GRADEガイドライン32:GRADEはエビデンスの確実性の評価対象を選ぶためのガイダンスを提供する

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April 26, 23

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1.

GRADE guidelines 32: GRADE offers guidance on choosing targets of GRADE certainty of evidence ratings GRADEガイドライン32:GRADEはエビデンスの確実性の 評価対象を選ぶためのガイダンスを提供する(最小コン テキスト化・部分コンテキスト化の説明:完全コンテキス ト化は他の論文) https://www.jclinepi.com/article/S08954356(21)00108-6/fulltext

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エビデンスの確実性とは? メタ分析等の結果が、閾値の片側または選択した範囲内にあるとの確信を反映する。 よって、GRADEは、閾値や範囲をどのように扱うかについて、関連する文脈(コ ンテキスト化・いろいろな状況)を、状況をより単純とするか、複雑とするかのレ ベルで決定することが重要と考えている。 コンテキスト化のレベルの選択は、読者が何を最も有用と感じるかによって決まる。 システマティックレビューや医療技術評価において、読者の焦点が「効果があるか どうか」「重要な効果があるかどうか」にある場合、著者は最小限のコンテキスト 化アプローチを選択することになる。 一方、読者の焦点が効果の大きさ(すなわち、些細な、小さな、中程度の、または 大きな)である場合、著者は部分的にコンテキスト化されたアプローチを使用する ことになる(次スライド)。 しかし、2021年のこの論文発表の時点では、多くのGRADEアプローチを使った論 文で、閾値を明示していないことにより、評価が異なっている。

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Rating of certainty of evidence using a minimally or partially contextualized approach. 最小重要差[MID] 大きな効果の閾値 大きな効果 Large 中等度の効果の閾値 中等度の効果 moderate 小さな効果の閾値 小さな効果 small 差なし 些細な効果 trivial 最小コンテキスト化アプローチ:確実性を評価する閾値として、群間差なし(例えば、 リスク比[RR]1.0、リスク差[RD]0)または重要な効果(すなわち、最小重要差 [MID]、small effect threshold)の二つの可能性を指定して、その決めたどちらかよ り大きいか小さいかで評価する。 部分的コンテキスト化アプローチ:2つの閾値で囲まれた範囲(すなわち、trivial、small、 moderate、large effectの範囲)に対して確実性を評価することになる

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確実性の評価のための原則 小さな効果の閾値 介入A優位 -1.0% 効果差なし RD=0 プラセボ優位 原則1:確実性を評価する対象を決める:MIDの-1.0%に対するものか、効果があること(ヌル効 果・RD=0・the true effect is a non-null effect)に対するものか 原則2:確実性は、コンテキスト化の程度・閾値・点推定値に依存する。ヌル効果に対する時は、 絶対値でも相対値でも良いが、最小コンテキスト化のMIDや部分コンテキスト化の閾値の範囲の場 合は、ベースラインリスクによって値が変るので絶対値を利用する。また、閾値の明確な指定が困 難で、だいたいこの範囲としたくなるが、複雑になるので、明確に指定することを推奨している。 そして、点推定値の位置によってターゲットとする確実性が変る。←ターゲットを決めるのだが、 判断は、コンテキスト・閾値・閾値に対する点推定値の相対的な位置に依存する(This decision depends on the ・・・)とも記載してある。依存するなら、自動的に決まってしまうことに読める が?

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小さな効果の閾値に関連して確実性評価することを選択した場合 すなわち、原則1で最小コンテキスト化でMIDに対してとした 大きな効果の閾値 大きな効果 中等度の効果の閾値 中等度の効果 小さな効果 小さな効果の閾値 差なし 些細な効果 (a)点推定が、小さな効果の閾値よりも高いため、真の効果が、重要 な効果である(the true effect is an important effect)確実性を評 価する。 (b)点推定値が、小さな効果の閾値を下回るため、真の効果が、些細 な効果または重要ではない(つまり、smaller than the small effect threshold)という確信性を評価する。

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部分的コンテキスト化アプローチを選択し、小さな効果が存在す るかどうか(真の効果が小さな効果の閾値と中程度の効果の閾値 の間にあるかどうか)についての確実性を評価する場合 大きな効果の閾値 大きな効果 中等度の効果の閾値 中等度の効果 小さな効果 小さな効果の閾値 差なし 些細な効果 (a) 点推定値がその範囲内にあるため、真の効果が、小さな効果であることの確 実性を評価する。すなわち、真の効果が小さな効果閾値よりも上にある(つ まり、重要な効果がある)か、小さな効果の範囲内にある(つまり、小さな 効果がある)という確実性を高く評価するだろう。 (b) 点推定値がその範囲を下回るので、真の効果が、些細な効果であることが確 実であるかを評価する。すなわち、真の効果が小さな効果閾値以下であるか、 小さな効果の範囲以下である(つまり、些細な効果がある)という確実性を 高く評価するだろう。

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点推定が選択した閾値に非常に近い場合 アプローチ1:点推定がどちらの側にあるかによって、真 の効果がその閾値より上にあるか下にあるかの確実性を評 価することになる。点推定が閾値にどの程度近くても、必 要に応じて小数点以下を多く計算することで、点推定が閾 値のどちらの側にあるかを決定することがでる。 アプローチ2:隣接する閾値に対する確実性を評価するこ とになります。

8.

ある介入Aとプラセボの脳卒中予防のシステマティックレビューを考える。レビュアーは、小さな効果閾値を 100人あたり1つの脳卒中減少と設定した。メタ分析により、100人あたり0.99の脳卒中減少、95%CIが100人 あたり0.1の脳卒中減少から100人あたり1.9の脳卒中減少までであることが示された。 小さな効果の閾値 重要な効果 介入A優位 効果差なし 些細 -1.0% RD=0 中等度閾値 小さな効果 効果差なし 中等度効果 プラセボ優位 アプローチ1:点推定が選択された閾値(つまり、小さな効果 閾値)に非常に近いにもかかわらず、レビュアーは依然として 真の効果がその閾値より下にあると確信することができます。 この場合、レビュアーは効果が些細な効果と確信を持つことが できる。 どうも、小さな・中等度の閾値を行わない場合は、より効果が ある方を「重要な効果」という場合がある(範囲でもないの で)。 介入A優位 小さな -2.5% 些細 -1.0% RD=0 プラセボ アプローチ2:代わりに、レビュアーは2つの隣接す る閾値(つまり、効果がないとされる閾値と中程度 の効果閾値)に関連して確実性を評価することがで きる。点推定がこの2つの閾値の範囲内にあるため、 真の効果が、些細な、または、小さな効果であると いう確実性を評価することができる。 レビュアーは、点推定が選択された閾値に非常に近い場合、アプローチ2を使用することで快適に なることがある。ただし、点推定のみで確実性を評価することはできない(つまり、効果がない ということ)。理由は、次のスライドのような場合があるから。

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小さな益閾値 効果差なし 小さな害閾値 些細な 効果 先の右のスライドのように、点推定値は些細な効果の範囲内であるが、このような点推定値 の位置ならば、些細な益の効果の範囲の確実性でなく、効果がない、という確実性を評価す ることになる。 すなわち、利益の小さな効果閾値と、害の小さな効果閾値の間の、些細な効果の範囲に関連 して確実性を評価することがでる。点推定がこの範囲内にあるため、レビュアーは真の効果 が、些細な効果から無効な効果、であるという確実性を評価することができる。

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原則3:レビュアーが閾値を設定することによって、特定のコン テキスト化の程度を使用して、確実性の評価の対象が決る 小さな効果閾値2 小さな効果閾値1 効果差なし 小さな効果閾値に関連して確実性を評価することによって、 閾値1を選択する場合:真の効果が小さな効果閾値よりも大きい(つまり、真の効 果が重要な効果である)という確実性を評価することができる。レビューアーは真 の効果が閾値以上であることの確実性を評価。 閾値2を設定した場合:真の効果が小さな効果閾値よりも小さい(つまり、真の効 果が取るに足らない)という確実性を評価することができます。レビューアー真の 効果が閾値未満であることの確実性を評価。

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原則1~3の例外 原則4:95%CIが複数の可能な閾値を横断する場合 大きな益閾値 小さな益閾値ヌル効果小さな害閾値大きな害閾値 原則4:95%CIが複数の可能な閾値を横断する場合、特定の閾値を選択することは価値がなく、したがって、確実性の評価のターゲット を決定することも価値がない。 (a)95%CIが大きな利益の閾値と大きな害の閾値の両方を横断する場合:ここでは、点推定値のみを考慮し、真の効果が小さな効果の 閾値より大きいと評価することができる。95%信頼区間は非常に広く、真の効果がどこにあるのかほとんど分からないので、これはほ とんど意味をなさないだろう。真の効果は、非常に大きな有益性を示すかもしれないし、非常に大きな有害性を示すかもしれない。特定 の閾値に関連して確実性を評価する代わりに、適切な結論はレビュアーが真の効果についてほとんど理解できていないということである。 (b)95%CIが大きな利益の閾値と小さな損害の閾値を横断する場合:レビュアーは少なくとも2つのレベルで確実性を評価を下げるこ とになる。確実性の評価のターゲットを明示することを放棄するために、95%CIがどの程度広がる必要があるかは判断に委ねられる。 部分コンテキスト化アプローチでは、初めから大きな益と大きな害の境界を指定することができるが、最小コンテキスト化アプローチで はできない。しかしこれは、最小コンテキスト化されたアプローチでこの原則を適用することを妨げるものではない。レビュアーは、最 小コンテキスト化アプローチを使用して、確実性の評価のターゲットを明示することを放棄する必要がある。95%CIがどの程度広がる 必要があるかについての直感的な判断を行うことができる。

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原則の適用:原則1-4が確実性の評価に影響を与える方法 まず、5つのドメインのうち1つである不精確 さに焦点を当て、他の4つのドメイン(バイア スのリスク、非直接性、非一貫性、出版バイア ス)に重大な制限がないと仮定する。 図1の仮想的なエビデンスを考えてみましょう。 (1)もしレビュアーが効果の有無の確実性に興味がある場合:最小コンテキスト化アプローチを選択 1)確実性を評価する対象をヌル効果とする場合:点推定がその閾値を上回るため、効果があることについて確実性を評価する。95% CIが無効効果を横断していないため、不精確さのために評価を下げない。 2)確実性を評価する対象をMIDとする場合:レビュアーは重要な効果の存在についての確実性を決定し、小さな効果の閾値に関連して 評価を行います。点推定がその閾値を上回るため、効果が小さな効果であるという確実性を評価し、95%CIが選択した閾値を横断する ため、不精確さのために評価を下げる。 (2)もし関心が小さな効果の存在の確実性にある場合:部分コンテキスト化アプローチを選択 1)小さな効果の範囲に関連して確実性を評価場合:点推定がその範囲内にあるため、評価は小さな効果に関連することになる。95% CIが小さな効果の閾値を横断し、効果が些細な高価な可能性もあるため、不精確さのために評価を下げます。 2)レビュアーは効果が小さく、中程度よりも小さいこと(つまり、中程度よりも少ない)の確実性を評価する場合:もしそうであれば、 95%CIが中程度の効果の閾値を上回ってないため、不精確さのために評価を下げる必要はない。 ☆読者が閾値を設定しなおす場合について: 例えば、レビュアーは効果があることを評価して(ヌル効果のみを使う)、95%CIがヌル効果をまたいでいない場合、不精確さのため に評価を下げない。しかし、ユーザーが、真の効果が小さい場合を知りたいならば、95%CIが小さな効果の閾値を横断するため、レ ビューアーの評価と異なり、不精確さのために評価を下げることになる。また今度は別に、ユーザーが真の効果が、大きな効果よりも 小さい場合の確実性を知りたいと思ったら、95%CIが大きな効果の閾値を横断していないため、不精確さのために評価を下げる必要は ないとなる。

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実際の例 中効果閾値 小効果閾値 ヌル効果 重要な低下 ステロイド優位 些細 -2.0% -0.5% RD=0 非ステロイド優位 例1: 最小コンテキスト化アプローチ: 敗血症患者に対する副腎皮質ステロイドのシステマティックレビュー:9,433人の患者を含む36のランダム化比較試験のメタ分析に よると、副腎皮質ステロイドは100人当たり1.8人少ない死亡をもたらし、95%CIは4.1人少ないから0.8人多い。 1)ヌル効果との関係で確実性を評価:副腎皮質ステロイドが死亡率を減少させる(すなわち、効果がある)ことの確実性を評価でき たと考えた。95%CIがヌル効果を横切っているため、不精確さのために確実性を低く評価した。 2)MIDとの関係で確実性を評価: 2-1)小さな効果の閾値を100人あたり死亡者数が0.5人減少と設定した場合(青):コルチコステロイドが死亡率の重要な低下を もたらす確実性を評価することができる。 95%CIが小さな効果の閾値と重なるため、不精確さのために評価を下げる必要がある。 2-1)しかし、100人あたり死亡者数の減少2人を小さな効果の閾値として選択した場合(赤):些細な効果が0%~-2%の範囲と なり、点推定値の-1.8%が含まれるので、コルチコステロイドが死亡率を些細な効果に低下させる確実性を評価することになる。 95%CIが小さな効果の閾値と重なるため、不精確さのために評価を下げる必要がある。

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実際の例 中効果閾値 小効果閾値 ヌル効果 中効果 小効果 ステロイド優位 -3.0% 些細 -0.5% RD=0 非ステロイド優位 例2:部分コンテキスト化アプローチ: 著者は、小さな効果の閾値を100人あたり死亡者数が0.5人減少とし、中程度の効果の閾値を100人あた り死亡者数が3人減少と設定した。 よって、点推定値は小さな効果の範囲なので、著者は、コルチコステロイドが死亡率をわずかに低下さ せる確実性を評価し、95%CIが小さな効果の閾値と中程度の効果の閾値の両方を横断するため、不精確 さのために評価を下げた。

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付録 付録の解説は、割愛しました。