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June 03, 23
スライド概要
component network meta-analysis(CNMA)という、NMAの一つの方法で、治療を組み合わせた治療法がある場合に、有用となる方法を紹介。公開版なので、教科書の解説ははぶいて、オープンアクセスのもののにを解説。
Meta-Research Methods and Protocols Edited by Evangelos Evangelo (教科書でオープンでないので、公開版では削除) Modeling Multicomponent Interventions in Network Meta-Analysis. Areti Angeliki Veroniki et al Component network meta-analysis in a nutshell https://ebm.bmj.com/content/28/3/183 Interventions for preventing falls and fall-related fractures in community-dwelling older adults: A systematic review and network meta-analysis https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc /articles/PMC8518387/ Approaches for synthesising complex mental health interventions in meta-analysis https://mentalhealth.bmj.com/content/19/1/16.long#block-system-main Network meta‐analysis of multicomponent interventions Gerta Rücker, https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc /articles/PMC7217213/ 一つの表のみ:Component Network Meta-Analysis https://www.gla.ac.uk/media/Media_812961_smxx.pdf 実例の文献:Combination of antiplatelet and anticoagulant therapy, component network meta-analysis of randomized controlled trials https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc /articles/PMC9773199/ コクランの事例:Non‐pharmacological interventions for preventing delirium in hospitalised non‐ICU patients https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD013307.pub3/full#CD013307-abs-0001 参考文献:https://bmcmedresmethodol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12874-023-01959-9 Petropoulou M, Rücker G, Weibel S, Kranke P, Schwarzer G. Model selection for component network metaanalysis in connected and disconnected networks: a simulation study. BMC Med Res Methodol. 2023 Jun 14;23(1):140. doi: 10.1186/s12874-023-01959-9. PMID: 37316775; PMCID: PMC10268445.
たぶん・・・ 図で、各青丸をノードと言う。 A、A+B、A+B+E・・・を独立した(違う)治療法(介入: intervention) と考えると、介入A、介入A+B、介入A+B+Eとなる。 そして、この介入A+Bが、AとBの「成分・構成要素: component」 からできていると表現する(介入をコンポーネントに分けることができる という考え)。介入Aのみなら、成分Aのみからできていることになる。 その場合、介入A+Bは、「複合: complex 」または「多成分: multicomponent 」と表現する。 定義:Components are defined as the active ingredients, processes, intervention techniques or “elements of an intervention that have the potential to causally influence outcomes”結果に因果的に 影響を与える可能性のある介入の要素 " I. “clinically meaningful units” approach:多数の類似した治療様式(例えば、ある物質のクラス内のす べての薬剤、または類似していると考えられる一連の心理療法)を一つの治療ノードに結合する i) A、A+B、A+B+E・・・を独立した治療法として、効果の差をみたい。これは一見、普通のNMAと同じ 目的だが、いろいろな理由で、NMAより効果推定値の信頼区間が狭くなりセイカクになることがある。 ii) A、B、・・・Gと治療があり、A+B、C+D+E、F+Gとの組み合わせ治療の効果の違いをみたい。 iii) 右上図とは別に、A vs C+Dの直接比較があったとする。すると、それは右上のネットワークに接続 されず切断された比較となる。この場合、普通のNMAでは組み込むことができない。しかし、CNAMな ら可能となる。 II. “components and dismantling” approach:異なる治療法の共通構成要素( common components)を解体して、組み合わせた介入の効果への寄与を明らかにしようとするものである。た とえば、A+B対Aから、Bを推定することができる。 i) A、A+B、A+B+E、C、D+Eなどの治療法があり(B単独治療やE単独治療の研究がない場合)、そ こから、A,B,C,D,Eの治療効果を知りたい。 ii) A治療があり、一般のメタ分析をA vs コントロールで行なうが、実は、Aの治療は、複合治療であり、 各々の研究のA治療としていた研究が、構成要素として、a+bの研究とか、a+b+cの研究とか、 b+d+eの研究であった場合、a,b,c,d,eの構成要素の推定値を知りたい(コントロールも含むはずだ)。
Component network meta-analysis in a nutshell https://ebm.bmj.com/content/28/3/183 WHOのようないくつかの組織は、ネットワークメタ解析 (NMA)を臨床的意思決定における強力なツールとして承認 している。NMAは、同じ科学的疑問に取り組む複数の研究か ら得られた直接的・間接的証拠を総合することで、一つの枠 組みの中で複数(3つ以上)の介入を同時に比較する統計手法 である1-4。 医療介入は、複数の、おそらく相互作用するコンポーネント からなるという意味で、複雑/多コンポーネントになりうる。 NMAが介入効果の推定に焦点を当てるのに対し、コンポーネ ントNMA(CNMA)は各コンポーネントの効果を切り離す disentangles。その後、CNMAはこれらの推定値を用いて多 成分介入効果を再構築する。5-7 我々は、読者にCNMAを簡単に紹介し、その利点と限界を強調 することを目的とする。
(Standard) NMA 複数の介入策(2つ以上)の有効性/安全性を比較する一連の試験があり、エビデンスのネットワー クを形成しているとする。このようなネットワークの例は、図1のネットワークプロットに描かれ ている。ノードは介入を、エッジは直接的なエビデンスを表す。介入は、それらを比較する研究が ある場合、エッジでリンクされている。介入は、それらを比較する研究がある場合、エッジで結ば れている。 任意のペアの介入間の介入効果は、1つのノードから他のノードにたどれるパスがある限り、これ らの介入を直接比較する研究(直接証拠)および他の研究(間接証拠)の両方から知らされる。 例えば、図1のネットワークでは、介入「A+B」と「A+B+C」を比較する線/辺(直接エビデン ス)はないが(赤点線)、「A+B」から通常ケア(UC)または別の経路を経て「A+B+C」まで行 くことができる。直接および間接的なエビデンスを統合することにより、NMAはより正確な効果推 定をもたらし、たとえ研究で直接比較されていないものであっても、あらゆる介入のペア間の相対 的な有効性と安全性を推定することができる1-4。 例えば、重症度が効果修飾因子であり、重症患者ほど 介入が効果的であることが分かっているとする。 すると、間接効果、例えばUCを介した「A+B」から 「A+B+C」を推定するとき、「A+B+C」対UC試験に は重症患者が、「A+B」対UC試験には軽症患者が含ま れている場合、「A+B+C」が「A+B」よりも優れてい るという結果が得られるかもしれないが、この結果が 介入に起因するのか病気の重症度と交絡した偽の結果 なのかは分からない。
Component network meta-analysis 図1に見られるように、介入は特定の構成要素(A-E)で構成されて いる。このような介入は,「複合」または「多成分」 ‘complex’ or ‘multicomponent’として特徴付けられる5-8.NMAでは,各ノード を個別の介入として扱うが,CNMAではさらに各成分 each componentの効果を推定することができ,「どの成分が効く(効か ない)か」といった質問に答えることができる5 7 9.CNMAモデル には,主に加算モデルと相互作用モデルがある5 7.
CNMA: additive and interaction models 加法効果モデルは、まず各構成要素の効果を推定し、次にこの介入を構成する構成要素 の相対効果を合計することで各構成要素の介入効果を推定する(加法性の仮定)。 図1では、5つの異なるコンポーネント(A~E)とUCからなる10の介入のネットワー クが示されている。UCを参照介入として用いると、NMAは各ノードを個別の介入とみ なすため、9種類の治療効果を推定する(表1:d1...d9)。同じネットワークに対して、 加法的CNMAモデルは、まず各コンポーネントの対UC効果を推定する(表1:dA、dB、 dC、dD、dE)。そして、それぞれの構成要素の効果を合計することで、介入の効果を 算出する。例えば、CNMAによれば、介入効果(A+C)=効果(A)+効果(C)、または dA+C=dA+dCの効果がある。
加法的なCNMAモデルは、成分間の相互作用interactionがないことを前提 としています。しかし,これは,構成要素が互いに作用しうるので,強い 仮定である. たとえば,介入 'A+C' を考える.成分 'A' と 'C' が相互作用効果を持つと すると,次のようになる: effect(A+C)=effect(A)+effect(C)+interaction(A, C) または dA+C=dA+dC+dAC. これで相互作用モデルができ、さらに1つのパラ メータを推定する必要がある(dAC)。2つ以上の成分が相乗的に働く (より大きな効果がある)場合、dAC>0(またはdA+C<dA+dC)となり ます。それらが拮抗的に働く(効果が小さい)場合は、dAC<0(または dA+C>dA+dC.)となります。 したがって、交互作用項の選択は、もっともらしい理由に基づいて行うべ きであり、分析のプロトコルで事前に定義しておくべきである。 表1は、図1に示したネットワークについて、NMA、加法的CNMA、加法的 CNMAを用い、成分「A」と「C」について相互作用を考慮した場合、どの ような効果が推定されるかを示している。
CNMA versus NMA 図1を見ると、「UC」から「C+E」に至る直接的・間接的な経路が存在しないため、標準的なNMAでは「UC」と 「C+E」の相対効果を推定することができないことがわかります。図1のネットワークは切断されており、NMAは 接続されたネットワークにのみ適用できる。つまり、図1のすべての介入間の相対有効性を推定できる(つまりから が、意味不明、接続された全ての介入間のいみと思われる)。ただし、介入「C+E」と「A+B+D」については、そ れらを直接比較する研究からの証拠のみを使用することになる。 CNMAは、サブネットワークが少なくとも1つの共通成分を共有していれば、切断されたネットワークでも使用する ことができる。したがって、図1のネットワークでは、CNMAはすべての研究からの情報を使用することになる。 NMAは理論的には、成分間のすべての相互作用効果を推定することができる。実際には、多成分介入からなるほと んどのネットワークは、ほとんどの研究が介入を通常のケアと比較し、ヘッドツーヘッド試験はほとんどないとい う意味で、まばら・疎sparseである(ちょうど図1のような)。これは、多成分介入に関するほとんどのネットワー クで見られる一定のテーマである。 疎なネットワークでは、介入の有効性は研究特性と混同され、 要約効果を知らせるためのほとんどのエビデンスは、それぞ れの介入を含む研究(通常は2、3の研究)から得られる。 例えば、図1の「A+C」と「UC」の相対効果が、大きな効果 を持つ50人参加の1つの研究のみから得られていると仮定する (おそらく、介入が非常に有効な集団で行われた/質が低い/介 入の強度が大きかったなど)すると、この介入が最善と思わ れるが、観察された有効性が、使用した介入によるものか他 の研究特性によるものかどうかは分からない。これは、結果 が単一の研究の結果を反映している可能性がある、疎なデー タのNMAでよくある問題である。
CNMAは、同じ要素を共有するすべての研究からのエビデンスを使用するため、より正確な介入効果を提供する (そんなに単純でないはず)。また、CNMAの推定値の要約が、主に個々の研究によって左右されることがないた め、より中程度の効果が観察される。さらに、CNMAは、含まれる研究でそれらの組み合わせが観察されているか どうかにかかわらず、構成要素のすべての組み合わせの効果を推定することができる。 例えば、図1のネットワークでは、CNMAによって、介入としてその特定の組み合わせを含む研究がない場合でも、 すべての構成要素「A+B+C+D+E」の組み合わせの効果を推定することができる。これは、これらの構成要素が 組み合わされた場合にどのように相互作用するか、あるいはある構成要素が全く組み合わされないかどうかがわか らないため、問題となる可能性がある。 どのような統計手法の信頼性も、仮定が妥当であるかどうかにかかっている。疎なネットワークではtransitivityの 仮定は検証できないが、概念的には妥当でない可能性が高く、結果は研究特性によって混乱することが推測できる。 また、additivityは強い仮定であり、成分間の相互作用があることが予想される。もし、加法性の仮定が成り立たな ければ、加法性モデルは偏った推定値を提供することになる。 一方、CNMAモデルを適用すれば、ネットワークが疎なNMAで見られる交絡の問題が緩和される。NMAでは、検討 した特定の介入を含む研究の結果に基づいて介入の要約効果を描くが、CNMAでは、共通成分を持つすべての研究 の結果を用いる。 Rückerらは最近、相加性の仮定を評価するためのテストを提案したが、このテストは連結ネットワークにのみ適用 される7。相互作用モデルは、相加性の仮定を緩和するが、モデルに含めるべき相互作用項を定義することは困難 である。すべての成分間の相互作用項を追加するだけでは、推定パラメータの数が増え、精度が低下し、加法性モ デルの利点が大幅に失われるからである。多成分介入のネットワークでは,介入の提供者,介入の強度,場所,受 け手,対面か遠隔か,介入の特徴,などの構成要素があるのが典型的である.このような介入では、文脈が最も重 要であり、理論的には、CNMAでは、これらの特徴に応じて有効性がどのように変化するかを見ることによって、 異質性を探ることができます。これは、NMAにおいても、効能を構成要素に関連付けようとすることで達成できる (例えば、最も効能の高い介入にどの構成要素が存在するかを見つける)。
Real data example 65歳以上の地域居住者10における転倒関連骨折を予防するための単一、複数、多因子介入とその個々の構成要素の 有効性を、NMAと加算CNMAモデル(R11のnetmetaパッケージ)を用いて検討した。 文献:地域在住高齢者における転倒および転倒関連骨折予防のための介入:系統的レビューとネットワークメタアナ リシス(後述) 主要アウトカムである「転倒関連骨折数」のネットワークには、46の研究(43 811人)と27の介入が含まれ、す べて通常ケア(UC)と比較した。 表2は、対数リスク比とリスク比スケールにおける成分効果を示している。なお、対数リスク比スケールでは、加 法性の仮定が成り立つ。構成要素の効果は、任意の組み合わせの効果を計算するために使用することができる。例 えば、「assist+envir+med+social」の効果は、(0.51)+(0.17)+(-0.17)+(1.09)=1.60(またはリス ク比スケールでe1.60=4.95)と算出される。
表3は、NMAによると最大の効果があった7つの介入について、NMAとCNMAの介入効果を表示した ものである。NMAの結果では、114名の参加者による単一研究で比較され、大きな効果があった 「qualt + brisk」が最も大きな効果であることがわかる。 残りの介入についても、exercを除いて表3に示されています。これらの大きな効果は、交絡による ものである。ある成分が数回しか観察されない場合、CNMAも交絡に悩まされる可能性があること に留意されたい。この例では、表2の'social'がそうであり、これが、大きく不正確impreciseな成分 効果(1.09(95%CI -0.24~2.43)) を持つ理由である。 NMAと比較して、CNMAはより正確で(preciseなので、より精確というか信頼区間の幅が狭いとい うことか?)、帰無仮説(logRR=0またはRR=1)に近く、より保守的な効果推定値を提供してい ることがわかる。また、NMAでは交絡の問題があるため、効果に大きな差があることがわかる。加 法性テスト7では、加法性モデルがデータを十分に説明し、加法性の仮定が正当化されることが示唆 された。これは、異質性・非一貫性の検定が陰性であっても、それがないことの証明にはならない のと同様に、必ずしもそれが有効であることの証明にはならない。このNMAでは、統計的な矛盾は なかったが、これはおそらく、矛盾を覆い隠す大きな異質性の副産物である。
Conclusion CNMAとNMAの主な利点は、共通のコンポーネントが含まれている限り、切り離されたネットワークでも、コン ポーネントを個別にまたはさまざまな組み合わせで評価する機会があることです。NMAを使用すると、観察された 組み合わせ(介入)の効果しか分析できません。しかし、加法性の仮定が破られた場合、介入効果の推定値は偏り ます。全体として、CNMAはベイジアンと頻度主義の両方の枠組みで魅力的で、適用しやすくなりました(Rの netmetaパッケージ)。最近の多くのCNMAの出版物があります。 推移性の仮定とその統計的同値物である一貫性は、NMAにとって基本的です。これまでに、NMAで一貫性をテスト するためのいくつかの方法が開発されました。ただし、これらの方法は、CNMAモデルに拡張される前にさらなる 開発が必要です。多成分介入の希薄なネットワークでは、両方の仮定をテストすることは困難です。私たちは、両 方の方法を感度分析として使用し、どちらの場合もプロトコルで方法の選択が説明されるべきだと主張します。 加法性の仮定は容易に採用できないため、まずNMAを適用することが適切だと考えます。ネットワークが希薄であ る場合、介入効果は研究特性と混同され、コンポーネントと効果の間に単調な関係が観察されないため、例えば 「A+B」は大きな効果があるが、「A+B+C」は小さな効果、「A+B+C+D」は大きな効果がある。このような場 合、NMAが相互作用を完全に調べると思われるが、研究特性によって駆動されるランダムな結果が得られる。これ らの場合、CNMAは貴重なツールであり、すべてのコンポーネントを含む研究によってコンポーネント効果が確認 され、効果とコンポーネントの間に単調なパターンを示す介入効果が得られる。この分析は、希薄なネットワーク での交絡問題に対する安全装置として機能します。 CNMAでは、異質性を評価できます。CNMA自体では小規模研究効果を検出できませんが、NMAで使用される古典 的な方法を使用して行うことができます。2つのモデルは競合相手としてではなく、補完的として見なされるべき です。中間的な方法は、NMAの要約効果を取得し、最も効果的な介入で観察されるコンポーネントを確認すること です。
地域在住高齢者における転倒および転倒関連骨折予防のための介入:系統的レビューと ネットワークメタアナリシス Interventions for preventing falls and fall-related fractures in communitydwelling older adults: A systematic review and network meta-analysis https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8518387/ メタアナリシス手法の詳細については、付録S11を参照のこと。(後述) 一次解析は、標準的なアプローチに従ったもので、介入要素の異なる組み合わせは、例 えば、支援技術+運動対通常ケアのように、それぞれ別の介入として扱われる。 我々は、例えば、支援技術対通常ケア、運動対通常ケアのように、それぞれの個別の介 入構成要素の効果を分離する(すなわち、効果量を決定する)ために追加の統計モデル を採用した(コンポーネントNMA [C-NMA] )。 C-NMAの専門的でないレビューは以前紹介されている。16 16:16. Caldwell D, Welton N. Approaches for synthesising complex mental health interventions in meta‐analysis. Evid Based Ment Health. 2016;19(1):16‐21. 10.1136/eb-2015-102275 (後述) C-NMAの基本的な仮定は加法性の仮定であり、複数/多因子介入の総効果は関連する成 分の合計から導かれる(Interventiona + b = Interventiona + Interventionb)ため、 個々の介入成分の効果量を決定することができる。17 , 18 我々は、介入をランク付けし、ある治療が他の競合治療より優れている平均確率を推定 するために、Pスコアが最も高い統計的に有意な効果推定値を使用した19。
付録S11: データ統合 まず、各対比較に逆分散加重を用いたランダム効果メタアナリシスを実施した1。多くの研究が、複数の相互作用する要素から なる介入を比較していた。主要なNMAは、構成要素の異なる組み合わせがそれぞれ個別の介入として扱われる標準的なアプローチに従っ た。標準的なNMAの前提条件は、ネットワークがつながっていること(どのノードからも他のノードに行くことができる)です。 各構成要素の効果を分離するために、さらに各構成要素の相対効果を得るための統計モデルを採用した(構成要素NMA(C-NMA))。 CNMAアプローチでは、いくつかの共通の構成要素を含む限り、切断されたネットワークを共同で分析することができます。しかし、我々 は、研究数が治療ノードの数を超える連結されたネットワークに対してのみ、NMAを実施した。運動(バランス)対運動(筋力)のよう に、試験群で同一の治療を比較した研究や、必要な試験群レベルのデータがないものは解析から除外した。 標準的なNMAと(C-NMA)3,4の両方の分析で、Rソフトウェアのnetmetaパッケージ5(バージョン3.6.1)を使用した。このパッケー ジは、各効果量に与えられる重みを減らすことによってマルチアーム試験内の相関を処理する。2 参加者が複数または多因子の介入に無作為に割り付けられた研究にも遭遇した。このようなネットワークにおける主な課題は、各要素の効 果を切り離すことであった。我々は、一連のネットワークメタ解析を実施した。相対効果を推定するために、Welton et al.2009に記載さ れているモデル(下記)に従った3。 モデルA、ペアワイズメタ解析: いくつかの試験は、積極的介入と通常ケアを比較した。モデルAは、すべての介入をひとまとめにし そし て、参照治療(例:通常ケア)と比較する。このようなモデルは、介入は全体として有効かどうかという問いに答える介入は全体として 機能するかという問いに答えるものである。 モデルB、標準的なNMA:構成要素の可能な組み合わせは、それぞれ独立した介入とみなされ、独自の効果を持つ。であり、独自の効果を 有する。これが一次解析である。 モデルC、コンポーネントNMA、加法モデル: 各コンポーネントに個別の効果があると仮定する。介入による総効果は、相対的な成分効 果の合計に等しい(加法性の仮定)。 モデルD、コンポーネントNMA、相互作用モデル: モデルCの拡張で、構成要素のペアの組み合わせに関する追加項がある。モデルCの拡 張で、構成要素のペアの組み合わせの項を追加したものである。構成要素の組が、個々の構成要素の合計から予想される効果よりも大きい、 または小さい効果を持つことを可能にする。個々の成分の合計から予想される効果よりも、成分の組が大きくなったり小さくなったりする ことを可能にする。 ネットワークメタ分析では、モデルA、B、および適切な場合にはモデルCを使用しました。
結果 この主要アウトカムに関するNMAでは、192の研究(98,388 人)、63の異なる介入をすべて通常ケアと比較した。これら の数は、最新の結果を示すために、検索期間終了後に発表さ れた2つのRCTを含めたことも反映している。 1件の研究は、報告された構成要素の組み合わせ (exerc+nutr+envir+brisk vs. exerc+nutr+envir)が他の RCTで検討されていないため、ネットワークに接続されてい ない。したがって、この研究(152人)は一次解析から除外さ れたが、C-NMAには含まれた(図S2)(図に上の組み合わせ はないが・・・)。 C-NMAでは、個々の介入要素の相対効果を分離することがで き、(a)全身振動(RR 0.61; 95% CI 0.42-0.90) (b)運動 (RR 0.92; 95% CI 0.88-0.97) が通常のケアと比較して転 倒者数の減少に関連した。尿失禁の管理は、転倒者数の増加 (RR 1.39; 95% CI 1.08-1.79)と関連していた(表S3)。
Supplementary Table S3. Risk ratios with 95% confidence intervals (95% CI) resulting from the component network meta-analysis for every intervention component versus usual care for the outcome number of fallers
Caldwell D, Welton N. Approaches for synthesising complex mental health interventions in meta‐analysis. Evid Based Ment Health. 2016;19(1):16‐21. 10.1136/eb-2015-102275 https://mentalhealth.bmj.com/content/19/1/16.long メンタルヘルス介入に関するメタアナリシスでは、臨床的・ 統計的異質性heterogeneityが当たり前のように存在する。こ の異質性の原因の1つとして考えられるのは、評価される介入 の複雑さである。複雑さは介入やその実施方法に関係するこ ともあるが、複雑な介入の最も一般的な解釈は、複数の、潜 在的に相互作用する構成要素を持つものである。この論文で は、メタアナリシスで介入の複雑性を取り入れるために提案 されたさまざまな分析戦略の概要を説明する。
Introduction Centre for Evidence-Based Medicineのエビデンスの階層によると、均質homogenousでよく実 施された無作為化対照試験(RCT)のシステマティックレビューは、介入の有効性を評価するため の最良のエビデンスとなる1。均質性は、メタ分析に含まれる各研究が単一の真の根本的な相対介入 効果を推定しており、研究間の推定の違いはサンプリングエラーのみによることを意味している2。 均質性が保たれない場合、単一の固定治療効果メタ解析モデルを仮定すべきではなく、ランダム効 果モデルがより適切であるかもしれない2 ,3 メンタルヘルスに対する介入のシステマティックレビューでは、一般的に均質性の仮定が保たれに くいと主張することができる。これは、患者集団、セラピストの忠実度、介入と比較対象条件、ア ウトカム(患者と臨床医の両方の報告)などで観察される臨床的なばらつきが、メタアナリシスに おける統計的異質性を生じさせうるからである。実際、異質性は避けられないと考えられるかもし れない4。 メンタルヘルス介入に関するシステマティックレビューにおいて、統計的異質性heterogeneityが存 在するのは、評価される介入の複雑さによって研究間で潜在的に重要な差異が生じるためかもしれ ない。「複雑さ‘Complexity’ 」自体は議論のある用語であるが5、医学研究評議会(MRC)は、複 雑な介入の特徴を次のように説明している: • 実験的介入と対照的介入の中に、相互作用する構成要素interacting componentsが多数ある、 • 介入を行う者、受ける者が必要とする行動の数と難しさdifficulty 、 • 介入によって対象とされるグループや組織レベルの数、 • アウトカムの数および変動性variability 、 • 許容される介入の柔軟性や調整度合いdegree of flexibility or tailoring 6
これらの特性は、すべての複雑な介入に存在する場合もあれば、存在しない場合もある。 Petticrewら7は、複雑性の特徴を、 (1)介入そのものに関係するもの(複数の相互作用する構成要素や実施の柔軟性など)、 (2)介入の因果経路に関係するもの(文脈との相互作用、複数の媒介者、効果の調整因子など)と 分類した。 この論文の目的は、冠動脈性心疾患後の抑うつ症状を軽減するための心理療法を検討するコクラン レビューの研究のサブセットを用いて説明し、系統的レビューにおいて介入の複雑性を取り入れる ために提案されたさまざまな分析戦略の概要を示すことである10。 10:Rees K, Bennett P, West R, et al. Psychological interventions for coronary heart disease. Cochrane Database Syst Rev 2004;(2):CD002902. 私たちは介入に関連するものとしてのみ複雑性を考え、複数の、潜在的に相互作用する要素を持つ ものとして複雑介入を概念化している。これは最も一般的な解釈である。8 興味のある読者は、 Journal of Clinical Epidemiologyの特別版で、システマティックレビューにおける複雑性の他の側 面を扱うための戦略について考察しているので、そちらを参照されたい。11 11:Tugwell P, Knottnerus JA, Idzerda L, Complex interventions–how should systematic reviews of their impact differ from reviews of simple or complicated interventions? J Clin Epidemiol 2013;66:1195–6
Formulating the research question—lumping or splitting? 複雑な介入を統合するための分析戦略は、事前に特定されるべきであり、賢明なリサーチクエス チョンの策定から始まり、それはレビューの目的に依存する12 ,13 レビューの目的の特定は、分析戦略が介入を「一括」または「分割」するのかを形作る。 例えば、「心理療法は(全体として)冠動脈性心疾患後のうつ病を軽減するか」といった「原則的 な」研究課題は、この課題が有効性全般を理解しようとしているため、分析に一括りのアプローチ を取るかもしれない。しかし、複雑な介入を「ひとまとめ」にして一つの比較対象を形成すると、 介入間の変動が覆い隠され、説明のつかない異質性の増加として現れる可能性がある。もちろん、 介入を一括りにする決定は、レビューに含めるための適格な研究が少ない場合など、実用的な理由 で行われることもある。 図1は、冠状動脈性心臓病に対する36の心理的介入に関するコクラン・レビューから引用したもの である10。 ここでの興味ある結果は、抑うつ症状の軽減であり、 11の研究が含まれている。比較対象は心理学的介入と コントロールで、コントロールは標準治療/通常治療 (TAU)と定義される。著者らによって固定効果メタ 解析が行われ、標準化平均減少量-0.18(95%CI 0.24 to -0.12)(-0.29では?・-0.18は元のコクラ ンにもない?)は、心理的介入が冠動脈心疾患後のう つ病の緩やかな減少に影響を与える可能性を示唆した。 しかし、χ2統計量のp値は、均質性の帰無仮説(すなわ ち、介入は単一の根本的な治療効果を推定している) に対して極めて強い証拠を提供している。
Formulating the research question—lumping or splitting? I2統計は、研究間のばらつきの75%が偶然ではなく異質性に起因していることを示唆している。観 察された研究間のばらつきを適切に説明するためには、ランダム効果メタアナリシスがより適切で あったかもしれない2。 しかし、これでも一般的な有効性の「原則的な」質問に答えるだけで、臨床家が患者に対して特定 の心理的介入を選択できるような結果にはならないだろう。したがって、複雑な介入を有意義に分 析するためには、「一括り」のアプローチに従うと問題が生じる可能性がある。 図2は、治療の提供形態によるサブグループ分析を示しているが、これは観察された異質性を説明し ていないようであり(個人療法I2=77%、グループ療法I2=86%)、サブグループ差の検定は有意 ではない(p=0.31)。 原理的には、介入を「個人+週1回のミーティング」または「グループ+週1回のミーティング+電 話サポート」のようにさらにサブグループ化することができる。 しかし、このような分析は、それぞれのグループ分け で含まれる研究の数が少ないため、検出力が低くなる 可能性があるため、注意が必要である。 レビューの目的が、どのタイプの心理的介入が有効か、 またはどの介入の特徴が有効かを調査することであれ ば、介入の特徴を分類し、介入のタイプごとに分析を 「分割」するレビューが、より適切で強固な戦略であ ると考えられる。これは、一連の個別のレビューとし て14-17、または同じレビューの中で個別の分析とし て達成することができる18。
Categorisation of intervention characteristics 複雑な介入のメタアナリシスに対して、分割アプローチを適用できる方法はいくつかあ る。臨床心理学では、認知行動療法(CBT)、人間性療法、行動療法(BT)など、介入 様式による分類が考えられる。精神疾患予防のレビューでは、介入は、計画行動理論、 健康信念モデル、社会的認知理論など、心理学的または行動理論によってグループ化す ることができる20 ,21 図3では、冠動脈心疾患に対する心理介入を介入様式に従って分類している。この情報 は、オリジナルのコクランレビューに含まれる「研究の特徴」の表から得たものである。 3つの様式は、CBT、BT、カウンセリ ングに基づく介入であった。これらの うち、BTのみがうつ病の減少に関連し、 I2が0%であったことに注目する。 しかし、CBTとカウンセリングについ ては、研究間の異質性がまだ非常に高 く、さらなる調査が必要である(異質 性の推定は、研究が少ない場合に問題 となることに注意)。例えば、CBTの 下に問題解決療法や合理的動機づけ行 動療法に興味を持つなど、介入様式を さらに細分化することも可能である。
Components-based network meta-analysis 複雑な介入を分解しようとする標準的なペアワイズメタ解析の明らかな困難は、臨床的に有用な「分割」を可能に する研究が一般的に少なすぎることであり、必然的にメタ解析の実施にはある程度の集約が必要である。 しかし、ネットワークメタ解析(NMA)では、介入を分解する可能性がより有望である19。NMAは、従来のペア ワイズメタ解析の拡張で、これらの介入が証拠の連結ネットワークを形成している限り、複数の介入を含めること ができる(図4参照、すべての介入が同じ共通のコンパレータ-TAUと比較されている「スターネットワーク」を示 している)。 NMAの主な利点は、介入が直接比較されたかどうかにかかわらず、相対的有効性の要約推定値を生成し、測定され た結果(例えば、有効性または安全性)に従ってそれらをランク付けすることである。NMAのさらなる利点は、 ネットワークに接続する限り、より多くの研究を組み合わせることができ(例えば、CBTとカウンセリングの研究 を図4に追加できる 赤点線)、推定介入効果の精度を高め、統計的異質性を探索する可能性をもたらすことであ る。統計的手法の詳細については、refs. 23-25を参照し、システマティックレビューの方法論への影響についての 議論は26を参照されたい。 26:Caldwell DM. An overview of conducting systematic reviews with network meta-analysis. Syst Rev 2014;3:109. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4183945/ システマティックレビュー担当者のための重要なガイダンス源は、コク ラン共同研究所のComparing Multiple Interventions Methods Group である。このグループは、コクラン介入レビューにおける複数の介入を 比較するための方法論に焦点を当てているが、作業の多くは一般化可能 である。NMAを含むレビューのプロトコルの例は、統計的方法、結果の 解釈と提示に関するガイダンスと同様に利用可能である (http://cmimg.cochrane.org/comparing-multiple-interventionscochrane-reviews を参照)。NMAを含むシステマティックレビューの 結果を発表することは、困難な場合がある[38,39]。NMAに含まれる治 療法の数は多いことがあり、Veroniki [9]の結果は、4~17の治療法 (中央値6)の範囲で代表的である。4つの治療から報告するペアワイズ 比較の数は6であり、17の治療からは136である。 各円(ノード)は、うつ病というアウトカムについて、冠動脈性心疾患に対す る心理的介入のレビューから抽出された「臨床的に意味のある単位」として 定義された介入コンポーネントを示す。実線は、比較の間で直接情報が得 られたところを示している。CBTは認知行動療法、TAUは通常通りの治療、 BTは行動療法。
実際、図3に示した「臨床的に意味のある単位 ‘clinically meaningful unit’」分析は、3つの介入を持つNMAとして再分析することができ、 共通の異質性パラメータを共有することができる。 図4は、この分析のネットワーク構造を示している。すべての積極的な心理的介入は、星形のネットワークを形成する「通常ケア」ノー ドと比較されていることに留意されたい。上記のペアワイズメタ解析と同様に、標準/TAU比較対象は、これがすべての介入に適用され なければならないという追加的な仮定で結合するのに十分類似していると仮定される23。 図5では、NMAからの知見は、直接的なエビデンスがある比較だけでなく、例えばBT対CBTのように、それがない比較についても報告 されている。介入効果の二者間推定値にはかなりの不確実性があり、従来の統計的有意性に達した比較はBT対TAUのみである(NMAは ベイズの枠組みで行われたため、図3と比較するとCIが広くなっていることに注意)。 このNMAに基づくと、CBTは抑うつ症状の軽減という点で、3位(95%CI1~4位)にランクされ、BTは1位(95%CI1~3位)、カウン セリングは2位(95%CI1~4位)にランクされる。TAUは「最悪」の介入である。ランキングの周りのCIは、効果推定値に見られるか なりの不確実性を反映していることに留意されたい。NMAでは、一般的に単一の研究間異質性パラメータが仮定される23。ここでは、 τ2の推定値は0.11であり、これは中程度の異質性を表すと考えられる。NMAでは、異質性はどのような比較がなされたとしても同じで あると仮定していることに注意してください。CBTとTAUの比較では、他の比較よりも異質性が高いことがわかったので(図3)、これ は適切ではないかもしれない。このことは、CBTの分類がCBT介入の複雑な性質を捉えるには広すぎるかもしれないことを示唆している。 図5 図3
Multicomponents-based NMA NMAの枠組みでは、分析者は複雑な多成分介入を評価し、特定の構成要素を持つ介入が効果的である可能性が高いかどうかを調査する ために、より大きな柔軟性を持っている。 構成要素は、「有効成分」、「介入技術」、「結果に因果的に影響を与える可能性のある介入の要素」と定義される8。そのため、例え ば活動、提供形態、設定などの実践的要素や介入の理論的裏付けに分類されることがある。 ネットワーク内のすべての介入に共通の構成要素がある場合、構成要素は実質的にネットワーク内の介入「ノード」となり、NMAを実 施することができる。 図6は、冠状動脈性心臓病の例に対する多成分ベースのネットワークプロットを示している。Weltonら30は、冠状動脈性心臓病のネッ トワークに対して、コンポーネントベースのNMAを実施した。介入は、教育的、行動的、認知的、リラクゼーション、心理社会的サ ポートの5つの主要な構成要素によって分類された。彼らのモデルをNMAのメタ回帰ベースの拡張と表現し、ベイズの枠組みで3つのモ デルが評価された: (1)各成分の効果が加算される(すなわち、相乗効果や拮抗効果はない)と仮定する加算型主効果モデル、 (2)二者択一相互作用モデル(成分の組がその効果のみの合計から予想されるよりも大きな効果または小さな効果を有することを認め る)、 (3)>2成分(例えば、認知+行動+サポート)を有すると説明される介入に対する完全相互作用モデル。 図6:多成分ベースのネットワークメタ解析のためのネットワークプロッ ト: 冠動脈性心疾患に対する心理的介入に対する完全相互作用モデルから同定 された成分。各ノードは、うつ病のアウトカムに対する冠動脈性心疾患の 心理的介入のレビュー8のNMAに含まれる介入から特定された成分、また は成分の組み合わせを表す。 この図は、完全な相互作用モデルから得られた構成要素のすべての可能な 組み合わせを描いている。実線は、構成要素の比較の間に利用可能な直接 的な情報があった場所を示している。 TAU/Tは通常治療、EDU/Eは教育、BEH/Bは行動、COG/Cは認知、 RELAX/Rはリラックス、SUP/Sは支援である。+ は構成要素の組み合わ せを示し、例えば「E+B」は教育的構成要素と行動的構成要素である。
説明のために、うつ病のアウトカムに関する彼らの結果を、主効果加法モデル main effects additive modelについて図7に示す。 この分析は、「どの介入構成要素が最も効果的である確率が高いか」という問いに答え るものである。 図5で使用された広範な分類と比較して、介入を構成要素に分解したことで、異質性が 減少している;τ2=0.03. 認知的および/または行動的要素を含む介入が、標準化平均う つ病スコアの低下と関連したという証拠がいくつかある;認知的要素については、プー ルされた標準化平均差(SMD)は-0.26(95%信頼区間:-0.55~0.02)、行動的につ いては、SMD -0.24(95% 信頼区間:- 0.42~-0.06 )である。 図7 Components based NMA:通常ケアに対する 心理的介入の加法的主効果モデル。分析は OpenBUGS44を使用し、結果はRevMan43を 使用してプロットされた。
Discussion コンポーネントベースのNMAは、異質性が存在する複雑な介入を合成するためのオプションである。もちろん、介入分類は、複雑な介 入のメタアナリシスにおける異質性に寄与する1つの次元に過ぎない。 上記の例では、異質性は介入の定義によって説明されたが、これはすべての例に当てはまるわけではなく、追加の要因が残留異質性 (例えば、研究間の効果修飾因子の不均衡)を引き起こす可能性がある場合である。ここで考えられる交絡の原因は、対照となる介入 である。 臨床心理学や精神医学のRCTでは、対照介入にはいくつかの形態がある-待機リスト対照は介入なし対照と同様に一般的である-31。研 究者によって介入が無効とみなされるが、参加者によって活性と判断される心理的プラセボが使用されることがある。同様に、コント ロールが介入の理論的に不活性な要素を模倣するが、活性な要素は模倣しない注意プラセボも使用できる32 ,33 複雑な介入の審査者は、 システマティックレビューでは伝統的にこれらを1つのコントロールにまとめているが、TAUと標準ケアは設定、文脈、国によって異な ることも念頭に置くべきである9 ,34 残念ながら、相関介入ごとにさらに区分することは、冠動脈心疾患の心理療法メタ分析での研究数 が少ないため、疑わしい価値がある。 しかし、成分ベースのアプローチにおける1つの困難は、発表された文献から明確な成分を同定することである37。CReDICI 2 (Criteria for Reporting the Development and Evaluation of Complex Interventions in healthcare: revised guideline )38や CONSORT-SPI(Social and Psychological Interventions)39などの最近の報告ガイドラインのイニシアティブは、これに対処しよう としている。 MRCのプロセス評価に関する最近のガイダンスは、構成要素の特定、複雑な介入の実施と忠実性の評価にも役立つかもしれない40。ど のように複雑な介入を分類し、その中の複数の相互作用する構成要素を分解するかは、継続的に関心のある分野である。いくつかの分 類法が開発されているが、特定の臨床領域で使用するために設計されたものもあれば、一般的なものもある。 介入の作用機序とカジュアルパスを記述するロジックモデルは、複雑な介入のシステマティックレビューを構成するためにますます使 用されており42、介入コンポーネントの分類を知らせるためにも使用される可能性がある。しかし、明らかなことは、分析者が介入を 分類するためにどのようなアプローチを選択するにしても、データ駆動型の決定を避け、偽の発見の可能性を減らすために、データ抽 出前に構成要素を事前に指定し、プロトコルで公表することが望ましいということである。
Gerta Rücker:Network meta‐analysis of multicomponent interventions ネットワークメタ解析(NMA)では、治療は複雑な介入であることがあり、例えば、い くつかの治療は他の治療との組み合わせであったり、共通の構成要素であったりするこ とがある。 標準的なNMAでは、すべての既存の(単一または複合)治療が、ネットワーク内の異な るノードとなる。 しかし、ある治療が共通のコンポーネントの組み合わせであるという情報を利用する代 替モデルが興味深い場合があり、コンポーネントネットワークメタ分析(CNMA)モデ ルと呼ばれる。加法的CNMAモデルは、2つの成分AとBを組み合わせた治療の効果は、 AとBの効果の合計であると仮定しており、2つ以上の成分からなる治療にも容易に拡張 することができる。これは、比較において、等しい成分が相殺されることを意味する。 相互作用CNMAモデルは、成分間の相互作用も許容する。ベイズ分析が提案されている。 我々は、CNMAモデルをFrequentist Rパッケージnetmetaで実装したことを報告する。 すべてのパラメータは、重み付き最小二乗回帰を用いて推定される。プライマリケアに おけるうつ病の治療に関するNMAを用いて、CNMAモデルの適用を説明する。さらに、 これらのモデルは、サブネットワークにおける複合治療が共通の成分を含む場合、切断 されたネットワークにも適用可能であることを示す。
1. INTRODUCTION メタアナリシスは、医学・医療における複数の研究からのエビデンスをまとめる中核的な手法とし て発展してきた。ネットワークメタ解析(NMA)は、治療法のサブセット間の複数の既存比較から の情報の組み合わせに基づいて、与えられた病状に対する3つ以上の治療法を比較するためのペアワ イズメタ解析の拡張である(Bucher, Guyatt, Griffith, & Walter, 1997; Higgins & Whitehead, 1996; Lu & Ades, 2006, 2009; Lu, Welton, Higgins, White, & Ades, 2011; Lumley, 2002; Salanti, 2012). 例えば、ある治療法は他の治療法の組み合わせであったり、共通の構成要素で構成されていたりす るなど、多くのヘルスケア治療は複雑な介入である。医療介入について複雑性を定義する試みがあ り、多くの定義が提案されてきた。複雑な介入は、通常、いくつかの相互作用しうる構成要素から なると定義されているが、定義では、大量の組織レベル、多数のアウトカムと変動性、または高度 な柔軟性と介入の仕立てを必要とするかもしれない複雑な介入についても述べられている(Craigら、 2008; Hawe, Shiell, & Riley、2004; Kühne, Ehmcke, Härter, & Kriston、2015; Petticrew、 2011; Petticrewら、2013)。本稿では、その一側面である多成分介入にのみ焦点を当てること にする。 Welton, Caldwell, Adamopoulos, and Vedhara (2009)は、多成分介入のNMAのために、その構 成要素を考慮したモデルを開発した最初の著者である。彼らは、成人の冠動脈性心疾患に対する心 理的介入を5つの介入構成要素(通常ケアのみ、教育、行動、認知、支援)に分類し、さらにこれら の基本構成要素の2、3、4つの組み合わせである14の治療を検討した(Weltonら、2009、表2参 照)。
多成分治療をNMAに含めるための標準的なアプローチでは、基本成分のユニークな組み 合わせをネットワーク内の別個のノードとみなす。 別のアプローチでは、各介入each interventionをその構成要素componentsに分割する ことを目指す。 Melendez-Torres, Bonell, and Thomas(2015)は、"building clinically meaningful units" と "components and dismantling" の間に異なる区別を導入した。 “clinically meaningful units” approach:多数の類似した治療様式(例えば、ある物質 のクラス内のすべての薬剤、または類似していると考えられる一連の心理療法)を一つ の治療ノードに結合する “components and dismantling” approach:異なる治療法の共通構成要素( common components)を解体して、組み合わせた介入の効果への寄与を明らかにしようとする ものである。 本論文では、後者のアプローチに焦点を当てる。この種のデータの他の例として、Mills, Druyts, Ghement, and Puhan (2011); Mills, Thorlund, and Ioannidis (2012) が、 慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療のための10の治療のネットワークの例を示した(Mills et al, 2012, 図1中)。この10種類の治療は、吸入コルチコステロイド(ICS)、長時 間作用性β作動薬(LABA)、長時間作用性ムスカリン薬(LAMA)、ホスホジエステ ラーゼ4阻害薬(PDE4-i)、プラセボの5成分からなり、プラセボは不活性の参照治療 とみなされる可能性がある。最近では、Caldwell and Welton(2016)、Freemanら (2018)、Pompoliら(2018)により多成分解析が発表された。
このタイプのデータを分析するためのベイズアプローチは、シミュレーション研究 (Thorlund & Mills, 2012)でも提案され(Welton et al., 2009)、適用されてきた (Freeman et al., 2018; Mills et al., 2011, 2012; Madan et al., 2014; Pompoli et al., 2018)。複雑な健康介入のメタアナリシスのための手法のレビューは、TannerSmith and Grant (2018)にある。より一般的な概要は、Higgins et al. (2019)による。 本稿の目的は、オープンソースのRパッケージnetmeta(R Core Team, 2018; Rücker, Krahn, König, Efthimiou, & Schwarzer, 2019)で実装したコンポーネントネット ワークメタ分析(CNMA)への頻出分析アプローチを紹介することです。 本論文は以下のような構成になっている。 セクション 2 では、我々のデータ例である、公表された NMA からの実データセットに ついて紹介する。 セクション3では、3.1節でNMAの標準的な頻度論モデルを紹介した後、加法的CNMAモ デルを提示し(3.2節)、それが標準NMAモデルと比較できることを示し(3.3節)、交 流CNMAモデルを紹介し(3.4節)、最後に切断されたネットワークの接続にCNMAモデ ルが適用できることを解説する(3.5節)。 例題の結果は第4節で示し、本稿は第5節で考察を終えている。
2. DATA 本稿では,プライマリケアにおけるうつ病の22の治療法に関するNMA(Linde, Rücker, Schneider, & Kriston, 2016)から,217の治療群(2群試験79,3群試験13,4群試験1),合計100試験,患 者数21,298人のデータセットを用いることとする. 主要アウトカムは、治療後の反応(yes/no)で、うつ病スケールでベースラインから50%以上減少 したことと定義した。効果指標としてオッズ比(OR)を用いたデータセットは、Rパッケージの netmeta(Rücker et al.、2019、データセット「Linde2016」)から一般に公開されている。 Linde2016. Questionable assumptions hampered interpretation of a network metaanalysis of primary care depression treatments ( https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26524496/ ) データセット https://github.com/guido-s/netmeta 介入は、プラセボや通常ケア(UC)を含む、医学的治療と心理学的治療の両方、また組み合わせで 構成された(Linde et al., 2016, fig.fig.11 there)。薬理学的介入は、三環系抗うつ薬(TCA)、 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NRI)、 低用量セロトニン(5-HT2)拮抗薬およ び再取り込み阻害薬(低用量SARI)、ノルアドレナリンおよび特異的セロトニン作動薬(NaSSa)、 モノアミン酸化酵素Aの可逆的阻害薬(rMAO-A)、ハイポリカム抽出物、個別薬剤があった。心理 学的介入は、認知行動療法(CBT;4つの形態:対面CBT、遠隔セラピスト主導CBT、ガイド付き自 助CBT、接触なしまたは最小限のCBT)、対面問題解決療法(PST)、対面対人心理療法、対面精 神力動療法、"他の対面療法 "とした。併用療法は、対面式CBT+SSRI、対面式PST+SSRI、対面 式対人精神療法+SSRIであった。
3. METHODS 我々は、以下の手順を提案する。 まず、標準的なNMAを実施し、構成要素の可能な各組み合わ せを個別の介入とみなし、既存のすべての単一治療と組み合 わせ治療をネットワーク内の異なるノードとする。このよう な標準的なNMAは、完全相互作用モデル(Welton et al.、 2009、モデル4)として知られている。 第2に、加法モデルとネットワーク構造の組み合わせに基づき、 観察された治療コントラストがどのように成分から組み合わ されるかを記述するモデルを得る(Welton et al., 2009, Model 2)。加法的CNMAモデルのパラメータがどのように推 定されるかを示す。 その結果、(a)プラセボなどの参照治療と比較した構成要素 componentsの正味効果、(b)参照と比較した、構成要素の相 加的組み合わせとして表される治療効果、(c)ネットワーク構 造に基づいて、ネットワーク内のすべての可能な比較の推定 値を得ることができます。
3.1. The standard NMA model Rücker (2012)が導入した頻度論的アプローチに従う。一対の治療比較の数をmとする。2群研究だけの特別な ケースでは、これは研究数に相当する。より一般的には、p本の腕を持つ各マルチアーム研究はp(p-1)/2の比較に 寄与し、マルチアーム研究のために調整しなければならない(Rücker & Schwarzer, 2014)。したがって、mは 一般的に研究数より大きくなります。n個の治療があり、n×1ベクトルθがn個の治療に基づく(真の)応答を表す とします。d=(d1,d2,⋯,dm)で示されるm個の一対比較のデータがあり、関連する標準誤差SE(dj),j=1,⋯,mで表 されます。djは平均差、対数リスク比、対数オッズ比、あるいは他の一般的な効果測定値として測定されたもので ある。メタアナリシスの常として、標準誤差は既知で固定されていると仮定します。モデルは d=Xθ+ε,ε∼N(0,Σ) とする、(1) ここで、Xはネットワークの構造を記述する設計行列、Σは分散共分散行列である。このモデルを簡潔にδ=Xθと書 くことができ、δは対比の真のパラメータのベクトルを表す。以後、この表記を使うことにする。 W(重み行列)をm×mの対角行列とし、その対角要素を重み(w1,⋯,wm)とします。2群研究の場合、重みは観 測された分散の逆数であり、マルチアーム研究の場合はRücker and Schwarzer (2014)に記載されているように 調整されているものとする。真のパラメータδnmaを次のように推定することができる。 δˆnma=X(XTWX)+XTWd、 ここで、(XTWX)+は、行列XTWXのMoore-Penrose一般化逆行列(擬似逆行列(Albert, 1972; Rao & Mitra, 1971)とも呼ばれる)です。行列XTWXは、ラプラシアン行列とも呼ばれる(Rücker, 2012)。δˆnmaの推定分 散共分散行列はX(XTWX)+XTである。 H=X(XTWX)+XTW となる。(2) は回帰ではハット行列として知られている。 よくわからんが、数式は飛ばしながら読もう
3.2. The additive CNMA model 我々は、他者(Freeman et al., 2018; Pompoli et al., 2018)によると、我々が CNMAと呼ぶものの一般的な考え方を説明することから始める。 この目的のために、3つのアクティブな治療成分A、B、Cを持つ仮想的な例を考える (表1参照)。 5つの治療法を検討する: (a)A単独、(b)AとBの組み合わせ(A+Bと表記)、(c) AとBとCの組み合わせ(A+B+C)、(d)BとCの組み合わせ(B+C)、(e)プラセボ。 通常、既存のすべての治療法(単一または複合)をネットワークの異なるノードとする NMAを実施する場合がある。この例では、(a)から(e)までの治療に対応する5つのノー ドがある。しかし、治療法(a)から(d)が基本的な活性成分A、B、Cの組み合わせである という情報を利用した別のモデルの方が興味があるかもしれない。この仮定は、組み合 わせた治療法(ここではA+B、A+B+C、B+C)の効果は、それらの成分の加算和にな るということである。これは、比較において、等しい成分が相殺されることを意味する。 この例では、加法性とは以下のことを意味する。 A+B対AはBを推定する; A+B+C対AはB+Cを推定する; A+B+C対A+BはCを推定し、A+B+C対B+BはCを推定する。 A+B+C対B+CはAを推定する。
ここでも、n個の治療法のセットを考えるが、この治療法は、プラセボのような参照成分または「ヌ ル」成分を含む、臨床的に定義されたc個の成分のセットからの組み合わせである可能性がある。前 と同様に,データは,治療法の集合から得られるm個の一対比較からなる。各比較j=1,⋯,mは,標 準誤差SE(dj)を持つ観察された(相対)治療効果djで表されるとする。ここでは,わかりやすくす るために,マルチアーム研究があることを無視するが,CNMAモデルにおけるマルチアーム研究の 調整は,標準NMAモデルのRücker and Schwarzer (2014)に記述されているように働く.ここで、 3つの行列を定義する。 行列Bは,m行(一対の比較に対応)とn列(治療を表す)を持ち,ネットワークの構造を記述す る:それは,ネットワーク内の各比較について,比較した治療に対応する列のエントリ1 と-1 を含 み,それ以外はゼロエントリ.Bは,Rücker (2012)で定義されているように,辺-頂点入射行列に 対応する. 行列Cは,n個の治療法がc個の活性成分によってどのように構成されるかを記述するn×c行列であり, エントリ1は,列の成分が行の治療法に寄与することを示し,エントリ0は寄与しないことを示す. 加法モデルのデザインマトリックスは Xa=BCである。(3) ・・・行列の式など・・・ とし、Qa,dfa,Ha,Wは上記のように定義する。I は m×m の恒等行列、tr は行列のトレース、つま り対角要素の和を表す。Uはm×mの行列0.5BB⊤から派生したブロック対角行列であり、各pアー ム研究に対してp×pブロックを選択し、他のすべての行列要素をゼロに設定することによって得ら れる。推定値τˆ2は、マルチアーム研究の標準誤差を調整する前に、ネットワーク内の各単一比較 の観測されたサンプリング分散に加えられ、結果として生じた拡大標準誤差でセクション3.2で説明 された手順を繰り返す。
3.4. The interaction CNMA model 加法的CNMAモデルは、成分間の相互作用がなく、2つ以上の治療成分の組 み合わせの効果が加法的であると仮定しているが、これは臨床的または生 物学的にありえないかもしれない。さらに、前のサブセクションで説明し た相加性のテストは、相加性モデルがデータにうまく適合しないことを示 唆しているかもしれない。 臨床的に定義された成分のペアの間の相互作用を認めると、加法モデルは、 双方向相互作用CNMAモデル(Weltonら、2009、モデル3)に拡張できる。 相互作用がある場合、成分の組み合わせは、相乗的または拮抗的に作用し、 それぞれ効果の合計よりも大きな効果または小さな効果をもたらす可能性 がある(Welton et al.) Frequentistアプローチでは、加法的CNMAモデ ルの組み合わせ行列Cに、関心のある相互作用項を表す列を追加すること で、相互作用CNMAモデルを簡単に実装することができます。 我々の仮想的なデータ例では,治療AとBの組み合わせの交互作用項は, A+Bを含む治療,すなわち,2行目と3行目の治療A+BとA+B+Cに属する 各行の1を持つ行列Cの追加(右端)列で表されるであろう. ・・・
3.5. CNMA models for disconnected networks ネットワークが切断されることは、治療セットが2つ以上のサブセットに分割され、あるサブセット 内の治療と他のサブセット内の治療を比較する研究が存在しないことを意味する場合がある。 切断されたネットワークに対するいくつかのアプローチが提案されており(Béliveau, Goring, Platt, & Gustafson, 2017; Goring et al., 2016)、アームベースのNMAモデル(Hawkins, Scott, & Woods, 2016; Hong, Chu, Zhang, & Carlin, 2016)に基づくものもあれば、集団(または マッチング)調整間接比較の手法(Phillippo et al, 2018; Signorovitch et al., 2012; Veroniki, Straus, Soobiah, Elliott, & Tricco, 2016)。 CNMAモデルを使用することで、すべてのサブネットが(潜在的に異なる)共通成分を持つ治療法 によって互いに接続されている場合、切断されたネットワークを「再接続」することができること に留意されたい。 単純な仮想例として、3つの2群間研 究のネットワークがあります。1つ は治療AとB+Cを比較する研究、も う1つはBとA+Cを比較する研究、 そして3つ目はA+BとCを比較する 研究です。しかし、すべての研究は 共通の治療成分A、B、Cを持ち、そ れらの寄与は図1の右側で象徴され るCNMAモデルを使って推定するこ とができる。
4. RESULTS 第2節で述べたうつ病のデータに対して,標準 的なランダム効果NMAモデルと,対面式PST +SSRIの交互作用項がある場合とない場合の 2つのランダム効果CNMAモデルとを適用した。 主要アウトカム「治療後の反応」については、 k=93の研究が利用可能であった。治療回数は n=22であった。40の研究デザインから m=124のペアワイズ比較があり、そのうち3 群研究が13、4群研究が1であった。標準的な NMAモデルではプラセボを参照として選択し、 2つのCNMAモデルでは不活性として仮定した。 結果は表2に示す通りである。また、フォレス トプロット(図2)により可視化することがで きる。
4.1. Results of the standard NMA model 標準モデルでは、異質性と矛盾は低かった(Q=102.45、df=87, p=.1234, 研究間分散 τ2=0.0174;I2=15.1%).Qを異質性(デザイン内)と無矛盾性(デザイン間)に分解すると(Krahn, Binder, & König, 2013)、Qhet=58.07(df=54、p=.3279)、Qinc=44.38(df=33、p=0892)。対面式CBT+SSRIの 組み合わせは、SSRI単独と比較した1つの小規模な2群間試験(n=34)でのみ評価され、非常に長い不確実性区間 を伴うありえないほど大きな直接効果(OR=18[2.95-109.66])を示した(Linde et al.2015, 2016)。この ため、対面式CBT+SSRIとプラセボを比較すると、さらに大きな効果を示すようになった(表2参照)。 4.2. Results of the additive CNMA model 加法モデルは、c=18の活性成分に基づいており、プラセボを除くすべての治療と、対面CBT、対面インタープシー、対面PSTとSSRIの 3つの成分の組み合わせに対応している。なお、表2の2列目には、プラセボに対する成分の推定値が記載されている。3つの組み合わせ は、ロジット尺度では加法的(したがって、OR尺度では乗法的)なモデルであった。推定された試験間分散はτ2=0.0208 (I2=17.5%)であった。加算モデルのQ統計量はQa=109.12(df=90、p=.0832)であり、差Qa-Q=6.67(df=3、p=.0831)は、 加算モデルがデータをよく説明し、加算性の仮定が正当であると思われた。 標準モデルとの差が最も大きかったのは、対面式CBT+SSRIとプラセボの比較で、加法モデルではORが3.91(対面式CBT対プラセボ (2.31)、SSRI対プラセボ(1.69)の積)であったが、標準モデルでは30.86と推定した。このように、加法モデルは、複合治療の構 成要素の1つを評価する他の研究から力を借りることで、小さな研究から得られるあり得ないほど大きな効果を縮小するという(望まし い)効果があった。 標準モデルとのもう一つの違いは、対面式PST+SSRIで生じた。加法モデルでは、プラセボとの有意差(OR 1.37×1.69=2.32,p<.0001) を示したが、これはSSRI単独の効果が大きいためであり、標準モデルでは1.54(p=.3136)と有意で はなかったのに対し、加法モデルでは、その可能性が高い。この併用療法は、151人の参加者を対象とした3群間試験で評価され、SSRI 単独、対面式PST単独と比較された。併用療法の治療反応の割合は、SSRI単独療法と対面式PST単独療法の間にあったが、いずれも統 計的に有意ではなかった(p値.1242、.4095、.5605)。
4.3. Results of the interaction CNMA model 対面式PSTとSSRIの加法性の仮定が疑わしい場合,加法性モデルに対面式PSTとSSRIの 間の相互作用を追加したい場合がある。対面式PSTとSSRI成分との間に臨床的に定義さ れた相互作用を認めることで,相互作用CNMAモデルを実装することができる。 行列Cに対面式PSTとSSRIの間の交互作用を示す列を追加すると、c=19となる。このモ デルの結果は、表2の一番右の列に示されている。 ほとんどの推定値は、標準的なNMAモデルの推定値に非常に近い傾向があり、特に、予 想通り、対面式PST+SSRIとプラセボの比較では、相互作用が認められた。対面式CBT +SSRIとプラセボの比較では、相互作用モデルはORを4.02(標準モデル:30.86)と 推定し、構成要素を含む他の研究からの強度を借用している。 相互作用CNMAモデルと標準モデルを比較すると、Qint-Q=5.55(df=2、p=.0622) となり、相互作用CNMAモデルは妥当であり、データをよく説明できることを意味した。 相互作用モデルと加法モデルを比較すると、Qa-Qint=1.12(df=1、p=.29)が得られ た。この考察は重要だが、わからんな~ 解釈としては、ここでは交互作用を加える必要はなく、加法的モデルで十分である。
5. DISCUSSION NMAの使用はここ数十年でかなり増加したが,複雑な介入策とその構成要素の効果を評価する CNMAは,Weltonら (2009)によってすでに10年前に紹介されているにもかかわらず,広く知られておらず,たまにしか適用されて いないようだ.その理由の1つは、簡単にアクセスできるソフトウェアがないことである。この論文では、加法的 および相互作用的なCNMAモデルの柔軟なFrequentist実装を紹介する。 共通の成分で構成される治療法がある場合、CNMAの加法モデルは、 (a)併用療法の治療成分の効果を推定し、 (b)組み合わせ行列Cに相互作用ごとに1列追加するだけで相互作用項を追加し、 (c)モデル間で推定値とモデル適合度を比較し、尤度比統計を使って加法モデルまたは相互作用モデルの仮定に対 する統計的検定を提供する。 加法モデルは、観測されたすべての相互作用を含むモデルに相当する完全相互作用モデル(標準NMAモデル)より も少ないパラメータを持つ。CNMAモデルは、標準的なNMAモデルよりも、より強力な結果を提供しながら、推定 するパラメータ(観察された成分の組み合わせの数ではなく、成分の数)が少ないので、優れている可能性がある。 さらに、数少ない研究で評価された組み合わせや、1つの小さな研究でしか評価されなかった組み合わせについて、 共通の成分を持つ研究から力を借りることができます。シミュレーション研究により、加法性の仮定がほぼ成立す る場合、加法効果モデルは従来のNMAよりも望ましいことが示された(Thorlund & Mills, 2012)。パニック障害 に対する12の治療成分の組み合わせが51件観察された事例がPompoliら(2018)によって発表され、CNMAの実 装でより強力な結果が得られている。 加算モデルに対する反対意見として考えられるのは、治療法をそれ自体に加算するように研究者をミスリードする 可能性があることである。実際、稀なケースではあるが、加法モデルが用量効果を捉えるのに適しているかどうか を問うこともできる。例えば、ある薬剤Aの投与量を2倍にしたり、治療期間を2倍にしたりすると、約2倍の効果が あると仮定することが正当と思われる場合、2倍の投与量を含む治療の組み合わせに対応する組み合わせ行列CのA 列のすべての行に2を入力することでこれをモデル化することができます。
私たちの例では、加法的CNMAを使用することで、1つの小さな研究でのみ評価され、標準的なNMAモデルでは別 のノードとなっていた極端な対面式CBT+SSRI効果が、もっともらしく縮小されることになった。しかし、対面式 PST+SSRIの効果が顕著に増加し、標準的なNMAモデルにはなかった統計的に有意な効果が認められた。そこで、 この組み合わせを交互作用項として考え、感度分析を行うことにした。Qテストの結果、単一の交互作用を持つモ デルは、加法的なCNMAモデルよりも有意に優れていないことが判明した。 本アプリケーションでは、プラセボは不活性な治療であると仮定している。つまり、プラセボを活性な治療に追加 しても、それぞれの治療の効果は変わらない、言い換えれば、治療とプラセボを比較すると、治療の純効果が直接 得られるということである。この仮定がなければ、プラセボに対する非ニュルな治療反応が推定されることになり、 このうつ病の例では意味がないと思われる。プラセボを有効成分として仮定したCNMAモデルでは、治療効果の推 定値が若干異なる結果となります。私たちは、リファレンスとして治療を選択すること(これは単にパラメータ化 の問題である)と、治療が不活性であると仮定すること(これは追加のモデル化仮定である)の違いを強調したい と思います。例えば、うつ病のデータセットでSNRIに対する治療推定値を表現するために、活動的な治療を参照と して使用することはできますが、SNRIのような活動的な治療を不活性として扱うことは意味がありません。 相互作用CNMAモデルが使用される場合、モデル選択に関する標準的な考慮事項が適用される。相互作用のない加 法的CNMAモデルは、推定するパラメータの数が最も少なく、標準的なNMAモデルは、ネットワーク構造によって 事前に指定された推定可能なすべての相互作用を暗黙的に含むので、パラメータの数が最も多い。明らかに、加法 的CNMAモデルから始めて相互作用を加えるか(前方選択に対応)、標準NMAモデルから始めて推定可能な相互作 用を取り除くか(後方選択)、どちらのアプローチも両極端の間の相互作用CNMAモデルになるであろう。実際的 には,CNMAの設定では,後方選択よりも前方選択の方がはるかに簡単である:推定可能なすべての相互作用を決 定して対応するすべての列を追加する代わりに,単に行列Cに1列を追加すればよいのである.データの浚渫を避け るために,モデル選択で考慮される交互作用項は,理想的には主題の知識に基づいて予め指定されるべきである.
CNMAモデルの特別な特徴は、加法性の仮定が成立し、サブネットワークが少なくとも1つの共通の治療成分を持つ 場合に、切断されたネットワークを接続する可能性があることである。この特性は、Mawdsley, Bennetts, Dias, Boucher, and Welton (2016)が用量反応曲線のメタ分析の文脈で言及している(Mawdsley et al., 2016, p. 400)以外は、文献上ほとんど見過ごされてきた(あるいは少なくとも明示的に言及されてこなかった)ようであ る。 3.5 節で仮説的な例を挙げた。しかし、切断されたネットワークでは、比較に必要な標準的なNMAモデルが存在し ないため、加法性の仮定は検証不可能であることに留意する。また、CNMAモデルを使用した場合、標準的なNMA と比較して、必ずしも精度が向上するとは限らないことを指摘する。これは、特に切断されたネットワークについ て言えることです。それでも、同じサブネットからの比較で精度が落ちることを犠牲にしてでも、切断されたネッ トワークを接続する努力に値するかもしれません。 我々は、Rパッケージnetmeta (Rücker et al., 2019)の関数netcomb(接続ネットワーク用)およびdiscomb(切 断ネットワーク用)に、加法および相互作用CNMAモデルを実装した。 netmetaの応用は非常に便利で、netcomb(net1)のようなコマンドで、既存のRオブジェクト(ここではnet1と呼 ぶ)に対して、標準NMAの結果を用いて加法的CNMAを実施すればよい。したがって、このFrequentistの実装は、 統計ソフトウェアに関する特別なトレーニングを受けていない研究者でも簡単に適用することができる。 この論文の例のRコードは補足資料で提供され、netcombとdiscombのヘルプファイルにも含まれています。 対照的に、WinBUGSにおけるより柔軟なベイズCNMAの実装は、典型的なメタアナリシス研究者が利用しにくいも のです。これは、うつ病データの全モデルを再実行するために使用した、補足資料のWinBUGSコードを見れば明 らかである。一般的に、WinBUGS(ウェブサプリメント参照)を用いた結果は、我々のモデルの結果と同様で あった(表2および補足資料)。我々は、標準的なNMAモデルにおいて、プラセボと比較した対面式CBT+SSRIの 間接推定値に最大の差があることを観察する:ログオッズ比3.43 [1.60 - 5.26] (netmeta) と 3.61 [1.91 5.86] (WinBUGS). ただし、この推定値は、対面式CBT+SSRIとSSRI単独を比較した非常に小さな1つの研究に基 づいており、間接比較の信頼区間は非常に大きく重なっている。
conclusion 結論として、メタアナリシスで多成分介入が発生し、完全加 法性またはいくつかの相互作用を加えた加法性のいずれかを 仮定する場合、単純加法性モデルまたは相互作用を加えたモ デルであるCNMAモデルの使用を検討することを推奨します。 これらのモデルは、現在、Frequentistの枠組みで分析するこ とができ、Rパッケージnetmetaにより、この目的のための オープンソースソフトウェアが容易に利用可能である。
Component Network Meta-Analysis Network Meta-Analysis Component Network Meta-Analysis 治療がコンポーネントで構成されている場 合は使用可能だが、「最適」とは言えない 可能性がある。 介入がコンポーネントで構成されている場 合にのみ適している 研究によって異なる構成要素 研究間で共通する構成要素 どの治療が目的のアウトカムを減少させる どの介入要素または要素の組み合わせが、 のに最も効果的か? 関心のある結果を減少させるのに最も効 果的であるか? エビデンスベースに独自の介入が多数含 エビデンスベースに独自の介入が多数含 まれている場合、疎なネットワークと治療 まれている場合、介入効果推定値の周囲 効果推定値の周囲に大きな不確実性が生 の不確実性を低減できます。 じます。 介入コンポーネントの最適な組み合わせを 予測できます。
Combination of antiplatelet and anticoagulant therapy, component network meta-analysis of randomized controlled trials 背景 無数のランダム化臨床試験(RCT)が行われているにもかかわらず、抗血小板薬と抗凝固薬の併用療法の有効性に関するデータは依然として矛盾して います。本研究では、心血管予防の様々な分野で検証された治療オプションを、その有効性と出血リスクの観点から分析することを目的としました。 方法 2022年6月まで電子データベースを系統的に検索しました。Rでコンポーネントネットワークメタアナリシスを実施しました。リスク推定値は、ラン ダム効果モデルを使用してプールされ、リスク比(RR)と95%信頼区間(95%CI)が要約統計量として選択されました。主要評価項目は、主要な心 血管有害事象(MACE)の発生率でした。主要な安全性評価項目は、主要な出血事象でした。二次評価項目は、心血管死亡および全死亡、心筋梗塞 (MI)、ステント血栓症、脳卒中を含みました。 結果 73,536人の患者を対象とした15件の試験が特定されました。MACEリスクは、ダビガトランとアピキサバンがMACEリスクを有意に低下させたこと で、抗凝固薬間での異質性を反映しました(RR 0.56; 95%CI 0.39–0.80およびRR 0.75; 95%CI 0.58–0.98、それぞれ)。ビタミンK拮抗薬 (VKA)、リバーロキサバン、またはエドキサバンはMACEリスクを減少させませんでしたが、有意な出血リスクの増加と関連していました(RR 1.66; 3.66、および5.47、それぞれ)。直接的抗凝固薬(DOAC)の用量削減は、出血が少ない傾向にあり、MACEリスクが高くなる傾向がありまし たが、アスピリンとの併用は出血リスクの増加につながりましたが、これらの場合でも有意ではありませんでした。 結論 我々のメタアナリシスは、直接作用型経口抗凝固薬(DOACs)間での虚血性出血バランスが異なっていることを支持していますが、これは用量削減 法によって有意に影響を受けません。抗凝固薬と二重抗血小板療法の一環としての長期アスピリン治療は、虚血性利益をもたらしませんが、出血リス クを高める可能性があります。
Introduction 21世紀の心臓病学者にとって、最も困難な課題の一つは、虚血と出血の合併症のバランスを見つけることです。10 年ほど前、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が導入され、非弁膜性心房細動の脳卒中予防、深部静脈血栓症の治 療および予防など、複数の適応症でビタミンK拮抗薬(VKA)を徐々に置き換えてきました。さらに、いくつかの 試験で、高リスクの患者においてDOACまたはDOACを含む併用療法が有望な結果を示しました。 異なる作用機序の薬剤を組み合わせることで、虚血性イベントのリスクを減らす可能性を向上させることができる かもしれません。しかし、それに伴う出血リスクが高くなると、この利益が損なわれる可能性があります。抗血小 板薬と抗凝固薬の併用療法は、最近の虚血性イベントや冠状動脈インターベンションの有無にかかわらず、心血管 リスク予防のさまざまな分野で試験されました。また、心房細動(AF)患者に有意な冠状動脈疾患の頻度が高いた め、この分野では複数の研究が行われました。 しかし、これらの試験のデータから、特定の薬剤の利益とリスクプロファイルを抽出することは困難です。さらに、 これらの研究とそれらのメタ分析は、いくつかの臨床的に関連する質問に答えませんでした。 これらの質問には、抗凝固薬(DOAC)剤が抗血小板薬の組み合わせの一部として使用された場合、DOAC剤間で 異なる効果があるかどうか、およびDOACの減量と通常の用量の効果がこの文脈で減量を検証するかどうかが含ま れます。 さらに、抗血小板療法の要素に関して、アスピリンのリスクとベネフィットのバランスは完全には明らかにされて いません。COMPASS(8)およびAUGUSTUS(9)試験で示されているように、出血と虚血性イベントは両方とも 加算特性を示しており、これは複合抗血小板および抗凝固療法の文脈でコンポーネントネットワークメタアナリシ ス(CNMA)の使用を支持しています。 したがって、我々は、抗血小板薬と抗凝固薬の組み合わせ療法の違いを補正するために、複数治療ネットワークメ タアナリシス(NMA)による体系的なレビューを実施しました。我々は安全性と有効性を比較し、個々の要素に帰 因する虚血性および出血性イベントのリスクを分析することを目的としました。この目的のために、NMAにCNMA モデリングが追加されました。
Methods Network meta-analysis modeling 試験が異なる抗血小板薬および抗凝固薬の組み合わせ、およびさまざまな抗血栓薬の単剤療法を含む、異なるアームを使用して異なる抗血小板薬およ び抗凝固薬の計画の結果を比較したことを考慮して、CNMAモデリングを補完する複数治療NMAの使用を事前に指定しました。計算は、R統計ソフト ウェアパッケージバージョン4.0.3 [R Development Core Team (11, 12)]で、パッケージ「meta 4.15-1」および「netmeta 1.2-1」を使用して 実行されました。p値 <0.05は、統計的有意を表すこととしました。 各潜在的な組み合わせは最初に個々の研究アームとして入力され、データは複数の直接および間接介入比較を分析に統合できるようにする複数治療 NMAにプールされました。関連する治療効果をリスク比(RR)とその標準偏差として補間し、頻度主義アプローチを使用して、相関する治療効果を 考慮した計算NMAモデルを構築しました。このモデルでは、ノードを個々の研究アームとして定義し、各エッジの組み合わせに95%信頼区間(CI) とともに組み合わせ効果推定値が計算されました。 不一致の量を表すI2値と、ネットワークの不均一性を測定するCochranのQ統計とその対応するp値も計算されました。I2値が25%未満は低度、25% 以上50%未満は中程度、50%以上は多量と判定されました(13)。 ネットワークで発生した特別なケースは、治療アームが他の治療の組み合わせである場合や、共通の成分を持つ場合です。したがって、治療組み合わ せの効果がその成分の効果の合計であると仮定して、加算モデルで個々の成分の影響を評価することを目指しました。CNMAの場合、加算モデル additive model関数を実装したモデルが使用されました(14、15)。 すべての治療組み合わせの推定値は、直接比較のプール効果サイズと各比較のNMA効果サイズを分離したリーグテーブルとして示されます。より簡 単な解釈のために、効果サイズは、ワルファリンベースのトリプル療法を基準としたフォレストプロットとして描かれています。さらに、イベント発 生率が低い場合、治療をより高いランクと仮定して、Pスコア法による治療の比較ランキングも実施されました。Pスコアランキングシステムは、 SUCRA(累積ランキング曲線下の面積)の頻度主義アナログであり、すべての競合する治療を平均した上で、ある治療が別の治療よりも優れている 確信度を測定します(14)。 一貫性分析では、ネットワーク内の2つの治療の間の効果サイズの直接証拠が、同じ比較に対して計算された間接証拠と異なるないことを評価します。 一貫性の仮定は、ネットヒートプロットとネットスプリットによって評価されました。後者の方法は、ネットワーク推定値を直接証拠と間接証拠の寄 与に分割し、特定の比較の一貫性を制御できるようにします( 15)。 出版バイアスを評価するために、比較調整されたファンネルプロット(複数の治療比較の場合の一般的なファンネルプロットの拡張)が使用され、 エッガーのテスト結果が示されました(16)。
Results 15件のランダム化比較試験(RCT)が選択基準を満たし、 統計的分析に必要なデータが含まれていました。これは、 合計73,536人の患者データを含む(補足図1)。異なる 抗血小板療法は、抗凝固薬の減量または通常用量を含む かどうかに基づいて別々に処理されました(図1)。 これらには、5つの研究が3つのアームを持ち、1つの試験 が二重無作為化を含む、6つの多腕試験が含まれていまし た。研究は14つのプロトコルを対象としており、そのう ち7つは抗凝固薬+二重抗血小板、8つは抗凝固薬+抗血小 板単剤療法の組み合わせです。6つの試験は、ACSおよび /または冠状動脈ステント留置術を伴うAF患者を対象とし ました(5–7、9、17、18)、6つの研究はACSの発生後 に症例を無作為化しました(19–24)、2つの試験では、 抗血小板の組み合わせが心血管イベント(CVE)のリス クが高い安定した患者で試験されました(8、25)(表1 および補足表1)。 含まれる研究は、偏りの主要なリスクなしに高品質でし た(補足図2)。 比較調整されたファンネルプロットは、重要な出版バイ アスの兆候を示さませんでした(補足図3)。 ネットヒートプロットでもネットスプリット解析でも、 直接証拠と間接証拠の間に大きな矛盾は見られませんで した(補足図4、5)
Combination-level analyses ワルファリンと二重抗血小板療法と比較して、リバーロキサバン+アスピリン、ダビガ トラン+P2Y12阻害薬、およびアピキサバン+P2Y12阻害薬の組み合わせでMACEのリ スクが有意に低かった[RR: 0.33 95%信頼区間 (95% CI) (0.15–0.72), RR: 0.44; 95% CI: (0.35–0.55)、およびRR: 0.79; 95% CI: (0.69–0.91)]。リスク減少は、減 量ダビガトランでも統計的有意水準に達しました[RR: 0.56; 95% CI: (0.47–0.68)]。 分析に含まれる研究全体で、中程度の異質性がありました[I2: 39.8%, CI: (0.0%; 67.4%)](図1)。 治療のランク付けに基づいて、虚血性および出血性の利益に関する治療をクラスターリ ングしたところ、これらの2つの特徴の間に中程度の相関があることが示されました(r = 0.50)(図2)。 major cardiac adverse events (MACE)
Component-level analyses 各成分の分析において、抗凝固薬を組み合わせて使用することは、出血リスクを2.35~5.47倍に増加させることが明らかになりました (下図の赤)(サブグループの異質性:Cochrane chi2 p = 0.73、I2 = 0%)。アピキサバンとダビガトランを除いて、この効果は有 意でした。分析は、エドキサバンとVKAでより高い割合を反映していました。DOACの効果はVKAと異なりませんでした(p = 0.72)。 MACEリスクに関する結果は、DOAC間での異質性を示しました(サブグループの異質性:Cochrane chi2 p = 0.05、I2 = 63%)。 ダビガトランとアピキサバンはMACEリスクを有意に減少させました(緑丸)それぞれ54%と25%のRR減少)。他の抗凝固薬の場合、 この効果は有意ではなく、エドキサバンとVKAで上昇傾向がありました。 ASAの追加はMACEリスクを減少させませんでしたが、出血リスクの66%上昇の非有意な傾向がありました。 DOACの用量を減らすと、出血リスクが低下する傾向が見られ、MACEリスクが高くなる傾向が見られましたが、いずれも有意ではあり ませんでした(図3)図4の間違い。サブグループ分析は、結果の一貫性を支持する不変の結果を示しました(表2)。 例えば、図Aに、VKA単独がないと言うことは、VKA 単独の群を持った研究がなかったということ。しか し、Component-level analysesによって、VKAと他の 治療の組み合わせより、VKAのみ(成分、 component)の推定値を算出したということ。 1.0
Non‐pharmacological interventions for preventing delirium in hospitalised non‐ICU patients レビューの論点 集中治療室(ICU、重篤な患者を治療するための専門病棟)で治療を受けている人を含まない、入院中の成人患者のせん妄を予防するための非薬理学的(薬を使わない) アプローチに関するエビデンスを評価した。 背景 せん妄は、成人、特に入院中の高齢患者によく見られる重要な病気である。せん妄は時々「急性錯乱状態」と呼ばれる。典型的には、せん妄患者は変動する混乱状態が突然現れ、 集中力、記憶力や思考力の低下、周囲の状況に対する認識の低下、眠気や焦燥感、落ち着きのなさ、そして通常は視覚的な幻覚(実際にはないものが見える)などをしばしば伴う。せん 妄は本人やその家族にとって苦痛になり得る。また、入院中に死亡したり、入院期間が長くなったり、退院後に多くの医療が必要になるなどの合併症リスクも高まる。せん妄は、認知症 の発症や悪化など、記憶力や思考力の永続的な悪化のリスクを高めるというエビデンスがますます増えている。 非薬理学的アプローチとは、薬を使わず、医療の他の側面に重点を置いたアプローチである。それらはせん妄リスクを低減する上で重要であることはすでに認識されているが、特にせん 妄の一般的な危険因子のいくつかを対象とした複数要素介入はそうである。これらの複合的介入のうち、どの要素がせん妄の予防に最も重要であるかはわかっておらず、これを明らかに したかった。 研究の特性 入院中の患者をせん妄予防を目的とした非薬理学的介入群と通常の入院医療群に無作為に割り付けた研究で、2020年9月16日までの報告を検索した。 5,718人が参加した22 の研究が見つかった。14件の研究は複数要素からなるアプローチで、2件の研究は整形外科手術後に輸血を行う基準の違いを検討したもので、残りの6件の研究はすべて異なるアプローチ を検討したものであった。 主な結果 複数要素のアプローチは、通常の入院医療と比較して、せん妄発生を43%減少するだろうと考えられる。つまり、病棟(ICUを除く)にいる成人せん妄の5人に2人は、複数要 素の非薬理学アプローチによって防ぐことができるということになる。また、これらの介入は入院期間を短縮し、せん妄が発生した場合には、せん妄状態の期間を約1日間に短縮すること ができるかもしれない。しかし、これらのアプローチは、入院死亡リスクにはほとんど、あるいは全く影響しないかもしれない。これらの研究では、複数要素介入が認知症の発症や悪化 に及ぼす影響は調査されていない。介入が有害な影響を与えるかどうかについての情報はほとんどなかった。 新しい統計学的手法を用いて、各介入方法の中で以下の要素がせん妄予防に最も重要であることを見つけた: (a)周囲の環境を整え、より馴染んだ環境にすること、(b)記憶や思考力を刺激 すること、(c)睡眠を改善すること(睡眠健康対策)、である。他の要素の影響については、十分なエビデンスがないこともあり、断言はできなかった。せん妄を予防するための最も効果 的かつ効率的な方法を決定するためには、複数要素介入に含まれる特定の要素を比較するより多くの研究が必要である。他の単一要素の非薬理学的介入のエビデンスは非常に限られてい た。 エビデンスの確実性 結果に影響を与える可能性のある研究にはいくつかの制限があった。組み入れられた多くの研究では、研究に参加している人々や、時には研究者が、誰が介入を受 け、誰が受けていないかを知っていた。せん妄を経験するリスクがより高い認知症患者に関する情報はほとんどなかった。 外部資金 このレビューを行う研究者を支援するための資金は,イギリス国立健康研究所(奨励賞 130725)およびスコットランド医学研究所(休暇中奨学金)から得た。
介入 非薬理学的介入は、せん妄を予防するために設計・実施されたもののみを対象とした。せん妄に特化したものではなく、「老年症候 群」の患者を対象とした研究は含まなかった。 対象となる介入は、せん妄の特定の危険因子(例:睡眠障害、脱水、見当識障害)を対象とした多成分介入または単成分介入である。 介入は、ケアを提供する病棟や部署のレベル、または個人レベルで実施することができた。 せん妄を予防するための薬理学的介入に関する研究は除外した。具体的には、せん妄を予防する目的で、積極的治療群の参加者全員に 投与される錠剤、輸液、注射薬、吸入薬、麻酔ガスが含まれる。多成分介入の一部として薬理学的介入を用いた異常生理の補正を含む 研究(例えば、酸素飽和度が低い場合の酸素投与など)も含めることができた。 比較対象は、通常ケアまたはアクティブコントロールの介入とした。 Interventions Multicomponent interventions versus usual care 14の試験で、通常の病院ケアと比較して、せん妄予防のための多成分介入を評価しています。介入の実施に関連する特徴を確認したと ころ、9つの試験でテーラーメイド介入の使用が言及されていた。10試験では、介入の一部として特定の教育要素があった。多成分介入 で対象とするせん妄リスク因子の多くは、優れた基本的ケアに関連しており、ケアチーム内のスタッフがこれらの側面を一貫して提供 できるよう支援する。 私たちは、ネットワークメタ分析で入力可能な介入の12の異なる構成要素(12 distinct components)を特定した:再方向づけ(使い 慣れた物の使用を含む)、感覚遮断の軽減(例えば補聴器、眼鏡)、認知刺激、栄養と水分補給(電解質バランスを含む)、感染の特 定、動員、睡眠衛生、酸素供給、疼痛管理、投薬レビュー、ブラダーと腸ケア、気分の評価。個々の研究では、2~10個の構成要素が含 まれており、各研究に含まれる構成要素の平均値と中央値は6個であった。収録された研究におけるこれらの構成要素の分布を表 1 に、 構成要素の選択方法を付録 2 にまとめた。 その他の介入として、Liberal versus restrictive blood transfusion thresholds、Care in geriatric medicine unit、Exercise therapy、 Computerised clinical decision support system、Listening to music、Transcutaneous electrical acupoint stimulation、 Continuous positive airway pressureをあげている。
Component network meta‐analysisの流れ 非薬理学的介入の一つとして、Multicomponent interventions versus usual care (多要素介入と通常のケア・今回のメインの解析)の 2群のペアワイズのメタ分析を行っている。この多要素介入を、 12の異なる構成要素(12 distinct components)の組み合わせとして、 分類しなおした。 たとえば、Abizanda 2011の介入は、Education・Tailored(教育・テーラード)であり、Jeffs 2013の介入は、Protocol/checklistである。 これらを、まずは、 Multicomponent interventions と、同じ介入としてメタ分析を行う(内科患者、外科患者、混合患者とサブグループ 解析している・下記左図)。 その後、 Abizanda 2011のEducation・Tailoredは、Bowel/bladder care+Cognitive stimulation+Mobilisationの3つの構成要素から できていると分類。また、 Jeffs 2013のProtocol/checklistは、Mobilisation+Re‐orientation & familiar objectsの2つの構成要素からで きていると分類。 このように、各論文のMulticomponent interventions という介入を、構成要素の組み合わせという介入と変換する。 その後、Abizanda 2011は、Bowel/bladder care+Cognitive stimulation+Mobilisationという介入で、Jeffs 2013は、Mobilisation+ Re‐orientation & familiar objectsという介入だとして、Component network meta‐analysisを行う。 Component network meta‐analysisは、 たとえば、Bowel/bladder care+Cognitive stimulation+Mobilisationという介入の推定値を 求めるタイプでなく、 Bowel/bladder careの推定値とCognitive stimulationの推定値とMobilisationの推定値の構成要素の1つ1つの推 定値を求めるタイプの分析であった。よって、介入(ここでは、 componentとなるが)は、12個(usual careも含めると13個)になり、 そのネットワークメタ分析のフォレストプロットの記載になっている(下記右図)。 12個の compo nents usual careが参照比較のはずで、実は13 個でないとおかしいが、省略されている。
Component network meta‐analysis メインレビューに含まれる多成分介入multicomponent interventionsに関する14の試験(n = 3693人)のデータを用いて、成分ネットワークを作成した。 成分効果のフォレストプロットは、図6に示す。 我々のデータに基づくと、再指向性(オッズ比 (OR)0.32、95%信頼区間(CrI)0.11~0.89)、認知刺激(OR 0.45, 95% CrI 0.21~0.93) および睡眠衛生(OR 0.25, 95% CrI 0.08~0.71 )はせん妄発生リスクの低減と関連していまし た。栄養と水分補給(OR 0.48, 95% CrI 0.18 to 1.26)、酸素供給(OR 0.35, 95% CrI 0.10 to 1.20)、腸と膀胱のケア(OR 0.55, 95% CrI 0.23 to 1.31 )は、せん妄発生の確率を減らす ことを示唆したが、推定には効果なしまたは有害の可能性も含まれていた。 他のほとんどの構成要素では、95%信頼区間が広すぎて、潜在的な効果についてコメントすること ができなかった。 これは、試験数が少ないことと、試験に含まれる成分の構成に異質性が少ないと いうデータ不足の結果であると考えられる。 服薬レビューと気分の評価はどちらも要約推定値が不正確で、害を除外することはできないが、介 入を支持するものであった。一方、感覚遮断の低減、感染症の特定、モビライゼーション、疼痛コ ントロール、気分の評価は、いずれもせん妄の増加の可能性を示唆する要約推定値を有していたが、 これらの推定値の不確実性は、害だけでなく潜在的な利益も含めて非常に大きいものであった。 我々は、ネットワークに基づく推定値を元の試験のデータと比較したところ、コンポーネントネッ トワークのメタアナリシスの推定値のほとんどは、個々の試験の推定値と同様であり、コンポーネ ントネットワーク解析の妥当性を示すいくつかの証拠が得られた。
参考 Gerta Rücker: Component network meta-analysis https://www.youtube.com/watch?v=on9XV3GezEs コクラン資料 https://training.cochrane.org/resource/identifyingeffective-components-complex-interventionscomponent-network-meta-analysis