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November 21, 22
スライド概要
講演アーカイブ:
https://youtu.be/LHo0PCS6X88
講演内容:
1994年、スーパーファミコンで発売された伝説のRPG『LIVE A LIVE』。2022年、現代の新作としてHD-2D技法を使い蘇らせました。本講演ではリメイクに当たってのコンセプトやこだわりどころ、HD-2Dの絵作り、UEを使ったワークフロー、効率化の工夫などを紹介いたします。
講演者:
時田 貴司(株式会社スクウェア・エニックス)
佐々木 瞬(株式会社ヒストリア)
川合 朋也(株式会社ヒストリア)
伝説のRPG『LIVE A LIVE』についてはこちら:
https://www.jp.square-enix.com/lal/
UNREAL FEST WEST ’22 公式サイト:
https://unrealengine.jp/unrealfest/west2022/
Unreal Engineを開発・提供しているエピック ゲームズ ジャパンによる公式アカウントです。 勉強会や配信などで行った講演資料を公開しています。 公式サイトはこちら https://www.unrealengine.com/ja/
「ライブアライブ」28年前の作品 をHD-2Dで蘇らせる挑戦 株式会社スクウェア・エニックス 時田 貴司 株式会社ヒストリア 佐々木 瞬、川合 朋也 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
コンセプトパート © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 2
自己紹介 株式会社スクウェア・エニックス 第二開発事業本部ディビジョン6 プロデューサー 時田 貴司 1984年株式会社ZAPを経て 1986年株式会社SQUARE(現スクウェア・エニックス)入社。 デザイナー、プランナー、ディレクターを経てプロデューサーに。 <代表作> ・FINAL FANTASY IV(SFC) メインデザイン ・ライブアライブ(SFC) ディレクター ・パラサイトイヴ(PS) ディレクター ・半熟英雄シリーズ、ナナシノゲエム プロデューサー © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 3
自己紹介 株式会社ヒストリア 代表取締役 プロデューサー / ディレクター / エンジニア 佐々木 瞬 コンシューマーゲームのディレクター、リードプログラマーを経て、 2013年10月にUnreal Engine専門会社である株式会社ヒストリアを設立。 <代表作> ・ライブアライブ(Switch) ディレクター ・Caligula2(PS4 / Switch) 制作ディレクター ・Airtone(PS VR / Steam) プロデューサー、ディレクター ・ジョジョの奇妙な冒険 ラストサバイバー(アーケード) 制作プロデューサー © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 4
タイトル紹介 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 5
本日は主に “絵作り” + “開発のTips集”を語ります © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 6
リメイクの開発コンセプト 「基本、変えない」 「フルボイス」 「HD-2Dを用い、いまのゲームのように見える」 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 7
絵作りの方針 本作なりのHD-2Dを模索 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 8
HD-2Dの始祖『オクトパストラベラー』 © 2018 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 9
サンプル © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 10
サンプル © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 11
絵作りの方針 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. × 情緒 ○ アツい! 12
アツい雰囲気を出すため 今までのHD-2Dは、強いDoF+ビネット+浅いカラーが絵の特徴だった ↓ 強いDoFもビネットも情緒が出てしまう。 そのまま適用してもライブアライブらしくならない! とても困った。 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 13
アツい雰囲気を出すため HD-2D=「ドット絵+近代リアルタイム3DCG表現」として再解釈。 【特徴】 • 「舞台的なライティング」 • 外連味あふれるライティング • ライティングだけでなく、フォグ表現なども舞台を参考に 【弱めた】 • 奥行きをよく使うタイトルなのでDoFは弱めに • ビネットは雰囲気に合わないのでかけないor弱めに © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 14
もう一度見てみましょう © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 15
もう一度見てみましょう © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 16
演出(カットシーン) • 舞台的な動き、間の表現を意識 • 時田さんと合宿的に全編チェック! © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 17
イベントシーン © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 18
開発パート © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 19
自己紹介 エンジニア 川合 朋也 2015年、ヒストリアに新卒として入社。以降エンジニアとしてコン シューマーゲームやVRタイトルなど様々な開発を経験。 今作では、フィールド、イベント、ローカライズのエンジニアを担当。 代表作: ・『ライブアライブ』 ・『BIOHAZARD VALIANT RAID』 ・『Airtone』 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 20
フィールド編 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 21
HD-2Dへの挑戦:木のルックを詰めた まず最初に、フィールドのイメージを決定する”木”のルックから詰めた © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 22
HD-2Dへの挑戦:背景ワークフロー ドット制作アーティスト レベルデザイナー 3D背景アーティスト © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 23
HD-2Dへの挑戦:背景ワークフロー 最初にSuperGridを使って、フィールドのGrayBoxを作成 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 24
HD-2Dへの挑戦:背景ワークフロー 背景の制作 • 原作の背景ドット絵を一旦当てはめてみて、モデルサイズ、レイアウトを確認 • ラフが出来上がったら、最終版用にドット絵、モデルを作成 ©1994 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. キャラクター:©1994 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.,©1994 小学館 25
奥行きへの挑戦 原作マップからそのまま3Dへ表現しているため、奥行き方向へのレベルデザイン の導線が前提としてあった。 ©1994 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. キャラクター:©1994 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.,©1994 小学館 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 26
奥行きへの挑戦:カメラ • カメラの角度は奥への移動がしやすい様に、上で見下ろすような形に • カメラを望遠にすることで、画面の端が歪まないように © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 27
奥行きへの挑戦:背景のフェード キャラクターが背景と被ってしまう問題は、フェードで対応 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 28
奥行きへの挑戦:背景のフェード フェードするアクターのグループは、UE4のLayersを使用して管理 LayersはUE4標準の機能で、レベル上のアクターのグループ化により素早い選択 と、可視性を制御する機能を備えている →レベルでの作業がやりやすくなる基本Editorで使われるツール © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 29
奥行きへの挑戦:背景のフェード Layers機能をフェードの単位に使用した理由 • Editor上で簡単にフェード後の地形が確認ができる(標準機能) • Actorが所属しているLayer名をランタイムで取得できる • AActorクラスが内部的に所持している →フェードするアクターを管理するのにピッタリの機能だったので使用! © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 30
奥行きへの挑戦:背景のフェード ただ… • 普通の用途で背景配置作業で使用したかったのに使えなかった。 • 最大で36個のレイヤーが作成されるレベルもあり、重複等でバグも発生した。 →EditorUtilityWidgetで専用のツールを作ってもよかったかも… © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 31
設置感のための影 やはり影は必要。屋外はDirectionalLight、屋内は丸影を使用 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 32
キャラクターの明るさ調整 見やすさ+ドットの元の色をちゃんと出したい 洞窟などで暗くなりすぎないように、マップごとに色を持ち上げられるように 調整なし © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 調整あり 33
泣きポイント 物量がヤバい • 各編のルールが違う • 幕末編のイベント量産とかもう…… • 原始編の演技の細かさとかも…… →がんばった © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 34
バトル編 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 35
バトル動画 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 36
7×7のチェッカーバトル ©1994 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. キャラクター:©1994 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.,©1994 小学館 原作 37
影による範囲表現の実装方法 マス目上での敵の範囲を影で表現 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 38
影による範囲表現の実装方法 キャラクターアクターに影用の Flipbookのコンポーネントを追加し、 地面に平行になるように配置 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 39
HD-2Dとして意識したこと 「HD-2Dっぽい」=「2Dとの差別化」 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 40
HD-2Dとして意識したこと:場面転換の強調 カメラの絞り値で画面の雰囲気を変えて、場面の変化をわかりやすくできる © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 41
HD-2Dとして意識したこと:その他 リメイク作品として、原作にあった表現を再現 or 形を変えて再現 ダメージ時のリアクション © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. ドットの色を変える表現 42
スキル制作 大量の技 • 約、味方の技:200点、敵の技:315点、アイテム技:50点 総数約560点以上!! リメイクなので原作と同等以上の物量にする • スキルの削減、演出の簡略化はなるべくしない © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 43
スキル① © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 44
スキル② © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 45
スキルは全てシーケンサーで制作 EditorUtilityWidgetと専用マップでテストがしやすい環境に © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 46
スキル制作 雑魚敵の技、アイテム技は汎用の演出を付けている → 使いまわせる箇所をサブシーケンサーで作成し、使いまわす © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 47
スキル制作:サブシーケンスでの量産 サブシーケンスで分 けられる スキル演出の要素 • モーション • エフェクト • カメラ • ヒットライト • 画面効果 • フィールドライト © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 48
スキル制作:サブシーケンスでの量産 ©1994 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. キャラクター:©1994 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.,©1994 小学館 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 49
スキル制作:サブシーケンスでの量産 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 50
スキル制作:サブシーケンスでの量産 結果 • 1人の作業者で300点以上の技演出のシーケンサーを管理できた • シーケンサーが見やすく簡素化されていたので、人的ミスが起きにくかった • また演出のばらつきを避けることができた 最終的な数量 • サブシーケンスで量産した技演出:307点 • サブシーケンス数 • モーション:99、エフェクト:177、カメラ:111、 ヒットライト:68、画面効果:13、フィールドライト:3 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 51
ボス表現 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 52
ボス表現:輪郭線 ボスのシルエットを強調するため、後ろにドットを2枚重ねて拡大して表示 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 53
ボス表現:オーラ ボス周りのエフェクト+Decalで表現 + © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 54
ボス表現:オーラ Decalを置いている理由 • 最初は周りのエフェクト多めだったが、重かったため削減 →エフェクトのばらつきでスカスカに見えてしまう… Decalを置くことで密度を保ち、豪華な見た目に! © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 55
ボス表現 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 56
描画周り編 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 57
描画方式について • まずはMAXの絵を出すためにディファードレンダリングを選択 • LookDev段階において、「ライブアライブらしいHD-2Dの模索」をするため、 豊富な絵表現が試せるディファードにした © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 58
最適化でのボトルネック 「スクリーンパーセンテージ100」にこだわった ↑これを採用! AAを切ると、背景が耐えなかった。 © SQUARE ENIX CHARACTER DESIGN © SHOGAKUKAN Inc. 59
描画方式について そこにこだわったことによる苦労… • 最適化の段階で、途中でモバイルフォワードへ切り替え • 通常のフォワード等も試したが、モバイルフォワードでないと動かなかった それにはとてもとても大変な苦労があったが、語り切れないのでここでは割愛! © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 60
ご清聴ありがとうございました SUPER FAMILY COMPUTER、NINTENDO SWITCHは 任天堂株式会社の登録商標です。 PlayStationは株式会社ソニー・インタラクティブエンタテイメントの 商標または登録商標です。 SteamはValve Corporationの商標または登録商標です。 その他掲載されている会社名、商品名は、各社の商標または登録商標です。 © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 61
アンケートへのご協力をよろしくお願いします <講演に関するアンケート(Game Day)> https://forms.gle/B3FfR3rSEcpDYXFH8 62