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April 14, 26
スライド概要
令和8年度診療報酬改定で、胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるNSAIDs投与中の患者が特定疾患療養管理料の算定対象外となります。NDBデータに基づく改定の背景、別表第一の具体的な変更内容、既存患者の算定可否フローチャート、システム改修と処方把握の実務対応ステップを、医療機関経営者・医師・レセプト担当者向けにスライドで解説します。
メルマガ『令和8年度改定|特定疾患療養管理料の対象疾患にNSAIDs除外ルールが追加』:https://www.daitoku0110.news/p/specific-disease-management-nsaids-exclusion
チャットでの質問はこちら:https://notebooklm.google.com/notebook/54f06874-4b5e-4e4b-883a-cb96f4e64996
病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用
対象読者:医療機関経営者・医師・レセプト担当者向け解説 令和8年度診療報酬改定の要点 特定疾患療養管理料における「胃潰瘍・十二指腸潰瘍へのNSAIDs除外ルール」とその実務対応
本改定が医療現場に求める3つの要点 変更内容 (What) 令和8年度より、NSAIDsを投与中の「胃潰瘍・十二指腸潰瘍」患者は、特定疾患療養管理料の算定対象外となります。 背景 (Why) 消化性潰瘍への投与が「禁忌」である薬剤 (NSAIDs) の処方と、「計画的な療養管理」を評価する制度趣旨との矛盾を是正するためです。 実務対応 (Action) 該当患者のNSAIDs処方状況 (他科処方含む) の監査、主病名の見直し、およびレセプト・電子カルテシステムの設定更新が急務となります。
制度趣旨と処方実態の「矛盾」がルールの厳格化を引き起こす 制度の本来の趣旨 特定疾患療養管理料 プライマリケアを担うかかりつけ医による「計画的で適切な療養・服薬・栄養管理」の評価。 NDBデータが示した実態 禁忌薬 (NSAIDs) の処方 消化性潰瘍のある患者への投与が「禁忌」とされている薬剤 (ロキソプロフェン等) を投与しながら、潰瘍の療養管理料を算定。 禁忌薬を投与しながら「適切な療養管理」を評価する管理料を算定することは、制度の趣旨にそぐわないと判断されました。
NDBデータによる精緻なターゲティング:約18.5万人のうち6.5%が該当 100% 全算定患者:約880万人 (特定疾患療養管理料を算定している全患者 / 令和6年7月診療分) 2.1% 胃潰瘍関連患者:約18.5万人 (主病名が「胃潰瘍」に関連する患者) 6.5% 該当者の6.5% NSAIDs内服薬の調剤患者 (禁忌薬を処方されているターゲット層) 割合はわずかであっても、国はレセプトデータ (NDB) を活用し「不適切な管理」を正確に捕捉・是正するデータ駆動型の改定フェーズに入っています。
対象疾患リスト (別表第一) の具体的な改定内容 現行 (令和6年度まで) 記載方法:独立した疾患名として記載 ・胃潰瘍 ・十二指腸潰瘍 算定可否:無条件で算定可能。 改定後 (令和8年度から) 記載方法:統合および「括弧書き」による除外条件の追加 ・胃潰瘍及び十二指腸潰瘍 (消化性潰瘍のある患者への投与が禁忌である非ステロイド性抗炎症薬の投与を受けている場合を除く。) 算定可否:NSAIDsの投与を受けている患者については、主病としての算定が不可となる。
除外ルールの対象範囲:影響は「胃潰瘍・十二指腸潰瘍」に限定 変更あり (NSAIDs処方時の算定不可) ・胃潰瘍 ・十二指腸潰瘍 ※これらの病名で算定している場合は、直ちに処方内容の監査が必要です。 変更なし (既存ルールのまま算定可能) ・胃炎及び十二指腸炎 ・悪性新生物 ・虚血性心疾患 ・喘息 など ※類似疾患である「胃炎」などには今回のNSAIDs除外ルールは適用されません。
令和6年度から続く対象疾患の「厳格化」トレンド 令和6年度 (2024) - 対象の大幅な整理 ・生活習慣病 (糖尿病、高血圧性疾患) の除外 ・脂質異常症の限定化 (家族性高コレステロール血症等の遺伝性疾患等へ) ・アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群の追加 令和8年度 (2026) - 処方実態との整合性 ・胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるNSAIDs処方患者の除外 (禁忌薬投与の排除) 特定疾患療養管理料は、単なる「慢性疾患のリスト」から、「真にプライマリケアでの計画的な管理が必要かつ、適切な状態にある患者」に限定する方向へシフトしています。
実務対応ステップ(1):既存患者の算定可否フローチャート 患者の主病名に「胃潰瘍」または「十二指腸潰瘍」が含まれているか? [NO] 現状維持 (他疾患の要件に従う) [YES] NSAIDs (ロキソプロフェン、ジクロフェナク、イブプロフェン等) を内服しているか? ※自院処方だけでなく、他科処方も含む [NO] 算定継続可能 [YES] 他の対象疾患 (高尿酸血症、喘息など) が主病として該当するか? [YES] 主病名を見直し、該当疾患で算定を継続 [NO] 特定疾患療養管理料の算定不可 (除外対象)
実務対応ステップ(2):システム改修と処方把握の徹底 システム側の対応事項 電子カルテ・レセコンの更新 ・改定内容に対応したマスタ設定の更新。 ・システムベンダーからのアップデート情報を確認し、施行日までに完了させる。 ・「病名 (潰瘍) × 処方薬 (NSAIDs)」の組み合わせを検知する自動算定ブロック・警告ロジックの導入。 院内プロセスの対応事項 他科処方の確実な把握 ・ロキソプロフェン、ジクロフェナク、イブプロフェンなど該当薬剤のリストアップと周知。 ・お薬手帳の確認徹底 (特に整形外科など、他院からの痛み止め処方の見落としを防ぐ)。 ・問診時の内服薬確認フローの再構築。
「病名漏れ」の管理から、「臨床の整合性」が問われる時代へ 今回の改定は、NDBデータの精緻な分析に基づき、「禁忌薬の処方」と「療養管理」の矛盾を突いたピンポイントな見直しです。 今後のクリニック経営においては、単に算定要件の病名を機械的に付けるのではなく、実際の「処方内容」「他科受診の状況」「指導内容」が、算定要件の趣旨と完全に整合しているかを常に監査する体制が不可欠となります。