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June 22, 22
スライド概要
2021年7月19日、IA戦略デザイン研究会にて『気象データアナリストが提案する、ビジネスにおける気象予測の不確実性マネジメント』というタイトルで講演いたしました。前半のスライドです。
気象予報士・データサイエンティスト。気象データアナリスト養成講座講師。元運航管理者見習い。 気象データ分析・予測モデル開発・気象とビジネスデータの分析などを行っています。 最近は航空・衛星・地理空間データに興味あり。 Weather Data Science合同会社
気象データアナリストが提案する、 ビジネスにおける気象予測の 不確実性マネジメント IA戦略デザイン研究会 2021年7月19日(月) 前半
「気象予報士キャリア15年以上の気象予報士夫婦で、 気象に左右されるビジネスをサポートしています!」 加藤 芳樹 加藤 史葉 かとう よしき かとう ふみよ 気象予報士登録番号 第3687号 (2002年4月取得) 気象予報士登録番号 第4321号 (2003年10月取得) 共通キャリア ❖ウェザーニューズ社で予報業務の実務経験 一般予報(短期・長期)をはじめ航空・航海等の交通気象など 様々なコンテンツの予報業務や各種予測アルゴリズム開発 ❖エアラインでの航務業務 ● 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 ● ウェザーニューズ社内選抜でオクラホマ大学 National Weather Centerへ留学 ● 世界の主要気象予測モデルを活用した独自の気象予報 ガイダンス開発等、気象技術開発多数 © 2020 ❖DataMix社データサイエンティスト養成講座修了 ❖東京大学松尾研究室主催DeepLearning講座修了 ● エネルギーベンチャーで気象に係る業務の主導や電力 需要データ分析の他、太陽光発電アルゴリズム開発や 太陽光発電設備の故障検知アルゴリズムを開発 ● 個人事業で太陽光発電量予測値を提供するサービスを 開業 2
主な実績 【気象データを活用したデータ分析・AI開発】 • テレビ放送事業者へフェージングを予測するAIの開発 • 再エネ関連事業者へ太陽光・風力の発電量予測AIの開発 • 観測器メーカーの顧問気象予報士(気象データの処理等)etc 【気象庁の人材育成プロジェクトへ参加】 • 気象データアナリスト育成講座のカリキュラム設計、教材作成 • 試験的に実施した育成講座の講師 ←(出典)気象庁「気象業務はいま 2021」 【『おかえりモネ』気象監修へ参加】 • 気象に関する助言・調査、台本考証、体験談・資料提供 etc ←(出典)NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』公式サイト © 2020 3
本日の内容 1.気象データアナリストについて • 気象業界、気象予報士、気象データのビジネス利活用の現状 • 気象データアナリスト構想 2.気象予測の不確実性マネジメント • 不確実性マネジメントの考え方 • 具体事例 © 2020 4
1. 気象データアナリストについて 前振り
前振り:「気象予報士です」 私のこれまでの経験で、 「気象予報士です」 と自己紹介すると、どんな反応が返ってきた と思いますか? © 2020 6
前振り:「気象予報士です」 • え?じゃあテレビに出ているんですか!? ➢気象予報士 = お天気キャスター • あの超難関資格を持っているんですね! ➢気象予報士 = 難関資格保有者(合格率約5%) • あぁ、気象庁で働いているんですね。 ➢気象庁職員は国家公務員、気象予報士は民間人です © 2020 7
前振り:「フリーランスの気象予報士です」 では次に、 「フリーランスの気象予報士です」 と自己紹介すると、どんな反応が返ってきた と思いますか? © 2020 8
前振り:「フリーランスの気象予報士です」 • え!? フリーランスの気象予報士って成り立つの? 仕事あるの? ➢なぜか職業感を出すと、仕事になるの?って反応 に変わる。お天気キャスターとは言われない © 2020 9
前振り:「気象データを使った分析やモデル開発をしています」 それでは、 「気象データを使った分析やモデル 開発をしています」 と自己紹介すると、どんな反応が返ってきた と思いますか? © 2020 10
前振り:「気象データを使った分析やモデル開発をしています」 • 気象ってあらゆるビジネスに影響ありますもんね。 きっとニーズがたくさんあるんでしょうね! ➢気象データ分析という文脈にすると、仕事として認識 してもらえる • 珍しいですね! ➢まだまだやっている人が少ないという認識 (その通り) © 2020 11
1. 気象データアナリストについて 気象業界
気象業界について 【日本の気象業界の市場規模】 • 1993年気象業務法改正以来、300億円前後でほぼ横ばい ※2018年の資料で約400億円という数字もあり(微増?) (出典)気象庁「気象業務はいま 2012」 © 2020 13
気象業界について 【日本の気象業界の市場規模】 •ただし300億円前後というのは、 1993年気象業務法改正以来、300〜350億円でほぼ横ばい 予報業務許可事業者=ガチの気象情報会社 ※2018年の資料で約400億円という数字もあり(微増?) のみの数字です 予報業務許可事業者以外も含め、 広く気象関連事業の売上高を総計したら、 市場規模はもっと大きく、 かつ上昇トレンドではないか(推測)? (出典)気象庁「気象業務はいま 2012」 © 2020 14
1. 気象データアナリストについて 気象予報士
気象予報士について 【『おかえりモネ』のモネも目指す気象予報士って?】 • 独自の天気予報を出すために 必要な資格 (厳密にはちょっと違う…) • 現在約10000人の有資格者 がいます (出典)気象庁「気象業務はいま 2021」 © 2020 16
気象予報士について 【気象予報士ってどんな仕事している?】 実は気象予報士は、 難関資格のわりに仕事にならない資格 と言われている… 気象予報士へのアンケート結果(H25年度) • 天気予報の実務経験者は約21% ※感覚的にはもっと少ないかも… 『(気象予報士が行う)現象の予想の従事経験』 (出典)気象庁「平成25年度に実施した気象予報士現況調査の結果について」 © 2020 17
気象予報士について 【気象予報士ってどんな仕事している?】 • 民間気象会社で天気予報する(The 気象予報士の仕事) • 天気キャスターとして出演(世間のイメージ第1位) • でも大多数は気象に関係ない仕事をしている 『気象予報士の現在の業務』 ←気象会社の予報業務 ←お天気キャスター ←航空・海運など気象情報ユーザー側(?) (出典)気象庁「平成25年度に実施した気象予報士現況調査の結果について」 © 2020 18
気象予報士について 【気象予報士ってどんな仕事している?】 気象予報士であることを直接活かした仕事をしている人は少ないが、 半数以上の人は仕事で活用したいと思っている。 → 産業側のキャパシティが不足してる? 『気象予報士の資格や知識の活用希望』 (複数選択可) (出典)気象庁「平成25年度に実施した気象予報士現況調査の結果について」 © 2020 19
1. 気象データアナリストについて 気象データのビジネス利活用の現状
気象庁とWXBC 気象ビジネス推進コンソーシアム(WXBC) 気象データを活用した新たな気象ビジネス市場の創出に向け 2017年に設立された産学官連携の組織 事務局:気象庁 会員数:約1000(法人約500社) (出典)WXBCパンフレット © 2020 21
ビジネスにおける気象データの利活用について 【気象データの利活用状況】 2020年の調査結果によると、 気象データを事業に活用する企業は… • 5年前に比べたらかなり増えた • それでも1割に届かない程度 © 2020 22
ビジネスにおける気象データの利活用について 【気象データの利活用状況】 事業活動において気象の影響を受ける企業は約7割 事業活動に影響する気象 (出典)気象庁「産業界における気象データの利活用状況に関する調査(令和元年度)」 © 2020 23
ビジネスにおける気象データの利活用について 【気象データの利活用状況】 そのうち気象への対策を行なっていない企業は約5割 なぜ? • 気象情報、気象データの使い方がわからない • 気象情報、気象データを使える人材がいない 『気象情報・気象データを利活用していない理由』 (出典)気象庁「産業界における気象データの利活用状況に関する調査(令和元年度)」 © 2020 24
ビジネスにおける気象データの利活用について 【気象データの利活用状況】 気象への対策を行なっている約5割の企業のうち、 • 約6割の企業は経験と勘で対処している • 気象データを利活用できていない 気象データを利活用 しない理由 (出典)気象庁「産業界における気象データの利活用状況に関する調査(令和元年度)」 © 2020 25
1. 気象データアナリストについて 気象データアナリスト誕生へ
これらの課題を解決するために • 気象予報士は活躍の場を求めている • 企業は専門的人材を求めている 気象データを分析する専門スキルを身につけ、 気象の影響を受ける企業のビジネス課題を解決できる、 気象データアナリストを育成しよう! ※ 気象データアナリストは気象予報士だけのためのものではありません ※ 気象予報士以外の方が目指すのもOKです © 2020 27
気象データアナリストについて 気象データアナリスト 企業におけるビジネス創出 や 課題解決 ができるよう、 「気象データの知識」と「データ分析の知識」を兼ね備え、 気象データとビジネスデータを分析できる人材 © 2020 (出典)気象庁ウェブサイト 28
気象データアナリスト育成講座の設計(2020年) 国土交通省 『生産性革命プロジェクト』 気象庁 『気象ビジネス市場の創出』 気象ビジネス推進コンソーシアム(WXBC) 『気象データアナリスト育成講座(仮称)の設計』 委託 ➢ 講座の設計 ➢ 試験講座の運営 ➢ データサイエンス教材の制作 連携 © 2020 ➢ 講座の設計補助 ➢ 気象データビジネスの助言 ➢ 気象×データ分析教材の制作 29
気象データアナリスト育成講座の開講(2021年) 気象庁はカリキュラムガイドラインに準じて開設された講座を、 『気象データアナリスト育成講座』として認定します 『学習内容(上)と2021/6/22時点での認定講座(下)』 © 2020 (出典)気象庁ウェブサイト 30
…本当にそれで解決? 気象データアナリストが増えていったら… 本当に気象データの利活用が進んで、 ビジネス課題の解決につながるのか? 気象ビジネスの発展につながるのか? 人材不足だけが 問題なの? © 2020 31
気象の価値 気象データの利活用が進まないのは、 ハードルが高いわりに効果の大きさが不明だから? • 今まで使わなくてもやってこれたし • 気象だけで決まるわけでもないし… そこで、 ← 気象データの利活用事例は増えてきたので、 次は 効果の大きさ=気象の価値 を定量的に示したい! (出典)WXBC「気象データの利活用事例集」 © 2020 今年の私たち の目標です 32
ディスカッション • 気象ビジネスの展望について • 気象予報士の社会的役割について • 気象データの活用の幅や経済効果について • 気象データアナリストのポテンシャルについて • その他、何でも… おかえりモネ の話でも… © 2020 33