物体を転送するシステムの開発の 2025年1月時点の進捗状況報告

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March 05, 25

スライド概要

機能を持った「物」を, その内部構造も含めてコンピュータネットワークで移動(正確には複製を構築)するシステムの実現を試みており, その2025年1月時点の進捗状況報告を行う。これはある種のテレポーテーションシステムであり、2024年夏に一部実現することができた。対象となる「物」は, 規格化された知的部品を組み立ててできた「物」に限定する. この「物」を構成する部品は, お互いに通信が可能であり, また、お互いの相対的な位置や向きの関係も知ることができるようになっている. 知的部品がお互いに情報交換することにより, この「物」自体が自分で自分の構造の情報を知ることができるようになっている. この情報を外部に吸い上げ, コンピュータネットワークで遠隔地に転送し, その情報を使って元の「物」と同じ物を構築することにより, この移動が実現する. ステレオカメラやレーザースキャナなどを利用した入力装置は表面上の形や色の情報しか入力できないのに対して, ここで試みた方法は, 内部の構造の情報も入手できる. CTスキャナやMRIは、内部の構造の情報も入手できるが内部の機能の情報は一部しか入手できないのに対して, ここで試みた方法は, 内部の機能の情報も入手できる. また, CTスキャナやMRIは対象物より大きなものになってしまうが, ここで試みた方法は対象物そのものが、自分の情報を取り出す. なお, 送信元の「物」を解体(破壊)することにより, このコピーは実質的な「移動」になる.

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関連スライド

各ページのテキスト
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ネットワークで機能を持った物体を 転送するシステムの開発の 2025年1月時点の進捗状況報告 What How For 北九州 福山大学 山之上 卓 福岡産業保健総合支援センター 筒井保博 黒崎播磨㈱ヘルスケアプラザ 筒井隆夫 2024年3月12日, IPSJ IoT64, @宮古島

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ビデオ ◼ https://youtu.be/WeB2JJEjZQY ?si=ctTtcuko4NzgBG-z

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目次 1. はじめに ◼ 2. システム概要 ◼ 3. 送信機 ◼ 4. 受信機 ◼ 5. 送受信の例 ◼ 6. 関連研究 ◼ 7. おわりに ◼

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1.はじめに ◼ 目的 ◼ テレポーテーション(物体瞬間移動装置)を実現する Realな「物」を、その内部構造も含めてコンピュータネットワークを使って遠隔地に移動(コ ピー) ◼ TESLA計画 ◼ ◼ 2024年3月のIOT研究会で2024年1月時点の進捗報告 ◼ ◼ 受信機の制作で苦労していた 2025年1月時点の進捗報告 ◼ テレポーテーション成功!(2024年8月)

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1.はじめに 転送の対象物は規格化された知的部品を組 み立てた「物」に限定 ◼ 部品はお互いに通信可能 ◼ 部品はお互いの相対的な位置や向きも知るこ とができる。 ◼ 部品同士が情報交換->「物」自体が自分で自 分の構造を知ることができる。 ◼

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1.はじめに ◼ 構造の取得手段 ◼ ステレオカメラやレーザスキャナ 表面上の形や色だけ ◼ TESLA: 内部の構造もOK ◼ ◼ CTスキャナやMRI ◼ ◼ 内部もOK。でも機能の情報は一部のみ。大きい。 本システム(TESLA計画) ◼ 内部も機能もOK。情報取り出しのときは大きな装置は必 要なし。

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目次 1. はじめに ◼ 2. システム概要 ◼ 3. 送信機 ◼ 4. 受信機 ◼ 5. 送受信の例 ◼ 6. 関連研究 ◼ 7. おわりに ◼

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2.システム概要 図1 Teleportation システム

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2.システム概要 相互に情報交換可能な, 規格化された部品(テスラダイス、 ダイス)で対象物体を作る。 ◼ 対象物体は自分で自分がどのような構造なのか、どのよ うな機能を持っているか、を知ることができる。 ◼ これらの情報を遠隔地に送信し、同じ物体を組み立てれ ば良い。 ◼

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2.システム概要 ◼ 送信元物体の情報獲得(構造認識など)に、 コンパイラの手法を利用 ◼ 構文解析 部品は生成規則 ◼ 結合面は非終端記号 ◼ 木を生成するとき、生成規則の適用は1回のみ ◼ ◼ 属性文法 合成属性として、情報を取り出す。 ◼ (相続属性として、各部品に情報を伝える。) ◼

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目次 1. はじめに ◼ 2. システム概要 ◼ 3. 送信機 ◼ 4. 受信機 ◼ 5. 送受信の例 ◼ 6. 関連研究 ◼ 7. おわりに ◼

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3. 送信機

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3. 送信機 サイコロの結合機構と通信機構

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3. 送信機 サイコロの中身 赤外線LED ネオジム磁石N ネオジム磁石S 赤外線LED フォトTr ネオジム磁石N 赤外線LED ネオジム磁石S 赤外線LED

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3. 送信機 サイコロ内部の回路

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目次 1. はじめに ◼ 2. システム概要 ◼ 3. 送信機 ◼ 4. 受信機 ◼ 5. 送受信の例 ◼ 6. 関連研究 ◼ 7. おわりに ◼

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4. 受信機 4.1 受信機の構成(ハードウェア)

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4. 受信機 4.1 受信機の構成(ソフトウェア)

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4. 受信機 4.1 受信機の構成(ソフトウェア) ◼ KONDOのHeart to Heartシス テムとそのteach 機能を使っ てアームロボットの動作を作 成

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4. 受信機 4.2 受信機におけるテスラダイスの組み立て方法 1. 送信機が組み立て情報を受 信部に送信 2. 受信機は組み立て情報を受 信 3. アームロボットがベルトコン ベアからテスラダイスを一つ取 り出す

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4. 受信機 4.2 受信機におけるテスラダイスの組み立て方法 4. アームロボットはそのテスラ ダイスを, 部品回転用の電磁石 が付いた床の部分に移動

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4. 受信機 4.2 受信機におけるテスラダイスの組み立て方法 5. アームロボットの電磁 石と, 床の電磁石と, アー ムロボットとスライドテーブ ルを操作して, テスラダイ スの向きを水平方向に回 転させたり, 垂直方向に回 転させたりしてテスラダイ スの向きを変える.

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4. 受信機 4.2 受信機におけるテスラダイスの組み立て方法 6. 方向が定まったテスラダイ スを, それがあるべき場所に, スライドテーブルとアームロ ボットを使って移動させる.

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4. 受信機 4.2 受信機におけるテスラダイスの組み立て方法 このとき, 最初の一個は、組 み立てテーブルの, 床に電 磁石がついている場所に置 かれ, その電磁石で固定さ れる.

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4. 受信機 4.2 受信機におけるテスラダイスの組み立て方法 7. ロボットアームが移動し, 次 のテスラダイスを取り出す. このとき, ベルトコンベアの左 端の部品がなくなると, TOFセ ンサによってそのことを自動的 に認識し, 次の部品が左端に 来るまでベルトコンベアを動か す. 以上を繰り返す。

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目次 1. はじめに ◼ 2. システム概要 ◼ 3. 送信機 ◼ 4. 受信機 ◼ 5. 送受信の例 ◼ 6. 関連研究 ◼ 7. おわりに ◼

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5. 送受信の例 5.1 送信機側の手順 s* 0 send up "str (this s* f2d3 next s*2 f5d3)". ◼ send up “str (this s*2 f2d0 next s*22 f0d0)”. ◼ s*22 2 s*2 1 s* 3

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5. 送受信の例 5.1 5.2 送信機側の手順 受信機側の手順 ◼ asm m self.get_dice_from_the_belt() asm start. ◼ asm m self.place_at_the_rotation_point() ◼ asm m self.get_dice_from_the_belt() ◼ asm m self.h_rotate_acw() ◼ asm m self.place_at_the_rotation_point() ◼ asm m self.place_at_1_0_nx_00() ◼ asm m self.h_rotate_acw() ◼ asm m self.get_dice_from_the_belt() ◼ asm m self.v_rotate_f() ◼ asm m self.place_at_the_rotation_point() ◼ asm m self.h_rotate_cw() ◼ asm m self.v_rotate_f() ◼ asm m self.get_at_the_rotation_point() ◼ asm m self.get_at_the_rotation_point() ◼ asm m self.place_at_0_0() ◼ asm m self.place_at_0_1() ◼

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5. 送受信の例 5.2 受信機側の手順 ◼ 例えば ◼ self.get_dice_from_the_belt() は、アームを移動させ、アームが、ベ ルトコンベアからダイスを取り出す。

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目次 1. はじめに ◼ 2. システム概要 ◼ 3. 送信機 ◼ 4. 受信機 ◼ 5. 送受信の例 ◼ 6. 関連研究 ◼ 7. おわりに ◼

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6.関連研究 ◼ 6.1 Active Cube … 大阪大学。システムワットロボキューブを利用 ◼ ◼ キューブ間の接続の向きを制限… 向きの認識機構なし。 6.2 iCray… 大阪大学。粘土に大量の小型共振アンテナを埋め込み ◼ 形も内部構造もある程度わかるけど、アクチュエータ埋め込みは難しそう 6.3 CEBOT … 名古屋大学(福田先生..元IEEE会長)小さなロボットを組み立 てて大きなロボットを作る ◼ 6.4 Triangles and Narratives…MIT(石井先生のグループ) ◼ ◼ 立体的な構造には制限あり。多数の部品を結合したものを作るには不向き 6.5 相補的な構造… 東京大学(->大阪大学、中野先生) ◼ Self Reproduction をさせて、Bootstrapping できるかも。コンパイラはやって いる。Von Neumann さんの論文引用しないと怒られるかな? ◼

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7.おわりに Teleportationできた! ◼ とても遅い ◼ ◼ ダイス3つで20分 一部不安定(温度、湿度、ちょっとしたひっかかり、etc.) ◼ 今後 ◼ 高速化 ◼ 動くおもちゃの teleportation ◼

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7.おわりに ◼ これから… 夢は広がる ダイスの改良… 物理的結合を強くする方法、アクチュエータ、セ ンサの組み込み、電源供給方法など。 … これはIoTだな。 ◼ Self Reproduction ◼ 遠隔で行うRealなモノづくりコンテスト。… ◼ 電子おもちゃ箱 ◼ (光に近い速度での) 宇宙ステーション、月、火星への物品の輸送 ◼

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謝辞 ◼ What How For Kitakyushu ◼ (主査は元産業医科大学学長の東先生)

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ちょっと宣伝 ◼ 2025年度、福山大学、前期・後期に、CGの世界的権威の 西田友是先生の講義。聴講制度で聴講可能。 ◼ 申込期限は前期3/31、後期8/31

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こちらもご覧ください。 ◼ ProtoPedia 「テレポーテーションシステム? その1/Is this a Teleportation System?」 のページも是非ご覧ください。

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ビデオ ◼ https://youtu.be/WeB2JJEjZQY ?si=ctTtcuko4NzgBG-z