OSH2025_振り子と螺旋とコンピューティング

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August 23, 25

スライド概要

オープンセミナー2025@広島 2025-08-23
「君はどこで動かすか?」公募LT

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島根県に生息しています。プロダクトエンジニアです。 株式会社Helpfeelでエンジニアリングマネージャーをやっています。ワークアット株式会社に所属しています。 コワーキングスペースenunでコミュニティマネージャーをやっています。

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各ページのテキスト
1.

振り⼦と螺旋と コンピューティング オープンセミナー2025@広島 2025-08-23 「君はどこで動かすか?」公募LT 株式会社Helpfeel ⾓⽥ 徹 (@enokizako)

2.

Helpfeel 開発部 エンジニアリングマネージャー ⾓⽥ 徹 SIer、受託開発を経て、2023年10⽉に株式会社Helpfeelに エンジニアリングマネージャーとして参加。 フルリモートでAI-FAQ検索SaaSをつくっています。 複業として地元のコワーキングスペースでコミュニティ マネージャーを⾏ったり地域のIT勉強会に携わっています。 スタートアップウィークエンド松江のオーガナイザー。 2

3.

このLTでお話しすること ● コンピューティングの歴史 ● ブラウザという分散環境 ● ⽣成AIによる集中の波 ● この先、我々はどこで動かすか? 3

4.

コンピューティングの歴史 4

5.

ソフトウェアを「どこで動かすか?」という永遠のテーマ ● コンピューティングの歴史は 「集中」と「分散」を繰り返している ● 処理能⼒を中央に集める「集中型」 ● 個々の端末に処理を委ねる「分散型」 5

6.

振り⼦と螺旋のメタファー “技術の変化の歴史は⼀⾒すると振り⼦に⾒える” “でも実は螺旋構造。 同じところには戻ってこない” “差分と、 それを可能にした技術が重要” 引⽤:Takuto Wada 2018/02/15 デブサミ2018 技術選定の審美眼 / Understanding the Spiral of Technologies https://speakerdeck.com/twada/understanding-the-spiral-of-technologies?slide=10 6

7.

集中と分散の歴史 ※実際はこんなにパキッと綺麗にわかれておらず並⾏して重なりながら進んでいる メイン フレーム クライアント サーバ クラウド サービス ブラウザと モバイル グロッシュの法則 ムーアの法則 物理インフラの 複雑性を抽象化 所有から利⽤ 新たな実⾏環境 ヴィルトの法則 ペイジの法則 7

8.

ブラウザという分散環境 8

9.

ブラウザで処理させるメリットその1 速い 9

10.

ブラウザで処理させるメリットその2 安い 10

11.

ブラウザで処理させるメリットその3 うまい ⾼機能 11

12.

ブラウザにブレークスルーをもたらした技術 ● Web Worker ○ UIスレッドとは別のバックグラウンドで動く専⽤スレッド ● Service Worker ○ ブラウザとネットワークの間のプログラマブルなプロキシ 12

13.

プロダクトの技術的な特徴であるクライアントサイド検索 従来のFAQ 質問文 Helpfeel 意図 記事 する 質問 引⽤:https://scrapbox.io/nota-techconf/本当に役⽴つFAQ検索システムを⽬指して 13

14.

回答を探すのではなく、予測される質問を探す仕組み 「ある記事」に対して、複数の質問(意図表現)を⽣成し、様々な⾔い回しからたどり着けます。 意図表現 ユーザー 思いついた⾔葉 商品が壊れています 1つの記事から 50の意図表現(質問表現)を⽣成 約 商品が不良品でした 不良品 ▪ 意図表現 (中間) ▪ 意図を選択 ▪ 記事 異なる商品が届いた 異なる 別の商品が届いた 別の物が来た 思っていたのと違う お⾦を返して 不具合があります 返⾦⽅法 のご案内 違う商品が届いた 返⾦してほしい 商品が届いた ▪ ▪ 機械の⼒で ▪ 16倍に拡張 テクニカルライターが ⼈の想像⼒で 3倍に拡張 お⾦を返して欲しい 14

15.

クライアントサイド検索でユーザーにサジェストする 「ある記事」に対して、複数の質問(意図表現)を⽣成し、様々な⾔い回しからたどり着けます。 意図表現 ユーザー 思いついた⾔葉 商品が壊れています 1つの記事から 50の意図表現(質問表現)を⽣成 約 商品が不良品でした 不良品 ▪ ▪ 意図を選択 ▪ 異なる商品が届いた 異なる 別の商品が届いた 別の物が来た 思っていたのと違う お⾦を返して 意図表現 ⼊⼒された⾔葉から (中間) ユーザーの意図(質問)を 記事 不具合があります 返⾦⽅法 予測し提⽰する処理を 違う商品が届いた のご案内 返⾦してほしい ブラウザで完結させる 商品が届いた ▪ ▪ 機械の⼒で ▪ 16倍に拡張 テクニカルライターが ⼈の想像⼒で 3倍に拡張 お⾦を返して欲しい 15

16.

⽣成AIによる集中の波 16

17.

コンピューティングの集中 ● オープンなモデルでもLLMの学習と推論には 膨⼤な計算資源を要する ● ⼀部の研究機関や⼤企業だけが最先端の 「賢い」モデルを提供し続けることができる ● 結果として、歴史上最も計算資源の集中化が 進んでいる(気がする) 17

18.

興味関⼼は業務の「どこで?」に ⾃分たちのワークフローやタスクのなかの 「どこで(⽣成AIを)動かすか?」という観点で プロダクトを考えるケースが多くなった 18

19.

プロダクトのあらゆる場⾯で⽣成AIの活⽤がすすむ 「ある記事」に対して、複数の質問(意図表現)を⽣成し、様々な⾔い回しからたどり着けます。 意図表現 ユーザー 1つの記事から 思いついた⾔葉 50の意図表現(質問表現)を⽣成 約 商品が壊れています FAQのドラフト⽣成 AIナレッジ検索 商品が不良品でした 不良品 ▪ 膨⼤な⽂書に対応 ▪ 従来の検索エンジン併⽤可 意図を選択 ▪ 意図表現 (中間) 記事 異なる商品が届いた 異なる 別の商品が届いた 別の物が来た 思っていたのと違う お⾦を返して メモ、問い合わせログから 記事を⽣成/整形 不具合があります 違う商品が届いた 返⾦⽅法 のご案内 返⾦してほしい 商品が届いた ▪ ▪ 問い合わせフォーム機能 ▪ 打ち込んだ⽂章で お⾦を返して欲しい テクニカルライターが 機械の⼒で 意図予測⽀援ツール ⼈の想像⼒で 16倍に拡張 検索ワードの案出し 3倍に拡張 AIが代わりに検索 19

20.

この先、我々はどこで動かすか? 20

21.

いまの流れもいつかはサチる ● ⽣成AIの賢さに対する⼀般的な利⽤者の満⾜感は 飽和する(かもしれない) ○ #keep4o ● 物理条件などの何らかの制約によって「賢さ」の 向上が鈍化する(かもしれない) 21

22.

振り⼦と螺旋とコンピューティング ● ⼀般的な利⽤者が満⾜するレベルの⽣成AIが クライアントで動くようになる(かもしれない) ○ ハードウェアの性能向上 ○ モデルの圧縮による軽量化 ● 分散という選択肢の魅⼒が増す(かもしれない) 22

23.

この先、我々はどこで動かすか? ● 単純で静的な正解はない ○ ⻑所を組み合わせる(アンサンブル) ○ 技術的なブレイクスルーが前提を揺るがす ● 進化し続ける螺旋の上で次の最適解を⾒つける 23

24.

ありがとうございました! 24