【DeNA × AI Day】Web LLMプラットフォームのSAIのリリースと利用価値の評価

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February 13, 25

スライド概要

生成 AI の活用が世界中で広がっていく中、企業として LLM の活用推進をどのように実行していくのかを考え、DeNA では全社員が利用できる生成 AI の Web プラットフォームである SAI の開発とリリース、活用推進を遂行してきました。
どのような背景があってこのプロダクトを開発することになったのか、SAI を利用すると企業としてどのような価値があるのかを泥臭く検証していく中で何が分かったのか、生成 AI のサービスやプロダクトは業務適合を考えたときに今後どのような方向に向かっていくと良いのかの仮説についてお話しします。

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各ページのテキスト
1.

Web LLMプラットフォームのSAIのリリースと利⽤価値の評価 ⽣成AIのプラットフォームで業務のあり⽅‧効率を変える取り組み 1 © DeNA Co., Ltd.

2.

⾃⼰紹介 菅藤 佑太(Yuta Sugafuji) ~2018年 自然言語処理×ネットワークセキュリティの研究 2019年~ ベンチャー企業に新卒入社 2021年~ 教育系サービスの会社の立ち上げ 2023年~ DeNA入社 生成AIのWebプラットフォームのSAIのPdM 2 © DeNA Co., Ltd.

3.

1. DeNAにおける生成AI活用の背景と課題 3 © DeNA Co., Ltd.

4.

生成AI活用の背景・課題 背景 課題 DeNAの生成AI活用戦略 生成AI導入の課題 限定的な活用状況 全社員が利用できる環境の整備 生成AIの流行り出しの時期は、まだ社内での活用は限定的 ChatGPTが登場した約半年後、ChatAIという生成AIツールが Slack Botという形で全社展開された セキュリティの懸念 ナレッジ共有の課題 生成系AIサービス社内利用のマニュアルは存在するものの、社 内利用の心理的ハードルを下げることの難しさ 生成AIの個別社員の取り組みやナレッジを部門間や個人で共 有するようなものは全社では存在しなかった 4 © DeNA Co., Ltd.

5.

生成AI活用の具体的な課題 情報入力の境界線 出力情報の妥当性 社内システムのデータや顧客情報をどこまで生成 AIに 生成AIが出力する情報についての具体的な品質基準の確立 入力して良いのか、ユーザーにとって判断が難しい 5 • マーケティング文章の事実確認プロセス • 開発中のゲームコンテンツ • カスタマーサポートの回答における正確性の検証 • 未発表のマーケティング施策 • ゲームシナリオ生成時の世界観との整合性チェック • 個人情報を含むユーザーデータ 業務分野ごとに異なる検証基準が必要 © DeNA Co., Ltd.

6.

DeNAとしての生成AI活用の目的とアプローチ 目的 ● ● ボトムアップで自発的に会社を良くする 皆が主役になり、生成系AIを使ったDeNA社員の生産性向上に フォーカス 皆が主役 生成系AI 社員 アプローチ 課題 a. b. 全社的に生産性向上が強く見込め、AI活用で解決できそう な課題を収集し、プロジェクト化 個人/チームでの活用例の収集と展開 課題 課題 課題 6 課題 プロジェクト化 生産性向上 課題 © DeNA Co., Ltd.

7.

DeNAとしての生成AI活用の目的とアプローチ 課題を一つ一つ解決しても、会社全体で生成AI活用がされていくとは限らず、 この隙間を埋めるためには全社員が生成AIを活用できる環境を作る必要がある 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 7 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 ? 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 課題 © DeNA Co., Ltd.

8.

2. 生成AIのWebプラットフォームSAIとは 8 © DeNA Co., Ltd.

9.

生成AIのWebプラットフォームSAIとは 9 © DeNA Co., Ltd.

10.

生成AIのWebプラットフォームSAIとは 概要 生成AIプラットフォーム「SAI」は、全社員がいつでもアクセスでき、業務に活用 できるWebプラットフォームで、 業務効率化、AIリテラシー向上、新たな価値創出を目的として開発 目指す姿 SAIは、社員一人ひとりが生成AIの恩恵を受け、DeNA全体がより創造的で革新的な 組織へと進化することを支援する ためのプラットフォーム 継続的な開発と改善を通じて、より使いやすくより効果的なプラットフォームへ 進化させ、全社員が生成AIをフルに活用するキッカケとなるものを目指す 10 © DeNA Co., Ltd.

11.

3. SAIの主な機能と特徴 11 © DeNA Co., Ltd.

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生成AIのWebプラットフォームSAIの機能 自由対話機能 ナレッジ検索機能 (RAG) ChatGPTのように、自然言語ベースでAIと 質疑応答ができる。 大量のデータを取り込み、データを元に 質問応答を実現。 アクセシビリティ カスタムアプリ作成機能 全社員が誰でもアクセスでき、 数十個の生成AIアプリが標準で利用可能。 マルチメディアのインプットが可能。 12 ユーザー自身が簡単に独自の生成AIの アプリを作成・公開できる。 © DeNA Co., Ltd.

13.

生成AIのWebプラットフォームSAIの機能 13 © DeNA Co., Ltd.

14.

SAIが解決する主な課題 全社統合プラットフォーム SAIは、全社員が共通のプラットフォーム 上にアクセスすることで組織全体の効率性 を向上させます。 自分でアプリを作れる SAIは、個別業務に合わせたアプリを ユーザー自身が作成できるため、 自身の業務に生成AIを最適化して使うこと ができます。 14 簡単に使える AIの利用には専門知識が必要と思われがち ですが、SAIはシンプルでわかりやすいUI を採用し、専門知識がなくても誰でも簡単 に利用できます。 生成AIへの理解を深める 全社規模でのAIリテラシー向上は、AI活用 を成功させる上で不可欠です。 SAIは、ワークショップや勉強会と連動し、 全社的なAI教育を推進します。 © DeNA Co., Ltd.

15.

なぜDeNAで内製したのか 社内データへのアクセス 外部のAIサービスでは、社内データをインプットする場合の取り決めが必要になり、それによる利用ハードルが 高い一方で、SAIでは社内ドキュメントやデータのインプットの可否が明確に定義されているため利用ハードルが低い。 セキュリティとデータ管理 新規の外部のAIサービスでは、データが外部に送信されるためセキュリティ上の懸念が残ります 。SAIは入力可能な 情報の範囲を関係者外秘までに限定 。機密情報や個人情報の入力を禁止 し、入出力ログの管理 も行いセキュリティを確保。 コスト効率 SAIは、外部ツールと比較して低コストで利用できる という利点があります。例えばChatGPTだと一人当たり30ドル/月程度かかりま すが、現状のSAIではインフラ費用とAPI費用で一人あたり2ドル/月程度で運用できており、明確に低コストです。 15 © DeNA Co., Ltd.

16.

4. 導入による成果 16 © DeNA Co., Ltd.

17.

SAIの現状の成果 40,000 時間短縮 年間40,000時間の工数削減 17 © DeNA Co., Ltd.

18.

業務削減時間の計算ロジック 指標定義 SAIによる時間削減効果の測定指標は、「生成AI導入前の人力作業時間」と「生成AI導入後の業務完了時間」の差分で定義。 この差分を算出することで、SAI導入による具体的な時間短縮効果を把握します。 測定手順 1. ノイズを除去し、業務をカテゴリに分類 2. 各カテゴリにおいて、生成AI導入前の人力作業時間と生成AI導入後の業務完了時間を推定 3. 2で算出した時間の差分を、SAI利用による業務時間削減時間とする 試算方法 精度向上 人間作業とAI作業の時間差分を抽出 ノイズを除去した正確な削減時間を算出 1 2 3 自動化プロセス Geminiを使用して対話ログから差分を自動抽出 18 © DeNA Co., Ltd.

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「ビジネス職向け生成AIにまつわる勉強会」を開催 概要 LLMなど特に個人に活用ナレッジが蓄積されやすい中で、 生成AI活用に興味がある/関心が高いビジネス職のメンバーが集まり、 業務内外で培った生成AIに関する知見や活用例を共有。 AIを効果的に使いこなしていくためのステップアップの場として運用。 実績 11月より実施され、活用例や知見が共有された。 #1 11/22 ・「SAIとGoogleDocsでスライド作成tips」 ・「YouTuber × 生成AI」 ・「SAIでナレッジ作ってみた」 #2 12/6 ・「非エンジニアでもできる! ChatAIを使ったルーティンワークの工数削減法」 ・「全社員が使えるSAIにおける会議のあり方を変える取り組み 」 ・「RAGって何?」 19 © DeNA Co., Ltd.

20.

SAIの今後の具体的な目標 100,000 時間短縮 年間100,000時間の工数削減 20 © DeNA Co., Ltd.

21.

5. 今後のロードマップ 21 © DeNA Co., Ltd.

22.

SAIのロードマップ SAIは今後も、より多数の人間が高頻度で行うタスクをサポートするようなものにします 専門性の高いタスク 専門性の高いタスク 少数の人間が専門性を持って行うタスクをサポート 専門性の高いタスク 専門性の高いタスク 汎用性の高いタスク(ここに注力) 22 多数の人間が高頻度で行うタスクをサポート © DeNA Co., Ltd.

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現在の具体的な取り組みの例 多数の人間が高頻度で行うタスクの中でも現在は会議・議事録にフォーカス 取り組む理由 社内ヒアリングを経て分かったこと 多くの社員は会議をこなしている 会議での決定事項を忘れる 1人あたりの会議の頻度は高い 会議内容ドキュメントの分散 会議の方向性を見失う 機能 自動文字起こし&格納 23 過去の議事録検索 会議中の関連情報の提示 発言のリアルタイム支援 © DeNA Co., Ltd.

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他の議事録ツールとの比較 自動で議事録がデータベース化されて蓄積され、SAI上から議事録へのアクセスし検索・抽出・ 柔軟な要約などが可能。 コスト面でも月間5万回会議の会議を処理しても1人当たりかかる費用は500円/月程度で安価。 また、リアルタイム性のあるサポーターとして機能する 24 tl;dv Gemini for Google Workspace ZOOM自動文字起こし SAI 出力フォーマットの柔軟性 要約文の手動修正可能 要約ロジックの定義可能 要約後の編集不可 要約フォーマット制御可能 多言語対応 30以上の言語 (日本語含む) 65言語翻訳 (日本語対応一部未完了) 11言語 (日本語対応) 日本語対応。将来的に多言語 対応を予定 リアルタイム処理 会議後自動生成 (非リアルタイム) Meetでリアルタイム翻訳・ 議事録作成 リアルタイム字幕表示 会議中にリアルタイムでAI サポートと文字起こしができ る 統合性 Zoom/Teams/Meetなど主要 ツール連携 各種Googleサービスと 完全統合 Zoom内完結 社内の各種サービスやデータ ベースと統合し、WebやPWA でアクセス可能 コスト面 無料プランあり 月額¥3,400/ユーザー 無料プラン利用可能 通常のSAIと抱き合わせ © DeNA Co., Ltd.

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まとめ 25 © DeNA Co., Ltd.

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SAI まとめ 1. 生成AI活用の目的と適切なアプローチをしっかり定義する ● ● ● 企業の課題(データ活用・セキュリティ懸念・生成 AI利用ガイドライン)を整理し、明確な導入方針を定める DeNAでは「SAI」を全社展開し、業務効率化・ナレッジ共有を促進 ボトムアップ型の活用を推進し、全社員が自発的に活用できる環境を整備 2. 本当に意味のある取り組みなのか、導入効果を定量的に測定する ● ● 「業務時間削減」の定量評価を実施し、年間 4万時間削減 全社的なAIリテラシー向上も並行し、社員が自分ごととして捉えられるように勉強会や共有会の開催をする 3. Webの全社AIプラットフォームとしてどの方向に向かうべきなのか運用を考える ● ● ● 26 業務に密着し、 多数の人 が高頻度 で行われるタスクを解決する機能を強化 価値検証 → 本開発 → 全社展開の 3段階で推進し、移り変わりの早い生成 AIの時流において他社比較も丁寧に行う 生成 AIを当たり前に使える環境を整え、全社の生産性向上を実現 © DeNA Co., Ltd.

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ご清聴ありがとうございました 27 © DeNA Co., Ltd.