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November 08, 21
スライド概要
講演アーカイブ:
https://www.youtube.com/watch?v=yR5AhFqaVVY&list=PLr_Cbd4sUDTyMGAtfqRojwzFxkVXuU-_L&index=9
講演内容:
土木・建設分野のデザインは旧来から手書きパースやCG、模型が利用されてきて、頭の中で空間を想像しデザインを行っていました。ここに、ディスラプターとしてゲームエンジンが登場し、デザイン、合意形成、仮想空間会議など、設計ワークフローに変革をもたらしつつあります。今回は、その一部として、「水辺のデザイン」にゲームエンジンを取り入れたワークフローをご紹介します。
講演者:
佐藤 隆洋(日本工営株式会社 DX推進室 室長 )
長谷川 英一(日本工営株式会社 DX推進室 専門部長)
UNREAL FEST EXTREME 2021 WINTER公式サイト:
https://unrealengine.jp/unrealfest/extreme2021winter/
#uefest
Unreal Engineを開発・提供しているエピック ゲームズ ジャパンによる公式アカウントです。 勉強会や配信などで行った講演資料を公開しています。 公式サイトはこちら https://www.unrealengine.com/ja/
土木デザインのディスラプター となるゲームエンジン ~水辺のデザインを例に~ 日本工営株式会社 佐藤 隆洋、長谷川 英一
Speakers & Staff 佐藤 隆洋 長谷川 英一 プロジェクトリーダー リードプログラマー • 防災、地質、環境、景観デザイン、河川、 BIM/CIMを経て、現在はDX推進部に所属 • 専門分野は可視化、BIM/CIM、景観デザイン • ゲーム開発で3Dプログラミングを約30年間担当、 現在はインフラ分野でのIoTセンサー可視化、科 学計算結果のビジュアライズに取り組む • 河川流況シミュレーション結果の可視化について、 UE4プラグイン改造を担当 体制は上記2名の他、プランナー1名、レベルデザイナー1名、アプリ製作3名 海外拠点のグループ会社(MYANMAR KOEI INTERNATIONAL)の構成
建設コンサルタントという業界 • • 一般の人がイメージする重機を つかった工事現場で行われるよ うな「つくる」ということでは ありません。 社会資本を整備するうえでの真 の課題は何かを掴み、第三者目 線で最適解を導き出し、その地 域の発展に貢献するのが建設コ ンサルタントです。
建設コンサルタントという業界 • くらしの中の多くの 部分に建設コンサル タントは関わってき ます。
建設コンサルタントという業界 • 弊社は160か国で社会インフラ整備を行う開発コンサルタント
今重点的に取り組んでいる事柄 • 持続可能な社会を実現すること
業界では今何がおきているか • • • 3D設計の普及 3次元データの流通 都市丸ごと3次元化 出典:こうえいフォーラム27号(2019年3月発行)https://www.n-koei.co.jp/rd/thesis/pdf/201903/forum27_006.pdf
業界では今何がおきているか • • • 3D設計の普及 3次元データの流通 都市丸ごと3次元化 https://pointcloud.pref.shizuoka.jp/
業界では今何がおきているか • • • 3D設計の普及 3次元データの流通 都市丸ごと3次元化 https://www.mlit.go.jp/plateau/about/
UnrealEngineとの出会いと年表 • • • • 2018年Q1:BIMデータの高品位化を探しているときに知る 2018年Q3:土木でよく利用する地形データの連携の可能性に気付く 2018年Q4:マルチユーザービューワーに感動する そこからは、どんどんのめりこんでいきました
• 2018年に検討した土木デザインのコンセプト
UnrealEngineとの出会いと年表 • 2019年:点検シミュレーター作成でアプリ製作の難しさを知る 奇麗だけじゃダメ!!UIとUXを磨かないと!! 出典:国土交通省九州地方整備局九州技術事務所 出典:国土交通省九州地方整備局九州技術事務所
UnrealEngineとの出会いと年表 • 2020年:点群サポートにより土木分野での活用の広がり https://pointcloud.pref.shizuoka.jp/ 出典:国土交通省九州地方整備局九州技術事務所
360度カメラ映像 点群データ 点群提供、技術監修:国土交通省九州地方整備局インフラDX推進室
UnrealEngineとの出会いと年表 • 2021年:都市モデルやIoT機器との連携、解析結果の可視化
まずは使ってみた • 自由に地形のデザインができる!!
まずは使ってみた • 編集した地形はBIM/CIM、GISに出力できる!!! ということは、、、エディターとして利用できるという事 UE4 GIS
まずは使ってみた このレベルの描画が リアルタイム!! データ:SilverTMの無料都市公園環境コレクション UE4.26にて雲はVolumetricCloud 、大気はSkyAtmosphere を使用
ワークフローを考えてみる • コンセプトデザイン~合意形成に使えてデータが途切れない 環境技術者が3次元のコ ンセプトデザインを実施 コンセプトデザインの 環境シミュレーション コンセプトデザインそのもの のデータを設計図面化 現地の再現 UAVやLPデータ コンセプト デザイン CADでできなかった 自由な造形によりイメ ージを具現化 合意 形成 検討結果の 各種解析 リアルなイメージで、 合意形成の迅速化 設計 図面化 データが 途切れない 設計図面化から先はBIM/CIM が取り組んでいる部分
空間デザインで苦労していた川に着目 • • • 土木インフラの中で、UE4のレベルデザインの技術を応用し やすい河川デザインにチャレンジ 特に、空間デザインの際に、思考を途切れさせることなく使 用できるのか? ワークフローとして整えるために「必要なことはなにか?」 を探る
UnrealEngineで問題解決できそう! 河川について • • • 河川は、治水・利水・ 環境を考慮して整備 事業サイクルを円滑に 回すことで、質の高い 河川が維持できる 設計、施工、維持管理 はデータが流れるよう になってきたが、、、
UnrealEngineで問題解決してみよう
多自然な川 掲載写真 ©2021 Takahiro Sato
なぜ多自然な川が必要か? • • 安全な川が求められているが、川の恵みも欲しい 居心地のよい川を見ているとアイデアが生まれる 掲載写真 ©2021 Takahiro Sato
使う技術 • データ変換(GISなど)+ レベルデザイン(UE4)
どんなものを作ろうとしているか
どんなものを作ろうとしているか
どんなものを作ろうとしているか
どんなものを作ろうとしているか 出典:土木研究所自然共生研究センター
作るためのワークフローを構築 INPUT 測量データ 地形データの入力 繰り返し検討 ※調査・維持管理で取得 地形編集 流況解析 (iRIC) 仕上げ編集 繰り返し検討 合意形成 ※デジタルパース やVRを使用 OUTPUT 設計へ(BIM/CIM)
地形データの入力 • • 編集作業で地形編集を行いたいので、UE4にLandscapeとして 持っていく。編集エリア外はCesium for Unrealで表示 編集したい部分はHeightMapで読み込む 下準備 航空LPデータから 地形ラスタを作成 GeoTiff形式 編集作業 地形ラスタをUE4の Landscapeサイズにクリップし 16bitPNG形式に変換 Cesium for Unrealと位置合 わせを行う 変換パラメータを計算 16bitPNGをUE4に Landscapeとして読み込む
HeightMapの考え方を読み解く(サイズ) • インポートする地形ラスタのサイズがランドスケープのサイズに ならない、、、自動的にセクションサイズの倍数に変換される 例えば1mメッシュで1024×1024の地形ラスタ(1024m×1024m)は1072×1072mにな るので、Scaleで95.5を入れて調整する必要がある 実サイズに なるように スケール調整 自動調整 入力ファイル 1024×1024 自動調整 63×17+1 =1072 1072×0.955 =1023.8 ランドスケープのテクニカル ガイド https://docs.unrealengine.com/4.26/ja/BuildingWorlds/Landscape/TechnicalGuide/
入力地形ラスタサイズ 1024×1024 実サイズに なるように スケール調整 UE4ランドスケープの 読み込みルール ※自動変換で 1072×1072 実サイズになるように スケール調整 1024÷1072=95.5%
HeightMapの考え方を読み解く(サイズ) • • これは間違える原因になりそうだ なので、UE4の推奨サイズで地形ラスタを準備することにする UE4の 推奨サイズ 127×127 253×253 505×505 1009×1009 2017×2017 4033×4033 8129×8129 ランドスケープのテクニカル ガイド https://docs.unrealengine.com/4.26/ja/Building Worlds/Landscape/TechnicalGuide/
HeightMapの考え方を読み解く(高さ) • 土木で使いやすいように、UE4内で実際の高さで作業ができ るように、HeightMapの考え方を読み解いた 地形ラスタの表現 16bitPNG形式 UE4のランドスケープ のサイズに合わせる 65536段階にした時の スケール変換 UE4は512ユニットで考 えている カスタム仕様の高さマップとレイヤーの作成および使用方法 https://docs.unrealengine.com/4.26/ja/BuildingWorlds/Landscape/Custom/ ランドスケープのテクニカル ガイド https://docs.unrealengine.com/4.26/ja/BuildingWorlds/Landscape/TechnicalGuide/ 256 512 0 -1 ユニット -256 後は実際の標高 0位置のオフセ ット値を調べる 65536階調が持つ高低差÷512ユニットで1ユニッ ト当たりの高さの幅が分かる ScaleのZ値=地形ラスタの高低差(cm)/512
HeightMapの考え方を読み解く(高さ) • PNG地形をそのまま読み込むと65536÷2の高さが0として扱 われる。ブラシで編集する際に間違える原因になるので、実 際の標高で扱えるようにする 標高645.35m PNG地形 645.35m 65536階調 317.68m 標高0m = UE4の0 317.68m 標高 -10.0m 0 : UE4の高さ0位置 標高0m -10.0m
HeightMap入出力の簡便化を図ろう① • • • 理屈は分かった!!あとは使いやすくしよう。 まずは、手作業で作っていたHeightMap出力を自動化 ついでに32bitfloteデータ(Geotiff地形)に戻すところも 繰り返し検討 地形データの入力 地形編集 仕上げ編集 合意形成 ※デジタルパース やVRを使用 UE4で地形デザイン 設計や解析 実測データ 32bitFlote GeoTiff 設計へ(BIM/CIM) 変換 UE4地形 16bit PNG
HeightMap入出力の簡便化を図ろう② • オープンソースのQGIS用のプラグインを作成 プラグイン出典:国土交通省 九州地方整備局 九州技術事務所 動作確認環境 •Windows10 64bit •QGIS3.10.8
周辺はCesium for Unrealを使おう • • Cesiumが出てきて大きく変わりました!!! 地形ラスタの合成(航空レーザーデータ:LP+Cesium) 対象の空間 https://pointcloud.pref.shizuoka.jp/ • デザインエリア 周辺データ 航空LP等の地形データ Cesium for Unreal https://cesium.com/platform/cesiu m-for-unreal/ どうやって位置を合わせるか、、、雰囲気で行くか?否、ちゃんと考えよう
Cesium for Unrealの位置合わせ① • • • • 位置合わせの方法(意外とはまりました、、、) Cesium for Unrealには中心点と非表示エリアの設定がある Cesiumは緯度経度のWGS84、LPは平面直角座標系 GISで座標値を調べて入れ込む WGS84 周辺データ Cesium for Unreal デザインエリア 航空LP等の地形データ JDG2011XY デザインエリアの中心座標 デザインエリアの東西南北端
Cesium for Unrealの位置合わせ② • • • UE4の原点にCesiumの原点を合わせる CesiumGeoreferenceの詳細から、UE4 の原点のWGS84座標値を入力 座標値はGISで調べて入れ込む
Cesium for Unrealの位置合わせ③ • • • Cesiumとデザインエリアを重ねるため に、Cesiumで非表示の場所を設定する CesiumWorld Terrainの詳細から、 Exclusion Zonesの東西南北のWGS84座 標値を入力 座標値はGISで調べて入れ込む
航空LPデータ+Cesium for Unreal 周辺データ Cesium for Unreal デザインエリア 航空LP等の地形データ
航空LPデータ+Cesium for Unreal
解析結果から川を作ろう(自動化中) • • iRICという河川流況シミュレーションの結果を表示させたい どうすればできるか社内の先生に相談 「とりあえずやってみるよ」と言われて、、、待つこと1週間 地形データの入力 繰り返し検討 • 地形編集 流況解析 (iRIC) 活用ケース例: 掘削形状と流下能力の検討 仕上げ編集 繰り返し検討 合意形成 ※デジタルパース やVRを使用 設計へ(BIM/CIM)
試作版 周辺データ Cesium for Unreal 解析データ iRICデータ デザインエリア 航空LP等の地形データ
解析結果から川を作ろう(自動化中) 「いい感じで出来てますね!!!」と話したものの、 「うーん、、、」と先生は満足していなかった、、、 というのも、計算結果の流速のみを使用していたので、 「作り物感が気になる」という事 そして、待つこと2週間、、、
改良試作版 「考え方も変えて、すべて一新しましたよ」と <以前のバージョン> • 計算格子点を発生させて、流 速を格子方向に表現 • 格子点間は自動的に補正 • なので不自然だった <一新したバージョン> • 計算結果のCSVデータからマ テリアル制御 • 流向流速を表現
改良試作版
改良試作版 <今後> • 計算結果のCSVを連続的に読み込ませて時間変 化にチャレンジ • 科学計算結果の表現にゲームエンジンの描画力 が加わると、どんな見せ方が効果的か?
最後に • • • 良いデザインには使いやすいツールが必要 新しい世界が開けた UE5も楽しみ 取組みの一部はこちらの報 告書でも公開しています。 本構想について、ご指導いただき誠にありがとうございました。 ・河川CIM標準化検討小委員会 様 ・国土交通省 九州地方整備局 インフラDX推進室 様 ・国土交通省 九州地方整備局 九州技術事務所 様 ・土木研究所自然共生研究センター 様 https://www.pwri.go.jp/team/kyousei/jpn/events/m5_r3_03.htm