GAAD Japan 2026 セッション1「やさしく学ぶウェブアクセシビリティ」登壇スライド

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May 22, 26

スライド概要

GAAD(Global Accessibility Awareness Day)は、デジタル分野(ウェブ、ソフトウェア、モバイルなど)のアクセシビリティを考える日として、2012年からスタートした世界的な取り組みです。5月の第3木曜日をGAADの日として、毎年、世界各地でさまざまなイベント等が開催されており、今年、GAAD Japan 2026 は、5月21日(木)に開催されました。

GAAD Japan 2026 では『やさしく学ぶウェブアクセシビリティ』と題したセッションで、初学者の方を対象に「ウェブアクセシビリティとは何か」「なぜ取り組む必要があるのか」といった、ウェブアクセシビリティに取り組む上で最も基本となる知識についてお話ししましたが、その際に使用したスライドです。

文字起こしを含む記事は以下で公開しています。
https://burnworks.com/news/article/503/

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Web Director / Web Developer, in Tokyo Japan.

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各ページのテキスト
1.

GAAD JAPAN 2026 セッション1 やさしく学ぶウェブアクセシビリティ バーンワークス株式会社 代表取締役 加藤 善規

2.

登壇者について 加藤 善規 (かとう よしき) バーンワークス株式会社 代表取締役 主な事業 • ウェブアクセシビリティ対応を強みとした • ウェブサイト制作 • ウェブシステム開発 • コンサルティング など

3.

セッション1の内容 • ウェブアクセシビリティとは何か • なぜ取り組む必要があるのか について、難しい専門用語を使わずに30分でお話しします。

4.

本日お話しすること • ウェブアクセシビリティとは何か • ウェブアクセシビリティは誰のためのものか • ウェブアクセシビリティになぜ取り組むべきなのか

5.

本日お話ししないこと • ウェブアクセシビリティガイドラインの解説や関連する法令の紹介 • 具体的な設計、デザイン、実装方法などの解説やテクニック紹介 「How(ハウ)」:どのように行うのか ではなく 「Why(ホワイ)」:なぜそれをするのか についてお話しします。

6.

本日感じていただきたいこと 「より多くの人々にとって利用しやすい」 • より多くのユーザーに使っていただける • より多くのユーザーのニーズを満たす 皆さんが関わるウェブコンテンツの価値が大きく向上する

7.

次のような誤解を解きたい • ウェブアクセシビリティ対応は障がい者や高齢者など 一部のユーザーのために配慮してあげることである • ウェブアクセシビリティ対応はコスト(出費)で、儲からない • ウェブアクセシビリティ対応は制作現場の仕事で 経営層やマネジメント層には関係ない

8.

ウェブアクセシビリティとは何か

9.

ウェブアクセシビリティとは ウェブコンテンツが、 特性や能力の異なる、より多くの人々にとって 利用しやすいこと 「すべての人が」「どんな人でも」

10.

ウェブアクセシビリティは誰のため? 利用者全体 特定の利用者 特定の属性を持ったユーザーにフォーカスしすぎない

11.

ウェブアクセシビリティはすべての人のため ウェブアクセシビリティ対応を、特定の「属性」をもつユーザーを対 象とした取り組みではなく、 ウェブサイトを利用するすべてのユーザーの「ニーズ」に対して取り 組むものと捉える

12.

視覚に何らかの障がいがある人のニーズ • スクリーンリーダーだけでウェブサイトを使いたい • 点字でウェブサイトを読みたい • キーボードだけでウェブサイトを使いたい • 自分が読みやすいように文字のサイズを変えたり、 文字色や背景色をカスタマイズしたい • 画面の一部を大きく拡大した状態で使いたい • 画面上を探し回らなくてよいように、 関連する情報同士は近くに配置して欲しい

13.

さらに障がいから離れてニーズを探る • マウスカーソルをうまく動かせないのでキーボードや音声操作でウェブ サイトを使いたい • 色が薄いと文字が読めないのでハッキリした色を使って欲しい • 画面上に文字が多すぎると読むのに疲れてしまうのでやめてほしい • ぱっと見てリンクやボタンがわかるようにしておいて欲しい • 動いているスライドショーはうまく操作できないので困る

14.

さらにニーズを深掘りする • パソコン、スマートフォン、タブレットでも同じようにウェブサイトを使いたい • マウスで操作するよりキーボードで操作するのが好み、あるいは作業効率がよい • 料理中、レシピサイトを音声アシスタントやAIに読み上げてもらいたい • 車での通勤中、ニュースサイトを音声で読み上げながら日課の情報収集をしたい • イヤホンを忘れたけれど、通勤電車内で音声をミュートして動画を観たい • 日本語ネイティブではないので、日本語のウェブサイトをAI翻訳して理解したい

15.

ウェブアクセシビリティに取り組む目的 ユーザーの多様なニーズに対応することにより、 「より多くの人々にとって利用しやすい」状態を 実現すること ウェブアクセシビリティはウェブコンテンツにおける最も基本的な要件

16.

ウェブアクセシビリティとユーザビリティの違い

17.

ユーザビリティとは 特定のユーザーが特定の利用状況において、 システム、製品又はサービスを利用する際に、 効果、効率及び満足を伴って特定の目標を達成する度合い JIS Z 8521:2020 より

18.

ウェブアクセシビリティとユーザビリティ ウェブアクセシビリティ ユーザビリティ 特定のターゲットに絞ることなく、すべてのユー ターゲットとなるユーザーを決め、そのターゲッ ザーの多様なニーズに対応することを目的とす トユーザーが最も使いやすいようにチューニン るもの グしていくイメージ

19.

土台作り(裾野)と満足度向上(高さ) ユーザビリティ (特定のユーザーの満足度を高める) ウェブアクセシビリティ (利用できる人の数を増やす)

20.

ウェブアクセシビリティの欠如が招くもの

21.

ウェブアクセシビリティが欠如すると 一定数のユーザーが、 そのウェブサイトが提供する情報や機能を 「使えない」あるいは「使いにくい」状態に 結果的にユーザーの一部を排除してしまうことに

22.

自覚的か無自覚かに関わらず…… 一部のユーザーに対して利用上の困難を与え、 結果的にウェブサイトやサービスの利用を諦めさせてしまう 機会損失の発生

23.

障がいの社会モデルと医学モデル 社会モデル • 障がいを社会の側にある物理的・制度的・意識的な 障壁によって生み出される問題としてとらえる • 問題の原因を社会環境に求める • 社会の障壁を取り除くことで解決を目指す • 「社会を障がい者に適応させる」という発想 医学モデル • 障がいを個人の身体的・精神的な機能の欠損や異 常としてとらえる • 問題の原因を個人に求める • 治療やリハビリテーションによって 「正常」に近づけることを目指す • 「障がい者を社会に適応させる」という発想

24.

制作者にとって重要な視点 あるユーザーがウェブサイトを使えないのは ユーザーの責任ではなく、 ウェブサイト制作者側の問題である 障がいの社会モデルで考える

25.

ウェブアクセシビリティに取り組む経済的メリット

26.

ウェブアクセシビリティはコストか? ウェブアクセシビリティにお金や時間をかけても、 「売上」など「経済的メリット」に直結しない? ウェブアクセシビリティへの取り組みは 強力なマーケティングであり、重要なマネタイズポイント

27.

ウェブアクセシビリティの経済的メリット 1. 市場拡大効果 2. ブランド価値の向上 3. コスト削減メリット 4. リスク回避効果

28.

1. 市場拡大効果 ー 潜在顧客の獲得 • 障がい者の数は全世界で約13億人(世界人口の約16%) • 障がい者とその家族や友人を含めた購買力、市場規模は 推定13兆ドル、日本円で約2000兆円 • 日本国内では推定1164.6万人(人口の約9.3%) ウェブアクセシビリティへの投資は障がい当事者だけでなく、 その家族や友人のブランドロイヤルティを高める

29.

1.市場拡大効果 ー 高齢者市場への対応 • 日本は65歳以上が人口の約30%を占める超高齢社会 • 高齢者のウェブ利用は成長市場 ウェブアクセシビリティへの投資は高齢者市場対応において重要 競合他社に対する差別化ポイントとなり得る

30.

1.市場拡大効果 ー 顧客との接点増加 アクセシブル = マシンリーダブルなコンテンツ • SEO 効果 • AI 検索やAIエージェントによる情報処理への適応 新たな顧客接点の増加

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2. ブランド価値の向上 • 企業イメージの向上 • 社会的責任を果たす企業としての評価を高める可能性 • 顧客や投資家からの評価向上、採用活動での優位性獲得など • 差別化要因の強化 • 競合他社との差別化ポイントとなり得る可能性 • 顧客ロイヤリティの向上 • すべてのユーザーを大切にする企業として 長期的な信頼関係を構築可能

32.

ブランド価値向上における重要な視点 誰もが等しくウェブコンテンツを利用できるようにすることで、 企業と顧客の両方にとって Win-Win の関係が成り立つ ウェブアクセシビリティに取り組むことは当然の経営判断

33.

3. コスト削減メリット • サポートコストの削減 • 「使えない」「使いにくい」というネガティブな問い合わせ 苦情などの減少 • 個別サポートによって生じる無駄なコストを削減 • 開発効率の向上 • 標準化された制作・開発工程による生産性の向上 • ウェブサイト品質の安定による品質管理コストの削減

34.

コスト削減における重要な視点 ウェブアクセシビリティに取り組むことで、組織全体の生産性を高 めることが可能 生産性の向上によるコスト削減効果や競争力強化

35.

4. リスク回避効果 • 法的リスクの軽減 • 法令などに基づく訴訟リスクの低減、訴訟対応コスト削減 • レピュテーションリスク(悪評リスク)の回避 • ウェブアクセシビリティ上の問題による ユーザー排除を理由とした炎上などの回避 • 将来の法整備への対応 • ウェブアクセシビリティ対応の義務化など、より厳しい法整備への準備

36.

経済的メリット おさらい 1. 市場拡大効果 2. ブランド価値の向上 3. コスト削減メリット 4. リスク回避効果 経営層のウェブアクセシビリティ投資に対するコミットメントが必要

37.

本日お話ししたこと • ウェブアクセシビリティとは何か • ウェブアクセシビリティとユーザビリティの違い • ウェブアクセシビリティの欠如が招くもの • ウェブアクセシビリティに取り組む経済的メリット 1. 市場拡大効果 2. ブランド価値の向上 3. コスト削減メリット 4. リスク回避効果

38.

覚えておいていただきたいポイント ウェブアクセシビリティは、 すべての人がウェブコンテンツを利用しやすくするための土台作りであり、 ウェブコンテンツにおける最も基本的な要件である ウェブアクセシビリティの軽視は、大きな機会損失を生む ユーザーがウェブコンテンツを利用できない、利用しにくい状況は、 ウェブサイトを提供する側が作りだしている問題である

39.

覚えておいていただきたいポイント(続き) ウェブアクセシビリティへの取り組みは、「コスト」ではなく重要な「投資」である ウェブアクセシビリティへの投資は、 潜在顧客との接点を増やしたり、顧客のブランドロイヤルティを強化する ウェブアクセシビリティへの投資は、長期的に企業の価値を高めていく

40.

最後に • ウェブアクセシビリティ対応は、制作現場だけ、経営層だけ、など 一部の人達だけでは進みません • ウェブコンテンツに関わるすべての人のコミットメントが必須です • 今日のお話の中で「自分たちにも関係あるかも」と感じた点があ れば、ぜひ仲間内や職場で、ウェブアクセシビリティを話題にして みてください

41.

さらに深く学びたい方へ 書籍 いちばんやさしいウェブアクセシビリティの教本 加藤 善規 著

42.

ご清聴ありがとうございました