西洋美術史ゼミ第六回:ロマネスク美術とゴシック美術

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March 20, 22

スライド概要

隔週程度で行っている、世界史と西洋美術史の勉強会のスライドです。厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けたつもりです。今回はルネサンスの少し前の中世美術について扱っています。以下のURLからスライドと補足資料をダウンロードできます。
https://github.com/amazuun/Art_of_Europe

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理系の大学生です。近代以降の美術史や思想史、現代美術について興味があります。厳密な考証は行っていませんが、可能な限り正確に書くことを心掛けています。後の物の方が出来が良いので、最新のものを最初に読むことをお勧めします。githubからはスライドと補足資料をダウンロードできます。参考文献は補足資料に記載しています。

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各ページのテキスト
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西洋美術史ゼミ 第6回 中世II(ロマネスク美術・ゴシック美術) 発表者 あまずん 1

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発表者について あまずん Twitter : @quii_w (メイン) @amazuunsc(サブ) 理系の大学生(数学専攻)をやっています。 近代以降の美術史や思想史、現代美術について 興味があります。 2

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ゼミについて • 週1回程度で美術出版社「増補新装 カラー版 西洋美術史」を一章ずつ 読み進め、内容をまとめ発表します。 • また、高校世界史に沿う形で当時の 出来事についても説明します。 • そのため、世界史と美術史を同時に 学ぶことができるため、歴史が好き な方も美術が好きな方も学びを深め ることができます。 3

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前回の内容(世界史) この写真 の作成者 不明な作成 者 は CC BY-SA のライセンス を許諾されています • 前回はビザンツ帝国とフランク王国について扱いました。 • 395年にビザンツ帝国が誕生しました。6世紀にユスティニアヌ ス大帝が在位し最盛期を迎えましたが、その死後に衰退しまし た。7世紀にイコノクラスム(聖像論争)が起こり、それが収 まった後のマケドニア朝の時代に一時的に復興しましたが、 1261年に滅亡しました。 • ゲルマン人の大移動が起こり、フランク人がフランク王国を建 国しました。メロヴィング朝とカロリング朝の時代に繁栄しま したが、九世紀に分裂しました。 4

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前回の内容(美術) • ビザンティン美術では、第一次黄金期においては 円蓋式バシリカが生まれたり、イコンが発展した りした。イコノクラスム後の第二次黄金期では、 ヘレニズム期の古典的伝統に立ち返った。 • 初期中世美術では、メロヴィング朝においては貴 金属工芸や写本が多く制作された。カロリング朝 においてはカロリング=ルネサンスによって土着 文化、キリスト教文化、古典主義の三者が融合し た文化が花開いた。 この写真 の作成者 不明な作成 者 は CC BY-SA のライセンス を許諾されています 5

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本日の内容 世界史について • 中世ヨーロッパ(~15世紀) 美術について • ロマネスク美術 • ゴシック美術 6

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全体の概略 • フランク王国が分裂し、カペー朝(フランス)とイタリア王国 と神聖ローマ帝国(ドイツ)に分かれました。 • ロマネスクとゴシックが語られる際にはその違いが問われてき ました。二つの特徴の相違について注目しながら聴講していた だければと思います。 7

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本日の内容 • 世界史:ノルマン人の活動 • 世界史:封建社会の成立と十字軍 • 世界史:中世ヨーロッパ社会の変容 • 世界史:イギリスとフランス • 世界史:ドイツとイタリア • 美術:ロマネスク美術 • 美術:ゴシック美術 8

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世界史:ノルマン人の活動 • 西ヨーロッパは8~10世紀にか けてノルマン人などの異民族の 侵略が続いており、彼らはヨー ロッパ各地に進出することとな る。 • ノルマン人が建国した主な国に イングランドのノルマンディー 公国(→ノルマン朝)とロシア のノヴゴロド国(→キエフ公 国)がある。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライセンスを許諾されています 9

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本日の内容 • 世界史:ノルマン人の活動 • 世界史:封建社会の成立と十字軍 • 世界史:中世ヨーロッパ社会の変容 • 世界史:イギリスとフランス • 世界史:ドイツとイタリア • 美術:ロマネスク美術 • 美術:ゴシック美術 10

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世界史:封建社会の成立(1) • 8~11世紀の西ヨーロッパでは異民族 (ノルマン人)の侵入が続いたことで商 業が衰退し、農業中心の自給自足的な現 物経済へ移行した。 • この中で弱者(農民)が強者(王、貴族、 聖職者など)に保護を求める傾向が強ま り、封建社会が始まった。 11

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世界史:封建社会の成立(2) • 封建制度は封建的主従関係と荘園の二 つの仕組みの上に成り立つ。 • 封建的主従関係とは、主君が家臣に領 地を与えて保護する代わりに家臣に対 する軍事的奉仕の義務を負う仕組みで あり、荘園とは主君の領地である。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライセンスを許諾され ています 中世ヨーロッパの荘園の様子 12

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世界史:封建社会の成立(3) • ローマ・カトリック教会は封建社 会と一体化し、西ヨーロッパに普 遍的な精神的権威を確立した。 • 教会ではローマ教皇を頂点にした ピラミッド型の階層制組織を形成 したが、農民から税を取り立てる など世俗権力を得ることで世俗化 が進んだ。 教皇 大司教・ 司教 司祭 13

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世界史:封建社会の成立(4) • 世俗化による教会の腐敗や堕落に対してクリュ ニー修道院を中心に粛清・浄化運動が展開され た。 • この影響を受けたローマ教皇のグレゴリウス7世 はこの改革を推し進めたが、神聖ローマ帝国 (ドイツ)のハインリヒ4世は反対した。しかし ハインリヒは教会に破門されて謝罪することと なり、これをカノッサの屈辱(1077)という。 • その後教会の権威は増⾧し、教皇インノケン ティウス3世(在位1198~1216)の時代に絶頂 期を迎える。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライ センスを許諾されています インノケンティウス3世 14

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世界史:十字軍(1) • 封建社会が安定した11~13世紀は温和 であり、人口が増加した。そして、都 市と商業が発展し、交通も発達した。 • このような状況下において、十字軍の 遠征が行われ、聖地エルサレムをイス ラームの支配から奪還することを目指 した。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライセンスを許諾されてい ます 15

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世界史:十字軍(2) • 1096年から1270年にわたり合計7回の遠征が行われたが失敗に 終わった。 • その影響により教皇の権威は失墜し、一方国王の権力は強まっ た。そして、文化的側面ではギリシア・ローマ文化が伝わるこ とでイタリア=ルネサンス運動への刺激となった。 16

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本日の内容 • 世界史:ノルマン人の活動 • 世界史:封建社会の成立と十字軍 • 世界史:中世ヨーロッパ社会の変容 • 世界史:イギリスとフランス • 世界史:ドイツとイタリア • 美術:ロマネスク美術 • 美術:ゴシック美術 17

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世界史:中世ヨーロッパ社会の変容(1) • ここでは中世ヨーロッパ社会がどのよう に変化してきたかを述べ、個別の地域に 関しての説明の足がかりとする。 • 封建社会の安定を背景として農業生産が 発展し、余剰生産物が出るようになった。 こうして商業が発展するのに伴い貨幣経 済が広がり始め、都市が発展した。 18

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世界史:中世ヨーロッパ社会の変容(2) • 都市の勢力が強まり、国王や諸侯か ら独立して自治するようになった。 自治の中心となったのが商業ギルド であり、商品の品質、規格、価格な どを統制した。 • また、14世紀には西ヨーロッパの気 候が寒冷化し、黒死病(ペスト)が 流行した。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライセンスを許諾されています 19

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本日の内容 • 世界史:ノルマン人の活動 • 世界史:封建社会の成立と十字軍 • 世界史:中世ヨーロッパ社会の変容 • 世界史:イギリスとフランス • 世界史:ドイツとイタリア • 美術:ロマネスク美術 • 美術:ゴシック美術 20

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世界史:イギリスとフランス(1):イギリス • 13世紀ごろから、ヨーロッパ各国では貴族・聖職者たちと国王 との間で課税などの対立を調整するために身分制議会が開かれ た。 • イギリスにおいて、1066年にノルマン朝が建てられていたが、 これは征服によって建てられた(≠分裂など)ので例外的に最 初から王権が強かった。 • 1154年にノルマン朝が断絶した後、同年にフランスのアンジュ ―伯がプランタジネット朝を成立させた 21

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世界史:イギリスとフランス(2):フランス • フランスでは、12世紀後半以降カ ペー朝の王権が伸⾧して、領土を拡 大していった。 • フィリップ4世は出兵失敗による聖職 者課税をめぐって教皇と対立したが、 その際聖職者・貴族・平面からなる 三部会を招集し、その支持を得て王 権を強化した。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライセ ンスを許諾されています フィリップ4世 22

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世界史:イギリスとフランス(3):百年戦争 • 1328年にシャルル4世が死亡してカペー朝(フランス)が断絶 した。それを受けてフランスのフィリップ6世が即位したもの の、カペー朝出身のイギリス国王エドワード3世が王位継承権 を主張したことで、この二国間で百年戦争(1339~1453)が 起こった。 • 背景には領土・経済問題があった。前半はイギリスが優勢だっ たが、ペストの流行やジャンヌ=ダルクの活躍により最終的に フランスが勝利した。 • 戦後、イギリスもフランスも騎士・諸侯が没落し王権が伸⾧し た。 23

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世界史:イギリスとフランス(4):バラ戦争 • 百年戦争後、イギリスではランカスター 家とヨーク家が王位継承をめぐって内乱 が起こった。これをバラ戦争といい、そ の由来は両家の紋章がそれぞれ赤ばらと 白ばらであることによる。 • 両家は激しく戦ったが、ランカスター派 のヘンリ(→ヘンリ7世)がテューダー朝 を開き内乱を終結させた。 • その後ヘンリ7世は星室朝裁判所(国王直 属の裁判所)を用いて内乱で力を失った 貴族を抑え、絶対王政の基礎を作った。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライセン スを許諾されています 24

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本日の内容 • 世界史:ノルマン人の活動 • 世界史:封建社会の成立と十字軍 • 世界史:中世ヨーロッパ社会の変容 • 世界史:イギリスとフランス • 世界史:ドイツとイタリア • 美術:ロマネスク美術 • 美術:ゴシック美術 25

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世界史:ドイツとイタリア(1):ドイツ • ドイツでは神聖ローマ皇帝がイタリア政策を行いイタリアに介 入していた。しかし内政が疎かになっており、実質的に皇帝が 不在の状態になっていた(大空位時代)が、1273年ハプスブル ク家のルドルフ1世が即位して大空位時代は終わった。 • 1356年に皇帝カール4世が金印勅書を発布して、聖俗7人の選帝 侯が皇帝を選出することを決めた。 • しかし15世紀前半からはハプスブルク家から選出することが慣 例となったが、皇帝の国内統一がうまくいかず、大小300ほど の領邦が分立する状態が続いた。 26

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世界史:ドイツとイタリア(2):イタリア • イタリアはドイツ同様多数の国・諸 侯・都市に分かれていた。 • 北部ではヴェネツィア・ジェノヴァ・ フィレンツェなどの有力な都市やミラ ノ公国などが覇権を争った。 • 中部はローマ教皇領(c.f.イタリア政 策)であり、南部では両シチリア王国 がシチリア王国とナポリ王国に分裂し た。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA-NC のライセンスを許諾されています 27

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本日の内容 • 世界史:ノルマン人の活動 • 世界史:封建社会の成立と十字軍 • 世界史:中世ヨーロッパ社会の変容 • 世界史:イギリスとフランス • 世界史:ドイツとイタリア • 美術:ロマネスク美術 • 美術:ゴシック美術 28

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美術:ロマネスク美術(1):概要 • 11世紀後半から12世紀にかけてのヨー ロッパ美術をロマネスク美術と呼ぶ。 • この時代はかつてない社会的変化をいく つか経験した。安定した農村生活を支え とする修道院の復興や、十字軍の派遣、 聖遺物崇拝の高揚による聖地巡礼、輸送 や建築工法の技術革新などがそれである。 • 上記の変化に影響を受けた美術は修道院 を中心に繰り広げられ、石造りの修道院 や教会堂、石像彫刻、壁面のフレスコ画、 写本装飾などに顕著である。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライセンスを許諾されてい ます 《エッケハルトとウタの彫像》 29

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美術:ロマネスク美術(2):建築と彫刻(1) • ロマネスクの建築の特徴として、重厚 な石壁と窓が小さいことによる薄暗い 内部空間がある。これは初期中世の建 築様式をさらに発展させたものであっ た。 • 建築技術の向上により、アーチを平行 に押し出した形状のヴォールトが登場 する。(第4回補足資料参照) • また、聖遺物信仰の発展により巡礼が 急増し、聖堂の建築が多くなされた。 《サン・セルナン大聖堂》 30

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美術:ロマネスク美術(3):建築と彫刻(2) • ロマネスク建築において特に有名な作品はサン・セルナン大聖 堂やダラム大聖堂がある。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY のライセンスを許諾され ています 《サン・セルナン大聖堂》 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA-NC のライセンスを許諾されています 《ダラム大聖堂》 31

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美術:ロマネスク美術(4):建築と彫刻(3) • 彫刻においては、建築を構成する部 材に施された浮き彫りを中心に、石 を素材とする彫刻が広い地域で用い られるようになる。 • 建築装飾として作られた作品が主で、 建築構造から課せられる「枠組」と 常に関係を持っていた。そのため人 像や動物はその自然なプロポーショ ンが無視され、デフォルメされてい る。 Basilica of Saint Magdalene – Central tympan of the Saint Magdalene narthex (1140-1150) Jean-Pol GRANDMONT - 投稿者自身による作品, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6355630による 32

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美術:ロマネスク美術(5):壁画 • ロマネスクの壁画は基本的に修道院の壁 面に描かれた。そのため、聖書や聖人を テーマにしたフレスコ画が多い。 • ビザンティン美術や、大胆な装飾や強烈 な色彩対比を特徴とするモサラベ美術 (イスラムの影響を受けたキリスト教美 術)の影響を受けた美術が発展した。 • 人物を記号的に捉えた絵画で、またモサ ラベ美術の影響で色彩豊かでもあった。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY のライセンス を許諾されています 《栄光のキリスト》 33

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美術:ロマネスク美術(6):写本装飾や工芸 • これまで建築、彫刻、絵画を取り上げまし たが、ロマネスクの時代に中心を成してい たのは持ち運び可能なものであった。 • これらは主に書物、工芸、布製品であった。 • 特に工芸が重視されており、聖遺物を保護 する容器が絢爛豪華に飾り立てられた。 「聖女フォワの聖遺物容器」が有名である。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA-NC のライセンスを許諾されていま す 《聖女フォワの聖遺物容器》 34

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本日の内容 • 世界史:ノルマン人の活動 • 世界史:封建社会の成立と十字軍 • 世界史:中世ヨーロッパ社会の変容 • 世界史:イギリスとフランス • 世界史:ドイツとイタリア • 美術:ロマネスク美術 • 美術:ゴシック美術 35

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美術:ゴシック美術(1):概要 • ゴシック美術はロマネスク美術の延⾧ 線上にあったものの、多くの点で前時 代と対照的であった。 • ロマネスク期が思弁的であったのに対 して、ゴシック美術は人間的で写実的 なものであった。 • この動きの背後には社会環境の変遷が あり、文化の担い手が聖職者から裕福 な平信徒や大学を拠点とする知識人な ど広範な社会層に変化したことが要因 である。 クラウス・スリューテル《モーセ》 36

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美術:ゴシック美術(2):建築 • ノートルダム(ランス)大聖堂を 始めとするゴシック建築だが、こ の時代は建築技術が発展し、リ ヴ・ヴォールト(アーチによって 補強されたヴォールト)という技 法が誕生した。これにより石材を 節約できるようになり、巨大な建 築が多く作られるようになった。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライセンスを 許諾されています 《ランス大聖堂》 37

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美術:ゴシック美術(3):彫刻 • ゴシック美術のなかでもっとも存在感 があるのは、石を素材とする彫刻の分 野である。 • ロマネスクに引き続き建築装飾が多い が、独立した彫像が新たに作られるよ うになった。 • コントラポストや流麗な衣装のひだな ど、古典主義的な美の理想を実現しよ うとした。 クラウス・スリューテル《モーセの井戸》 38

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美術:ゴシック美術(4):ステンドグラス • ゴシックの聖堂建築では、規模の大小 はあるものの、ステンドグラスが用い られていた。 • ステンドグラス自体はロマネスクの時 代でも使われており、制作技術もそれ ほど変わらないものの、建築技術の発 展により開口部の面積が格段に拡大し たため、巨大な作品が多く作られるよ うになった。 • 聖書や聖人伝をテーマとした作品が広 く制作された。 《Rose windows of the Chartres Cathedral in Chartres (France)》 Harmonia Amanda - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7652789によ る 39

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美術:ゴシック美術(5):写本彩飾と板絵 • 13世紀になると、大学の発展など社会的 背景から写本の需要が増加し、修道院か ら都市の職人たちの工房へと生産拠点が 移行し、専門的分業体制が確立された。 • ジャン・ピュセルが有名で、従来の平面 的な手法に対し彫像のような立体的な人 物表現を行うことでパリの写本彩飾に衝 撃を与えた。 • この時期小規模の板絵(木の板に描かれ た絵)も大きく発展し、プライベートな 祈りによく用いられるようになっていく。 この写真 の作成者 不明な作成者 は CC BY-SA のライセン スを許諾されています ジャン・ピュセル《キリスト の逮捕》 40

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美術:ゴシック美術(6):工芸とタペストリー • 中世の時代ではあらゆる美術作品が使用される ことを前提として作られていた。この特徴が はっきりとあらわれているのが工芸とタペスト リーの分野であった。 • 写本と同様に工芸も専門的分業が行われ、聖遺 物容器や機械仕掛けの自動装置が作られた。 • 織物が工業化された現代とは異なり、当時はタ ペストリーや刺繍など布製品の所有には、権力 と財産を誇示する面があった。 • 多くのすぐれた専門家や工房が関わり、大量の 高価で優れた作品が製作され、聖俗の権力者に 好まれた。 《味覚》 《貴婦人と一角獣のタペストリー》より 41

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本日のまとめ • 封建社会が成立し、十字軍が起こった。その後貨幣経済が発展 し、イギリスとフランス間で百年戦争が起こり、その合間にペ ストが流行した。 • ロマネスク芸術は封建制を背景に修道院を中心に繰り広げられ た。建築は石壁と暗い内部空間が特徴で、建築装飾として彫刻 が用いられた。また聖遺物容器として工芸が発展した。 • ゴシック美術は対照的に人間的で写実的なもので、建築は大き くなり、彫刻は建築から独立した。また、写本や工芸は専業化 された。 42

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次回の内容 • 次回はイタリア初期ルネサンス美術と 15世紀の北方美術について学びます。 • ルネサンスとは「再生」を表す言葉で、 これまで部分的に継承されていた古典 文化がここにきて全面的に復活するこ ととなります。自然の美や現実世界の 価値が再発見されたこの時代、いかに して芸術が発展していくのでしょうか。 • 関連ワード 1. ヴィーナスの誕生 2. ヤン・ファン・エイク 43