スタートアップはいつからスクラムを始めるんだろう? - RSGT2023

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January 12, 23

スライド概要

Regional Scrum Gathering Tokyo 2023 発表資料

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Agile Coach at Attractor Inc. Co-founder / Board director at CareFran Inc.

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各ページのテキスト
1.

スタートアップはいつからスクラムを始めるんだろう? Kazuyoshi Takahashi / 高橋一貴 株式会社アトラクタ アジャイルコーチ 株式会社CareFran 共同創業者/取締役

2.

高橋一貴 / Takahashi Kazuyoshi アーキテクトやスクラムマスター、ヤフーでのアジャイル開発の組織 普及、IoTスタートアップの初期サービスローンチ・運用、VPoEとして の開発組織マネジメントなどを経験。スタートアップの0→1フェーズ から10→100フェーズまでの幅広い経験から、アジャイル導入支援 のみならず、組織フェーズに応じた課題解決の支援に取り組む。 同時にスタートアップ企業の株式会社CareFranを元同僚と共同創業 し、介護をもっと軽やかにするべく奔走している。 2

3.

講演のきっかけは個人的な課題意識 ✤ アジャイルコーチとCareFran立ち上げの二足のわらじ ✤ CareFranの方はまだスクラムになっていない ✤ では、いつ頃からスクラムにすることを考えるのと良さそうだろう? ✤ スタートアップは個性の強いメンバーの集合体。どれくらい一般化できるかはわから ないけど面白そうな話題ではある 3

4.

スタートアップって? ✤ 指数関数的な成長を目指す新興企業。 ✤ 急激な成長を目指さない場合はスモールビジネスと呼ぶ ✤ どっちが良いという話ではなく、どちらを選ぶかは経営者の判断 4

5.

初期の成長ステージと状況 プロダクト 組織 市場に受け入れられて スケールが課題 20名以上 シリーズA ローンチされており、プロダクトが成長 する市場を探索 5名以上 シード 顧客課題の特定と解決策の価値を探索 し、ローンチを目指す 創業メン 投資ラウンド シリーズB以降 プロトタイプづくり バー+α 5

6.

初期の成長ステージと状況 投資ラウンド シリーズB以降 プロダクト 組織 市場に受け入れられて スケールが課題 20名以上 シリーズAあたりからはスクラムで良さそう シリーズA ローンチされており、プロダクトが成長 する市場を探索 5名以上 シード 顧客課題の特定と解決策の価値を探索 し、ローンチを目指す 創業メン プロトタイプづくり バー+α 6

7.

シード期に起こりがちなこと ✤ 事業のテーマがあったりなかったり ✤ いろんなひとの話を聞いていくうちに実現したいことが変わってくる ✤ 事業ドメインへの解像度が足りてないゆえに楽観的 ✤ プロトタイプを作るにもメンバーがいない ✤ そもそも創業者自身もフルタイムじゃなかったりして意外と進捗がゆっくりな場合も 7

8.

シード期のスクラム プロダクト ✤ ユーザーインタビューやちょっとした調査でPBLが陳腐化するような発見がある ✤ 事業ドメインの解像度は走りながら上がる。アウトカムの取捨選択と実装が同時並行 で起こる ✤ つまりスプリントがまともに終わらない。だいたい中断すべきことが起きる 組織 ✤ メンバーがごく少数で、意思疎通が暗黙知ベースで行われる。プロダクトゴールのよ うな大きな方向性に合意できていればやるべきことの認識が揃えられる 8

9.

クネビンフレームワーク (状況認識と意思決定モデル) ハーバード・ビジネス・レビュー 2008年3月号 https://dhbr.diamond.jp/articles/-/495 9

10.

クネビンフレームワーク (状況認識と意思決定モデル) 問題を把握するために試行錯誤 (探索)を行い、それによって状況 を把握・理解する領域。そのあと に次の対応を考えていく。この場 合、うまくやる方法はあとからわ かることになる 10

11.

クネビンフレームワーク (状況認識と意思決定モデル) 革新的なことが求められる領域 で正しい答えもわからないので、 まず行動してから理解していくし かない領域。既存の知識が役に 立たないこともある 11

12.

クネビンフレームワーク (状況認識と意思決定モデル) ごく初期のスタートアップはここ 12

13.

クネビンフレームワーク (状況認識と意思決定モデル) スクラムが向いているとされる 問題領域はここ 13

14.

クネビンフレームワーク (状況認識と意思決定モデル) どのタイミングで主要な 問題領域がシフトするのか? どのタイミングで問題領域がシ フトしうるのか? 14

15.

プロダクトの成長段階 Customer / Problem Fit 顧客の課題発見・理解 Problem / Solution Fit 顧客課題の解決とその価値を検証 Solution / Product Fit 課題解決策のプロダクトとしての実現性を検証 Product / Market Fit プロダクトが大きな市場に受け入れられるか検証 スタートアップ・フィット・ジャーニー 今どの段階にいて、何に取り組むべきかのガイド https://review.foundx.jp/entry/startup- t-journey より作成 fi 15

16.

再掲:シード期のスクラム ✤ ユーザーインタビューやちょっとした調査でPBLが陳腐化するような発見がある ✤ 事業ドメインの解像度は走りながら上がる。アウトカムの取捨選択と実装が同時並行 で起こる ✤ つまりスプリントがまともに終わらない。だいたい中断すべきことが起きる ✤ メンバーがごく少数で、意思疎通が暗黙知ベースで行われる。プロダクトゴールのよ うな大きな方向性に合意できていればやるべきことの認識が揃えられる 16

17.

スクラムをやりづらくする要因 シード期のスプリントを止める主な要因は何か ✤ 解決すべき課題が不安定 ✤ 解決方法とその価値が不明 ※意思疎通が暗黙知ベースで行われるのは、メンバーが増えることによって形式知化の力学が働くので本質 的にはブロッカーと考えていない 17

18.

スクラムをやりづらくする要因 シード期のスプリントを止める主な要因は何か ✤ 解決すべき課題が不安定 ✤ 解決方法とその価値が不明 この解決が Problem / Solution Fit 18

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プロダクトの成長段階とスクラムを始めるタイミング 実際にはプロダクトでの実現方法を探索する場合にもスプリントが不安定になるので、 スクラムを始めるのはSolution / Product Fit に入って少し経ってから Customer / Problem Fit 顧客の課題発見・理解 Problem / Solution Fit 顧客課題の解決とその価値を検証 Solution / Product Fit 課題解決策のプロダクトとしての実現性を検証 Product / Market Fit プロダクトが大きな市場に受け入れられるか検証 19

20.

始めるタイミングはどう知る? Problem / Solution Fitから、 Solution / Product Fit フェーズへの移行は意思決定で もあるため判断が可能 ✤ アウトカムが生まれるまでの作業の安定性に着目 ✤ もしくは数スプリント試す ✤ 組織規模はPBL/SBLの管理方法を変えうるがスクラムの実現要否に影響なし 20

21.

Problem / Solution Fit以前はスクラムは役立たずか ✤ 社内に安心して頼れる原理原則がないスタートアップにスクラムの原理原則は役立つ ✤ 特にスクラムの3本柱と5つの価値基準は行動指針として活用可能 確約(Commitment) 透明性 集中(Focus) 公開(Openness) 適応 検査 尊敬(Respect) 勇気(Courage) 21

22.

さいごに ✤ 事業、プロダクト、プロセス、組織、ファ イナンスあらゆる側面で不確実性が高 いのがスタートアップ ✤ 失敗による学習の積み上げが前提 ✤ スタンスをとって行動し、行動によって 明らかになった方向へ過去との一貫性 を気にせずに向かう チ。―地球の運動について― 第1集 22