自律型AIの登場によって、プログラマーの役割はどう変化するのか?

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October 24, 25

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自律型AIの登場によって、プログラマーの役割はどう変化するのか?【産総研AITeC「Generative AI Study Group第56回」】

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1.

自律型AIの登場によって、プログラマーの 役割はどう変化するのか? © KONICA MINOLTA

2.

アジェンダ 1. 自律型AIが与えたテック市場への影響 2. AIコーディングツールの現在地 3. AI時代の新たなプログラマー像についての議論

3.

自己紹介 Motoi Otake 大竹 基 コニカミノルタ ICW データアーキテクト 大手SI、事業会社等でエンタープライズ向けの分析基盤の構築 やデータ利活用案件を経験し、アプリからインフラまで上流下流を 問わず、フルスタックエンジニアとして活動 2022年9月 コニカミノルタ入社。DXソリューション事業部ICW事 業統括部にて、プロダクトを横断したデータプラットフォームの運営 およびLLMを中心としたAI事業の立ち上げに従事 © KONICA MINOLTA 3

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1. 自律型AIが与えたテック市場 への影響 2. AIコーディングツールの現在地 3. AI時代の新たなプログラマー 像についての議論

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テクノロジー業界のレイオフ状況 2025年10月1日現在、540社のテクノロジー企業で15万6,726人がレイオフ の影響を受けており、平均して1日あたり572人が職を失っている計算

6.

日本でも注目ニュースとなったMSの大規模プログラマーレイオフ

7.

本当にプログラマーの価値は下がっている? 実態はそう単純な話ではない。AI市場は過熱し続け、一部エンジニアの待遇 は上がり続けている ➢ AI関連職は70-80%成長 ➢ ソフトウェア開発者失業率:2.8%(全国平均4.2%) ➢ AIスキルプレミアム:約25%高い給与

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役割の「置き換え」ではなく「変容」 一方で自律型AIの普及により「ただソースコードを書くだけ」の重要性は今後薄れていくもの と考える。プログラマーに限らず、新たなスキル習得や役割の変容が求められる Will AI Replace Software Developers? 4 Senior Developers Weigh In https://www.salesforceben.com/w ill-ai-replace-developers-4-seniordevelopers-weigh-in/

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1. 自律型AIが与えたテック市場 への影響 2. AIコーディングツールの現在地 3. AI時代の新たなプログラマー 像についての議論

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AIコーディングツールの現状 どこを探しても見つかる爆発的な成果。皆さんの自慢の成果を聞かせてほしい! ツール 主要な成果・インパクト 実績企業 主要機能 Claude 4 Sonnet 4.5 ➢ 脆弱性対応44%削減 (Hai社) ➢ コード編集エラー率9%→0% (Replit社) ➢ 30時間以上の連続タスク実行可能 Cognition、Replit、Hai、 Cursor ターミナル統合、チェックポイント、拡張 思考モード、コンピューター使用 Amazon Q Developer ➢ AWS全体で45万時間節約 ➢ コード受入率50-60% (NAB) ➢ SWE-bench性能51%向上 AWS、National Australia Bank AWS統合、エージェント機能、セキュリ ティスキャン、マルチファイル対応 GitHub Copilot ➢ タスク完了速度55%向上 ➢ 開発者の90%が仕事の充実感向上 ➢ 生成コードの46-61%を採用 ➢ プルリクエスト時間4分の1に短縮 Accenture、Duolingo、 多数の企業 マルチモデル、エージェント機能、主要 IDE統合、コードレビュー自動化 Cursor ➢ 開発時間20-25%削減 ➢ 開発サイクル30-50%短縮 ➢ 史上最速で1億ドルARR達成 OpenAI、Midjourney、 Shopify、Perplexity、 Stripe コードベース理解、YOLOモード、VS Codeベース、コンテキスト対応AI Devin ➢ エンジニア時間8-12倍効率化 (Nubank) ➢ コスト20倍以上削減 (Nubank) ➢ 18ヶ月の移行を数週間で完了 ➢ タスク速度4倍向上 ➢ 1,000人のエンジニアタスクを自動化 Nubank、Crossmint、 Vesta、Ramp 完全自律型、長期計画実行、サンド ボックス環境、ファインチューニング

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ベンチマークの罠 公開データでの成功≠実環境での成功 SWE-bench Pro(2025)の衝撃 【精度低下の主要要因】 ➢データ汚染: 公開コードは訓練済み ➢暗黙的要件: 文書化されていない品質基準 ➢ドメイン知識: ビジネスロジックの欠如

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Appeidix. 技術負債の爆発(GitClearが鳴らす警鐘) コード複製:8倍増加 コピー/ペースト:8.3% → 12.3%(史上初めてリファクタリングを上回る) コードチャーン:3.1% → 5.7%(2倍) レガシーリファクタリング:30% → 20%

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AIの得意/不得意 不得意な領域はまだまだ調整が必要。得意領域でもそれが本当に「正しい」かを判断し、 責任を持つ人間が必要になる AIが成功する場面 AIが苦手な場面 ボイラープレートコード アーキテクチャ決定 ドキュメント生成 複雑なバグ修正 テストコード骨格 ビジネスロジック判断 レガシーコード移行 セキュリティ設計 学習・オンボーディング 暗黙的要件の多いタスク 不慣れなコードベース 大規模システムのメモリバグ

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1. 自律型AIが与えたテック市場 への影響 2. AIコーディングツールの現在地 3. AI時代の新たなプログラマー 像についての議論

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(狭義)プログラマーに求められるスキル変容 – AIオーケストラとしてのスキル 「コードを書く人」から「問題を定義し、解決策を評価・統合する意思決定者」へ。 AIを自身で活用しながら、開発者はより新しい可能性を模索していく 従来のプログラマー AIオーケストレーター コードを行単位で書く AIに委任、レビュー、修正 構文とアルゴリズム システムアーキテクチャ 個別タスク完了 複数AIエージェント調整 技術専門知識 技術+プロンプト+QA 実装の詳細 「何を」「なぜ」の大局観 コード品質 システム品質と整合性

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まとめ 今回はプログラマーという、ソース(データの塊)を扱う専門職をテーマに 議論をさせて頂いたが、これは他の職にも言えることだと考える。 AIの台頭によって様々な職が置き換わり、新たな役割の創出・リスキ リングの観点はより重要になると考え、AI時代のキャリア形成と組織づ くりはより難しいものとなる。 我々はこの変化を脅威ではなく機会と捉え、ぜひ本日の議論を、皆 様の組織での実践につなげていただければ幸い。