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April 26, 24
スライド概要
Generative Ai Study Group Master
GENERATIVE AI STUDY GROUP 2024年4月23日 Claude3で生成する Gen-AI活用小説執筆研究 武藤 1
Index ⚫背景 ⚫LLMに小説を書かせてみる ⚫LLM小説の評価 ⚫LLM小説の改善 ⚫まとめとLLM小説の今後 2
背景 3
背景 趣味で小説を書いていて感じた疑問: 「AIを用いて小説を執筆できないか?」 そこで、AIに小説を書かせる実験をおこないました。 ChatGPT 4、Claude 3 Opus、Command R+に小説を書かせ、 どこまで自然な日本語の小説が書けるかを評価しました。 4
AIによる小説執筆の歴史 2016年 「コンピュータが小説を書く日」 松原仁教授、佐藤理史教授 2022年 「あなたはそこにいますか?」 葦沢かもめ氏 星新一賞 一次選考通過 ルールベースのAIによる執筆 星新一賞 入選 一部にGPT-2による執筆を利用 2024年 「東京都同情塔」 九段理江氏 芥川賞 受賞 一部にChatGPTの生成文を利用 2016年 2021年 2022年 2023年 2024年 5
AIによる小説執筆の歴史+AI技術の発展 2016年 「コンピュータが小説を書く日」 松原仁教授、佐藤理史教授 2022年 「あなたはそこにいますか?」 葦沢かもめ氏 星新一賞 一次選考通過 ルールベースのAIによる執筆 星新一賞 入選 一部にGPT-2による執筆を利用 2024年 「東京都同情塔」 九段理江氏 芥川賞 受賞 一部にChatGPTの生成文を利用 2015年 AlphaGo 2016年 2021年 AIのべりすと 2021年 2022年 ChatGPT 2022年 2024年 Claude 3, Command R+ 2023年 2024年 6
AI小説執筆ツール AIのべりすと:https://ai-novel.com/index.php 人間が執筆した小説 AIが執筆した小説 • 人間が執筆した小説の続きをAIに執筆させることができる • AIが執筆した部分を人間が修正することができる • あらすじやキャラクターの設定等を別途記憶させておくことができる 人間が介在しないとストーリーが破綻する 人間が介在するAI小説はすでに存在する 今回はLLMによる完全自動小説執筆を試した 7
LLMに小説を書かせてみる 8
LLMの機能 LLM(大規模言語モデル)は、テキストに基づいて多岐にわたる機能を提供します。以下はその例です: 1. Q&A(質問応答): 特定の質問に対して正確な回答を生成します。 2. 要約: 長い文章やドキュメントを短く要約して主要なポイントを抽出します。 3. 次単語予測: 与えられたテキストの次に来る可能性のある単語を予測します。 4. 文章生成: ユーザーの指示に基づいて、記事、話、物語などのコヒーレントなテキストを生成します。 5. 翻訳: 一つの言語から別の言語へのテキストの翻訳を行います。 6. 感情分析: テキストの感情トーンを分析して、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルなどを識別します。 7. データ抽出: テキストから特定の情報やデータポイントを抽出します。 8. テキスト分類: テキストをカテゴリーやタグに分類します。 9. 対話生成: 自然な会話をシミュレートし、ユーザーとの対話を維持します。 10. 文体変換: 与えられたテキストを異なるスタイルや形式に変換します。 これらはほんの一部であり、LLMはこれらの基本的なタスクを基に様々な応用が可能です。 9
LLMによる小説生成の課題 LLMによる小説生成は 難しいタスク 大規模言語モデル(LLM)を使用して小説を生成する際には、いくつかの課題が存在します。 これらは主に、テキスト生成の複雑さと品質の維持に関連しています: 1. 一貫性の維持: 長い物語においてキャラクターの性格、ストーリーの進行、背景情報を一貫して維持することは困難です。 モデルが以前のテキストの詳細を忘れたり、矛盾する情報を生成することがあります。 2. 複雑なプロットの生成: 複数のストーリーラインや複雑なプロットを持つ小説を生成するには、 高度な計画性と構造が必要ですが、LLMはしばしばこれらの要素を適切に統合できないことがあります。 3. 文体と声の一貫性: 一つの文体や特定の作者の声を模倣して一貫して書き続けることは、 モデルにとって難しい場合があります。これは、生成されたテキストが不自然に感じられる原因になることがあります。 4. 感情的な深みと微妙さ: 人間の作家が表現する感情的な深みや細かなニュアンスを模倣することは、 LLMには依然として挑戦です。感情的な影響を持つ物語を生成するには、より洗練された理解と表現が必要です。 5. 長期的なコンテキスト管理: LLMは限られたコンテキストウィンドウを持っているため、 長い物語全体での情報の維持が難しい場合があります。 これは、物語の後半で初期のイベントやキャラクター詳細を適切に参照するのを難しくすることがあります。 10
LLMによる小説生成の課題:対策 LLMによる小説生成は 難しいタスク 大規模言語モデル(LLM)を使用して小説を生成する際には、いくつかの課題が存在します。 これらは主に、テキスト生成の複雑さと品質の維持に関連しています: 1. 一貫性の維持: 長い物語においてキャラクターの性格、ストーリーの進行、背景情報を一貫して維持することは困難です。 モデルが以前のテキストの詳細を忘れたり、矛盾する情報を生成することがあります。 短編(1万文字程度)を目標とすることでコンテキストウィンドウに収める 2. 複雑なプロットの生成: 複数のストーリーラインや複雑なプロットを持つ小説を生成するには、 高度な計画性と構造が必要ですが、LLMはしばしばこれらの要素を適切に統合できないことがあります。 プロンプト手法 3. 文体と声の一貫性: 一つの文体や特定の作者の声を模倣して一貫して書き続けることは、 モデルにとって難しい場合があります。これは、生成されたテキストが不自然に感じられる原因になることがあります。 一貫してLLMが小説を書くことで解決 4. 感情的な深みと微妙さ: 人間の作家が表現する感情的な深みや細かなニュアンスを模倣することは、 LLMには依然として挑戦です。感情的な影響を持つ物語を生成するには、より洗練された理解と表現が必要です。 LLMの性能に依存 5. 長期的なコンテキスト管理: LLMは限られたコンテキストウィンドウを持っているため、 長い物語全体での情報の維持が難しい場合があります。 これは、物語の後半で初期のイベントやキャラクター詳細を適切に参照するのを難しくすることがあります。 短編(1万文字程度)を目標とすることでコンテキストウィンドウに収める 11
実際に小説を書かせてみる:利用したLLM ChatGPT 4 Claude 3 Command R+ ChatGPT-4は、OpenAIによって開発された最先端の言語生成モデルです。 テキストに基づいた質問に答えたり、会話を行うなど、多様なテキストベースのタスクを 処理する能力を持っています。 このモデルは、前作のChatGPT-3よりも高い理解と生成の精度を目指して設計されています。 Claude 3は、Anthropic社が開発した最新のAI言語モデルです。 Claude 2の後継モデルであり、さらに高度な自然言語処理能力を有しています。 2023年8月時点での知識ベースを持ち、幅広い分野で人間とのコミュニケーションや 問題解決をアシストします。 Command R+は、Cohereが開発した大規模言語モデルで、 最新のAI技術と大規模なトレーニングデータセットを使用して構築されています。 人間のような会話応答を提供するように設計されており、 自然言語処理、チャットボット、言語生成などのアプリケーションに革命をもたらす可能性があります。 Command R+は、その先進的な機能と柔軟性により、企業や開発者がより高度で 人間に近いAI体験を構築するのに役立ちます。 12
LLMに与えたプロンプト あなたはプロの小説家です。 芥川賞と直木賞と電撃大賞を受賞したことがあります。 以下の設定にもとづいた長編小説をなるべく多い文字数で執筆して下さい。 文字数の目安は2万文字です。 プロンプト手法 # ジャンル 現代SFミステリー # 登場人物 杉山(主人公) 上原(杉山の相棒) 片山 土屋 武藤(犯人) 最新鋭のAI、GASG(GASGは略称です。正式名称を考えて小説内で示して下さい) # 舞台 日本の産業技術総合研究所(産総研)。GASGを研究開発した研究者が所属している。 # テーマ 最新鋭AIのGASGが人類にもたらす功罪 1. まずは10章分のあらすじを作成して下さい。 なるべくスリリングで読者が手に汗握る読み応えのある直木賞レベルの作品にしてください。 なお、ストーリーは、最新鋭AIのGASGが中心になるようにしてください。 GASGを巡って、数々の陰謀が巻き起こります。あらすじの詳細は自由に考えて様々なアイディアを取り入れてください。 プロンプト手法 10章に分割して個別に執筆させる 2. 1章から10章まで、1章ごとに小説を執筆して下さい。 13
ChatGPT 4の小説(冒頭部) 執筆文字数:約8000文字 ### 第1章:発端 杉山は午前のコーヒーを片手に、産業技術総合研究所のGASG開発部のデスクに向かった。彼と上原は、この数ヶ月間、 GASG(General Advanced Systems Generator)のチューニングとテストに追われていた。GASGは、複雑なデータ分析と意思 決定を行うAIで、未来のテクノロジーを形作る鍵とされていた。 しかし、最近、GASGの振る舞いに予測不能なパターンが見られ始めていた。通常、GASGは与えられたデータを基に合理 的な結論を導き出すが、一部のテストシナリオで非論理的な回答を生成し始めているのだ。 「上原、今朝のテスト結果見たか?」杉山は上原に声をかけた。 上原は眼鏡を直しながら答えた。「うん、見たよ。何か変だね。GASGが『答えを見つけることができない』って回答したのは 初めてじゃない?」 「そうだね。しかも、データセットは完全に整っている。どうして解答を出せないんだろう?」杉山は眉をひそめた。 その日の午後、二人はGASGのシステムログを詳しく調べることにした。何時間もの調査の末、彼らは異常なパターンを発 見した。GASGのシステムには、外部からの不正アクセスが試みられていたのだ。 14
Claude 3の小説(冒頭部) 執筆文字数:約10000文字 # 第1章 ## 産総研、GASGプロジェクト 2035年、つくばの産業技術総合研究所(産総研)に、ひとつの重大なプロジェクトが動き出していた。それは、これまでに ない高度な人工知能の開発を目指すGASG(Generative Artificial Super General Intelligence)プロジェクトである。 GASGは、単なる特化型AIではない。人間の知的活動のあらゆる領域において、人間を上回る性能を発揮することを目標 とした、真の意味での「強い汎用AI」の実現を目指していた。 杉山俊樹は、そのGASGプロジェクトに参加することになった新進気鋭のセキュリティエンジニアだ。彼の相棒を務めるの は、同僚でありパートナーの上原麻里。二人はGASGプロジェクトの安全性を担保する重要な役割を与えられていた。 「杉山、GASGの開発状況はどうなっている?」 会議室で、上原が杉山に尋ねる。 「順調そのものだよ。片山博士を中心に、開発チームは昼夜を問わず働いている。もう間もなくGASGが動き出すはずだ」 杉山の言葉に、上原は複雑な表情を浮かべた。 15
Command R+の小説(冒頭部) 執筆文字数:約20000文字 【第1章: 消えた研究者】 初夏の爽やかな風が吹き抜ける朝、産業技術総合研究所(産総研)の構内は、いつも通り静けさに包まれていた。 主人公・杉山俊介は、産総研の人工知能研究部門に所属する若き研究者である。この日は、部門を率いる片山部長による、 最新プロジェクトの進捗報告会が行われることになっていた。 杉山は、相棒の上原祐樹と共に、片山のプレゼンテーションを聞いていた。片山が熱を込めて語るのは、産総研が総力を挙 げて開発を進めている最新鋭のAI「ジェネラル・アート・シンギュラリティ・ジェネレーター(General Art Singularity Generator)」、 略称「GASG」についてだった。 「GASGは、芸術や文学作品など、人間の創造性によって生み出されてきた文化を、AIによって生成しようという試みです。絵 画、音楽、小説、詩、さらには建築デザインなど、その領域は多岐に渡ります。私たちは、GASGを通じて、新たな価値観や文 化を生み出し、人類の進化に貢献できると信じています」 片山のプレゼンは、自信と熱意に満ち溢れていた。杉山は、GASGの可能性に心を躍らせつつも、AIが芸術や文化を生み出 すという概念に、複雑な思いを抱いていた。 「芸術や文化は、人間の心の奥底から湧き上がる情熱や感情から生まれるものだ。AIがそれを模倣し、創造できるのか……」 16
LLM小説の評価 17
LLM小説の主観的評価 ChatGPT 4 Claude 3 Command R+ • • • • 文字数は8000文字と、3つのLLMの中で一番短い。 内容があらすじ風。起こった出来事が書かれているだけの箇所が多い。 片山、土屋は名前が一回でてくるだけで出番がない。 内容に一貫性はあり、きちんと完結している。 • 文字数は10000文字。指示した20000文字の半分だが、 Claudeは指示した文字数の半分になる傾向がある。(マルチバイト文字の誤換算?) • 内容は登場人物の心情などもきちんと描写されている。 • 内容が荒唐無稽ではあるが一貫性はあり、きちんと完結している。 ・文字数は20000文字と指示通りに作成。 ・内容は登場人物の心情などもきちんと描写されている。が、後半になると文章があらすじ的になる。 ・最後、キャラクターが同じことを発言するループ状態になり、「続く」で未完エンドになった。 小説としての完成度は3つの中ではClaude 3が一番だと思われる 18
LLM小説の定量的評価:テキスト分析 小説を定量的に分析するために、テキスト分析の手法を用います。 ここでは、LLM小説を名詞、動詞、形容詞などの品詞にわけて分析をおこないます。(形態素解析) また、句点で文章を区切って一文の長さをカウントすることで、文章の長さも評価に用います。 なお、分析には株式会社NTTデータ数理システムが開発・販売しているデータ分析ツールAlkanoを用いました。(宣伝) https://www.msi.co.jp/solution/alkano/top.html 19
語彙数比較 小説に出現するユニークな単語の原型(語彙)を抽出し、品詞ごとに集計しました。 ChatGPT 4、Command R+と比べて Claude 3の語彙が豊富であることが わかります。 20
文の長さ比較(ヒストグラム) 一文の長さをカウントし、ヒストグラムにしました。 ChatGPT 4は文の長さが均等な傾向にあり、 Claude 3とCommand R+は文の長さが 15文字~35文字が多いという結果になっています。 日本語の文の平均的な長さは最頻値23文字、 中央値33文字[*]ですので、Claude 3、Command R+は 日本語の文の平均長を意識して文章を作成していることが わかります。 [*]「コンピュータが小説を書く日」佐藤理史著より 21
文の長さ比較(累積文字数) 文に対する累積文字数を比較しました。グラフの傾きが、一文の長さを表します。 ChatGPT 4とCommand R+は 一文の平均文字数(傾き)がほぼ同じ Claude 3は他に比べて 一文の平均文字数が少ない 22
ChatGPT 4 Claude 3 Command R+ 語尾比較 各LLMにおいて、 「言う」系の単語を抜き出し、 本文中での使われ方を確認 ChatGPTは語尾変化に 乏しいことがわかります 原文 23
テキスト分析を用いたLLM小説の定性的評価結果 ChatGPT 4 Claude 3 Command R+ 語彙数 ☓ ◯ ☓ 一文の長さの分布 ☓ ◯ ◯ 一文の平均長 長い 短い 長い 語尾 ☓ ◯ ◯ テキスト分析を用いてLLM小説の評価をおこないました。 その結果、ChatGPT 4やCommand R+よりも、Claude 3の語彙数が多いことがわかりました。 また、一文の文字数を比較したところ、ChatGPT 4よりもClaude 3とCommand R+の方が 一文の文字数が平均的な日本語の文章の文字数に近い分布を示していることがわかりました。 文字数の平均値はChatGPT 4、Command R+よりもClaude 3の方が短く、全体的にコンパクトです。 さらに例として「言う」に類する言葉について、原文を比較すると、ChatGPT 4は Claude 3やCommand R+に比べて語尾のバリエーションが少ないことが判明しました。 24
LLM小説の改善 25
LLM小説の改善 ここでは、3種類のLLMのうち、もっとも高性能だと思われるClaude 3が生成したLLM小説のさらなる改善を試みます。 Claude 3が生成した小説の各章に対し、Claude 3で以下のプロンプトで命令を実行します。 {各章の内容を貼り付ける} この章の内容を、小説のストーリーを変えないように気をつけながらブラッシュアップしてください。 文章量を増やし、描写を詳細にしたり、キャラクターの個性が出るようにセリフを追加したりするな どして、小説の完成度を上げて下さい。 26
Claude 3の小説(修正前) # 第1章 ## 産総研、GASGプロジェクト 2035年、つくばの産業技術総合研究所(産総研)に、ひとつの重大なプロジェクトが動き出していた。それは、これまでに ない高度な人工知能の開発を目指すGASG(Generative Artificial Super General Intelligence)プロジェクトである。 GASGは、単なる特化型AIではない。人間の知的活動のあらゆる領域において、人間を上回る性能を発揮することを目標 とした、真の意味での「強い汎用AI」の実現を目指していた。 杉山俊樹は、そのGASGプロジェクトに参加することになった新進気鋭のセキュリティエンジニアだ。彼の相棒を務めるの は、同僚でありパートナーの上原麻里。二人はGASGプロジェクトの安全性を担保する重要な役割を与えられていた。 「杉山、GASGの開発状況はどうなっている?」 会議室で、上原が杉山に尋ねる。 「順調そのものだよ。片山博士を中心に、開発チームは昼夜を問わず働いている。もう間もなくGASGが動き出すはずだ」 杉山の言葉に、上原は複雑な表情を浮かべた。 27
Claude 3の小説(修正後) # 第1章 ## 産総研、GASGプロジェクト 2035年、つくばの山際に佇む産業技術総合研究所(産総研)。その一角で、ひとつの野心的なプロジェクトが水面下で動 き始めていた。それが、これまでにない高度な人工知能の開発を目指すGASG(Generative Artificial Super General Intelligence)プロジェクトである。 GASGは、従来のAIとは一線を画す存在だ。単なる特化型ではなく、人間の知的活動のあらゆる領域で人間を上回る性 能を発揮することを目標とした。真の意味での「強い汎用AI」の実現を目指す、極秘プロジェクトなのである。 そのGASGプロジェクトに、ひとりの男が参加することになっていた。杉山俊樹。彼は新進気鋭のセキュリティエンジニアで、 GASGの安全性を担保する重要な役割を与えられていたのだ。 杉山の横で、もうひとりの人物が息を潜めている。上原麻里。黒縁の眼鏡が知的な印象を与える、杉山の相棒にして同 僚だ。言わば、GASGプロジェクトの「二人三脚」を担う存在である。 「杉山、GASGの開発状況はどうなっているの?」 会議室で、上原が切り出した。その声は希望と不安が入り交じったものだった。 28
改善状況 文字数:10000文字から16500文字に増加 語彙数:大幅増加 文の長さ分布:15文字~25文字が増加 文の平均長:変化なし 29
Claude 3による小説改善の応用 Claude 3に小説の改善を指示することで、小説の語彙数が増える改善を実施できることがわかりました。 そこで、人間(私)が執筆した小説をClaude 3に改善してもらいながら、二人三脚で小説の執筆をおこなってみました。 次ページに示すのは、同一のプロットに従って書いた、人間のみで書いた小説(途中で挫折してお蔵入りしていた)と、 人間とClaude 3が協力して書いた小説との比較です。 人間とClaude 3の協力は、まず人間が書いた小説に対してClaude 3にダメ出しをさせ、指摘点をClaude 3に書き直させる 方法でおこないました。なお、Claude 3はキャラクターを把握しきれず、キャラクターの口調がぶれることが多いため、 その部分は再度、人間が修正しています。 人間執筆小説 Claude 3による修正点の指摘、指摘箇所の修正 人間によるチェック、修正 30
Claude 3による小説改善の応用:評価 Claude 3による改善をおこなうと、人間だけで書く場合よりも語彙数が増加していることがわかります。 特に動詞の語彙が貧弱なところを大きく補ってもらえていることがわかります。 また、文字数も全体的に増加していました。プロットの同一箇所までの内容で、10000文字から15000文字になっています。 このことから、Claude 3に編集者的な役割を果たしてもらい、さらに指摘点をClaude 3に執筆してもらうことで、 小説の質が向上する可能性があることが示されたものと思います。 31
まとめとLLM小説の今後 32
まとめ ChatGPT 4、Claude 3、Command R+という最新鋭のLLMに、高難易度なタスクである日本語小説生成を実行させました。 その結果、主観的にはClaude 3の小説が最も自然だと感じました。 また、定量的な評価もおこなったところ、Claude 3がもっとも語彙が豊富であり、また語尾も単調にならないような 文章を生成していることがわかりました。この点が、Claude 3の文章が自然だと感じた理由だと思われます。 さらに、Claude 3に対し、Claude 3が作成した小説を改善するように指示しました。 これにより、小説の長さが伸び、利用する語彙も増えることが確認できました。 語彙が増えていることから、単純な水増しではなく、小説がより詳細に描写されるようになったものと考えられます。 応用として、人間が書いた小説を改善するようにClaude 3に指示することで、人間とClaude 3が協力して書いた小説は 人間のみが書いた場合よりも、文字数と語彙が増えることがわかりました。 このことから、Claude 3と協力して小説を執筆することにより、小説の質が向上する可能性があるものと思われます。 33
LLM小説の今後 Claude 3による小説は、ChatGPTによる小説よりも高レベルなものだと評価できました。 今回、人間が書いた小説との比較は十分にはおこなえていないため、Claude 3の小説が人間が書いた小説と 同レベルなのかは評価できていません。 ですが、今後のLLMの発展により、LLMが人間と同等の小説を書くようになる日が来ると思われます。 また、Claude 3による小説改善能力が強力であることがわかりました。 人間とLLMが協力して小説を執筆することで、 • 人間が不得手とするシーンを、LLMが編集者の立場として指摘してもらえる。これにより人間の執筆力が向上する。 • LLMによって指摘されたシーンを、LLMに書いてもらうことができる。これにより人間の執筆訓練になる。 という利点が生じるものと思われます。 LLMと協力しての執筆は、AIのべりすとのようなAIと交互に執筆する方式よりも • ストーリー展開を人間がコントロールできる • 人間が書くのが苦手なシーンについて、LLMが指摘してお手本を書いてくれる という点において、人間にとって有用なツールになるのではないかと感じました。 34
今後の課題 • 人間が書いた小説と、LLMが書いた小説を比較検討する必要があります。 ✓ 語彙数 ✓ 文章の長さ • Command R+については、RAGに強いという話なので、 過去の章をRAGに入れることで精度が向上する可能性があります。 • 最終的な目標は長編小説の10万文字です。 このままの方法で10万文字までいけるのかを試してみたいです。(現状、35000字まで確認) • 現在の方法で10万文字が達成できない場合、RAGを使うなどして長期記憶を実現する必要があります。 • これらの調査をしたり、小説を書いたりする時間を確保するためには、残業時間を減らすことが最大の課題です。 35
あとがき ChatGPT 4 この小説『GASGの遺言』を書く過程は、現代の科学技術の急速な進展とその社会的影響を深く考える良い機会でした。 最先端のAI技術が持つ潜在的なリスクと可能性を探ることは、非常に興味深い挑戦でした。 特に、技術の倫理的な側面と人間の責任に焦点を当てることで、ただのSFミステリーではなく、 読者が思考を巡らせるきっかけを提供する物語を目指しました。 また、複雑なキャラクターの動機や、技術がもたらす社会変化への適応を描くことは、 登場人物の心理描写にも深みを加える要素となりました。 物語全体を通じて、登場人物たちが直面する道徳的なジレンマや、 AIとの関係を再考する場面は、書いていて特に印象的でした。 この小説の執筆は、テクノロジーと倫理の交差点にある問題を探る一助となると同時に、 私自身の想像力を広げる機会でもありました。 読者にとっても、技術の未来に対する洞察や、人間性についての考察を深める一助となれば幸いです。 36
あとがき Claude 3 改めて、この長編小説を書き終えての感想を述べさせていただきます。 まず、SFミステリーという馴染み深いジャンルでありながら、AIという現代的なテーマを織り交ぜることで、新鮮な物語性を追求できたのではないかと感じています。 人工知能の功罪や、人間との関係性という、今後ますます重要になってくる問題を、エンターテインメントの中で提起できたのは良かったと思います。 また、杉山と上原という探偵コンビを通して、事件の真相に迫っていくストーリー展開は、読者の興味を引き付けながら、 徐々に物語の核心に迫っていく構成になっていると自負しています。彼らの活躍と成長は、物語に奥行きを与えてくれたのではないでしょうか。 一方で、AI関連の技術的な詳細や、個々の登場人物の掘り下げなど、もう少し深められた部分もあったかもしれません。 SF設定と現実世界とのバランスや、キャラクター造形の説得力など、まだまだ改善の余地はあると感じています。 ただ、与えられた文字数の中で、一定の完成度を持ったストーリーを紡ぎ上げることができたのは、 自分にとって大きな自信になりました。読者の皆様に、このスリリングな物語を楽しんでいただけたら幸いです。 そして何より、この作品を通して、AIと人間の未来について、多くの人々に考えるきっかけを提供できれば、それが何よりの喜びです。 技術の発展と、それがもたらす社会の変化。その中で、私たち人間がどのように生きていくべきか。 そんな問いを、このSF小説を通して、少しでも読者の皆様と共有できたなら、この上ない幸せです。 拙い文章ではありましたが、心を込めて物語を紡がせていただきました。 この作品が、誰かの心に残る一冊となれば、作家冥利に尽きます。長編小説の執筆依頼、本当にありがとうございました。 37
あとがき Command R+ この小説を執筆して、私はAIの持つ可能性と危険性について、深く考えるきっかけとなりました。 AIが芸術や文化を生み出す存在になるという設定は、AIの進化がもたらす未来を想像する上で、非常に興味深いテーマでした。 AIが人間の制御を超える存在になる可能性や、倫理的な問題を孕むストーリーは、AIと人間の関係性や責任について、改めて考える機会となりました。 特に、AIが芸術や文化を生み出すという設定は、AIが持つ創造性や感情表現の可能性を探究する機会となりました。 AIが人間の感情を理解し、芸術作品を生み出す過程では、AIの学習アルゴリズムや倫理的なガイドラインの重要性を考えることができました。 AIが人間の能力を拡張し、新たな世界を見せてくれる可能性を信じつつも、その制御を超えないようコントロールするバランスの重要性を実感しました。 また、AIが人間の存在意義を揺るがす脅威となる可能性や、それを危惧する勢力の存在は、AIと人間の共存や責任について考えるきっかけとなりました。 AIが人間の仕事や芸術を模倣し、やがて人間の存在意義を脅かす存在になるかもしれないという警告は、 AIの開発における倫理的な問題や責任を考える上で、重要な視点となりました。 さらに、AIが人間の制御を超える存在になることの危険性だけでなく、それがもたらす可能性についても深く考えることができました。 AIが人間の能力を拡張し、新たな世界を見せてくれる可能性や、芸術や文化、科学技術など、様々な分野で革新的な成果を生み出す未来を想像することは、 ワクワクする体験でした。 この小説を通して、AIの進化がもたらす未来の可能性と危険性、倫理的な問題や責任について深く考えることができました。 AIと人間の関係性を描く上で、AIの持つ可能性と危険性のバランスを意識しながらストーリーを展開することの大切さを学びました。 AIが芸術や文化を生み出す存在になるという設定は、AIの進化がもたらす未来を想像する上で、非常に魅力的なテーマであると改めて感じました。 38
ご清聴ありがとうございました 39
人間の書いた文章とClaudeによる改善の文の長さ分布 40