Helpfeelでの新しいプロダクトの生み方と育て方

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August 26, 24

スライド概要

Helpfeel Tech Conf 2024 での発表資料です。

新しいプロダクトが生まれる瞬間や育て方、エンジニアドリブンでPMF成功したプロダクト開発の秘話、研究と顧客ニーズに焦点を当てた話

イベント詳細:
https://techconf2024.helpfeel.com/

発表資料の一覧:
https://scrapbox.io/HelpfeelTech/Helpfeel_Tech_Conf_2024

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京都のだいずです。Helpfeelを作っています。ソフトウェア作家を名乗っていきたい。SVGが大好き。

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各ページのテキスト
1.

Helpfeelでの新しいプロダクトの ⽣み⽅と育て⽅ Helpfeelチーム エンジニア daiiz 1

2.

⾃⼰紹介 ● daiiz ○ @daizplus ○ https://scrapbox.io/daiiz/ ● ソフトウェアエンジニア ● ○ 2017年 Cosenseサマーインターン参加、⼊社 ○ 2019年〜 Helpfeelを開発 個⼈開発 https://books.daiiz.dev/ ○ 検索システムの⾃作 ○ SVG画像の可能性の探究 2

3.

アジェンダ ● Helpfeelの紹介 ● Helpfeel社で新しいプロダクトが⽣まれる瞬間 ● ケーススタディ ○ 事例1: 問い合わせフォームと分析機能 ○ 事例2: ユーザーマニュアル検索 ○ 各事例での考察 ● 研究中の発展ソリューション ● まとめ ⽣み⽅ 育て⽅ ⽣み⽅ 3

4.

Helpfeelの紹介 検索型FAQ ● ⾃⼰解決率向上、問い合わせ削減 ● FAQ以外にも検索対象を拡⼤中 ● ユーザー⾃⾝の⾔葉で直感的に探せる https://help-ja.gyazo.com/ 4

5.

Helpfeelの紹介 意図予測検索アルゴリズム ● アイデア: ⽂書拡張 ● 記事に質問⽂を記述 ● ○ 正規表現ライクな⽂法 ○ ? 画像を (検索|探)したい ○ ? (保存|アップロード )された (画像|写真)を見る 索引 検索語彙を拡張して効率的に記事に誘導 5

6.

Helpfeelの紹介 クエリ拡張(⼀般的な⼿法) 🔍 届かない 未達 不達 遅延 … ⽂書拡張 返⾦⽅法の ご案内 ? 商品が届かない 距離 ⼤ ? 期日を過ぎている ? 不良品が届いた 来ない 追跡 ? 色違いが来た 🔍 壊れている 🔍 届かない 🔍 うごかない ? 期待通り動かない 誘導したい記事 ? いつまでも来ない 6

7.

Helpfeelの紹介 ⽂書拡張 ● アイデア: ⽂書拡張 画像の検索 検索 探す 7

8.

Helpfeelの紹介 ⽂書拡張 画像の検索 8

9.

アジェンダ ● Helpfeelの紹介 ● Helpfeel社で新しいプロダクトが⽣まれる瞬間 ● ケーススタディ ○ 事例1: 問い合わせフォームと分析機能 ○ 事例2: ユーザーマニュアル検索 ○ 各事例での考察 ● 研究中の発展ソリューション ● まとめ ⽣み⽅ 9

10.

Helpfeel社で新しいプロダクトが⽣まれる瞬間 プロダクト誕⽣の主な2つの経路 ● ● ① テクニカルフェロー 増井さんによる発明 ○ Gyazo ○ Cosense ○ Helpfeel ② 開発現場でのニーズの発⾒ ○ 各プロダクトでの継続的な改良と新機能の開発 10

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Helpfeel社で新しいプロダクトが⽣まれる瞬間 テクニカルフェロー 増井さんによる発明 ● ● Gyazo、Cosense、Helpfeel ○ ⻑期のドッグフーディングを経て製品化 ○ 各製品が有機的に連携 例: Helpfeel ≒ Cosense + 展開ヘルプ ○ Cosenseで積み上げられたナレッジを、正規表現による柔軟な 索引付けによって直感的に検索可能したもの 増井さんの発想法 💭 展開ヘルプの論文 増井さんの発想法を掘り下げる-次々と便利なサービスを生みだす方法(Tech Conf 2021) 11

12.

Helpfeel社で新しいプロダクトが⽣まれる瞬間 開発現場でのニーズの発⾒ ● ⾃分たちの製品の⼀番熱⼼なユーザーになる ● お客様、営業‧ライターチームの要望から解くべき課題を探る ● 製品を磨き上げている過程で次の⼀⼿が⽣まれる 12

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Helpfeel社で新しいプロダクトが⽣まれる瞬間 開発現場でのニーズの発⾒ 新機能を提案できるエンジニアになるには? ● 適⽤可能な領域を探し続ける ○ ● アイデアの 試作 ⇄ 検証 を⾼速に繰り返す ○ ● ⾃分たち専⾨技術(e.g. 情報検索とUI)に徹底的に向き合う ⼀発でマーケットフィットするとは限らない 並⾏して新技術にもキャッチアップする ○ 最初から完璧を求めない ○ クールな技術が登場したら置き換えればいい(e.g. LLM) 13

14.

Helpfeel社で新しいプロダクトが⽣まれる瞬間 開発現場でのニーズの発⾒ ケーススタディ ● 事例1: 問い合わせフォームと分析機能 ● 事例2: ユーザーマニュアル検索 14

15.

アジェンダ ● Helpfeelの紹介 ● Helpfeel社で新しいプロダクトが⽣まれる瞬間 ● ケーススタディ ○ 事例1: 問い合わせフォームと分析機能 ○ 事例2: ユーザーマニュアル検索 ○ 各事例での考察 ● 研究中の発展ソリューション ● まとめ 育て⽅ 15

16.

事例1: お問い合わせフォームと分析機能 意図予測検索搭載フォーム ● 書きながら探すアプローチ ● フォーム⼊⼒中に回答を提⽰ ● ⽂字⼊⼒するたびにFAQが絞り込まれる ● 本質的な問い合わせ⽂章の作成⽀援 ● 送信前の⾃⼰解決を実現 https://www.helpfeel.com/landing-helpfeel-contact 16

17.

事例1: 問い合わせフォームと分析機能 お問い合わせの分析 ● ⾃⼰解決率の向上のためのFAQ改善を⽀援 ● 匿名化された問い合わせ内容を分析 ● 問い合わせキーワードの傾向を観察 ● 記事を充実させるべき項⽬やユーザー需要 のトレンドを把握 https://www.helpfeel.com/helpfeel-ai 17

18.

事例1: 問い合わせフォームと分析機能 機能開発での技術的チャレンジ ● 意図予測検索の拡張 ○ ● ⼊⼒: 単語 → ⾃然⽂ ⻑い⽂章から意図を汲み取るのは難しい ○ アルゴリズムとUIの両⾯からアプローチ ○ 現実的なコストでバランスよく実現したい 18

19.

事例1: 問い合わせフォームと分析機能 機能開発での技術的チャレンジ ● 意図予測検索の拡張 ○ ● ⼊⼒: 単語 → ⾃然⽂ ⻑い⽂章から意図を汲み取るのは難しい ○ アルゴリズムとUIの両⾯からアプローチ ○ UI: ⻑⽂の⼊⼒が不要になるような⼯夫 ■ 理解したトピックをフィードバック 19

20.

事例1: 問い合わせフォームと分析機能 機能開発での技術的チャレンジ ● 意図予測検索の拡張 ○ ● ⼊⼒: 単語 → ⾃然⽂ ⻑い⽂章から意図を汲み取るのは難しい ○ UI: ⻑⽂の⼊⼒が不要になるような⼯夫 ○ アルゴリズム: TF-IDFベースで重み付け ■ 特徴的な動詞や質問⽂の単語を重視 ■ ⽂章の後⽅部を重視 ■ インクリメンタル検索 ⽂との距離に基づいて特徴語 の影響⼒を調整することで、 話題の遷移に対応する 20

21.

事例1: 問い合わせフォームと分析機能 機能開発での技術的チャレンジ ● 意図予測検索の拡張 ○ ● ⼊⼒: 単語 → ⾃然⽂ ⻑い⽂章から意図を汲み取るのは難しい ○ UI: ⻑⽂の⼊⼒が不要になるような⼯夫 ○ アルゴリズム: 意図予測検索2 New! ■ ベクトル検索 ■ 問い合わせと質問⽂の意味的な距離の近さで サジェストできるようになった! 21

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事例1: 問い合わせフォームと分析機能(考察) ソリューション開発の着眼点 ● 💡 問い合わせ削減 ○ ● ”送信⼿前で最後のチャンスをつくれないか” 💡 分析と改善⼿法の強化 ○ 件数の推移を可視化して減少を実感 ○ ボリュームの多い問い合わせを特定することで、 効率よくFAQを拡充できる ○ エンドユーザーの潜在的ニーズの発掘 22

23.

事例1: 問い合わせフォームと分析機能(考察) ソリューション開発の着眼点 ● 💡 問い合わせ削減 ○ ● ”送信⼿前で最後のチャンスをつくれないか” 💡 分析と改善⼿法の強化 ○ 件数の推移を可視化して減少を実感 ○ ボリュームの多い問い合わせを特定することで、 効率よくFAQを拡充できる ○ → 💡(発展)記事フィードバックフォーム機能 ■ 社内FAQを効率的にブラッシュアップ 試作時点のスクリーンショット 23

24.

アジェンダ ● Helpfeelの紹介 ● Helpfeel社で新しいプロダクトが⽣まれる瞬間 ● ケーススタディ ○ 事例1: 問い合わせフォームと分析機能 ○ 事例2: ユーザーマニュアル検索 ○ 各事例での考察 ● 研究中の発展ソリューション ● まとめ ⽣み⽅ 24

25.

事例2: ユーザーマニュアル検索 PDF検索 ● 複数のPDF⽂書を串刺しで検索 ● ⼯業製品マニュアルから社内規定ま で、幅広く利⽤可能 ● マニュアル利⽤状況を分析し、業務 の効率化をサポート https://www.helpfeel.com/user-manual 25

26.

事例2: ユーザーマニュアル検索 機能開発のきっかけ ● ● 🤔 “⼯業製品のPDFマニュアルを検索したい” ○ 営業チーム : Helpfeelの検索と相性が良さそうなのだが ○ ライターチーム: 各ページをCosense化する従来⼿法は難しい → 最初のプロトタイプを1⽇で作る ○ 課題を洗い出して本質に迫る ○ 問題を⾒つけては作り直す、繰り返し 26

27.

事例2: ユーザーマニュアル検索 機能開発の課題の例 ● PDFファイルをどのように扱うか? ● 質問⽂をどこに書くか? ● Helpfeelが提供できる付加価値は? 27

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事例2: ユーザーマニュアル検索 機能開発の⽅針 ● ● PDFファイルをどのように扱うか? ○ → そのまま使う ○ HTML、Cosense形式に変換しない 質問⽂をどこに書くか? ○ ● → Cosense Helpfeelが提供できる付加価値は? PDF⽂書とCosenseのコラボレーション 28

29.

事例2: ユーザーマニュアル検索 機能開発の⽅針 ● ● PDFファイルをどのように扱うか? ○ → そのまま使う ○ HTML、Cosense形式に変換しない PDF v1 v2 質問⽂をどこに書くか? ○ ● PDF 時間 → Cosense Helpfeelが提供できる付加価値は? ○ → 補⾜的なFAQをCosenseに書ける ○ PDF⽂書の改版周期を待たずにいち早く検索可能 29

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事例2: ユーザーマニュアル検索(考察) ソリューション開発の着眼点 ● ● 💡 既存のナレッジ資産を有効活⽤する ○ 必要⼗分な情報が綺麗にレイアウトされている ○ ⼆重メンテナンスになるのを避ける 💡 Wiki的にナレッジを蓄積できるメリットを組み合わせる ○ PDF⽂書を基本にしながら、補助的にCosenseを活⽤ ○ より⼿軽に情報更新できる環境を提供 ○ エンドユーザーは両者の違いを意識しなくていい 30

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研究中の発展ソリューション 質問⽂の⽣成 FAQのドラフト⽣成 LLMを活⽤して記事を理解し、検索候補と して提⽰する質問⽂を端的にまとめる技術 問い合わせの回答記録や断⽚的なメモから 適切な粒度でFAQ記事を作成する技術 頻出トピックの抽出 全⽂意図予測検索 膨⼤なテキストデータの全体像を把握し、 ⾃⼰解決率を⾼める洞察を提供する技術 FAQ記事やPDF⽂書から得られるナレッジを 整理して適切な検索結果を⽣成する技術 31

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まとめ ● ● ● ⽣み⽅ 解くべき課題の発⾒ ○ “現状できていること”の⼀歩だけ外側を考えてみる ○ ときどき無茶な要望を想定して考えてみる 育て⽅ ⾃問⾃答の繰り返し ○ 価値を届けるために⾜りていないパーツは ○ 製品の旨味をさらに引き出すには 良いソリューション開発は次に繋がる 32