No2_Selected Scanning Method

117 Views

June 20, 23

スライド概要

昔、信号の遅延に興味を持った。この信号の遅延を積極的に使うことで、おもしろい情報処理ができるのではないかと考えた。
その一つとして、信号の遅延と触運動を組み合わせ、触運動速度によって特性が変化する空間フィルタ型触覚センサを開発した。
これに気をよくして、荷重が有るところだけを選択的に走査する仕組みに遅延が利用できるのではないかと考えた。狙いは、省配線と高速性である。
もちろん選択走査などは、MPU+I2Cなどで簡単に実現できる。但し、I2Cなどを使っていたのでは高速応答など無理であろう。今回使った検出エレメントは100nsの応答での実績がある。単一エレメント100nsでの応答性を達成するのにI2C、SPIなどでは到底無理である。
当時は、良い遅延素子が見つからなかったため、単純なMM (Monostable Multivibrator)で試作した。結果としてスマートとは言えない回路となってしまったが、原理の実証は出来たと思っている。いま思うに、単位エレメント当たりns(10-9s)オーダーでの走査を後日実現すればよかったと思っている。例えば、104エレメントでのμsオーダの選択走査も可能だったかもしれない。

profile-image

これまでに主に,ロボティクス・メカトロニクス研究,特にロボットハンドと触覚センシングの研究を行ってきました。現在は、機械系の学部生向けのメカトロニクス講義資料、そしてロボティクス研究者向けの触覚技術のサーベイ資料の作成などをしております。最近自作センサの解説を動画で始めました。https://researchmap.jp/read0072509 電気通信大学 名誉教授 

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

続ければよかったセンサ 開発センサ反省点その2 選択走査方式を用いた省配線・分布型触覚センサ 分布量の高速走査への挑戦 下 条 誠 電気通信大学名誉教授 https://researchmap.jp/read0072509/ TheUniversityofElectro-CommunicationsDepartmentofMechanicalEngineeringandIntelligentSystem

2.

発想の原点 2 意外と、遅延は信号処理の肝ではないか? 指先の触覚系モデル(下条仮説) その一例 その昔、遅延素子 に興味を持った 開発センサ反省点その1 https://www.docswell.com/s/m_shimojo/ZJLXY4-2023-06-11-091839 ちょっとズレるが、 分布型触覚センサの選択走査に使えるのでは? 狙いは、省配線と高速性

3.

分布型触覚センサの問題点 3 全数走査による応答時間の増加 Touch 1. 検出点数の増加に伴い,応答時間の増 大を招く 2. ところで、実際の使用を想定すると, 全身のごく一部に荷重が加わる場合が 主である 3. このため,全検出点の毎回サンプリン グは,応答速度,データ処理量からす ると効率が悪い Contact そこで、 ロボット全身被覆用触覚センサ での使用例 ⚫ 接触がある部分の荷重のみを検出する 選択走査方式の提案 西野 高明, 下条 誠, 石川 正俊, “選択走査方式を用いた省配線·分布型触覚センサ,” 計測自 動制御学会論文集, vol. 45, no. 8, Art. no. 8, 2009, doi: 10.9746/sicetr.45.391

4.

狙い:荷重があるところのみ走査する 遅延を用いた選択走査方式 (例:センサ素子2,4に荷重あり) data センサ素子 S S 1 D 制御信号 data S S 2 on D 3 on on D off off 4 on D off off 連動SW 1. 荷重あり:制御信号を遅延回路に通す 2. 荷重なし:制御信号をスルーする 例) 全数走査 1 2 3 Delay time 選択走査 2 4 time D Delay element 4 走査時間の 短縮 4

5.

実際の方式 5

6.

1.遅延素子:適当なものが無いので代替する 6 遅延素子: モノステーブル・マルチバイブレータ (Monostable Multivibrator) で代替した パルス幅 Rx Vcc B パルス幅は、RxCxの 時定数で決まる Cx Rx MM 74LS123 Cx Q1 Q Vcc B Q Rx MM 74LS123 Cx Q2 Q Vcc B Q Rx MM 74LS123 Cx Q3 Q1 time Q Q Q2 Q3 パルス幅=遅延時間 注)遅延回路としては、ほかにフリップフロップを用いたシリアルシフトの利用 もある。但し、その場合は,タイミングクロックが必要で配線が増える。 Monostable Multivibrator:入力をトリガすると出力にCRの時定数で決められたワンショットのパルスが出力される。 ICとしては74LS123などがある。現在ではLTC6994などもあるようだ。

7.

2.センシング素子(高速応答可能なこと!) 1.センシング素子 2.センシング素子を抵抗回路網で接続する A Layer 感圧導電素子 ③ ① ② on このエレメント のみ動作する ON/OFF SW 100nsでの応答実績 https://www.youtube.com/watch?v=ub7leKLtjVo ④ B Layer 抵抗回路網型CoPセンサ CoP センサは荷重分布の中心位置と荷重総和を出力する。 荷重が1 点のときは,その荷重位置と荷重値を出力する。 7

8.

3.組み合わせた選択走査回路 8 センシング素子を抵抗回路網で接続したため、 位置と測定値が簡単に取得できる 連動SW 感圧導電ゴム 感圧導電ゴム センシング素子 D on off 制御信号 D on off 荷重が有るときはSWをonとする。 注)荷重検出回路の詳細は後に示す

9.

まえがき 1/2 これまで触覚センサに関する研究は,ロボットハンドに取付け把持・操りを行なうためのセンサの研究が多数を占めて いた1),2).しかし,最近は人型ロボットの研究開発に伴いロボットの全身を覆うような触覚センサの研究開発が盛んに なってきている3)~6).これらの用途ではセンサの空間的解像度はそれほど高い必要はないが,柔らかくて丈夫で広い面積 が覆えること,自由曲面にも取り付け可能などの条件が要求される7).例として,稲葉らの触覚スーツは,導電性布で網 目状スペーサを挟み,導電性布がスペーサの網目を通して接触することで荷重を検出し,導電性糸を用いて信号を伝える 方式である8).センサは柔軟で広い面積が可能である特長がある.しかし,検出点の増加に伴い配線数・配線長が増加す る問題がある.この配線数を少なくするため,検出素子をアレイ状配置としたものがある.たとえば,向井らは弾性体で 覆った超小型半導体圧力センサをロボットの胴体・腕等の曲面に配置し,行と列の走査により分布量を計測している9). また,検出素子として感圧インクを用いたものもある.これは感圧インクをストライプ状に印刷したシートを印刷方向が 縦横になるように2枚重ね合わせセンサとしたものである10).縦横ストライプの交点が検出点となり,荷重による抵抗値 変化を行と列の走査で計測する.検出部は0.1mm程度と薄く,また印刷により形成できるので高い空間分解能が実現で きる.しかし,シート状のため展開面が2次元となる曲面しか覆えない.このように従来の分布型触覚センサの多くはア レイ状に配置した検出素子を,行と列により選択する方式を取っている. しかし,これらのセンサでロボットの全身等広範囲を被覆する場合,1)行と列の数の配線が必要となり配線数が膨大に なる,2)検出点の増加に伴い走査時間が掛かるため応答速度が遅くなる,などの問題がある.最近,省配線化を図る方法 としてシリアルバスなどを用いる方法も提案されている.たとえば,大村らは32個の検出部を単位としたセンサシートに MPUを配置,各センサシートを高速シリアルバス結合することで配線数を少なくする方法を提案している11).このほか, 省配線型として検出素子からの信号をスペクトラム拡散通信方式で多重化して省配線で送る方式12),また遅延回路を用い て検出素子からの信号を順次1本のラインで送る方式13)がある.遅延回路方式は各検出素子をインダクタ・キャパシタを 介して並列接続し,各素子の出力を段階的に遅延させることにより省配線で分布触覚情報を取得する手法である.しかし 実際には出力信号レベルが低下する等の問題があると思われる. 9

10.

まえがき 2/2 10 一方,われわれはこれまでにネット状触覚センサ14),15)(以後ネット状CoPセンサとする)の開発を行なってきた.こ れは,センサ面積によらず出力配線は4本,センサ構造および演算回路がすべてアナログ回路のため1ms以内の高速応答 性があること,また自由曲面に網を被せるように装着可能であることなど,上記に述べた従来の問題をほぼ解決している. しかし,このセンサから得られる情報は荷重分布中心位置と総荷重のみであり,多点接触判別などで必要な荷重分布計測 には対応できなかった. そこで本研究では,ネット状CoPセンサの原理を応用し,省配線,高速応答の特徴を活かし,かつ荷重分布が計測可能 なセンサの開発を行なった結果について報告する.本センサはつぎのような特徴をもつ.1)荷重分布を計測できる,2) ネット状のため自由曲面に網を被せるように装着可能である,3)センサ面積,分解能によらず出力配線数は7本と省配線 である.また4)接触部分の荷重情報のみを選択的に検出することがあげられる.これは従来の分布型触覚センサはすべて 検出点を走査するため,検出点数の増加に伴い,応答時間の増大を招いていた.しかし実際の使用を想定すると,Fig.1 に示すようにロボットの表面全体に荷重が分布することはほとんどなく,全身のごく一部に荷重が加わる場合が主となる. このため,全検出点の荷重を毎回サンプリングする従来の手法は,応答速度,データ処理量からすると効率が悪い.本研 究で提案するセンサでは,選択走査方式により接触がある部分の荷重のみを検出するため,ロボット全身被覆のような大 面積かつ接触部分が比較的少ない場合において応答速度を大幅に短縮することができる.以下では,提案するセンサの基 本原理および試作したセンサの実験結果について述べる. 西野 高明, 下条 誠, 石川 正俊, “選択走査方式を用いた省配線·分布型触覚センサ,” 計測自 動制御学会論文集, vol. 45, no. 8, Art. no. 8, 2009, doi: 10.9746/sicetr.45.391

11.

実際の走査回路 11 合計7本の配線 A Layer CoP センサ: 4本(①②③④) 走査回路: 3本 20ms 制御信号 走査用 (3本) B Layer 制御信号

12.

荷重有無の検出方法 1/2 10mm角の感圧素材をアクリ ル製半球(Φ10mm)で加圧 本研究では,荷重を電気的抵抗値に変換する 検出素子rp として感圧導電ゴムを用いた。そ の荷重と抵抗値の関係を左図に示す。 感圧導電ゴムは,無荷重では抵抗値rpは, ほぼ無限大であり,また荷重が小さい範囲 では高抵抗域での不安定な値となる。左図 では0.5Nあたりが荷重の閾値で1.5N付近 を過ぎると100kΩ以下となり荷重と抵抗値 の関係が安定してくる。 まず左図(a)のようにSW回路がOFFの状 態とする。そこに荷重が加わると,抵抗rp が減少し電圧Vsが増加する。荷重有無の 検知はこの電圧Vsに閾値を設け検出する。 なお抵抗rsは1MΩ程度の高抵抗とする。 12

13.

荷重有無の検出方法 2/2 13 左図には,このrpとVsの関係を示す。図ではrp を横軸に電圧Vs/V0を左縦軸とした。電圧Vsは 電源電圧V0に比例するためV0で正規化してい る。図にはrsの影響を確かめるため 5MΩ,1MΩ,500kΩとした場合を示している。こ れからrs =1MΩの場合, rp =100kΩでは Vs/V0=0.9となることがわかる。 この例の場合では,Vs/V0=0.9の閾値を設ける ことで1.5N以上の荷重範囲の検出エレメントを 選択できることになる Relation between resistance rp and threshold voltage with changing rs. Also relation between resistance rp and current ratio. (R0 = 500Ω, r = 47Ω, V0 = 15V ) 荷重検出回路への影響については本論文4.1 を参照のこと

14.

実 験 14 全検出点は9点 アクリル製半球 (Φ10mm)で加圧した 実験で使用したセンサ 荷重実験(3点同時の例) Gate [V] 制御信号 センサエレメント配置 Time [ms] 制御信号(全走査方式での例)

15.

位置と荷重:①②③④電圧から求まる CoP センサは荷重分布の中心位置と荷重総和を同時に出力する A Layer ③ ① ② 電極電圧:①②③④ から求まる ⚫ 位置情報 on 選択エレメント は常にひとつ ④ X位置 ∝ Vs1-Vs3, ①-③ Y位置 ∝ Vs2-Vs4 ②-④ B Layer ⚫ 荷重情報 y 抵抗回路網型CoPセンサ x 荷重値 ∝(2V0+Vs2+Vs4)/R0 ②+④ 15

16.

実験結果(3点荷重例) 全走査方式 16 選択走査方式 X位置 Y位置 0 50 100 150 0 50 100 荷重値 60 [ms] 180 [ms] 0 50 100 150 0 50 Time [ms] Time [ms] 走査時間が3/9になった 100

17.

6. むすび 省配線,高速応答を可能とする分布型触覚センサの開発を行なった。本センサは 分布触覚情報の取得が可能であり,センサからの出力配線は分解能やセンサ面積 にかかわらず7本のみである。また選択走査方式により接触部分の荷重情報のみ を計測することが可能である。このことから本センサは,ロボット全身被覆のよ うな大面積かつ接触部分が比較的少ない場合に,配線数,応答速度,データ処理 量の面で優位性があるといえる。 今後の課題として選択走査回路の集積化がある。それにより検出エレメントと一 体化させることで,省配線・高速応答の特徴がある実用型ネット状分布型触覚セ ンサが実現可能となると思われる。 西野 高明, 下条 誠, 石川 正俊, “選択走査方式を用いた省配線·分布型触覚センサ,” 計測自 動制御学会論文集, vol. 45, no. 8, Art. no. 8, 2009, doi: 10.9746/sicetr.45.391 17

18.

(あとがき) 昔、信号の遅延に興味を持った。この信号の遅延を積極的に使うことで、 おもしろい情報処理ができるのではないかと考えた。 その一つとして、信号の遅延と触運動を組み合わせ、触運動速度によって 特性が変化する空間フィルタ型触覚センサを開発した。 これに気をよくして、荷重が有るところだけを選択的に走査する仕組みに 遅延が利用できるのではないかと考えた。狙いは、省配線と高速性である。 もちろん選択走査などは、MPU+I2Cなどで簡単に実現できる。但し、I2Cな どを使っていたのでは高速応答など無理であろう。今回使った検出エレメ ントは100nsの応答での実績がある。単一エレメント100nsでの応答性を達 成するのにI2C、SPIなどでは到底無理である。 当時は、良い遅延素子が見つからなかったため、単純なMM (Monostable Multivibrator)で試作した。結果としてスマートとは言えない回路となっ てしまったが、原理の実証は出来たと思っている。いま思うに、単位エレ メント当たりns(10-9s)オーダーでの走査を後日実現すればよかったと思っ ている。例えば、104エレメントでのμsオーダの選択走査も可能だったかも しれない。 18

19.

抵抗回路網型COPセンサの説明 19 ビデオでの説明です CoPセンサの原理及び動作の紹介 ⚫ 連続体センサ構造とポアソン方程式 ⚫ 境界値問題の解法 ⚫ ポアソン方程式の離散化 ⚫ 離散型センサと半球型CoPセンサ ビデオ(2:38) 19 https://www.youtube.com/watch?v=MFAem79rF1E