1.1K Views
February 10, 24
スライド概要
Y先生のEBM講座リンク先一覧
https://note.com/mxe05064/n/n4b3ab8020899
EBMの本質と、
診療ガイドライン作成の基礎を理解して、
信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる力を養おう!
癌の分野でスタンダードのNCCNのガイドラインもぶった切るよ!
EBMの本質と、 診療ガイドラインの基礎を理解して、 信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる 力を養おう! 癌の分野でスタンダードのNCCNのガイドライン もぶった切るよ!
自己紹介:多くの診療ガイ ドラインの協力をしています
本日の講演は、最終的に、信頼で きる診療ガイドラインを判断でき る力まで養おうと、盛りだくさん のため、一般的より難解な部分も あります。 重要な所は、繰返していますので、 分からない所は、流しながら聞い て頂ければと思います。
本日のメニュー しっかりと記憶に残すため、同じ事を繰り返し説明します (1)診療ガイドラインとは何か、それが従来の教科書とど う異なるのか? (2)診療ガイドラインはどのように作られるのか? (3)信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる力を 養おう!:サルコーマ編
表1 信頼できるエビデンスに基づくガイドラインと信頼できないガイドラインの違い 明瞭度 明確で実用的な推奨 パネル構成 すべての主要ステークホルダーを含む学 際的パネル 知っている用語で、文は 信頼できないガイドライン 分かるし、 ふ~ん、そうなんだ、 あいまいな推奨 これが大切ね、わかっ パネルに関連する視点(患者など)が含まれていな たわかった。 い 利益相反 宣言して、適切に管理される 相反する事項の申告や管理がなされていない 信頼できるガイドライン 重要な PICO 要素が特定されておらず、患者にとっ アウトカムの選択患者にとって重要なアウトカムを含むPICO て重要なアウトカムよりも、委員会の懸念事項が使 と優先順位付け 形式を用いる 用されている エビデンスの要約 入手可能な最良のエビデンスを用いたシ GOBSAT;質の低いシステマティックレビュー ステマティックレビューに基づく推奨 価値観と意向 患者の価値観や意向を明確に配慮 推奨の強さ エビデンスの確実性と価値観や意向の多 アップサイドとダウンサイドのトレードオフ、エビ 様性を評価し、アップサイドとダウンサ デンスの確実性の評価、および/または価値観や意 イドのトレードオフを一致させる 向のばらつきを無視する 患者の価値観や意向を無視している 裏付けとなるエビデンスは、絶対的リス 裏付けとなるエビデンスが相対リスクとして提示さ 推奨の提示と根拠クの後に、エビデンスの確実性をユー れ、エビデ ンスの確実性がない、または不十 分に ザーフレンドリーな方法で提示(SoF表) 評価されている。
表1 信頼できるエビデンスに基づくガイドラインと信頼できないガイドラインの違い 明瞭度 パネル構成 利益相反 確かに、その通りだな~。 面白いな~。 信頼できるガイドライン 信頼できないガイドライン これを使って、信頼できる 明確で実用的な推奨診療ガイドラインかどうか、 あいまいな推奨 評価したくなってきたぞ! すべての主要ステークホルダーを含む学 パネルに関連する視点(患者など)が含まれていな 際的パネル い 宣言して、適切に管理される 相反する事項の申告や管理がなされていない 重要な PICO 要素が特定されておらず、患者にとっ アウトカムの選択患者にとって重要なアウトカムを含むPICO て重要なアウトカムよりも、委員会の懸念事項が使 と優先順位付け 形式を用いる 用されている エビデンスの要約 入手可能な最良のエビデンスを用いたシ GOBSAT;質の低いシステマティックレビュー ステマティックレビューに基づく推奨 価値観と意向 患者の価値観や意向を明確に配慮 推奨の強さ エビデンスの確実性と価値観や意向の多 アップサイドとダウンサイドのトレードオフ、エビ 様性を評価し、アップサイドとダウンサ デンスの確実性の評価、および/または価値観や意 イドのトレードオフを一致させる 向のばらつきを無視する 患者の価値観や意向を無視している 裏付けとなるエビデンスは、絶対的リス 裏付けとなるエビデンスが相対リスクとして提示さ 推奨の提示と根拠クの後に、エビデンスの確実性をユー れ、エビデ ンスの確実性がない、または不十 分に ザーフレンドリーな方法で提示(SoF表) 評価されている。
本日のメニュー (1)診療ガイドラインとは何か、それが従来の教科書とど う異なるのか? (2)診療ガイドラインはどのように作られるのか? (3)信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる力を 養おう!:サルコーマ編 この(1)(2)を理解して、やっと(3)を見分ける力が養えるので、頑張ろう!
本日のメニュー (1)診療ガイドラインとは何か、それが従来の教科書とど う異なるのか? (2)診療ガイドラインはどのように作られるのか? (3)信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる力を 養おう!:サルコーマ編
診療ガイドラインの定義 世界的なHealth and Medicine Division of the National Academies(旧IOM)による定義に遵守したMindsの定義 健康に関する重要な課題について、医療利用者と提供者の意 思決定を支援するために、システマティックレビューにより エビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、最 適と考えられる推奨を提示する文書。 (Minds診療ガイドライン作成マニュアル編集委員会. Minds診療ガイドライン作成マニュ アル2020 ver.3.0.公益財団法人日本医療機能評価機構EBM医療情報部.2021.3頁) これについては、後ほど、解説し、繰り返し引用します。
教科書は・・・(1)、 1.背景疑問から前景疑問まで網羅されている。 背景疑問:糖尿病とは?病態生理は? 前景疑問:2型糖尿病に最初に用いる治療薬は? 背景疑問は、学生~研修期間まで多いが、年数 とともに、徐々に前景疑問が多くなり、最新の 治療について知りたい場合、教科書では対応で きなくなる。 出典:https://www.medsi.co.jp/ 2.著名な先生が、経験と知識を駆使して、文 章を作成し、それに従った、参考文献を数多く 明記する。 多くは正しいが、次からのスライドで示すよう な問題点も生じる。
世界中の研究・論文を集めて、丁寧に適格基準で選定した ら、4論文がありました 表:X薬のがん治療の仮想研究例 ――――――――――――――――――――――― がん縮小 死亡率減少 ――――――――――――――――――――――― Aihara論文 効果あり 効果なし Nangou論文 効果あり 効果なし Yuasa論文 少し効果あり 少し効果あり Tange論文 効果なし 効果なし ――――――――――――――――――――――― Yuasa 論 文 : Yuasa et. al. : Clinical Cancer Journal 118. 2014. 30-38. (仮想例) たとえば、X薬のがん治療に 4個の論文があったとする。 これを見ると、がん縮小には 効果がありそうだが、死亡 率減少の効果はなさそうな ことがわかる。
ランチョンセミナー:EBMに基づくがん治療に おけるX薬の有用性について 表:X薬のがん治療の仮想研究例 ――――――――――――――――――――――― がん縮小 死亡率減少 ――――――――――――――――――――――― Aihara論文 効果あり 効果なし Nangou論文 効果あり 効果なし Yuasa論文 少し効果あり 少し効果あり Tange論文 効果なし 効果なし ――――――――――――――――――――――― Yuasa 論 文 : Yuasa et. al. : Clinical Cancer Journal 118. 2014. 30-38. (仮想例) ある高名な教授がランチョン セミナーで、 「Yuasaの研究より、X薬は がん治療に効果があった。 参考文献:Yuasa et. al. : Clinical Caries Journal 118. 2014. 30-38.」と、 英語の論文で説明した場 合、信用してしまうのではな いだろうか。 EBMに基づく: エビデンスに基づく医療に基づ く?? お薦めしない表現です!!
すなわち、エビデンスに基づくと称して、都合の良い論文の都合の良い 結果を恣意的に選んでないか? 教科書も、同様な解説の可能性がある。 表:X薬のがん治療の仮想研究例 ――――――――――――――――――――――― がん縮小 死亡率減少 ――――――――――――――――――――――― Aihara論文 効果あり 効果なし Nangou論文 効果あり 効果なし Yuasa論文 少し効果あり 少し効果あり Tange論文 効果なし 効果なし ――――――――――――――――――――――― Yuasa 論 文 : Yuasa et. al. : Clinical Cancer Journal 118. 2014. 30-38. (仮想例) 都合の良い解説 写真AC
恣意的な選択をしないためには、アウトカムごとに、縦読みを 行なう。 表:X薬のがん治療の仮想研究例 ――――――――――――――――――――――― がん縮小 死亡率減少 ――――――――――――――――――――――― Aihara論文 効果あり 効果なし Nangou論文 効果あり 効果なし Yuasa論文 少し効果あり 少し効果あり Tange論文 効果なし 効果なし ――――――――――――――――――――――― Yuasa 論 文 : Yuasa et. al. : Clinical Cancer Journal 118. 2014. 30-38. (仮想例) 効果ありそ うですか? 効果ありそ うですか? イラストAC
恣意的な選択をしないためには、アウトカムごとに、縦読みを 行なう。 表:X薬のがん治療の仮想研究例 ――――――――――――――――――――――― がん縮小 死亡率減少 ――――――――――――――――――――――― Aihara論文 効果あり 効果なし Nangou論文 効果あり 効果なし Yuasa論文 少し効果あり 少し効果あり Tange論文 効果なし 効果なし ――――――――――――――――――――――― Yuasa 論 文 : Yuasa et. al. : Clinical Cancer Journal 118. 2014. 30-38. (仮想例) 効果ありそう 効果なさそう
論文1の結果と、論文2の結果をあわせると、 A治療とB治療のどちらが、改善率が高いと思いますか? 実際に計算せずに、直感で答えてください! 論文1 症例数 改善数 % 論文2 症例数 改善数 % A治療 160 48 30 A治療 40 24 60 B治療 20 4 20 B治療 80 40 50
ただ単にあわせると、結果が逆転することがある! 論文1 症例数 改善数 % 論文2 症例数 改善数 % A治療 160 48 30 A治療 40 24 60 B治療 20 4 20 B治療 80 40 50 統合 症例数 改善数 % A治療 200 72 36 B治療 100 44 44 このようなシンプソンのパラドックスにならないように、 症例数と改善数で調整する統計計算(荷重平均みたいなイメージ)を メタ分析と言う。
X薬のがん治療の仮想研究例をメタ分析したら 研究名 がんの抑制効果 Tange1) 1/20 vs 10/20 RR=0.10 効果なし Yuasa2) 28/45 vs 20/55 RR=1.71 少し効果 Nangou3) 15/55 vs 5/65 RR=3.55 効果あり Aihara4) 9/32 vs 3/38 効果あり 記載なし Kousei5) 相対危険度 RR=3.56 1.62 メタ分析・meta analysis
エビデンスに基づくと称して、都合の良い論文の都合の良い結果を恣意的に 選んでないか? 意味は理解したけど具体的に、どうするのか? 3つのルールを守ると、都合の良い論文のみを選んでないという保証になります。 1. エビデンスを検索するための系統的な方法を用いる。 検索式を決めて、何度検索しても、同じような検索結果になる! 2. エビデンスの選択基準を明確に記載すること。 たくさん検索された場合、選択する必要があるが、適当に選ぶのではなく、ルール を決めておくということ! 3. アウトカムごとに、効果推定値を算出する。 先のスライドで示したこと(メタ分析) 。 これを客観的に行なうことを、システマティックレビューという。
まとめると・・・(1) エビデンスに基づくと称して、都合の良い論文の都合の良いアウトカム(結果)を恣意的に選んでないか? 表:X薬のがん治療の仮想研究例 ――――――――――――――――――――――― がん縮小 死亡率減少 ――――――――――――――――――――――― A論文 効果あり 効果なし B論文 効果あり 効果なし C論文 少し効果あり 少し効果あり D論文 効果なし 効果なし ――――――――――――――――――――――― 大切なアウトカムごとに結果を統合し、 意志決定に重要な臨床疑問をframeworkで確認 都合の良い論文を選んだり、その論文がいい加減なRCT でも、RCTだからエビデンスレベルが高いとするな! SRでも、作り方が悪いと使えない。作り方が良くても、その 中のエビデンスの確実性は? システマティックレビュー・メタ分析:1.60 これを全ての課題に行なうのは不可能なので、診療ガイドラインは、意思決定に重要 な課題のみに焦点を絞り、システマティックレビューの結果に従う
診療ガイドラインの定義 世界的なHealth and Medicine Division of the National Academies(旧IOM)による定義に遵守したMindsの定義 これを全ての課題に行なうのは不可能なので、診療ガイドラインは、意思決定に重要 な課題のみに焦点を絞り、システマティックレビューの結果に従う 健康に関する重要な課題について、医療利用者と提供者の意 思決定を支援するために、システマティックレビューにより エビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、最 適と考えられる推奨を提示する文書。 (Minds診療ガイドライン作成マニュアル編集委員会. Minds診療ガイドライン作成マニュ アル2020 ver.3.0.公益財団法人日本医療機能評価機構EBM医療情報部.2021.3頁)
教科書は・・・(2)、 3.著者が質が高いと思った論文を選んでいる。 各論文のバイアス(偏り)の危険性や、システ マティックレビューの結果の総体的(全体)な エビデンスの確実性を客観的に評価してない。 ⇒次からのスライドで説明。 出典:https://www.medsi.co.jp/ 4.著名な先生の経験内の患者像に従って、良 い治療を薦めている。 その先生の施設の患者層と、自分の施設の 患者層が異なるかもしれないし、時代背景 が異なる可能性も高い。
X薬のがん治療の仮想研究例をメタ分析したら 研究名 がんの抑制効果 Tange1) 1/20 vs 10/20 RR=0.10 効果なし Yuasa2) 28/45 vs 20/55 RR=1.71 少し効果 Nangou3) 15/55 vs 5/65 RR=3.55 効果あり Aihara4) 9/32 vs 3/38 効果あり 記載なし Kousei5) 相対危険度 RR=3.56 1.62 メタ分析・meta analysis
各論文が、丁寧か、いい加減か、を調べて見たら・・・ 研究名 がんの抑制効果 Tange1) 1/20 vs 10/20 RR=0.10 効果なし Yuasa2) 28/45 vs 20/55 RR=1.71 少し効果 Nangou3) 15/55 vs 5/65 RR=3.55 効果あり Aihara4) 9/32 vs 3/38 効果あり 記載なし Kousei5) 丁寧に作られていた バイアスのリスクが低い 相対危険度 RR=3.56 いい加減に作られていた バイアスのリスクが高い 1.62 この値の確実性は、 高いですか・低いですか
各論文が、丁寧か、いい加減か、を調べて見たら・・・ 研究名 がんの抑制効果 Tange1) 1/20 vs 10/20 RR=0.10 効果なし Yuasa2) 28/45 vs 20/55 RR=1.71 少し効果 Nangou3) 15/55 vs 5/65 RR=3.55 効果あり Aihara4) 9/32 vs 3/38 効果あり 記載なし Kousei5) 丁寧に作られていた バイアスのリスクが低い 相対危険度 RR=3.56 いい加減に作られていた バイアスのリスクが高い 1.62 この値の確実性は、低い
もし、各研究の結果のバラツキが、以下のようだったら? Tange1) Tange1) Yuasa2) Nangou3) Yuasa2) Aihara4) Nangou3) Aihara4) 0.0 0.0 メタ分析:1.62 メタ分析:1.62 同じ1.62でも、右と、左では、 どちらが、確実性が高いでしょうか?
もし、各研究の結果のバラツキが、以下のようだったら? Tange1) Tange1) Yuasa2) Nangou3) Yuasa2) Aihara4) 0.0 メタ分析:1.62 同じ1.62でも、確実性が低い Nangou3) Aihara4) 0.0 メタ分析:1.62 同じ1.62でも、確実性が高い
このような確実性を下げる要因をまとめると5つある 研究の限界 (limitation, risk of bias) 非一貫性 (inconsistency) もし、そのアウトカムの結果を構成する、いろい ろな論文にバイアスが多く存在していたら・・・、 もし、論文間で、結果が異なっていれば・・・、 非直接性 もし、最初に想定した臨床の疑問の患者層と、選 択した論文の患者層が異なっていれば・・・、 不精確さ もし、症例数の小さな、あまり精確でないデータ を、メタ分析と称して、集めて有意差がでただけ だったら・・・、 (indirectness) (imprecision) 出版バイアス (publication_bias) もし、有意差がなかったからと報告されなかった 論文や、都合が悪いので論文に書かなかったアウ トカムが、たくさんありそうな状況だった ら・・・、
この「エビデンスの確実性:Certainty of evidence」の呼び方 は、時期によって異なっていたので、少し解説すると 2014年までのMindsの資料 2018年までのコクランレビュー 2019年までのMindsの資料 2019年からのコクランレビュー 2020年よりのMinds :エビデンスレベル :エビデンスの質 :エビデンスの強さ :エビデンスの確実性 このエビデンスの確実性を客観的に評価する方法論を、GRADE アプローチとよび、WHOなど世界中で使われている
すなわち、メタ分析の値のみが一人歩きすると、間違った解 釈が行なわれる可能性がある 相対危険度 1.62
よって、システマティックレビューのメタ分析の結果は、数字に必ず確 実性という紐をつけておく(これが世界の主流になってきているが、ま だ、行なってない先生も多い) 確実性の程度 相対危険度 1.62
ちょっと待った! しかし・・・、確実性が高く、値も効果があったとしても・・・ 確実性:高い 効果あり しかし、害などがあれば・・・
利益だけでなく、害・コスト・患者の価値観なども考慮 害 コスト 利益 患者価値 確実性
もちろん、想定している患者は、日本の一般的な患者であること 患者価値 利益 確実性 2023 Microsoft
まとめると・・・(2) 利益のエビデンスだけで、臨床決断してないか? メタ分析の代表値のみを、安易に信頼して都合良く使ってないか? 各論文から得られた値 効果推定値を確実性の程度 で紐付きにする エビデンスだけではない・集団として、 臨床的経験(プライマリケ ア医・専門医) 0.0 0.0 メタ分析:1.60 =メタ分析:1.60 1.60の確実性 左 > 右 利益と害の最適なエビデンス (正味の利益と確実性の程度) 価値観・意向など (バラツキ程度) コスト・リソース (個人・社会) 1.60 エビデンスをまとめ、その確実性を評価した上で、益と害のバランスを、一般的な患者 価値観に従って、客観的に評価する必要がある。
診療ガイドラインの定義 世界的なHealth and Medicine Division of the National Academies(旧IOM)による定義に遵守したMindsの定義 エビデンスをまとめ、その確実性を評価した上で、益と害のバランスを、一般的な患者 価値観に従って、客観的に評価する必要がある。 健康に関する重要な課題について、医療利用者と提供者の意 思決定を支援するために、システマティックレビューにより エビデンス総体を評価し、益と害のバランスを勘案して、最 適と考えられる推奨を提示する文書。 (Minds診療ガイドライン作成マニュアル編集委員会. Minds診療ガイドライン作成マニュ アル2020 ver.3.0.公益財団法人日本医療機能評価機構EBM医療情報部.2021.3頁)
診療ガイドラインのポイントを図にすると・・・ エビデンスに基づくと称して、都合の良い論文の都合の良いアウトカム(結果)を恣意的に選んでないか? 表:X薬のがん治療の仮想研究例 ――――――――――――――――――――――― がん縮小 死亡率減少 ――――――――――――――――――――――― A論文 効果あり 効果なし B論文 効果あり 効果なし C論文 少し効果あり 少し効果あり D論文 効果なし 効果なし ――――――――――――――――――――――― システマティックレビュー・メタ分析:1.60 大切なアウトカムごとに結果を統合し、 意志決定に重要な臨床疑問をframeworkで確認 都合の良い論文を選んだり、その論文がいい加減なRCT でも、RCTだからエビデンスレベルが高いとするな! SRでも、作り方が悪いと使えない。作り方が良くても、その 中のエビデンスの確実性は? 利益のエビデンスだけで、臨床決断してないか? メタ分析の代表値のみを、安易に信頼して都合良く使ってないか? 各論文から得られた値 効果推定値を確実性の程度 で紐付きにする エビデンスだけではない・集団として、 臨床的経験(プライマリケ ア医・専門医) 0.0 0.0 メタ分析:1.60 =メタ分析:1.60 1.60の確実性 左 > 右 1.60 利益と害の最適なエビデンス (正味の利益と確実性の程度) 価値観・意向など (バラツキ程度) コスト・リソース (個人・社会)
と言っても、教科書と診療ガイドラインの どちらが良い悪いでなく、どちらも必要 1.背景疑問から前景疑問まで網羅されている。 2.著名な先生が、経験と知識を駆使して、文 章を作成し、それに従った、参考文献を数多く 明記する。 3.著者が質が高いと思った論文を選んでいる。 4.著名な先生の経験内の患者像に従って、良 い治療を薦めている。 健康に関する重要な課題について、医療 利用者と提供者の意思決定を支援するた めに、システマティックレビューにより エビデンス総体を評価し、益と害のバラ ンスを勘案して、最適と考えられる推奨 を提示する文書。 医学図書出版
本日のメニュー (1)診療ガイドラインとは何か、それが従来の教科書とど う異なるのか? (2)診療ガイドラインはどのように作られるのか? (3)信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる力を 養おう!:サルコーマ編
診療ガイドラインは、EBMの原則に従って作成されている よって、EBMについて理解する必要がある(初心者向けの解説) 実は、「EBM」という用語と、ステップは知っていても、その 本質を知らない場合が多い。 しかも、EBMは、本当に普通の事であり、何ら特別な事でない 事を、心の底から理解することが必要である。 よって、ここから、クイズ形式で、EBMを一気に学ぶ。 二者択一の質問を述べていきます。
さあ、クイズにお答え下さい! あなたが病気になったとき、 どちらの医師に治療して 欲しいですか? 1:経験が少ない医師 2:経験豊富の医師
経験豊富だけと・・・ 1:論文を読まない医師 2:論文を読む医師
経験豊富で論文を読むけど・・・ 1:商業誌だけを読む医師 2:学会誌や専門誌の論文まで読む医師
経験豊富で、学会誌や専門誌の 論文まで読むけど・・・ 1:日本語の専門論文だけを読む医師 2:海外の専門論文まで読む医師
経験豊富で、海外の専門論文ま で読むけど・・・ 1:自分の考えに従う論文だけを読む医師 2:自分の考えとあわなくても広く対立意見の 論文まで調べて読む医師
経験豊富で、海外の専門論文を 対立意見まで調べて読むけど・・・ 1:その論文を鵜呑みにする医師 2:その論文を批判的に読んで間違い が指摘できる医師 ?
経験豊富で、海外の専門論文を対立 意見まで調べて批判的に読むけど・・・ 1:論文に従った治療のみを押しつける 医師 2:論文は尊重するが、経験を踏まえて 治療する医師
経験豊富で、海外の専門論文を対 立意見まで調べて批判的に読んで、 経験を踏まえて治療するけど・・・ 1:患者(あなた)の意見を 聞かない医師 2:患者(あなた)の意見を 尊重する医師
経験豊富で患者の意見を尊重し、 海外の専門論文を対立意見まで 調べて、批判的に読んで、経験を 踏まえて治療するけど・・・ 1:一つ一つの治療を生涯教育として考 えない医師 2:一つ一つの治療を 生涯教育と考えている医師
経験豊富で患者の意見を尊重し、海外 の専門論文を対立意見まで調べて、批 判的に読んで、経験を踏まえて治療し、 生涯教育を実践する どうですか? 理想の医師の一人だと思 いませんか?
経験豊富で患者の意見を尊重し、海外 の専門論文を対立意見まで調べて、批 判的に読んで、経験を踏まえて治療し、 生涯教育を実践する この理念が、EBMなのです! どうですか? 理想の医師の一人だと思 いませんか?
このEBMには、3つの原則がある 後からでてくる5つのステップは知っていても、この3つの原則という、重要な 事を聞いたこともない方が多いので、しっかりと学んで欲しい。 1. 最適な臨床決断には入手可能な最適なエ ビデンス、理想的にはシステマティックレ ビューのエビデンスを必要する。 EBMの3原則 2. EBMは、エビデンスが信頼できるものか どうか、すなわち、診断検査、患者の予後、 治療選択肢についてどれほど確信をおけるも のかを提供する(確実性の評価)。 3. エビデンスだけでは臨床決断をするのに 決して十分ではない(害・価値観・コスト)。
EBMと診療ガイドラインの関係を考えてみる (1)EBMの3原則と診療ガイドラインの定義の関係 (2)EBMの3原則を診療ガイドラインのポイントに合わせる (3)EBMの5つのステップ(サークル)と診療ガイドライン の定義・作成手順の関係 重要なので、同じ事を繰り替して、記憶にとどめる解説をします
(1)EBMの3原則と診療ガイドラインの定義の関係 診療ガイドライン 健康に関する重要な課題について、医療利用 者と提供者の意思決定を支援するために、シ ステマティックレビューによりエビデンス総 体を評価し、益と害のバランスを勘案して、 最適と考えられる推奨を提示する文書。 1. 最適な臨床決断には入手可能な最適なエ ビデンス、理想的にはシステマティックレ ビューのエビデンスを必要する。 EBMの3原則 2. EBMは、エビデンスが信頼できるものか どうか、すなわち、診断検査、患者の予後、 治療選択肢についてどれほど確信をおけるも のかを提供する(確実性の評価)。 3. エビデンスだけでは臨床決断をするのに 決して十分ではない(害・価値観・コスト)。
診療ガイドライン 健康に関する重要な課題について、医療利用 者と提供者の意思決定を支援するために、シ ステマティックレビューによりエビデンス総 体を評価し、益と害のバランスを勘案して、 最適と考えられる推奨を提示する文書。 1. 最適な臨床決断には入手可能な最適なエ ビデンス、理想的にはシステマティックレ ビューのエビデンスを必要する。 EBMの3原則 2. EBMは、エビデンスが信頼できるものか どうか、すなわち、診断検査、患者の予後、 治療選択肢についてどれほど確信をおけるも のかを提供する(確実性の評価)。 3. エビデンスだけでは臨床決断をするのに 決して十分ではない(害・価値観・コスト)。
(2) EBMの3原則を診療ガイドラインのポイントに合わせる 1. 最適な臨床決断には入手可能な最適なエ ビデンス、理想的にはシステマティックレ ビューのエビデンスを必要する。 EBMの3原則 2. EBMは、エビデンスが信頼できるものか どうか、すなわち、診断検査、患者の予後、 治療選択肢についてどれほど確信をおけるも のかを提供する(確実性の評価)。 3. エビデンスだけでは臨床決断をするのに 決して十分ではない(害・価値観・コスト)。
平易な表現に変えると・・・ 1.エビデンスに基づくと称して、都合の良い論文の 1. 最適な臨床決断には入手可能な最適なエ 都合の良いアウトカム(結果)を恣意的に選んで ビデンス、理想的にはシステマティックレ ないか? ビューのエビデンスを必要する。 EBMの3原則 2. EBMは、エビデンスが信頼できるものか どうか、すなわち、診断検査、患者の予後、 2.メタ分析の代表値のみを、安易に信頼して都合 治療選択肢についてどれほど確信をおけるも 良く使ってないか? のかを提供する(確実性の評価)。 3. エビデンスだけでは臨床決断をするのに 3.利益のエビデンスだけで、臨床決断してない 決して十分ではない(害・価値観・コスト)。 か?
1.エビデンスに基づくと称して、都合の良い論文の都合の良いアウトカム(結果)を恣意的に選んでないか? 3.利益のエビデンスだけで、臨床決断してないか? 2.メタ分析の代表値のみを、安易に信頼して都合良く使ってないか?
診療ガイドラインのポイントのまとめ(EBMの3原則に従っている) 1.エビデンスに基づくと称して、都合の良い論文の都合の良いアウトカム(結果)を恣意的に選んでないか? 表:X薬のがん治療の仮想研究例 ――――――――――――――――――――――― がん縮小 死亡率減少 ――――――――――――――――――――――― A論文 効果あり 効果なし B論文 効果あり 効果なし C論文 少し効果あり 少し効果あり D論文 効果なし 効果なし ――――――――――――――――――――――― システマティックレビュー・メタ分析:1.60 大切なアウトカムごとに結果を統合し、 意志決定に重要な臨床疑問をframeworkで確認 都合の良い論文を選んだり、その論文がいい加減なRCT でも、RCTだからエビデンスレベルが高いとするな! SRでも、作り方が悪いと使えない。作り方が良くても、その 中のエビデンスの確実性は? 3.利益のエビデンスだけで、臨床決断してないか? 2.メタ分析の代表値のみを、安易に信頼して都合良く使ってないか? 各論文から得られた値 効果推定値を確実性の程度 で紐付きにする エビデンスだけではない・集団として、 臨床的経験(プライマリケ ア医・専門医) 0.0 0.0 メタ分析:1.60 =メタ分析:1.60 1.60の確実性 左 > 右 1.60 利益と害の最適なエビデンス (正味の利益と確実性の程度) 価値観・意向など (バラツキ程度) コスト・リソース (個人・社会)
(3)EBMの5つのステップ(サークル)と診療ガイドラインの定義・作成手 順の関係 EBMの3原則を実践するための5つのstep Step 1. (経験によって)疑問を解決可能な質問に変える Step 2. 疑問を解決できる、最良のエビデンスを(世界から)探す Step 3. エビデンスをまとめ・評価(批判的に吟味) Step 4. 専門知識や患者の価値観などと共有(患者意向の尊重) Step 5. 1~4のStepの評価(生涯教育)
Step 1. (経験によって)疑問を解決可能な質問に変える 健康に関する重要な課題について、 またまた、診療ガイドラインの定義! Step 2. 疑問を解決できる、最良のエビデンスを(世界から)探す 健康に関する重要な課題について、医療利用 システマティックレビューにより 者と提供者の意思決定を支援するために、シ Step 3. エビデンスをまとめ・評価(批判的に吟味) ステマティックレビューによりエビデンス総 エビデンス総体を評価し、 体を評価し、益と害のバランスを勘案して、 Step 4.最適と考えられる推奨を提示する文書。 専門知識や患者の価値観などと共有(患者意見の尊重) 医療利用者と提供者の意思決定を支援するため に、益と害のバランスを勘案して、 これを分解して並べると・・・ Step 5. 1~4のStepの評価(生涯教育)
5つのステップが、診療ガイドラインの定義・作成手順でもある Step 1. (経験によって)疑問を解決可能な質問に変える 健康に関する重要な課題を定義する Step 2. 疑問を解決できる、最良のエビデンスを(世界から)探す システマティックレビューを行う Step 3. エビデンスをまとめ・評価(批判的に吟味) エビデンス総体を評価する Step 4. 専門知識や患者の価値観などと共有(患者意向の尊重) 医療利用者と提供者の意思決定を支援するため に、益と害のバランスを勘案して議論する Step 5. 1~4のStepの評価(生涯教育) 最適と考えられる推奨を提示する文書を作成する
ここまで、しつこく、 EBMの原則・ステップに従って、診療ガイドラインが定義・作成 されていることを学びました。 ここからは、GRADEアプローチによる、「Formal recommendations(次のスライドで解説)」の作成方法を学び ます。
一般的に診療ガイドラインと言っても、現実には、statements・recommendations などが、いろいろ記載されている。これをWHOの診療ガイドラインを使って分類した のが以下の事項である。次に述べるGRADEアプローチでは、Good Practice Statementsなどの原則についても解説しているが、本スライドでは、中心となる、 「Formal recommendations」について解説する Formal recommendations:正式な推奨とは、特定の集団において、また関連する場合 は特定の設定において、2つ以上の管理または介入の間の選択に関する実行可能な声明 である。 Remarks: 推奨の条件の解釈を支援するために、推奨に付随して記載される。 Implementation considerations, tools and tips:勧告に基づいて介入の選択肢の一つ を選択した後、それを実施するために実行可能の考慮事項、ツール、およびヒント。 Research only recommendations:研究のみの推奨とは、特定の集団における介入選 択肢の使用を研究設定に限定する推奨である。 Good Practice Statements:エビデンスの確実性や推奨の強さの正式な評価には適さ ない間接的なエビデンスなどに従うが、必要な実行可能で明確な推奨がある場合の記述 となる。作成は、5つの原則を遵守するべきである(本稿では省略)。 Informal recommendations:非公式な推奨は、特定の集団における、また関連する場 合は特定の設定における、1つ以上の介入選択肢の選択に関する実行可能な声明である。 これらの声明は、正式な審議プロセスを経て発表されたものではなく、ガイドラインの ために収集されたエビデンス集と直接関連するものではなく、グッドプラクティス声明 を特定する厳密な一連の論理的ルールを満たすものでもない。
「 recommendations」の作成手順を、具体的・客観的にした作成方法 世界的に、最も用いられている作成方法が、Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation (GRADE)ワーキンググループ(世界的に活躍している臨床疫学に 得意な先生の集団)が開発した、GRADEアプローチである。 WHO・コクランなど、多くの組織が採用している。日本の、Minds もほぼ同じで採用している(若干の違いがある)。 また、 GRADEアプローチを採用していると書いてあるが、かなり 改変しており、 GRADEアプローチとは言えない作成方法を採用し ている組織も多いので、混乱している分野もある。
少し詳細に、GRADEアプローチの作成ステップを記載すると、 1. 想定する集団に従った計画立案・組織編成を行い、明確で実行可能な提言を行 なう事を目標とする。 2. 患者にとって重要なアウトカムを含むPICO形式を用いて、臨床の疑問(CQ) を決め、その重要度を評価し、作成戦略を考える。 3. 入手可能な最良のエビデンスを用いたシステマティックレビュー(SR)の実 施(効率化のためには、既存の質の高いSRがあれば、それを利用する)。 4. SRで、エビデンスの確実性の評価は必須。可能ならばメタ分析。 5. 害や患者の価値観や意向への透明性のある配慮のために調査などを行なう。 6. 裏付けとなるエビデンスは、絶対的リスクの後に、エビデンスの確実性をユー ザーフレンドリーな方法で提示(SoF表)して、見やすい一覧とする。 7. 利益相反を宣言し、必要な場合管理し、すべての主要要素を含む学際的パネル により議論する。 8. エビデンスの確実性と価値観や意向の多様性を評価し、アップサイドとダウン サイドのトレードオフを一致させ推奨を決定する(投票が多い)。 9. 作成した診療ガイドラインそのものを、外部評価する。 10. 推奨を公開するとともに、より利用しやすい工夫をする。 11. 次回の改訂へフィードバックする。
信頼できる診療ガイドラインの見分けるポイントは2点 1. 想定する集団に従った計画立案・組織編成を行い、明確で実行可能な提言を行 なう事を目標とする。 2. 患者にとって重要なアウトカムを含むPICO形式を用いて、臨床の疑問(CQ) を決め、その重要度を評価し、作成戦略を考える。 3. 入手可能な最良のエビデンスを用いたシステマティックレビュー(SR)の実 施(効率化のためには、既存の質の高いSRがあれば、それを利用する)。 4. SRで、エビデンスの確実性の評価は必須。可能ならばメタ分析。 5. 害や患者の価値観や意向への透明性のある配慮のために調査などを行なう。 6. 裏付けとなるエビデンスは、絶対的リスクの後に、エビデンスの確実性をユー ザーフレンドリーな方法で提示(SoF表)して、見やすい一覧とする。 7. 利益相反を宣言し、必要な場合管理し、すべての主要要素を含む学際的パネル により議論する。 8. エビデンスの確実性と価値観や意向の多様性を評価し、アップサイドとダウン サイドのトレードオフを一致させ推奨を決定する(投票が多い)。 9. 作成した診療ガイドラインそのものを、外部評価する。 10. 推奨を公開するとともに、より利用しやすい工夫をする。 11. 次回の改訂へフィードバックする。
ここからは、 次の「(3)信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる力 を養おう!:サルコーマ編」を行える力をつけるために、 先のスライドの6と8、すなわち、 「エビデンスの確実性の評価方法」 と 「エビデンスの確実性と価値観や意向の多様性を評価する力」 について詳しく学ぶ。
本日のメニュー (1)診療ガイドラインとは何か、それが従来の教科書とど う異なるのか? (2)診療ガイドラインはどのように作られるのか? (3)信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる力を 養おう!:サルコーマ編 ちょっとつらいけど、 (3)のため頑張ろう!
「エビデンスの確実性」 GRADEアプローチでは、「エビデンスの確実性」として、4 つに分類し定義化している。 エビデンスの確実性 高い A 定義 真の効果が効果推定値に近いという確信がある。 中B 効果推定値に対し、中等度の確信がある。真の効果が効果推 定値に近いと考えられるが、大幅に異なる可能性もある。 低い C 効果推定値に対する確信には限界がある。真の効果は効果推 定値とは大きく異なるかもしれない。 非常に低い D 効果推定値に対しほとんど確信がもてない。真の効果は、効 果推定値とは大きく異なるものと考えられる。 この「エビデンスの確実性」を決定するには、厳密で、客観的な評価に従うことが必要で ある。 しかし、“雰囲気“のみや、「複数の質の高いランダム化比較試験があったので」など独自 の基準で決めている診療ガイドラインが少なくない。 よって、残念な事に・・・、診療ガイドラインを使う者も、評価方法を学ぶ事が必要とされ ている。
「エビデンスの確実性」 何となく、「たぶん高いですよね GRADEアプローチでは、「エビデンスの確実性」として、4 つに分類し定義化している。 ~ 」 、と決めるのではありません。 エビデンスの確実性 高い A 定義 真の効果が効果推定値に近いという確信がある。 中B 効果推定値に対し、中等度の確信がある。真の効果が効果推 定値に近いと考えられるが、大幅に異なる可能性もある。 低い C 効果推定値に対する確信には限界がある。真の効果は効果推 定値とは大きく異なるかもしれない。 非常に低い D 効果推定値に対しほとんど確信がもてない。真の効果は、効 果推定値とは大きく異なるものと考えられる。 この「エビデンスの確実性」を決定するには、厳密で、客観的な評価に従うことが必要で ある。 しかし、“雰囲気“のみや、「複数の質の高いランダム化比較試験があったので」など独自 の基準で決めている診療ガイドラインが少なくない。 よって、残念な事に・・・、診療ガイドラインを使う者も、評価方法を学ぶ事が必要とされ ている。
「エビデンスの確実性」 基本が、ランダム化比較試験のシステマティックレビューのため、それを前提に解説する。 まず、ランダム化比較試験のメタ分析の結果である、効果推定値のエビデンスの確実性の グレードは高いと仮置きして、以下の5つの要因の問題があればグレードダウンして、4 段階のどれになるかを評価する。 研究の限界 (limitation, risk of bias) 非一貫性 (inconsistency) 非直接性 (indirectness) 不精確さ (imprecision) 出版バイアス (publication_bias) もし、そのアウトカムの結果を構成する、いろいろな論文にバ イアスが多く存在していたら・・・、 もし、論文間で、結果が異なっていれば・・・、 もし、最初に想定した臨床の疑問の患者層と、選択した論文の 患者層が異なっていれば・・・、 もし、症例数の小さな、あまり精確でないデータを、メタ分析 と称して、集めて症例数が大きくなって有意差がでただけだっ たら・・・、 もし、有意差がなかったからと報告されなかった論文や、都合 が悪いので論文に書かなかったアウトカムが、たくさんありそ うな状況だったら・・・、
このグレードダウンの5要因を、表にしたのが、 エビデンスプロファイルとよぶ No. of studies アウトカム アウトカム Design Risk of bias Inconsi stency Indirec tness Imprec ision Other consid eration s No. of patie nts Effect Certain ty Impor tance
まず、データの一覧・メタ分析の結果・各論文のバイアスのリスクを評価してから、 エビデンスの確実性を評価していく⇒仮想データで具体的に解説 研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 癌治療が成功 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
ある薬で、癌治療が成功するか(本来なら、生存曲線などを使いますが、ここでは説 明を単純にするため、「癌治療が成功した割合」をアウトカムとします) 研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 癌治療が成功 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 癌治療が成功 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性 重大
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 4 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか RCT 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか 330 結果 の要 約 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか メタ分 析の 結果 1.62 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
次のスライドから、グレードダウンの5要因を判定します 研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか 結果 の要 約 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか あり 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 効果なし ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 効果あり ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 効果あり ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 効果あり ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か あり 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか なし データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか あり 330 メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか なし メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● 日本 少ない 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 ●●●● グレードダウンの5要因を使って、エビデンスの確実性が、 低リスク 70 試験 Kita 「高い・中等度・低い・非常に低」のどれかを判定します。 日本 適度 Kousei 記載なし ランダム化比較 ●●●● 低リスク 600 試験 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か 対象が 相違し ている か データ が不精 確か お蔵入り 研究があ るか あり あり なし あり なし RCT 患者 数 メタ分 析の 結果 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性 高い 中程度 低い 非常に低い
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● Kita 日本 低リスク 少ない 70 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 試験 ●●●● Kousei 日本 低リスク 適度 600 記載なし ランダム化比較 試験 ●●●● 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 癌治療が成功 4 RCT 結果が 不一致 か 対象が相 違してい るか データ お蔵入り 患者 が不精 研究が 数 確か あるか ランダム比較試験なので、 エビデンスの確実性は、「高 い」に仮決めします。 メタ分 析の 結果 330 1.62 エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 計画時のデザイ ン バイアスの リスク Mangou 日本 低リスク 少ない 40 1/20 vs 10/20 ランダム化比較 試験 ●●●● Yuasa 日本 低リスク 少ない 120 15/55 vs 5/65 ランダム化比較 試験 ●●●● Toukyo 米国 低リスク 少ない 100 28/45 vs 20/55 ランダム化比較 試験 ●●●● 日本 少ない Kita 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 ●●●● 5要因の中の3つが「深刻な問題あり」なので、「高い」から3段 低リスク 70 試験 階下がって、「非常に低」となる。<これが基本的な考え方> Kousei 日本 低リスク 記載なし 適度 600 ランダム化比較 試験 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か 対象が 相違し ている か データ が不精 確か お蔵入り 研究があ るか あり あり なし あり なし RCT 高い 患者 数 メタ分 析の 結果 ●●●● エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性 高い 中程度 低い 非常に低い
すいません、実際には、 さらに詳しい基準に従って厳密に評価し、「低い」と判断されます。 #1: Inconsistencyと Imprecisionが存在 した。ただし、 Mangou 2000を除 外して行った感度 分析の結果より、 この2つの要因で2 段階下げる必要は ないと判断し、 Imprecision を「な し」とした。 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って 結果が 不一致 か 対象が 相違し ている か あり あり #1 なし いるか RCT 高い データが お蔵入り 患者 不精確 研究が 数 か あるか なし #1 メタ分 析の 結果 エビデン スの確実 性 なし 総合的に考えます 低い アウト カム の重 要性
研究名 実施国 リスク 症例数 癌治療が成功 プログラマーでなく、ユー 日本 少ない Mangou 1/20 vs 10/20 低リスク 40 ザーは、こんな感じで、確 日本 少ない Yuasa 15/55 vs 5/65 実性を決めているんだ~、 低リスク 120 程度の理解で十分です! 米国 少ない Toukyo 28/45 vs 20/55 低リスク 100 計画時のデザイ ン バイアスの リスク ランダム化比較 試験 ●●●● ランダム化比較 試験 ●●●● ランダム化比較 試験 ●●●● 日本 少ない Kita 9/32 vs 3/38 ランダム化比較 ●●●● 5要因の中の3つが「深刻な問題あり」なので、「高い」から3段 低リスク 70 試験 階下がって、「非常に低」となる。<これが基本的な考え方> Kousei 日本 低リスク 記載なし 適度 600 ランダム化比較 試験 論文数 研究デ 研究が ザイン 偏って いるか 結果が 不一致 か 対象が 相違し ている か データ が不精 確か お蔵入り 研究があ るか あり あり なし あり なし RCT 高い 患者 数 メタ分 析の 結果 ●●●● エビデ ンスの 確実性 アウト カムの 重要性 高い 中程度 低い 非常に低い
他のアウトカムも同様に評価して、 エビデンスプロファイルを完成させる No. of Desig studie n s Risk of Incons Indire Impre bias istenc ctness cision y Other conside rations No. of patients Effect Certai nty Impor tance 930 平均 30 mmH g下げ た 重要 アウトカム:血圧低下 5 ランダ ム比較 試験 あり あり なし あり なし アウトカム:癌治療が成功 4 RCT あり あり #1 なし なし #1 なし 330 1.62 低い 低い 重大
このエビデンスプロファイルを改変したものが、SoF表と言う Summary of findings No. of studies Design Risk of bias このグレードダウンの 5要因を脚注に記載 Inconsi stency Indirec tness Imprec ision Other consid eration s No. of patie nts Effect Certain ty Impor tance 効果推定値を、相対危険度な ど比で示すだけでなく、1000 人中の絶対人数でも表示
SoF表の構造(実際の例) 95
SoF表の構造(実際の例) 絶対効果 研究数と 累計被験者数 アウトカム1 相対効果 アウトカム1のエビデンスの確実性 アウトカム1の効果の大きさ アウトカム2 アウトカム2のエビデンスの確実性 アウトカム2の効果の大きさ 脚注にグレードダウンの理由を記載 96
診療ガイドラインの推奨には、「どのぐらい強く推奨するか?」・「介入行なうことを推奨するのか、行 なわないように推奨するのか?」と、強さと方向がある。 GRADEアプローチでは、推奨の強さと方向として、以下の定義と用語を採用している。 推奨度 定義 臨床医にとって 方向・用語 介 入 に よ る 望 ま し い 効 果 ( 利 ほぼ全員が推奨される介入を受け 推奨する・しない 強い推 強く推奨する・しない 益)が望ましくない効果(害・負 るべきである。 奨 ・・・しないことを推奨する 担・コ スト )を 上回る、ま たは下 =推奨= 回る確信が強い 介 入 に よ る 望 ま し い 効 果 ( 利 意思決定支援は、患者が自身の 弱く推奨する・しない 弱い推 益)が望ましくない効果(害・負 価値観や意向に基づいて意思決 条件付きで推奨する・し 奨 ない・提案する・しない 担・コ スト )を 上回る、ま たは下 定を行うのにおそらく有用だろう。 =提案= ・・・しないことを提案する 回る確信が弱い 理念として、この決定には、EBMの3原則と同じく、エビデンスだけでは臨床決断をするのに決して十 分ではないため、利益だけでなく害・価値観と意向・コストなども考慮する。そして、評価方法は、 かなり厳密な方法が存在する。特に、EtD表(Evidence to Decision framework)という透明性を確 保する表を作成し、批判に耐えられる評価が必要とされている。 ところが、多くの診療ガイドラインで、「エビデンスの強さを基にし、臨床的有用性の大きさ・その 臨床適応性・有害事象なども踏まえて議論を尽くした。最終的に投票で決定した。」とか「益と害の バランス、害以外の不利益も考慮に入れて総合的に判断した」などの記述がにもかかわらず、解説文 を読むと、それらの基準がなく、何となく総合的に、各委員の思いで判断したにすぎない診療ガイド ラインが多い。 よって、患者も参加した、主要 なステークホルダーを含めた、 パネル会議で議論する! よって、残念な事に・・・、診療ガイドラインを使う者も、評価方法を学ぶ事が必要とされている。
診療ガイドラインの推奨には、「どのぐらい強く推奨するか?」・「介入行なうことを推奨するのか、行 なわないように推奨するのか?」と、強さと方向がある。 GRADEアプローチでは、推奨の強さと方向として、以下の定義と用語を採用している。 推奨度 定義 臨床医にとって 方向・用語 介 入 に よ る 望 ま し い 効 果 ( 利 ほぼ全員が推奨される介入を受け 推奨する・しない 強い推 強く推奨する・しない 益)が望ましくない効果(害・負 るべきである。 奨 ・・・しないことを推奨する 担・コ スト )を 上回る、ま たは下 =推奨= 回る確信が強い 介 入 に よ る 望 ま し い 効 果 ( 利 意思決定支援は、患者が自身の 弱く推奨する・しない 弱い推 益)が望ましくない効果(害・負 価値観や意向に基づいて意思決 条件付きで推奨する・し 奨 ない・提案する・しない 担・コ スト )を 上回る、ま たは下 定を行うのにおそらく有用だろう。 =提案= ・・・しないことを提案する 回る確信が弱い 理念として、この決定には、EBMの3原則と同じく、エビデンスだけでは臨床決断をするのに決して十 分ではないため、利益だけでなく害・価値観と意向・コストなども考慮する。そして、評価方法は、 かなり厳密な方法が存在する。特に、EtD表(Evidence to Decision framework)という透明性を確 保する表を作成し、批判に耐えられる評価が必要とされている。 ところが、多くの診療ガイドラインで、「エビデンスの強さを基にし、臨床的有用性の大きさ・その 臨床適応性・有害事象なども踏まえて議論を尽くした。最終的に投票で決定した。」とか「益と害の バランス、害以外の不利益も考慮に入れて総合的に判断した」などの記述がにもかかわらず、解説文 を読むと、それらの基準がなく、何となく総合的に、各委員の思いで判断したにすぎない診療ガイド ラインが多い。 よって、残念な事に・・・、診療ガイドラインを使う者も、評価方法を学ぶ事が必要とされている。 すなわち、「エビデンスの確実性と価値観や意向の多様性を評価する力」を学ぶ必要がある
仮想例(介入A薬 VS 対照B薬):相対的評価 以下の仮想例を考える。 まず、最初に必要な事は、相対危険度など、想定的な評価で推奨を判断するのではなく、絶 対的な評価で推奨を判断するべきである(無理なこともある)。その理由は、対照群のリス クによって、判断が大きく異なるからである。よって、絶対的評価の記載がなければ、 GRADEアプローチに、厳密に従ってない可能性がある。 アウトカム 相対危険度(95%CI) エビデンスの確実性 全原因死亡 HR 0.96 (0.68-1.33) 低 局所再発 HR 0.94 (0.64-1.38) 低 遠隔転移 HR 0.91 (0.64-1.30) 低 有害事象 RCTの論文から抽出し、多く存在する 非常に低 価値観 アウトカムとして死亡を重視する・患者がA薬の錠剤が大き く飲みにくいので服用に関しての意向はバラつくだろう コスト A薬:薬価10000円、B薬:薬価500円
仮想例(介入A薬 VS 対照B薬):絶対的評価 アウトカム 患者1000人あたりの絶対効果推定値 (95%CI) エビデンスの確実性 全原因死亡 -12人 (-107人~ +93人) 低 局所再発 -17人(-109人~ +98人) 低 遠隔転移 -9人(-35人~ +28人) 低 有害事象 +59.5人(+1.4人~ +700人) 非常に低 価値観 アウトカムとして死亡を重視する・患者がA薬の錠剤が少し 大きく飲みにくいので服用に関しての意向はバラつくだろう コスト A薬:薬価1000円、B薬:薬価500円 マイナスが、介入A薬が望ましい効果になります。どう でしょうか? あなたは、介入A薬を推奨しますか?
仮想例(介入A薬 VS 対照B薬) アウトカム 患者1000人あたりの絶対効果推定値 (95%CI) エビデンスの確実性 全原因死亡 -12 (-107 ~ +93) 低 局所再発 -17 (-109 ~ +98) 低 遠隔転移 -9 (-35 ~ +28) 低 有害事象 +59.5 (+1.4 ~ +700) 非常に低 価値観 アウトカムとして死亡を重視する・患者がA薬の錠剤が少し 大きく飲みにくいので服用に関しての意向はバラつくだろう コスト A薬:薬価1000円、B薬:薬価500円 まず、推奨の強さは、エビデンスの確実性が低いので、「弱い」とするパネルが多いのでは ないだろうか。 また、推奨の方向は、有害事象が多いが、死亡・再発・転移ともに効果があるため、A薬を 「推奨する」と考えるパネルが多いだろう。よって、「A薬を弱く推奨する」となる可能性が 高い。 これは、これで大きく間違った判断でないと思われるが、厳密に評価するとは、どういうこ とかを、次のスライドから説明する。
実際の作成では、さらに複雑な事を行っています まず、患者の価値観を、各アウトカムにおいて相対的重要性を決定する必要がある。すなわ ち、これら価値観の調査研究に従う必要がある(実際には研究がなく、委員会のパネリスト のアンケートによることも多い)。ポイントは、有害事象が、軽度なものか重篤なものか、 適切に判断することが必要とされる。 そして、その相対的重要性と絶対効果推定値から、利益と害のバランスそのものを定量化す る。そうすると、効果はありそうだが、害が勝っていることが判明する(さらに厳密に行う ならば、アウトカム全ての95%CIの上限と下限で、推奨が異なるかまで判定する)。 しかし、害のエビデンスの確実性が非常に低のため、パネリストの判断はばらつく可能性が あると思われる。 患者1000人あたりの アウトカム 絶対効果推定値(95%CI) 相対的重 要性 患者1000人あたりの全原因死 亡相当イベント単位による重 要性調整効果推定値(95%CI) エビデンスの確 実性 全原因死亡 -12 (-107 ~ +93) 1 -12 (-107 ~ +93) 低 局所再発 -17 (-109 ~ +98) 0.5 -8.5 (-54.5 ~ +49) 低 遠隔転移 -9 (-35 ~ +28) 0.5 -4.5 (-17.5 ~+14) 有害事象 +85 (+2 ~ +1000) 0.7 +59.5 (+1.4 ~ +700) -12-8.5-4.5+59.5=+34.5 -17×0.5=-8.5 低 非常に低
さらに、こんな事まで、真剣に検討をしています ここまで定量化できない場合であっても、少なくとも、最小臨床的効果な どを設定し、それに対して、メタ分析の効果推定値と95%信頼区間が、ど のような関係にあるのかを評価することは大切と考えられる。 すなわち、単に、効果が大きそうだ…という、パネリストの価値判断だけ でなく、より客観的な基準に従った判断を、どこまで行っているかの「姿 勢」が、望ましい診療ガイドラインであるといえる。 アウトカム死亡:最小臨床的効果(MID) 効果なし -12 介入A優位 -10 RD=0 対照優位
Evidence to Decision framework(1):実例より そして、利益だけでなく害・価値観と意向・コストなど一覧とし、読者に も推奨の判断ができる透明性が求められる CQ・PICO 問題の重要性 利益の大きさなど https://guidelines.gradepro.org/profile/783DCF1B-50FC-72D0-A1E1-3C31011E9471
Evidence to Decision framework(2) 価値観 仮想例でも示した各アウトカムの相 対的重要性が、根拠となる参考文献 付で記載されている 相対的重要性 1 0.5 0.5 0.7 益と害の バランス この実例では、ここに、説明の記載がな かったが、実際は先の仮想例のような、基 準に従った評価がされている リソース コスト
Evidence to Decision framework(3) (1)(2)などで評価した判定の一覧表 推奨のタイプと、パネリスト投票状況
本日のメニュー (1)診療ガイドラインとは何か、それが従来の教科書とど う異なるのか? (2)診療ガイドラインはどのように作られるのか? (3)信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる力を 養おう!:サルコーマ編 あと少し!!
本日のメニュー (1)診療ガイドラインとは何か、それが従来の教科書とど う異なるのか? (2)診療ガイドラインはどのように作られるのか? (3)信頼できる診療ガイドラインかどうか判断できる力を 養おう!:サルコーマ編
これまでの解説で、望ましい診療ガイドラインと望ましくない診療ガイドライ ンの見極める力がついた。 Minds( 日本医療機能評価機構)は、AGREE IIという評価で判断しているが、 これは少し古いため、現状にそぐわない。 GRADEアプローチでは、従来から「GRADEシステムを利用したと言えるため の最小限の基準(次のスライド)」を示していたが、2023年に信頼できる診 療ガイドラインの基準を示した。この中で、最初の3つ(明瞭度・パネル構 成・利益相反)以外の5項目の基本的な考えは、既に述べている事である。
GRADEシステムを利用したと言えるための最小限の基準 今回は、参考程度とします 1. エビデンスの確実性は、GRADE Working Groupが採用する2つの定義 (ガイドラインまたはシステマティック・レ ビュー)により、一貫して定義すべきである。 2. エビデンスの確実性の評価のための8つのGRADE基準(risk of bias/研究の限界、エビデンスの非直接性、結 果の非一貫性と不精確さ、出版バイアスのリスク、効果の大きさ、用量反応勾配、ありそうな残余交絡・相反バ イアスantagonist bias)の影響)を、明確に記述すべきである。 3. 各重要なアウトカムのエビデンスの確実性を、4段階「高」、「中」、「低」、「非常に低」にて、 GRADE Working Groupが採用する定義に合致した各段階の定義に基づき、評価ならびに等級すべきである。 4. エビデンステーブルあるいはエビデンスを詳細に解説した要約の中で、上述のポイント2の要因に関する判断 を透明性の高い形で説明し、これを、エビデンスの確実性と推奨の強さの判断基準とすべきである。少なくとも、 評価されたエビデンス、ならびにそのエビデンスの同定や評価に使用した手法を明確に記述すべきである。 5. 推奨の強さを決定するための4つのGRADE基準(望ましい帰結と望ましくない帰結のバランス、エビデンスの 確実性、影響を受ける人の価値観と意向、資源の利用)について明確に考慮し、一般的アプローチを報告すべ きである。 6. 特定の治療選択肢に対する肯定的または否定的な推奨の強さは、2つのカテゴリ(弱い、強い)で示すべきで あり、各カクテゴリの定義と解釈は、 GRADE Working Groupの定義に合致すべきである。 7. 理想的には推奨の強さに関する判断をわかりやすく報告すべきである。
信頼できる診療ガイドラインとは? Table 1 Differences between trustworthy evidence-based guidelines from untrustworthy guidelines Trustworthy guidelines Clarity Panel composition Conflicts of interest Outcome selection and prioritisation Summary of evidence Values and preferences Strength of recommendation Presentation and rationale for recommendations Clear and actionable recommendation Multidisciplinary panel including all key components Declared and, when appropriate, managed Untrustworthy guidelines Ambiguous recommendation Panel does not include a relevant perspective (eg, patients) Conflicts not declared and/or managed Failure to specify the key PICO elements and use the board panel Using PICO format with outcomes important to patients concern than patients- important outcomes. GOBSAT; poor- quality systematic Recommendations based on systematic review review with the best evidence review with the best evidence available available Transparent consideration of patients’ Ignores patients’ values and values and preferences preferences values and preferences Ignores trade-off of up and downsides, Matches trade-off of up and downsides, rating the certainty of the evidence rating the certainty of the evidence and and/or variability of values and variability of values and preferences preferences Supporting evidence presented as Supporting evidence presented as absolute risks followed by certainty of relative risks with no or poorly the evidence in a user-friendly manner assessed the certainty of the evidence (SoF table) not. Lima JP, Tangamornsuksan W, Guyatt GH. Trustworthy evidence-based versus untrustworthy guidelines: detecting the difference. Fam Med Community Health. 2023 Oct;11(4):e002437. doi: 10.1136/fmch-2023-002437. PMID: 37802543; PMCID: PMC10565152. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc /articles/PMC10565152/
表1 信頼できるエビデンスに基づくガイドラインと信頼できないガイドラインの違い 信頼できるガイドライン 信頼できないガイドライン 明瞭度 明確で実用的な推奨 あいまいな推奨 パネル構成 すべての主要ステークホルダーを含む学 パネルに関連する視点(患者など)が含まれていな 際的パネル い 利益相反 宣言して、適切に管理される 相反する事項の申告や管理がなされていない 重要な PICO 要素が特定されておらず、患者にとっ アウトカムの選択患者にとって重要なアウトカムを含むPICO て重要なアウトカムよりも、委員会の懸念事項が使 と優先順位付け 形式を用いる 用されている エビデンスの要約 入手可能な最良のエビデンスを用いたシ GOBSAT;質の低いシステマティックレビュー ステマティックレビューに基づく推奨 価値観と意向 患者の価値観や意向を明確に配慮 推奨の強さ エビデンスの確実性と価値観や意向の多 アップサイドとダウンサイドのトレードオフ、エビ 様性を評価し、アップサイドとダウンサ デンスの確実性の評価、および/または価値観や意 イドのトレードオフを一致させる 向のばらつきを無視する 患者の価値観や意向を無視している 裏付けとなるエビデンスは、絶対的リス 裏付けとなるエビデンスが相対リスクとして提示さ 推奨の提示と根拠クの後に、エビデンスの確実性をユー れ、エビデ ンスの確実性がない、または不十 分に ザーフレンドリーな方法で提示(SoF表) 評価されている。
表1 信頼できるエビデンスに基づくガイドラインと信頼できないガイドラインの違い 明瞭度 パネル構成 利益相反 確かに、その通りだな~。 面白いな~。 信頼できるガイドライン 信頼できないガイドライン これを使って、信頼できる 明確で実用的な推奨診療ガイドラインかどうか、 あいまいな推奨 評価したくなってきたぞ! すべての主要ステークホルダーを含む学 パネルに関連する視点(患者など)が含まれていな 際的パネル い 宣言して、適切に管理される 相反する事項の申告や管理がなされていない 重要な PICO 要素が特定されておらず、患者にとっ アウトカムの選択患者にとって重要なアウトカムを含むPICO て重要なアウトカムよりも、委員会の懸念事項が使 と優先順位付け 形式を用いる 用されている エビデンスの要約 入手可能な最良のエビデンスを用いたシ GOBSAT;質の低いシステマティックレビュー ステマティックレビューに基づく推奨 価値観と意向 患者の価値観や意向を明確に配慮 推奨の強さ エビデンスの確実性と価値観や意向の多 アップサイドとダウンサイドのトレードオフ、エビ 様性を評価し、アップサイドとダウンサ デンスの確実性の評価、および/または価値観や意 イドのトレードオフを一致させる 向のばらつきを無視する 患者の価値観や意向を無視している 裏付けとなるエビデンスは、絶対的リス 裏付けとなるエビデンスが相対リスクとして提示さ 推奨の提示と根拠クの後に、エビデンスの確実性をユー れ、エビデ ンスの確実性がない、または不十 分に ザーフレンドリーな方法で提示(SoF表) 評価されている。
今回は、エビデンスの確実性の評価とEtD表を中心に評価します 信頼できるガイドライン 信頼できないガイドライン 明瞭度 明確で実行可能な提言 あいまいな勧告 パネル構成 すべての主要要素を含む学際的パネル パネルに関連する視点(例:患者)が含まれていない 利益相反 宣言して、適切な場合、管理される 相反する事項の申告や管理がなされていない 重要な PICO 要素が特定されておらず、患者にとって重 アウトカムの選択と 患者にとって重要なアウトカムを含むPICO 要なアウトカムよりも、委員会の懸念事項が使用されて 優先順位付け 形式を用いる いない。 エビデンスの要約 入手可能な最良のエビデンスを用いたシス GOBSAT;入手可能な最良のエビデンスを用いた質の低 テマティックレビューに基づく推奨 いシステマティックレビューレビュー 価値観と意向 患者の価値観や意向への透明性のある配 患者の価値観や嗜好を無視している 価値観や嗜好を 慮 無視している 推奨の強さ エビデンスの確実性と価値観や意向の多 アップサイドとダウンサイドのトレードオフ、エビデンス 様性を評価し、アップサイドとダウンサイド の確実性の評価、および/または価値観や嗜好のばら のトレードオフを一致させる。 つきを無視する。 推奨の提示と根拠 裏付けとなるエビデンスは、絶対的リスクの 裏付けとなるエビデンスが相対リ スクとして提示され、 後に、エビデンスの確実性をユーザーフレ エビデ ンスの確実性がない、または不十 分に評価され ンドリーな方法で提示(SoF表) ている。
Googleで、「sarcoma Clinical Practice Guidelines」を検索して、上から見ていきます ESMO Clinical Practice Guidelines: Sarcoma and GIST Soft Tissue and Visceral Sarcomas: ESMO-EURACAN-GENTURIS Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up Published in 2021 - Ann Oncol (2021) https://www.esm o.org/ guidelines/gu idelines- by- topic/ sarcom a-an d-gist/ sof t- tissue-and-visceral-sarcomas https://www.annalsof oncology.or g/ar ticle/S0923-7534(21)02184-0/fulltext エビデンスのレベルと推奨のグレードは、付録の表3に記載。 Levels of evidence and grades of recommendation are applied using the system shown in Supplementary Table S3, available at https://doi.org/10.1016/j.annonc.2021.07.006.85 Statements without grading were considered justified standard clinical practice by the experts. ESMOの診療カイドライン知っているよと言う 方、おられますか?知っている方は、眠気覚ま しの背伸びのつもりで手を上げてください~。
Googleで、「sarcoma Clinical Practice Guidelines」を検索して、上から見ていきます ESMO Clinical Practice Guidelines: Sarcoma and GIST Soft Tissue and Visceral Sarcomas: ESMO-EURACAN-GENTURIS Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up Published in 2021 - Ann Oncol (2021) https://www.esm o.org/ guidelines/gu idelines- by- topic/ sarcom a-an d-gist/ sof t- tissue-and-visceral-sarcomas https://www.annalsof oncology.or g/ar ticle/S0923-7534(21)02184-0/fulltext エビデンスのレベルと推奨のグレードは、付録の表3に記載。 Levels of evidence and grades of recommendation are applied using the system shown in Supplementary Table S3, available at https://doi.org/10.1016/j.annonc.2021.07.006.85 Statements without grading were considered justified standard clinical practice by the experts. この時点で、既に怪しい・・・ 理由は、「エビデンスのレベル」との記載より、古い基準の採用ではないか?との疑いとなる 2014年までのMindsの資料 :エビデンスレベル 2018年までのコクランレビュー :エビデンスの質 2019年までのMindsの資料 :エビデンスの強さ 2019年からのコクランレビュー 2020年よりのMinds :エビデンスの確実性
付録の表3 最近では、みることが減ったが、有名 2001年のOxfordのエビデンスレベルの 表である。 「レベルI:少なくとも1つの大規模なラ ンダム化比較試験(バイアスの可能性が 低い良好な方法論的品質)または異質性 のない適切に実施されたランダム化試験 のメタアナリシスからの証拠」 ⇒GRADEアプローチのエビデンスの確 実性の5要因の中の、バイアスのリス ク・異質性などが、記載されているよう に見えるが、非直接性・不精確さなどが なく、その評価は、不明確・不十分であ る。 「グレードA:効果に対する強力な証拠 があり、かつ大きな臨床的利益があるた め、強く推奨されます」 ⇒グレードCには、害・コストの記載が あるが、グレードAには、利益のみでの 判断であり、不十分である。
ESMO Clinical Practice Guidelines: Sarcoma and GIST Soft Tissue and Visceral Sarcomas: ESMO-EURACAN-GENTURIS Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up Published in 2021 - Ann Oncol (2021) https://www.esm o.org/ guidelines/gu idelines- by- topic/ sarcom a-an d-gist/ sof t- tissue-and-visceral-sarcomas https://www.annalsof oncology.or g/ar ticle/S0923-7534(21)02184-0/fulltext エビデンスのレベルと推奨のグレードは、付録の表3に記載。 Levels of evidence and grades of recommendation are applied using the system shown in Supplementary Table S3, available at https://doi.org/10.1016/j.annonc.2021.07.006.85 Statements without grading were considered justified standard clinical practice by the experts. 作成方法は、GRADEアプローチでなく、かつ、不十分な評価方法である。⇒それでは、本文は?
ESMO Clinical Practice Guidelines: Sarcoma and GIST Soft Tissue and Visceral Sarcomas: ESMO-EURACAN-GENTURIS Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up Published in 2021 - Ann Oncol (2021) https://www.esm o.org/ guidelines/gu idelines- by- topic/ sarcom a-an d-gist/ sof t- tissue-and-visceral-sarcomas https://www.annalsof oncology.or g/ar ticle/S0923-7534(21)02184-0/fulltext 推奨文:肢を温存する手術の選択肢には、化学療法(ChT)および/または放射線療法(RT)[III, A]、孤立性四肢灌流 (ILP)[III, A]、または化学療法(ChT)と組み合わせた地域的温熱療法[I, B]が含まれます。 それに対応する本文と思われる所:ある大規模なランダム化フェーズIII試験(G2-3で深部にあり、>5 cmの軟部組織 肉腫(STS)の患者において)では、全身的な化学療法に加えた地域的温熱療法が、より良い反応率、より長い局所 無進行生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、および全生存期間(OS)の利点と関連していました[I, B]。28 Options for limb-preserving surgery include ChT and/or RT [III, A], or ILP [III, A], or regional hyperthermia combined with ChT [I, B]. In one large randomised phase III study (in patients with G2-3, deep, >5 cm STS), regional hyperthermia in addition to systemic ChT was associated with better response rates, a longer local progression-free survival (PFS), disease-free survival (DFS) and OS advantage [I, B].28 本文の解説を見ると、治験としてのフェーズIIIの大規模ランダム化比較試験によって、エビデンスレベル が I となっているが、そもそも、システマティックレビューで、このRCTしかなかったのかすら不明であ る。ESMO Guidelines Methodologyをみると、SRしてあるような感じでもあるが、不明だった。 さらに、害・コスト・価値観など、本文での記載は、ほとんど無いようであった。 本文も、SRを行った結果でのエビデンスを利用しているのかすら不明であり、 効果のエビデンス以外の要因についての記載がほとんど無い。
最新の2023年も同じです・・。 Pérez-Fidalgo JA, Ortega E, Ponce J, Redondo A, Sevilla I, Valverde C, Isern Verdum J, de Alava E, Galera López M, Marquina G, Sebio A. Uterine sarcomas: clinical practice guidelines for diagnosis, treatment, and follow-up, by Spanish group for research on sarcomas (GEIS). Ther Adv Med Oncol. 2023 Mar 28;15:17588359231157645. doi: 10.1177/17588359231157645. PMID: 37007636; PMCID: PMC10052607. https://www.ncbi.nlm .nih.gov/pmc/ar ticles/ PMC10052607/ この2023年の診療ガイドラインは、 ESMO Sarcoma and Rare Cancers Congress 2024で、ESMO Clinical Practice Guidelinesのセッションの、 Chairsを行う、Claudia María Valverde Morales (Barcelona, Spain)先生が、作っています。
Soft Tissue Sarcoma, Version 2.2022, NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. von Mehren M, Kane JM, Agulnik M, Bui MM, Carr-Ascher J, Choy E, Connelly M, Dry S, Ganjoo KN, Gonzalez RJ, Holder A, Homsi J, Keedy V, Kelly CM, Kim E, Liebner D, McCarter M, McGarry SV, Mesko NW, Meyer C, Pappo AS, Parkes AM, Petersen IA, Pollack SM, Poppe M, Riedel RF, Schuetze S, Shabason J, Sicklick JK, Spraker MB, Zimel M, Hang LE, Sundar H, Bergman MA. J Natl Compr Canc Netw. 2022 Jul;20(7):815-833. doi: 10.6004/jnccn.2022.0035. PMID: 35830886; PMCID: PMC10186762. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35830886/ NCCNの診療カイドライン知っているよと言う 方、おられますか?知っている方は、眠気覚ま しの背伸びのつもりで手を上げてください~。
Soft Tissue Sarcoma, Version 2.2022, NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. von Mehren M, Kane JM, Agulnik M, Bui MM, Carr-Ascher J, Choy E, Connelly M, Dry S, Ganjoo KN, Gonzalez RJ, Holder A, Homsi J, Keedy V, Kelly CM, Kim E, Liebner D, McCarter M, McGarry SV, Mesko NW, Meyer C, Pappo AS, Parkes AM, Petersen IA, Pollack SM, Poppe M, Riedel RF, Schuetze S, Shabason J, Sicklick JK, Spraker MB, Zimel M, Hang LE, Sundar H, Bergman MA. J Natl Compr Canc Netw. 2022 Jul;20(7):815-833. doi: 10.6004/jnccn.2022.0035. PMID: 35830886; PMCID: PMC10186762. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35830886/ NCCN CATEGORIES OF EVIDENCE AND CONSENSUS high-level evidenceの意味が、この文書では不明で、 かつ、「カテゴリー1: 高水準の証拠に基づき、介入 が適切であるというNCCNの一致したコンセンサスが あります。」のように、これは、推奨なのコンセンサ スなの? NCCNは、GRADEアプローチではなく、複雑で、 NCCNエビデンスブロック という方法をとっていま す。 このエビデンスブロックは、複雑ですが、一度理解す ると表を見るのは簡単です。NCCNの診療ガイドライ ンは、がん分野では、世界で最も使われるので、少し だけ次のスライドより解説します。 https://www.nccn.org/guidelines/guidelines-with-evidence-blocks https://education.nccn.org/system/files/FINAL%20FOR%20PRIN TING%20GL-N-CML%20and%20MM%20Evidence%20Blocks091815-SK-release.pdf
NCCNエビデンスブロック ともかく、治療推奨に関する重要な情報を視覚的に表現するためのもの、以下の指標が使われている。
効果の尺度 [E] The Efficacy measure is the extent to which an intervention is helpful in prolonging life, arresting disease progression, or reducing symptoms of a medical condition. The scale used to measure efficacy is: •5 (Highly effective): Cure likely and often provides long-term survival advantage •4 (Very effective): Cure unlikely but sometimes provides long-term survival advantage •3 (Moderately effective): Modest impact on survival, but often provides control of disease •2 (Minimally effective): No, or unknown impact on survival, but sometimes provides control of disease •1 (Palliative only): Provides symptomatic benefit only [E] 有効性の尺度とは、ある介入が延命、疾患の進行阻止、または病状の症状軽減にどの程度役立つかを示 すものである。有効性の測定に用いられる尺度は以下の通りである: 5(極めて有効): しばしば長期生存をもたらすか、治癒の可能性がある。 4(非常に有効): 時々、長期生存の利点をもたらすか、治癒の可能性がある。 3(中等度に有効): 生存期間への影響は緩やか、全くない、または不明であるが、しばしば疾患のコント ロールをもたらす。 2(最小限の効果): 生存期間への影響は中程度、全くない、または不明で、疾患のコントロールが可能な 場合もある。 1(緩和のみ): 対症療法的な効果しかない。 これを、どのような詳細な基準で決めているのか、たとえば、最小臨床的効果(MID) との関係とか、調べ るも不明であった。次のスライドで、パネルメンバーが、雰囲気で決めているような記載を示す。
Q.NCCNエビデンスブロック の基準はどのように採点されますか? To develop NCCN Evidence Blocks , NCCN Guidelines panel members score each measure using a standardized scale from "1" to "5", with "1" being the least favorable and "5" being the most favorable. For efficacy and safety, panel members use both their knowledge of the published data cited within the NCCN Guidelines—often developed in highly selected patients—and their clinical experience with treatment in the more diverse real-world patient population. Quality and consistency of data are rated using evidence cited within the Guidelines and the panel members' knowledge of the data supporting the treatment. Affordability is rated using and the panel members' knowledge of overall cost of the regimen, including cost of drug, administration, required supportive care, identification and management of toxicity and probability of hospitalization. NCCN Evidence Blocks を開発するために、NCCNガイドラインのパネルメンバーは「1」から「5」まで の標準化された尺度を用いて各測定項目を採点する。 有効性と安全性については、パネルメンバーは、NCCNガイドラインに引用されている公表データ(多くの 場合、高度に選択された患者を対象として開発された)の知識と、より多様な実患者集団における治療に関 する臨床経験の両方を使用する。 データの質と一貫性は、ガイドラインに引用されているエビデンスと、治療法を支持するデータに関するパ ネルメンバーの知識を用いて評価される。 経済性は、薬剤費、投与費、必要な支持療法、毒性の同定と管理、入院の可能性など、レジメンの総費用に 関するパネルメンバーの知識を用いて評価される。 パネルメンバーが、採点をしているとのことで、一見、しっかりと行っているようだが、基準が明確でな いので、雰囲気で「1」から「5」までの点数を投票していることになる・・・。知識って?資料はないの?
安全性 [S] Safety refers to the assessment of the relative likelihood of side effects from an intervention with fewer side effects being scored highly. The scale used to measure safety is: •5 (Usually no meaningful toxicity): Uncommon or minimal toxicities; no interference with activities of daily living (ADLs) •4 (Occasionally toxic): Rare significant toxicities or low-grade toxicities only; little interference with ADLs •3 (Mildly toxic): Mild toxicity that interferes with ADLs •2 (Moderately toxic): Significant toxicities often occur but life threatening/fatal toxicity is uncommon; interference with ADL s is frequent •1 (Highly toxic): Significant toxicities or life threatening/fatal toxicity occurs often; interference with ADLs is usual and severe Note: For significant chronic or long-term toxicities, score decreased by 1 [S]安全性とは、介入による副作用の相対的な可能性の評価であり、副作用が少ないほど高得点となる。安 全性の測定に用いられる尺度は以下の通りである: 5(通常、意味のある毒性はない): 日常生活動作(ADL)に支障がない。 4(たまに毒性がある): まれな重大な毒性または低悪性度の毒性のみ;ADLへの支障はほとんどない。 3(軽度毒性): ADLに支障をきたす軽度の毒性。 2(中等度毒性): 重大な毒性がしばしば起こるが、生命を脅かす/致命的な毒性はまれ;ADLへの支障が 頻繁に起こる。 1(高毒性): 重大な毒性または生命を脅かす/致命的な毒性が頻繁に起こる;ADLへの支障が通常かつ深 刻である。注:重大な慢性毒性または長期毒性については、スコアを1下げる
エビデンスの質と量 [Q] Quality and quantity of evidence refers to the number and types of clinical trials relevant to a particular intervention. To determine a score, panel members may weigh the depth of the evidence, i.e., the numbers of trials that address this issue and their design. The scale used to measure quality of evidence is: •5 (High quality): Multiple well-designed randomized trials and/or meta-analyses •4 (Good quality): One or more well-designed randomized trials •3 (Average quality): Low quality randomized trial(s) or well-designed non-randomized trial(s) •2 (Low quality): Case reports or extensive clinical experience •1 (Poor quality): Little or no evidence [Q] エビデンスの質と量とは、特定の介入に関連する臨床試験の数と種類を指す。点数を決定するために、 パネルメンバーはエビデンスの深さ、すなわちこの問題を扱った臨床試験の数とそのデザインに重きを置く ことができる。エビデンスの質の測定に使用される尺度は以下の通りである: 5(質が高い): 複数の十分にデザインされたランダム化試験および/またはメタアナリシス 4(質が高い): 1つ以上の十分にデザインされたランダム化試験 3(平均的質): 質の低いランダム化試験または十分にデザインされた非ランダム化試験 2(質が低い): 症例報告または広範な臨床経験 1(質が低い): エビデンスがほとんどない、または全くない 突っ込むところが多すぎて。 まず、3のAverage qualityが、平均的なのに、質の低いRCTって??、さらに、非ランダム化試験であり、 GRADEアプローチなら、多くが確実性が非常に低となる。 High qualityでも、十分にデザインされたメタ分析とは、どういう意味か。メタアナリシスをしていても、 系統的に論文を選択してなければ、システマティックレビューとは言わないし・・・。 各RCTのデザインは、GRADEアプローチのエビデンスの確実性の5要因の一つだけで、他は?(非一貫性 については次のスライド)。これを、パネルメンバーが、臨床試験の数を重視して採点しているの・・・。
エビデンスの一貫性 [C] Consistency of evidence refers to the degree to which the clinical trials addressing an intervention have consistent results. The scale used to measure consistency of evidence is: •5 (Highly consistent): Multiple trials with similar outcomes •4 (Mainly consistent): Multiple trials with some variability in outcome •3 (May be consistent): Few trials or only trials with few patients, whether randomized or not, with some variability in outcome •2 (Inconsistent): Meaningful differences in direction of outcome between quality trials •1 (Anecdotal evidence only): Evidence in humans based upon anecdotal experience [C] エビデンスの一貫性とは、介入を扱った臨床試験の結果が一貫している度合いを指す。エビデンスの一 貫性を測定するために使用される尺度は以下の通りである: 5(一貫性が高い): 複数の試験で同様の結果が得られている。 4(主に一貫している): 複数の試験で結果にばらつきがある。 3(一貫性があるかもしれない): 少数の試験、または少数の患者を対象とした試験のみで、無作為化され ているかどうかにかかわらず、転帰にある程度のばらつきがある。 2(一貫性がない): 質の高い試験間で転帰の方向に有意差がある。 1(逸話的証拠のみ): 逸話的経験に基づくヒトにおけるエビデンス 複数の試験で結果にばらつきがあっても、Mainly consistent(主に一貫している)となっている。さらに、 3の「少数の患者を対象とした試験」は、一貫性と異なり、不精確さ、症例数が少ない事によるエラーであ り、概念が異なる。違う概念の要因を混在して評価するという意味不明な基準である。
総合的な費用 [A] Affordability refers to the overall cost of an intervention including drug cost, required supportive care, infusions, toxicity monitoring, management of toxicity, probability of care being delivered in the hospital, etc. with less expensive interventions being rated more highly than more expensive ones. The scale used to measure affordability is: •5 Very inexpensive •4 Inexpensive •3 Moderately expensive •2 Expensive •1 Very expensive [A] 妥当性とは、薬剤費、必要な支持療法、輸液、毒性のモニタリング、毒性の管理、病院で治療が行われ る確率などを含む、介入にかかる総合的な費用のことであり、より安価な介入はより高価な介入よりも高く 評価される。手頃な価格の評価に使用される尺度は以下の通りである: 5 非常に安価 4 安価 3 中程度に高価 2 高い 1 非常に高い
Q.NCCNエビデンスブロック をどのように読みますか? 最終的なスコアを使用して、介入のNCCNエビデンスブロック を構成する5x5テーブルを作成します。 NCCN Evidence Block の各列 ["X" 軸] は、結果特性に対応します。アウトカムの特徴は、左から順に、 有効性(E)、安全性(S)、エビデンスの質と量(Q)、データの一貫性(C)、 価格(A)。 各列内のブロック (「Y」軸) は、下から上に影が付けられ、各メジャーの対応するスコア (1 から 5) を表 します。 有安 エ デ 価 効全 ビ ー 格 性性 デ タ ン の ス 一 の 貫 質 性 と 量 たしかに、このような図があり、「これは、有効で安全だけど、価格が高いな~」とかが一 目でわかる優れた図です。
ここまで解説したのに・・・ NCCNの診療ガイドラインは、次世代がんプロフェッショナルとして、必須であるので、NCCNエビ デンスブロック について、詳しく解説した。 しかし、このSoft Tissue Sarcoma, Version 2.2022には、使われて無かった。 今回のCPGは、先のスライドの、「カテゴリー1: 高水準の証拠に基づき、介入が適切であるという NCCNの一致したコンセンサスがあります。」という、良く読んでも、推奨なのコンセンサスなの か不明な基準を、パネルが決めただけのようであった(記載がないので確証はない)。 本診療ガイドライン NCCNエビデンスブロックの記載がある診療ガイドライン ここを押すと、図が確認できるそうだ(会員のみ)
あの、がん分野の世界で最も権威のあるNCCNの診療ガイドラインは・・・ 以下のカテゴリーを、パネルが、明確な基準がなく決定して、コンセンサスを 得ているだけの文章であり、診療ガイドラインの定義に従うかと言うと、非常 に微妙な文書である。 ちなみに、「ASCOのガイドライン勧告は、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)手法を用いて 作成されている。」と、ASCOのマニュアルにあったので、NCCNと違うようだ。
ある、日本の有名な癌の診療ガイドライン (ここでは特定の学会のを非難したいのではないので、改変・黒塗り文書となっています) 本診療ガイドラインについて: 20●●年版の以降ではすべてがGRADEアプローチによる。 と言うことは、システマティックレビューを行ったか、既存のSRを利用しているはずなので、それらが参 考文献になっているはず。
ある、有名な癌の診療ガイドライン (ここでは特定の学会のを非難したいのではないので、改変・黒塗り文書となっています) 本診療ガイドラインについて: 20●●年版の以降ではすべてがGRADEアプローチによる。 推奨: 放治は通常分割で少なくとも40Gyで行なう事を推奨する。 (推奨:強い・エビデンスの確実性:高・合意率:100%) エビデンスの確実性が「高」より、5要因がいずれも「なし」であり、推奨が「強い」より、益と害のバラ ンスも益であり、臨床的な閾値を超え、患者の価値観もバラツキがなくコストも問題無いということにな るので、その記載が、どこかにあるはず。 SoF表も、EtD表もないので、きっと本文にシステマティック レビューの結果などが記載されているのだろう。 期待しながら、本文を読んでみよう。
ある、有名な癌の診療ガイドライン (ここでは特定の学会のを非難したいのではないので、改変・黒塗り文書となっています) 本診療ガイドラインについて: 20●●年版の以降ではすべてがGRADEアプローチによる。 推奨:放治は通常分割で少なくとも40Gyで行なう事を推奨する。 (推奨:強い・エビデンスの確実性:高・合意率:100%) 本文: 日本で行われた抗癌剤を併用した化学放射線治療に関する第Ⅲ相試験で用いられた放治は1 回・・・・総線量40Gyであった 2:phase III. 2011), 3:phase III. 2011)。化療に放治を併用する場合 は,同時化学放治における化学療法の比較や、タイミングを検討する研究などで週5回、計 39.4~55Gyであった。CDDPなど同時併用放射線療法、遂時放射線照射などの研究でも、 過分割照射の有用性なかった8:randomized phase III. 2012)。 よって、化療と放治の併用する場合において、放射線単独療法と同じ最低推奨照射線量は安 全性の観点から同時に照射が可能であり、通常分割で40Gyを最低総線量とするよう勧められ る。エビデンスの確実性は「高」、また総合評価では、「行うよう強く推奨(1で推奨)」で きると合意(100%)した。 「20●●年版の以降ではすべてがGRADEアプローチによる」とある のに、システマティックレビューの結果でなく、論文をならべただけ の文章で、システマティックレビューを行なってないと思われる。
量的にも、ものすごく頑張って作ってあり、作り手としては、すご いと思う診療ガイドラインでした。 残念な事に、このようなGRADEアプローチで作ったと書いてあ るのに、システマティックレビューを行なってない、システマ ティックレビューを一つのRCTと並列してあるような診療ガイドラ インは、多いです。 でも、AGREE IIという評価方法では、点数は、それほど下がりま せんので、Mindsに掲載されます! えっ、あの有名な癌の臨床ガイ ドラインが、方法で書いたあるこ とと本文が異なるの? だったら、サルコーマの診療ガ イドラインは?
後腹膜肉腫診療ガイドライン https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0506/G0001342 後腹膜肉腫診療ガイドラインはどうでしょうか? これまでのスライドから考えると・・・ ちょっとドキドキですね~。
後腹膜肉腫診療ガイドライン https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0506/G0001342 エビデンスの強さと推奨の強さは、Mindsのマニュアルに従ったとある。SRも行っているよ うである。
後腹膜肉腫診療ガイドライン https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0506/G0001342 実際の評価表が記載ないが、GRADEアプローチの5要因を行ったと思われるシートの記載が ある。
後腹膜肉腫診療ガイドライン https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0506/G0001342 実際の評価表が記載ないが、GRADEアプローチの5要因を行ったと思われるシートの記載が ある。
後腹膜肉腫診療ガイドライン https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0506/G0001342 本文の一部に、害・負担・意向の記載があるが、価値観の記載がほぼなく、 EtD表もないようだ。 Mindsの手引きに記載してあった、 この表が作られているか、不明であり、 本文の記載も少なそう。
後腹膜肉腫診療ガイドライン https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0506/G0001342 本文の一部に、害・負担・意向の記載があるが、価値観の記載がほぼなく、EtD表もないよう だ。 ちょっと残念 最近の海外のCPGにもEtDが ないのもある(BMJ系) Mindsの手引きに記載してあった、こ の表が作られているか、不明である。
後腹膜肉腫診療ガイドライン https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0506/G0001342 丁寧な作成方法であり、良いCPGと考えられる。少なくとも、効果のエビデンスの確実性は、NCCNの「エ ビデンスの質」より丁寧に評価されていると言える。 EtD表も重要だが、そもそも、その前提となるエビデンスの確実性の評価がいい加減では、推奨の透明性以 前の問題である。 実は、エビデンスの確実性まで丁寧に作られていれば、臨床の現場では、極めて有用な資料となる。診療 ガイドラインでは、EtD表として、害・患者の価値観などは、一般的な患者を想定されて作成し、それを 使って推奨を決定している。 EBMとして、診療ガイドラインを使用するときは、害・患者の価値観などは、目の前の自分の患者に従え ば、良いので、臨床判断に役立つ文書と言える。<これは、診療ガイドライン利用法の極意である> EBMでは、この害・価値観・コストは、 一般的な患者層を想定している診療 カイドラインと異なり、目の前の患者 に問診すれば良い
最後に 診療ガイドラインの作成方法の概略を知っていると、望ましい診療ガイドラ インかどうかの評価ができる。 診療ガイドラインは、あくまでも一般的な患者に対する推奨である。そのた め、診療ガイドラインに記載してある推奨が、自分の目の前の患者に対して 必要かを考え直す事が重要となる。 この場合、確実性の評価が適切に行なわれている益と害の評価が必要となり、 診療ガイドラインを読み込む事になる。 そして、価値観やコストなどは、 診療ガイドラインの記載でなく、 分からなければ、患者に聞けば良 いだけでよい。 すると、自然と、EBMの5つのス テップを行なった事になる。 <診療ガイドラインは、EBMを行 なうためのツールです!>