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December 26, 22
スライド概要
Angle Orthodontist (2021)の論文です。クリアアライナー治療の抜歯症例において前歯の後退は難しいとされています。それを改善するために前歯ミニスクリューとエラスティックを組み合わせFEAを用いて検討した研究です。
矯正歯科の海外最新論文をPubMedから紹介します。特にマウスピース型矯正(インビザライン)論文中心にお届けします。
マウスピース型矯正論文紹介 Effectiveness of an anterior mini-screw in achieving incisor intrusion and palatal root torque for anterior retraction with clear aligners: A finite element study Lu Liu ; Qi Zhan ; Jing Zhou ; Qianyun Kuang ; Xinyu Yan ; Xiaoqi Zhang ; Yue Shan ; Xiaolong Li ; Wenli Lai; Hu Long Angle Orthodontist, Vol 91, No 6, 2021 紹介者:矯正歯科海外論文紹介サイト https://kyousei-kaigaironbun.com
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
Introduction 【先行研究で明らかになっていること】 クリアアライナー治療(以下、CAT)は、抜歯症例における前歯の後退は難しいことが 示唆されている[1,2]。 CATとエラスティックの組み合わせによって解決できることが明らかになっている[4,5]。 前歯ミニスクリューとエラスティックの組み合わせは、前歯の後退を容易にする可能性が あるが検討されていない。 【本研究の目的】 CATの抜歯症例において、前歯のミニスクリューとエラスティックの有無による バイオメカニクスを3次元有元素解析(FEA)を用いて比較することを目的とする。
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
Materials and Methods ・永久歯列の矯正患者(U1-SN=118°)のデータを選択した ・上顎の第一小臼歯を抜歯し抜歯歯列モデルを作成した。 上顎、歯根膜、アタッチメント、アライナーを含む模型を製作し、 ソフトウエアにインポートした。 1)コントロール群(クリアアライナーのみ) 2)唇側エラスティック 3)舌側エラスティック ・倫理審査 :West China Hospital of Stomatology, Sichuan University (WCHSIRB-OT-2020-160).
Materials and Methods Liu et al.(2021)より
Materials and Methods 有限要素モデル Liu et al.(2021)より
Materials and Methods Liu et al.(2021)より
Materials and Methods Liu et al.(2021)より
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
Results Displacement Tendency of Teeth and Aligner (Unit: m) Liu et al.(2021)より
Results 第二小臼歯、犬歯、側切歯、中切歯の変位方向を示す。 ほぼ同じ 圧下 圧下、後退 圧下、後退 Liu et al.(2021)より
Results 唇側エラスティック群 側切歯、犬歯の3次元の方向は力の変化の影 響を受けなかった。 一方、中切歯は力の増加に伴い矢状方向にお いて、歯冠は唇側に歯根は口蓋側に変位した。 冠状方向において、歯根は遠心方向に歯冠は 近心方向の傾斜が生じた。 垂直方向は歯冠と歯根両方が圧下した。 舌側エラスティック群 犬歯は力の変化の影響をあまり受けなかっ た。 一方、中切歯と側切歯の矢状方向において 歯冠は唇側に、歯根は口蓋側に変位した。 冠状方向は有意な変化なし。 垂直方向では、中切歯と側切歯の歯冠は 圧下し歯根は挺出した。 Liu et al.(2021)より
Results Liu et al.(2021)より
Results Liu et al.(2021)より
Results Stress Distribution of Roots, PDL, and Alveolar (Unit: Pa 応力について コントロール群は唇側、舌側に集中 していた。 唇側エラスティック群は近遠心面に集中 していた。 舌側エラスティック群の応力は分散され ていた。 Liu et al.(2021)より
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
Discussion CATは審美性や快適性などの利点はあるが、抜歯症例においては歯の移動の予測可能性はかなり 低い[13]。そのため、本研究において唇側/舌側エラスティックの有効性を検討した。 唇側エラスティック群に比べて舌側エラスティック群は、切歯の圧下と口蓋方向のトルクを効果的 に達成し、前歯後退を促進する反時計回りのモーメントを発生することができた。 さらに、頬側開咬、切歯の歯根吸収、歯槽骨欠損の可能性が低くなったことが示された。
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
Conclusions 前歯の後退では、CATは切歯の舌側への傾斜と挺出、後方歯の近心傾斜と圧下を生じさせ、 結果として頬側の開咬の傾向をもたらした。 前歯のミニスクリュー、エラスティックの装着は、切歯の圧下と口蓋方向のトルクを効果的に 得ることができ、唇側エラスティックよりも舌側エラスティックの方が有利であった。 第2小臼歯の圧下によって頬側の開咬が生じることはあるが、舌側エラスティックの方が少な いことが明らかになった。 切歯歯根吸収と歯槽骨の喪失はCATで起こる可能性があるが、このことは唇側エラスティック より、舌側エラスティックで起こりにくかったことが示された。 Limitation FEAは矯正装置により発生するフォースシステムを解析する最良の解析方法の一つである。 しかし、臨床試験の結果とは異なる場合があるので、今後の検証が必要である。
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
References
記事監修 Dr. 堀井和宏 (Kazuhiro Horii) 日本矯正歯科学会 臨床指導医(旧専門医)・ 認定医 日本舌側矯正歯科学会 American Association of Orthodontists 〒520-0832 滋賀県大津市粟津町4-7 https://www.horii-kyousei.com