𝑣ሶ = 𝐴𝛿𝑃 𝛿𝑃 = 𝜌𝑙 𝑄ሶ 𝐴 流体 電気回路 流通量 q (flow-rate) i (current) 位差量 P (pressure) e (voltage) 𝜌𝑙 𝑑𝑞 𝛿𝑃 = 𝐴 𝑑𝑡 𝑒=𝐿 インダクタンス inductance https://www.youtube.com/watch?v=qvErUlWRKvs&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=5 𝑑𝑖 𝑑𝑡 𝑃2 𝐴2 A :断面積 ρ :流体密度 P :圧力
7.空気圧式位置サーボ(概要) 「空気圧位置サーボ」とは、圧縮空気を用いて対象物の位置を制御するシステ ムです。主に、入力信号(目標位置)に応じてシリンダーなどの位置をフィー ドバック制御し、目標位置と実際の位置を一致させるように動作します。 ⚫ 長所 ✓ 軽量で高いパワー密度 ✓ クリーンな環境(火花なし)でも使用可能 ✓ 柔軟性が高く、衝撃吸収性がある ⚫ 短所 ✓ 圧縮空気の圧縮性により制御が不安定になりやすい ✓ エネルギー効率が低い ✓ 遅れやヒステリシスが大きい場合がある 73
7.1 空気圧式位置サーボ(構造) 空気圧は圧縮性があるため、電気サーボより非線形性が強く、 制御が難しいのが特徴です 1. 入力uが左に移動すると、ノズルギャッ プ (δy) が狭まり空気の漏量が減少する ことから圧力δP0が上昇する Pressure Supply 𝛿𝑃𝑠 Orifice レバー 𝛿𝑢 Flapper a 𝛿𝑃0 𝛿𝑦 𝛿𝑃0 b m バネ 𝑧0 3. すると、レバーが右に移動しflapperも 一体となって移動するからノズル ギャップ(δy) が広がり、空気の漏量が 増加して圧力δP0が減少する 𝛿𝑦 Nozzle 𝑞0 2. δP0の上昇は、シリンダ内のピストンを 右に移動 (δz>0) させ、同時にバネが 縮む 入力 シリンダ 𝐹𝐿 ピン止め(回転可) 𝛿𝑧 出力 4. 今度は、シリンダが左に移動するため ノズルギャップ(δy) が狭まる 5. これらのことから、どこかで釣合いの 取れる位置で平衡することになる https://www.youtube.com/watch?v=UeNYTiuro8U&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=3 74
7.1 空気圧式位置サーボ(原理1/4) 75 空気圧式位置サーボは非線形システムである 今回、この非線形システムをいくつかの仮定を基に線形化したversionでモデル式を作ります Pressure Supply 𝛿𝑃𝑠 仮定1:線形化の詳細は参考図書*にあるとのこと です。以下にそ線形化したモデル式を示します 𝛿𝑢 R0 𝛿𝑃0 = 0.671𝛿𝑃𝑠 − 𝐺𝑝 𝛿𝑦 − 𝑅0 𝑞0 a 𝑞0 𝛿𝑃𝑠 , 𝐺𝑝 , 𝑅0 ∶ 𝑐𝑜𝑛𝑠𝑡𝑎𝑛𝑡 𝛿𝑃0 𝛿𝑦 𝛿𝑦 𝛿𝑃0 ・・・(1) b m 𝛿𝑧 𝐹𝐿 仮定2:流体(空気)は圧縮可能である。ただし 体積(V)、体積弾性率(K)は一定ではないが、 ここではその平均値を用いる 𝑉 → 𝑉∗ :体積平均値 𝐾 → 𝐾∗ :体積弾性率平均値 𝑧0 *) Robert l.woods, kent l. Lawrence, Modelling and Simulation of Dynamic Systems
7.1 空気圧式位置サーボ(原理2/4) 𝑞0 = 流体システムのキャパシ タンス(既述) 𝑉 𝛿𝑃ሶ + 𝑉ሶ 𝐾 0 V:シリンダ体積 K:流体の体積弾性率 A:シリンダ断面積 𝑉 = A 𝑧0 + 𝛿𝑧 𝑉ሶ = A𝛿𝑧ሶ Pressure Supply 𝛿𝑃𝑠 76 𝑉 → 𝑉 ∗ , 𝐾 → 𝐾 ∗ (V、Kは、その平均値を用いる) 𝛿𝑢 R0 𝑉∗ 𝑞0 = ∗ 𝛿𝑃ሶ 0 + A𝛿𝑧ሶ 𝐾 a 𝑞0 𝛿𝑃0 𝛿𝑦 𝛿𝑃0 シリンダでの力の釣合い b m 𝛿𝑧 𝑧0 • 𝛿𝑦 ・・・(2) 𝐹𝐿 𝐹𝐿 𝐹 = 𝐴𝛿𝑃0 𝑘 k:バネ定数 𝛿𝑧 𝐹𝑠 = 𝑘 𝑧0 + 𝛿𝑧 𝐴𝛿𝑃0 − 𝐹𝐿 = 𝑚𝛿𝑧ሷ + 𝑘 𝑧0 + 𝛿𝑧 https://www.youtube.com/watch?v=UeNYTiuro8U&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=3 ・・・(3)
7.1 空気圧式位置サーボ(原理3/4) 77 機械レバーと連動する (u, y, z) の位置関係 機械レバーの最終位置は、次の2つの位置に分解 して、その和を求めます Pressure Supply 𝛿𝑃𝑠 𝛿𝑢 R0 𝑎′ = 𝑎 𝑎+𝑏 𝑏′ = 𝑏 𝑎+𝑏 a 𝑞0 𝛿𝑃0 𝛿𝑦 𝛿𝑦 𝛿𝑃0 b m 𝐹𝐿 𝛿𝑧 𝑧0 𝛿𝑧 𝛿𝑦 = 𝑎′ 𝛿𝑧 − 𝑏 ′ 𝛿𝑢 𝛿𝑦 = 𝑎′ 𝛿𝑧 − 1 − 𝑎′ 𝛿𝑢 https://www.youtube.com/watch?v=UeNYTiuro8U&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=3 ・・・(4)
7.1 空気圧式位置サーボ(原理4/4) 78 式をまとめると Pressure Supply 𝛿𝑃𝑠 𝛿𝑢 R0 a 𝑞0 𝛿𝑃0 𝛿𝑦 𝛿𝑃0 𝛿𝑧 ・・・(1) 𝑉∗ 𝑞0 = ∗ 𝛿𝑃ሶ 0 + A𝛿𝑧ሶ 𝐾 ・・・(2) 𝐴𝛿𝑃0 − 𝐹𝐿 = 𝑚𝛿𝑧ሷ + 𝑘 𝑧0 + 𝛿𝑧 ・・・(3) 𝛿𝑦 = 𝑎′ 𝛿𝑧 − 1 − 𝑎′ 𝛿𝑢 ・・・(4) 𝛿𝑦 • m 𝑉∗ 𝐹 𝐺𝑝 𝛿𝑢 + 𝛿𝑧𝑠𝑠 − ∗ 𝐷 + 1 𝐿 𝐾 𝑘𝑠 𝛿𝑧 = 𝑅0 𝑉 ∗ 𝑚 3 𝑚 2 𝑅0 𝐴2 𝑉 ∗ Τ𝐾 ∗ 𝐷 + 𝐷 + 1 + 𝐷+1 𝐾 ∗ 𝑘𝑠 𝑘𝑠 𝑘𝑠 𝐴 2 Τ𝑘 b 𝛿𝑧 𝑧0 𝛿𝑃0 = 0.671𝛿𝑃𝑠 − 𝐺𝑝 𝛿𝑦 − 𝑅0 𝑞0 𝐹𝐿 これらの式から入出力特性を求めると 𝛿𝑧𝑠𝑠 = 0.671𝐴𝛿𝑃𝑠 − 𝑘𝑧0 𝑘𝑠 バネによる事前荷重のため 調整z0によりゼロにできる https://www.youtube.com/watch?v=UeNYTiuro8U&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=3 𝑘𝑠 = 𝑘 + 𝐺𝑝 𝐴𝑎′ 𝐷≡ 𝑑 𝑑𝑡 微分演算子
8.まとめ 8.1 アクチュエータ(油圧と空気圧)のざっくり比較 8.2 アクチュエータ(油圧と空気圧)の違い 79
8.1 油圧と空気圧のざっくり比較 強い力&精密動作 → 油圧 高速&簡単動作 → 空気圧 ⚫ 油圧アクチュエータの特徴: ✓ ✓ ✓ ✓ 80 ⚫ 空気圧アクチュエータの特徴: 高精度&大きな力が必要な場面で活躍 負荷変動にも強く、一定の速度を維持 しやすい 位置制御が得意(サーボ油圧システム など) 油圧は閉ループ制御と相性が良く、リ ニアな応答が得られる ✓ 軽量・高速・安全・コスト低め ✓ シンプルな繰返し動作やON/OFF動作用 ✓ 制御精度を求める場面では工夫が必要 ✓ 空気圧は開ループやバルブでのON/OFF 制御が基本。連続制御は難しいが、近 年は比例バルブ+センサ制御で高精度 化も進んでいる 機械レバー方式を用いた 位置サーボ例
8.2 油圧と空気圧 アクチュエータの違い 81 特徴 油圧アクチュエータ 空気圧アクチュエータ 駆動源 主に油(作動油) 主に圧縮空気 圧縮性 ほぼ非圧縮性 → 動作が正確でスムーズ 圧縮性あり → 多少のバネ感や遅れが出やすい 力の大きさ 高出力・高トルクに適している 中・小出力に向いている 制御性 微細な位置制御や速度制御が可能 シンプルなON/OFF動作が得意(比例制御は難し い) 応答速度 やや遅い(高精度) 速い(ただし精度はやや劣る) 装置のサイズ コンパクト(高出力に対して) 同じ出力ならやや大型になることも 運用コスト 維持コスト高(漏れ対策、フィルタ管理) 比較的低コスト、クリーン 安全性 高圧油 → 漏れや破損時に危険も 空気なので比較的安全 使用例 建機、プレス機、産業用ロボットなど 工場の自動機械、エアツール、ピッキング装置な ど
つづく ⚫ 今回はこれまでの私の講義で詳しくは触れてこなかった、油圧/空気圧アクチュエー タについて解説します。メカトロニクスでは重要な機器ですが、説明がやや難しい事 や私自身がそれほど詳しくないことを理由に行ってきませんでした。この点心残りで した。今回この思いを解消するため取り上げました。このためアナロジーの論点から はあまり言及していません。 ⚫ 油圧アクチュエータは卒研の苦労した思い出があるのも避けていた一因でしょうか。 (補足:私の卒論・修論を参照してください) ⚫ また油圧サーボを使ったバイラテラル制御や熱伝導について述べようと今回計画して いたのですが、それはまた後で取り上げる予定です。 ⚫ 数式展開で偏微分と全微分の使い方など厳密ではないと思います。その点ご注意くだ さい。 ⚫ 今回もchatGPTにずいぶんと助けられました。質問に対する回答はなかなかのもので す。ただし、回答の信頼性がどの程度あるのかまだ疑問に思っています。しかしなが ら、その分野の専門家でない周辺の方々に聞くよりは信頼性はあるかなとは感じてお ります。 ⚫ アナロジーは形式的なもので、物理的意味はない、という意見もあります。どうなの でしょうか、私も知りたいところです 82
参考文献 83 中田孝:工学解析(技術者のための数学手法),オーム社,1972、総頁572.
参考文献 ⚫ OGATA, Katsuhiko. System dynamics. 2004. google scholarで検索すると書籍がPDFでDLできます ⚫ You Tube: Learning Orbis Lecture11-13 Modeling Fluid Systems https://www.youtube.com/watch?v=yLae4Xz2W1Q&list=PLWF9TXck7O_wWqAt2jYh9lxVZRS4vffe_&index=16 84
補足:中田孝氏について 中田 孝(1908- 2000):日本の機械工学者。東京工業大学名誉教授。 元日本機械学会会長。元計測自動制御学会会長。元日本学士院会員。日本 学士院賞受賞。 https://ja.wikipedia.org/wiki/中田孝 中田孝先生は、大学院時代に私が所属した研究室の前教授でした。著書「転位歯車」は 修論では大変お世話になりました。しかし、いろいろな逸話などは聞くことはありまし たが、中田先生にはお会いしたことは残念ながらありませんでした。先日、同期で研究 室を引き継いだ北條さん(東工大名誉教授)に会った時、その話をしたところ、中田先 生の講義ビデオを送って頂き、初めてその肉声に触れることができました。感謝します。 そのビデオを見ながら、中田先生は、歯車の研究で日本学士院賞を45歳で受賞したのを はじめ、自動制御、NC工作機などの分野も手掛けた非常にエンジニアリングセンスの高 い方であり、また数学や電気電子工学に対する造詣も大変深い方だと認識を新たにしま した。またビデオの中で“歯型理論にはあまり手を付けたくなかったが電気回路理論の 応用に興味を持っていたので研究を進めた”とのあたりは、非常に親近感を感じました。 中田孝先生の紹介記事です【日本の工作機械を築いた人々】 大河出版「応用機械工学」1988年4~5月号掲載、 https://www.sme-japan.org/library5.pdf 中田先生のNC工作機械を開発したのときの開発談が語られています。大変面白い内容ですのでお勧めです。 85
補足(私の卒論・修論) 86 【卒研】私は卒業研究では電通大の梶谷誠先生の研究室で歯車を加工するホブ盤の制御回路を作成しました。但し、装置は東 工大石川研にありました。開発する制御回路は、ホブ盤主軸の回転角度を計測して、切削工具を駆動する電気油圧パルスモー タを制御するものです。この電気油圧パルスモータは、電気パルスモータの出力をプランジャー形油圧モータでトルク増幅す るという仕組みでした。初めてホブ盤を見たときの印象は巨大な鉄の塊で、制御ミスでパワフルな油圧モータなどを暴走させ たらどうなるかと、恐れを抱いたものです。 試作した回路は、単純な論理素子(TTL)を組合わせた回路です。当時は論理素子の黎明期で、詳しい書籍など無い時に初 歩の初歩から学び始め、TI社の分厚いハンドブックで論理素子の細かな仕様をチェックしながら、連日連夜、回路を試作して はオシロスコープなどを使い動作を確認して、回路を設計していました。本当に充実した楽しい時間でした。ご指導頂いた梶 谷先生には心から感謝しています。 しかし、実機実験では散々で、必死で改良を重ね何とか動作させました。やっと加工できた歯車を見たときの感激は今も忘 れません。しかし、歯すじ誤差に問題がありました。その原因は切削加工力の増加に伴うモータ回転遅れです。これは電気油 圧パルスモータの最大の長所でもある、開ループ制御の限界だったのでしょう。(後に中田先生が電気油圧パルスモータの開 発にも深く関与していたと知りました。奇妙な縁を感じます) 【就職】卒業後はX社に就職しました。理由はX社の子会社であるF社でのロボット開発に関心があったためです。当時F社へ はX社に就職する必要がありました。そして、入社時実習は希望先のF社でした。ところが、本配属では全く違うX社部署だっ たため、すぐに退職して東工大院の石川研(中田研の後継研究室)へ進学することにしました。人生にifはつきものですが、F 社に入っていたら全く違う人生を送ったようにも思います。 【修論】修論では習得した論理回路の設計技術を用いて、自動歯車精度測定機の開発に係り、歯形計算回路と測定機の制御回 路の開発を行いました。また修士2年の中頃、当時の先進機器であるミニコン(HP-21MX)が納入されたので、データ処理 (Fourier解析など)に利用することにしました。それからは、ミニコンと歯車測定機とのinterface回路設計から始めて、各 種プログラム作りと正月もない日々でした。またなんと、ミニコンは紙テープベースの開発システムで、コンパイラもライブ ラリもリンカも、全て毎回毎回、そのsoftwareを紙テープから読込ませる必要があり、コンパイル結果なども紙テープで TTY(110 baud rates)出力という、本当に気が狂うようなシステムでした(これと比べるとDOSは凄い)。実は、修論にはミ ニコンを利用する必要は全くなかったのですが、好奇心から無理にお願いして利用したのが真実です。これらの成果は機械学 会誌に論文として掲載できました。そして修了後は、国の研究機関に就職することに致しました。 大学時代に、昼夜を忘れて一心不乱に学んだ論理回路設計、計算機の経験は私の一つの財産になったように思います。 (DOS: Disk Operating System)
#################### PLOT ####################
# figure 1
from matplotlib.gridspec import GridSpec
fig = plt.figure(figsize=(7,4)) # Figureの初期化
#1つの図に様々な大きさのグラフを追加
# https://pystyle.info/matplotlib-grid-sepc/
#
#横方向に2つ場所を用意して、1つをss1に、1つをss2用に使う
gs = GridSpec(1, 2) # 縦方向に1つ、横方向に2つの場所を用意
#ss1--> 場所は(0,0)、縦1つ、横1つ、を使用
ss1 = gs.new_subplotspec((0, 0), rowspan=1,colspan=1)
#ss2--> 場所は(0,1)、縦1つ横1つ、を使用
ss2 = gs.new_subplotspec((0, 1), rowspan=1, colspan=1)
#
# PLOT one ####11111111111111111111########
ax1 = plt.subplot(ss1)
ax1.plot(t,x1,'-b',label="x1")
ax1.plot(t,x2,'-r',label="x2")
strg0="分配比: m={:.3g}".format(m)
plt.title("液面レベル応答 :"+strg0, fontname="MS Gothic")
plt.ylabel("head level")
plt.xlabel("time [s]")
plt.minorticks_on()
plt.legend(loc='center right')
plt.grid() #ax1.grid() でも良い
#
# PLOT two ###222222222222222222222########
ax2 = plt.subplot(ss2)
ax2.plot(x1,x2,'-*k',label="x1.vs.x2")
plt.ylabel("x2 ")
plt.xlabel("x1")
plt.title("位相面(x1.vs.x2):"+strg0, fontname="MS Gothic")
plt.minorticks_on()
plt.legend(loc='center right')
plt.grid() #ax1.grid() でも良い
plt.tight_layout()
#################### PLOT ####################
# figure 2 ###################################
#
fig = plt.figure(figsize=(7,4)) # Figureの初期化
gs = GridSpec(1, 2) # 縦方向に1つ、横方向に2つの場所を用意
#ss1--> 場所は(0,0)、縦1つ、横1つ、を使用
ss1 = gs.new_subplotspec((0, 0), rowspan=1,colspan=1)
#ss2--> 場所は(0,1)、縦1つ横1つ、を使用
ss2 = gs.new_subplotspec((0, 1), rowspan=1, colspan=1)
#
# PLOT one ####11111111111111111111########
ax1 = plt.subplot(ss1)
ax1.plot(t,y[0,:],'-b',label="q1")
ax1.plot(t,y[1,:],'-r',label="q2")
strg0="分配比: m={:.3g}".format(m)
plt.title("流量応答 :"+strg0, fontname="MS Gothic")
plt.ylabel("flow rate")
plt.xlabel("time [s]")
plt.minorticks_on()
plt.legend(loc='center right')
plt.grid() #ax1.grid() でも良い
#
# PLOT two ###222222222222222222222########
ax2 = plt.subplot(ss2)
ax2.plot(y[0,:],y[1,:],'-*k',label="q1.vs.q2")
plt.ylabel("q2 ")
plt.xlabel("q1")
plt.title("位相面(q1.vs.q2) :"+strg0, fontname="MS Gothic")
plt.minorticks_on()
plt.legend(loc='center right')
plt.grid() #ax1.grid() でも良い
plt.tight_layout()
ふろく
plt.show()
1.5節 plot program
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