西洋美術史ゼミ第十一回:バロック美術・ロココ美術(事前資料)

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May 02, 22

スライド概要

隔週程度で行っている、世界史と西洋美術史の勉強会のスライドです。私は理系の学生なので厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けたつもりです。今回はバロック美術・ロココ美術について扱っています。このスライドは発表の事前資料で、世界史についてまとめたものです。美術についてはまた別のスライドがアップロードされる予定です。以下のURLからスライドと補足資料をダウンロードできます。
https://github.com/amazuun/Art_of_Europe

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理系の大学生です。近代以降の美術史や思想史、現代美術について興味があります。厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けています。後の物の方が出来が良いので、最新のものを最初に読むことをお勧めします。githubからはスライドと補足資料をダウンロードできます。参考文献は補足資料に記載しています。

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各ページのテキスト
1.

事前 西洋美術史ゼミ 第11回 バロック美術・ロココ美術 発表者 あまずん 1

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発表者について あまずん Twitter : @quii_w (メイン) @amazuunsc(サブ) 理系の大学生(数学専攻)をやっています。 近代以降の美術史や思想史、現代美術について 興味があります。 2

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ゼミについて • 週1回程度で美術出版社「増補新装 カラー版 西洋美術史」を一章ずつ 読み進め、内容をまとめ発表します。 • また、高校世界史に沿う形で当時の 出来事についても説明します。 • そのため、世界史と美術史を同時に 学ぶことができるため、歴史が好き な方も美術が好きな方も学びを深め ることができます。 3

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はじめに • このスライドは第十一回の事前資料です! • 近代化によってあまりに多くの出来事が短い期間で起こるよう になり、世界史と美術史を同時に扱うにはどうしても尺が足り なくなりました。そのため、世界史が重い場合はこのように事 前資料を配布して、発表では美術史メインで話すことにしよう と思います。 • とはいえ発表内でも軽くは触れるつもりなので、無理して読む 必要はありません。 • しかし、作業量がかなり増えるため、美術史の資料が間に合わ なかった場合は世界史をやると思います……。 4

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前回の内容 • 宗教的な普遍的権力が動揺し、経済 的・軍事的な重要性から主権国家が 形成され始めた。 • そのような状況下で新教と旧教の対 立による三十年戦争が始まり、次第 に大規模な戦争に発展していった。 • カラヴァッジョの登場により、劇的 で動的なバロック美術の扉が開いた。 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》

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全体の概略 • 三十年戦争が終わったあと、複数の主権国家が互いに国府の増 大を目指して重商主義政策をとり、植民地をめぐってヨーロッ パ内外で争いを繰り返した。 • そして、18世紀のヨーロッパでは海外との繋がりがより緊密に なり、その過程で近代化も進んだ。この過程で、上から君主主 導の改革をおこなう啓蒙専制君主が出現した。 • 三角貿易が栄え、アメリカ・ヨーロッパ・アフリカの各地域は これにより密接に結びつけられた。

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本日の内容 世界史について • 近世ヨーロッパ世界の展開 • ヨーロッパ諸国の海外進出 美術について • バロック美術 • ロココ美術 7

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本日の内容 • 世界史:近世ヨーロッパ世界の展開 • 世界史:ヨーロッパ諸国の海外進出 • 美術史:バロック美術(続) • 美術史:ロココ美術 8

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近世ヨーロッパ世界の展開 • 構成は次の通りです。 ① 重商主義政策 ② イギリス革命 ③ イギリス議会政治 ④ プロイセンとオーストリア ⑤ 北方戦争とロシア

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重商主義政策 • 近世の、特に「17世紀の危機(=三 十年戦争前の凶作、不況など)」を 経た時期のヨーロッパ各国では、国 家が経済に介入する重商主義政策が とられた。 • 具体的には、金や銀の獲得を目指す 重金主義や、輸出入の収支を改善し ようとする貿易差額主義、自国の産 業を保護する産業保護主義などが行 われた。 イングランドの重商主義的財政家 トーマス・グレシャム

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イギリス革命(1) • イギリスでは1642年にイギリス革命 が起こった。 • これは市民革命の一つで、この革命 によってイギリスは絶対王政を打倒 し、世界に先駆けて近代市民社会 (共和制)を確立した。 • この革命はピューリタン(カルヴァ ン派のグループ)が大きな役割を果 たしたため、ピューリタン革命とも 呼ばれる。 ジョン・ギルバート 《1645年のネイズビーの戦いの後》

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イギリス革命(2) • この革命の背景として、ステュアー ト家の専制政治があった。 • イギリスでは13世紀ごろから身分制 議会が開かれ、国民と国王との間で の対立を調整していた(第六回でこ の時代について書きました)。 • しかし、ジェームズ1世(在位1603 ~25)は王権神授説を唱え、議会 を無視して新税を取り立てたり少数 の大商人に独占権を与えていた。 ジェームズ1世

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イギリス革命(3) • 彼に続くチャールズ一世も同様に専 制政治を継続したため、国民の不満 は募るばかりであった。 • そんな中開かれた議会は王党派と議 会派で対立を深め、1642年に内戦が 起こった。これがイギリス革命の発 端となった。 • クロムウェルはピューリタンを中心 とする独立派(議会派の一派)を率 いて革命を達成し、共和制をうちた てた。 クロムウェル

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イギリス議会政治(1) • イギリス革命後、クロムウェルは独 裁体制を敷いて国民の不満が高まり、 彼の死後に王族のチャールズ2世が 国王として迎えられた。これを王政 復古という。 • しかし、彼は専制的な姿勢をとり、 それに議会も対抗した。 • 現在のイギリス政党の前身である、 トーリ党とホイッグ党が生まれたの もこの頃である。 チャールズ2世

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イギリス議会政治(2) • 1668年にチャールズの弟のジェームズ二 世が王位を継いだが、カトリックと絶対 王政の復活に努めた。 • それに対抗して、議会は新教徒のメアリ とその夫のウィレムを王に招いた。 • 抗戦を諦めたジェームズは亡命し、議会 が決議した「権利の宣言(→権利の章 典)」を受け入れた夫妻は即位した。こ れを名誉革命と呼び、ここにイギリスの 立憲王政が確立することとなる。 ウィレム3世

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イギリス議会政治(3) • アン女王の時代にイギリスとスコッ トランドは併合され、大ブリテン王 国が成立した。 • 彼女の死後、ハノーヴァー朝が起こ るが、この時代に内閣は国王にでは なく議会に対して責任を負うという 責任内閣制が形成された。これによ り、政治制度が安定するとともに、 国債制度もまた整備され、イギリス は繫栄していった。 アン女王

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プロイセンとオーストリア(1) • 三十年戦争後、ドイツではプロイセ ンが急速に成⾧した。 • フリードリヒ1世(在位1701~13)の 時代、彼は軍事増強や官僚組織の整 備を行って絶対王政の基礎を作った。 • また、フリードリヒ2世はオーストリ アとの戦争に勝利し勢力を拡大し、 近代化政策を推し進めた。 フリードリヒ1世

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プロイセンとオーストリア(2) • オーストリアでは、マリア・テレジ アがプロイセンと戦う過程において 近代的改革を進めた。 • また、その子ヨーゼフ2世も信仰の自 由や貴族の免税特権廃止などの改革 を進めたが、貴族層や異民族の反抗 にあって改革は挫折した。 マリア・テレジア

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北方戦争とロシア • ロシアでは、ピョートル1世(在位 1682~1725)が自身も視察するなど して西欧化政策を推進した。そのほ かに彼は北方戦争でスウェーデンを 破りバルト海に進出した。 • また、啓蒙専制君主のエカチェリー ナ2世(在位1762~96)はピョートル の事業を受け継ぎ、近代化を進めた。 そして、当時の農民反乱の反動で農 奴制を強化した。 エカチェリーナ2世

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本日の内容 • 世界史:近世ヨーロッパ世界の展開 • 世界史:ヨーロッパ諸国の海外進出 • 美術史:バロック美術(続) • 美術史:ロココ美術 20

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ヨーロッパ諸国の海外進出 • 構成は以下の通りです。 ① アジア市場への参入 ② アメリカにおける植民活動 ③ 三角貿易

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アジア市場への参入 • ヨーロッパ諸国がアジアに進出し始 めた16世紀頃、すでにアジアでは貿 易圏が確立していた。ヨーロッパ諸 国のアジア進出はアジア内での貿易 に参入するという形で行われたので ある。 • 各国は東インド会社を設立するなど して貿易したが、領土進出を目的と したアジア進出は後世の出来事であ ることに注意が必要である。 コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Mkill だと推定されます(著作権の主張に基づく) - Tokaido Museum (?), Hakone, Japan, コンピュータが読み取れる情報は提供され ていませんが、投稿者自身による著作物だと推定されます(著作 権の主張に基づく), CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=651042に よる 火縄銃

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アメリカにおける植民活動 • この時代、ヨーロッパ諸国はアメリ カに進出し、植民活動を行った。 • ポルトガルがブラジルを、スペイン が中南米を領有するなどし、金や銀 の採掘や、プランテーション農業、 毛皮取引などを行った。 インカ帝国の滅亡

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三角貿易 • アメリカ大陸および西インド諸島の プランテーションで酷使されていた インディオが激減すると、アフリカ からの黒人奴隷が使用されていた、 • 奴隷貿易は、ヨーロッパから武器や 雑貨をアフリカに、アフリカから黒 人奴隷をアメリカに、アメリカから 砂糖・タバコ・コーヒー・綿花を輸 出するという三角貿易の一環として 行われた。 By SimonP at en.wikipedia - Modification made by SimonP. Transferred from en.wikipedia, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2547506 三角貿易の図式