Alper によるNet effectの確実性(付録の事例と日本版敗血症診療ガイドライン2024の事例を紹介)

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August 31, 24

スライド概要

以前のスライドの「EBM中級編:Net effectより確実性6:Alper説明」は、信頼区間の考え方など詳しく記載があるが、少し閾値の設定がややこしいので、こちらは論文に従った。この論文、使うかどうかは別として、一度読むと、GRADEアプローチの推奨に対する理解が深まるので、20枚目までとExample 4は、必ず通読して欲しい。

Defining certainty of net benefit: a GRADE concept paper
https://bmjopen.bmj.com/content/9/6/e027445

日本版敗血症診療ガイドライン2024 https://www.jsicm.org/news/news240606-J-SSCG2024.html

参考:Brian S Alper論文のNet effect estimate手法の計算のサイト 2024/8/31では、ここだった。https://computablepublishing.us/net-effect/

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関連スライド

各ページのテキスト
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Alper によるNet effectの確実性 (事例もある) EBM中級編:Net effectより確実性6:Alper説明 は、信頼区間の考え方など 詳しく記載があるが、少し閾値の設定がややこしいので、こちらは論文に従った この論文、使うかどうかは別として、一度読むと、GRADEアプローチの推奨に対す る理解が深まるので、20枚目までとExample 4は、必ず通読して欲しい。 Defining certainty of net benefit: a GRADE concept paper https://bmjopen.bmj.com/content/9/6/e027445 Calculating Confidence Intervals for a Net Effect Estimate https://computablepublishing.us/net-effect/ 黒字:ほぼ直訳 青字:意訳 赤字:湯浅の追加や感想 下線:少し気にして欲しい所 太字:重要な所

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はじめに 最近、GRADEワーキンググループは、確実性評価のを明らかにし、システマティックレ ビューと診療ガイドラインの両方の文脈において、確実性評価は、真の効果が指定され た閾値の片側または指定された範囲内にあることの確実性を表すと指摘した4。 4:Hultcrantz M , Rind D , Akl EA , et al . The GRADE Working Group clarifies the construct of certainty of evidence. J Clin Epidemiol 2017;87:4–13.doi:10.1016/j.jclinepi.2017.05.006 益と害の個々のアウトカムの確実性が高いにもかかわらず、その意思決定を支持するの に十分なエビデンス(ネット効果)が不確実な場合がある。例えば、抗癌剤で、生存の 効果が高く、かつ確実性が高いが、害も高頻度で、かつ実性が高い場合は、効果のバラ ンスが不確実で推奨は弱くなる。 逆に、個々のアウトカムの確実性が低いが、高い推奨になる場合は、以前に5つのパラ ダイム的状況を規定した。これらは、個々のアウトカムの確実性が低いが、意思決定を 支持する確実性は高い場合となる。 最近のGRADEワーキンググループのガイダンスでは、システマティックレビューの著者 や、診療ガイドラインのパネリストは、エビデンスの確実性を評価する際に使用する閾 値や範囲を明示することが理想的であると述べられている。さらに同ガイダンスでは、 臨床実践ガイドラインについては、ガイドラインパネルがすべての重要なアウトカムと その相対的重要性を考慮して閾値を決定する、完全に文脈化されたアプローチを提案し ている。 今回のGRADEコンセプト論文では、ガイドラインパネルがより直接的かつ明示的に、利 益と害のバランスの確実性を評価するためのアプローチを紹介する。

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エビデンスから意思決定までのフレームワークにおける確実性の表現 GRADEのevidence-to-decisionの枠組みは、推奨の方向性と強さを決定する際の考慮事項を以下のように明示して いる: エビデンスの確実性(健康影響に関する効果推定値) アウトカムの相対的重要性(価値観や意向とも呼ばれる) 有益性と有害性のバランス 資源の使用(コスト)<個人へのCPGの場合、考えない場合もある> 費用便益比(増分的な健康利益は費用に見合うか) 公平性 受容可能性 実現可能性 健康に関連する害には、痛みや障害だけでなく、生活の質を低下させる負担も含まれる。例えば、長期間体を動か さないことを必要とする介入を受ける負担は、健康に関連する害と考えられる。本稿では、「益と害のバランス: balance of benefits and harms」という表現を用いる場合、「益対害と負担のバランス:balance of benefits versus harms and burdens」を指す。より社会的な性質が強いと考えられるその他の負担は、医療制度、集団、 個人など、とらえる視点によって、フレームワークの他の基準(コスト、受容性、実現可能性)を通じて考慮され ることがある。ここでは、「有害性」という用語を「健康に関連する有害性と負担」という意味で使用する。<推 奨の決定では、害と負担をバランスに入れるが、EtDの益と害のバランスでは、負担はないってないのでややこし い><これまで、このバランスに何を入れるかが、解説によって異なって混乱していた、やっと定義してからの解 説がでた> 理想的には、診療ガイドライン委員会は、勧告の方向性と強さを決定する際に、上記のすべての要素を考慮する。 そのプロセスは、まずベネフィットとハームを検討し、純ベネフィットの確実性を高め、次にコストを検討し、費 用便益比の確実性を高め、次に衡平性、受容性、衡平性を検討し、関連性があれば勧告の確実性を高めるという段 階を踏むことができる(図1)。

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図1:Certainty across the evidence-to-decision framework

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意思決定の透明性は高まるが、これらの概念ごとにガイドラインパネルの確実性を報告することは、 勧告の根拠や確実性を簡単に説明しようとするガイドライン利用者にとっては、負担が大きいかも しれない。 確からしさを形式的に表現できる概念の中では、有益性と有害性のバランス(正味の効果)の確か らしさが、患者や臨床医(しばしばガイドラインの主要な対象ユーザー)に最も関連しているかも しれない。 勧告に影響を与えるその他の基準(費用、費用便益比、衡平性、受容性、実現可能性)は、社会集 団や状況によって異なる可能性が高く、集団ベースの評価は、個々の医療を決定するために協力す る患者や臨床医にとってはあまり関心がないかもしれない。 最近、「エビデンスの確実性」(真の効果が特定の範囲内または特定の閾値の片側にあることの確 実性)が明確化されたことに伴い、正味の効果・net effect(または利益と害のバランス)の確実性 を、範囲または閾値との関係で表すことができる。 便益と有害性が完全に均衡している状況(正味の便益または有害性=0)は、正味の効果の確実性を 示す自然な閾値である。この閾値を用いると、正味の便益の確実性とは、全体的または正味の効果 が便益の側にあることの確実性である。正味の害の確実性は、正味の効果が害の側にあることの確 実性である。 診療ガイドラインの利用者にとって、純ベネフィット(net benefit)の確実性を表現することは、 効果の推定値が特定の決定や勧告を支持するのに十分であるという確信の程度を、最も直接的な要 約で表すことになる。米国予防医療作業部会(US Preventive Services Task Force)は、この概念 的枠組みと一致する形で、純便益の確実性(certainty of net benefit)という用語を使っている。

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正味効果推定値の作成とその確実性の評価モデル 便益と有害性のバランスにおける確実性を決定するためには、正味効果推定値(便益と有害性のバランスを特定する方法)を 作成し、その正味効果に関する確実性を、正味便益=0の閾値との関係で評価する必要がある(図2)。<EBM中級編:Net effectより確実性6:Alper説明 のスライドは、相原先生の意向で、閾値を用いたが、ここではシンプルに、0を閾値とする> 意思決定分析<ここからの数行は、今後のあり方を示しており、今回の説明とは関係ない>は、正味効果推定値を生成するための統計的 手法を提供する。意思決定モデリングは年々進化しており、洗練されたモデルには、複数のアウトカム、各アウトカムが発生しうる様々 な時期、各アウトカムに置かれる相対的重要度(多くの場合、効用または質調整生存年を用いる)、将来の意思決定とその結果としての アウトカムが含まれる。 診療ガイドライン委員会では、意思決定分析を用いて、起こりうる結果や意思決定の連鎖を評価し、勧告に反映させることがある。英国 国立医療技術評価機構(National Institute of Health and Care Excellence)は、このようなモデルを多用している。意思決定分析では、 可能なシナリオの範囲にわたって、費用対効果や正味効果の評価をモデル化することが多い。このようなモデルから得られるエビデンス の確実性を判断すること自体が複雑な問題であり、現在GRADEプロジェクトグループがこの問題に取り組んでいる。 しかし、ガイドライン作成者、臨床家、患者が推奨を望む多くの決定については、その後の一連の決定を考慮する必要はない。多くのガ イドラインの推奨は二者択一的であり、その決定に限定されたエビデンスに基づいている。このような場合、熟練したモデラーが参加し なくても、もっと単純な意思決定分析を行うことができる。<ここまで> <今回は、行決定分析樹など複雑なモデルでなく、するしないの2元という>単純なモデルでは、以下の仮定(オンライン補足 付録でさらに説明されている)が与えられれば、正味の効果推定値(個々の効果推定値の複合)の信頼区間(CI)を生成する ことができるとする: 効果推定は、正規分布に従うデータを表す。 複合される効果推定値は独立しており、互いに相関していない。 複合される効果推定値は、一貫した測定単位を使用するために変換係数を掛けることができる。 2つ目の仮定が成立する可能性は低いことが多いため<複合アウトカムは、後のスライドで>、分析者は、個々の効果推定値、 効果推定値間の相関の仮定、及び換算係数の変化に対する頑健性を判断するために、正味効果推定値の感度分析を実施するこ とができる。仮定の範囲にわたって正味効果推定値が良好であり続ける可能性を定義する感度分析により、正味便益の確実性 が決定される。

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Alperらの、完全コンテキスト化アプローチの解説の前に 本解説では、「正味の効果・net effect」、「正味の利益・net benefit」など用語がでてくる。厳密な区分がないが、原文に以下の記 載がある。少し細かいが、たぶんエビデンスの確実性の定義の本質的な問題のため説明する。 「Consistent with the recent clarification of ‘certainty of evidence’—the certainty that a true effect lies within a specified range or on one side of a specified threshold3 — one can express the certainty of the net effect (or balance of benefits and harms) in terms of a range or in relation to a threshold. The situation when benefits and harms are perfectly balanced (net benefit or harm=0) represents a natural threshold for certainty of the net effect. Using this threshold, the certainty of net benefit is the certainty that the overall or net effect lies on the side of benefit. The certainty of net harm is the certainty that the net effect lies on the side of harm.」 このポイントは、以下である。 ・エビデンスの確実性は、正味の効果が特定の範囲または特定の閾値の片側にあることの確実性と明確化された。 ・正味の効果・net effect(利益と害のバランス・balance of benefits and harms)の確実性は、範囲または閾値に関連して表現す ることができる。 ・利益と害が完全にバランスをとれている(正味の利益または害が0)の状況は、正味の効果の確実性の自然な閾値(閾値0)とも言え る。 ・この閾値0を用いると、正味の利益の確実性(certainty of net benefit)とは、全体または正味の効果が利益の側にあるという確実 性であり、正味の害の確実性(certainty of net harm)とは、正味の効果が害の側にあるという確実性である。 この文章より、メタ分析の各アウトカムの値を利用して 「正味の効果」を算出した場合や、一般的なエビデンス全体に対して「正味の 効果」 という用語と使用している。そして、その「正味の効果」に対して、利益・害のどちらかを、自然の閾値であるゼロを起点に分 類したものを、「正味の利益」・「正味の害」と表記して区別していると推察される。すなわち、「正味の効果」が0.5 (0.6-0.4)と 明らかに「利益」であっても、閾値を考慮する前は、あくまでも「正味の効果」として表現している。さらに、閾値を考慮した後でも、 一般的なエビデンス全体として用語を使用する時は、「正味の利益」でなく「正味の効果」としている。 利益 利益 害 正味の効果 正味の効果 正味の利益 正味の効果 正味の効果 利益 利益と害が完全にバランスをとれている閾値0 正味の害 害 7

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図2:A stepwise approach to determining the certainty of the net effect estimate.

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図2:純効果推定の確実性を決定するための段階的アプローチ。 net effect estimateの作成 net effect estimateの確実性を評価する ステップ1:組み合わせるアウ トカムの決定 ステップ4:net effect estimateの精度 (precision)分類する ステップ2: 各アウトカムについ て定量化された相対的重要度 を決定する ステップ5:net benefitの可能性にとって重 要なアウトカムについて、効果推定の確実 性を検討する。 ステップ3: 重要度調整された 効果推定値を組み合わせる ステップ6:相対的重要度の妥当な範囲に おいて、net benefitの確実性が変化するか どうかを判断する。 * 感度分析は、net effect estimateに定量的 に適用できる。

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図2:純効果推定の確実性を決定するための段階的アプローチ。 net effect estimateの作成 net effect estimateの確実性を評価する ステップ1:組み合わせるアウ トカムの決定 ステップ4:net effect estimateの精度 Precision (precision)分類する ステップ2: 各アウトカムについ て定量化された相対的重要度 を決定する Risk of Bias, ステップ5:net benefitの可能性にとって重 Indirectness, Consistency, 要なアウトカムについて、効果推定の確実 Publication 性を検討する。 bias ステップ3: 重要度調整された 効果推定値を組み合わせる ステップ6:相対的重要度の妥当な範囲に Range of おいて、net benefitの確実性が変化するか values and preferences どうかを判断する。 * 感度分析は、net effect estimateに定量的 に適用できる。

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Generation of the net effect estimate ここでは、図2に示したような正味効果推定値の生成方法について説明する。アルゴリズムをサポートした計算機 は、重要度調整した効果推定値の結合(図2の3番目のステップ)と精度の分類(4番目のステップ)を容易にする ことができる。オンライン補足付録に、例と無料のオンライン計算機へのリンクがある。 ステップ1:組み合わせるアウトカムを決定する。 ここでは、これらのアウトカムの中から、正味効果推定のために組み合わされるアウト カムを選択するための考察を示す。 ただし、複合アウトカムとそのアウトカムの1つ以上の構成要素の両方を含めることは 問題がある。例えば、全死亡と心血管死亡を同じモデルに含めることは不適切である。 複合アウトカム(例えば、全死因死亡率)のみを用いるか、構成アウトカム(例えば、 心血管死亡率、がん死亡率、がんまたは心血管疾患以外の原因による死亡率)のみを用 いるかを選択する。 追加として、効果推定値が絶対値で利用できない場合(または効果推定値が絶対効果推 定値に使用されたベースライン・リスクとは異なる集団に外挿される場合)、相対効果 推定値とベースライン・リスク推定値の組み合わせを用いて絶対効果推定値を導き出す ことができる。<付録で説明>

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ステップ2:各結果について定量化された相対的重要度を決定する。 各結果の相対的重要度の定量的推定値は、正味効果推定値に一貫した測定単位を使用するための換算係数となる。これらの推定値は、 乗数として意味のあるものであるか、または参照基準に対する重要性の定量的尺度を表すものである必要がある。システマティックレ ビューやsummary of findings tablesにどのアウトカムを含めるかを決定するために、アウトカムの重要性を9段階で定性的に評価す る 。<アウトカムの相対的重要度の1-9は、定性的な評価であり、ここでは、効用値のように乗法できる定量的尺度で評価しろとある > 簡単な方法は、1つのアウトカムを参照アウトカムとして選択し、効果推定値に適用する修正因子として、他の各アウトカムの相対的重 要度調整(すなわち、乗数)を定義することである。個々の患者固有の決定を行う際に、個々の患者に対する相対的重要度の定量的推 定値を入力し、正味効果の個別化された推定値を導き出すことができる。さらに発展させれば、この方法は個々の患者に対する意思決 定の共有に役立つであろう。 患者集団については、相対的重要性の定量的推定値を範囲として考えることができる。集団に特化した推奨を行う場合、集団のほとん どのメンバーを把握するために妥当と考えられる相対的重要度の推定値の範囲を使用し、相対的重要度の範囲にわたる正味効果の推定 値の頑健性をチェックすることができる。そして、正味の効果の推定値が相対的重要性の範囲内で正味の害と交差する場合には、正味 の効果の確実性の評価を下げることになる。正味の効果の推定値の感度分析(ステップ6)については、相対的重要性の範囲と確実性の 概念について後述する。<例えば、死亡を1、がん再発を0.5とできると良いが、実際は、死亡は、1~0.8ぐらいかな~という範囲でな いと定義できないので、感度分析で頑健性をチェックすることになる> 患者の視点から相対的重要性の定量的推定値を決定する方法には、離散的選択実験15 、患者を対象とした嗜好喚起調査16 、そのよう な調査のシステマティックレビュー17 がある。相対的重要度を決定する方法については、本稿の範囲外である。 組み合わされるアウトカムに連続的尺度と二項対立的尺度の両方が含まれる場合、相対的重要度の割り当てはより複雑になり、(質調 整生存年推計値への変換など)共通の尺度単位に到達するためにはさらなる方法が必要となる。意思決定分析で報告される効用は、転 帰の相対的重要度に変換できるかもしれない。しかし、効用は0(死亡または最悪の転帰)から1(最適なQOLまたは最良の転帰)まで の範囲で報告されることが多く、乗数として機能する転帰の相対的重要度は0を乗じても意味がない。1から効用を引いた転帰推定値の 相対的重要度は、効用を意味のある乗数に変換することができる。<効用値は0からが多い。しかし、0を含めるとかけ算ができないの で、1-効用値が良い>

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ステップ3:重要度調整した効果推定値を組み合わせる。 各効果推定値について、ポイント推定値とCIにアウトカムに対する相対的重要度を掛け合わせ、効 果の方向における利益または害に対応するように、重要度調整効果推定値を正または負の値で示す ことができる。 各重要度調整効果推定値の点推定値を合計すると、正味効果の点推定値となる。統計的公式により、 純効果の95%CIを計算することができる(オンライン補足付録を参照)。 アウトカム 患者1000人あたりの 絶対効果推定値(95%CI) 相対的重要性 患者1000人あたりの全原因死亡相当イベント 単位による重要性調整効果推定値(95%CI) 全原因死亡 -12 (-107 ~ +93) 1 -12 (-107 ~ +93) 局所再発 -17 (-109 ~ +98) 0.5 -8.5 (-54.5 ~ +49) 遠隔転移 -9 (-35 ~ +28) 0.5 -4.5 (-17.5 ~+14) 重篤有害事象 +85 (+2 ~ +1000) 0.7 +60.2 (+1.4 ~ +700) -12-8.5-4.5+60.2=+35.2 https://computablepublishing.us/net-effect/ 13

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ステップ4: net effect estimateの精度を分類する。 精度(precision)は文脈的なアンカリングによって意味を持つようになる。3cmの幅で結果を報告することは、車での旅行計画を立て るには精度が高すぎるし、ある種の手術では受け入れがたい不正確さとなる。有益性と有害性のバランスにおける確実性を表現するた めには、正味の有益性の閾値を指定し、正味の効果がこの閾値の片側にあることの確実性を表現する必要がある。診療ガイドライン作 成委員会は、正味の効果の閾値を指定することができる。費用対効果を正式に評価するガイドライン・パネルでは、達成するためのコ ストに見合うと考えられる純便益の量について、値の閾値を設定する方法をすでに用いている。<とか書いてあるが、結局、ここでは、 閾値を0として、益と害としている> もし、CI全体がゼロを越えないのであれば<次スライド図3の一番上の例のみを言っている>、純効果の推定の精度は十分であり、純効 用の確実性を不精確さ(imprecision)のために評価することはない。もちろん、純便益の確実性を最終的に決定する前に、定量化がよ り困難な確実性に影響する他の要因(バイアスのリスク、矛盾、間接性、出版バイアス)、およびアウトカムの相対的重要性の妥当な 範囲を考慮しなければならない19。<不精確さの評価は、定量的にできるので、最初に、定量化が困難な4要因を評価しておく> もし、正味の効果推定値のCIがゼロの効果を含み、その結果、正味の効果の推定範囲に正味の有益性と正味の有害性の両方が含まれる 場合、ガイドライン・パネルは正味の有益性の確実性を低く評価する<次スライド図3の2番目から7番目はいずれも1段階以上下げてい る事を言っている> 。CIが有益性と有害性の両方に重なる範囲が大きいほど、純便益の確実性は低くなる。 表1と図3は、これらの判断をどのように行うかについての最初の提案である。 正味効果推定値のCI計算には、組み合わされる効果推定値が互いに相関していないという仮定が含まれる。もし効果に相関があれば、 正確なCIはより広いか、より精度が低くなり、逆に相関があれば、正確なCIはより狭いか、より精度が高くなる。このような精度が必 要な場合は、相関係数を計算に加えたり(オンライン補足付録を参照)、ブートストラップ20やベイズ的アプローチのような、より洗 練された統計的アプローチに依存して確率区間を推定することができる21。 実際的な使用においては、この仮定に適度に違反しても、結果が大きく歪む可能性は低く、有益性と有害性のバランスをあまり明示的 に判断しない方が望ましいかもしれない。( The calculation is also based on an assumption that effects on outcomes are independent. For practical use, modest violations of the assumption are unlikely to distort results substantially and may be preferable to less explicit judgement of the balance of benefits and harms.)<単純なかけ算程度で良いと思うと書いてあると思 う>

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表1・図3:Classification of precision of net effect estimate Pattern of net effect estimate Classification Entire CI is beneficial Net benefit Point estimate is beneficial, lower bound of CI is harmful and point Likely net benefit estimate has larger absolute value than lower bound of CI Point estimate is beneficial, lower bound of CI is harmful and point Possible net benefit estimate has smaller absolute value than lower bound of CI Possibly no net benefit or Point estimate is close to zero, wide CI* harm Net benefit or harm likely Point estimate is close to zero, narrow CI* near zero Point estimate is harmful, upper bound of CI is beneficial and point Possible net harm estimate has smaller absolute value than upper bound of CI Point estimate is harmful, upper bound of CI is beneficial and point Likely net harm estimate has larger absolute value than upper bound of CI Entire CI is harmful Net harm Precision of net effect estimate is consistent with … High certainty of net benefit Moderate certainty of net benefit Low certainty of net benefit Very low certainty of net benefit or harm Moderate certainty of little net benefit or harm Low certainty of net harm Moderate certainty of net harm High certainty of net harm

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表1・図3:Classification of precision of net effect estimate 正味効果推定値のパターン 分類 純効果推定の精度は...と一致する CI全体が有益 Net benefit 純便益の確実性が高い 点推定値は有益で、CI下限は有害で、点推定値はCI下限よりも絶 Likely net benefit 対値が大きい。<下図の緑より赤のが大きいということ> 純便益の確実性が中程度 点推定値は有益、CI下限は有害、点推定値はCI下限より絶対値が Possible net benefit 小さい 純便益の確実性が低い 点推定値はゼロに近く、CI*は広い<下図では、狭いが上> 点推定値はゼロに近く、CI*は狭い Possibly no net benefit or harm Net benefit or harm likely near zero 純便益または害の確実性が非常に低い 純便益または害がほとんどないことの確 実性が中程度 点推定値は有害であり、CIの上界は有益であり、点推定値はCIの Possible net harm 上界よりも絶対値が小さい。 正味の損害の確実性が低い 点推定値は有害で、CIの上界は有益で、点推定値はCIの上界より Likely net harm も絶対値が大きい。 正味の損害の確実性が中程度 CI全体が有害 正味の損害の確実性が高い Net harm

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ステップ5:net benefitの可能性にとって重要なアウトカムについて、効果推定の確実性を検討す る。<次スライドで、意訳で解説> 純ベネフィットの可能性にとって重要なアウトカムを選択する1つのアプローチは、純効果推定の精 度の分類を変える可能性のあるアウトカムを特定することである。そのようなアウトカムは以下の いずれかである: アウトカムの除去によって、純効果推定の精度の分類が変わるアウトカム。 確実性の低い効果推定に対して、効果推定にもっともらしい増加を追加すると、分類が変わるアウ トカム。 重要なアウトカムの中で最も確実性の低いエビデンスを決定するには、各重要なアウトカムについ て、バイアスのリスク、矛盾、間接性、出版バイアスに対処する必要がある4。 重要なアウトカムの確実性評価と、正味効果推定の精度と一致する確実性評価のうち最も低いもの が、正味ベネフィットの確実性を表す。 しかし、評価者は、全体的な枠組みを考慮し、正味便益の全体的な確実性を評価するために、単一 のアウトカムにおける限定的な確実性で十分かどうかを判断する必要がある。これは特に、純効果 推定値のCIの上界または下界がゼロ効果に近似している場合にそうである。95%CIは、理論的根拠 よりもむしろ慣例に基づいて使用される。

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Step5について、意訳で解説 今回のアプローチは、不精確さ(imprecision)は95%信頼区間を調べることにより(確実性の程度として)定量化できるこ とを前提としている。しかし、各アウトカムの他の4要因(RoB・非一貫性・非直接性・出版バイアス)に懸念があると、 95%信頼区間の範囲の推定値の確率分布の幅と形状を知ることができなくなる(すなわち、他の4要因で既にエビデンスの確 実性が非常に低ならば、信頼区間を利用したここまでのアプローチそのものができないことになる)。そのため、以下のよう な手順で考えると良いだろう。 (1)正味の効果推定値( net effect estimate)の精度( precision)の分類・評価を変える可能性<表1・図3の分類が変わ るということなので、付録例2より点推定値が同じ純益でも、Likely net benefitから、Possible net benefitに代わっても、 変わるということ>のある重大なアウトカム(outcomes)を(差別化要因・differentiator)探す。<探すアウトカムは、ア ウトカムの中で精度の評価が変るかどうかであり、推奨に重大という意味ではないはずだが、重大という修飾語がつく(the outcomes critical to the likelihood of net benefit )。同じ重大なので、混乱する> 〇あるアウトカムを除外した場合、正味の効果推定値の精度が変わるようなアウトカム<アウトカムそのものを除外> 〇(確実性の低い効果推定値に対して)効果推定値への妥当な増加を追加した場合、精度の分類が変わるようなアウトカム <これ探すの大変そうだが・・・、たぶん、ほぼ上のみだろう> (2)(1)で探した重大なアウトカムの中でエビデンスの最も低い確実性を決定する必要があり、そのためには、各アウト カムの他の4要因(RoB・非一貫性・非直接性・出版バイアス)を導く必要がある。 (3)(1)で探した重大なアウトカムに対して行なった(2)の確実性等級付けと、Step4の正味の効果推定値の精確さ ( precision)と一致する確実性等級付けのうち、最も低いものが正味利益の確実性を表す。<順番としては、定量化できな い4要因が低かったら、確率分布が不明となり定量化できる精確さを判定しても意味が無い。よって、さすがに、 Step4で求 めた確実性等級より、重大なアウトカムの4要因の最も低いのが低かったら、そちらを確実性の等級としようという考え> (4)しかし、単純に(3)とするのではなく、評価者は、全体的なフレームワークを考慮し、単一のアウトカムの限られた 確実性が正味の利益の全体的な確実性を下げるのに十分かどうかを判断する必要がある。たとえば、 net benefitの計算に入 れた個々のアウトカムの中で3つが確実性高、1つが非常に低だった際に、この1つのアウトカムをもって非常に低まで確実性 を落とすべきか?ということを判断しなければならない。 これは、正味の効果の推定値の信頼区間が0に近い時は、 1つのアウトカムをもって確実性を下げないという判断もありうる 18 (この判断は、理論的な根拠ではなく、慣例に基づいて使用される)。

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Step5について、意訳で解説 (1)正味の効果推定値( net effect estimate)の精度( precision)の分類・評価を変える可能性 〇(確実性の低い効果推定値に対して)効果推定値への妥当な増加を追加した場合、精度の分類が変わるようなアウトカム ここをさらに、AIのperplexityを使って説明をする。 このアプローチは、アウトカムの効果が過小評価されている可能性があり、その修正が全体の評価を変える可能性がある場合 に適用されます。具体的には: 1)過小評価の可能性の検討:各アウトカムについて、現在の効果推定値が実際よりも小さく見積もられている可能性を考え ます。 2)妥当な増加の想定:過小評価されている可能性がある場合、どの程度の増加が妥当かを検討します。これは、既存の研究 データや専門家の意見を基に判断します。 3)効果推定値の調整:想定された増加を現在の効果推定値に加えます。 4)分類の再評価:調整後の効果推定値を用いて、正味の利益の分類を再度評価します。 5)分類変更の確認:調整後の効果推定値によって、正味の利益の分類が変わるかどうかを確認します。 具体例:例えば、ある薬の副作用が臨床試験で過小報告されている可能性がある場合: 1)現在の副作用発生率が5%と報告されているとします。 2)実際の臨床現場では10%程度の発生率が妥当だと専門家が判断します。 3)副作用発生率を10%に調整します。 4)この調整後の値で正味の利益を再計算します。 再計算の結果、薬の利益が害を上回らなくなった場合、分類が「net benefit」から「no net benefit」に変更される可能性が あります。 このプロセスにより、効果の過小評価が全体の評価に与える影響を考慮し、より慎重で包括的な正味の利益の評価が可能にな ります。 ワーキンググループ資料の原文:Outcomes for which gross underestimation(大幅な過小評価) of the outcome is plausible and addition of plausible increases to the effect estimate would change the classification. 出版論文の原文:Outcomes for which addition of plausible increases to the effect estimate (for effect estimates with 19 lower certainty) would change the classification. こちらは低いのは確実性と異なっている。

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ステップ6:相対的重要度の妥当な範囲において、net benefitの確実性が変化するかどうかを判断する。<どうも、付録から推測すると、ネット効果 の推定値が、感度分析で得られた値を、表1・図3の対応表での確実性の等級が、元のステップ5の(3)で決定した確実性の等級より下がった場合 は、自信ないが、その下がった等級を使う(しかし、この(3)で(2)の確実性等級付けのが低い場合は、そのままで良い可能性もある・付録例 2)> <ワーキンググループ資料を読んで、このところは、「価値の確実性がネット利益の確実性に影響する」を評価しているようである> step2で、各アウトカムの相対的重要性として効用値のようなものを各アウトカムごとに1つの値を決定した。しかし、実際の臨床では範囲で考える ことは述べた通りである。よって、アウトカムの相対的重要性の妥当的な範囲全体にわたって正味の効果の確実性が変わらないかどうか(頑健性を) を感度分析で判断する。これによって、この完全コンテキスト化アプローチの実現可能性を高めることになる。 この本アプローチの実現可能性を高めるため、アウトカムの相対的重要性の範囲を十分に検討する取り組みを行なう必要がある。しかし、すべてのア ウトカムで行うのは大変なので、正味便益の確実性が高いと分類される評価に限定してもよい。相対的重要度の範囲にわたる確実性を確認するために、 さらなる評価が必要な場合には、アウトカムの相対的重要度の妥当な範囲にわたって分析を繰り返すことが必要である。 感度分析の目的は、正味便益の確実性が相対的重要度の推定範囲において高いままであるかどうかを判断することである。感度分析に使用するアウト カムの相対的重要度の範囲をどのように正確に定義するかについて、明確なガイダンスを提供するには、まだ十分な概念の構築がなされていない。 GRADEワーキンググループは、アウトカムの相対的重要性の確実性の評価に関するガイダンスを作成している22 。経験的エビデンスによってアウト カムの相対的重要性の範囲が決定され、その範囲の確実性が低いと考えられる場合、感度分析では、できる限りアウトカムの相対的重要性の範囲を、 最初考えていた範囲より広げて使用すると、間違った評価になることが少なくなるはずである。 また、アウトカムの重要性を感度分析する過程で、どのアウトカムが純利益の可能性にとって重要であるかを再評価する必要があるかもしれない。< これだから、アウトカムの評価を、推奨決定時のパネル会議で確認する必要があると言うこと。> もう少し意訳で解説する: 「正味の利益の確実性」の評価において、患者の価値観の多様性を考慮することが重要です。患者によって、異なるアウトカムに対する重要性の捉え 方が異なる可能性があるためです。この過程では以下の手順を踏みます: 1)患者の価値観の範囲を特定します。これには、異なるアウトカムに対する相対的な重要性の違いが含まれます。 2)それぞれの価値観のシナリオに基づいて、「正味の利益の確実性」を評価します。 3)すべてのシナリオの中で最も低い「正味の利益の確実性」を特定します。 例えば、あるアウトカムを非常に重視する患者群と、別のアウトカムを重視する患者群がいる場合、それぞれのシナリオで「正味の利益の確実性」を 評価し、より低い方を採用します。この方法により、患者の価値観の多様性を考慮しつつ、最も保守的な評価を行うことができます。これは、異なる 価値観を持つ患者全体に適用可能な、慎重な推奨を行うための基礎となります。

21.

Relating certainty of net benefit to strength of recommendation Netベネフィットの確実性だけが必ずしも推奨の強さを決定するわけではない。 Evidence-to-decisionの枠組みには、推奨の強さを修正しうる考慮事項として、コスト、 費用便益比、公平性、受容性、実現可能性も含まれる。パネルは、正味の健康効果のみ に焦点を当て、他の要素を含めないことを選択することもできる(例えば、コストを考 慮せず、受容性、実現可能性、公平性を正式に考慮しないことを選択するパネルもあ る)。 効果推計の確実性は高いが、患者の価値観や嗜好の範囲において、有益性と有害性のバ ランスが良好であるかどうかが不確実な場合(十分な情報を得た患者は異なる意思決定 をする可能性が高いため、パネルが弱い推奨を行う状況)、正味の有益性の確実性が中 程度または低い場合には、弱い推奨の根拠を明確に示すことができる。 すべての場合において、強い推奨を支持するために高い確実性が必要なわけではない。 Primum non nocere(第一に、害をなすなかれ)は、医学と薬学における倫理的意思 決定のための主要な教訓の一つと考えられているが23、より適切にはPrimum non net nocereと考えられている24。これを解釈すると、ある行為に対する強い推奨のための 正味の有益性の確実性よりも、その行為に対する強い推奨のための正味の有害性の確実 性の方が、より低い閾値であると考えることができる。<真の害を避けるのが診療ガイ ドラインと言うこと>

22.

Implications この論文では、診療ガイドライン作成者が、推奨に関連する全体的なエビデンスの質(overall quality of evidence )<なぜか質になっていた>を報告することに加えて、あるいはその代わりに、推奨に関連する純ベネ フィットの確実性を明示的に報告することを検討するためのアプローチを紹介した。いずれにせよ、このアプロー チでは、個々のアウトカムに対するエビデンスの確実性の評価を考慮する必要があり、一般的にはSoF表で示され る。 このアプローチは、治療、予防、診断、スクリーニングの介入など、二者択一の決定や推奨に適用できる。このア プローチは、ガイドラインパネルが推奨を行う際に、すでに明示的または暗黙的に行われている多くの判断を伴う。 この方法を用いる際になされた判断を報告することで、読者はどのように評価がなされたのかについての確信を解 釈することができ、定性的な要素がない場合に定量的な報告で起こりうる偽りの確信を減らすことができる。 このアプローチの主要な推進力は、現在「効果推定におけるエビデンスの総合的質」によって伝えられているもの より、「推奨を支持する適切なエビデンス」という概念の背後にある意図との整合性が高いことである。このアプ ローチの長所は、学術的な読者と臨床的な読者の両方にとって、またガイドライン作成者とガイドライン利用者の 両方にとって、透明性が高く論理的で定量的な表現ができることである。 この議論を通して、私たちはガイドラインの推奨という文脈を考慮しているが、それは本来、特定の個人ではなく、 集団に対する考察に関連するものである。純ベネフィットの確実性の概念は、最終的には、個々に決定されるアウ トカムの相対的重要性を含む「個人の純ベネフィットの確実性」へと外挿されるかもしれないが、現時点では、こ れらの概念を個人の意思決定に関連付ける議論や検証は行われていない。 このアプローチの第一の限界は、その実現可能性と受容性、そして読者がこれらの概念をどのように解釈するかを 知らせるテストがないことである。本報告は、そのようなテストが行われる前に、学術的な議論を深めるために共 有されるものである。従って、このGRADEコンセプト論文はGRADEガイダンスを構成するものではない。

23.

ワーキンググループ資料より、AIで解説 正味の利益の確実性と推奨の強さの関係 1. 確実性と推奨の強さは直結しない 正味の利益の確実性が高くても、必ずしも強い推奨にはならない エビデンスから決定までの枠組みには、コスト、費用対効果比、受け入れやすさ、実現可能性、公平性なども考慮される 2. サクビトリル-バルサルタンの例 中程度の正味の利益の確実性と高コストにより、弱い推奨となった 他の4つのガイドラインでは強い推奨がされているが、著者らは弱い推奨を維持 理由:単一の試験に基づく中程度の確実性、アウトカムの重要性の範囲を考慮した中程度の正味の利益の確実性、高コストと費用対効 果比の不確実性 3. 強い推奨のための確実性 多くの場合、高い正味の利益の確実性が強い推奨に必要 しかし、中程度の正味の害の確実性でも、介入に対する強い反対推奨が可能 4. 害の重視 「まず害を与えないこと」の原則により、利益よりも害の確実性に対する閾値が低い つまり、介入を行わない強い推奨には、介入を行う強い推奨よりも低い確実性で十分 このアプローチにより、エビデンスの確実性だけでなく、様々な要因を考慮して推奨の強さを決定することの重要性が強調されています。 また、害を避けることの重要性も反映されています。 Table . Certainty of Net Benefit and Strength of Recommendations in Examples Example Certainty of Evidence for Potentially Differentiating Outcomes* Certainty of Net Benefit Strength of Recommendation Sacubitril-valsartan for symptomatic heart failure on standard therapy Moderate certainty of evidence Weak Recommendation For Ivabradine for symptomatic heart failure Moderate certainty of evidence Moderate Certainty of Net Benefit Low Certainty of Net Benefit Second autologous stem cell transplant (ASCT) for patients with relapsed myeloma and response duration more than 2 years after first ASCT Low to Moderate certainty of evidence Moderate Certainty of Net Benefit Strong Recommendation For (offering for patient weighing of benefits and harms) Avoiding 100% oxygen saturation in intensive care unit Moderate certainty of evidence Moderate Certainty of Net Harm Strong Recommendation Against Longer dual-antiplatelet therapy (DAPT) after drug-eluting stents Moderate to High certainty of evidence Low Certainty of Net Harm Weak Recommendation Against Weak Recommendation For 23

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以下付録より:Example 1. Longer dual-antiplatelet therapy (DAPT) after drug-eluting stents Outcome Absolute effect estimate per 1000 patients Certainty of effect 相対的重要度 (95% confidence interval) estimates 重要度調整効果推定値 All-cause mortality 2 more (0 change to 4 more) High* 5倍 10 more (0 change to 20 more) Myocardial infarction 8 fewer (12 fewer to 2 fewer) Moderate 基準1 8 fewer (12 fewer to 2 fewer) Major bleeding 6 more (3 more to 10 more) High 1 6 more (3 more to 10 more) Any stroke 0 change (2 fewer to 2 more) High* 3倍 0 change (6 fewer to 6 more) 確実性:確実性のダウングレードの不精確さを除く4要因(*は、単独アウトカムでは、不精確さ深刻。 ステップ1. 組み合わせるアウトカムを決定する。 4つのアウトカム(死亡率、心筋梗塞、大出血、脳卒中)はすべて、純効果の推定に含めるべきインパクトのあるア ウトカムと考えられる。出血性脳卒中は大出血の推定に最小限の寄与をし、致死的アウトカムは心筋梗塞、大出血、 脳卒中の推定に最小限の寄与をするという前提のもと、重複するアウトカムはない。 ステップ2. 各アウトカムについて定量化された相対的重要度を決定する。 心筋梗塞相当を基準単位とする。例えば、患者は心筋梗塞と大出血の重要性を同様に考え、脳卒中は3倍、死亡率は5 倍重要であると考えるという仮定から始める。これらの転帰の相対的重要性の割り当ては、心筋梗塞、大出血、脳卒 中の転帰の相対的重要性のエビデンスの系統的レビュー(17)から導き出されたものであり、死亡率の転帰については 経験的調査(3)を行わない。 ステップ3. 重要度調整効果推定値を組み合わせる。 重要度調整効果推定値は、各効果推定値に相対重要度乗数を乗じて決定される。われわれの重要度調整効果推定値 (患者1000人当たりの心筋梗塞等価イベントの単位)は、右端。

25.

表1・図3:Classification of precision of net effect estimate 正味効果推定値のパターン 分類 純効果推定の精度は...と一致する CI全体が有益 Net benefit 純便益の確実性が高い 点推定値は有益で、CI下限は有害で、点推定値はCI下限よりも絶 Likely net benefit 対値が大きい。<下図の緑より赤のが大きいということ> 純便益の確実性が中程度 点推定値は有益、CI下限は有害、点推定値はCI下限より絶対値が Possible net benefit 小さい 純便益の確実性が低い 点推定値はゼロに近く、CI*は広い<下図では、狭いが上> 点推定値はゼロに近く、CI*は狭い Possibly no net benefit or harm Net benefit or harm likely near zero 純便益または害の確実性が非常に低い 純便益または害がほとんどないことの確 実性が中程度 点推定値は有害であり、CIの上界は有益であり、点推定値はCIの Possible net harm 上界よりも絶対値が小さい。 正味の損害の確実性が低い 点推定値は有害で、CIの上界は有益で、点推定値はCIの上界より Likely net harm も絶対値が大きい。 正味の損害の確実性が中程度 CI全体が有害 正味の損害の確実性が高い Net harm

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Outcome 重要度調整効果推定値 All-cause mortality 10 more (0 change to 20 more) Myocardial infarction 8 fewer (12 fewer to 2 fewer) Major bleeding 6 more (3 more to 10 more) Any stroke 0 change (6 fewer to 6 more) Net Effect 8 more (5 fewer to 21 more) 害 益 ステップ4. 純効果推定の精度を分類する。 正味効果点推定値は有害で、正味効果推定値の信頼区間の下界(-5)は有益で、信頼区間の下界の 絶対値(5)は正味効果点推定値の絶対値(8)よりも小さい。このパターンは、正味の害である可 能性が高く、正味の害の中程度(Moderate)の確実性と一致する(表1・図3の下から2番目Likely net harm)。 ステップ5. 純有益の可能性にとって重大なアウトカムの効果推定値の確実性を検討する。 死亡率と大出血は重大なアウトカム(純ベネフィットの可能性を区別する潜在的な因子)であり< 一般的な重大のアウトカムなら、この4つともになるが、ここでは、差別化要因のアウトカムは2つ ということ>、どちらかのアウトカムを取り除けば、現在は純害だが、純ベネフィットを示唆する パターンに変わる可能性があるからである。<えっ?大出血を除いても害のままだが・・・> 脳卒中 と心筋梗塞は、純効用の分類に与える影響は限定的である。両重大アウトカム(死亡と大出血)と も、4要因のみのエビデンスの確実性が高いため(まとめてもHigh)、ステップ4との低い方を選ぶ ため、ステップ4で評価した、正味の有害性の確実性が中程度であることに変わりはない。<ステッ プ5では、中等度と評価したということ>

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Outcome 重要度調整効果推定値 元の数字 心筋梗塞の減少の重要度を高い2倍 All-cause mortality 10 more (0 change to 20 more) 2 more (0 change to 4 more) 2 more Myocardial infarction 8 fewer (12 fewer to 2 fewer) 8 fewer (12 fewer to 2 fewer) 16 fewer Major bleeding 6 more (3 more to 10 more) 6 more (3 more to 10 more) 6 more Any stroke 0 change (6 fewer to 6 more) 0 change (2 fewer to 2 more) 0 Net Effect 8 more (5 fewer to 21 more) 8 fewer ステップ6. アウトカムの相対的重要性の範囲を検討する。相対的重要性の範囲にわたる正味効果の推定値が、正味有益性の確 実性の評価を変更するかどうかを決定する。患者が心筋梗塞の減少を死亡率や大出血よりも相対的重要度が高いと 考えた場合<2倍にしたら、上表の右のように純害から純益に変わってしまう>、正味の有益性を導き出すことが 可能である。このような相対的重要度の評価は、心筋梗塞の方が長期的なQOLに大きく寄与する可能性があるため、 もっともなことである。 心筋梗塞のが死亡より重要と考える場合もあり得るので、そのようなアウトカムの相対的 重要度の範囲を考慮すると、純害でなく純益の場合もあるので、純害の確実性は、「中等度」でなく、「低い」と なる。 Completing the evidence-to-decision framework 正味の有害性の確実性が低いことから、予想される結果は、薬剤溶出ステント留置後のDAPT期間の延長に対する 弱い推奨である。コストは比較的低く、受容性、実現可能性、公平性に関連する悪影響はほとんどないため、ガイ ドライン委員会はDAPTの長期化に対して弱い推奨を行うことを検討するかもしれない。現在のところ、主要なガ イドラインではこのコンセプトに対する推奨に一貫性がない。American College of Chest Physiciansは、薬剤溶 出ステント留置後12ヵ月以降のDAPT(および単独抗血小板療法)に対して強い推奨を行っている(27)。米国心臓 病学会は、薬剤溶出性ステントを留置した患者では12ヵ月を超えてもDAPTを継続することを考慮するよう弱い勧 告を行っている(28)。

28.

Example 2. Sacubitril-valsartan for symptomatic heart failure Outcome Absolute effect estimate per 1000 patients (95% confidence interval) Certainty of evidence* 相対的重 要度 重要度調整効果推定値 All-cause mortality 29 fewer (12 fewer to 44 fewer) Moderate 5 145 fewer (60 fewer to 220 fewer) Cardiovascular mortality 31 fewer (17 fewer to 45 fewer) Moderate Hospitalization for worsening heart failure 31 fewer (16 fewer to 43 fewer) Moderate 1 31 fewer (16 fewer to 43 fewer) Symptomatic hypotension 44 more (33 more to 57 more) Moderate 0.5 22 more (16.5 more to 28.5 more) Change in heart failure symptom score (scale 0-100) 1.64 points decrease (0.63-point decrease to 2.65point decrease) Moderate Decline in renal function 4 fewer (3 fewer to 9 fewer) Moderate * Certainty of evidence ratings here do not rate down for imprecision. ステップ1.組み合わされるアウトカムの決定 2つのアウトカム(腎機能の低下と心不全症状スコアの変化)は、純効果にほとんど影響を与えないと考えられたため、検討から外され た。サクビトリル-バルサルタンの例では、腎機能の低下decline in renal function は効果量が小さく、患者にとって重要性の低いアウ トカムであるため、正味効果推定値の決定には影響しないと考えられた。心不全症状スコアの変化Change in heart failure symptom scoreは、エフェクトサイズが小さく、相対的な重要性が不確実であり、他のアウトカムで説明される可能性があるため、正味効果推定 値の決定には影響しないと考えられた。連続的なスコアに対して平均値を用いることは、反応が異なる個々の患者への影響を考慮する 際に誤解を招く可能性がある(すなわち、すべての患者が平均的な効果を経験すると仮定することは誤った仮定である可能性が高い)。 症状に重要な変化があった患者の割合に関する唯一のデータは、心不全悪化による入院という転帰であり、本研究の著者はこの転帰を 報告している。 死亡率の重複カウントを避けるため、心血管系死亡率ではなく全死因死亡率を選択した(ここでCardiovascular mortalityもはずしたので、残るが3つ)。純効果推定に含まれるアウトカムは、全死亡、心不全悪化による入院、症候性低血圧である。 ステップ2. 各アウトカムについて定量化された相対的重要度を決定する 患者1000人当たりの入院換算イベントを参照単位とする。心不全患者における転帰の相対的重要性についての経験的エビデンスはなか なか見つからない。ここでは、患者が全死因死亡という転帰を入院エピソードの5倍重要視し、症候性低血圧という転帰を入院の半分重 要視するという仮定から始める。

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Outcome 重要度調整効果推定値 All-cause mortality 145 fewer (60 fewer to 220 fewer) Hospitalization for worsening heart failure 31 fewer (16 fewer to 43 fewer) Symptomatic hypotension 22 more (16.5 more to 28.5 more) Net Effect 154 fewer (73 fewer to 235 fewer) 益 害 ステップ3. 重要度調整効果推定値を組み合わせる 重要度調整効果推定値は、各効果推定値に相対重要度乗数を乗じて決定される。我々の重要度調整効果推定値(患者1000人当たりの入院相当イベント単 位)は、前スライドの表の右に要約されている。効果推定値は、ebscohealth.com/innovationsのオンライン計算機を用いて結合され、計算の一部は付 録パート2に示されている。 正味効果ポイント推定値は、患者1000人当たり154件の入院相当イベントの減少である。(145+-31++22=-154)正味効果推定値は、患者1000人当たり の入院相当イベント154件の減少である。(95%信頼区間: 73~235) ステップ 4. 純効果推定値の精度を分類する 純効果推定の信頼区間全体が有益であるため、表1・図3のパターンは、一番上の純効益であり、純効益の「高い」確実性と一致する。 ステップ5. 純便益の可能性にとって重要な結果について、効果推定の確実性を検討する 死亡率は、死亡率の影響を取り除くと、1000人当たりの入院相当イベントが154件減少(95%CI 73~235件減少)から、1000人当たりの入院相当イベ ントが、31-22=9より、9件減少(95%CI 24~6件増加)に変化し、全体的なパターンが正味ベネフィットから正味ベネフィットの可能性<点推定値は 益だが、95%CIが害も含むため、純益の可能性となる>に変化するため、差別化できる可能性がある。 心不全による入院は、純効果の推定値から除外しても純効果からパターンが変わることはないため <純効果のまま>、差別化する可能性はない。純効果の 推定値は患者1000人当たり<145-22=123>123件減少(95%信頼区間は43件減少から203件減少)するであろう。心不全による入院が増加するとい う結果はもっともらしい可能性ではない。 もっとも、原因別の入院ではなく、総入院をアウトカムとして用いるべきかどうかという疑問もある。総入院数というアウトカムは、基礎となるエビデン ス(28)では報告されておらず、ガイドライン委員会は、このようなアウトカムが、この決定の利益と害の全体的なバランスを再評価するのに十分なインパ クトがあるかどうかを判断する必要がある。<ここでは、結局関係ないとしたとなる> 症候性低血圧は、純効果の推定値から除外しても純便益からのパターンが変わらないため、当初は鑑別の可能性がない。<よって、普通なら除外するかも しれないが、以下の理由より、やはり重大として残す>症候性低血圧は、基礎となるエビデンスで観察された症候性低血圧の割合よりも高い可能性があり、 特に試験薬に耐えられなかった患者を除外するランイン期間の使用に関連するため、依然として重要であると考えられる。 この2つ(死亡・低血圧)のクリティカル(重大)なアウトカムは、いずれも「中程度」の確実性を有する効果推定値を有する。 このことから、ステップ4の「高い」と「中等度」の低い方を採用して、純ベネフィットの確実性は中程度となる。

30.

ステップ6. 結果の相対的重要度の範囲を検討する。 相対的重要度の範囲にわたる正味効果推定値が、正味便益評価の確実性を変えるかどうかを判断する。 平均的な患者は、点推定値が害になっている入院エピソードを基準として、全死因死亡の重要性を入院エピソードの5倍、症候性低血圧 のアウトカムの重要性を入院の半分と考えるという仮定から開始した。よって、154人の益(減少)で正味の有益性があるとなった。 転帰の相対的重要性の範囲を考えるには、この決定に直面する患者の間で起こりうる、全死因死亡率の相対的重要性が最も低く、症候 性低血圧の相対的重要性が最も高いものなどいろいろな状況を考えてみることにする。一般的で理性的な人々の間の重要性の範囲を反 映するのが妥当であると考えられるので、そのような場面を考えてみると以下の考えもできるだろう。 たとえば、一部の患者(終末期の患者など)は、死亡率よりも自分の気持ちを重視することがあるので、そのような患者にとっては、 死亡率、症候性低血圧、入院が同等であると考えるかもしれない。よって、これら3つの転帰が同等であるという仮定を用いると、< 調 整前の効果推定値で-29-31+44=-16より>正味効果推定値は患者1000人当たり16件減少(95%信頼区間は40件減少~9件増加)と なる。よって、正味の有益性の可能性があると変わる。 ほとんどの患者を含む<mostとあるが、上の一部の患者のこと>相対的重要性の範囲を正味の有害性を支持する<点推定値が害であっ た入院の重要度を上げた場合>ように重み付けした妥当な限界値を用いると、正味効果の推定値は、上記の様に、「正味の有益性」か ら「正味の有益性の可能性が高い」ものへと変化する。 もし、正味ベネフィットの確実性が「高い」のままであればよかったが、この知見<点推定値が害であった入院の重要度を上げた場合 >は、 「正味の有益性」から「正味の有益性の可能性が高い」ものへと変化するため、確実性が「高い」とは言えず、正味ベネフィッ トの確実性を中程度に下げる可能性があることになる。しかし、今回は、すでに正味ベネフィットの確実性が中程度であるため、先ほ どの害の入院の重要度を上げたのとは逆の、正味ベネフィットの可能性が高いという極端な仮定を用いても、確実性は、中等度のまま でよく、それ以上変わらない。よって、確実性は中等度となった。 Completing the evidence-to-decision framework 2015年の評価では、正味ベネフィットの確実性が中程度であることから、サクビトリル-バルサルタンの推奨は弱いとされた(29, 30)。 コストが高いことも弱い推奨を支持した。その後、4つの国のガイドラインがサクビトリル-バルサルタンの使用を強く推奨したが(3235)、その所見は2つ目の試験で再現されていない。勧告委員会は、4つのガイドラインすべての根拠を再検討し、エビデンスの確実性 が中程度(ランイン期間に関連した選択バイアスの可能性がある単一試験に限定)、正味ベネフィットの確実性が中程度(アウトカム の重要性の定量的推定値の範囲を考慮)、費用対便益比の不確実性がある高費用に基づいて、サクビトリル-バルサルタンの弱い推奨を 再確認した(29)。推奨パネルが異なれば、異なる評価がなされる可能性もあるが、このプロセスでは、何が評価され、どのように評価 されたかを明示的かつ透明性をもって表現することができる。

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Example 3. Ivabradine for symptomatic heart failure Outcome Absolute effect estimate per 1000 patients (95% confidence interval) Certainty of effect estimates Absolute effect estimate (in units of hospitalizat ionequivalent event s per 1000 patient s) (95% confidence interv al) Confidence interval width (CIW) 5 69.5 fewer (159 fewer to 20 more) 179 per 1000 1 35.6 fewer (59.4 fewer to 11.8 more) 71.2 per 1000 Al l-cause mortal ity 13.9 fewer (31.8 fewer to 4 more) Moderat e Cardiovascular mortality 11.9 fewer (29 fewer to 5.2 more) Moderat e Death from heart failure 11.4 fewer (21 fewer to 1.8 fewer) Moderat e Hospi tali zation for any cause 35.6 fewer (59.4 fewer to 11.8 more) Moderat e Hospi tali zation for cardiovascul ar reason 42.3 fewer (65 fewer to 19.6 more) Moderat e Hospi tali zation for worsening heart failure 47.3 fewer (66 fewer to 28.6 fewer) Moderat e Bradycardia 33.5 more (26 more to 41 more) High 0.3 10.05 more (7.8 more to 12.3 more) 4.5 per 1000 Phosphenes (a visual adverse effect) 22.6 more (16.5 more to 28.8 more) High 0.3 6.78 more (4.95 more to 8.64 more) 3.69 per 1000 At rial fibrill ation 12.1 more (2.1 more to 22 more) High 0.3 3.63 more (0.63 more to 6.6 more) 5.97 per 1000 ステップ1. 組み合わせるアウトカムを決定する。 全死亡、あらゆる原因による入院、徐脈、脈波、心房細動を重複しない アウトカムとして選択する。 ステップ2. 各アウトカムについて定量化された相対的重要度を決定する。 入院に相当する相対的重要度は、各有害事象で0.3、死亡率で5と推定される。 ステップ3. 重要度調整効果推定値を組み合わせる 重要度調整効果推定値(患者1000人当たりの入院相当イベント単位)は表にある。正味の効果推定値は、患者 1000人当たりの入院相当イベント85件の減少(95%CI 181件の減少から12件の増加)である。 (69.5+-35.6++10.05++6.78++3.63=-84.64) ステップ4. 純効果推定値の精度を分類する。 このパターンはおそらく純効益 likely net benefitであり、純効益の中程度の確実性と一致する。 ステップ5. 純便益の可能性にとって重要なアウトカムについて、効果推定の確実性を検討する。 効果推定値が少なくとも中程度の確実性を持つことから<高と中だから中>、純便益の確実性は中程度である。

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ステップ6. 結果の相対的重要度の範囲を検討する。 相対的重要度の範囲にわたる正味効果推定値が、正味便益評価の確実性を変えるかどう かを判断する。最も妥当な相対的重要性の範囲には、入院と同等の死亡や、入院の0.6 倍の破壊的なその他の有害影響を考慮することができる。このような仮定により、重要 度調整後の効果推定値は以下のようになる: 全死因死亡:13.9減少(95%CI 31.8減少~4増加) 何らかの原因による入院: 35.6件減少(95%CI 59.4件減少~11.8件増加) 徐脈:20.1件増加(95%CI 15.6件増加~24.6件増加)。 フォスフェーン(視覚的副作用): 13.56増加(95%信頼区間:9.90増加~17.28増加) 心房細動: 7.26増加(95% CI 1.26増加~13.2増加) これらの推定値により、患者1000人当たりの入院に相当する事象が9件(95%信頼区間 では49件の減少から32件の増加)減少するという正味効果推定値が得られる。これは 正味ベネフィットの可能性possible net benefitであり、先ほどのステップ4の純効益 likely net benefitから変化してしまうことより、患者が様々な効果に対して持つ可能性 のある相対的重要度の範囲を考慮すると、先のステップ5の中等度でなく、possible net benefitだから、正味ベネフィットの確実性は低いとなる。 Evidence-to-Decisionフレームワークの完成 純ベネフィットの確実性が低いということは、ベネフィットを示唆する試験で使用され た選択基準を満たす患者において、イバブラジンを弱く推奨することを支持する。現在 の4つのガイドラインのうち3つは、このような状況においてイバブラジンを弱く推奨し ている(40-42)が、1つは強く推奨している(43)。

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Example 4. Second autologous stem cell transplant (ASCT) for patients with relapsed myeloma and response duration more than 2 years after first ASCT 国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインには、再発性骨髄腫に対する2回目の自家造血幹細胞移植(ASCT)に関 するGRADEプロファイルが含まれており、以下の内容が記載されています: ・再発からの全生存期間中央値 - 低のエビデンス - 絶対効果は2.1年長い(95%CI報告ない) ・無増悪生存期間中央値 - 中程度のエビデンス - 絶対効果は13ヶ月長い(95%CI報告ない) ・治療関連の罹患率と死亡率、健康関連の生活の質、および有害事象に関しては、特定されたエビデンスはない ステップ1. 組み合わせるアウトカムを決定する。 ガイドラインパネルは、全生存期間と無増悪生存期間が最も影響力のあるアウトカムであると考えた。全生存期間には無増悪生存期間 が含まれるため、進行イベント(進行までの期間)と死亡イベント(死亡までの期間)は重複しない転帰として数えることができる。 ステップ2. 各アウトカムについて定量化された相対的重要度を決定する。 死亡までの時間(全生存期間)を参照単位とする。患者は進行までの時間を死亡までの時間の0.2倍の重要性と考えるという仮定で開始 する。 ステップ3. 重要度調整効果推定値を組み合わせる。 進行までの期間に関する重要度調整推定値は中央値2.6ヵ月(0.2×13ヵ月)、死亡までの期間に関する推定値は中央値2.1年(25.2ヵ 月)である。正味効果の点推定値は、(2.6+25.2より)27.8ヵ月の生存期間延長に相当する。信頼区間は報告されなかった。 ステップ4. 純効果推定値の精度を分類する。 これは純効用のパターンから始まるようである。統計学的有意性は示されなかったが、結果が統計学的に有意であると仮定すると、有 害性を示唆する証拠が提供されなかったため、信頼区間は完全に有益性の推定値の範囲内となる。よって、確実性は「高」となる。 ステップ5. 純ベネフィットの可能性に重要なアウトカムに対する効果推定の確実性を検討する。 ここでは全生存が重要なアウトカムであり、単一のレトロスペクティブな比較研究(および非比較研究における関連する一貫したデー タ)に基づいて、エビデンスの確実性は低いと報告された。たとえそうであっても、診療ガイドライン委員会は、これを生存の有益性 の確実性が中程度であり<ちょっと強引な評価だが、それで良いのか?>、特定の効果の大きさの確実性が低いとみなす可能性がある。 これにより、<厳密には、違うが、いわゆる同じ方向なので、全死亡の中等度を採用して>正味ベネフィットの確実性は中程度となる 可能性がある。よって、ステップ4の「高」とここの「中等度」の低い方で、「中等度」となる。

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ステップ6. 結果の相対的重要度の範囲を検討する。 相対的重要度の範囲にわたる正味効果の推定値が、正味便益の評価の確実性を変えるかどう かを判断する。 有害性が重要なアウトカムとして考慮されていないモデルでは<考慮しても、結局、ベネ フィットしかなかった場合も含むはず>、相対的重要性の範囲は、潜在的な有害性が利益と 有害性のバランスにどのように影響するかを検討する事になる。 診療ガイドライン委員会は、有害性は患者が最初のASCTで経験したことと同様であり<この 例は2回目の移植>、そのため、患者は利益と害のバランスを考える際に、個人的な経験に 基づいて自分自身の害の推定値を持つことになります。 Evidence-to-Decisionフレームワークの完成 害が主に患者個人が考慮すべき負担として捉えられる文脈において、全生存期間の延長の可 能性は、純便益の中程度の確実性があると考えられています。 ガイドラインパネルは、患者自身が個人的な状況に応じて治療の重要性を判断することの大 切さを考慮し、「この治療を実施すべき」と推奨するのではなく、「(純便益の可能性があ るので)この治療を選択肢として提示すべき」と強く推奨しました。 To reflect the importance of the patient weighing a personalized relative importance the guideline panel made a strong recommendation to offer the therapy (for the potential for net benefit) rather than recommend that the therapy should be administered. <ややこしい、同じ強い推奨だが、その文言が、「治療を実施」でなく、 「治療を選択しとして提示すべき」と変えている。これって、許されるんだ…。>

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Example 5. Avoiding 100% oxygen saturation in intensive care unit 集中治療室(ICU)に入院した480人の成人を対象としたランダム化試験では、動脈酸素ヘモグロビン飽和 度(SpO2)の目標値を94%-98%とした場合のICU死亡率が11.6%であったのに対し、SpO2の目標値を 97%-100%とした場合は20.2%でした(絶対リスク減少8.6%、95%信頼区間1.7%から15%)(45)。こ の証拠は、正式な中止規則を使用せずに試験が早期に終了したため、中程度の確実性を持つと考えられま す。 ステップ1:組み合わせる結果の決定 高SpO2の利点に関する証拠がないため、死亡率の結果を純効果推定の主要な結果と考えることができます。 ステップ2と3:各結果の相対的重要性の定量化と重要性調整済み効果推定値の組み合わせ このケースでは関連性がなく、純効果推定値はICU死亡率の推定値となります。これはSpO2 97%-100%を目標と する行為に対して逆の関係で考えられます(絶対リスク増加8.6%、95%信頼区間1.7%から15%)。 ステップ4:純効果推定値の精度の分類 効果推定値の信頼区間に基づいて純害があり、これは「高」い確実性の純害と一致します。<表1・図3の一番下> ステップ5:純便益の可能性に重要な結果の効果推定値の確実性の考慮 根拠となる証拠が計画外の早期終了を伴う単一の試験であるため、「中程度」の証拠の確実性により、純害の確実 性が、ステップ4の「高」でなく、低い方の「中程度」に低下する可能性があります。 ステップ6:結果の相対的重要性の範囲の考慮 単一の結果に焦点を当てる決定に従い、これは関連性がありません。 エビデンスから決定へのフレームワークの完成 明らかな利益のない介入に対して、中程度の確実性の純害は強い推奨を支持するのに十分です。

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ここまでの例について:付録より この文章は、医療における推奨事項の確実性を評価するための新しいモデルについて説明しています。このモデルは、純便益または純害の確実性をよ り明確に表現することを目的としています。5つの例を通じて、このモデルの適用方法と従来のガイドラインとの違いを示しています。 主なポイントは以下の通りです: 1. 薬剤溶出性ステント後の長期二重抗血小板療法: - 純害の可能性が低い確実性で示唆されています。 - 弱い反対推奨を支持しています。 2. 標準療法を受けている症候性心不全に対するサクビトリル-バルサルタン: - 単一の試験に基づく純便益を示しています。 - 中程度の純便益の確実性により、弱い推奨を支持しています。 3. 症候性心不全に対するイバブラジン: - 便益と害のバランスが近く、効果推定値の確実性が中程度です。 - 純便益の低い確実性により、弱い推奨を支持しています。 4. 再発性骨髄腫患者に対する2回目の自家造血幹細胞移植: - 便益の効果推定値の確実性が低~中程度で、害に関する直接的な比較証拠がありません。 - 中程度の純便益の確実性があり、治療を提供する強い推奨を支持しています。 5. 集中治療室での100%酸素飽和度の回避: - 明らかな便益がなく、中程度の純害の確実性があります。 - 強い反対推奨を正当化しています。 このモデルは、従来のガイドラインよりも明確で具体的な証拠に基づく評価と判断を提供し、複雑な状況における推奨事項の決定を支援することを目 的としています。

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Example Certainty of Evidence for Critical Outcomes* Certainty of Net Benefit Strength of Recommendation Longer dualantiplatelet therapy (DAPT) after Moderate to high certainty of evidence drugeluting stents Low certainty of net harm Weak recommendation against Sacubitril-valsartan for symptomatic heart failure on standard therapy Moderate certainty of evidence Moderate certainty of net benefit Weak recommendation for Ivabradine for symptomatic heart failure Moderate certainty of evidence Low certainty of net benefit Weak recommendation for Second autologous stem cell transplant (ASCT) for patients with relapsed myeloma and response duration more than 2 years after first ASCT Low to moderate certainty of evidence Moderate certainty of net benefit Weak recommendation for (or strong recommendation for offering with shared decision making) Avoiding 100% oxygen saturation in intensive care unit Moderate certainty of evidence Moderate certainty of net harm Strong recommendation against 例: 重要なアウトカムに関するエビデン スの確実性* 純便益の確実性 推奨の強さ 薬剤溶出ステント留置後の長期の二重 中等度から高度のエビデンスの確 抗血小板療法(DAPT) 実性 純損害の確実性の低さ 推奨度が低い 標準治療中の症候性心不全に対する Sacubitril-バルサルタン 中等度のエビデンスの確実性 純便益の中程度の確実性 弱い推奨 症候性心不全に対するイバブラジン 中等度のエビデンスの確実性 純便益の確実性の低さ 弱い推奨 再発骨髄腫患者に対する2回目の自家 エビデンスの確実性が低から中等 弱い推奨(または意思決定の共有を 幹細胞移植(ASCT)と初回ASCTから2年以 純便益の中程度の確実性 度 伴う提供に対する強い推奨) 上経過した奏効期間 集中治療室での100%酸素飽和度の回 避 中等度のエビデンスの確実性 純損害の中程度の確実性 反対の強い勧告

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日本版敗血症診療ガイドライン2024 https://www.jsicm.org/news/news240606-J-SSCG2024.html 日本版敗血症診療ガイドライン 2024 付録(CQ2-3)https://www.jsicm.org/pdf/cq/J-SSCG2024/CQ2-3_r2.pdf CQ2-7: 敗血症に対してβラクタム系/グリコペプチド系薬の持続投与または投与時間の延長を行うか? SR1. βラクタム系 Outcome №研 究の 研究デザ イン バイアスの リスク 非一貫 性 非直接 性 不精確 その他の検討 β ラクタム 系薬の持 続投与 β ラクタム系 薬の間欠投 与 相対 (95% CI) 絶対 (95% CI) Certainty 重要性 mortality 14 ランダム化 試験 深刻でない 深刻でな い 深刻でな い 深刻 a,b なし 243/848 (28.7%) 282/855 (33.0%) RR 0.84 (0.71 to 1.00) 53 fewer per 1,000 (から 96 fewer to 0 fewer) ⨁⨁⨁◯ 中 重大 clinical cure 11 ランダム化 試験 深刻 c 深刻でな い 深刻でな い 深刻で ないa 出版バイアス が強く示唆 293/539 (54.4%) 247/542 (45.6%) RR 1.24 (1.04 to 1.47) 109 more per 1,000 (から 18 more to 214 more) ⨁⨁◯◯ 低 d 重大 adverse events 5 ランダム化 試験 深刻 c 深刻でな い 深刻でな い 深刻 a,b なし 48/685 (7.0%) 50/697 (7.2%) RR 0.99 (0.68 to 1.43) 1 fewer per 1,000 (から 23 fewer to 31 more) ⨁⨁◯◯ 低 重大 occurrence of antibiotic-resistant bacteria 2 ランダム化 試験 深刻でない 深刻でな い 深刻でな い 深刻 a,b なし 70/384 (18.2%) 74/382 (19.4%) RR 0.93(0.70 to 1.24) 14 fewer per 1,000 (から 58 fewer to 46 more) ⨁⨁⨁◯ 中 重大 Ou tcome 絶対 (95% CI) 4要 因Certainty 相対 的重要 度 望ま しい効果 mortality 53 fewer per 1,000 (から 96 fewer to 0 fewe r) ⨁⨁⨁ ⨁高 3 53×3=159 clinical cure 109 more pe r 1 ,00 0 (から 18 more to 214 more) ⨁⨁◯◯ 低 1 109 adverse events 1 fewe r p er 1,0 00 (から 23 fewer to 31 more) ⨁⨁⨁◯ 中 1 1 occurrence of a ntib ioticresista nt bacteria 14 fewer per 1,000 (から 58 fewer to 46 more) ⨁⨁⨁ ⨁高 1 14 望ま しくな い効果 Net Effect 283 人の 増加 (95%CI:99 人増 加~467人増 加) 53×3+109+1+14=283 アウトカム全体にわたる正味の効果推定値(net effect estimate)の精確性分類は、CI全体が有益のため、表1・図3(次ス ライド再提示) より、Net benefit であり、対応する純便益の確実性 は high である。 そして、そのnet effect に重要なア ウトカムは「死亡」であり<あれっ?死亡のCI下限が0なので除外しても変わらないので、 CI全体が有益のままで、ステッ プ5の差別化要因ではないような気がする>、精確性以外の確実性はmoderate である<あれっ?死亡は4要因からHighで は?>。したがって、net effect の確実性はmoderate である。 また、死亡の相対的価値を 3 から 3 倍まで変動させ感度解 析を行ったところ<他のところより1から3倍の誤記>、net effect の精確性は変動しないため、net effect の確実性(アウ トカム全体にわたる確実性)は、moderate から ダウングレードをせず moderate とした。 <最後の推奨文が、なぜか「弱く推奨」になっている?Net benefit より「強い」では?> どうも、本CPGの内容が、いろいろ間違っている気がするのだが、、、?自分の解釈が違うのか?

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表1・図3:Classification of precision of net effect estimate 正味効果推定値のパターン 分類 純効果推定の精度は...と一致する CI全体が有益 Net benefit 純便益の確実性が高い 点推定値は有益で、CI下限は有害で、点推定値はCI下限よりも絶 Likely net benefit 対値が大きい。<下図の緑より赤のが大きいということ> 純便益の確実性が中程度 点推定値は有益、CI下限は有害、点推定値はCI下限より絶対値が Possible net benefit 小さい 純便益の確実性が低い 点推定値はゼロに近く、CI*は広い<下図では、狭いが上> 点推定値はゼロに近く、CI*は狭い Possibly no net benefit or harm Net benefit or harm likely near zero 純便益または害の確実性が非常に低い 純便益または害がほとんどないことの確 実性が中程度 点推定値は有害であり、CIの上界は有益であり、点推定値はCIの Possible net harm 上界よりも絶対値が小さい。 正味の損害の確実性が低い 点推定値は有害で、CIの上界は有益で、点推定値はCIの上界より Likely net harm も絶対値が大きい。 正味の損害の確実性が中程度 CI全体が有害 正味の損害の確実性が高い Net harm

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日本版敗血症診療ガイドライン 2024 付録(CQ2-3)https://www.jsicm.org/pdf/cq/J-SSCG2024/CQ2-3_r2.pdf CQ2-7: 敗血症に対してβラクタム系/グリコペプチド系薬の持続投与または投与時間の延長を行うか? SR2. グリコペプチド系薬 Outcome № 研究 研究デ バイアス 非一貫 非直接 の ザイン のリスク 性 性 不精確 その他の検 β ラクタム系薬 β ラクタム系薬 相対 (95% CI) 討 の持続投与 の間欠投与 絶対 (95% CI) Certainty 重要性 mortality 1 ランダム 非常 に深 深刻 で 深刻 で 非常 に深刻 化試 験 刻a ない ない b,c なし 21/61 (34 .4% ) 19/58 (32 .8% ) RR 1.05 (0.63 16 more per 1,000 (から121 fewer to 1.7 4) to 242 more) ⨁◯◯ ◯非常 に低 重大 clinical cure 1 ランダム 化試 験 なし 48/61 (78 .7% ) 47/58 (81 .0% ) RR 0.97 (0.81 24 fewer per 1,000 (から154 fewer to 1.1 6) to 130 more) ⨁⨁◯◯ 低 重大 3 出版 バイアス ランダム 非常 に深 深刻 で 深刻 で 非常 に深刻 RR 0.70 (0.34 49 fewer per 1,000 (から107 fewer が強 く示 唆され 11/109 (1 0.1 %) 17/105 (1 6.2 %) 化試 験 刻a ない ない b,c to 1.4 2) to 68 mo re) る ⨁◯◯ ◯非常 に低 d 重大 adverse events 深刻 a 深刻 で 深刻 で ない ない 深刻 b a. BoPは一部ハイリスクでグレードダウン b. OIS を満たさない c.信頼区間が効果なし (RR=1) を含み、かつ重要な利益と重要な害 (RR=0.75, 1.25) を含みグレードダウン d.出版バイアスでグレードダウン Outcome 絶対 (95% CI) 4要因Certainty 相対的重要度 望ましい効果 望ましくない効果 mortality 16 more per 1,000 (から121 fewer to 242 more ) ⨁⨁⨁◯ 中 3 16×3=48 clinical cure 24 fewer per 1,000 (から154 fewer to 130 more ) ⨁⨁⨁◯ 中 1 24 adverse events 49 fewer per 1,000 (から107 fewer to 68 more) ⨁⨁⨁◯ 中 1 16×3+24=72 Net Effect 49 23 人の減少 (95%CI: 594人の 減少~548人増 加) 49 72-49=23 感度分析 16+24-49=-9 アウトカム全体にわたる正味の効果推定値(net effect estimate)の精確性分類は、表1・図3の点推定値は有益、CI下限は有 害、点推定値はCI下限より絶対値が小さいより、Possible net harm であり、対応する確実性は low である。 そして、そのnet effect に重要なアウトカムは「死亡」であり<死亡を除外すると害になる>、精確性以外の確実性は moderate である。したがって、net effect の確実性は、lowとmoderateの低い方の、 low である。 また、死亡の相対的価値を 3 から 3 倍まで変動させ感度解析を行ったところ<他のところより1から3倍の誤記>、net effect の精確性は変動しないため<1としても、点推定値は純益のままかと思ったら、違っていて-9で純害だぞ、なぜ?>、 net effect の確実性(アウトカム全体にわたる確実性)は、low からダウングレードせず low とした。 <点推定値はゼロに近 く、CI*は広いでvery lowではないか?>

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日本版敗血症診療ガイドライン 2024 付録(CQ2-3)https://www.jsicm.org/pdf/cq/J-SSCG2024/CQ2-3_r2.pdf CQ3-7: 敗血症性ショックに対して、血管収縮薬をどのように使用するか? Outcome № 研究の 研究デザイ バイアスの 非一貫性 非直接性 ン リスク 不精確 その他の検討 短期死亡 4 ランダム化 深刻でな 深刻でな 深刻でない 試験 い い 深刻でない なし 352/706 (49.9%) 不整脈 3 ランダム化 深刻でない 試験 深刻でな い 深刻b なし 臓器虚血 1 深刻でな 深刻でな ランダム化 深刻でない い い 試験 非常に深 刻 なし 深刻a β ラクタム系薬の β ラクタム系薬の 持続投与 間欠投与 SR1. ノルアドレナリン 相対 (95% CI) 絶対 (95% CI) Certainty 重要性 403/760 (53.0%) RR 0.96 (0.81 to 1.13) 21 fewer per 1,000 (から 101 fewer to 69 more) ⨁⨁⨁⨁ 高 重大 112/1009 (11.1%) 239/1060 (22.5%) RR 0.45 (0.22 to 0.95) 124 fewer per 1,000 (から 176 fewer to 11 fewer) ⨁⨁◯◯ 低 重大 20/821 (2.4%) 23/858 (2.7%) RR 0.91 (0.50 to 1.64) 2 fewer per 1,000 (か ら 13 fewer to 17 more) ⨁⨁◯◯ 低 重大 その他あるがカット Ou tcome 絶対 (95% CI) 4要 因Certainty 相対 的重要 度 望ま しい効果 調整 推定値 短期 死亡 21 fewer per 1,000 (から 101 fewer to 69 more) ⨁⨁⨁ ⨁高 3 21×3=63 -63 (-303 to 207) 不整 脈 124 fewer per 1,000 (から 176 fewer to 11 fewer) ⨁⨁⨁◯ 中 2 124×2=248 -248 (-352 to -22) 臓器 虚血 2 fewer per 1,000 (か ら 13 fewer to 17 more) ⨁⨁⨁ ⨁高 1 2 -2 (-13 to 17) 63+248+2=313 312 人の 増加 (95%CI :7 人の 増加 ~617人増 加) Net effect 感度 分析 313 人の 増加(95%CI: 9 人増 加~617 人増 加) CI全体が有益のため、表1・図3より、Net effect estimate の確実性は精確性の分類から考慮した確実性は high である。 また、Net effect estimate に critical なアウトカムは不整脈であり、その確実性はlow である。< 「Net effect estimate に critical なアウトカム」という表現はおかしい気がする><エビデンスプロファイルでは、不整脈は不精確さの深刻で下げてい るので、4要因なら、低でなく中 moderateになるはず> <よって、highとmoderateの低い方の、 moderate(本CPGの記 載に従うと、このステップ5は、lowだが)> また、不整脈の相対的価値を 1 から 3 倍で変動させると net effect の精確性の分類が変動するため、net effect の確実性は very low となる。<不整脈を1倍、死亡を3倍とすると、-189 (-457 to 79) となり、Likely net benefitになるので moderate><よって、 moderateと思う(本CPGの記載に従うと、ステップ5の lowなので、これ以上は下げないはず>