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May 05, 22
スライド概要
ロドリゲスの回転公式 | Mathlog
https://mathlog.info/articles/3190
四元数と回転 | ドクセル
https://www.docswell.com/s/usami-k/KQ8EJY-quaternion-rotation-tsudoi
https://usami-k.github.io/
ロドリゲスの回転公式 宇佐見 公輔 2022 年 5 月 5 日 3 次元の回転変換をベクトルで記述する、ロドリゲスの回転公式を紹介します。なお、この内容 は先日開催された第 3 回すうがく徒のつどいの「四元数と回転」で話した内容の一部です。その際 の講演資料には画像がありませんでしたが、今回は画像を作成しました。 1 ロドリゲスの回転公式 ⃗ 𝑦⟩ ⃗ と、外積を 𝑥⃗ × 𝑦⃗ と書 以下、3 次元ベクトル空間 ℝ3 で考えます。ベクトル 𝑥⃗ と 𝑦⃗ の内積を ⟨𝑥| くことにします。 3 次元空間のなかで、原点を通る回転軸の周りに回転角 𝜃 だけ回転するという変換は、次のよう に記述できます。 Theorem 1.1 (ロドリゲスの回転公式) 大きさ 1 のベクトル 𝑛⃗ があるとします。点 𝑋 を 𝑛⃗ の周りに角 𝜃 だけ回転した点を 𝑋 ′ としま ′ の位置ベクトルを 𝑥⃗′ とするとき、次が成り立ちます。 ⃗ す。𝑋 の位置ベクトルを 𝑥、𝑋 ⃗ 𝑥⟩ ⃗ 𝑛⃗ + sin 𝜃(𝑛⃗ × 𝑥) ⃗ 𝑥⃗′ = cos 𝜃 𝑥⃗ + (1 − cos 𝜃)⟨𝑛| 𝑛⃗ は回転軸に沿う単位ベクトルです。𝑛⃗ の周りに角 𝜃 だけ回転するという操作を図で示すと、次 のようになります。 𝑛⃗ 𝑥⃗′ 𝑥⃗ 𝜃 回転軸の周りの回転 ⃗ 𝑛、 ⃗ 𝑛⃗ × 𝑥⃗ の 3 つのベクトルの和の形で記 ロドリゲスの回転公式は、回転後のベクトル 𝑥⃗′ を、𝑥、 1
述しています。 2 ロドリゲスの回転公式の証明 以下、ロドリゲスの回転公式を証明します。 まず、𝑥⃗ を 𝑛⃗ と平行な方向 𝑥⃗∥ と垂直な方向 𝑥⃗⟂ に分解します。 𝑥⃗ = 𝑥⃗∥ + 𝑥⃗⟂ ⃗ 𝑥⟩ ⃗ 𝑛⃗ となります。 このとき、𝑥⃗∥ = ⟨𝑛| 𝑥⃗′ も同様に分解します。 𝑥⃗′ = 𝑥⃗′ ∥ + 𝑥⃗′ ⟂ このとき、点 𝑋 ′ は点 𝑋 を 𝑛⃗ の周りに回転した点であることから、𝑥⃗ と 𝑥⃗′ について、𝑛⃗ と平行な方 向の成分は等しくなります。つまり 𝑥⃗′ ∥ = 𝑥⃗∥ です。 𝑛⃗ 𝑥⃗′ 𝑥⃗ 𝑥⃗∥ 𝑥⃗′ ⟂ 𝜃 𝑥⃗⟂ 位置ベクトルの分解 よって、𝑥⃗′ ∥ は 𝑥⃗ と 𝑛⃗ であらわせることが分かりました。次に、𝑥⃗′ ⟂ を 𝑥⃗ と 𝑛⃗ であらわすことを 考えます。 外積 𝑛⃗ × 𝑥⃗⟂ を考えます。外積の大きさは平行四辺形の面積でしたから、これは実は 𝑛⃗ × 𝑥⃗ と等し いです。 𝑛⃗ と 𝑥⃗⟂ は直交していることから、次が成り立ちます。 ⃗ 𝑥⃗⟂ | sin |𝑛⃗ × 𝑥⃗⟂ | = |𝑛|| 𝜋 ⃗ 𝑥⃗⟂ | = |𝑥⃗⟂ | = |𝑛|| 2 よって、𝑥⃗⟂ 、𝑥⃗′ ⟂ 、𝑛⃗ × 𝑥⃗⟂ はすべて同じ大きさです。 2
𝑛⃗ 𝑥⃗′ 𝑥⃗ 𝑥⃗′ ⟂ 𝑛⃗ × 𝑥⃗⟂ 𝜃 𝑥⃗⟂ 外積ベクトル 𝑥⃗′ ⟂ ⃗ 𝑥⃗⟂ 方向に分解します。𝑥⃗⟂ と 𝑥⃗′ ⟂ のなす角は 𝜃 なので、次のようになります。 を 𝑥⃗⟂ 方向と 𝑛× 𝑥⃗′ ⟂ = cos 𝜃𝑥⃗⟂ + sin 𝜃(𝑛⃗ × 𝑥⃗⟂ ) 𝑛⃗ × 𝑥⃗⟂ 𝑥⃗′ ⟂ 𝜃 𝑥⃗⟂ ベクトルの分解 これで、𝑥⃗′ ⟂ を 𝑥⃗ と 𝑛⃗ であらわすことができました。したがって、次が成り立ちます。 𝑥⃗′ = 𝑥⃗′ ∥ + 𝑥⃗′ ⟂ = 𝑥⃗∥ + cos 𝜃𝑥⃗⟂ + sin 𝜃(𝑛⃗ × 𝑥⃗⟂ ) ⃗ = 𝑥⃗∥ + cos 𝜃(𝑥⃗ − 𝑥⃗∥ ) + sin 𝜃(𝑛⃗ × 𝑥) ⃗ = cos 𝜃 𝑥⃗ + (1 − cos 𝜃)𝑥⃗∥ + sin 𝜃(𝑛⃗ × 𝑥) ⃗ 𝑥⟩ ⃗ 𝑛⃗ + sin 𝜃(𝑛⃗ × 𝑥) ⃗ = cos 𝜃 𝑥⃗ + (1 − cos 𝜃)⟨𝑛| 以上でロドリゲスの回転公式が証明できました。 3