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July 05, 25
スライド概要
プロンプトを詳細にして、いろいろ盛り込んだら、はっきり言って失敗でした。
顎関節症の日本語と英語の診療ガイドラインとシステマティックレビューを、調べてください。以下の手順で、30分ぐらいの講演のスライドを、データの表を使用して作成して下さい。スライドに参考文献を必ず記載して下さい。
#手順
1)顎関節症の定義病態
2)顎関節症は、初期の状態と、経過がすぎてからの慢性痛の状態に分ける事ができる
3)顎関節症の保存治療の紹介
4)顎関節症の初期症状での初期治療の保存的治療をデータとエビデンスの確実性を元に解説
5)顎関節症の慢性痛の保存的治療をデータとエビデンスの確実性を元に解説
6)2つを別々に解説した後に、初期治療と慢性痛の治療を比較
7)一般臨床家への提言
8)まとめ
2025年7⽉5⽇ 顎関節症の診療ガイドライン エビデンスに基づく初期治療と慢性痛管理 発表者名 所属機関‧診療科 主要参考⽂献 ‧⽇本顎関節学会「顎関節症治療の指針2024(案) 」 ‧BMJ 2023「Management of chronic pain associated with temporomandibular disorders」 ‧⽇本顎関節学会「顎関節症初期治療診療ガイドライン2023改訂版」
⽬次 1 顎関節症の定義‧病態 9 慢性痛治療のエビデンス‧データ 2 初期と慢性分類 10 慢性痛:副作⽤‧有害事象 3 保存治療の全体像 11 初期治療と慢性痛治療の⽐較 4 初期症状:初期治療 12 ⽐較データ‧推奨まとめ 5 初期治療のエビデンス‧データ 13 ガイドラインが推奨しない治療 6 初期治療:適応‧注意点 14 臨床家への実践提⾔ 7 慢性痛治療の全体像 15 今後の展望 8 慢性痛:推奨治療⼀覧 16 まとめ‧質疑 データとエビデンスに基づく顎関節症診療ガイドライン
顎関節症の定義と疫学データ 【定義】 ⽇本顎関節学会:顎関節や咀嚼筋の疼痛,顎関節雑⾳,開⼝障害ないし顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名。病態は咀嚼筋痛障害,顎関節痛障 害,顎関節円板障害および変形性顎関節症。 BMJ:TMD (Temporomandibular Disorders) are the second most common musculoskeletal chronic pain disorder after low back pain, affecting 6-9% of adults globally. 【主な症状】 顎関節部の痛み 咀嚼筋の痛み 顎関節雑⾳(クリック⾳、ポップ⾳) 開⼝障害 顎運動異常 頭痛 ⽿痛(関連痛) 頬部や側頭部の不快感‧違和感 【疫学統計】 調査項⽬ 全体 男性 ⼥性 出典 顎関節の⾳あり 15.0%(550/3,655⼈) 11.6% 17.7% 厚労省⻭科疾患実態調査2016 顎関節の痛みあり 3.3%(121/3,665⼈) 2.6% 3.9% 厚労省⻭科疾患実態調査2016 21.2% 東京都内就労者調査2005-2006 【参考 ⽂献】 スクリーニング調査での顎関節症疑い」 約20% 14.6% ‧ ⽇本顎関節学会「顎関節症治療の指針2024(案) ‧ B M J 2023「Management of chronic pain associated with temporomandibular disorders: a clinical practice guideline」 ‧ 同 厚⽣ 働業 省「内 平 成の 28顎 年⻭ 疾症 患実疑 態い 調査」 ⼀労企 で 関科節 1,969名中 22.6 ⽇本顎関節学会2024
顎関節症の病態分類 顎関節症は複数の病態に分類され、⽇本と国際的ガイドラインで異なる分類体系が⽤いられています。下記の表は⽇本顎関節学会の分類と国際基準(DC/TMD)の 対応を⽰します。 ⽇本顎関節学会分類(2013) DC/TMD分類 / 英語ガイドライン対応 主な症状‧特徴 - Myalgia(筋痛症) I型 咀嚼筋痛障害 咀嚼筋の痛み、筋‧筋膜痛、局所筋痛 運動時痛、機能障害 - Local myalgia(局所筋痛) - Myofascial pain(筋膜痛) - Myofascial pain with referral(関連痛を伴う筋膜痛) II型 顎関節痛障害 顎関節部の疼痛、運動時痛 滑膜、円板後部組織、関節靭帯、関節包の炎症 - Arthralgia(関節痛) - Headache attributed to TMD(顎関節症に起因する頭痛) III 顎関節円板障害 型 - Disc displacement with reduction(復位性円板変位) - Disc displacement with reduction with intermittent locking(間⽋的ロックを伴う復位性円板変位) 関節円板の位置‧形態異常 復位性:開⼝時クリック⾳ ⾮復位性:開⼝障害 - Disc displacement without reduction with/without limited opening(開⼝制限を伴う/伴わない⾮復位性円板変 位) IV型 変形性顎関節症 関節表⾯の変性‧破壊 関節雑⾳(クレピタス) 画像診断:⾻棘、平坦化、びらん 【参考⽂献】 ‧ 【 ⽇本 疫顎 学関デ 節ー 学タ 会】 「顎関節症の病態分類 2013」 「顎関節症治療の指針2024(案) 」p.10-11 - Degenerative joint disease(変形性関節症) - Subluxation(亜脱⾅) 【診断精度】
TMDの状態分類:初期 vs 慢性 顎関節症(TMD)は症状の持続期間によって「初期」と「慢性」に分類され、治療アプローチが異なります。国際的なガイドラインでは3ヶ⽉を境界としています 。 分類基準 初期TMD 慢性TMD 持続期間 発症から3ヶ⽉未満 3ヶ⽉以上持続 有病率 全体の約70% 急性TMDの約30%が慢性化 - 痛みと機能障害が主体 - 中枢性疼痛機序の関与 - ⼼理社会的因⼦の影響⼤ 主な特徴 治療アプローチ - 組織損傷と炎症 - 保存的治療で改善することが多い - 併存症が多い(頭痛‧睡眠障害など) - セルフケア - 認知⾏動療法 - 疾患教育 - 保存的治療(スプリントなど) - 理学療法/運動療法 - 多⾯的アプローチ 慢性化のリスク因⼦ リスク因⼦ 相対リスク ⼥性 男性の約2倍 【参考⽂献】 ⼼理的ストレス 2.1倍 ‧ B M J 2023「Management of chronic pain associated with temporomandibular disorders」 ‧ ⽇本顎関節学会「顎関節症治療の指針2024(案) 」p.9-10 【統計データ】 慢性TMDの43%に中等度抑うつ(95%CI: 36-50% ) 60%に中〜重度の⾝体化症状(95%CI: 52-67% ) 慢性TMDの5年後経過:約50%が完全回復、16%は痛み増悪
TMDリスク因⼦‧疫学統計 顎関節症(TMD)の発症‧慢性化には様々なリスク因⼦が関わっています。⽇本と国際的な調査データを⽐較して⽰します。 1. 性別‧年齢別有病率 調査項⽬ 調査地域 全体 男性 ⼥性 好発年齢 顎関節雑⾳ ⽇本(厚労省2016) 15.0% 11.6% 17.7% 20-40歳代 顎関節痛 ⽇本(厚労省2016) 3.3% 2.6% 3.9% 20-40歳代 就労者スクリーニング ⽇本(東京都2005-06) 約20% 14.6% 21.2% 30-39歳 慢性TMD 国際データ(BMJ 2023) 6-9% 3-5% 9-12% 30-50歳代 TMD全般 世界平均(Meta-analysis 2024) 8.5% 4.1% 12.9% 20-45歳 2. ⼼理社会的要因と相対リスク ⽇本の調査(⽇本顎関節学会2024) 国際データ(BMJ 2023, Meta-analysis) ⼼理社会的要因 相対リスク/関連 ⼼理社会的要因 有病率/影響 ⼼理的ストレス 2.1倍 中等度抑うつ 43%(95%CI: 36-50% 不安/抑うつ状態 2.4倍 )中〜重度の⾝体化症状 60%(95%CI: 52-
顎関節症の保存治療の全体像 顎関節症の治療は⾮侵襲的‧可逆的な保存療法から開始し、症状や病態に応じて選択します。初期から慢性まで幅広く対応可能な保存療法の種類と適応を以下に ⽰します。 保存治療の種類 概要 主な適応 エビデンスレベル 患者教育‧説明 病態説明、予後説明、⾃⼰管理の重要性、不必要な 医療介⼊の回避 全ての顎関節症患者(初期〜慢性) ⾼ セルフケア指導 ⾷事‧咀嚼法の指導、姿勢改善、ストレス管理、睡 眠衛⽣の改善 全ての顎関節症患者(初期〜慢性) 中等度 理学療法 温熱‧冷却療法、マッサージ、電気刺激療法、超⾳ 波療法 主に筋痛障害(I型) 、初期〜慢性 中等度 運動療法 ⾃⼰開⼝訓練、ストレッチング、トリガーポイント 療法、姿勢改善運動 I型、III型(主に急性期、慢性期も有効 中等度 スプリント療法 薬物療法 ⼼理療法 スタビリゼーション型(平⾯型)スプリント、下顎 位調整、フルカバレッジ型 NSAIDs(短期) 、筋弛緩剤、抗うつ剤(慢性期) 、 局所塗布剤 認知⾏動療法(CBT) 、リラクセーション、バイオフ ィードバック、マインドフルネス ) I型、ブラキシズム、II型(急性期 慢性期: ⾼ 低 〜 ⾮常に低 ) I型、II型(急性期〜慢性期 中等度 ) 慢性痛、⼼理社会的因⼦が強い症例 慢性期: ⾼
初期症状(急性TMD)保存的治療の概要 顎関節症の初期症状(発症から3ヶ⽉未満の急性期)では、⾮侵襲的‧可逆的‧保存的治療を第⼀選択として⾏います。「正当化できる特定の証拠がないかぎり、保 存的で可逆的かつ証拠に基づく治療法を第⼀選択とする」 (AADR声明)が国際的合意です。 治療カテゴリー 教育 疾患説明 具体的⽅法 ポイント‧効果‧データ エビデンスレベル - 病態と⾃然経過の説 患者の不安軽減と適切な疾患理解が治療効果を向 上。 中等度 明 - 症状の変動要因の解説 - 予後良好な疾患であることの説明 - 治療ゴールの明確化 - 軟⾷‧⼩さく噛む - 開⼝制限(⼤きなあくび回避) ⾃⼰管理 セルフケア - ⻭の接触癖の是正 - 咬筋緊張の認識と緩和 - 睡眠環境の改善 物理療法 咀嚼筋理学療法 薬物 短期間の鎮痛薬 データ: 初期治療のみで75-90%が改善または管理可 GRADE: 中等度確実 能に 性 ⾃⼰管理が治療の中⼼。⽇常⽣活上の管理が症状 改善に重要。 ⾼ データ: セルフケア指導群は対照群より48.4%症状改 GRADE: 強い推 善率向上(⽇本顎関節学会データ) 奨 - 温罨法/冷罨法(15分間) - ⾃⼰マッサージ(咬筋‧側頭筋) 温熱は筋緊張緩和、冷却は急性炎症期に有効。 - ストレッチ(開⼝訓練) データ: ⾃⼰開⼝訓練の有効率60-70%(⽇本顎関節 - 筋弛緩訓練 - ⾃⼰開⼝訓練 学会) 、⾃⼰マッサージは1⽇2〜3回の頻度が推奨 - NSAIDs(⾮ステロイド性抗炎症薬 急性症状の緩和⽬的で短期間使⽤。⻑期使⽤は避 ける。 中等度 データ: 短期NSAIDsはプラセボ⽐VAS平均1.1点改善 GRADE: 短期使⽤のみ推 -)アセトアミノフェン - 筋弛緩薬(補助的) - 外⽤消炎鎮痛剤 (10点満点) 、胃腸障害リスク5%程度 中等度 GRADE: 弱い推 奨 奨
初期治療の推奨とエビデンス(データ表) 初期治療のポイント 推奨度 エビデンス確実性 (GRADE) ⾃⼰開⼝訓練 弱い推奨 ⾮常に低 初期治療の原則:「保存的‧可逆的‧証拠に基づく治療を第⼀選択とすること が強く薦められる」 (AADR TMD基本声明 2010) スタビリゼーション型スプリン ト 弱い推奨 ⾮常に低 多くの保存的療法が侵襲的治療法と同等以上の効果をもたらし、害のリスク が少ない 低出⼒レーザー療法 弱い推奨 ⾮常に低 セルフケア指導‧⽣活習慣改善 強い推奨 中等度 咀嚼筋マッサージ‧ストレッチ 強い推奨 中等度 短期間NSAIDs(疼痛時) 弱い推奨 中等度 咬合調整(初期治療では) 強い否定推 奨 初期治療法 エビデンスデータ概要 ⾃⼰開⼝訓練の有効率:約60-70%(⽇本顎関節学会) スプリントの無作為化⽐較試験:プラセボより若⼲有効(Riley et al. 2020) ⽇本での床副⼦使⽤:年間約50万件(顎関節症関連) 咬合調整(初期治療としては不適切) :不可逆的変化リスク 治療選択の考慮事項 低 GRADE評価:Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation 治療推奨とエビデンスの質を評価する国際的⼿法 【参考⽂献】 ‧⽇本顎関節学会「顎関節症治療の指針2024(案) 」p.20, 49 ‧⽇本顎関節学会「顎関節症初期治療診療ガイドライン2023改訂版」 ‧Riley P, et al. Oral splints for temporomandibular disorders. Cochrane Database Syst Rev. 2020 効果の⼤きさ ⾃覚的改善度 安全性 有害事象リスク 実施可能性 技術‧設備要件 費⽤対効果 治療費と効果⽐
初期治療の適応‧ 注意点 顎関節症の初期治療は、⾮侵襲的‧可逆的な保存治療が原則です。治療期間の⽬安を理解し、適切なタイミングで専⾨治療への移⾏判断が重要となります。 初期治療のタイムライン 治療移⾏フローチャート 期間 アクション 初診時 診断‧⾃⼰管理指導開始‧初期治療計画 2週間後 第⼀回評価‧治療継続判断 1か⽉後 改善なければ治療法再考または専⾨医紹介検討 3か⽉後 効果不⼗分の場合は専⾨治療へ移⾏必須 (MRIなど精密検査‧他科連携など) (限界点) データ:初期治療の効果 約75〜90%の患者が初期治療のみで改善または症状が管理可能に 初期症状の約10-25%が慢性化(治療反応不良) 1 初期治療開始 2 2週間〜1か⽉後の評価 3 3か⽉評価(限界点) 4 専⾨治療(必要に応じて) 教育‧セルフケア‧理学療法‧薬物療法など 症状改善あり → 治療継続 改善なし → 治療法調整または専⾨医相 談 改善⼗分 → 維持療法へ 改善不⼗分 → 専⾨治療への移 ⾏ 精密画像診断‧⾼度医療連携‧専⾨的処置 初期治療で避けるべき処置 不可逆的治療は原則として初期治療で実施しない 避けるべき処置 理由 エビデンスレベル 咬合調整(削合) 不可逆的変化‧エビデンス不⾜‧初期治療での有効性低い 強い否定推奨 永久的咬合変更 不可逆的‧エビデンスなし‧費⽤対効果低い GRADE 1D 強い否定推奨
慢性痛TMDの全体像(治療パスの流れ) 慢性痛TMD(3ヶ⽉以上持続)は初期症状と異なる治療戦略が必要です。最新の国際ガイドラインでは、⼼理社会的アプローチを含む複合的治療が強く推奨されて います。 BMJ 2023 慢性TMD痛治療アルゴリズム 1. 評価 2. 強推奨治療 3. 条件付き推奨 慢性痛の確認 (≥3 ヶ⽉持続) CBT/CBT+バイオフィードバック マニピュレーション セラピスト介⼊運動療法 トリガーポイント療法 CBT+NSAIDs 2. 多職種連携 3. 複合的介⼊ 4. 継続⽀援 理学療法⼠ 理学療法‧⼼理療法 ⼼理⼠‧⻭科医‧医科 疼痛教育‧⾃⼰効⼒感向上 定期的再評価 ⻑期的管理戦略 機能障害‧⼼理社会的要因評価 NHS 2024 鍼治療 4. 再評価‧ 調整 効果不⼗分なら次段階へ 専⾨医紹介‧治療調整 慢性TMD痛治療アプローチ 1. 多⾯評価 ⼼理社会的評価 機能障害レベル確認 スクリーニング(PHQ-4等) 慢性痛TMDに対する推奨治療とエビデンス 治療要素 具体的アプローチ - 痛みの捉え⽅の修正 認知⾏動療法 (CBT) CBT増強型療法 - 思考パターンの再構築 効果量(VASスケール) -1.78cm - ストレス管理‧対処法 (MIDの約1.8倍 ) - バイオフィードバック併⽤ -2.62cm - リラクセーション技法併⽤ (MIDの約2.6倍 エビデンス確実性 中等度 中等度
慢性痛TMDの推奨治療⼀覧と⽐較 治療法 認知⾏動療法(CBT) + バイオフィードバッ ク 推奨度 エビデンス確実性 効果量 (VAS改善幅) 慢性痛TMD治療のエビデンス BMJのネットワークメタアナリシスから : 強い推奨 中等度 -2.62cm BMJ 2023年の系統的レビューとネットワークメタアナリシス(153試験、8,713⼈)で は、保守的治療アプローチ(特にCBT、運動療法)が慢性痛TMDに対して最も確実なエ ビデンスを持つことが⽰されています。 セラピスト介⼊による 顎運動療法 強い推奨 マニュアル‧トリガー ポイント療法 強い推奨 管理下での 姿勢運動療法 認知⾏動療法(CBT) 単独 中等度 -2.47cm 主な知⾒ 強い推奨 中等度 ⾼ -2.21cm -1.85cm CBT+バイオフィードバック/リラクセーション療法が最⼤効果(MIDの約2.6倍) セラピスト介⼊顎運動とマニュアルTP療法も⾼効果(MIDの約2倍以上) 保守的治療と侵襲的治療を⽐較すると、副作⽤リスクを考慮すれば保守的治療が優位 強い推奨の治療は全て保守的アプローチであり、重⼤な有害事象リスクが極めて低い 治療効果の視覚的⽐較 強い推奨 中等度 -1.78cm CBT+補助療法:-2.62cm セラピスト介⼊運動:-2.47cm 顎運動+ストレッチ (トリガーポイント療法 併⽤も) 強い推奨 通常ケア (教育‧⾃宅運動等) 強い推奨 中等度 マニピュレーション 条件付き推奨 低 不明確 鍼治療 条件付き推奨 低 不明確 中等度 -1.56cm CBT単独:-1.78cm 通常ケア:-1.31cm -1.31cm MID(臨床的最⼩有意差): 1.0cm 実施上の注意点 CBTと運動療法は患者の能動的参加が必要
慢性痛治療のエビデンス‧副作⽤データ 慢性TMD疼痛の効果量データ(VASスケール) 有害事象のリスクマトリクス CBT増強型:-2.62 cm 中等 度 有害事象の リスク 顎運動療法:-2.47 cm 中等度 トリガーポイント療法:-2.40 cm 中等 中 ⾼ ー ー 通常ケア ⾃⼰管理 短期薬物 鍼治療 ー スプリント 単独療法 関節内注射 関節腔洗浄 外科的処置 オピオイド 低 → 度 CBT CBT単独:-1.83 cm ⾼ 運動療法 姿勢運動療法:-1.71 cm 中等度〜⾼ 顎運動‧ストレッチ:-1.56 cm 中等度〜⾼ 通常ケア:-1.31 cm 中等度 効果 ↑ MID 1.0cm スプリント単独:-0.92 cm 低 注:VAS(Visual Analogue Scale)は10cmスケール。MID(最⼩臨床的有意差)は1cm 治療法別有害事象リスク 治療カテゴリー 保守的療法 (CBT‧運動療法) 薬物療法 (短期NSAIDs等 ) 薬物療法 (⻑期NSAIDs‧オピオイド 有害事象 リスク頻度 軽微 1%未満 (⼀時的不快感) リスク‧ベネフィットの重要ポイント 保守的療法(CBT、運動)は⾼い効果と最⼩限の副作⽤ 慢性痛の患者は⼩さな改善(VAS 1cm以上)でも価値がある 侵襲的治療の効果は保守的治療と同等かそれ以下 中程度 重度 5-10% ⻑期薬物療法‧外科的処置は重⼤な有害事象のリスクあり (胃腸障害等) 15-30% (依存‧出⾎等) BMJネットワークメタアナリシスのエビデンス 対象: 主要アウトカム:
初期治療と慢性痛治療の総合⽐較 初期症状(3ヶ⽉未満) ⽐較項⽬ 疾患教育 主要治療法 筋‧関節ケア 装置療法 慢性痛(3ヶ⽉以上) 初期治療 顎関節症治療選択フローチャート 慢性痛治療 診断‧初期評価 基本的な病態説明‧安⼼付 与 詳細な慢性痛教育‧疼痛機 序説明 セルフケア指導‧⾃⼰開⼝ 訓練 認知⾏動療法(CBT) ‧⼼理 介⼊ ⾃⼰マッサージ‧ストレッ チ 専⾨家による運動療法‧TP 療法 スプリント(短期効果確 認) 限定的使⽤(補助的役割の み) 抗うつ薬(SNRI/TCA) ‧⻑期計画 薬物療法 短期NSAIDs‧対症療 法 効果評価期間 2週間〜1ヶ⽉ 3〜6ヶ⽉ 専⾨連携 3ヶ⽉経過後に検討 早期から多職種連携 1 詳細な病歴聴取‧診察 重篤疾患の除外(⾚信号サイン) 病型分類(I型〜IV型) 初期治療(3ヶ⽉未満) 2 症状改善の評価(2週間〜1ヶ⽉) 改善あり 改善なし/限定的 経過観察‧予防指導 必要に応じ間⽋的ケア 3ヶ⽉以上続く場合は慢性痛へ 治療アプローチ 初期治療 慢性痛治療 教育‧セルフケア 中等度 ⾼ 認知⾏動療法 低 ⾼ 専⾨的評価‧治療強化 経過観察 GRADE評価システム準拠 エビデンスレベル⽐較 ⾃⼰開⼝訓練 短期薬物療法 疾患説明‧教育 セルフケア指導 慢性痛治療(3ヶ⽉以上) 3 認知⾏動療法 マニュアルセラピー 治療選択の重要ポイント 多職種連携 ⻑期管理計画
ガイドラインが推奨しない治療 国内外の最新診療ガイドラインでは、以下の不可逆的処置や侵襲的治療について、効果の不確実性と潜在的な害のリスクから、強く推奨しないと明記しています 。 BMJ 2023 国際ガイドライン 学会 2024 ⽇本顎関節学会 治療法 学会 関節摘出術(ディスケクトミー) BMJ 学会 NHS NSAIDs+オピオイド併 ⽤ BMJ NHS 潜在的リスク リスク程度 エビデンス確実性 強い否定推奨 咬合の永続的変化、顎位置の不可逆的変化、⻭の移動‧傾 斜、開咬の発⽣ 重⼤ 中等度 強い否定推奨 顔⾯神経損傷、顎運動範囲の永続的制限、異常な関節動 態、術後感染 重⼤ 低 強い否定推奨 オピオイド依存‧中毒、胃腸障害、過量摂取リスク、呼吸 抑制 重⼤ 中等度 強い否定推奨 ⻭の構造の不可逆的損失、咬合関係の永続的変化、知覚過 敏 重⼤ 低 条件付き否定推奨 術後感染、瘢痕形成、⼀時的神経損傷、顎運動制限、不必 要な侵襲 中等度 ⾮常に低 条件付き否定推奨 依存性、認知機能低下、転倒リスク、⽇中の眠気、離脱症 状 中等度 低 咬合調整(削合) BMJ 学会 早期の外科的処置 BMJ 学会 NHS ベンゾジアゼピン系薬 BMJ 英国NHS 推奨度 不可逆的⼝腔スプリント BMJ NHS 2024
臨床家への実践提⾔‧まとめ 重要 保存的治療を第⼀選択に 「正当化できる特定の証拠がないかぎり、TMD患者の第⼀選択は保存的で可逆的かつ証拠に基づく治療法」 (AADR声明) 初期段階では⾃⼰管理‧教育‧セルフケア‧理学療法‧適切な薬物療法を組み合わせて活⽤ 慢性痛には認知⾏動療法やマニュアル‧トリガーポイント療法など、エビデンスの確実性が⾼い治療を優先 推奨 患者との共有意思決定 患者が理解できる⾔葉で病態と治療選択肢を説明し、期待できる効果と限界を明⽰ ⾃⼰管理の重要性を強調し、患者が主体的に治療に参加できるよう⽀援 注意 専⾨医連携の適切なタイミング 2週間〜1ヶ⽉、⻑くとも3ヶ⽉程度の初期治療で改善しない場合は専⾨医への紹介を検討 ⼼理社会的要因が強く関与する慢性痛例では、必要に応じて多職種連携を実施 推奨 根拠に基づく治療選択 最新のガイドライン‧システマティックレビュー‧メタアナリシスを参照 不可逆的治療(咬合調整‧外科処置‧⻑期オピオイド)は明確な根拠なく実施しない 【参考⽂献】 ‧T BM 20診 23療 「の Ma基 na本 ge原 me則 nt of chronic pain associated with temporomandibular disorders: a clinical practice guideline 」 MJ D ‧⽇本顎関節学会「顎関節症治療の指針2024(案) 」 可 逆 的 治 療 か ら 始 め 、 段 階 的 に ア プ ロ ー チ し 、2患 の訂 状 ‧⽇本顎関節学会「顎 関節症初期治療 診療ガイドライ ン 版態 」‧⼼理社会的要因‧併存症を考慮した個別化医療を提供。⻑期的な診療計画と定期的な再評価が重要。 02者 3改 ‧American Association for Dental Research (AADR), TMD Policy Statement, 2010