ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する比較報告

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December 20, 25

スライド概要

2025 年度 情報文化学会 近畿支部研究会(2025/12/21)の発表用プレゼン資料です。ゲームジャムの参加状況と学習意欲の変化に関する比較報告を行います。ゲームジャムは短期間で参加者が即席でチームを作り、同じテーマに基づいてゲームを制作するイベントです。特に教育目的においては、創造性や協働学習が促進される手法として注目され、初年次学生の参加には抵抗感が存在することが示されています。調査方法としては、参加した学生と不参加の学生のアンケート調査を実施し、参加の決定要因や不参加の理由を分析しています。結果として、参加の動機付けや障害が明らかになりました。

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各ページのテキスト
1.

ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ ゲームジャム参加状況と 学習意欲の変化に関する⽐較報告 A Comparative Study on Game Jam Participation and Changes in Learning Motivation 森 善⿓ Yoshitatsu MORI ⼤阪電気通信⼤学 総合情報学部 デジタルゲーム学科

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 ⾃⼰紹介 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 森 善⿓ Yoshitatsu MORI ⼤阪電気通信⼤学 総合情報学部 デジタルゲーム学科 准教授 前職はゲーム会社で企画職に従事。実務系教員であり、 専⾨はゲームデザイン。 ⼤学においてはゲーム制作全般の⼊⾨教育に従事、学⽣ 作品のイベント出展の促進を⾏う。 教育⼿法としてのゲームジャムに着⽬し絶賛研究中。

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ ゲームジャムとは ● 短期間で(48〜72時間) ● さまざまな経歴やスキルの参加者が ● 即席チームを作り ● 同じテーマで ● ゲームを作って公開するイベント ● ゲーム開発スキルがあることが前提 企画⽴案 実制作 A game jam is an accelerated opportunistic game creation event where a game is created in a relatively short time frame exploring given design constraint(s) and end results are shared publicly. 成果発表 Defining GameJam (Kultima, 2015) OECUゲームジャム 2025夏 (大阪電気通信大学 , 2025/8/19-20)

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 教育⽬的のゲームジャムの場合(OECU⽅式) ● 短期間で(48〜72時間) ● さまざまな経歴やスキルの参加者が ● 即席チームを作り ➡事前に設計 ● 同じテーマで ● ゲームを作って公開するイベント ➡発表に留める ● ゲーム開発スキルがあることが前提 ➡敷居を下げる ● 企画立案段階に留める場合もある 企画⽴案 勉強会の実施 実制作 地域における若者や学生の新しい社会への適応を促す教育・ト レーニングの一つとしてGJを位置づけ,育てていく意義がある と考える。 成果発表 ゲームジャムと 21世紀の教育 (大谷卓史:吉備国際大学アニメーション文化学部) OECUゲームジャム 2025夏 (大阪電気通信大学 , 2025/8/19-20)

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 先⾏研究 複数ゲームジャムの学修効果の違いに関する研究~社会人基礎力の観点から~ (小野憲史:東京国際工科専門職大学、森善龍:大阪電気通信大学)

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 研究背景/⽬的 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 初年次学⽣には参加への抵抗感が存在する(?) ゲームジャムは創造性‧協働学習を促進する教育⼿法 しかし、参加しない学⽣も多い... 参加∕不参加の要因の⽐較 参加∕不参加によるモチベーション変化を⽐較

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査⽅法 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ アンケート調査を実施 対象:⼤学1年⽣(参加群67名∕不参加群74名) ※⼤阪電気通信⼤学 総合情報学部 デジタルゲーム学科における,ゲーム制作関連科⽬を履修する1年次⽣ •学内の任意参加のゲームジャムが題材(GWの企画ゲームジャム/夏の実制作ゲームジャム) •アンケート調査(抵抗感‧参加要因‧不参加理由‧モチベーション変化)

8.

ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 参加呼びかけ時の抵抗感 抵抗度合い 参加群(n=67) 不参加群(n=74) 全く抵抗が 無かった 13(19.4%) 4(5.4%) 抵抗はそこまで 無かった 33(49.3%) 17(23.0%) 少し抵抗が あった 18(26.9%) 48(64.9%) かなり抵抗があっ た 3(4.5%) 5(6.8%) ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 参加呼びかけ時の抵抗感(参加群) 抵抗度合い 参加群(n=67) 不参加群(n=74) 全く抵抗が 無かった 13(19.4%) 4(5.4%) 抵抗はそこまで 無かった 33(49.3%) 17(23.0%) 少し抵抗が あった 18(26.9%) 48(64.9%) かなり抵抗があっ た 3(4.5%) 5(6.8%) 参加群 :『抵抗が少ない∕ない』が多数 不参加群 :『少し抵抗がある』が顕著 → 軽度の不安が参加⾏動を抑制

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 参加呼びかけ時の抵抗感(不参加群) 抵抗度合い 参加群(n=67) 不参加群(n=74) 全く抵抗が 無かった 13(19.4%) 4(5.4%) 抵抗はそこまで 無かった 33(49.3%) 17(23.0%) 少し抵抗が あった 18(26.9%) 48(64.9%) かなり抵抗があっ た 3(4.5%) 5(6.8%) 参加群 :『抵抗が少ない∕ない』が多数 不参加群 :『少し抵抗がある』が顕著 → 軽度の不安が参加⾏動を抑制

11.

ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 参加決定要因 順 上位項目(複数回答) 度数 上位はおおよそ以下の項⽬ 1 ゲーム作りに興味があったから 58 ‧経験価値(ゲーム制作‧チーム制作) 2 チーム制作の経験のため 47 ‧学習価値(技術‧考え⽅の獲得) 3 技術や考え方を身につけるため 36 4 いろんな人との制作に興味があった 29 5 自身の将来のため 28 6 以前からゲームジャムに興味があった 27 これらの価値を具体的に想起できるこ とが参加を後押しした可能性がある

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 順 フルでの項目の場合(複数回答) ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 度数 調査結果 参加決定要因 1 ゲーム作りに興味があったから 58 2 チーム制作の経験のため 47 3 技術や考え方を身につけるため 36 4 いろんな人との制作に興味があった 29 上位はおおよそ以下の項⽬ ‧経験価値(ゲーム制作‧チーム制作) ‧学習価値(技術‧考え⽅の獲得) 5 自身の将来のため 28 6 以前からゲームジャムに興味があった 27 7 友達に誘われたから 13 8 腕試し 8 9 役に立つ経験になると思ったから 1 これらの価値を具体的に想起できるこ とが参加を後押しした可能性がある

13.

ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 参加決定要因(への事前対策) 順 上位項目(複数回答) 度数 上位はおおよそ以下の項⽬ 1 ゲーム作りに興味があったから 58 ‧経験価値(ゲーム制作‧チーム制作) ※こんなことができそう...! 2 チーム制作の経験のため 47 3 技術や考え方を身につけるため 36 4 いろんな人との制作に興味があった 29 5 自身の将来のため 28 6 以前からゲームジャムに興味があった 27 過去の例で「具体的に‧楽しく」提⽰ ‧学習価値(技術‧考え⽅の獲得) これらの価値を具体的に想起できるこ とが参加を後押しした可能性がある

14.

ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 参加決定要因(への事前対策) 順 上位項目(複数回答) 度数 上位はおおよそ以下の項⽬ 1 ゲーム作りに興味があったから 58 ‧経験価値(ゲーム制作‧チーム制作) 2 チーム制作の経験のため 47 ‧学習価値(技術‧考え⽅の獲得) ※具体的な提⽰が難しい… 3 技術や考え方を身につけるため 36 4 いろんな人との制作に興味があった 29 5 自身の将来のため 28 6 以前からゲームジャムに興味があった 27 「成果物‧その後の結果」を提⽰ これらの価値を具体的に想起できるこ とが参加を後押しした可能性がある

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 不参加決定要因 上位はおおよそ以下の項⽬ 順 上位項目 度数 1 事前に技術や思考⼒などが必要だから 36 ‧技能要件への懸念 ‧時間制約 ‧対⼈不安 2 時間が取れなかったから 21 3 知らない⼈とのコミュニケーションが 難しそうだから 13 ‧⾃⼰効⼒感(⼼理的負荷) ‧参加負担(物理的可処分時間) が参加を妨げた可能性が⾼い

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 不参加決定要因 順 フルでの項目の場合 度数 1 事前に技術や思考⼒などが必要だから 36 2 時間が取れなかったから 21 3 知らない⼈とのコミュニケーションが難しそうだか ら 13 4 参加しようと思っていたが申し込み忘れた 2 5 自分のためにならないと感じたから(将来進みたい道と違うか ら) 1 5 バイトがあったから 1 6 テーマや主催者側に苦手意識があったから 0 上位はおおよそ以下の項⽬ ‧技能要件への懸念 ‧時間制約 ‧対⼈不安 ‧⾃⼰効⼒感(⼼理的負荷) ‧参加負担(物理的可処分時間) が参加を妨げた可能性が⾼い

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 不参加決定要因(への事前対策) 上位はおおよそ以下の項⽬ 順 上位項目 度数 1 事前に技術や思考⼒などが必要だから 36 ‧技能要件への懸念 ‧時間制約 ‧対⼈不安 2 時間が取れなかったから 21 3 知らない⼈とのコミュニケーションが 「事前勉強会」を実施する...? 難しそうだから 13 「勉強会や授業の進捗」等を 参加の閾値として定義する...? ※必要技能の可視化 「事前に役割を定義」する...? ‧⾃⼰効⼒感(⼼理的負荷) ‧参加負担(物理的可処分時間) が参加を妨げた可能性が⾼い

18.

ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 不参加決定要因(への事前対策) 上位はおおよそ以下の項⽬ 順 上位項目 度数 1 事前に技術や思考⼒などが必要だから 36 ‧技能要件への懸念 ‧時間制約 ‧対⼈不安 2 時間が取れなかったから 21 3 「知⼈チーム」で実施する...? 知らない⼈とのコミュニケーションが ※知⼈が居ないと詰む 難しそうだから 13 「当⽇のコミュニケーション⽀援を明⾔」 する...? ※運営がサポートできる仕組み…? 「事前に何かする」...? ※何を...? ‧⾃⼰効⼒感(⼼理的負荷) ‧参加負担(物理的可処分時間) が参加を妨げた可能性が⾼い

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 不参加決定要因(への事前対策) 上位はおおよそ以下の項⽬ 順 上位項目 度数 1 事前に技術や思考⼒などが必要だから 36 ‧技能要件への懸念 ‧時間制約 ‧対⼈不安 2 時間が取れなかったから 21 3 知らない⼈とのコミュニケーションが 「時間の短縮」を検討する...? ※ただかなり最適化された状態も否めない... 難しそうだから 13 「かなり早い段階から告知」する...? ※⼀番現実的...? 「オンラインで実施」する...? ※かなりコミュニケーション技術を要する...? ‧⾃⼰効⼒感(⼼理的負荷) ‧参加負担(物理的可処分時間) が参加を妨げた可能性が⾼い

20.

ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 「学ぶ」事へのモチベーション変化 項目 参加群(n=67) 不参加群(n=74) 大きく上がった 17(25.4%) 7(9.5%) 上がった 38(56.7%) 30(40.5%) どちらとも いえない 12(17.9%) 30(40.5%) 下がった 0(0.0%) 5(6.8%) 大きく下がった 0(0.0%) 2(2.8%) 5項⽬を +2 〜 -2でスコア化すると ‧参加者群 平均値 :+ 1.07 ‧不参加者群 平均値 :+ 0.47

21.

ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 「学ぶ」事へのモチベーション変化 項目 参加群(n=67) 不参加群(n=74) 大きく上がった 17(25.4%) 7(9.5%) 上がった 38(56.7%) 30(40.5%) どちらとも いえない 12(17.9%) 30(40.5%) 下がった 0(0.0%) 5(6.8%) 大きく下がった 0(0.0%) 2(2.8%) 5項⽬を +2 〜 -2でスコア化すると ‧参加者群 平均値 :+ 1.07 ‧不参加者群 平均値 :+ 0.47 参加群 不参加群 「参加群」「不参加群」共にモチベーションは「上 昇」しているが「参加群」の上昇度合いが⾼い

22.

ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 「制作する」事へのモチベーション変化 項目 参加群(n=67) 不参加群(n=74) 大きく上がった 24(35.8%) 8(10.8%) 上がった 27(40.3%) 32(43.2%) どちらとも いえない 14(20.9%) 26(35.1%) 下がった 2(3.0%) 6(8.1%) 大きく下がった 0(0.0%) 2(2.7%) 5項⽬を +2 〜 -2でスコア化すると ‧参加者群 平均値 :+ 1.09 ‧不参加者群 平均値 :+ 0.51

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 「制作する」事へのモチベーション変化 項目 参加群(n=67) 不参加群(n=74) 大きく上がった 24(35.8%) 8(10.8%) 上がった 27(40.3%) 32(43.2%) どちらとも いえない 14(20.9%) 26(35.1%) 下がった 2(3.0%) 6(8.1%) 大きく下がった 0(0.0%) 2(2.7%) 5項⽬を +2 〜 -2でスコア化すると ‧参加者群 平均値 :+ 1.09 ‧不参加者群 平均値 :+ 0.51 参加群 不参加群 「参加群」「不参加群」共にモチベーションは「上 昇」しているが「参加群」の上昇度合いが⾼い

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 調査結果 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 「学ぶ」事へのモチベーション変化 「制作する」事へのモチベーション変化 「参加群」「不参加群」共に両モチベーションは「上昇」 しているがどちらにおいても「参加群」の上昇度合いが⾼い

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ゲームジャム参加状況と学習意欲の変化に関する⽐較報告 まとめ 今後 ⼤阪電気通信⼤学 森 善⿓ 学内ゲームジャムにおける参加呼びかけ時の抵抗感と,参加決定 要因∕不参加理由を⽐較した。参加群では学習価値‧経験価値の 具体的想起が参加を促進する⼀⽅,不参加群では技能不安‧時間 制約‧対⼈不安が参加抑制要因となる傾向を⽰した。また初年度 学⽣に説いては学習意欲‧制作意欲共にゲームジャムに参加した 学⽣がモチベーションの向上度は⾼くなる傾向にあった。 抵抗感の軽減施策(例:初⼼者向けの事前講習会,チーム編成時の ⽀援対策)の導⼊を⾏い,縦断的にその効果の検証を⾏う。モチ ベーションの変化の具体的な理由をデータをもとに検証することが 必要となる。