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December 01, 23
スライド概要
日本科学技術連盟主催 第116回 品質管理シンポジウム「イシュー別機能連携管理のすすめ」講演レジュメ
株式会社ブランドデザイン 代表取締役。食品会社、広告会社を経て、2003年に名古屋工業大学大学院 産業戦略工学専攻 准教授に着任。その後、名古屋工業大学 産学官金連携機構 特任教授、厚労省所管 職業能力開発総合大学校 教授を経て2019年6月より現職。デミング賞審査委員会委員、日本品質奨励賞審査委員、㈱安川電機 社外取締役、㈱ジェイテクト 社外取締役を務める。専門はブランドマネジメント、主戦場は「事業開発」。企業の事業価値創造プロジェクトや幹部人財育成など企業指導多数。主な著書として『日本品質管理学会選書9 ブランドマネジメント:究極的なありたい姿が組織能力を更に高める』(日本規格協会)、『理想追求型QCストーリー』(日科技連出版社)など。
第116回 品質管理シンポジウム イシュー別 機能連携管理のすすめ ~ビジネスモデルで先行し、現場力勝負に持ち込む新たなプロセス志向~ 2023年12月1日 加藤 雄一郎 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 1
加藤 雄一郎 <学歴> 東京工業大学大学院 社会理工学研究科 価値システム専攻 博士課程修了. 博士(学術) <職歴> 1992 - 93 食品会社 食品工場 製造技術課 1995 - 03 広告会社 マーケティング局 2003 - 15 名古屋工業大学大学院 産業戦略工学専攻(MOT専攻) 准教授 2015 - 18 名古屋工業大学 産学官金連携機構 特任教授 2018 - 18 厚労省所管 職業能力開発総合大学校 能力開発院 教授 2020 - 23 株式会社安川電機 社外取締役 2022 株式会社ジェイテクト 社外取締役 2018 株式会社ブランドデザイン 代表取締役 2019 名古屋工業大学 産学官金連携機構 プロジェクト教授 デミング賞審査委員(2015~) 日本品質奨励賞審査委員 <企業からの委託実績> 2007 / 04 -2020 / 04 -2023 / 06 -2019 / 04 – 2023 / 03 2019 / 04 – 2021 / 03 2018 / 03 – 2019 / 03 2003 / 04 – 2018 / 03 2017 / 01 -- 2017 / 12 2015 / 04 – 2016 / 09 2011 / 08 -- 2013 / 10 2009 / 12 -- 2011 / 10 2009 / 08 – 2010 / 04 2009 / 04 – 2010 / 03 2008 / 07 -- 2009 / 06 2006 / 10 -- 2007 / 03 2005 / 10 -- 2007 / 03 2004 / 10 -- 2006 / 03 2003 / 08 -- 2005 / 03 建機メーカー BMプロジェクト アドバイザー 電子機器メーカー BMプロジェクト アドバイザー 自動車部品メーカー 顧客価値創造活動 アドバイザー 日本科学技術連盟 役員教育プログラム (エグゼクティブセミナー) 企画主任&講師 総合家電メーカー 事業部横断型事業構想プロジェクト アドバイザー 旅行会社 組織開発プロジェクト アドバイザー 広告会社 アクティベーションデザイン推進局 客員研究員 産業機器メーカー 事業価値創造プロジェクト アドバイザー 自動車部品メーカー 価値創造プロジェクト アドバイザー 電子機器メーカー BM(ブランドマネジメント)プロジェクト アドバイザー 自動車メーカー インターナル・ブランディング アドバイザー 自動車部品メーカー インターナル・ブランディング アドバイザー コンタクトレンズメーカー インターナル・ブランディング アドバイザー 化学メーカー 人財育成プログラム 「創塾」 塾長 食品メーカー ブランドコンセプト立案アドバイザー トイレタリ・メーカー 新任マネジャー研修講師、および調査手法開発アドバイザー 総合商社 新規プロジェクト担当顧問 中小企業庁 繊維産業再生プロジェクト ディレクター BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 2
第100回シンポジウムの提言 これからの日本は ビジネスモデルで先行し, その上で現場力の勝負に持ち込めば、 負けることはない これはいったい どういう手順で何を考えることなのか? それを考え続けた8年間の長旅でした。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 3
「事業構想 八の字」をもって一先ず決着 外部 適応 事業ドメイン価値定義 組織オペレーション 全体方針 <What> <How> 事業の戦略的ポジショニング 組織能力 < SP: Strategic Positioning > < OC: Organizational Capability > 当該事業は 顧客の何の実現にコミットするか? 左記SPをどのように実現するか? いかに収益化 (マネタイズ)するか 具体的に 顧客は何をできれば 喜ぶか? 実現手段としての 商品群づくり 左記を実現すべく 我々は何をできる ようになるべきか? 内部 適応 品質保証体系 (部門間連携の見える化) 活動システムの策定 (活動連鎖の見える化) BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 4
次なる懸案事項 人的資本経営 資本効率 PBR1倍割れ ステークホルダー エンゲージメント 伊藤レポート IIRC 統合フレームワーク 離職率上昇 攻めの コーポレート ガバナンス BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 5
IIRC 国際統合報告フレームワーク 転機は… BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 6
価値創造プロセス 使命とビジョン ガバナンス 財務資本 リスクと機会 製造資本 戦略と資源配分 製造資本 ビジネスモデル 知的資本 知的資本 インプット 事業活動 アウトプット アウトカム 人的資本 人的資本 社会・関係資本 社会・関係資本 自然資本 財務資本 実績 見通し 自然資本 外部環境 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 7
第1章 価値創造プロセス BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 8
企業経営の入出力は何か [入力] [出力] BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 9
企業経営の入出力は何か [入力] [企業活動] [出力] 経営資源 財務成果 ヒト・モノ・カネ 売上収益 ヒト・モノ・カネを使って、お金を稼ぐ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 10
企業経営の入出力は何か [入力] 経営資本 経営資源 人的・製造・財務 ヒト・モノ・カネ 知的・社会関係・自然 [企業活動] [出力] 財務成果 売上収益 今日的に言うと、入力は「経営資本」 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 11
企業経営の入出力は何か [入力] 経営資本 経営資源 人的・製造・財務 ヒト・モノ・カネ 知的・社会関係・自然 [企業活動] [出力] 財務成果 財務資本 ROE/ROIC 売上収益 声高に叫ばれていることは、資本効率の向上 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 12
疑問 [入力] 経営資本 経営資源 人的・製造・財務 ヒト・モノ・カネ 知的・社会関係・自然 [企業活動] [出力] 財務資本 財務成果 ROE/ROIC 売上収益 だけ? しかし、増大させるべきは財務資本だけか? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 13
疑問 [入力] 経営資本 経営資源 人的・製造・財務 ヒト・モノ・カネ 知的・社会関係・自然 [企業活動] [出力] 財務資本 財務成果 ROE/ROIC 売上収益 だけ? 財務資本は、経営資本の一つに過ぎない BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 14
企業経営の入出力は何か [入力] 経営資本 経営資源 人的・製造・財務 ヒト・モノ・カネ 知的・社会関係・自然 [企業活動] [出力] 経営資本 財務成果 財務資本 ROE/ROIC 売上収益 だけ? 人的・製造・財務 知的・社会関係・自然 だったら、出力も「経営資本」 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 15
サステナブルな企業価値向上 企業経営の入出力は何か [入力] [企業活動] 経営資本 経営資源 事業の営み 人的・製造・財務 ヒト・モノ・カネ 知的・社会関係・自然 [出力] 経営資本 財務成果 財務資本 ROE/ROIC 売上収益 だけ? 人的・製造・財務 知的・社会関係・自然 目指すは、経営資本の持続的増大 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 16
IIRC 価値創造プロセス 使命とビジョン ガバナンス 財務資本 リスクと機会 製造資本 戦略と資源配分 製造資本 ビジネスモデル 知的資本 知的資本 インプット 事業活動 アウトプット アウトカム 人的資本 人的資本 社会・関係資本 社会・関係資本 自然資本 財務資本 実績 見通し 自然資本 外部環境 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 17
ん? ビジネスモデル? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 18
ビジネスモデルとは 組織の戦略目的を達成し、 短、中、長期にわたって価値を創造するために 事業活動を通じ、 インプットをアウトプット及びアウトカムに 変換するシステム IIRCによる定義 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 19
着眼すべきはY=f(x)でいうところの「関数」 [入力] 経営資本 経営資源 人的・製造・財務 ヒト・モノ・カネ 知的・社会関係・自然 [企業活動] インプットをアウトプットに 変換するシステム = [出力] 経営資本 財務成果 財務資本 ROE/ROIC 売上収益 だけ? 人的・製造・財務 知的・社会関係・自然 ビジネスモデル ここに欲しいのは、I/O変換の仕組み BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 20
欲しいのは、取引見取り図ではない 主要プレーヤーを列挙して 「商流」「物流」「情報流」のやり取りの様子は趣旨に合わない BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 21
<キーワード> 戦略要素レベルのプロセス BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 22
第2章 議論の経緯 それは6月23日がきっかけだった BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 23
BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 24
令和大磯宣言 令和大磯宣言では、顧客価値創造と組織能力強化の両輪を持続的に進化させ ていくことの重要性が示された。その意義は大きい。 企業存在価値最大化 顧客価値創造 組織能力向上 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 25
企業存在価値を 令和大磯宣言では、顧客価値創造と組織能力強化の両輪を持続的に進化させ ていくことの重要性が示された。その意義は大きい。 企業存在価値最大化 顧客価値創造 組織能力向上 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 26
論理の飛躍 ただし、「お客様や社会のニーズを満たすために、組織能力を獲得しなければなら ない」と短絡的に解釈することがあれば、それはさすがに論理の飛躍であろう。 価値共創ストーリー 企業存在価値最大化 価値共創テーマ みらいの ハード ソフト ハード <ホップ> ハード <ステップ> <ジャンプ> ハード ソフト ハード ソフト 顧客価値創造 プロセス保証 論理の飛躍 方針管理 組織能力向上 マネタイズ・シナリオ まず何を売って 極めつけに何を売るか 次に何を売って 標準化と 日常管理 情報技術の活用 さらに何を売って BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 27
「顧客価値創造の構想」と「その実現を目指して事業が発 揮すべき組織的機能」の間に、極めて重要なことがある。 それは・・・ プロセス BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 28
「仕事をやるには、まずプロセス」 仕事をやるには、まずプロセス。 なんにしても『手順』というものがある。 良い仕事をやるには、 そのためのプロセスというものを考えなければならない。 そして その手順を確かなものにするために、 組織能力が必要になる。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 29
良い結果は 良いプロセスからしか生まれない BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 30
プロセスの重要性 「顧客価値創造の構想」と「その実現を目指して事業が発揮すべき組織能力」の間に きわめて重要なことがある。それは「プロセス」である。 社会やお客様のニーズを達成するために 我々の活動にどのようなプロセスが存在すべきか。 どういう仕事の仕組みが存在していなければならぬのか。 そのような、 顧客価値創造の構想を成り立たせるためのプロセスを追求しなければ 社会やお客様のニーズが満たされることはない。 顧客価値創造が構想されたら、それを成り立たせるための新しいプロセス (価値創造のプロセス/仕組み)の組織実装にフェイズを移すことが肝要。 そして、「新しいプロセスの構築」という組織実装するために、 そのプロセスの遂行能力として組織能力が必要なのだ。 それが組織能力の獲得という言葉の意味である。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 31
主催者の思い したがって、 組織能力向上策を検討する際のベースになるのは、 「これから我々が事業を通じて達成しようとしている顧客価値創造の構想は どういうプロセスによって達成すれうるのか」 「その顧客価値創造の構想を達成するためのプロセスとは どういうプロセスなのか」 という、プロセス構築がなにより重要になる。 プロセスがなければ 組織能力向上の検討は踏み込みに足らない議論になりかねない。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 32
それは、きっとこんな感じの図なのだろう! <活動システム> 事業全体を俯瞰した価値創造の仕組み BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 33
届いたのは、この図面 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 34
こ、これは、、、 どうしたものか・・ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 35
どちらの図面に 照準を合わせばいいのか? どちらのレベル感も 大事なのではないか? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 36
第3章 プロセス階層構造 戦略要素レベルのプロセスに着眼することの重要性 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 37
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競争戦略 事業の位置づけ < SP: Strategic Positioning > 我々は顧客の何を実現して儲け続けるのか? ⇒ What 組織能力 < OC: Organizational Capability > 上記をどのように実現するのか? ⇒ How 極論すれば事業構想で意思決定すべきは上記2点 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 39
戦略要素の洗い出し 戦略要素1 戦略要素2 戦略要素3 戦略要素4 戦略要素5 戦略要素6 戦略要素7 戦略要素8 マネタイズシナリオ実現に特に重要な経営資源を洗い出す BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 40
戦略要素レベルのプロセス <価値創造の仕組みの全体像> 戦略要素を組織的にいかに使いこなすのか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 41
組織を挙げて取組むべきイシュー ② いかに ・・・を ・・・するか ① いかに ・・・を ・・・するか ③ いかに ・・・を ・・・するか ④ いかに ・・・を ・・・するか (イシュー:戦略要素レベルの高度実現に向けて組織が応えるべき問い) BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 42
イシューに基づく方針展開 イシュー 組織を挙げて取組むべき課題 現状 方針 KPI アプローチ 左記イシューに関する現状 イシュー実現に向けて 各部門の利害を超越した機能連携方針 左記の方針を体現した 具体的達成事項(KPI) 目標達成の方策としての 戦略要素と活用イメージ 1. 2. 3. 4. BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 43
機能連携レベルのプロセスへの展開 イシュー1に応える 機能連携レベルのプロセス 品質保証体系図とは業務の一連の流れにおいて イシュー2に応える 機能連携レベルのプロセス ①どの部門が ②どのタイミングで ③何をするのか という部門間の機能連携の様子を時系列で表したもの。 イシュー3に応える 機能連携レベルのプロセス イシュー4に応える 機能連携レベルのプロセス イシューの数だけ機能連携レベルのプロセスが存在する BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 44
さきの話に戻します BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 45
【再掲】 「顧客価値創造の構想」と「その実現を目指して事業が発 揮すべき組織的機能」の間に、極めて重要なことがある。 それは・・・ プロセス BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 46
建設的な不一致 どちらの図面に 照準を合わせばいいのか? どちらのレベル感も 大事なのではないか? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 47
ひらめいた構造図は・・・ BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 48
価値創出 プロセスの階層構造 プロセス三層構造 ひと口に「プロセス」といっても、レベルが異なる複数層が存在する [第Ⅰ層] 戦略要素レベルのプロセス [第Ⅱ層] 機能連携レベルのプロセス [第Ⅲ層] 業務遂行レベルのプロセス BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 49
価値創出 プロセス三層構造 戦略要素レベルのプロセス 戦略要素レベルのプロセス 機能連携レベルのプロセス 機能連携レベルのプロセス 現行の 新規の 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行レベルのプロセス TQM得意領域 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 50
価値創出 プロセス三層構造 ここは得意か? 戦略要素レベルのプロセス 現行の 新規の 機能連携レベルのプロセス 機能連携レベルのプロセス 現行の 新規の 新規の 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 51
TQMの新たな挑戦 ここは得意か? これから得意にしたい領域 戦略要素レベルのプロセス 現行の 新規の 機能連携レベルのプロセス 機能連携レベルのプロセス 現行の 新規の 新規の 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行 これまで得意にしてきた領域 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 52
プロセス観点から見た 100QCSの提言の真意 ビジネスモデルで先行し,現場力の勝負に持ち込む経営とは 戦略要素レベルのプロセス 現行の 新規の 機能連携レベルのプロセス 機能連携レベルのプロセス 現行の 新規の 新規の 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行 組織を挙げて、全員参加で プロセスの階層を創り込んでいくことではないか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 53
第4章 価値創造ストーリー 項目箇条書きの説明ではなく、魅了するストーリーテリングを。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 54
企業がステークホルダーに示すべき情報 ほぼ一通り揃っている。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 55
トップのメッセージは 伝わっているか? BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 56
金融商品取引法に基づく有価証券報告書、会社 法に基づく事業報告・計算書類、証券取引所に おける決算短信やコーポレートガバナンス報告 書等、複数の開示要請が存在する。これらに加 え、企業は任意にアニュアルレポートやCSR報 告書、統合報告書等も作成している。 開示情報が多岐にわた り膨大。企業を理解す ることに有効に活用さ れているとはいえない。 情報過多 言っている。しかし、伝わっていない現実 中計や年度方針において KPIが多岐にわたり どれが重要なのかわからない 目指す財務成果に対し それぞれのKPIが どのような因果で結びついているのか 理解しづらい BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 57
骨太ストーリーの重要性 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 58
骨太ストーリーの必要性 今日、ステークホルダーの範囲が拡大している。 ステークホルダーに示すべき情報は、ほぼ一通り揃っている。 しかし、証取などあっちこっちからアレ出せコレ出せと要求され、一言で いって「情報過多」。受け手は、情報を処理しきれていない現実がある。 その原因は、情報過多。別の言い方をすると、「項目だらけ」。すなわち、 ストーリーになってない。 必要なのは、価値創造のストーリー。 未来の業績に対する信頼を獲得するに足る「骨太のストーリー」を示すこ とができれば、中長期的展望をもったステークホルダーの心を打つことが できよう。 未来を実現する道筋を骨太ストーリーとして描き、受け手を魅了したい BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 59
獲得すべきは 「将来の業績に対する信頼」 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 60
示すべきは 「未来を実現する道筋」 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 61
ストーリー構成要素 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 62
さまざまな構成要素案 IIRC 投資ファンド 企業理念 や ビジョン 組織概要と外部環境 ビジョン・理念 ビジネスモデル ガバナンス ビジネスモデル ESG、持続可能性、成長性 ビジネスモデル 戦略・体制 戦略 ( 経営資本政策 ) リスクと機会 KPI 成果パフォーマンスと重要指標 戦略 と 資源配分 ESG ガバナンス 経営資本政策 見通し 経産省 伊藤レポート BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 63
ストーリー構成要素 1.ビジョン 2.戦略 3.マネタイズ・シナリオ 4.リスクと対応 5.戦略要素レベルのプロセス 6.方針と経営資本政策 7.機能連携レベルのプロセス BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 64
意識したことは「流れ」 <鍵は「接続詞の使い方」> ・大原則は「順接or逆説」のみ ・逆接は一度だけ ・基本は「順接のらせん階段」を上がる BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 65
ストーリー・テリング いかに聞き手を惹きつけるか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 66
ビジョン・ステートメント 私たちの願い、それは ・・・が、・・・・であること。 そのポイントは、・・・。 ・・・が・・・・であることがなにより重要です。 私たちにお任せください。 なぜなら、私たちには ・・・・・を・・・・する能力があるから。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 67
戦略 事業の位置づけ < SP: Strategic Positioning > 当該事業は顧客の何を実現して儲け続けるのか? ⇒ What 組織能力 < OC: Organizational Capability > 上記をどのように実現するのか? ⇒ How 事業の競争戦略で意思決定すべき二大事項 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 68
マネタイズ・シナリオ まず何を売って 極めつけに何を売るか 次に何を売って さらに何を売って 複数のハードとソフトを組み合わせて事業全体でどのように儲けるか BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 69
事業全体を俯瞰したリスク検討と対応 <UnCertainty Challenge> フォース・フィールド・ダイアグラムのうち 特に注目すべき MS上の 組織 否定派/肯定派の見解 位置 横断度 確率事象として 想定されるリスク 発生 影響 重点 確率 度合 判定 1 ↓ 2 広 ・ 狭 頻 重 ・ ・ 稀 軽 〇 ・ △ ・ × 2 広 ・ 狭 頻 重 ・ ・ 稀 軽 〇 ・ △ ・ × 3. 3,4 広 ↓ ・ 1 狭 頻 重 ・ ・ 稀 軽 〇 ・ △ ・ × 4. 3,4 広 ↓ ・ 1 狭 頻 重 ・ ・ 稀 軽 〇 ・ △ ・ × 5. 2,3 ↓ 4 頻 重 ・ ・ 稀 軽 〇 ・ △ ・ × 1. 2. 広 ・ 狭 リスク対応策 組織的対応行動 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 戦略要素 70
戦略要素の洗い出し 戦略要素1 戦略要素2 戦略要素3 戦略要素4 戦略要素5 戦略要素6 戦略要素7 戦略要素8 マネタイズシナリオ実現に特に重要な経営資源を洗い出す BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 71
戦略要素レベルのプロセス 戦略要素を駆使した事業プロセスモデル 一連のプロセスにおける「In/Outの関係」に着目して 戦略要素間を因果構造化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 72
組織を挙げて取組むべきイシュー ② いかに ・・・を ・・・するか ① いかに ・・・を ・・・するか ③ いかに ・・・を ・・・するか ④ いかに ・・・を ・・・するか 戦略要素レベルのプロセス全体を俯瞰して「イシュー」を立てる BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 73
イシュー別 機能連携管理 リスク イシュー イシュー実現の過程 戦略要素レベルにお で起こり得る事象 いて強化すべき課題 現状 方針 左記イシュー に関する現状 リスクをコントロー ルするための組織横 断的な機能連携方針 管理点 点検点 方針の達成程度を 方針実現に向けた 測る「結果系KPI」 組織行動良否を測 る「プロセス系KPI BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 74
機能連携レベルのプロセスへの展開 イシュー1に応える 機能連携レベルのプロセス 品質保証体系図とは業務の一連の流れにおいて イシュー2に応える 機能連携レベルのプロセス ①どの部門が ②どのタイミングで ③何をするのか という部門間の機能連携の様子を時系列で表したもの。 イシュー3に応える 機能連携レベルのプロセス イシュー4に応える 機能連携レベルのプロセス イシューの数だけ機能連携レベルのプロセスが存在する BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 75
更なる強靭化を目指す“経営資本政策 経営資本政策 リスク イシュー 現状 方針 管理点 点検点 技術 資本 組織 資本 人的 資本 製造 関係性 自然 資本 資本 資本 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 76
IIRCによる経営資本定義 ・財務資本: 事業活動若しくは投資によって生み出された資金 ・製造資本: 製品の生産やサービス提供にあたり組織が利用できる製造物 ・知的資本: 組織的な、知識ベースの無形資産。暗黙知、システム、手順及びプロトコルな どの組織資本 ・人的資本: 組織の戦略を理解し、開発し、実践する能力。人々の能力、経験及びイノベー ションへの意欲。組織ガバナンス・フレームワーク、リスク管理アプローチ及び 倫理的価値への同調と支持。プロセス、商品及びサービスを改善するために必要 なロイヤリティ及び意欲であり、先導し、管理し、協調するための能力を含む。 ・社会関係性資本:コミュニティ、ステークホルダー・グループなどネットワークとの間に おいて、個別的・集合的幸福を高めるために情報を共有する能力。共有された規 範、共通の価値や行動。主要なステークホルダーとの関係性、及び組織が外部の ステークホルダーとともに構築し、保持に努める信頼及び対話の意思。組織が事 業を営むことについての社会的許諾(ソーシャル・ライセンス) ・自然資本: 組織の過去、現在、将来の成功の基礎となる物・サービスを提供する全ての再 生可能及び再生不可能な環境資源及びプロセス。自然資本には次を含む。空気、 水、土地、鉱物及び森林。生物多様性、生態系の健全性 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 77
経営資本増大に向けた戦略投資 技術資本 組織資本 人的資本 関係性資本 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 78
出どころは「イシュー」 ② いかに ・・・を ・・・するか ① いかに ・・・を ・・・するか ③ いかに ・・・を ・・・するか ④ いかに ・・・を ・・・するか それは, 価値創造の仕組み全体を俯瞰したイシューに基づく政策 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 79
戦略投資がもたらす戦略要素レベルの強靭化 向こう3年を見据えた 経営資本政策 ビジネスモデル 強靭化 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 80
それが持続的な企業価値向上をもたらす 使命とビジョン ガバナンス 財務資本 リスクと機会 戦略と資源配分 ビジネスモデル 製造資本 製造資本 知的資本 知的資本 インプット 事業活動 アウトプット アウトカム 人的資本 人的資本 社会・関係資本 社会・関係資本 自然資本 財務資本 実績 見通し 自然資本 持続的な企業価値向上にぜひご期待ください BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 81
ストーリー・テリング 完 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 82
第5章 最終章 長期的展望をもったステークホルダーの育成 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 83
今日的なトピックス 人的資本経営 資本効率 PBR1倍割れ ステークホルダー エンゲージメント 伊藤レポート IIRC 統合フレームワーク 離職率上昇 攻めの コーポレート ガバナンス BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 84
ステークホルダー範囲と位置づけの変化 今日、国内外でサステナビリティに関する議論が深化する中で、企業が捉えるべき 「ステークホルダー」の範囲が変わろうとしています。 株式会社の組織形態を採る限りにおいて、企業の創出する最終利益は株主に帰 属します。一方、企業が持続的に事業活動を行うためには、顧客、バリューチェー ンにおける取引先、共同研究や共同事業を行うパートナー、地域社会、公的機関 など様々なステークホルダーとの良好な関係によって実現するのです。 狭義の投資家に留まらず、組織内部の従業員、バリューチェーンにおけるパート ナー企業、そしてほかならぬ顧客。多岐にわたるステークホルダーとの協創によって、 持続的な企業価値向上は実現するのです。 キーワードは、ステークホルダー・エンゲージメント。 多様なステークホルダーが、将来業績に対して信頼できるようになることの重要性 が説かれています。その成否は、未来を実現する道筋を「価値創造ストーリー」とし て誘引し、「一緒に協創したい」と思ってもらえるかどうかにかかっているのです。 多様なステークホルダーが、中長期的な観点から企業を評価し、自らの資本投下 判断やエンゲージメントに基づく協創活動の励行に役立てるための手引として、価 値創造ストーリーを有効に活かしていただきたいと思っています。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 85
コマツにおける企業価値の定義 企業価値とは すべてのステークホルダーからの信頼度の総和 ステークホルダー 国内外 販売代理店 (DB) 協力企業 社 員 代理店会議 みどり会 社員ミーティング 社員ミーティング 経営者懇談会 (本社、各工場) 社 会 お客さま 株 主 トップ訪問 株主総会 株主懇談会 機関投資家 アナリスト マスコミ 国内外の投資家訪問 アナリストミーティング インタビュー 決算説明会 【経営の基本】 品質と信頼性を追求し企業価値を向上する BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 86
獲得すべきは 「将来の業績に対する信頼」 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 87
示すべきは 「未来を実現する道筋」 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 88
言わせたい一言は 「協創したい」 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 89
一発で仕留める 骨太ストーリーの重要性 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 90
価値創造ストーリーライン ビジョンと戦略 マネタイズシナリオ 事業全体を俯瞰したリスク 戦略要素レベルのプロセス 重点イシューに基づく方針 機能連携レベルのプロセス BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 91
その中心は、イシュー別 機能連携管理 向こう3年を見据え 方針を高度実現するための経営資本政策 イシュー 戦略要素レベルに おける 強化すべき課題 現状 左記イシューに 関する現状 リスク 方針 イシュー実現の 過程で起こり得る事象 リスクをコントロール すべく 各部門の利害を超越した 機能連携方針 (阻害する事象と 促進する事象の両睨み) KPI KPI 方針実現に向けた 方針実現に向けた 組織行動良否 組織行動良否 を測る点検点 を測る管理点 技術 資本 組織 資本 人的 資本 製造 資本 関係性 資本 自然 資本 1. 2. 3. 4. 戦略要素レベルのプロセスを俯瞰した上でのイシューをもとに 機能連携レベルのプロセスに落とし込む BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 92
TQMの新たな挑戦 これから得意にしたい領域 戦略要素レベルのプロセス 現行の 新規の 機能連携レベルのプロセス 機能連携レベルのプロセス 現行の 新規の 新規の 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行レベルのプロセス 業務遂行 これまで得意にしてきた領域 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 93
【補】 総合討論への期待 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 94
GD構成 第1班 価値創出プロセスを構築し、持続的に進化させるためのトップの役割 第2班 価値創出プロセスの高度実現に向けた、 組織内部のインターナル・コミュニケーション開発の重要性 第3班 価値創出プロセスの持続的進化を支えるIT活用 第4班 「様々なプレーヤーが参画し価値創出を行う」ための新たなプロセスの構築 第5班 顧客価値創造事業の実現に関わる全ての組織を巻き込んだ方針管理の在り方 第6班 価値創出プロセスがもたらす経営計画の発展可能性 第7班 価値創出プロセスの実現に向けた組織機能の新結合 第8班 バリューチェーン拡大時代の組織が持つべき能力は何か BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 95
総合討論で創り上げたい図表 トップの リーダー シップ 方針管理 新製品・ 技術開発 プロセス 保証 標準化と 日常管理 改善活動 小集団 活動 品質上表 の蓄積・ 分析活用 情報技術 の活用 人財育成 新規 深堀 ビジョン再構築力 深堀 TQM活動要素 顧客との関係性構築力 事業ポートフォリオ変革力 事業遂行に向けた組織変革力 変革に伴うリスク適応力 組 織 能 力 深堀 パートナー巻き込み力 深堀 深堀 深堀 製品サービス仮説構築検証力 深堀 マネタイズ・シナリオ構築力 価値創出プロセス構築力 デジタル・PF技術活用力 深堀 深堀 新規 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 96
「組織能力ラインナップ」と「TQM活動要素」のそれぞれについて 鈴木さんのご講演のなかで解説いただきたくどうかお願いいたします 組織能力一般解 TQM活動要素 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 97
総合討論で創り上げたい図表 みんなで第116回をぜひ有意義なものにしてまいりましょう ご清聴ありがとうございました BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 98
価値創造ストーリーに込められたポイント <構成上のポイント> 1. ビジョンと戦略:Why/What/How 2. バリュー・ベース・プライシング 3. 事業全体を俯瞰したリスクと対応 4. 事業全体を俯瞰した全体観の威力 5. 内部留保を戦略投資に振り分ける理屈 「協創意欲の醸成」 本編ではページ数の都合で上記各項目をカットしました。 興味ある項目がありましたら、会期中、お気軽にご質問ください。 BRAND DESIGN: Chance Discovery for The Brand 99