車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像・広角歪カメラモデル開発【Build: Tokyo'25 for Automotive】

1.4K Views

August 19, 25

スライド概要

2025年8月5日に開催した「Build: Tokyo'25 for Automotive」でのデンソー様の講演資料です。


講演動画:https://youtu.be/UqI4rVfcnlA
登壇者:
デンソー / 小口 貴弘 氏、瀧下 水月 氏、前川 竜也 氏

イベント公式ページ:https://www.unrealengine.com/ja/events/build-tokyo-2025-automotive

profile-image

Unreal Engineを開発・提供しているエピック ゲームズ ジャパンによる公式アカウントです。 勉強会や配信などで行った講演資料を公開しています。 公式サイトはこちら https://www.unrealengine.com/ja/

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

ダウンロード

関連スライド

各ページのテキスト
1.

車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用 高解像・広角歪カメラモデル開発 Build: Tokyo’25 for Automotive 前川 竜也 / 瀧下 水月 / 小口 貴弘 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

2.

はじめに 株式会社デンソーでは自動運転(AD)/先進運転支援システム(ADAS)開発に ゲームエンジンを用いた仮想環境シミュレータを活用しています。 今回はAD&ADASシステム開発の検証評価への適用事例と 広角歪カメラモデルCubemap Tiled Rendering(CTR)の開発についてお話します。 1. 導入・背景:5分 2. AD&ADASシステム開発検証評価への適用事例:10分 3. Cubemap Tiled Rendering(CTR)の開発:10分 4. バッファ:5分 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

3.

1. 導入・背景 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

4.

登壇者紹介 前川 竜也 瀧下 水月 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved. 小口 貴弘

5.

デンソーの事業概要 セグメント 自動車関連分野を中心とした 幅広い領域において 7つの事業を展開しています。 車載事業 非車載事業 貢献分野 売上収益(比率) エレクトリフィケーション システム 環境 1兆4千億円 (18.9%) パワートレイン システム 環境 1兆4千億円 (20.1%) サーマルシステム 環境 安心 1兆7千億円 (24.1%) モビリティエレクトロニクス 環境 安心 2兆円 (28.2%) 先進デバイス 環境 安心 4千億円 (5.4%) 環境 安心 1千億円 (1.7%) FA(ファクトリーオートメーション) フードバリューチェーン 2025年3月31日現在 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

6.

取り巻く環境 - 交通事故状況 ◆国別交通事故死者数 (人) 出典:WHO 2018年公表データ(2016年の統計) <10万人あたり> 交通環境等の問題により、アフリカ・中南米が高水準 先進国は安全装備の普及により、低水準 ◆交通死亡事故 種類別割合 新興国ではバイクが多い 10% 2% 40% 人口、モビリティユーザー増に各種整備が追い付かず増加 インド・中国で世界の40%を占める 日本は歩行者が多い 5% 21% 48% 8% 18% 30% 18% <絶対数> (千人) 1% 16% 4% 35% 32% 2% 15%17% 16%9% 欧米では四輪が多い 14% 64% 20% 19% 10% 26% 3% 62% 27% 8% : 四輪車両 : バイク : 自転車 現在でも1年間に135万人以上の尊い命が失われている 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved. : 歩行者 : その他

7.

デンソーのAD&ADAS分野の取組み 移動の自由 運転負荷減 GSP 2 GSP 1 GSP X GSP X 一限定区域 Lv.4 Global Safety Package (GSP) : ADASの普及を目指して、2015年からシステムとして提供開始 自専道 Lv.2 Limited area Lv.4 自専道 Lv.2.5 一般道 Lv.2 Dedicated Road Lv.2.5 General Road Lv.2 Driverless 新モビ(タクシー/小型バス) General Road Lv.3 Dedicated Road Lv.3 Lv.2 Hands-off • 自動駐車 ・市街地車速支援 ・自宅対応自動駐車 ・リモート駐車 ・支援継続性向上 • 自動駐車 ・Hands-off 駐車支援領域拡大 ・Eyes-off ・歩行者 ・自転車/夜間歩行者 ・交差点 ・全周囲障害物 ・低速衝突回避 ・後退発進時接近車 ・全周囲障害物 (駐車 場内) ・死角障害物 ADASシステムの高度化・多様化が加速している 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved. 対応シーンの拡大 ・遠方障害物 ・ リア歩行者 ・踏み間違い対応 対応シーンの拡大 ・自動バレー駐車 Lv.4 衝突回避 一般道 Lv.3 自専道 Lv.3 Dedicated Road Lv.2 -ACC -LKA -AHB 駐車負荷減 202X 2021 GSP3 GSP 3 2018 2015 さまざまな 事故に対応 ACC: Adaptive Cruise Control LKA: Lane Keeping Assist AHB: Auto High Beam

8.

AD&ADAS開発に必要なデータ 引用:https://www.photo-ac.com/ DB AD&ADASロードマップ 膨大な開発&検証用データ AD&ADAS開発には膨大なデータが必要 今後も爆発的な増加が予想される 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

9.

ADAS開発環境 開発車両 真値計測 サーバ解析システム ビューア 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

10.

AD&ADASシステムの品質確保の考え方 ①徹底した公道走行で 網羅率を上げる ②テストコースで特定の 難しいシーンを評価 ③仮想環境で試験を加速 DB 3つの取り組みを融合させ高い品質を作り込む 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

11.

システム検証評価を仮想環境で効率化 課題: ・実環境の検証評価にかかる時間、人手を削減したい ・実環境の検証評価が難しい危険シーンの再現 実環境 検証・評価 開発 開発 仮想環境 検証・評価 実環境 検証・評価 並列化・ 加速可能 毎回実環境ベースの開発だと反復時間が長く大変 仮想環境を使って反復時間を短く問題の洗い出し後に実環境へ システム検証評価時間を削減するために仮想環境を活用 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

12.

Unreal Engine を使った仮想環境構築 仮想環境構築にゲームエンジンやライブラリ、シミュレーションソフトは多数あるが、以下の理由でUnreal Engine (UE)を採用 弊社内の仮想環境ニーズ Unreal Engine 様々なシーンを表現するため、先進CGを使いたい。 なおかつ実行性能が高速に動いてくれるものが欲しい。 高精細で高速なリアルタイムCG技術を取り入れ常にアップデートしている。 状況に合わせて必要な機能を実装できるカスタム性が欲しい。 オープンソースでコードを自由に変更できる。加えてBP/C++/RHIコマンドなど改変手段の自由 度あり。 アセットやプラグイン等、データの使いまわしをしたい。 安価に購入できるストアがあり、UEプラットフォームで対応。 一度生成したデータの再利用性・可搬性がある。 ユーザビリティが欲しい。習熟コストを低く抑えたい。 ゲームUIとして洗練されている。ゲーム業界知見が多数ウェブに存在。 実車データとの比較や学習のために真値データが欲しい。 3Dシーン情報がマップとアセットからBP/C++で取り出し可能。 PoCや先行開発の段階もあり、ライセンスなどの費用を抑えて安価に使いたい。 5.3まで使用料なしで使える (5.4以降は開発に年間1850ドル 問題が起きた時に原因を詳しく解析したい。 解析や性能計測のツールが複数ある(DebugConsole、RenderDoc等) 2025/08現在 ※年間収益が100万米ドルを超える場合) 自動車業界で利用されている仮想環境から視野を広げて、 先進3Dゲーム開発で鍛え上げられているUnrealEngineツール転用 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

13.

2. AD&ADASシステム開発検証評価への適用事例 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

14.

仮想環境を用いたAD&ADASシステム検証評価 AD&ADASシステム 実走行データ 認知 判断 操作 環境センシング 意思決定 車両制御 車両センサ 環境認識 行動計画 操舵制御 ハンドル カメラ/ミリ波 シーン理解 経路計画 加減速制御 アクセル・ブレーキ 行動予測 意図推定 姿勢制御 サスペンション 通信デバイス 仮想環境でモデル化 外界モデル センサモデル 検証対象 アクチュエータ /車両運動モデル 仮想環境で生成したデータをAD&ADASシステムの入力として利用する 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

15.

外界モデル × ロケーションモデル × オブジェクトモデル 天空モデル(時間・天候変化) 外界を形成する要素モデルを多数揃え、組み合わせることで様々なシーンを再現 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

16.

ADASアプリ開発向けカメラシミュレータ 外界モデル(マップ、移動物、地物、天空) ・形状 ・マテリアルの反射率 ・輝度 車載カメラモデル ・歪度合い ・ボケ ・フレア、ゴースト 自車運動モデル ・車両運動 ・衝突判定 ・CANデータ生成 実機カメラを模擬したカメラデータ ECU 認識ソフト検証評価 実機を模擬したカメラデータを生成、カメラ認識ソフトの検証評価に用いる 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

17.

これまでのADASアプリ開発(仮想環境無し) 実車試験が膨大にあるな・・・ ADASアプリ開発 解析 認識評価 実車画像 検証評価 実車計測 開発 実環境 検証・評価 毎回実環境ベースの開発だと反復時間が長く大変 実車で計測したデータを使ってADASシステムを開発 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

18.

カメラシミュレータを利用したADASアプリ開発 ①~⑤のフローでCG画像をアプリ開発に提供 ①仮想環境利用ニーズのヒアリング・すり合わせ 仮想環境開発: 実車画像への合わせ込み ④フィードバック →②へ、基準を満たせば⑤へ 仮想環境開発 ADASアプリ開発 ⑤CG画像を大量に提供 ②CG画像 認識評価 解析 実車画像 検証評価 実車計測 ③ CG画像 認識評価 開発 認識評価: 実車画像とCG画像を比較 仮想環境 検証・評価 実環境 検証・評価 並列化・ 加速可能 認識評価レポート 仮想環境を使って反復時間を短く問題の洗い出し後に実環境へ 実車画像とCG画像で一定の基準内の合致を確認し、条件に近しい範囲でCG画像を量産 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

19.

Unreal Engine標準機能を使用した開発効率化の取り組み • 業界標準のADAS検証用シナリオフォーマットであるASAM OpenScenarioに対応 UEの物理演算を用いて車両運動モデルを実装。横断勾配のある道路でも走行可能 ※ASAM OpenScenario:https://www.asam.net/standards/detail/openscenario/ • 魚眼プレビュー画面表示やグリッド表示などデバッグ機能を充実化 シナリオ標準フォーマットへの対応、ユーザビリティ充実化 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

20.

カメラシミュレータで生成した動画を認識処理にかけた結果 ※認識処理にはYOLOを使用 左上:前方望遠カメラ、左下:前方広角カメラ、 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 右:周辺カメラ(左上から時計回り順:前方、後方、右方、左方) © DENSO CORPORATION All Rights Reserved. https://www.mlit.go.jp/plateau/ 国交省提供オープンデータであるPlateauをベースにマップを作製

21.

仮想環境による走行試験補完計画 左:車載データ、右:車載データを基に再構成したシーンを 左:車載前方カメラ映像、右:シーンを再構成しUE上で動作させた映像 UEに取り込み再生したデータ 車載データからシーンを再構成をする手法を調査中 高める ▲現在 精度とデータ生成効率の両軸で走行試験補完範囲の拡大を進める 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

22.

3. Cubemap Tiled Rendering(CTR)の開発 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

23.

【CEDEC2023】 ADASとCGのコラボレーション 広角歪みカメラモデル開発事例より カメラ画像の再現 実際のカメラを再現したCGを作る=レンズの物理現象を再現する 画質 レンズ物理現象 倍率 主光線の屈折 難易度 センシングにおける位置づけ 容易 コントロール対象 効率良く周囲を認識させるための 調整パラメータ 歪 歪は、倍率の面内変化を表す 等間隔 等間隔 ボケ フレア・ ゴースト 敵 パンフォーカス*であり、 被写界深度の概念がないため、 ”仕方ない現象”ではない→つまり、悪 光束の屈折 光束の反射 困難 敵 写真表現の一つだが、 認識の邪魔になる→つまり、悪 歪無し 等間隔 不等間隔 (位置ごとに 間隔変化) 歪有り 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved. *無限遠にピントが合うようにカメラは固定されている 従って、近距離~∞までピントが合う

24.

【CEDEC2023】 ADASとCGのコラボレーション 広角歪みカメラモデル開発事例より “歪”があることでできること “歪”は、カメラ設計で最適化すべきパラメータの一つ 自動車道路は、ドライバが運転しやすいように走行路が最適化されており、カメラはこれに準ずるよう設計している 意図的に”歪”を与えて画像内の分解能を最適化 設計例: 自動車専用道路と一般道 項目 自動車専用道路 一般道 走行環境 自動車のみ、高速 歩行者・自転車混合 走行路 ほぼ直線・対向車分離 交差点、対向車非分離 ドライバ 前方注視 周囲安全確認しながら低速走行 高分解能 広角 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

25.

歪の再現 【CEDEC2023】 ADASとCGのコラボレーション 広角歪みカメラモデル開発事例より 歪はレンズの屈折によって生じる。しかし、CG生成のためにレンズ内をレイトレースするのは効率が悪い →外の物体位置から、画像内の座標に変換するモデルを使って計算する 良く見る手法: OpenCVの歪モデル デンソーは、様々なカメラに対応できるよう、Angle vs Image Heightテーブルから生成するモデルを採用 ピンホールカメラ 魚眼カメラ 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved. Angle[deg] Image Height[mm] 0 0 1 0.1 … …

26.

広角歪カメラモデル UE仮想環境のカメラモデル で出力したCG画像を使って 評価したい! 車載カメラモデルには実カメラの広角歪みの再現が重要だが、 UEの透視投影のFOV限界値は175度しかない。 →キューブマップを使ってUE限界値以上のFOVに対応してやろう! 認識・ADASアプリ開発チーム キューブマップ*で環境マップを描画 ※各面を画角90度描画 top 環境マップ→カメラ画像に座標変換 top front bottom 視点を横から見た図※左右の面は省略 left front right bottom *周囲の環境のリフレクションを表現する 正方形テクスチャ5面を組み合わせたもの キューブマップからレンズモデルに基づいたカメラ画像を生成する機構を構築 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

27.

処理フロー 事前処理 UE4実行時処理 不透明 空間処理 直接光 ライト系 ポストプロセス 間接光 半透明 空間処理 キューブマップ空間処理 歪パラメータ 魚眼変換 テーブル カメラ画像 Ortho Capture 出力 空間処理 レンズ系 ポストプロセス 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved. フィルム系 ポストプロセス デンソー トーンマップ

28.

課題 カメラ画像を不具合なく生成するための課題: • 課題1:キューブマップ端で露出が非連続 • 課題2:キューブマップ端でブルームが非連続 • 課題3:キューブマップ端でAOアーティファクトが発生 ADASシステム評価に使用してもらうための課題: • 課題4:実カメラ相当の高精細CG画像が必要 ←本日の話題 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

29.

不具合なくカメラ画像を生成するための課題 • 課題1:キューブマップ端で露出が非連続 • 課題2:キューブマップ端でブルームが非連続 • 課題3:キューブマップ端でAOアーティファクトが発生 課題1 アーティファクト 有り 課題2 アーティファクト 無し 課題3-Before 課題3-After ※UE5:LumenではSSAO寄与は無い のりしろ込みのキューブ面 旧)露出、ブルーム処理 新)露出、ブルーム処理 (FOV: 100) 正味のキューブ面 (FOV: 90) キューブマップ空間処理 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved. カメラ画像空間処理

30.

課題4:高精細ニーズへの対応 ADASアプリ評価向けに もっと高精細なCG画像が 欲しい! 認識・ADASアプリ開発チーム ADASシステム評価にはCG画像にピクセルレベルの正確性が求められる。 • 従来のキューブマップ活用では内部処理でアンダーサンプルが起きてしまい、 実車同等の画像が得られない(精細度が足りない)。 • かといって、ただ内部のキューブマップ解像度を高めただけだと 要求メモリ量が多すぎて使いづらい。 補足:手法検討 従来のキューブマップ手法 手法 状況 Subpixel Sampling 数百メートル先の遠方の描画が崩れる。 狙った精細度を表現できない。 Deinterleaved Rendering ボケてる 課題解決するための手法を検討する 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved. Subpixel Sampling Deinterleaved Rendering まだボケてる サンプリングが ずれてしまう

31.

高解像度化施策:Cubemap Tiled Rendering (CTR) キューブマップ top left front カメラ画像生成 (解像度は変えられない) right botto キューブマップの高解像度化 m 各キューブマップをさらにタイル分割する →各タイルをのりしろ有りサイズでレンダリング 目標の高解像度 タイルサイズ →タイルをクロップしてマージ マージ後の高解像度キューブマップ のりしろ有り タイルサイズ タイルごとに処理を分割 →メモリを効率良く使用可能 メモリ容量/帯域を節約しつつ、より高精細なカメラ画像を生成できた 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

32.

CTR:画質確認 リファレンス車両像→ (ViewPort上近景) キューブマップ総解像度→ 100m先に車両配置 キューブマップ1面の 分割タイル数 [枚] 無し 4 (=縦2×横2) 16 (=縦4×横4) 64 (=縦8×横8) キューブマップ1面解像度 2K×2K 4K×4K 8K×8K 16K×16K キューブマップ総解像度 6K×6K 12K×12K 24K×24K 48K×48K 生成カメラ画像 (4K×2Kで出力) (データ準備中) (データ準備中) (データ準備中) (データ準備 中) カメラ画像を拡大 (50pix ×50pix) ※1K=1024pixel リファレンスに最も近い キューブマップ解像度を上げることで最終的なカメラ画像の高精細化を実現 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

33.

CTR:VRAM使用量、実行性能 RTX A6000(VRAM 48GB)環境でファイル出力有で計測。ファイル出力無しだとほぼリアルタイム動作。 GiB = 10243 Byte 50 VRAM限界での動作のため 正確にパフォーマンス観測できず 6000 40 【左軸(棒グラフ)】 VRAM 30 使用量 [GiB] 【右軸(折れ線グラフ)】 4000 1フレームあたりの 平均実行時間 [milli sec] 20 2000 10 0 0 4K×4K 8K×8K 10K×10K キューブマップ解像度 16K×16K CTR無し CTR有り ※RTX 3070でも動作可能 実行時間はかかるものの、高精細しつつVRAM使用量を削減できた 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

34.

CTR まとめと展望 生成カメラ画像(CTR, 16K×16K) ■まとめ • メモリ容量/帯域を節約しつつ、より高精細なカメラ画像が生成できた。 • UEのリアルタイムベースで近代的なレンダリング機構は、ADASシステム向け 仮想環境にマッチしている。 従来のキューブマップ手法 Subpixel Sampling Deinterleaved Rendering CTR • 節約できたといっても、まだまだ膨大なメモリを使用している。 • のりしろ付きで一括ファイル出力したあとつなぎ合わせる方法もあるが 実行時間とトレードオフ。現状がバランス良い。 ■展望 • メモリヘビーでない、もっと軽量なアプローチの検討 • Foveated Rendering、DLSSなどのAI • 画像処理AIの日進月歩の進化に対応する • • 画像開発も並行して行われている中でカメラモデルを開発する難しさがある。 学習用CG画像の大量用意が難しい。 Unreal Engineを最適化しながら高精細な画質を追及する 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

35.

まとめ 1. 導入・背景:5分 2. AD&ADASシステム開発検証評価への適用事例:10分 3. CubemapTiledRendering(CTR)の開発:10分 4. バッファ:5分 AD&ADASシステム開発検証評価への適用事例と 広角歪みカメラモデルCubemap Tiled Rendering(CTR)の開発をご紹介しました。 デンソーではこうしたゲーム開発技術を用いて幅広い研究開発をしています。 一緒に働く方を募集中ですので ゲーム開発技術者、アーティストの皆様、ぜひ一緒に面白いものを作りましょう! 車業界の皆様、Unreal Engine を使ってADASの仮想環境技術を積み上げていきましょう。 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.

36.

参考資料 • CEDEC 2019, AD&ADASシステムとゲーム開発技術の融合 • CEDEC 2023, ADASとCGのコラボレーション広角歪みカメラモデル開発事例 謝辞: 近藤隆幸さん 細川敦司さん 枝廣哲也さん 山本晃司さん 鈴木宙見さん 桑原建さん 阿部好浩さん 大場達也さん 山崎正裕さん 細貝一哉さん 玉垣知樹さん 金子健太さん 服部陽介さん 鈴木知二さん 片山雄介さん 古武泰樹さん 平野伸将さん 村尾俊和さん 苫米地広貴さん 若杉智和さん 上野博史さん 村田奈苗さん 河崎聡さん 恵良祐也さん 吉田健志さん 長野太亮さん 関努さん 佐藤准嗣さん 木嶋周作さん 岩田幹生さん 澁谷陽史さん 床井浩平先生 山木戸伸行さん 黒川敏邦さん 惣卜正明さん 佐久間一行さん 古平敏志さん 車載カメラ代替に向けたAD&ADASシステム検証評価用高解像度・広角歪カメラモデル開発 / Aug. 05, 2025 © DENSO CORPORATION All Rights Reserved.