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December 30, 23
スライド概要
BMJから、Gyuatt先生も参加している、顎関節症の診療ガイドライン・NMAが報告されました。残念ながら、顎関節症は、3か月以上の慢性痛としてとらえているので、本邦の、一般開業医や、顎関節の専門でない、いわゆる総合病院の歯科口腔外科での患者層とは異なります。よって、これらの施設には、本邦のCPGとなります。しかし、今後、専門医などで、このSRを元に、本邦向けに本CPGを改変してもよいかもしれません(オピオイドなど、そのまま使えないと思う)。
Linked articles in this BMJ Rapid Recommendation cluster
CPG: Busse JW, Casassus R, Carrasco-Labra A, et al. Management of chronic pain associated with temporomandibular disorders: a clinical practice guideline. BMJ 2023;383:e076227 doi:10.1136/bmj-2023-076227
https://www.bmj.com/content/383/bmj-2023-076227
Summary of results from the Rapid Recommendation process
SR: Yao L, Sadeghirad B, Li M, et al. Management of chronic pain secondary to temporomandibular disorders: a systematic review and network meta-analysis of randomised trials. BMJ 2023;383:e076226 doi:10.1136/bmj-2023-076226
https://www.bmj.com/content/383/bmj-2023-076226.long
付録
https://www.bmj.com/content/bmj/suppl/2023/12/15/bmj-2023-076226.DC1/yaol076226.w1.pdf
結果の表(エクセルファイル4)
https://zenodo.org/records/7607558#.Y9_P1uyZM-Q
MAGIGIC: MAGICapp (https://matchit.magicevidence.org/230428dist-tmd)
Expanded version of the results with a multilayered recommendation, evidence summaries, and decision aids for use on all electronic devices
https://matchit.magicevidence.org/230428dist-tmd/#!/
顎関節症診療カイドラインBMJ版を読むための、 顎関節症を慢性痛と捉えるのが苦手な、口腔外科医による解説 <結果は、実際に読んで下さい> Linked articles in this BMJ Rapid Recommendation cluster CPG: Busse JW, Casassus R, Carrasco-Labra A, et al. Management of chronic pain associated with temporomandibular disorders: a clinical practice guideline. BMJ 2023;383:e076227 doi:10.1136/bmj-2023-076227 https://www.bmj.com/content/383/bmj-2023-076227 Summary of results from the Rapid Recommendation process SR: Yao L, Sadeghirad B, Li M, et al. Management of chronic pain secondary to temporomandibular disorders: a systematic review and network meta-analysis of randomised trials. BMJ 2023;383:e076226 doi:10.1136/bmj-2023-076226 https://www.bmj.com/content/383/bmj-2023-076226.long 付録 https://www.bmj.com/content/bmj/suppl/2023/12/15/bmj-2023076226.DC1/yaol076226.w1.pdf 結果の表(エクセルファイル4) https://zenodo.org/records/7607558#.Y9_P1uyZM-Q MAGIGIC: MAGICapp (https://matchit.magicevidence.org/230428dist-tmd) Expanded version of the results with a multilayered recommendation, evidence summaries, and decision aids for use on all electronic devices https://matchit.magicevidence.org/230428dist-tmd/#!/
CPG: Current practice 顎関節障害(TMD)は、顎、顔、首に痛みをもたらし、頭痛や耳痛などの 症状を引き起こすことがあります。 2014年にINFORMが、TMDの12のサブタイプを含む新しい診断基準が導 入されましたが、診断は主に患者の自己申告に依存しており、複数のサブ タイプに該当する患者が多いです。 米国国立衛生研究所は、TMDを正確に診断するための標準的なテストがな いと述べています。 急性TMDの30%が慢性化し、女性の方が慢性化するリスクが高いです。慢 性TMDの痛みは一般人口の6%から9%で見られ、うつ病や身体化症状など の心理的問題が頻繁に伴います。 診療ガイドラインの、この緒言の部分は重要で、本邦での顎関節症のイ メージと、海外でのイメージの違いを、理解することが必要である。例え ば、本邦の顎関節症の総論に、耳痛など、ほぼほぼ言及されない。
慢性TMDは、総合的な痛みの感受性、睡眠と集中力の困難、頭痛など、線維筋 痛症や慢性疲労症候群と共通する主要な症状を持ちます。そして、国際疼痛学 会は慢性TMDを主要な痛みの状態として分類しています。 TMDの原因は不確かであり、よく行われる診断画像(画像検査)は、偶発的な 所見をもたらし治療決定に影響を与えることがあります:症状のない場合でさ え、退行性関節の徴候がよくみられ、約三分の一の無症状患者に顎関節の円板 変位が発生しています。 特異的な特徴がないため、介入は症状管理に焦点を当てており、取り外し可能 な咬合スプリントは慢性TMDの痛みのための人気の治療となっています。しか し、2020年の系統的レビューは、口腔スプリントが無治療または最小限の治 療と比較して痛みを減少させるのに効果がないという、非常に低い確実性の証 拠を見つけました。 OPPERAコホートは、5年のフォローアップで慢性TMDの痛みの完全な寛解を 24%(189人中46人)報告していますが、フォローアップを失ったのは78% (855人中666人)でした。症状が解消された患者は、フォローアップ時に痛 みの大げさな考え方が顕著に減少していました。 この文章から分かることは、慢性のTMDを、慢性疼痛の疾患として捉えており、例えば、非復位性円板転位によるクローズドロックな どの、疼痛を伴い開口障害として特異的なイメージで捉えてないことが分かる。 そして、スプリント治療に対して、最初から否定的である。 痛みの大げさな考え方の最後に文章わかりにくいですね。「Patients whose symptoms had resolved at follow-up showed significant decreases in pain catastrophising.」<追跡調査時に症状が消失していた患者では、痛みに対する破局的思考が軽減(減 少)していた」と思われる。参考:痛みの破局化(pain catastrophising)とは、「慢性疼痛における破局化とは痛みに対して注意がと らわれることや無力感、そして痛みの脅威を過大評価することで特徴づけられる認知過程である (https://doi.org/10.15064/jjpm.50.12_1133)」。
TMDの臨床実践ガイドラインが5つ出ていますが、内容は一貫性がなく、 開発方法が不明瞭です。 2018年の韓国のものだけが系統的レビューを行っており、GRADEアプ ローチを使用したと報告していますが、問題が多いと指摘されている。 TMDによる慢性痛を持つ人々には多様な治療法が選べますが、治療の選択 に大きなばらつきがあると観察研究は示しています。歯科治療の科学的根 拠の確かさにかかわらず、歯科医が任意の治療を行うことが認められてい るため、TMD患者は単純で安価な治療から侵襲的で高価な治療まで、さま ざまな介入にさらされることがあります。 残念ながら、日本顎関節学会の診療ガイドライン(本邦CPG)の引用はない。 英語で、Googleで容易に検索されるが、PubMedに引用されないためと思 われる。韓国のCPGは、本邦CPGでも問題があると指摘しているが、同じ 意見のようだ。 このCPGの著者に日本のCPGもあるとメールしたが、返事はまだない。
CPG:開発プロセスについて 範囲とアウトカムの決定: 歯科医、一般内科医、口腔外科医、疼痛管理専門家などの健康管理専門家と、顎関節障 害(TMD)による慢性痛を経験している患者からなるガイドライン開発パネルが、推奨の範囲と患者にとって最も 重要な結果について合意しました。 系統的レビューとメタ分析: パネルは、慢性TMD痛の利点と害についての利用可能な治療法を評価するために系統 的レビューとネットワークメタ分析を実施しました。 パネルの形成: 専門家のパネリストは、専門的なネットワークやBMJからの提案を通じてリクルートされました。 患者パートナーはカナダ退役軍人のための慢性痛センターで特定されました。 オンライン会議: パネルは系統的レビューから得られた証拠を議論し、推薦を作成するために仮想的に会合しまし た。 利益相反の管理: パネルメンバーには財務上の利益相反はありませんでした。知的および専門的な利益相反は最小 限に抑えられ、管理されました。詳細はBMJのウェブサイトの付録で提供されています。 ガイドライン手順: 信頼性のあるガイダンスの作成を保証するために、BMJの迅速推奨手順に従いました。 痛みの緩和に焦点: パネルにとっての主要な関心事は痛みの緩和でした。 バランスを考慮する要因: 推奨事項を作成する際、パネルは各介入の利点と害のバランス、各アウトカムに対する 証拠の確実性、および患者の価値観と好みの予想される変動を考慮しました。また、介入の使用と受容性に関連す る実用的な考慮事項も考慮に入れました。 このあたりは、GRADEアプローチによる、診療ガイドライン作成のプロセ スそのままである。やはり退役軍人なのか~というのは、明らかに北米だ。
推奨には、強い推奨と条件付き推奨があり、ある行動方針に対する推奨と反対推奨がある。 強い推奨:十分な情報を得た個人のすべて、あるいはほとんどすべてが、推奨される行動方針を選択する ことになる。しかし、確実性の低いエビデンスに基づいて強い推奨がなされる5つのパラダイムシナリオが ある。そのようなシナリオの一つは、有益性の確実性が低く、重要な有害性のリスクが中程度から高い確 実性がある場合である。 条件付き推奨:十分な情報に基づいた個人の多くは提案された治療方針を選択するであろうが、そうでな い人も少なからず存在するため、臨床医は患者が自分の価値観や嗜好に沿った治療方針を決定できるよう 支援すべきである。条件付き推奨は、通常、介入の有益性と有害性が密接に一致している場合、または有 効性の確実性が低いか非常に低い場合に行われる。 強い推奨を行う場合:パネルメンバーの80%のコンセンサス 条件付き推奨を行う場合:過半数のコンセンサスを必要とした。 コンセンサスプロセスは、経験豊富な2人のガイドライン方法論者(JWB、TA)が監督した。パネルミー ティングでは、ベネフィットの確実性が中程度から高いもの(疼痛緩和または身体機能)、確実性が低い もの、有害性の懸念が低いものから高いものへと順次提示された。これによってパネルは、実際的な問題 や決定フレームワークに対するエビデンスの他の要素の検討とともに、同様の有益性と有害性を示す介入 について議論し、グループ化することができ、方向性と推奨の強さ(強く賛成、条件付き賛成、条件付き 反対、強く反対)ごとに介入のクラスターを特定することができた。 強い推奨と、条件付き推奨では、コンセンサスの人数が異なっているよう だ。また、後半のベネフィットの確実性が中程度から高いものなどの記載 方法は、GRADEアプローチによるNMAのまとめ方に準じており、NMAの もう一つの確実性の評価方法である、CINeMAでは、行うのが困難である。 BMJが、この方法をとるので、今後は、GRADEアプローチかな~。
CPG:エビデンス このレビューは、慢性的な顎関節症(TMD)に関連する痛みを持つ患者に対する59の治 療法の効果を調査しました。53研究・8713人。 研究は、一般的に30代の女性に焦点を当てており、ほとんどの試験では、TMDの混合型 を登録したか、どのサブタイプが含まれているかを特定していませんでしたが、詳細を 提供したものでは、最も一般的に登録されたTMDのサブタイプは筋肉痛でした。 研究の結果を基に、ガイドラインパネルは、痛みの軽減をはじめとする7つの主要な患 者にとって重要な成果を決定しました。ただし、有害事象に関する情報が不十分だった ため、専門家の意見を参考に、治療法に伴うリスクについても考慮しました。 Myalgia TMD: 38研究, 2406人 Internal derangement of the joint: 26, 1126 Degenerative joint disease: 11, 483 Unspecified or mixed types of TMD: 78, 4698 Myalgia TMD :RDC/TMD筋筋膜性疼痛とDC/TMD筋痛症 1.Pain Relief / 疼痛緩和 2.Physical Functioning / 身体機能 3.Emotional Functioning / 情緒機能 4.Role Functioning / 役割機能 5.Social Functioning / 社会機能 6.Sleep Quality / 睡眠の質 7.Adverse Events / 有害事象 本邦CPGでは単独療法のみであり、本CPGでは、慢性痛のみの症例、併用 療法・関節穿刺療法を含めているのが、根本的に異なる点ある。本邦CPG と同じく、症型分類がでなかった・有害事象に関する情報が不十分だった ようだ。それにしても、59の治療法を、53研究で解析するのは、問題があ ると思うのだが(思うだけではだめで、SR論文を評価しないといけない)。
CPG:推奨 プラセボやシェード治療との比較において、その強さと方向性により4つの推奨セットに分類された。重大なアウトカムは、疼痛緩和。 確実性が不確実なのに、強い推奨を行った:パラダイムシナリオ(すなわち、有益性の確実性が低く、重篤な有害性の可能性があると いう確信)に基づいて、強い推奨を正当化した。 推奨のカテゴ リー 介入 痛み緩和効果 (10cmスケール) エビデンス の確実性 強い推奨 認知行動療法(バイオフィードバックやリラクゼーション療法の有無にかかわら ず) セラピスト支援によるモビリゼーションtherapist-assisted mobilisation 徒手的トリガーポイント療法manual trigger point therapy 監視下姿勢運動supervised postural exercise 監視下顎運動とストレッチ(徒手的トリガーポイント療法の有無にかかわらず) 通常ケア(教育、自宅での運動とストレッチ、セルフマッサージ、市販鎮痛薬な ど) -1.31cm~-2.62cm 中等度から 高度 強い非推奨 不可逆的経口スプリントirreversible oral splints<詳細は、このCPGでは不明> 椎間板切除術discectomy オピオイドを併用したNSAIDs 不明 低いか非常 に低い 条件付き推奨 他の46の介入または介入の組み合わせ(例えば、removeable occlusal splint + beta blockerなど各種治療は、どこかでまとまって、removeable occlusal splint with or without co-interventionsとなっている(補足表20ぐらい?)) 不明 低いか非常 に低い MIDが、VASで1cmとしている。これは、本邦CPGの作成過程で、本当に議論になったが、最終的に合意されなかった。VAS値が1cm減少とい言う ことでなく、そもそも、介入後のVAS値そのものが、重要であるという議論がなされた。その結果、「些細な効果(a trivial to no effect)0-4.5mm、 小さな効果(small but important effect)4.5mm-15mm、中等度の効果(moderate effect)15mm-19.5mm、大きな効果(large effect) 19.5mm以上、害については同じ基準で正負が逆とする」が提案されたが、最終的には、同じVAS値であっても、最大痛・平均した疼痛など、質問 方法が異なっている事より、平均差でなく、標準平均差を利用してコーエンのdの評価としている。しかし、本CPGでは、慢性痛という考えより、顎 関節症と言うより、慢性痛は、MIDがVASで1cmの改善という、一般的によく使われている基準を採用しており、このあたりの考え方が、根本的に異 なっていたと考えられる。また、慢性の患者なので、疼痛のみというのは、理解はできるが、顎関節症で、それだけと言うのもな~。 また、不確実性で強う推奨になった根拠として、重篤な有害性の可能性とあるが、そのエビデンスも少ないため、本邦のCPGでは、強い非推奨は行っ てない。本CPGでも、「適格な臨床試験の中で有害事象に関する効果の報告が不十分であったため、われわれはパネルの臨床専門家に調査を行っ た。」とあり、それで、強い推奨で良いみたいだ。ともかく、害に関して重要視するのが、GRADEアプローチの本質なので、そうなのだろう。
CPG:推奨はどのような患者に適用されるのか? 本勧告は、顎関節症に続発する中等度の慢性疼痛(10cm疼痛スケールで4 ~6cm、持続期間3ヵ月以上)を有する成人患者に適用される。 急性顎関節痛(3ヵ月未満)の管理には適用されない。 いくつかの治療効果は、説明のつかない異質性が大きいため、評価は低く、 顎関節症のサブタイプによって、特定の介入による有益性が異なる可能性 を排除できない。 また、退役軍人(顎関節症を発症しやすいと思われる)、障害給付を受け ている患者、訴訟中の患者については報告していない。したがって、これ らの集団に対するわれわれの勧告の一般性は不確かである。 本邦CPGと異なり、「They do not apply to the management of acute TMD pain (<3 months duration).」とある。根拠となっている研究を全 て評価してないが、多くの研究が、3か月未満の症例を含むはずだが(記 憶では)、問題となるような気がする。
CPG:有益性と有害性の絶対値のサマリー (MAGICapp参照) ほとんどの介入に関する試験では有害事象に関する効果が報告されておらず、有害性に関するデータが報告されている介入のうち32% (59試験中19試験)のエビデンスは、ほとんどすべて確信度が非常に低いものであった。 そこでわれわれは、パネルの臨床専門家に有害事象の調査を行った。その結果、保存療法は軽微な有害性(運動後の一時的なこわばり、 鍼治療後の打撲など)のみと関連する可能性が高く、評価されたほとんどの薬物療法およびサプリメントも軽微な有害性と関連する可 能性が高いが、重篤な有害性(消化管出血、中毒、過量投与など)をもたらす可能性のある長期的なNSAIDsとオピオイドの併用は例外 であった。 我々の専門家は、関節穿刺やトリガーポイント注射のような侵襲的手技のほとんどは、中程度の害(局所感染など)の可能性と関連し ており、椎間板切除術や不可逆的スプリントは、重篤な害(永久的な可動域の変化、顔面神経衰弱など)をもたらす可能性があると考 えた。 次に、プラセボ等との比較で、パネリストは次の評価を行った。 - 認知行動療法(CBT)にリラクゼーション療法やバイオフィードバックを加えたもの、セラピストによる顎運動療法、手技によるトリ ガーポイント療法は、顎関節症に関連する慢性疼痛の重症度を最も軽減し、最小重要差(MID)の2倍に相当する(GRADE中程度確実 なエビデンス)。 - CBT、監視下姿勢運動、監視下顎運動およびストレッチ、および通常のケアは、他の利用可能な治療法と比較して、顎関節症に関連す る慢性疼痛の重要な緩和をもたらすが、その程度は低く、MIDの1.5倍程度である(GRADE中等度~高確信度エビデンス)。 - 高~中程度の確実性のエビデンスで支持されているアウトカムについては、新たな情報によって解釈が変わる可能性は低い。 パネルは以下の点について確信が持てなかった: - 顎関節症に伴う慢性疼痛を抱える人々において、<上記以外の>他の利用可能な治療法を用いることで疼痛が改善するかどうか (GRADEエビデンスの確信度が非常に低い~低い)。 - 顎関節症に伴う慢性疼痛を管理するための利用可能な介入に関連する有害性(GRADEエビデンスの確実性が非常に低い~低い)。 有害事象の評価は、日本の専門医でも同じ可能性はある。しかし、関節穿 刺やトリガーポイント注射のような侵襲的手技の局所感染が中程度の害と あるが、頻度は、極めて低く、認識が異なる気がする。
CPG:価値観と好み 患者の価値観と好みを明らかにするための標準化されたプロセスを用いて、 パネルに調査を行った。 しかし、中等度または重篤な害のリスクが高いため、患者は侵襲的または 不可逆的な処置でMIDの3倍程度の痛みの改善を必要とする可能性が高い。 パネルは、価値観や嗜好は患者によって異なる可能性が高いことを認識し、 共有された意思決定の重要性をさらに強調した。 「MIDの3倍程度の痛みの改善を必要とする可能性が高い」というのは先 のスライドでも述べたが、VASで1cmは、さすがに小さいので、このよう な意見があるのは、当然と思う。でも、これは、推奨に反映されているの だろうか。判断できなかった。 上の文章を読むと、どうして、強い推奨にはならない気がするが・・・。
CPG: Practical issues and other considerations・Costs and resources 本ガイドラインの根拠となったほとんどの臨床試験(134/153;88%)は、高所得国 または中所得国で実施された。本ガイドラインのエビデンスとなったほとんどの臨床試 験(134/153;88%)は、高所得国または中所得国で実施された。 推奨される各介入は、臨床医による管理を必要とし、アクセスと患者の参加に依存し、 患者が負担する費用を伴う可能性がある。32の無作為化試験のシステマティックレ ビューによると、セラピストがサポートする遠隔CBTは、さまざまな精神疾患や身体的 愁訴に対して、対面での治療と同等の効果があることが確実性の高いエビデンスとして 示されている。 また、世界保健機関(WHO)の世界口腔保健行動計画(Global Oral Health Action Plan)では、デジタルヘルスのアプローチが不平等を拡大しないよう、加盟国はデジタ ル技術を利用するためのアクセスと能力を強化すべきであると提案している。 勧告を策定する際、ガイドライン委員会は、社会よりも患者の視点に重点を置いた。し かし、顎関節症に伴う慢性疼痛に対する介入策の入手可能性と費用の両方が、ガイドラ インの決定に影響を及ぼす可能性がある。顎関節症に伴う慢性疼痛に対する介入の有無 と費用は、意思決定に影響を及ぼす可能性がある。 ここは、その通りと思われる。
CPG:Box2: Practical issues concerning interventions for chronic pain associated with temporomandibular disorders (TMD コストとアクセス セラピストによる治療を受ける際、個人の健康保険がカバーしていない限り、または公 共の医療保険でこれらのサービスが提供されている地域に住んでいない限り、費用が障 壁になる可能性があります。 認知行動療法(CBT)へのアクセスは、セラピストがサポートする遠隔配信によって容 易になり、対面でのCBTよりも費用がかからず、同様に効果的である可能性が高いです。 患者の関与 CBTや監視下での運動などの積極的な介入には患者の遵守が必要です。治療の試みを始 める際には、実行可能性と患者の好みの両方を考慮するべきです。 有害な影響 運動やCBTによる重大な有害事象はまれです。 長期的なオピオイド、NSAIDs、侵襲的または不可逆的な処置は、重大で場合によって は壊滅的な害をもたらす小さなリスクが関連しています。 海外とは、NSAIDsに対する胃腸障害などの害の捉え方が、根本的に違い ます。日本では、整形外科などロキソプロフェンの長期投与など、一般的 であるが、海外では、びっくりされる。 本邦では、認知行動療法だけでなく、だらに多くの治療法に制限があるだ ろう。
CPG:今後の研究・教育から実践へ 意思決定者や将来のガイドラインに情報を提供するための主な研究課題は以下の通りである: - 顎関節症のサブタイプに基づく介入の治療効果に系統的な違いはあるか? - 顎関節症に伴う慢性疼痛に対する遠隔CBTは対面CBTと同程度に有効か? - 顎関節症に伴う慢性疼痛を対象とした介入は、エビデンス統合を行った臨床試験の中で報告が少なかった 患者にとって重要なアウトカム(具体的には、身体機能、役割機能(職場復帰を含む)、社会的機能、精 神的機能、睡眠の質、有害事象)に対してどのような効果があるか? 教育から実践に対しての共有方法 - 顎関節症に伴う慢性疼痛は一般的です。推奨事項を同僚とどのように共有すればよいでしょうか? - 通常のケア以外に、強力な推奨がある7つの介入があります。患者の参加とアドヒアランスを考慮した意 思決定をサポートするために、どのような情報を患者と共有できますか? - この論文を読んで、顎関節症に伴う慢性疼痛を抱える患者との相談の仕方を変えるような学びを1つ思い つきますか? 顎関節症のサブタイプに基づく介入の治療効果に系統的な違いはあるか? など、本邦CPGと同じ問題点である。CBTに対する推奨の考え方はありそ う。これも、「慢性痛」という概念からだろう。
CPG:作成に患者がどのように関わったか 顎関節症に伴う慢性疼痛の生活経験を持つ3人の患者が、ガイドラインパ ネルのフルメンバーであった。これらのパネルメンバーは、重要なアウト カムを特定し、価値観や嗜好に関する議論を行った。 患者のパートナーは、いくつかの保存的治療が疼痛緩和や機能改善におい て重要な純益を示す一方で、個々の患者は他の治療よりもある種の治療を 好む可能性があることに同意した。 このような好みは、費用や治療へのアクセスとともに、患者との意思決定 において考慮されるべきである。これらのパネルメンバーは、電話会議と 電子メールによる討論に参加し、すべての執筆基準を満たした。 「これらのパネルメンバーは、重要なアウトカムを特定し、価値観や嗜好 に関する議論を行った。」とあるが、最終的な推奨文の決定や承認にはた ずさわってないのか?疑問が残る。
SR:はじめに 顎関節障害(TMD)は、咀嚼筋や顎関節に痛みをもたらす病態のグループです。慢性 TMDは全成人の6~9%に影響し、12のサブタイプが提案されています。保存的治療は 顎運動や認知行動療法などを含み、侵襲的治療は関節穿刺や局所麻酔注射など、不可逆 的治療は関節手術などがあります。従来のネットワークメタ分析は、介入の有効性と安 全性を検討してきましたが、証拠の確実性や効果の大きさの評価が不十分でした。BMJ Rapid Recommendationsプロジェクトの一環として、MAGIC Evidence Ecosystem FoundationとBMJによる全介入のシステマティックレビューとネットワークメタ分析を 実施し、これらの限界に対処しました。 既存のNMAの問題点:「累積ランキング曲線下面積」(SUCRA)アプローチを使用し て治療法をランク付けすることが含まれますが、それはエビデンスの確実性と治療代替 案間の絶対差を無視している。また、特定の介入のカテゴリやTMDのサブタイプのみに 対処し、プールされた推定の報告が最適でない(例えば、共通のドメインを測定する異 なる器具を標準平均差としてプールする)。統計的有意差のみに焦点を当てて患者に とって重要な効果の大きさを考慮しない。エビデンスの確実性の評価が間違っている。 GRADEアプローチでは、SUCRAなどのランキングは、ランキングそのも のの確実性が不確実となるので、使用しないことを推奨している。よって、 本邦CPGも同じ立場である。
SR:ガイドラインパネルの関与 ガイドラインパネルの関与: 以下の監督:(1) 研究課題の定義、(2) インターベンションの分類、(3) アウトカム測 定の優先順位付け、(4) サブグループ分析の提案、および (5) プールされた効果推定値 に関連する精度の尺度が不正確であるかどうかの情報提供が含まれます。 パネルには8人の臨床専門家(一般歯科医2人(AC-L、CP)、 orofacial pain specialist(RC)、顎顔面痛の専門知識を持つ口腔外科医(JD)、口腔医(JMZ)、一 般内科医(MC)、臨床薬理学者(CS))と、8人の方法論者(そのうち4人はまた現場 の臨床医でもあります)、患者連絡専門家、および慢性TMD痛を抱える3人の患者パー トナーが含まれていました。 患者および公衆の関与: 3人の患者はガイドラインパネルの正式メンバーであり、アウトカムの選択と優先順位 付け、価値観と好みの評価、プロトコルへの重要なフィードバック、および体系的レ ビューとそれに関連するBMJ Rapid Recommendationの所見の解釈に貢献しました。 方法論者が、8名と多い。日本ではあり得ず。 orofacial pain specialistは 1名とのこと。
SR:検索・スクリーニング データソースと検索 経験豊富な医学図書館員(RJC)がデータベース固有の検索戦略を開発、洗練(付録1を 参照)し、MEDLINE、EMBASE、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature(CINAHL)、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、そしてSCOPUSを、創刊号から2021年5月まで検索しました。推奨事 項の策定後、私たちは検索を2023年1月まで更新しました。追加の適格な研究を探すた め、含まれる試験と関連するレビューの参考文献リストをレビューしました。 研究選択と適格基準 訓練を受けたレビューアのペアが、標準化されたパイロットテスト済みのフォームを使 用して、特定された引用のタイトルと抄録を独立してかつ二重にスクリーニングし、潜 在的に適格と思われる研究の全テキストを評価しました。意見の不一致は、コンセンサ スを得るための議論を通じて解決されました。文献スクリーニングを容易にするために、 オンラインの系統的レビューソフトウェア(DistillerSR、Evidence Partners、オタワ、 カナダ; http://systematic-review.net)を使用しました。 「After formulation of the recommendations, 」に追加とあるが、CPG の推奨を作った後に追加しているのか?レビューソフト利用料金、 Research Project 1か月160ドルで組織ならさらに高いようだ。
SR付録:検索式一部
SR:適格基準等(左当SR・右本邦CPG) ●Inclusion Criteria for Trials We included trials with adults (≥18 years old) with chronic TMD pain (≥3 months or defined as "chronic"). ●サンプル数:サンプルサイズの計算が行われていない(記載されていない)研究に関しては,1群 20症例未満を除外とする.サンプルサイズの計算が行われている場合は制限しない. ●患者集団(Patients: P):・18歳以上で人種および性別は問わない 私たちは、慢性TMDの痛み(≥3ヶ月または「慢 性」と定義)を有する成人(≥18歳)を登録した試 験を含みました。 ・日本顎関節学会の定義される病態診断(咀嚼筋痛障害,顎関節痛障害,顎関節円板障害)のいずれ かに相当するもの(DC/TMD, RDC/TMDは採用).ただし,頭痛を主症状とする場合は対象外 Participants were randomized to an active or alternative treatment, placebo, sham, or usual care. ・間欠ロックを伴わない関節雑音単独症状の場合は除外とする ・過去に他院にて顎関節症の治療を 行った経験については問わない ・う蝕,歯周疾患,歯牙欠損,不正咬合などの疾患と,それに対す る治療歴については問わない ・併存症(精神疾患、関節リウマチとその類似疾患)がある場合は除 外とする 参加者はアクティブな治療、代替治療、プラセボ、 シャム処置、または通常のケアにランダム化されま した。 ●治療介入(Intervention:I):基本的生活習慣の説明・ごく僅かな鎮痛剤の併用などを除き、併用 療法は除外とした。 Each treatment group had at least 10 participants. ①口腔内装置 ハードタイプ(スタビリゼーションタイプまたはリポジショニングタイプ)を対象と し,その他の口腔内装置(ソフトタイプ,ピボットタイプ,部分被覆タイプ)は対象外とする. 各治療群には少なくとも10人の参加者が含まれてい ました。 ②薬物療法 NSAIDs,アセトアミノフェンおよび筋弛緩薬を対象とする.:抗不安薬,抗うつ薬,抗 てんかん薬,漢方薬,および外用薬は対象外とする.また,薬物を用いた注射療法(トリガーポイン ト注射)も対象外とする. ●Review and Categorization of Interventions Clinical experts reviewed and categorized all interventions, blinded to study results, and excluded those not currently in use. ③運動療法 医療者が行う運動療法(マニピュレーション)と患者自身が行う運動療法(円板整位運 動,関節可動化訓練,咀嚼筋ストレッチ),さらに患者自身が行うマッサージ療法を対象とする.ガ ムを用いた咀嚼訓練は対象外とする.なお,パンピングを併用したマニピュレーション治療も対象外 とする. 臨床専門家が全ての介入をレビューし、研究結果に 盲検されて分類しました。現在使用されていない介 入は除外されました。 ④理学療法 ソフトレーザー治療,TENS(マイオモニター)療法および冷温罨法を対象する.鍼治療 は対象外とする. Interventions labeled as "physiotherapy" were detailed and clustered based on their components, recognizing physiotherapy as a broad field, not a single treatment modality. 「理学療法」とラベル付けされた介入は詳細がレ ビューされ、「理学療法」が広範な分野であること を認識し、単一の治療法ではないことから、報告さ れたコンポーネントに基づいてクラスター化されま した。 ⑤認知行動療法 患者自身が取り組む認知療法(行動療法含む)を対象とする.機器を用いたバイオ フィードバック療法は対象外とする. ⑥咬合治療 天然歯を対象とした咬合調整を対象とし,治療直後の補綴装置に対する咬合調整や補綴 治療,および矯正治療は対象外とする. ●比較対照(Comparator:C):無治療,前述した治療介入,または前述した治療介入以外の治療 ●評価期間(Timing: T):最低でも1か月以上の時点で評価を行っている研究
SR:irreversible oral splintsとは? CPG論文で強く推奨しないという、 irreversible oral splints が本邦の訳語がないので、SUPPLEMENT TABLE 5の各研究の介入についてのサマリーより、GPT-4を使ってまとめると: 不可逆的口腔スプリントは、患者の咬合や顎の位置を改善するために使用される硬質プラスチック製の装 置です。これらは常時装着するための設計がなされており、以下のような特徴を持ちます: 不可逆的ハイドロコロイド印象を基にデンタルストーンで型取りし、専用装置で咬合登録を行う。 CAD/CAM技術により設計・製造され、デジタルデザインや3Dプリント技術を活用する。 前方再配置スプリントは顎の位置を調整し、痛みを軽減する目的で下顎を覆う。 ピボットスプリントは下顎の前方回転を助け、顎関節の位置を調整する。 柔らかい咬合再配置スプリントは非毒性デンタルアクリルを使用し、不正咬合に合わせて個別に作成され る。 装着は昼夜通じて行われ、特定の期間や指示に従って使用される。 どうも、前方整位型スプリントや、ピボットスプリント、咬合を再配置す るというスプリントのようだ。
SR:データ抽出・RoB 2人1組のレビュアーが、対象となる各論文から独立して以下のデータを抽出した:試験の特徴(書誌情報、起源国、資金源 など)、参加者の特徴(サンプルサイズ、参加者の年齢と性別、顎関節症のサブタイプ、痛みの重症度、痛みの持続時間な ど)、介入と比較対照の特徴。 IMMPACT (http://www.immpact.org/) 勧告の指針に従って、疼痛、身体機能、情動機能、役割機能、社会機能、睡眠の 質、有害事象など、患者にとって重要なすべての転帰のデータを抽出した。 追跡期間が異なる試験については、報告された最長追跡期間のデータを抽出した。 バイアスリスク評価:2人1組のレビュアーが、Cochrane risk of bias instrumentを用いて、適格試験におけるバイアスの リスクを独立に評価した。査読者間の意見の相違は、議論を通じて解決した。 上記のすべての領域が低リスクまたはおそらく低リスクと判定された場合、全体的なバイアスのリスクを "低 "と評価し、そ うでない場合は全体的なバイアスのリスクを "高 "と評価した。盲検化が不可能な介入、および盲検化が唯一の基準を満たし ていない介入については、患者、医療提供者、アウトカム評価者が盲検化されている試験と盲検化されていない試験との間 で推定治療効果に系統的な差がないことを示した先行メタ疫学研究を参照し、全体的なバイアスのリスクを "おそらく低い " と評価した。 先行メタ疫学研究:●Moustgaard H, Clayton GL, Jones HE, et al. Impact of blinding on estimated treatment effects in randomised clinical trials: meta-epidemiological study. BMJ2020;368:l6802. ● Page MJ, Higgins JP, Clayton G, Sterne JA, Hróbjartsson A, Savović J. Empirical evidence of study design biases in randomized trials: systematic review of meta-epidemiological studies. PLoS One2016;11:e0159267. ● Dechartres A, Trinquart L, Faber T, Ravaud P. Empirical evaluation of which trial characteristics are associated with treatment effect estimates. J Clin Epidemiol2016;77:24-37. ● Armijo-Olivo S, Fuentes J, da Costa BR, Saltaji H, Ha C, Cummings GG. Blinding in physical therapy trials and its association with treatment effects: a meta-epidemiological study. Am J Phys Med Rehabil2017;96:34-44. ● Saltaji H, Armijo-Olivo S, Cummings GG, Amin M, da Costa BR, Flores-Mir C. Influence of blinding on treatment effect size estimate in randomized controlled trials of oral health interventions. BMC Med Res Methodol2018;18:42. ブラインドが不可能な研究は、このようにしているのは、知らなかった。疼痛と身体機能について、具体 的にどのような評価か記載が、ここにはない(身体機能のみ次スライド・疼痛は不明)。
SR:Data synthesis 複数の試験で報告されたすべての患者にとって重要なアウトカムについて、直接比較のメタ分析に DerSimonian-Lairdランダム効果モデルを用いた。 疼痛と機能については、共通の構成要素を捉えた異なる測定尺度を用いて効果推定値を報告した研究につ いては、領域ごとに治療効果を共通の測定尺度スコアに変換した(付録2)27。 文献27 Thorlund K, Walter SD, Johnston BC, Furukawa TA, Guyatt GH. Pooling health-related quality of life outcomes in meta-analysis-a tutorial and review of methods for enhancing interpretability. Res Synth Methods2011;2:188-203. 具体的には、疼痛強度を疼痛の10cm視覚的アナログスケールに変換し、身体機能を36項目のShort Form Survey(SF-36)の100点身体構成要素サマリースコアに変換した。 次に、患者間のばらつきに対処するため、ベースラインから追跡終了時までの変化スコアを用いて、加重 平均差と関連する95%信頼区間を算出した。著者が変化スコアを報告していない場合は、ベースラインと 試験終了時のスコア、およびバイアスリスクの低い試験で報告された関連する標準偏差と中央値相関係数 を用いて推定した。中央値、範囲、サンプルサイズが報告されている場合は平均値と標準偏差を、差の標 準誤差や標準偏差が報告されていない場合は標準偏差をインプットするために、Cochrane Handbook28 とHozo et al29に記載されている方法を用いた。 文献29:Hozo SP, Djulbegovic B, Hozo I. Estimating the mean and variance from the median, range, and the size of a sample. BMC Med Res Methodol2005;5:13. 本邦CPGは、追跡終了時の値そのものが、改善に達するかどうかが重要と考え、変化スコア を用いてない。また、変化スコアの無い場合、中央値相関係数を用いてとあり、コクランハ ンドブックにも記載があったが、相関係数が研究から計算できないと判断したが、本SRのが 専門の方法論者が多いので、できるのだろう。身体機能は、SF-36からで、最大開口域でない。
2値アウトカム(すなわち有害事象)は、オッズ比および95%信頼区間としてプールした。直接比較のため に少なくとも10件の試験が利用可能な場合、二値転帰についてはHarbordの検定、連続転帰については Eggerの検定を用いて小規模研究効果を評価した。 さらに、介入の有効性を知らせるために利用可能な試験が1件しかなく、大きな有意効果を報告している場 合、小規模研究効果によるバイアスのリスクが高いエビデンスとみなした。 10以上の試験がデータを提供しているアウトカムについてネットワークを構築した。ネットワークがまば らな場合、対照ベースのランダム効果モデルは、直接推定と間接推定が首尾一貫していても、ネットワー ク推定値の信頼区間が信用できないほど広くなることがある(つまり、ネットワーク推定値の信頼区間が、 直接効果と間接効果に関連する精度の推定値の両方よりも広くなる)。 我々は、"design-by-treatment "モデル(global test)を用いて、各ネットワークのコヒーレンス仮定を 評価した。我々は、side-splitting法を用いて、直接的エビデンスと間接的エビデンスの差として、ネット ワークの各閉ループにおける局所的(ループ固有)インコヒーレンスを評価した。 平均差は、臨床医や患者を含む知識利用者に誤解されがちである。 したがって、連続的なアウトカムにつ いては、解釈可能性を最適化するために、最小重要差(MID)を達成するためのリスク差をモデル化する ために、治療効果のネットワーク推定値を使用した。疼痛緩和については10cmの視覚的アナログスケール で1cmをMIDとし、身体機能については100点満点のSF-36身体要素サマリースコアで5点をMIDとした。 基準治療(プラセボ/シャム)の中央値と標準偏差を使用し、問題のアウトカムについて確立されたMIDを 用いて、基準治療で≧MIDを達成する確率をモデル化した。次に、プール平均差を用いて治療群の平均を推 定し、治療群で≧MIDを達成する確率を算出した。最後に、両群の計算された確率を用いて、≧MID達成の リスク差を求めた。 統計学者でないと、理解が困難な文章である。特に、結果の文章に影響す るのは、下線の文章であり、これは、ある程度理解しないといけないため、 次のスライドで解説。
SR:平均差は、誤解が多いのでリスク差とする計算方法のイメージ Thorlund K, Walter SD, Johnston BC, Furukawa TA, Guyatt GH. Pooling continuous outcomes in meta-analysis: a comprehensive review of methods for enhancing interpretability. Res Synth Methods 2011;2:188–203.のii-a) Conversion to probabilities and risk difference or number needed to treatの所と思われる。 基本は、各トライアルについて、対照群と介入群で最小臨床重要差(MID)以上の治療効果が発生する確 率pCi = 1- Φ( (MID-mCi)/sdCi) , pEi = 1- Φ( (MID-mEi)/sdEi)(8) を計算して、確率を引き算して、リ スク差(RD)を算出する。Φ is the standard normal cumulative distribution function. イメージは、VASの値が正規分布のベル型をイメージしながら次のように考える(厳密には、まったく違 うが、ともかく、ここでは、イメージを持たないと、結果の文章が読めないので)。 プラセボ群の平均値が5で、MIDが1cmならば、(5-1)/SDで、Z-scoreになる。Zスコアに対応する確率 が、図の(#)の面積となり、それを標準正規分布から計算。エクセルなら、=NORM.S.DIST(A1, TRUE)。 そうすると、プラセボ群で、MIDに達していた人数の確率・リスク・何%(すなわち(#))が算出され る。 これを、介入群でも行なう。 そして、介入群(例えば50%)と プラセボ群(例えば30%)の、おのおのMID に達していた人が何%だったかを、引くと、 リスク差(例だと20%)が算出される。 1cm (#) 5cm この面積(#)が、平 均5cmでSD*の集 団が、MIDの1cm に達していた、割合 となる かなり正規分布という仮定が厳しい・・・。現実では、さすがに、、、数字がどこまで正しいか???? と疑問視されます。そもそも、直接比較は可能だが、NMAでどのように計算したのか不明でした。
SR:介入の分類 最小限の文脈に基づく枠組みは2つの原則に基づいている: 介入は、最も効果的または有害なものから最も効果的でないものまでカテゴリーに分類され るべきであり、介入をそのようなカテゴリーに置く判断は、同時に効果の推定値とエビデン スの確実性を考慮すべきである(BOX 2)。 疼痛緩和と機能改善については、以下のように介入のグループを作成した: (1)カテゴリー1:参照介入(プラセボ/シャム処置)およびプラセボと変わらない介入で、わ れわれはこれを「最も効果の低いもの」と呼ぶ; (2)カテゴリー2:プラセボより優れているがカテゴリー3の介入より劣る介入; および(3)カテゴリー3:少なくとも1つのカテゴリー2の介入より優れていることが証明され た介入。 有害事象についても同じアプローチを用いたが、介入のグループは以下のように設定した: (1)プラセボより有害でない; (2)カテゴリー3の介入より有害ではないが、プラセボより有害である; (3)少なくとも1つのカテゴリー2の介入より有害である。 必要に応じて、同じ方法で有益性または有害性の追加カテゴリーを作成した。有益性と有害 性の両方について、中等度または高度の確実性のエビデンスによって支持される介入と、プ ラセボ/シャム処置と比較して低度または極めて低度の確実性のエビデンスによって支持され る介入に分類した。 GRADEアプローチでは、このように、効果の大きさを重要視して、カテゴ リー化することで、NMAの複雑な結果を解釈する。
SR:Box 2 Classification of interventions using a minimally contextualised framework ステップ1.参考となる介入を選択する(「プラセボ/シャム」が参考となった)。 ステップ2. 参考文献との比較に基づいて介入をカテゴリーに分類する:カテゴリー1は、プ ラセボ/シャムと説得力のある違いがない、カテゴリー2以上は、プラセボ/シャムよりも有 効(または有害事象がある)。 ステップ3. カテゴリー2以上の介入を、介入のペア間の比較に基づいてさらに分類する。い ずれかの介入が他のカテゴリー2の介入よりも有効であることが証明された場合、その介入は より評価の高いグループ(カテゴリー3)に移された。カテゴリー3の介入を区別するために、 新たなグループ分けがなくなるまで、これと同じステップを実施した(カテゴリー3に少なく とも1つの他の介入より優れた介入があれば、それはカテゴリー4に移る)。 ステップ4. エビデンスの確実性に応じて介入を2つのクラスターに分ける:エビデンスの確 実性が高いまたは中程度、およびエビデンスの確実性が低いまたは非常に低い。 このような基準でカテゴリー化するが、これは、参考文献に手順が詳しく書い てあり、最近のNMAのGRADEアプローチのまとめでは、よく使われる。理解 までは、必要なく、こんな感じで、参考介入(本邦CPGでも同じ)をカテゴ リー化しているということを、何となくわかればよい。本邦CPGでも、同じよ うに行ったが、そもそも、エビデンスの確実性が非常に低くカテゴリーに分け るまでもなかったので、行ってないことになる。
SR:Subgroup analysis (1)顎関節症のサブタイプによって治療効果が異なる、 (2)バイアスリスクが高い試験と低い試験とでは治療効果が異なる、 (3)追跡期間が長い試験と短い試験とでは治療効果が異なる、 (4)障害給付を受けている患者や訴訟に関与している患者を登録している試 験とそうでない試験とでは治療効果が異なる。 各サブグループに2つ以上の研究がある場合にのみサブグループ分析を行 い、サブグループが互いに有意に異なるかどうかを確定するために交互作 用の検定を用いた。統計的に有意なサブグループ効果(交互作用の検定の P値<0.05)の信頼性は、Instrument to assessibility of Effect Modification Analyse(ICEMAN)基準を用いて評価した。 サブグループ解析は、間違いが多いので、ICEMANの基準で評価することが必要である。 しかし、そもそも、「(1)顎関節症のサブタイプによって治療効果が異なる、」は、サ ブグループでなく、本来は、これで行うべきであると考えて、本邦CPGでは、サブグ ループと考えずに始めた。しかし、結果として、研究数の関係で、症型分類が不可能で あった。この点は、本邦CPGの弱点ともいえる。と言っても、本SRのが良いかというと、 そんなこともないと考えている。
SR:Certainty of evidence 要約:GRADEアプローチを用いて、ランダム化試験の証拠の確実性を高い とし、バイアスや不正確さなどがある場合は下げます。証拠の確実性は、 直接・間接証拠の品質と一貫性に基づいて評価され、推移性と均等な効果 修飾因子の分布も考慮します。ネットワーク推定の確実性は、支配的な証 拠に基づいて開始し、不一致があれば下げられます。 エビデンスの確実性は、GRADEアプローチの方法に従ったとあり、詳細な記 載がある。本邦CPGでも同じ手順で行っている。しかし、本SRのが、エビデ ンスの確実性が高いので、それは、もう少し理由を探す必要がある。
SR:方法より、imprecisionの基準 英語が苦手で、以下のunlessのかかるところなどが分らず。以下の意味な のかな~。 Discounting imprecision associated with the direct estimate, which was assessed at the network level, as was incoherence. We judged network estimates as imprecise if the associated 95% confidence interval included decision thresholds chosen by the guideline panel: half the minimally important difference for continuous outcomes and the null value (odds ratio=1) for adverse events. We did not rate down for imprecision if the confidence interval excluded the decision threshold unless the comparison was statistically significant and informed by fewer than 400 observations for continuous outcomes or 300 events for binary outcomes. 95%信頼区間がガイドラインパネルが選んだ決定閾値を含む場合:ネットワーク推定値 を不精確さありと判断する。なお、閾値は、連続的な結果に対しては臨床最小重要差の 半分、有害事象に対してはヌル値(オッズ比=1)である。 95%信頼区間が決定閾値を除外している(含まない)場合:連続的な結果に対しては 400未満の観察、二項結果に対しては300未満の事象によって情報が提供されていない ならば、比較が統計的に有意であれば、imprecisionを下げる評価は行わない。 48 Guyatt GH, Oxman AD, Kunz R, et al. GRADE guidelines 6. Rating the quality of evidence--imprecision. J Clin Epidemiol2011;64:1283-93. 49 Guyatt G, Oxman AD, Kunz R, et al. Corrigendum to GRADE guidelines 6. Rating the quality of evidenceimprecision. J Clin Epidemiol 2011;64:1283-1293. J Clin Epidemiol2021;137:265.
SR:結果:データ抽出 9033件から233件(210件の臨床試験)がレビューの対象となった(図1)。 レビューのために8件の引用文献の全文を入手することができず、研究著者と連絡を取ろうと試みたがうま くいかなかった(付録3)。 24の試験は代理のアウトカム(受動的開顎、触診時の疼痛など)のみを報告し、23の試験は、臨床専門家 が折りたたむべきと助言した類似の介入(例えば、異なるタイプの取り外し可能な口腔スプリント、2針関 節穿刺対1針関節穿刺;いずれも異なる治療効果を示さなかった651)を比較したため観察データとなり、 10の試験は、現在の診療では通常利用できない介入を比較した(補表1)。 したがって、我々のメタアナリシスには、172の文献から153の研究が含まれ、慢性顎関節痛の患者8713 人が登録された。 2023年1月に更新した文献検索では、さらに13件の適格な試験が同定され、合計875人の患者が登録され たが、そのうちの4件は代理のアウトカムに対する治療効果のみを報告していた(補表2)。 ガイドラインパネルが推奨を策定するために使用したエビデンスとの一貫性を保つため、患者にとって重 要な転帰を報告した9試験の結果は、治療効果のプール推定値に含めなかった。 きわめて詳細な、スクリーニングの結果が記載されている。
SR:Study characteristics 研究の特徴レビューの対象となった研究は、23件の保存的介入、15件の薬理学的介入、7件の薬理学的介 入と保存的介入の組み合わせ、13件の補助的治療を伴うまたは伴わない外科的介入、およびプラセボ/シャ ム処置を評価した並行試験であった(補表3~5)。 組み入れられた試験のサンプルサイズの中央値は46(四分位範囲35~63)であり、患者の平均年齢の中央 値は35歳(30~39)であった。 ベースライン時の平均疼痛スコアの中央値は、10cmの視覚的アナログスケールで5.4cm(4.3-6.6)であ り、これは中等度の重症度の疼痛に相当する。 追跡調査の中央値は12週間(5-52)であった。ほとんどの臨床試験は、資金提供の詳細を明らかにしてい ない(44%)か、非産業界からの資金提供を宣言している(41%)、残りは資金提供なしと報告している (15%)(表1)。 半数の臨床試験(75/153、49%)では、特定の顎関節症の患者(筋筋膜性顎関節症(38/75、51%)が 最も多い)が登録されたが、残りの臨床試験(51%)では、顎関節症のサブタイプが混在して登録された り、患者における顎関節症のサブタイプの割合が報告されなかったりした(表1)。 退役軍人、訴訟に関与している患者、障害手当を受けている患者の登録を明確に報告した試験はなかった。 精神疾患を合併する顎関節症患者を除外した試験は全体のほぼ半数(47%)であり、そのような患者の登 録を報告した試験はわずか3件(2%)であった。 関節リウマチを合併している顎関節症患者(36%)、顎関節手術歴のある顎関節症患者(32%)、線維筋 痛症を合併している顎関節症患者(20%)を明確に除外した試験は全体の約3分の1であり、これらの疾患 を有する患者の登録を報告した試験は1件のみであった(補表6)。 付録参照とあるのでスライドで紹介。
SR:診断方法・痛みの期間・症型分類 RDC/TMDが72%だ。Reported a specific duration (median 42 months, IQR 13 to 65)とあるので、 別に3か月以上ののみ選んだのではなさそう。Haketa論文などを確認しても、組み入れ基準に慢性とない。
SR付録:NMAに含めた研究の症例の特徴・診断法もある 付録に、診断方法が各研究ごとに一覧になっていた。興味がある人は見ると面白い。
SR付録:治療法の詳細リストのConservative interventionsの付近 SUPPLEMENT TABLE 5. DESCRIPTIONS OF TRIAL INTERVENTIONS
SR:Risk of bias ほとんどの試験(133/153、87%)は、少なくとも1つの領域でバイアスのリスクがあっ た;118試験(77%)は無作為化順序を適切に作成し、78試験(51%)は割り付けを隠蔽し、 65試験(42%)は患者を盲検化し、48試験(31%)は医療提供者を盲検化し、65試験 (42%)はアウトカム評価者を盲検化した。ほとんどの試験(126;82%)は、20%未満の 転帰データの欠落を報告していた。全体的なリスクは、96試験(63%)で高いと評価され、 57試験(37%)で低いかおそらく低いと評価された(補表7)。
SR:ランキングとして GRADEアプローチでは、ランキングは使わず、このようなカテゴリー化を 行ない。それに従って、推奨の強さの判断を行なう。
SR:Pain relief 合計で、7867人の患者が参加し、59の介入を評価した148のRCTが疼痛に対する効果を報告した(図2)。 従来のペアワイズメタ解析に利用可能な2つ以上の研究がある31の直接比較において、11の比較で実質的な異質性(I2>70%)が認め られた(補足表8、)。全体的またはループ特異的なincoherenceの証拠は認められなかった(補表9)。 プラセボと比較して、8つの介入の疼痛に対する効果は、中程度から高い確実性のエビデンスによって支持された。疼痛緩和に対してお そらく最も有効な3つの治療は、認知行動療法(CBT)にバイオフィードバックまたはリラクゼーション療法を補強したもの(10cmス ケールで1cmの疼痛緩和における最小重要差を達成するためのモデル化リスク差(RD)36%(95%CI 33~39))、治療者補助による 顎運動療法(RD 36%(31~40))、および徒手的トリガーポイント療法(RD 32%(29~34))であった(図3)。 認知行動療法(RD30%(23~35歳))、指導的姿勢運動(RD26%(14~34歳))、ストレッチによる指導的顎運動(RD26%(20 ~31歳))、通常のケア(ホームエクササイズ、ストレッチ、安心感、セルフマッサージ、教育など)(RD25%(22~28歳))、ス トレッチと徒手的トリガーポイント療法による指導的顎運動(RD23%(11~31歳))。他のすべての介入に関する効果の確実性は低 いか非常に低かった(図3)。 jaw mobilizationでみると、実は、これは、補足表8では直接比較はない。まず、対照群と介入群のそれぞ れの変化スコアの平均差(MD)が-2.57 (-3.18, -1.96) である。これは、最小臨床差のMID1cmを越えて いる。また、エビデンスの確実性(COE)はM・中等度である。そして、各群のMID1cmを越える割合を 検出し、その2群の差を求めると(リスク差・RD)、36%(31 to 40)である。さらに、MAGICappより、 プラセボが1000人中560人改善する場合、 jaw mobilizationはさらに360人多く改善する(RDが36%何 だから、1000人中なら360人)。信頼区間下限より少なくとも310人以上である。
SR:Physical functioning 2009人の患者を対象とし、30の介入を評価した36の試験で、身体機能に対する治療効 果が報告された; しかしながら、3つの試験で報告された4つの介入(すなわち、関節穿刺、ステロイド注 射を伴う関節穿刺、ヒアルロン酸注射を伴う関節穿刺、および椎間板切除術)は、ネッ トワークから切り離された(補表10)。 このように、我々のネットワークには1910人の患者を対象とし、26の介入を評価した 33のRCTが含まれていた(図4)。 33のRCTには44の直接比較が含まれ、そのうち12は従来のペアワイズメタ解析のため の2つ以上の研究を含み、1つは実質的な異質性を示した(補足表11)。全体的または ループ特異的なincoherenceの証拠は見つからなかった(補表12)。 中等度の確実性のエビデンスは、プラセボと比較して、4つの介入がおそらく身体機能 を改善することを示した:ストレッチを伴う監視下顎運動(100点short form-36身体 的構成要素要約スコアで5点の最小重要差を達成するためのRD 43%(95%CI 33~ 51))、マニピュレーション(RD 43%(25~56)) 、鍼治療(RD 42%(33~ 50)) 、およびモビリゼーションを伴う監視下顎運動(RD 36%(19~51)) 。他の 介入における身体機能に対する効果の確実性は低いか非常に低かった(図3)。 身体評価は、SF-36よりで、開口域ではない。
SR:Adverse events 有害事象は、1987人の慢性顎関節症患者を対象とした31の研究でのみ報 告された(図5、補表13)。共同介入の有無にかかわらず関節穿刺を評価 し(関節穿刺、関節穿刺+ステロイド、関節穿刺+オピオイド、超音波ガ イド下関節穿刺、関節穿刺+ヒアルロン酸注射)、有害事象を報告しな かった4つの研究は、切断されたため、我々のネットワークには含まれな かった(補表14)。 我々のネットワークに貢献した20の直接比較のうち、4つはペアワイズメ タ解析のための研究が2つ以上あり、実質的な異質性を示したものはな かった(補足表15)。全体的またはループ特異的な非干渉性のエビデンス は認められなかった(補足表16)。19の介入すべてについて、有害事象に 対する効果の確実性は低いか非常に低かった(図3)。 これ以外にも、パネリストへの調査を行なっているはずだが・・・どこに?
SR:Additional analysis 精神機能、役割機能、社会機能、睡眠の質については、これらのアウトカムを報告している試験の数が少ないため、 ネットワークを構築することができなかった。これらの転帰に関する所見(すべて確信度が低い)の要約を補足表 17に示す。 顎関節症のサブタイプ、または障害給付の受給/訴訟に関与している/していないに基づくサブグループ効果を検討 することは、適格試験間でのばらつきが不十分であったためできなかった。 追跡期間とバイアスリスクに基づくサブグループ解析を行ったところ、2つの比較で有意なサブグループ効果が認 められた: 1)取り外し可能な咬合スプリント対プラセボで、バイアスのリスクが高い試験は、疼痛緩和の治療効果が大きいこ とに関連することがわかった; 2)取り外し可能な咬合スプリント対通常ケアで、追跡期間が長いほど疼痛緩和の治療効果が小さいことに関連する ことがわかった(補表18)。これらのサブグループ効果の信頼性は中程度であることが証明された(補表19)。 各比較における効果修飾因子の分布に基づく感度不良の証拠はなかった。10以上の試験がある3つの比較では、小 規模試験効果の証拠は認められなかった(補表20)。 顎関節症のサブタイプでの解析はできなかったとのこと。残念である。
SR:Discussion 本ネットワークメタ分析は、慢性TMD痛の患者における痛みの軽減について、プラセボ/模擬 手順と比較して、認知行動療法(CBT)をバイオフィードバックやリラクゼーション療法で 強化したもの、セラピストが補助する顎の可動域を広げる治療、マニュアルトリガーポイン ト療法が特に効果的であることを示し、これらは中程度の確実性の根拠があります。また、 CBT、指導付き姿勢運動、指導付き顎運動とストレッチ(マニュアルトリガーポイント療法 を含むかどうか)、通常のケアはプラセボよりも効果が低いが、それでも痛み緩和に効果が あることが中程度から高い確実性の証拠によって示されています。物理的機能の改善につい ては、プラセボ/模擬手順と比較して、指導付き顎運動とストレッチ、操作、鍼治療、指導付 き顎運動と可動域を広げる治療がおそらく有効であり、これには中程度の確実性の証拠があ ります。その他の介入の効果の確実性は低いか非常に低いです。 このレビューの強みは、TMDに関連する慢性痛に対する薬物療法と非薬物療法の利益と害に ついての証拠を包括的に合成し、GRADEアプローチを用いて証拠の確実性を評価し、効果の 大きさと証拠の確実性を考慮して介入をランキングしたことです。しかし、いくつかの制限 もあります。直接証拠が限られており、大部分の介入の効果に関する証拠は低いか非常に低 い確実性であり、有害事象に関する全ての証拠も同様です。また、TMDの異なるサブタイプ 間で治療効果が似ているという前提がありますが、ほとんどの試験でサブタイプの混合があ るか報告されていないため、サブグループ効果の検証ができていません。さらに、慢性TMD 痛のある患者で精神疾患、線維筋痛症、関節リウマチを持つ人、またはTMD手術を受けたこ とがある人を除外しているため、これらの人々への一般性については不確かです。また、有 害事象に関する証拠の確実性は低いか非常に低く、侵襲的な処置や非ステロイド性抗炎症薬 とオピオイドを長期にわたって使用することによる有害事象が特に懸念されます。
SR:エビデンスの確実性が高いのが、jaw exercise + stretching Fig 3 SUPPLEMENT TABLE 8. DIRECT, INDIRECT, AND NMA ESTIMATES WITH THEIR CERTAINTY OF EVIDENCE FOR PAIN RELIEF (0-10CM, VAS) * jaw exercise + stretchingの介入は、補足表5より7研究ある。そして、補足表8より、placeboとの直接比較は、1 研究で、各群28例の研究だけのようだ。しかし、 jaw exercise + stretchingとplaceboを行なった研究は、補足 表3などをみても存在しない。そのため、RoBがどうだったかの判断がつかず。表3のMDが、-1.99 to 1.11とある が、-1.11の間違いだろう。また、MAGICappでは、MDでなく、SMDとの記載になっているが、MDではないか。 また、 Direct evidenceがHになっているが、これは、removeable occlusal splint + beta blockerのところで、 MD (95%CI) -0.2(-2.2, 1.8)と明らかに、 imprecisionであるが、Hのままで、NMAのところで、 very serious imprecisionとしている。よって、この補足表8のDirect evidenceのCOEは、不精確さの前の仮のCOEをそのまま 記載していると思われる。よって、 jaw exercise + stretchingの直接比較のHも仮のCOEであるので、注意が必要 である。調べると付録の付録のエクセルに、* did not consider the imprecision in the direct COEとあった。 そして、結局、VASが、1日の平均の疼痛なのか、最悪の疼痛なのか、開口時痛なのか、咀嚼時痛なのか、まったく 不明であった。
CPG:強い推奨について 介入 VS プラセボ Pain 直接比較 仮 COE 補足表3 Pain NMA CO E Pain NMA_RD Augmented cognitive behavioural therapy -2.02 (-3.33,-0.71) M 不明 -2.62 (-3.03,-2.20) M 36 (33,39) Jaw mobilisation なし -2.86 (-3.21,-2.52) M 36 (31,40) Trigger point therapy -1.90 (-2.94,-0.86) M Leite, 2020225 -2.08 (-2.31,-1.84) M 32 (29,34) Cognitive behavioural therapy -1.9 (-3.17,-0.63) M 不明 -1.88 (-2.42,-1.35) M 30 (23,35) Postural exercise なし -1.56 (-2.33,-0.79) M 26 (14,34) Jaw exercise + jaw stretching -1.15 (-2.14,-0.17) H 不明 -1.55 (-1.99,-1.11) H 26 (20,31) Usual care -1.45 (-2.65,-0.26) M Wright, 199582 -1.47 (-1.69,-1.25) M 25 (22,28) Jaw exercise + jaw stretching + trigger point therapy なし -1.31 (-1.99,-0.62) M 23 (11,31) against Irreversible oral splint なし -2.67 (-3.19,-2.15) L 37 (32,40) against Discectomy なし -3.12 (-5.51,-0.73) VL 39 (13,44) -2.14 (-2.95,-1.33) VL 32 (23,38) against NSAIDs + Opioid なし AE NMA C OE 1.70 (0.06,50.71) L 1.90 (0.02,237.71) VL 1.73 (0.11,27.25) VL 2.20 (0.04,123.00) VL 直接比較は、 serious risk of bias、間接 比較は、 contributing direct evidence of moderate certaintyで下 がっており、NMAは下がっ てない 強い推奨は、エビデンスの確実性が中等度以上の介入すべてであった。強い非推奨は、COEは低だが、効果はあったにも関わらず非推 奨となっている。不可逆性介入と、NSAIDs + Opioidは、害のオッズ比が高い(他にもあったが)介入であった。NSAIDs + steroidも 同じ害のオッズ比で、介入も小さいが、条件付きの反対との違いがあるが、理由は不明である。たぶん、Opioidの害を高い価値観か。
CPG:強い推奨の直接比較のTrigger point therapyのLeite, 2020文献番号225のみ手に 入ったので、少し解説 inclusion criteria • 口腔顔面筋の自発痛orofacial muscle spontaneous painを少なくとも6ヶ月以上前から報告。 • RDC/TMDにより「筋機能不全“muscle dysfunction”」と分類。 • 参加者は、以下の症状を訴えていること:顎の痛み、顎の動きで変わる痛み、機能的なパラ ファンクション、痛みの位置の明確な確認、側頭筋または咬筋の圧痛と最大無補助口開き によるいつもの疼痛。 • 年齢が18歳から45歳。少なくとも28本の永久歯。歯周病問題がクリアされている。 介入方法 Diacutaneous fibrolysis (DF) is a noninvasive technique used to treat pain of the musculoskeletal system. The technique was developed according to friction massage principles using a stainless-steel hook to allegedly allow a deeper and more precise application. DFは、筋骨格系の痛みを治療するために用いられる非侵襲的な 手技である。この手技は、より深く正確な施術を可能にするた トリガーポイント療法(Trigger point め、ステンレス製のフックを用いた摩擦マッサージの原理に therapy)は、筋肉内の緊張した部分、 従って開発されたと言われている。 いわゆるトリガーポイントに対して施 右写真のようなフックを筋肉の間にいれて、ゴリゴリする。 される治療法で、鍼・指などが多い。 Diacutaneous fibrolysisで検索した肩などに行ったビデオでは、 確かに同じだが、この論文には、トリ 赤く腫れていた。 ガーポイントの用語はなかった。 Leite WB, Oliveira ML, Ferreira IC, Anjos CF, Barbosa MA and Barbosa AC. Effects of 4-Week Diacutaneous Fibrolysis on Myalgia, Mouth Opening, and Level of Functional Severity in Women With Temporomandibular Disorders: A Randomized Controlled Trial. J Manipulative Physiol Ther. 2020;03:03. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32893024/ https://www.bactechnology.it/en/hooks -ganci-per-la-fibrolisi/
RoB 疼痛の評価 VAS(Visual Analog Scale:視覚的アナログスケール)0~100mmは、0が痛みなし、100がこれまで経験した中 で最悪の痛みとして設計され、私たちの研究の参加者には、口を開けることで誘発される痛みで評価時の痛みの強 さを表すために、両極端の間に垂線を印すように与えられた20。 VASスコアは痛みの重症度も特徴付けることができる。VASスコア3.4以下は軽度の痛み、3.5~7.4は中等度の痛 み、7.5以上は重度の痛みを表す24。 結果・疼痛のみ 痛み sham group (SG・20人)ではVASスコアが17.7%減少したのに対し、 intervention group (IG・20人)では 33%減少した。 偽DF群ではVASスコア10以下が4人(23.5%)、無痛(VAS=0)が2人(11.8%)しかいなかった。IG群では10 点以下が12名(70.6%)、無痛が6名(35.3%)であった。DF4週後のVASスコアには時間効果が認められた(P = 0.001)。両群とも4週後には疼痛が減少していたが、IG群はSG群に比べて低い結果を示し、4週後の評価では 群間に有意差が認められた。 Data showed in median (minimum-maximal). RoBは、元論文をみても一定の基準に従って行われているようだ。 VAS値は、中央値である。これを、本SRでは、平均値にどのように変換したのだろうか?SDの算出方法は?それから変化スコアを計算 したのだろうか?中央値で、ざっと変化スコアの差をみると1.5程度。結構、痛いと思われるが、それは、価値観・負担などに反映さえ なかったのだろうか。動画でしか見たことがないので、本スライド作成者は、判断つかなかったが、強い推奨なの?と思った。
本邦CPGとBMJのCPG/SRの比較 介入 SMD MD 1000人中 絶対差 COE 仮 本邦CPG BMJ MD RD(1000 人中) COE 低出力レーザー -2.12 [-3.18, -1.06] -23.4 [-11.7, -35.1] 735 [787,525] VL L 弱い推奨 弱い非推奨 -1.36 (-1.56,-1.16) 230 (200,260) L 自己開口訓練 Jaw mobilisation -1.51 [-2.82, -0.2] -20.1 [1.2, -41.5] 630 [775,182] VL L 弱い推奨 強い推奨 -2.86 (-3.21,-2.52) 360 (310,400) M スタビリゼーション Removable occlusal splint -1.16 [-2.02, -0.29] -18.1 [-2.3, -34] 397 [654,71] VL L 弱い推奨 弱い非推奨 1.81 (-2.01, -1.60) 290 (260,310) L 認知行動療法 Augmented CBT -0.05 [-1.64, 1.55] -13. [7.6, -35.3] 121 [640,-159] VL L 推奨なし 強い推奨 -2.62 (-3.03,-2.20) 360 (330,390) M マイオモニター (TENS) -1.92 [-3.78, -0.06] -12.8 [-3.2, -22.3] 691 [796,18] VL L 推奨なし 弱い非推奨 -1.78 (-2.00, -1.57) 290 (260,310) L マッサージ -1.3 [-3.01, 0.41] -0.6 [17.1, -18.1] 525 [783,-94] VL VL 推奨なし マッサージない Relaxation therapy、 Relaxation therapy 21 [50.5, -8.6] -191 [325,-200] VL L 推奨なし 弱い非推奨 -0.76 (-1.15, -0.38) 140 (70,200) L 鎮痛剤 NSAID 1.8 [-0.82, 4.42] 本邦CPGの1000人中の絶対差はMDをオッズに変換後にプラセボの中央値を利用して計算したもので、 BMJのRDと計算が異なる。本邦CPGの仮COE(下段)は、NMAの不精確さの前のCOE。本邦CPGでは、 95%CIが有意差・MIDを越えていても症例数が400未満の場合はグレードダウンしている。またBoPも本 邦のが厳しい傾向があると考えられ、本邦CPGのCOEはVLばかりとなった。 問題は、ピンクの低出力レーザーと口腔内装置の逆転である。口腔内装置については、本邦CPGでは、よ り効果があるとされているスタビリゼーション口腔内装置に限定し、かつ、有害作用が生じない厳密な使 用法を条件にしていることが推奨につながったと考えられる。低出力レーザーに関しては、次スライド。
低出力レーザーについて Low-level laser therapy (n=11) Low-level laser therapy (n=23) Altindis, 2019 196 Oz, 2010 124 Brochado, 2018 187 Pessoa, 2021 242 Chellappa, 2020 217 Rezazadeh, 2017 181 Cunha, 2008 111 Demirkol, 2015 156 Carli, 2013 138 Kulekcioglu, 2003 98 Madani, 2020 227 Rodrigues, 2019 210 Sancakli, 2015 162 Seifi, 2017 182 Shobha, 2017 183 Madani, 2014 150 Venancio Rde, 2005 104 Magri, 2017 177-179 Yamaner, 2020 235 Mazzetto, 2010 123 Emshoff, 2008 113 Costa 2021 Cunha 2008 Debeljak 2021 Emshoff 2007 Khalighi 2016 Magri 2018 Rezazadeh 2017 Röhlig 2011 Shobha 2017 Molina-Torres, 2016 167 Shousha 2021 Monteiro, 2020 229 Tanhan 2021 採用論文の違いは、症例数が10か20例以下の場合除外かどうかと、併用療法を認めるかで差が生じた。しかし、上記右の本 邦CPGで採用だがBMJで採用がない理由は不明であった(BMJのが採用されるはず)。 低出力レーザーは、開始からの時期で、効果の違いが大きいため(本スライド作成者が各論文から推測)、どの時期のデー タを抽出など、実は、揺らぎが大きいのが現状である。また、出版バイアスを検出できるほど研究数がないので、まだ不明 であるが、低出力レーザーは、レーザーの研究者の報告が多く、アカデミックなCOIもあると推測している。特に、本邦CPG では、よりレーザー単独の効果がある論文が選択さえている可能性もあると考える。 また、BMJのCPGでは、COEがL,VLの場合は、効果推定値が大きくても、効果が不明と判断していると考えられることより、 非推奨になったと思われる。 よって、低出力レーザーに関しては、さらなる研究によるエビデンスの蓄積が重要と考えられる。
慢性痛に対して、BMJの本CPGと本邦CPGの違い Ohrbach R, Dworkin SF. AAPT Diagnostic Criteria for Chronic Painful Temporomandibular Disorders. J Pain. 2019 Nov;20(11):1276-1292. doi: 10.1016/j.jpain.2019.04.003. Epub 2019 Apr 18. PMID: 31004786. https://www.jpain.org/article/S1526-5900(19)30711-4/fulltext という論文においても、慢性痛に対して、オピオイド鎮痛剤乱用がまん延しているとされている。それが、本CPGのStrong recommendations againstとして、NSAIDs + Opioidに色濃く反映されているのだろう。このあたり、本邦とは異なる。 また、この論文より、 「The factors that predict transition from acute TMD pain to chronic pain are actively under investigation; the literature to d ate suggests that primary predictors are not the particular diagnosis, but rather characteristics within the domains previously described: psychosocial, neurosensory, autonomic, and health reflected in dimensions 3 and 5. 急性TMD痛から慢性痛への移行を予測する要因は現在積極的に研究されており、これまでの文献によると、予測因子は特定の診断では なく、先に述べた領域内の特性、すなわち心理社会的、神経感覚的、自律神経的、および健康状態で、これらは第3および第5の次元で 反映されています。」 とあることより、急性の顎関節痛と慢性痛は、明確に分ける必要がある。どちらかというと、本邦CPGは、急性期(ロック当日など超急 性期ではない)であり、BMJのCPGは、慢性痛であるので、推奨も異なっても良いと考える。 そもそも、SR論文の方は、「Management of chronic pain secondary to temporomandibular disorders: a systematic review and network meta-analysis of randomised trials」と「 secondary 」 が入っているので、本邦CPGの初期治療と異なる。 しかし、TMDを慢性痛として捉え、それを主の症状とするのが、世界の潮流である(よって、円板転位の直接的な関節の症状より筋痛 が多い)。このような慢性期の患者が来る施設では、有用なCPGで、これを本邦の現状にあわせて使用することが望まれます。また、本 邦の顎関節症・口腔顔面痛の専門治療を行っていない、一般医と地域の2次医療の総合病院口腔外科では、急性期の患者がほとんどで あると推測するので、本邦のCPGを使って欲しい(本邦CPGにアカデミックなCOIがある本スライド作成者の希望!)。