Analytic FrameworkからClinical Questionへ20151104 1(Analytic FrameworkからClinical Question作るプロセスの紹介:但しKQは、流行らず、使われてないので注意)

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Analytic FrameworkからClinical Questionへ20151104 1(Analytic FrameworkからClinical Question作るプロセスの紹介:但しKQは、流行らず、使われてないので注意)

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各ページのテキスト
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診療ガイドライン中級編1 Analytic Framework から Clinical Questionへ 2024年に追加:現在は、KQは、流行ってないので、ほぼ見かけなくなりました(^^;) 2015/11/04 湯浅秀道 相原先生・南郷先生・AHRQ作成スライド改変 1

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診療ガイドライン中級編1 中級編ですが、このスライドは、難しいです! 理由は、簡単に説明できるまでの能力がないか らです。たぶん、今回は、簡単なことを難しく説 明している可能性があります。ご了承ください。 2

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本スライドの目的 臨床医にとって重要な「臨床の疑問」と、Q&AのCQを理解すること 包括的な CQ AF KQ (SRの CQ) 推奨文 用のCQ or 推奨文 1. 臨床医・患者にとって重要な臨床の疑問を解決することを目的に、 「包括的な 臨床の疑問(包括的なCQ(Clinical Question))」を設定する(複数あるこ ともある)。 2. 患者にとって重要なアウトカムを改善するために「探す必要があるエビデンスが何 か?」を考える。そのための戦略を、AF(Analytic Framework)を利用して KQ(Key Question)として具体的に列挙する。 3. ポイントは、複数の治療がある場合、その治療のすべてに順番を付けるなど、エ ビデンスの確信性が低くなることを行うのでなく、EBM(Evidence based Medicine)のステップ4・適用(Apply evidence to patient care)を重視し て、なるべく確信性の高いエビデンスに基づく推奨を行えるように注意することが 大切である。 4. そして、さらに具体的にKQを利用して、実際に行うSR(Systematic review)を考える(複数のKQで一つのSRもある)。その場合、SR用のCQ を作成することになる。 5. そして、そのエビデンスを利用し、診療ガイドラインで扱うべき「包括的な臨床の 疑問」に対して、利用者が解決できるのかを推奨文という形で提示することを考 える。そして、そのために診療ガイドラインのレイアウトとして、もしQ&A形式で記 載するならば、QをQCの形式で、どのように文章化するかを考えながら作成する こととなる。 *よって、1・4・5の3つのCQの形式の文章が存在するが、それぞれ目的が異なる。 ・・・この文章を読んで、理解し、納得することを目指します 3

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クリニカルクエッチョン(CQ)を考えるためには、Analytic frameworkを作成することが必要とされているので、AF からCQの作成の基本について説明する 1 Screening Population Patients Early detection 3 2 Intermediate outcomes 4 Patientimportant outcomes 5 Harms of screening CTFPHCを改変 http://canadiantaskforce.ca/methods/procedura l-manual/ 4

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注意 その1: 本スライドの内容は、診療ガイドラインならば、必ずこうしなければならないと言うこ とではありません。 海外の、診療ガイドライン作成の方法論者が作成に携わった診療ガイドラインは、 今回説明している「思考」で作られています。 本スライドは、そのような思考が正しいいと考えるならば、もう少し具体的に、どの ような手順になるのかという視点で、理解をしようという試みにしかすぎません。 その2: すでに、「○○病の定義は? 」・「関節症に、関節痛の検査は必要か?」などの CQがダメなのはご存じと思いますが、それ以外にも、 ①CQを1つ考える、②そのCQのPICOを考える、③1つのシステマティックレ ビューを行う、④そこから1つの推奨文を作成する、⑤CQと推奨文と対比させて、 診療カイドラインを作る。 を忘れてから、このスライドを読んでください。 5

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診療カイドラインの定義を、再確認しよう 米国アカデミー医学研究所(Institute of Medicine of the National Academies: IOM)による診療ガイドラインの定義 「診療ガイドライン」は、「エビデンス」の「システマティックレビュー」と「複数 の治療選択肢」の「利益と害の評価」に基づいて「患者ケアを最適化」 するための「推奨」を含む文書である。 この定義に厳密に従っている診療ガイドラインは、質が高く、信頼できる と考えられる。 この定義に厳密に従っている診療ガイドラインの作成方法が、 GRADEアプローチである。 GRADEアプローチでは、EBMの3原則に従っているので、 このEBMの3原則を理解することが、質の高い診療ガイドラインの作成 の第1歩である。

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1. 最適な臨床決断には入手可能な最適なエ ビデンス、理想的にはシステマティッ ク・レビューのエビデンスを必要する。 2. EBMは、エビデンスが信頼できるもの かどうか、すなわち、診断検査、患者の 予後、治療選択肢についてどれほど確信 をおけるものかを提供する。 3. エビデンスだけでは臨床決断をするのに 決して十分ではない。 3 原則 EBMの3原則:第3版:Users‘’ Guides to the Medical Literature: A Manual for Evidence-Based Clinical Practice, 3rd Edition (2015)

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CQ作成前の基礎知識:CQの原則 CQは、患者の治療について決断をしなくてはならない臨床医が 想起する疑問であり、関連する患者集団、治療方法や曝露、お よび、治療や曝露によって生じる「患者にとって重要なアウトカム」 を特定したものでなければならない。 背景疑問と前景疑問 背景疑問:「糖尿病とは何か?」、「○○病の定義は?」などの疑問であり、教科書 で扱うべきであり、診療ガイドラインで扱わない。 前景疑問:診療ガイドラインで扱うべき、患者の治療について決断をする場合に想起 する疑問であり、診療ガイドラインで扱う。 学生は、背景疑問を中心に学習を行い、研修医も、最初は、背景疑問の比率が大き い中で前景疑問を考えるだろう。研修医を終わり主治医になる頃には、前景疑問が中 心となるだろう。

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CQを具体化するには、PICOを使う CQは、基本的にPICOの4 要素から成っている。 • • • • 患者・集団(P): 推奨が適用されることが意図されている患者や集団 介入(I): 調査対象の治療、診断、またはその他の介入 比較(C): 代替介入、対照群の介入 アウトカム(O): 懸案のアウトカム(複数可) その他にも、 • 時間(T):救急の場面か、そうでないかなど • 場所(S):病院でのCQか、在宅治療でのCQか、離島でのCQかなど なども考える必要があることもある(研究デザインを入れる解説もある)。 CQを明確に定義しながら、CQを作成するべきで、CQを作ってから、PICOを考えるの ではない。 もっとも重要なことは、これらのPICOに従って対象論文を選択できるた めの適格基準・除外基準を明確に定義しておくこと!

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CQは、「複数の治療選択肢」から「患者ケアを 最適化」するための疑問であり、患者にとって重 大なアウトカムを含まなければならない 疑問の定式化の際によくある過ちとしては、患者にとって重要なアウトカムの全てが含 まれていない(例:有害作用や毒性)、代替アウトカムが含まれる(例:生活の質 (Quality of Life: QOL)の代わりに運動能力,骨折率の代わりに骨密度など)、 関連するすべての選択肢が十分に考慮されていない(これは,当該ガイドラインが世 界各国の読者を対象としている場合に特に問題となる)、などがあげられる。 患者にとって重要なアウトカムに関する情報が入手できない状況では,代替アウトカ ムを考慮すべきであるが,CQのリストには代替アウトカムではなく本来の重要なアウトカ ムを記載すべきである。 よって、これらの疑問の定式化を行うには、作成前に充分な練 習と診療ガイドライン委員会内での調整を行っておかないと、後か らCQの訂正が必要になる。

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CQとアウトカムの選択と重要性の等級付け 患者にとって重要なアウトカムとは、次のような質問に「はい」という答えが出るような アウトカムと定義される。 「患者が、この治療によって変化する唯一のアウトカムがこのアウトカムであると知った 場合、それに副作用やコストを伴うのだとしても患者はその治療を受けることを考慮す るだろうか」。 ガイドライン作成者は、当該アウトカムが測定されているかどうか、ならびにそれらにつ いてエビデンスが入手可能かどうかに基づいてアウトカムを選択するのではなく、当該ア ウトカムが重要かどうかに基づいてアウトカムを選択しなければならない。重要なアウト カムについてエビデンスが存在しない場合は、その旨を明記すべきであり、そのようなア ウトカムを無視してはならない。 CQの選別と、すべてのアウトカムの相対的な重要性を、事前に、医療 消費者も含む診療ガイドラインパネル会議で合議するべきである!

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Analytic framework (分析的枠組み) ●Logic frameworkともいう。 ●Analytic frameworkは、介入とアウトカムを結び付けて、システ マティック・レビューの構築を助けるものである。 ●診療ガイドラインにおいては、懸案事項に関する推奨を作成するた めに設定された重要なヘルスケア・クエスチョンに関する理由と論理 を適切かつ明確に特定する必要がある。このためには,視覚的な 分析的枠組み (Analytic framework) を利用するのが効果 的である。作成者のみでなく、読者も、診療ガイドラインの枠組み や重要なアウトカムが見過ごされてないかの判断が容易になる。 ●PICOの成分を具体的なものにするアプローチであり、ガイドライン に含めるエビデンスやアウトカムの重要性の決定が重要である。 12

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Analytic frameworkの基本構造 The Canadian Task Force on Preventive Health Care (CTFPHC) 1 Screening Population Patients Early detection 3 2 Intermediate outcomes 4 Patientimportant outcomes 5 Harms of screening CTFPHCを改変 http://canadiantaskforce.ca/methods/procedura l-manual/ 13

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Analytic frameworkの基本構造 The Canadian Task Force on Preventive Health Care (CTFPHC) 1 スクリーニング 患者集団 3 早期発見 2 中間のアウトカム 4 患者にとって重 大なアウトカム 5 スクリーニング による害 CTFPHCを改変 http://canadiantaskforce.ca/methods/procedura l-manual/ 14

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Logic modelとは、若干構造が異なりますが、同じものとする方も多いです 基本構造 その例をみると、 やはり、AFとは、形が異なり、 同じとは言えないが、大きな概念では、 AFを含む http://www.maff.go.jp/primaff/kenkyu/gaiyo/pdf/066.pdf 15

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描き方は、まだ統一されてませんが、 Arrows ( linkages, preventive service or treatment, questions) Dotted line ( associations・関係があるが、明らかでない時に使う) Rectangles ( intermediate outcomes, surrogate outcomes; rounded corners・代理のアウトカムなど) Health states (clinical outcome; square corners・真のアウトカム) Curved arrows (lead to ovals, harms, adverse effects・害などを表現) Exposure, Intervention 治療・介入を菱形で 16

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骨粗鬆症の例より IOM: Clinical Practice Guidelines We Can Trustにも記載されている有名な例 Population Intervention Outcomes 診療ガイドライン のための GRADEシステ ム 第2版より AF作成においては、一般に包括的疑問(Overarching Question)を、KQ(Key Question)-①と してトップに記載する。矢印の方向が、エビデンスを使って解決すべき臨床疑問である。 点線は中間アウトカムと最終アウトカムとの関連が証明されていないことを示し、曲線を使って介入の“害”を示 し、楕円内に害の種類を記すことがAF作成の基本である。 最終アウトカム(患者にとって重要なアウトカムのうち、意思決定に重大なもの)は長方形で記載し、中間ア ウトカムは角丸長方形の中に記載する。 17

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●KQ1:包括的疑問 「リスク因子評価または骨測定検査により,骨折に関連する疾患や死亡が減少するか」 ●KQ2:その患者は骨折に関連する疾患や死亡に関して「低リスク」か,それとも「高リスク」か ●KQ3:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」患者の場合,骨測定検査結果は正常か,そ れとも異常か ●KQ4:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」の場合,骨測定検査に伴う害は利益を上回る か ●KQ5:患者の骨測定検査結果が異常の場合,治療によって骨折が減少するか ●KQ6:患者の骨測定結果が異常の場合,治療の害は利益を上回るか 18

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実際には、KQが、さらに分割してあった(本文の細かな所のみに記載あり) ●KQ1:包括的疑問 「リスク因子評価または骨測定検査により,骨折に関連する疾患や死亡が減少するか」 a. Women Postmenopausal women younger than age 60 years. Age 60–64 years at increased risk for osteoporotic fractures. Age 60–64 years not at increased risk for osteoporotic fractures. Over age 65 years. b. Men over age 50 years ●KQ2:その患者は骨折に関連する疾患や死亡に関して「低リスク」か,それとも「高リスク」か ●KQ3:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」患者の場合,骨測定検査結果は正常か,それと も異常か a. How well does dual-energy x-ray absorptiometry (DXA) predict fractures in men? b. How well do peripheral bone measurement tests predict fractures? c. What is the evidence to determine screening intervals for osteoporosis and low bone density? ●KQ4:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」の場合,骨測定検査に伴う害は利益を上回るか ●KQ5:患者の骨測定検査結果が異常の場合,治療によって骨折が減少するか ●KQ6:患者の骨測定結果が異常の場合,治療の害は利益を上回るか 19

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●KQ1:包括的疑問 「リスク因子評価または骨測定検査により,骨折に関連する疾患や死亡が減少するか」 KQ1は、包括的な臨床疑問で、想定されるさまざまな疑問を具体的なものにし、解決方向を 含めて明確にするもの。⇒これが、診療ガイドラインのCQになるのではない(なってもよい)。こ の包括的なKQを設けないframeworkの作成もあります。 本例では、リスク因子の評価=当該病態を放置した場合の自然歴を含めた予後研究、骨測 定検査に関する診断スクリーニング研究、検査異常者に対する治療研究を含んだものとなる。 そのために、それらを具体的なクエッチョンとしたKQ2~6を作成する。それを解決するために、 SRを行うのだが、それぞれのエビデンスの種類が、観察研究、横断研究、ランダム化試験とさま ざま研究デザインによるSRとなると考えられる。 しかし、なんでもエビデンスの確信や推奨の強さを決定するのではありません。上記の一部のみを CQとします。 20

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ポイント:PIOTSを考えながら、AFを作っていく 一般的なCPGに関するAFにおいて重要なことは、どのような集団・患者(P)に、介入(I: 診断/スクリーニング/治療)を実施すると、患者にとって重要なアウトカム(O)がどうなるか、と いうことを明確にしていく(Time・Settingも) 特に、アウトカムと患者のリスク因子が、重要である ↑この2点を明確にするためにAFを作ると言っても過言でない 診断・治療の種類が重要なのではなく、その次のポイントでしかすぎないと考えること Population Intervention Outcomes 21

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●KQ2:その患者は骨折に関連する疾患や死亡に関して「低リスク」か,それとも「高リスク」か ●KQ3:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」患者の場合,骨測定検査結果は正常か,そ れとも異常か ●KQ4:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」の場合,骨測定検査に伴う害は利益を上回る か この部分は、スクリーニング・検査・診断になります。 この部分で、アウトカムが不明になりやすいので注意してください。診断だと、TP,FP,TN,FN、不 確かな結果、合併症、コストというアウトカム設定が必要です。つまり診断精度研究においても、 害のアウトカムが必要ということです。 たとえば、検診ガイドラインという視点では、TN:疾患無しの集団における検査陰性などは全く 意味がないということです。FPでさえ重大なものではないとするかもしれません。このように、アウト 22 カムを考えて作成することになります。

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●KQ2:その患者は骨折に関連する疾患や死亡に関して「低リスク」か,それとも「高リスク」か ●KQ3:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」患者の場合,骨測定検査結果は正常か,そ れとも異常か ●KQ4:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」の場合,骨測定検査に伴う害は利益を上回る か 次に、診療ガイドラインにおける推奨はサブグループによって異なる場合が多いので、リスクによっ て推奨が変わる場合が多いことを、チェックすること たとえば、不便さを伴い、深刻な出血リスクの高いワルファリン療法の妥当性は、脳卒中リスクが きわめて高い心房細動患者では脳卒中リスクがきわめて低い心房細動患者と比べてはるかに 高いものとなる。高リスク患者においては絶対リスク減少がより高いことから、有害事象(害)の リスクが高く、不便さ(負担)に耐えなければならないことも正当化される。 サブグループ間でエビデンスの質が異なる場合もあり、この場合は複数の異なる推奨が示される ことになるだろう。したがってガイドラインパネルは同一のメタアナリシスに含まれる高リスク患者と低 リスク患者、ならびにエビデンスの確信に差がある患者に対しては、個別の疑問を定義(ならび に個別のエビデンス要約を作成)しなければならないことが多い(異なるCQと言うこと)。 また、SRにおいては、介入の“相対効果”は、一連の異なるベースラインリスク間で類似したもの として報告されていることが多いが、CPGにおいては、異なるリスクを持つ患者よって“絶対効果” が大きく異なってくることがある。そのため、一つの“相対効果”を利用して、リスクごとの“絶対効 果”を計算して、エビデンスプロファイルに示すことも多い。 23

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●KQ2:その患者は骨折に関連する疾患や死亡に関して「低リスク」か,それとも「高リスク」か ●KQ3:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」患者の場合,骨測定検査結果は正常か,そ れとも異常か ●KQ4:患者が骨折に関連する疾患と死亡の「高リスク」の場合,骨測定検査に伴う害は利益を上回る か 先ほど、危険因子・ベースラインリスクによって、予後がかわるので、異なるベースラインリスクと対 応する絶対効果の大きさを参考にして、推奨を考える必要があるとしたが、 危険因子や異なるベースラインリスクで、予後でどう変わるかはSRをやってみないと分からないた め、事前に決めておくことが困難です。 しかし、エキスパートならば当然推定できるサブグループで推奨が異なるかという基盤があ るはず です。よって、診療ガイドラインにおいては、“事前に“ どのような集団・患者に対して当該介入を 実施するかという疑問を設定する必要があります。すなわち、集団を具体的なものにせずに介入 効果のSRを作成してみてから、後付でサブグループ解析を実施して、ということではサブ解析の 原則に違反します。←と言っても、なかなかできないのですが・・・。 24

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●KQ5:患者の骨測定検査結果が異常の場合,治療によって骨折が減少するか ●KQ6:患者の骨測定結果が異常の場合,治療の害は利益を上回るか この部分は、治療・介入の部分ですし、予後も関係するかもしれません。 ここでも、アウトカムを、しっかりと、考えること。ともかく、すべての重要なアウトカムが、すでにリスト アップされている所から、すべてが始まると言っても過言でない。 そして、既存のSRに、それらのアウトカムがあるかを考えます。 たとえば、X,Y,Zのアウトカムが重要とする。すると、既存のよいSRが、目的のアウトカムはXだけ の報告かもしれませんし、CPG作成のために設定した「患者にとって重要なアウトカム」である。 XYZの代理のアウトカムとしての x,y,z しか報告されてないかもしれません。見つかったSRにお ける報告アウトカムは、y,zかもしれません。 よって、既存のSRとは別に、KQのための独自のSRの作成の必要があるかもしれません(と言う か、良くないSRも存在するので、SRを作成しなければならない場合が多い)。 25

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●KQ5:患者の骨測定検査結果が異常の場合,治療によって骨折が減少するか ●KQ6:患者の骨測定結果が異常の場合,治療の害は利益を上回るか 次に考える事が、骨粗鬆症患者に対して、治療が必要か?という、大きな枠組みのCQです。 そして、その治療は、すべての骨粗鬆症患者に必要なのか?リスクによって、治療の必要性や、 治療内容が異なるのでは?そして、必要ならば、どのような治療が、最適か? と考えて行きます。この場合、ポイントとなるのが、無理に、 活性型ビタミンD3製剤・エストロゲン製剤・ビスホスホネート製剤 ・ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤(デノスマブ) さらに、 アクトネル・ゾメタ・リカルボン・フォサマック の優劣をつけることが、診療ガイドラインの推奨に求められているのではないということです。 たとえば、 CQ:ビスホスホネート製剤とヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤(デノスマブ)では? CQ:アクトネルとゾメタでは、どちらが有効か? などとCQを作成すると、際限がない!収集できるエビデンスが限られ、直接エビデンスがないとい うケースに陥ります。その場合に、無理やりNMAエビデンスを作成して対応すべきか、あるいは間 接エビデンスを認めると、ほぼvery lowとなるので、そうまでして推奨を作成することが、本当に 求められているのか? を考える事が重要である。 26

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●KQ5:患者の骨測定検査結果が異常の場合,治療によって骨折が減少するか ●KQ6:患者の骨測定結果が異常の場合,治療の害は利益を上回るか ここで、もう一度予後について、考えてみます。 GRADEアプローチにおいては、RCTの2群の各armは予後研究の質評価対象となりますが、 “予後研究”のタイプは、全体的な予後、予後因子、アウトカム予測モデルの3種類があります。 ここでは、このぐらいを掴んでおいて下さい。 注意:予後研究へのGRADE適用論文は、出版されつつあるものの、研究デザインの問題やGRADEの8要因についての 概念が十分確立したとはいえない現状です。しかし、予後に関する予測モデルのPROBASTは、エビデンスのrisk of biasと applicabilityを評価するものであり、少しづつ整備されてきている。 たとえば、 (1)(予後研究は、縦断的コホート研究を対象とするので)、”study design”は考慮しない (2)予後研究のエビデンスにGRADEの枠組みを適用する際には、”Phase of investigation”の評価から始める(例、 第2相、第3相探索的研究=high) (3)GRADEの等級アップ3要因のうち、”confounder”(過小評価バイアス)を考慮する必要はないだろう。 27

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ポイント:フレームワークの範囲を決める 診療ガイドラインパネルは、優れた医療慣行に関する記述を提示する前に、まず次に示す問題 について明確に検討することで、自分たちの診療ガイドラインが、どのような部分をメインに作成 すべきかを検討する必要がある。そして、その決定には、パネリスト全員によるRAND法 (RAND/UCLA)による決定が望ましい。 (1)記述は明確かつ実行可能か、(2)そのメッセージは本当に必要か (3)正味利益が大きく、なおかつ疑いの余地のないものか (4)それは、収集と要約が困難なエビデンスか (5)公衆衛生ガイドラインの場合、検討すべき具体的問題(例: 公平性)はあるか (6)根拠を明確に示しているか、(7)これは正式なGRADE付けを行った方がよいか Population Intervention Outcomes 28

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ポイント:アウトカムの重要性を決める エビデンスをレビューする前に、考えられるアウトカムをリストアップして、「重大」「重要」「重要でな い」に予備的に分類。その後、エビデンスをレビューすると、当初は考慮されてなかったアウトカム が見つかることが多い。それらを組み入れて、アウトカムの想定的重要性を9段階で再検討する ことで確実にする。しかし、レビュー前であっても、エキスパートならばアウトカムについての基盤が あるはず。その場合、エビデンスがないだろうと考えられるアウトカムも含めてリストアップする。 診療ガイドライン作成者は、患者にとって重要なアウトカムが欠如している時だけ、代理アウトカ ムを考慮する必要がある。その場合、かならず、重要なアウトカムもエビデンスプロファイルに記載 すること(研究なしとなるが)。 Population Intervention Outcomes 29

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SRでの検索は?(KQを直接検索) メタ分析の結果しかないものも多く、詳細不明だ が、おおよそ10近くのSR(または、SRは1個とカ ウントして、10個の別のメタ分析)を行ったと考 えられる。 ●KQ1:No evidence ●KQ2:21 risk-assessment instruments (in 33 articles) ●KQ3: KQ3a: 5 studies (in 6 articles) KQ3b: 11 studies KQ3c: 1 study ●KQ1:包括的疑問 「リスク因子評価または骨測定検査により, ●KQ4:No evidence 骨折に関連する疾患や死亡が減少する か」 ●KQ5:Women ●KQ2:その患者は骨折に関連する疾患や死 亡に関して「低リスク」か,それとも「高リスク」か ●KQ3:患者が骨折に関連する疾患と死亡の 「高リスク」患者の場合,骨測定検査結果は正 常か,それとも異常か ●KQ4:患者が骨折に関連する疾患と死亡の 「高リスク」の場合,骨測定検査に伴う害は利益 を上回るか ●KQ5:患者の骨測定検査結果が異常の場 合,治療によって骨折が減少するか ●KQ6:患者の骨測定結果が異常の場合, 治療の害は利益を上回るか Bisphosphonates: 15 trials (さらに分類してメタ分析している) Parathyroid hormone: 1 trial Raloxifene: 2 trials (in 4 articles) and 1 meta-analysis Estrogen: 2 trials Men Parathyroid hormone:1 trial (2 articles) ●KQ6:Bisphosphonates: 21 studies, including case reports Calcitonin, parathyroid hormone: 1 systematic review Raloxifene: 5 studies Estrogen: 8 studies (in 10 articles) 30

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実際の診療カイドラインでは、CQがなく、沢山のSRを行っているが、たった!推奨2つのみ が(3つとする文書もある)記載されている。 Populati on Recommendation Women, 65 and Older The USPSTF recommends screening for osteoporosis in women aged 65 years and older and in younger women whose fracture risk is equal to or greater than that of a 65-year old white women who has no additional risk factors. Men The USPSTF concludes that the current evidence is insufficient to assess the balance of benefits and harms of screening for osteoporosis in men. Grade B I ポイント CQ1つ→SR1つ→推奨1つ、ではない 包括的な疑問1つ→KQ6つ→SR複数→推奨2つ Risk Assessmentなどが記載、 次のスライドで紹介 31

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リスクアセスメントなど、一部はエビデンスに従うが、推奨本文でもない Risk Assessment As many as 1 in 2 postmenopausal women and 1 in 5 older men are at risk for an osteoporosis-related fracture. Osteoporosis is common in all racial groups but is most common in white persons. Rates of osteoporosis increase with age. Elderly people are particularly susceptible to fractures. According to the FRAX fracture risk assessment tool, available at http://www.shef.ac.uk/FRAX/, the 10-year fracture risk in a 65-year-old white woman without additional risk factors is 9.3%. Screening Tests Current diagnostic and treatment criteria rely on dual-energy x-ray absorptiometry of the hip and lumbar spine. Timing of Screening Evidence is lacking about optimal intervals for repeated screening. Interventions In addition to adequate calcium and vitamin D intake and weightbearing exercise, multiple U.S. Food and Drug Administration–approved therapies reduce fracture risk in women with low bone mineral density and no previous fractures, including bisphosphonates, parathyroid hormone, raloxifene, and estrogen. The choice of treatment should take into account the patient’s clinical situation and the tradeoff between benefits and harms. Clinicians should provide education about how to minimize drug side effects. 32

33.

エビデンス不明だが、患者向けのリスクアセスメントなどが充実 33

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Analytic Framework例 CQ:健診で血糖検査を行うべきか ① ⑤ 30歳以 上男女 スクリーニ ング ③ 糖尿病 早期発見 治療 ④ 血糖改善 関連 ⑥ 死亡率低下 合併症予防 ② ⑦ ⑧ 診断の害 低血糖 治療の場合 KQ1:糖尿病のスクリーニングが死亡や合併症を減らすか. KQ2:ハイリスクのグループを同定することができるか. KQ3:糖尿病のスクリーニング検査は正確か(すなわち,感度や特異度). KQ4糖尿病が早期発見されたら,行える治療が血糖を改善するか. KQ5:糖尿病が早期発見されたら,行える治療が死亡や合併症を変えるか. KQ6:血糖の改善と患者のアウトカムの間の関連はどれくらい強いか. KQ7:スクリーニングの害は何か. KQ8:治療の害は何か.

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CQ:健診で血糖検査を行うべきか KQ5:糖尿病が早期発見されたら、行える治療が死亡や合併症を変えるか。 治療オプション:SU剤・ビグアナイド・DPP-4阻害薬 プラセボ SU剤 ビグアナイド DPP-4 すべての治療を比較する必要があるのか? A.CQが、あくまでも「健診で血糖検査を行うべきか」ならば、途中の経過として、糖尿病が早期 発見された場合に、治療をする方が、患者にとって重要なアウトカム(死亡率など)が改善し なければ、健診の意味がない訳で、そのフレームのなかで、治療によって、重要なアウトカムが改 善されるかどうかが、わかればよい。 B:CQのコンセプトが、「早期発見された糖尿病患者にとって、有効な治療法は、何か?」なら ば、再度、診療ガイドラインの定義の、「複数の治療選択肢の利益と害の評価に基づいて、患 者ケアを最適化するための推奨」にもどって、どの治療選択肢の利益と害のエビデンスがわかれ ば、患者にとってベストなのか、そのために、どの治療についての推奨が必要かを考える。無理に、 すべての治療の優劣をだすことがないようにすること。

36.

治療に関するCQを作るとすると、基本は、このような形になる 2型糖尿病の患者(発症から数年以内、HbA1C 7%以上)において、経口糖 尿病薬による治療は、経口糖尿病薬なしと比べて、心血管合併症が少ないか SRのためのエビデンス検索。 適格基準の設定。 薬剤例:採用基準( SU剤、ビグアナイド系、αGI、DPPE阻害剤、SGLT阻害剤) 除外基準(インスリン) ここからは、異なる3つの戦略がある。

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2型糖尿病の患者(発症から数年以内、HbA1C 7%以上)において、経口糖尿病薬に よる治療は、経口糖尿病薬なしと比べて、心血管合併症が少ないか 薬剤:SU剤、ビグアナイド系、αGI、DPPE阻害剤、SGLT阻害剤 1. 収集したエビデンスについて統合できるならば(薬剤別をサブグループにする)、メタアナ リスで統合推定値を算出する。フォレストプロットの結果や統合推定値などをみて、異質 性(heterogeneity)が全くないならば、治療内容によって効果推定値は変わらない だろうということになる。もしheterogeneityが高度ならば、その原因の一つは“介入の違 い“によるものだろうということになり、”どの治療が(当該治療薬なしと比較して)心血管 イベントを減少させるのか“ということが分かります。ここでは、治療薬別にサブグループにす るが、特に、問題の多いサブグループ解析を行う意味ではない。 2. 治療薬Aも効果があり、治療薬Cも効果がある場合に、AとCのいずれがより有効なのだ ろうかという疑問が当然のごとく出てくるが、どうしても両者を比較したエビデンスを知りたい ならば、どうするかを考える。たとえば、AvCの直接エビデンスがない場合(通常ないこと が多い)は、間接比較となります。しかし、この場合には、indirectnessによるエビデンス の確信性のグレードダウンとなります。そして、間接比較では、しばしば患者の違いや、共 変量の問題がでてきます。 3. 全ての介入薬剤の比較となると、ネットワークメタアナリシスが必要となりますが、同じよう にエビデンスの確信性のグレードダウンとなる。

38.

どの戦略を選択しても、批判はある 経口糖尿病薬A薬・B薬・C薬・D薬の優劣を付けたい いずれも、プラセボより有用性があり、差が少なく すべての組み合わせの研究がない A vs 対照 B vs 対照 C vs 対照 D vs A ➢ 戦略1:薬剤別をサブグループとして、全体でメタ分析・フォレストプロット(無理なサブ グループ解析は行わない)。たぶん、以下の2・3より、エビデンスの確信性は、高くなる。 ➢ 戦略2:どうしても比較したい組み合わせのみを取り出す。直接比較した論文がなけれ ば、間接的な比較になり、エビデンスの確信性が低下する。 ➢ 戦略3:すべての組み合わせならば、ネットワークメタ分析(NMA)となる。これも、エビ デンスの確信性が低下する。 ⚫ 戦略2・3を選択した場合 推奨文:経口糖尿病薬の中でB薬が、弱く推奨できる(エビデンスの確信性 極めて低い) 批判:確信性がほとんどないエビデンスで、弱く推奨されても、使えないし、私は、A薬を使って患者 から喜ばれているのに、これではA薬を使ってはいけないとなるので、この推奨文は撤回すべきだ! 批判に対する回答:確かに、エビデンスの確信性は、低いし、委員のなかでもB薬以外を使用する先生 が多いです。推奨文は、弱い推奨なので、他の薬剤を使っても良いです。<この回答は、誤りではない が、この回答では、せっかく作成した診療ガイドラインの推奨を参考にせずに、他の薬剤でも良いとの回 答となってしまう。無理に優劣付けても、意味がなかったですという回答である。>

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どの戦略を選択しても、批判はある ⚫ 戦略1を選択した場合 推奨文:経口糖尿病薬の使用を、強く推奨できる(エビデンスの確信性 高い) 批判:結局、 A薬・B薬・C薬・D薬のどれを使って良いかわからないので、この診療ガイドラインは使 えない! 批判に対する回答:糖尿病の専門家でなくても、あなたは、国家試験を合格し、医師という資格を 持っている専門家です。その専門家が患者の状況を判断し相談しながら、処方を選択することを強く推 奨しているのです。自信が無い場合は、専門医に紹介しましょう。<自信を持った回答。> 推奨すべき戦略へ向けての発想: ⚫ 確かに、エビデンスの確信性が、極めて低い場合でも、強い推奨はある。しかし、診療ガイドラインパネリストならびに 利用者は、よりエビデンスの確信性が高い推奨を好むのではないか。 ⚫ 戦略2・3の間接比較やNMAエビデンスを提示することは、いささか恣意的な推奨を作成し、本来の意図するも のとは別方向の治療普及につながりかねない。 ⚫ 「弱い推奨」も医師の裁量権が入るので重要な推奨ではあるが、「弱い推奨」と強く言える診療ガイドラインであるべ きである。 ⚫ 降圧剤の利尿薬のように、あるリスクの患者に対しては、エビデンスの確信性が高く、害・コストも少なく強く推奨でき る場合は、優劣をつけてもよいが、このような場合は、少ないであろう。 ⚫ 薬剤の優劣をつけるより、リスクアセスメント・薬剤ごとの特徴などの資料の添付の努力を行う方が、社会に役立つ。 推奨すべき戦略: やはり、戦略1とし、その中で、薬剤を選ぶのは、目の前の患者と相談しながら、EBMのステップ4・ Applyで選ぶ。それこそ、専門家である医師の裁量権であるし、醍醐味ではないか?

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Analytic FrameworkからKQの例 大腸の手術における、術前にOMBP(経口・機械的腸管処置)を行うべきか? KQ1:大腸の手術において、術前のいろいろなOMBP (経口・機械的腸管処置)間とコント ロールに対して、予防的手術の影響・術後合併症などが減少するか? a.待機的右側結腸手術、b. 左側 c. 直腸では? KQ2:各種OMBPの使用によって、害、サブグループにおける潜在的な有害事象については?

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KQ1:大腸の手術において、術前のいろいろなOMBP (経口・機械的腸管処置)間とコント ロールに対して、予防的手術の影響・術後合併症などが減少するか? a.待機的右側結腸手術、b. 左側 c. 直腸では? KQ2:各種OMBPの使用によって、害、サブグループにおける潜在的な有害事象については? この2つのKQに対して、さらに、詳細な選択基準を作成して、一つの検索で、システマティックレ ビューを作成している。 そして、KQ2に対しては、RCTだけでなく、いろいろな観察研究も検索することとしている。 いろいろなOMBP(経口抗菌剤と機械的の2つとプラセボ)があるため、ネットワークメタ分析を 行っている。

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Analytic Framework例 一つの、検索式を利用して、 複数のKQを別々のエビデンス として、集めている http://effectivehealthcare.ahrq.gov/i ndex.cfm/search-for-guides-reviewsandreports/?productid=1502&pageactio n=displayproduct 42

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KQの例:Contextual questions を設定 From ABCs to GRADE Key questions 1a. Does screening with mammography (film and digital) or MRI decrease breast cancer mortality and all-cause mortality among women aged 40 to 49 y and ≥ 70 y? 1b. Does CBE screening decrease breast cancer mortality for women of all ages? Alone or with mammography? 1c. Does BSE practice decrease breast cancer mortality for women of all ages? 2a. What are the harms associated with screening with mammography (film and digital) and MRI? 2b. What are the harms associated with CBE? 2c. What are the harms associated with BSE? Contextual questions 1. What are the patient values and preferences related to screening for breast cancer? 2. Are there subgroups of the Canadian population who have a higher burden of breast cancer or for whom it would be difficult to implement screening programs? Subgroup analysis that explores issues of burden of disease, screening rates, and special implementation issues includes the following: • aboriginal women, • women living in rural or remote areas, and • consideration of ethnicity 3. What is the optimal mammography screening frequency? 4. What is the cost-effectiveness of screening for breast cancer?

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CQの形式について 治療に関する疑問の場合 ⚫ [医療問題]の対応には、 [介入] と [比較対照]のいずれを使用すべきか ⚫ [集団]において、 [介入]と [比較対照]のいずれを使用すべきか ⚫ [患者]は、[介入]を行うべきか ⚫ [介入]は、[患者]の[重大なアウトカム]のために使用すべきか などとなるだろう。 ここで、CQに、アウトカムを記入するかについて、少し説明する。 (1)「非経口的抗凝固療法は癌患者の生存延長のために使用すべきか」 (2)「癌患者に非経口的抗凝固療法を行うべきか どちらも問題ないが、より(1)のが、CQとしてインパクトがあり、わかりやすいです。 もちろん、このアウトカムは、「重大なアウトカム」の代表であり、このアウトカムのみが良ければ良 いというものではありません(害なども考慮するし)。 そして、このアウトカムに、「代理のアウトカム」でCQを作ってはいけません。診療ガイドラインにお いてとりあげるアウトカムは基本的には、患者にとって重大なアウトカムですから。 たとえば、(3)「歯周病治療で、糖尿病患者のHbA1cが低下するか?」は、EBMや、システ マティックレビューとしてのCQとしては、ありえるが、診療ガイドラインのCQではない。診療ガイドラ インなら(4)「歯周病治療で、糖尿病患者の重篤な合併症が減り生命予後が伸びるか」と なる。その中のKQに、(3)が存在することはあるかもしれない。 44

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CQ具体例:IPFの診療ガイドライン(GRADEアプローチのキースタッ フが参加)でのCQと推奨文について An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline: Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis An Update of the 2011 Clinical Practice Guideline CQ: ⚫ 抗凝固療法 対 抗凝固療法以外の治療のどちらかが、IPFの患者のために使用すべきで はないか?Should nintedanib vs. no nintedanib be used in patients with idiopathic pulmonary fibrosis? (13 words) ⚫ IPF(idiopathic pulmonary fibrosis) の患者は抗凝固療法で治療すべきか? Should nintedanib be used in patients with idiopathic pulmonary fibrosis (IPF)? (11 words) ⚫ 抗凝固療法は、IPFの患者で使用されるべきか?Should Patients with IPF Be Treated with Pirfenidone? (8 words) 推奨文: ⚫ 我々は、臨床医は、IPF患者において、ルーチンの抗凝固療法を使用しないことを推奨する。 ⚫ 我々は、臨床医は、その使用のため、既知の代替指標を持っていないIPF患者においては、 ワルファリンの抗凝固療法を使用しないことを推奨する。 これらは、いずれも、同じ診療ガイドラインの同じ質問で、EtDテーブルや、本文や、まとめなどに 書かれたCQと推奨文を集めた。このように、若干の揺らぎがある。CQにおいて、最初は、A治療 vs A治療以外 ということで作成を進め、最後に、A治療を使用すべきか、という形になることが 多かった。また、推奨文では、ワルファリンなど、特定化する用語が含まれていたりの変更がある。 45

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CQ具体的例:推奨文の本文にCQが記載されてない例 ヘパリンの診療ガイドライン(Chest2012_141_e195S・CD006652) コクランSoF: heparin compared to no heparin for patients with cancer who have no other therapeutic or prophylactic indication for anticoagulation (19 words) ↓ 診療ガイドラインEvidence Profile: Should Heparin vs No Heparin Be Used in Patients With Cancer Who Have No Other Therapeutic or Prophylactic Indication for Anticoagulation? (21 words) ↓ 診療ガイドライン:CQはなく、推奨文のみ (0 words) 46

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推奨文でCQが2つに分けられる場合 Ensuring the question framing is appropriately specific 疑問の定式化には適切に具体性を確保する ある特定の比較対照と比べた場合の、ある介入の相対リスクは、通常の場合、一連の異なる ベースラインリスク間で類似しているため、システマティックレビューにおいて、一連の異なる患者サ ブグループに対し、相対効果として単一の統合推定値が導き出されるのは、通常の場合は適 切である。 しかし、アウトカムのベースラインリスクが異なる患者サブグループ全体に当てはまる単一の相対リ スクが示されている場合でも、診療ガイドラインにおける推奨はサブグループによって異なる場合 がある。たとえば、不便さを伴い、深刻な出血リスクの高いワルファリン療法の妥当性は、脳卒中 リスクがきわめて高い心房細動患者では脳卒中リスクがきわめて低い心房細動患者と比べては るかに高いものとなる。高リスク患者においては絶対リスク減少がより高いことから、副作用のリス クが高く、不便さに耐えなければならないことも正当化される。 サブグループ間でエビデンスの質が異なる場合もあり、この場合は複数の異なる推奨が示される ことになるだろう(エビデンスの質がより高い場合には介入が推奨される可能性、または強い推 奨が示される可能性が高くなる)。したがってガイドラインパネルは同一のメタアナリシスに含まれ る高リスク患者と低リスク患者、ならびにエビデンスの質に差がある患者に対しては、個別の疑問 を定義(ならびに個別のエビデンス要約を作成)しなければならないことが多い。 参考:相原先生のブログより 47

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いろいろな用語が混乱しているので、明確な記載が困難であるが、ここまで理解した 人は、以下の文章を考えて欲しい。 *理解不十分ならば、臨床の疑問もCQもKGもすべて、「疑問」とだけ考えると良いかも知れません。 まず、診療ガイドラインにおいて、大きな、「包括的な臨床の疑問」があるはずである。 次に、その「臨床の疑問」を解決するために、患者にとって重要なアウトカムを改善するために「探す必要が あるエビデンス」は何であり、そのために、どのような「アウトカム」が分かれば良いかリストアップしながら、「ベー スラインリスク」でそのアウトカムが異なるかを視野に入れて、「Key Question(KQ)」を、PIOに従って具 体的に列挙する。特に、KQ1は、 「包括的な臨床の疑問」であることが多い。 その議論のために(特に真のアウトカムのリストアップ)、一つの図があると、パネリスト間での議論が便利と なる。それが、「Analytic Framework」である(よって、複雑でなく、パターン化された図でもよいだろう)。 このKQは、一つ一つの「システマティックレビュー(SR)」に対応しているのではなく、SRができないKQもあれ ば、2つのKQを同時にSRしたり、研究デザインが違ったりする。その過程で、SRの便宜的なクリニカルクエッ チョン(CQ)を設定することもある。そして、エビデンスを探すこととなる。 次に、そこから 、その探したエビデンスを利用して、いかに「包括的な臨床の疑問」に対して、利用者が解決 できるかを推奨文という形で提示するのが、診療ガイドラインである。よって、推奨文は、一つのこともあるし、 複数になることもある。そのため、診療ガイドラインのレイアウトとして、もし診療ガイドラインの推奨を目立た せるために、Q&A形式で記載するならば、そのQの文章は、CQのような形式で、どのように文章化すると良 いかを考えることとなる(特にリスクで分割などを考慮)。 最終的に、診療ガイドラインに記載される個別のCQ(Q&AのQ)は、その診療ガイドライン全体で、もとも との 「包括的な臨床の疑問」に対しての回答を行うための戦略にしかすぎない(このCQでSRをするのでな い)。 48

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本スライドの目的 臨床医にとって重要な「臨床の疑問」と、Q&AのCQを理解すること 包括的な CQ AF KQ (SRの CQ) 推奨文 用のCQ or 推奨文 1. 臨床医・患者にとって重要な臨床の疑問を解決することを目的に、 「包括的な 臨床の疑問(包括的なCQ(Clinical Question))」を設定する(複数あるこ ともある)。 2. 患者にとって重要なアウトカムを改善するために「探す必要があるエビデンスが何 か?」を考える。そのための戦略を、AF(Analytic Framework)を利用して KQ(Key Question)として具体的に列挙する。 3. ポイントは、複数の治療がある場合、その治療のすべてに順番を付けるなど、エ ビデンスの確信性が低くなることを行うのでなく、EBM(Evidence based Medicine)のステップ4・適用(Apply evidence to patient care)を重視し て、なるべく確信性の高いエビデンスに基づく推奨を行えるように注意することが 大切である。 4. そして、さらに具体的にKQを利用して、実際に行うSR(Systematic review)を考える(複数のKQで一つのSRもある)。その場合、SR用のCQ を作成することになる。 5. そして、そのエビデンスを利用し、診療ガイドラインで扱うべき「包括的な臨床の 疑問」に対して、利用者が解決できるのかを推奨文という形で提示することを考 える。そして、そのために診療ガイドラインのレイアウトとして、もしQ&A形式で記 載するならば、QをQCの形式で、どのように文章化するかを考えながら作成する こととなる。 *よって、1・4・5の3つのCQの形式の文章が存在するが、それぞれ目的が異なる。 ・・・この文章を読んで、理解し、納得できるようになりましたか?49

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様式1:Analytic Framework:スクリーニング→ここから、どのようなCQを考えるか? Current Methods of the U.S. Preventive Services Task Force A Review of the Process 50

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様式2:Analytic Framework:介入・治療→ここから、どのようなCQを考えるか? Current Methods of the U.S. Preventive Services Task Force A Review of the Process 51

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その後・・・ Analytic frameworkを使って、臨床疑問を具体的かつ明確にし、 診療ガイドラインに含めるエビデンスやアウトカムを決定した後は・・・・ アウトカムごとに、効果推定値の確信性(エビデンスの質)を GRADE Evidence Profileとして、まとめる。次に、エビデンスから 推奨のためのEvidence to Decision tableを完成させる。 52